以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は印刷機のインキ供給装置の一部を概略的に示す左側面図、図2は同平面図である。なお、以下の説明において、図1および図2の右側を前、左側を後とし、前から見たときの左右を左右とする。
図1および図2において、インキ壺(1)を形成するインキ壺部材(2)の後端に近接するインキ元ローラ(インキ壺ローラ)(3)の後方に複数のインキ練りローラのうちの最初のインキ練りローラ(4)が配置され、元ローラ(3)と練りローラ(4)との間に、インキ移し分割ローラユニット(5)が配置されている。元ローラ(3)と練りローラ(4)の軸は互いに平行で、左右方向にのびている。元ローラ(3)と練りローラ(4)は、印刷機のフレーム(7)に回転自在に支持され、図示しない駆動装置により所定の回転速度で図1の矢印方向に回転させられる。元ローラ(3)の回転速度は、練りローラ(4)のそれの1/10程度である。
分割ローラユニット(5)の詳細が、図3および図4に示されている。図3は分割ローラユニット(5)の一部切欠き平面図であり、同図の下側が前、上側が後である。図4は、図2の一部を左側から見た拡大横断面図である。
ローラ(3)(4)と平行な直線状の支持部材(6)の左右両端部がフレーム(7)に固定され、支持部材(6)の周囲に複数の可動部材(8)が取り付けられている。支持部材(6)は、上下幅より前後幅が少し大きい角柱状をなす。可動部材(8)は短円柱状をなし、可動部材(8)にはこれを軸方向に貫通する比較的大きな角状の穴(9)が形成されている。フレーム(7)に対向状に固定されて支持部材(6)に貫かれた1対の端円柱状の固定部材(10)の間に複数の可動部材(8)が軸方向に並べられ、これらの可動部材(8)の穴(9)に支持部材(6)が通されている。可動部材(8)の穴(9)の上下幅は支持部材(6)の上下幅とほぼ等しく、穴(9)の上下両面が支持部材(6)の上下両面に摺接している。また、穴(9)の前後幅は支持部材(6)の前後幅より少し大きく、可動部材(8)は、支持部材(6)に対して、穴(9)の後面が支持部材(6)の後面に接する前端位置と、穴(9)の前面が支持部材(6)の前面に接する後端位置との間を前後に移動しうるようになっている。支持部材(6)と摺接する可動部材(8)の穴(9)の上面に、可動部材(8)の全長にわたる角みぞ(11)が形成されている。
各可動部材(8)は、後述するように、支持部材(6)に対して軸方向に位置決めされており、可動部材(8)相互間および両端の固定部材(10)との間には、軸方向にわずかな隙間が設けられている。このため、各可動部材(8)は、支持部材(6)に対して個別に前後方向に移動しうる。
各可動部材(8)の外周に、転がり軸受である玉軸受(12)の内輪が固定されている。各玉軸受(12)の外輪の外周に金属製スリーブ(14)が固定され、スリーブ(14)の外周にゴム製厚肉円筒状のインキ移しローラ(15)が固定されている。
隣接する可動部材(6)の外周相互間に、短円柱状の防塵部材(16)がはめ被せられている。防塵部材(16)は、たとえば天然ゴム、合成ゴム、合成樹脂などの適当なゴム状弾性材料よりなり、その両端部に内側に少し張り出したフランジ部(16a)が一体に形成されている。そして、これらのフランジ部(16a)が可動部材(8)の左右両端寄りの部分の外周面に形成された環状みぞ(17)にはめられることにより、防塵部材(16)が可動部材(8)に固定されている。左右両端の可動部材(8)とこれらに隣接する固定部材(10)との外周相互間にも、同様の防塵部材(16)がはめ被せられている。
各可動部材(8)と支持部材(6)の間の支持部材(6)側に、次のように、インキ移しローラ(15)の位置を切り換えるローラ位置切換装置(19)が設けられている。
可動部材(8)の軸方向中央部に対応する支持部材(6)の部分に、前面から少し後方までのびた穴を形成することによりシリンダ部(20)が形成されるとともに、後面から少し前方までのびたばね収容穴(21)が形成されている。シリンダ部(20)の中心とばね収容穴(21)の中心は、可動部材(8)の上下方向の中心近傍にある前後方向の1つの直線上にある。シリンダ部(20)内に、短円柱状のピストン(22)がOリング(23)を介して前後摺動自在に挿入されている。ばね収容穴(21)内に、付勢部材としてのボール(24)が前後摺動自在に挿入されるとともに、これを後向きに付勢する圧縮コイルばね(25)が挿入されている。
ピストン(22)の中心に対向する可動部材(8)の穴(9)の前面およびボール(24)の中心に対向する穴(9)の後面に、それぞれ、凹所(26)(27)が形成されている。各凹所(26)(27)の可動部材(8)軸方向の幅は一定である。可動部材(8)の軸線と直交する断面における各凹所(26)(27)の断面形状は一様であり、上記軸線と平行な直線を中心とする円弧状をなす。凹所(26)に対向するピストン(22)の端面の中心に先細テーパ状の突起(22a)が形成され、この突起(22a)が凹所(26)にはめられている。なお、ピストン(22)の突起(22a)を除く部分の長さはシリンダ部(20)の長さよりわずかに短く、ピストン(22)がシリンダ部(20)内に最も退入した状態でも、突起(22a)の大部分が支持部材(6)の前面より突出するようになっている。一方、ボール(24)の外周の一部が、凹所(27)にはめられている。
支持部材(6)の後部において、ボール(24)は、常時、ばね(25)の弾性力により可動部材(8)の穴(9)の後面に圧接させられ、ボール(24)の外周の一部が、凹所(27)にはまって、凹所(27)の前後の縁部に圧接させられている。一方、支持部材(6)の前部においては、支持部材(6)の前面あるいはピストン(22)が可動部材(8)の穴(9)の前面に圧接させられ、ピストン(22)の突起(22a)の大部分が凹所(26)にはまっている。そして、このようにピストン(22)の突起(22a)の大部分とボール(24)の一部が、常時、凹所(26)(27)にはまっていることにより、支持部材(6)に対する可動部材(8)の軸方向の位置決めがなされている。
支持部材(6)に、その左端から軸方向にのびて右端付近で閉じた給気穴(28)が形成され、この穴(28)の左端開口端が適当な配管を介して圧縮空気源(29)に接続されている。
可動部材(8)のみぞ(11)に面している支持部材(6)の上面に切換弁(ソレノイド弁)(30)が取り付けられ、この弁(30)の2つのポートが支持部材(6)に形成された連通穴(31)(32)を介して給気穴(28)とシリンダ部(20)にそれぞれ連通させられている。また、弁(30)の電線(33)がみぞ(11)の部分を通して外部に引き出され、制御装置(34)に接続されている。
弁(20)に通電された状態(オン状態)ではシリンダ部(20)が弁(30)を介して給気穴(28)に連通させられ、通電を停止した状態(オフ状態)ではシリンダ部(20)が弁(30)を介して大気と連通させられる。そして、制御装置(34)で各切換装置(19)の弁(30)の通電状態を個別に切り換えることにより、各インキ移しローラ(15)の前後方向の位置が個別に切り換えられる。
弁(30)がオフ状態に切り換えられると、シリンダ部(20)が大気と連通させられるため、ピストン(22)はシリンダ部(20)内を自由に移動できる状態になる。このため、可動部材(8)はばね(25)によりボール(24)を介して後側に移動させられる。その結果、可動部材(8)およびインキ移しローラ(15)は後端位置に切り換えられ、インキ移しローラ(15)が元ローラ(3)から離れて練りローラ(4)に圧接する。
弁(30)がオン状態に切り換えられると、シリンダ部(20)が給気穴(28)およびさらにこれを介して圧縮空気源(29)に連通させられるため、シリンダ部(20)に圧縮空気が供給される。このため、ばね(25)の力に抗して、ピストン(22)が支持部材(6)から前方に突出し、これによって可動部材(8)が前側に移動させられる。その結果、可動部材(8)およびインキ移しローラ(15)は前端位置に切り換えられ、インキ移しローラ(15)が練りローラ(4)から離れて元ローラ(3)に圧接する。
可動部材(8)の穴(9)の底壁と摺接する支持部材(6)の下面に、磁気センサよりなる位置切換検知センサ(102)が埋め込み式に固定され、これに対向する可動部材(8)の穴(9)の底壁に、永久磁石(103)が埋め込み式に固定されている。センサ(102)の下面は、支持部材(6)の下面と面一であるか、それより少し内側(上側)に位置している。永久磁石(103)の上面は、可動部材(8)の穴(9)の底壁面と面一であるか、それより少し内側(下側)に位置している。可動部材(8)が後端位置に切り換えられた状態では、センサ(102)は永久磁石(103)の前後方向中央部に対向し、可動部材(8)が前端位置に切り換えられた状態では、センサ(102)は永久磁石(103)から後方に外れる。したがって、可動部材(8)の位置によってセンサ(102)の出力が変化し、センサ(102)の出力により、可動部材(8)すなわちインキ移しローラ(15)がいずれの位置にあるかがわかる。
後述するようにインキ壺(1)から元ローラ(3)の外周表面に出たインキは、インキ移しローラ(15)が前端位置に切り換えられている間に、そのインキ移しローラ(15)に移され、各インキ移しローラ(15)に移されたインキは、インキ移しローラ(15)が後端位置に切り換えられている間に練りローラ(4)に移される。練りローラ(4)に移されたインキは、さらに複数のインキ練りローラなどを経て、印刷面に供給される。そして、制御装置(34)で各インキ移しローラ(15)ごとに前端位置と後端位置に切り換えられている時間を制御することにより、印刷面に供給されるインキ量がその幅方向の位置によって調節される。また、センサ(102)の出力により、インキ移しローラ(15)の位置の切り換えが正常であるかどうかが検知され、インキ移しローラ(15)が正常に切り換えられなかった場合には、警報が発せられる。
図5は図1の一部を拡大した図であり、図6〜図9はインキ供給装置の各部を詳細に示す図である。
インキ壺部材(2)はたとえば断面正三角形の三角柱状をなし、その左右両端に設けられた円柱状の支持軸部(35)がフレーム(7)に回動自在に支持されている。フレーム(7)には、電動モータを備えたインキ壺部材回動装置(36)が設けられ、この回動装置(36)により、インキ壺部材(2)が回動させられ、120度おきの3つの作業位置に位置決めされて、各作業位置に固定されるようになっている。
インキ壺部材(2)の周囲の3つの側面がインキ壺形成面(37a)(37b)(37c)となっており、各インキ壺形成面(37a)〜(37c)の反時計回り方向の端の稜線がそのインキ壺形成面(37a)〜(37c)に対応するインキ通路形成部(38a)(38b)(38c)となっている。インキ壺形成面は符号(37)で総称し、区別する必要があるときは、反時計回り方向に順に、第1インキ壺形成面(37a)、第2インキ壺形成面(37b)、第3インキ壺形成面(37c)と呼ぶことにする。インキ通路形成部も符号(38)で総称し、区別する必要があるときは、反時計回り方向に順に、第1インキ通路形成部(38a)、第2インキ通路形成部(38b)、第3インキ通路形成部(38c)と呼ぶことにする。インキ壺部材(2)の端面には、各インキ通路形成部(38)に対応して、その番号を表わす「1」〜「3」の数字が記されている。
インキ壺部材(2)の近傍に、帯状のシート(39)の繰出しおよび巻取りを行うシート移動装置(40)が設けられている。
シート移動装置(40)は、繰出し軸(41)、巻取り軸(42)、およびこれらの軸(41)(42)を駆動する軸駆動装置(43)を備えている。軸駆動装置(43)は、繰出し軸(41)を駆動する電動モータ(44)、およびモータ(44)の回転を巻取り軸(42)に伝達する動力伝達機構(45)を備えており、繰出し軸(41)が巻取り軸(42)より小さい一定速度で回転するようになされている。また、動力伝達機構(45)に、摩擦抵抗を与えるとともにすべりを許容するすべり機構(47)が設けられている。たとえば、動力伝達機構(45)が歯車列よりなり、すべり機構(47)は、モータ(44)側の歯車とかみ合う第1の歯車と巻取り軸(42)側の歯車とかみ合う第2の歯車とが互いに重ねあわされるとともに、所定の摩擦抵抗をもって互いにすべりながら回転するように組み合わされたものである。
アルミニウム合金などで作られた芯筒(48)にプラスチックスなどで作られた帯状のシート(39)が巻かれたシートロール(49)の芯筒(48)が、繰出し軸(41)に着脱自在に固定されるようになっている。また、円筒状の巻取り部材(50)が、巻取り軸(42)に着脱自在に固定されるようになっている。図示は省略したが、プラスチックスなどで作られた巻取り筒が、巻取り部材(50)の外周に、互いに回転しないようにはめられる。
繰出し軸(41)に固定されたシートロール(49)から繰出されたシート(39)が、インキ壺形成面(37)を覆うようにインキ壺部材(2)にかけられた後、巻取り部材(50)にはめられた巻取り筒に導かれ、シート(39)の先端部が、適宜な手段により、巻取り筒に固定されている。
巻取り部材(50)に巻かれたシート(39)の外径が最も小さいときでも、すべり機構(47)によるすべりがないと仮定した場合の巻取り部材(50)の部分におけるシート(39)の移動速度が繰出し軸(41)のシートロール(49)の部分におけるシート(39)に移動速度より大きくなるように、繰出し軸(41)と巻取り軸(42)の回転速度の関係が決められている。
モータ(44)で繰出し軸(41)および巻取り軸(42)を駆動することにより、シート(39)がシートロール(49)から繰出されて、その長さ方向にインキ壺部材(2)に沿って移動し、巻き取り部材(50)に巻き取られる。繰出し軸(41)と巻取り軸(42)の回転速度の関係が上記のように決められ、モータ(44)と巻取り軸(42)との間にすべり機構(47)が設けられているので、シート(39)は常に張力を付与された状態で移動させられる。このため、モータ(44)が停止したときには、インキ壺形成面(37)を覆っているシート(39)の部分がインキ壺形成面(37)に密着する。
インキ壺部材(2)の各インキ壺形成面(37)は、インキ壺部材(2)が対応する作業位置に位置決めされたときに、インキ壺(1)を形成する。実際には、インキ壺形成面(37)を覆っているシート(39)の部分と元ローラ(3)の外周表面とで、インキ壺(1)が形成される。そして、そのインキ壺形成面(37)に対応するインキ通路形成部(38)がシート(39)を介して元ローラ(3)の外周表面に近接し、インキ通路形成部(38)に密着しているシート(39)の部分と元ローラ(3)の外周表面との間にインキ通路(52)が形成される。
インキ通路(52)の大きさは、元ローラ(3)の回転中心軸とインキ壺部材(2)の回転中心軸との軸間距離、元ローラ(3)の直径およびインキ壺部材(2)の回転中心軸からインキ通路形成部(38)までの距離によって決まる。この例では、3つのインキ通路形成部(38)について、インキ壺部材(2)の回転中心軸からインキ通路形成部(38)までの距離が変えられている。このため、作業位置によってインキ通路の大きさが変わる。
インキ壺部材(2)と元ローラ(3)の間に、インキ壺(1)の側壁を形成する左右1対の堰板(53)が着脱自在に固定されるようになっている。堰板(53)は略三角形状をなし、三角形の2辺に相当する部分に、インキ壺形成面(37)に密着する平坦なインキ壺吸着面(53a)および元ローラ(3)の外周表面に密着する凹形部分円筒面状のインキ元ローラ吸着面(53b)が形成されている。各堰板(53)の2つの吸着面(53a)(53b)の近傍に、吸着用の永久磁石(54)が埋め込み式に固定されている。
元ローラ(3)の外周部において、左右両端寄りの2箇所に、全周が磁性材料よりなる堰板吸着部(55)が設けられ、吸着部(55)以外の部分は非磁性材料よりなる。吸着部(55)の幅は、堰板(53)の幅とほぼ等しい。インキ壺部材(2)の各インキ壺形成面(37)は、全体が磁性材料よりなるものであってもよいし、元ローラ(3)の吸着部(55)に対応する部分だけが磁性材料よりなり、残りの部分が非磁性材料よりなるものであってもよい。
堰板(53)は、元ローラ吸着面(53b)が元ローラ(3)の吸着部(55)に密着してこれに磁力により吸着されるとともに、インキ壺吸着面(53a)がシート(39)を介してインキ壺形成面(37)に密着してこれに磁力により吸着されることにより、これらに固定されて、インキ壺の側壁を形成する。堰板(53)は磁力により元ローラ(3)に吸着されているだけであるから、元ローラ(3)の回転に支障をきたすことがない。
元ローラ(3)の下部前方に、インキ回収タンク(56)が配置されている。タンク(56)の後部に、タンク(56)の後壁上端より後方斜め上方に突出したインキ掻き取りブレード(57)が固定されている。タンク(56)およびブレード(57)に左右幅は、元ローラ(3)の左右長さより大きい。タンク(56)およびブレード(57)は、空気シリンダを備えたブレード位置切換装置(58)によって前後方向に移動させられ、ブレード(57)の上端が元ローラ(3)の外周表面に圧接する後端の掻き取り位置と、ブレード(57)が元ローラ(3)から離れる前端の待機位置とに切り換えられる。
フレーム(7)の右側上部に前後方向に長い水平板状の支持台(59)が設けられ、支持台(59)の上面に、使用前の新しい堰板(53)が載置される第1の堰板載置台(60)と、使用後の堰板(53)が載置される第2の堰板載置台(61)とが設けられている。各台(60)(61)には、堰板(53)のインキ元ローラ吸着面(53b)を受ける凸形部分円筒面状の第1受部(62)と、第1受部(62)の下部から突出して堰板(53)のインキ壺吸着面(53a)のインキ元ローラ吸着面(53b)側の部分を受ける第2受部(63)とが設けられている。第1受部(62)の上部に、棒状の磁性部材(64)が埋め込み式に固定されている。
フレーム(7)の後部に、複数のインキ容器(65)を保管するための容器保管部(66)が設けられている。
インキ容器(65)は、上部が開口し底部にインキ出口(67)が形成された円筒状の容器本体(68)と、容器本体(68)内を密閉状態で上下に移動できるように容器本体(68)内に上部開口(69)から挿入されたピストン兼用蓋部材(70)と、インキ出口(67)を開閉する弁(71)とを備えている。
容器本体(68)の底壁(72)の中心に形成された円形開口(73)の周縁部から下方にのびる円筒部(74)に、インキ出口(67)が形成され、円筒部(74)の内周の下端周縁部が弁座(75)となっている。円筒部(74)の内周には、小径部(74a)、これより大径の大径部(74b)、および大径部(74b)から上方に向かって徐々に内径が大きくなったテーパ部(74c)が下から順に形成され、小径部(74a)と大径部(74b)との間の上向きの環状端面がばね受け面(74d)となっている。
弁(71)は、円筒部(74)を貫いて上下に移動しうるように円筒部(74)内に配置された弁部材(76)と、弁部材(76)を上向きに付勢する弾性部材である圧縮円錐コイルばね(77)とを備えている。弁部材(76)は、鉛直状の弁棒(92)の下端に円板状の弁体(93)が、上端寄りの部分にばね受け用外向きフランジ(94)が形成されたものである。弁体(93)の上部は、上に行くにしたがって外径が徐々に小さくなったテーパ面(95)となっている。テーパ面(95)の下端の外径は弁座(75)の内径より大きく、テーパ面(95)の上端の外径は弁座(75)の内径より小さい。弁棒(92)の弁体(93)とフランジ(94)の間の部分がばね(77)の内側に通され、ばね(77)の下端の大径部がばね受け面(74d)に、ばね(77)の上端の小径部がフランジ(94)の下端面に圧接させられている。これにより、弁部材(76)が上向きに付勢されて、弁体(93)のテーパ面(95)が弁座(75)に圧接してインキ出口(67)を閉じるようになっている。弁体(93)の上面は容器本体(68)内の圧力を受けるようになっており、圧力が所定値より小さい場合は、弁体(76)がばね(77)の弾性力により弁座(75)に圧接してインキ出口(67)を閉じ、圧力が所定値より大きくなると、弁体(76)がばね(77)の弾性力に抗して下方に移動し、弁座(75)から下方に離れてインキ出口(67)を開くようになっている。
容器本体(68)の上端部内周に、上方に行くにしたがって徐々に内径が大きくなったテーパ面(96)が形成されている。容器本体(68)の底壁(72)の外周縁に、下方にのびる位置決め用円筒部(97)が形成されている。円筒部(97)およびそれより少し上方の容器本体(68)の部分の外径は、それより上方の容器本体(68)の部分の外径より少し大きい。円筒部(97)の内周には、小径部(97a)および大径部(97b)が上から順に形成されている。大径部(97b)は、下方に行くにしたがって内径が徐々に大きくなったテーパ状をなす。大径部(97b)の上端部の内径は小径部(97a)の内径より大きく、これらの間に、下向きの環状端面(97c)が形成されている。容器本体(68)の上部の外径は、環状端面(97c)の内径より大きく、環状端面(97c)の外径とほぼ等しいかこれよりわずかに小さい。
容器本体(68)の上端寄りの部分の外周面に、外向きに張り出して下部が下方を向く保持用張り出し部(98)が一体に形成されている。この例では、張り出し部(98)は、環状凸部である。
蓋部材(70)は、円板部(70a)の周縁に上方にのびる円筒部(70b)が一体に形成されたものである。蓋部材(70)は、容器本体(68)上端部のテーパ面(96)を通して、容器本体(68)内に密に挿入される。
容器本体(68)内には、インキが収容され、インキより上方の容器本体(68)内に挿入された蓋部材(70)により、容器本体(68)の上部が閉じられている。最初は、容器本体(68)内の蓋部材(70)より下方の部分にインキが充填された状態で、たとえば、蓋部材(70)の上端が容器本体(68)のテーパ面(96)の下端とほぼ同じ高さになっている。
通常、各容器(65)には、異なる種類のインキが収容される。蓋部材(70)に下向きの圧力が加わっていない状態では、容器本体(68)内の圧力が低く、上記のように弁(71)がインキ出口(67)を閉じており、インキ出口(67)からインキが外に出ることがない。蓋部材(70)に加わる下向きの圧力がある程度大きくなると、蓋部材(70)が下方に移動して、インキを圧縮し、インキの圧力が高くなって、上記のように弁(71)がインキ出口(67)を開き、インキがインキ出口(67)を通って下方に落下する。
容器保管部(66)は、左右方向に水平にのびて両端部がフレーム(7)および支持台(59)の後端部に固定された支持部材(111)を備えている。支持部材(111)には、上方にのびる支柱(112)が設けられ、各支柱(112)の上部に、容器保持装置を構成する板ばねよりなる左右1対の容器保持部材(113)の後端部が固定されている。容器保持部材(113)は、平面視円弧状で、全体として先端(前端)側が離れた部分円形をなす。1対の容器保持部材(113)は、自然状態では、先端が互いに接近した閉じた状態になり、このとき、1対の容器保持部材(113)に内接する円の直径は容器本体(68)の外径より小さい。1対の容器保持部材(113)は、その弾性力に抗して、先端同士が容器本体(68)の外径より大きく離れた状態まで開かせることができる。1対の容器保持部材(113)は、容器本体(68)の張り出し部(98)のすぐ下の部分を弾性力によって挟み、容器本体(68)の外周面に密着するとともに、張り出し部(98)を下から受けて、容器(65)を保持するようになっている。この例では、容器保持部材(113)は3組設けられている。
支持台(59)の上面の堰板載置台(60)(61)より右側の部分に、前後方向に水平にのびるガイドレール(80)が設けられ、門形の第1の移動体(81)の右側下部がガイドレール(80)に案内されている。移動体(81)の左側下部に設けられたローラ(82)がフレーム(7)の左側部分の上面に載せられている。図示は省略したが、ボールねじなどを使用した駆動装置により、移動体(81)が前後方向に移動させられる。
第1の移動体(81)の上部後面に、左右方向に水平にのびるガイドレール(83)が設けられ、第2の移動体(84)がガイドレール(83)に案内されている。図示は省略したが、ボールねじなどを使用した駆動装置により、移動体(84)が左右方向に移動させられる。
第2の移動体(84)の部分に、堰板交換装置(85)の主要部およびインキ補給装置(86)が設けられている。
堰板交換装置(85)は、次のように構成されている。
元ローラ(3)の上部に近接する位置であって、元ローラ(3)およびインキ壺形成面(37)に吸着された堰板(53)の後端より少し後方の位置に、堰板規制部材を兼ねたカバー(110)が設けられている。カバー(110)は、その左右両端部がフレーム(7)に固定されて、元ローラ(3)の上部全長を覆っている。
第2の移動体(84)の後面に、空気シリンダを使用した昇降装置(87)を介して水平板状の第3の移動体(88)が支持されており、移動体(88)に、空気圧を利用した旋回・開閉装置(89)が設けられている。旋回・開閉装置(89)から下方に突出した鉛直旋回軸(90)の下端部に、1対の開閉自在な堰板保持部材(91)が設けられている。保持部材(91)は、第1および第2の移動体(81)(84)の移動により、前後方向および左右方向に移動させられ、第3の移動体(88)の昇降により、昇降させられる。また、保持部材(91)は、旋回・開閉装置(89)による旋回軸(90)の旋回により、鉛直軸を中心に旋回させられ、旋回・開閉装置(89)により、開閉される。
インキ補給装置(86)は、次のように構成されている。
第2の移動体(84)の後面に、容器保持手段を構成する容器保持部(114)が、適当なアクチュエータ(115)を介して取り付けられ、アクチュエータ(115)により上下に移動されるようになっている。
容器保持部(114)は、アクチュエータ(115)に取り付けられた鉛直板状の中間支持部材(116)と、支持部材(116)の下端部から後方にのびる底部載置部(117)と、支持部材(116)の上端部から後方にのびるシリンダ部材(118)と、シリンダ部材(118)に支持されて底部載置部(117)の上方を上下に移動しうる密閉保持部材(119)とを備えている。
底部載置部(117)の上面に、上方に突出した短円柱部(120)が形成されている。短円柱部(120)の外径は容器本体(68)の位置決め用円筒部(97)の小径部(97a)の内径より小さく、短円柱部(120)が位置決め用円筒部(97)の内側にはまるようになっている。短円柱部(120)の高さは、位置決め用円筒部(97)の高さとほぼ等しいかそれより少し大きい。短円柱部(120)の中心に、底部載置部(117)を上下に貫通する開口(121)が形成されている。開口(121)は、下方が広がったテーパ状をなし、開口(121)の上端の内径は、容器本体(68)の底壁(72)の円筒部(74)の外径より大きい。
シリンダ部材(118)には、上下方向にのびる水平断面円形のシリンダ部(122)が設けられている。シリンダ部材(118)の底壁(123)に、密閉保持部材保持用の円形開口(124)が上下貫通状に形成され、シリンダ部材(118)の頂壁(125)に、これを上下に貫通する水平断面円形の圧縮空気供給通路(126)が形成されている。通路(126)の上端部の内径は、他の部分よりかなり小さくなっている。通路(126)の上端には圧縮空気供給用ホース(127)が接続され、図示は省略したが、ホース(127)は、コンプレッサなどを有する圧縮空気供給装置に接続されている。
密閉保持部材(119)は、シリンダ部材(118)の開口(124)を密閉して上下に摺動するようにOリング(128)を介して開口(124)にはめられた円柱状のブロック部(129)と、ブロック部(129)の上部に形成されてOリング(130)を介してシリンダ部(122)内に上下摺動自在にはめられた円板状のピストン部(131)と、ブロック部(129)の上部の中心部に上方突出状に形成されてシリンダ部材(118)の圧縮空気供給通路(126)の下部に下側からOリング(132)を介して密にかつ上下摺動自在にはめられた円柱状の圧縮空気取り入れ部(133)と、シリンダ部材(118)より下方に突出したブロック部(129)の下部に設けられて下方に移動したときにインキ容器(65)の上部開口(69)を密閉する円板状の密閉部(134)とを備えている。
密閉部(134)の外径はブロック部(129)のそれより大きく、密閉部(134)の下面の外周寄りの部分に、環状のパッキン(135)が設けられている。容器本体(68)の上端の外径は、パッキン(135)の内径より大きく、パッキン(135)の外径より小さい。
密閉保持部材(119)の中心には、圧縮空気取り入れ部(133)、ブロック部(129)および密閉部(134)を上下に貫通する圧縮空気供給通路(136)が形成され、この通路(136)の途中に、ボール(137)と圧縮コイルばね(138)を用いた逆止弁(139)が設けられている。前述の圧縮空気供給装置、ホース(127)、通路(126)(136)および逆止弁(139)により、圧縮空気供給手段が構成されている。
シリンダ部(122)の上限位置にあるピストン部(131)の上方の位置および下限位置にあるピストン部(131)の下方の位置に、それぞれ、シリンダ部材(118)の外部に達する圧縮空気給排通路(140)(141)が形成され、これらの通路(140)(141)に圧縮空気給排用ホース(142)(143)が接続されている。図示は省略したが、ホース(140)(141)は、切換弁を介して圧縮空気供給装置に接続されている。
底部載置部(117)の下面に固定されたブラケット(100)の先端部に、インキ壺(1)内のインキのレベルを検出するためのレベルセンサ(101)が設けられている。レベルセンサ(101)には、たとえば、超音波センサが用いられる。
上側の給排通路(140)が大気に連通させられて下側の給排通路(141)からシリンダ部(122)内に圧縮空気が供給されることにより、シリンダ部材(118)に対して密閉保持部材(119)が上方に移動する。逆に、下側の給排通路(141)が大気に連通させられて上側の給排通路(140)からシリンダ部(122)内に圧縮空気が供給されることにより、シリンダ部材(118)に対して密閉保持部材(119)が下方に移動する。
保持部材(119)を上方に移動させた状態で、底部載置部(117)の上に容器(65)が載せられ、短円柱部(120)が位置決め用円筒部(97)の内側にはまって、容器本体(68)の底壁(72)が短円柱部(120)の上にのり、円筒部(74)が開口(121)の内側にはまる。このような状態で、シリンダ部(122)のピストン部(131)より上側の部分に圧縮空気が供給されて密閉保持部材(119)が下方に移動することにより、パッキン(135)が容器本体(68)の上端に圧接して、容器(65)を保持するとともに、容器本体(68)を密閉する。
上記のように容器(65)が容器保持部(114)に保持されているとき、ホース(127)から供給通路(126)(136)に圧縮空気が供給されていない状態では、容器本体(68)内の蓋部材(70)より上側の部分の圧力は低く、したがって、容器本体(68)内のインキの圧力も低い。このため、弁(71)は閉じており、インキが外に出ることはない。供給通路(126)(136)に圧縮空気が供給されると、これが逆止弁(139)を通って容器本体(68)内の蓋部材(70)より上側の部分に供給されて、蓋部材(70)を下方に押すため、蓋部材(70)が下方に移動して、インキを圧縮し、これにより、インキの圧力が上昇して、弁(71)が開き、開いた弁(71)から開口(121)を通って、インキが下方に落下する。インキは、インキ通路(52)より少し上方の元ローラ(3)の外周表面に落下するようになっている。元ローラ(3)の外周表面に落下したインキは、元ローラ(3)の回転により、インキ通路(52)に移動し、インキ壺(1)に溜まる。供給通路(126)(136)への圧縮空気の供給が停止すると、容器本体(68)内の圧力はそれ以上上昇せず、弁(71)が閉じて、インキが外に出なくなる。
印刷を開始する前は、元ローラ(3)およびインキ壺形成面(37)に堰板(53)は取り付けられておらず、第1の堰板載置台(60)に新しい堰板(53)が2つ以上載せられている。また、インキ補給装置(86)には容器(65)は保持されておらず、容器(65)は容器保持部材(113)に保持されている。そして、シートロール(49)から繰出されて巻取り部材(50)に巻かれたシート(39)の中間部の使用前の部分が、所定の作業位置に位置決めされたインキ壺部材(2)のインキ壺形成面(37)に密着している。この場合、インキ壺部材(2)は第1作業位置に位置決めされ、シート(39)は第1インキ壺形成面(37a)に密着している。
このような状態から、まず、堰板交換装置(85)の堰板保持装置(91)が第1の載置台(60)上の1個の堰板(53)を保持し、これを元ローラ(3)の一方の堰板吸着部(55)およびこれに対応するインキ壺形成面(37a)に吸着させた後、同様に、もう1個の堰板(53)を元ローラ(3)の他方の堰板吸着部(55)およびこれに対応するインキ壺形成面(37a)に吸着させる。
次に、容器保持部(114)を下方に移動させるとともに、密閉保持部材(119)を上方に移動させた状態で、インキ補給装置(86)が、容器保管部(66)の所望の容器(65)の前方に移動した後、後方に移動し、図7(b)のように、容器(65)を底部載置部(117)と密閉保持部材(119)の間に位置させる。次に、容器保持部(114)を上方に移動させて、底部載置部(117)で容器(65)を持ち上げ、容器(65)の張り出し部(98)が保持部材(113)より少し上方に離れた位置で停止する。次に、密閉保持部材(119)を下方に移動させ、図7(a)のように、容器(65)を保持するとともに、密閉する。
容器保持部(114)に容器(65)が保持されたならば、インキ補給装置(86)は容器保持部材(113)から前方に離れてインキ壺(1)の上方に移動する。インキ補給装置(86)が容器保持部材(113)から離れるとき、容器保持部材(113)は、容器保持部(114)に保持された容器(65)に押されて一旦開いた後、容器(65)から離れて、閉じる。そして、容器(65)を保持したインキ補給装置(86)がインキ壺(1)の上方に移動したならば、元ローラ(3)だけを回転させ、全てのインキ移しローラ(15)を後端位置に切り換えた状態で、インキ補給装置(86)を左右に往復移動させながら、一定のレベルまでインキ壺(1)内にインキを補給する。このとき、インキ壺(1)内のインキのレベルを低くして、インキ通路(52)の近傍のわずかな部分にのみ少量のインクが溜まるようにする。
インキ壺(1)内に一定量のインキが溜まったならば、練りローラ(4)や他のローラも回転させ、インキ移しローラ(15)の位置の切り換えを制御することにより、印刷面にインキを供給して、印刷を行う。
印刷中、インキ補給装置(86)を左右に移動させながら、インキ壺(1)内にインキを補給し、これにより、インキ壺(1)内のインキのレベルをほぼ一定に保って、インキ通路(52)の近傍のわずかな部分にのみ少量のインキが溜まるようにする。また、位置切換検知センサ(102)の出力によってインキ移りローラ(15)の位置の切り換えの異常が検知されたときには、警報を発し、運転を停止する。
印刷が終了して、次に異なるインキを使用して印刷を行う場合、段取替え作業は、たとえば、次のようにして行われる。
印刷が終了すると、まず、インキ補給装置(86)が、容器保管部(66)の空になっている元の容器保持部材(113)の前方に移動した後、後方に移動して、その容器保持部材(113)にインキ容器(65)を戻す。インキ補給装置(86)が後方に移動すると、1対の容器保持部(113)の先端が容器(65)に当たって、容器保持部材(113)が押し広げられ、その後、容器保持部材(113)が閉じて、容器本体(68)の外周面に密着する。このとき、図7(a)に示すように、容器(65)の張り出し部(98)は、容器保持部材(113)より少し上方に位置している。このような状態で、まず、密閉保持部材(119)だけが上方に移動して、容器(65)から上方に離れ、その後、容器保持部(114)全体が下方に移動する。容器保持部(114)がある程度下方に移動すると、容器(65)の張り出し部(98)が容器保持部材(113)の上縁に当たって,停止し、保持される。容器(65)が容器保持部材(113)に保持されて、停止した後も、容器保持部(114)は、図7(b)のように、底部載置部(117)の短円柱部(120)が容器本体(68)の位置決め用円筒部(97)から下方に抜け出る位置まで下方に移動し、停止する。そして、インキ補給装置(86)は、容器保持部材(113)に保持された容器(65)から離れて、前方に移動する。
一方、全てのインキ移しローラ(15)を後端位置に切り換えて、元ローラ(3)から離し、インク回収タンク(56)を掻き取り位置に切り換えて、ブレード(57)を元ローラ(3)の外周表面に圧接させ、このような状態で元ローラ(3)を回転させる。これにより、インキ壺(1)内に残っているインキが印刷時と同様にインキ通路(52)を通って元ローラ(3)の外周表面に出るが、このインキはブレード(57)により掻き取られて、タンク(56)内に回収される。インキ壺(1)内に残っていたインキが全て元ローラ(3)により取り出されて、ブレード(57)によりタンク(56)内に回収されたならば、そのままの状態でしばらく元ローラ(3)を回転させる。これにより、元ローラ(3)の外周表面に残っていたインキがブレード(57)によりほとんど掻き取られるので、その後、タンク(56)を待機位置に切り換えて、ブレード(57)を元ローラ(3)から離し、元ローラ(3)を停止させる。
元ローラ(3)を停止させたならば、インキ壺部材(2)を反時計回り方向に回動させる。インキ壺部材(2)が回動すると、これに押されて、堰板(53)のインキ壺形成面吸着部(53a)がインキ壺形成面(37a)からはずれ、堰板(53)は元ローラ(3)に吸着されたまま元ローラ(3)とともに反時計回り方向に回転するが、すぐにカバー(110)に当たって制止させられる。そして、インキ壺部材(2)がさらに回動することにより、堰板(53)はカバー(110)との当接部を中心に回動し、インキ元ローラ吸着部(53b)が元ローラ(3)の外周表面から外れる。インキ壺部材(2)は、堰板(53)がインキ壺部材(2)と元ローラ(3)の両方から外れてこれらの上に載った状態で停止する。インキ壺部材(2)が停止したならば、堰板交換装置(85)の堰板保持部材(91)が一方の堰板(53)を保持してインキ壺部材(2)と元ローラ(3)の間から取り外して、第2の載置台(61)に移した後に、同様に、他方の堰板(53)を取り外して第2の載置台(61)に移す。
インキ移しローラ(15)に移されていたインキは、練りローラ(4)の回転により、練りローラ(4)およびその他のローラに移され、これらのローラ(15)(4)の外周表面に残っているインキも少なくなる。そして、インキ移しローラ(15)、練りローラ(4)およびその他のローラは、従来と同様に自動洗浄される。このとき、必要があれば、たとえば図11のいずれかの状態で、インキ移しローラ(15)の位置を切り換えることにより、自動洗浄の洗浄液を練りローラ(4)側から元ローラ(3)に移して、元ローラ(3)の外周表面を自動的に洗浄することができる。
インキ壺部材(2)と元ローラ(3)の間から2つの堰板(53)が取り外されたならば、シート移動装置(40)により、シートロール(49)から所定長さのシート(39)を繰出して、巻取り部材(50)に巻き取る。そして、インキ壺部材(2)を次の印刷のための作業位置に位置決めして、停止させる。これにより、印刷中にインキ壺形成面(37a)に密着していて古いインキが付着している使用後のシート(39)の部分がインキ壺形成面(37)から外れた位置に移動し、使用前の新しいシート(39)の部分がインキ壺形成面(37)に密着する。
以後、前記と同様に、次の印刷が行われる。
図11は、インキ壺部材の変形例を示している。
この場合、インキ壺部材(104)は、たとえば断面正方形の四角柱状をなし、90度おきの4つの作業位置に位置決めされて、各作業位置に固定されるようになっている。インキ壺部材(104)の周囲の4つの側面がインキ壺形成面(105a)(105b)(105c)(105d)となっており、各インキ形成面(105a)〜(105d)の反時計周り方向の端の稜線がそのインキ形成面(105a)〜(105d)に対応するインキ通路形成部(106a)(106b)(106c)(106d)となっている。
他は、上記実施形態の場合と同様であり、同じ部分には、同一の符号を付している。
図12は、インキ壺部材の他の変形例を示している。
この場合、インキ壺部材(107)は、たとえば断面直角三角形の三角柱状をなし、1つの作業位置にのみ位置決めされて、固定されるようになっている。インキ壺部材(107)の後斜め上向きの面がインキ壺形成面(108)となっており、インキ壺形成面(108)の後端(下端)の稜線がインキ通路形成部(109)となっている。また、堰板(53)の交換時には、インキ壺部材(107)は作業位置から反時計回り方向に回動させられ、前記同様に堰板(53)が取り外された後に、作業位置に戻されるようになっている。
他は、上記実施形態の場合と同様であり、同じ部分には、同一の符号を付している。
上記のインキ容器(65)は、インキを収容した状態で、図13および図14に示すように、下側の容器(65)容器本体(68)の上端部を、上側の容器(65)の位置決め用円筒部(97)の大径部(97b)の内側にはめて、環状段部(97c)に下から当てた状態で、積重ねて保管しておくことができる。
インキ容器(65)内のインキがなくなったならば、容器本体(68)から蓋部材(70)を取り出して、容器本体(68)内に新しいインキを入れ、その上に蓋部材(70)を挿入することで、簡単にインキの詰め替えができる。
図15〜図17は、インキ容器(65)の変形例を示している。これらの図面において、上記の実施形態のものと同じ部分には同一の符号を付している。
この容器(65)では、容器本体(68)の底壁(72)の円筒部(74)に、コネクタ(150)を介してインキ補給用ホース(151)が接続できるようになっている。
コネクタ(150)は段付円筒状をなし、コネクタ(150)の下部には、上部より外径の小さいホース接続部(152)が形成され、この接続部(152)にホース(151)の先端部が接続される。接続部(152)の外周面に、抜け止め(153)が形成されている。コネクタ(150)の内周には、大径部(154)と小径部(155)が上から順に形成されている。大径部(154)の内径は容器(65)の円筒部(74)の外径より少し大きく、大径部(154)の高さは円筒部(74)のそれより少し小さい。小径部(155)の内径は弁体(92)の外径より大きく、小径部(155)の高さは円筒部(74)下面からの弁体(92)の最大突出量より大きい。大径部(154)の内周面の下端寄りの部分の対称2箇所に内側に突出した突起(156)が形成されている。
容器(65)の円筒部(74)外周面下部の対称2箇所に、コネクタ係止用屈曲みぞ(157)が形成されている。2つのみぞ(157)は円筒部(74)の軸線に対して線対称であり、円筒部(74)の下面から上方にのびた鉛直部(157a)と、鉛直部(157a)の上端から周方向に水平にのびた水平部(157b)とからなる。
ホース(151)が接続されたコネクタ(150)の上部を容器(65)の円筒部(74)の外側に下側からはめ、まず、突起(156)をみぞ(157)の鉛直部(157a)に下側からはめて、水平部(157b)に達したならば、コネクタ(150)を回動させて、突起(156)を水平部(157b)の先端側に移動させることにより、コネクタ(150)が円筒部(74)に係止され、容器(65)にホース(151)が接続される。
上記と逆の操作により、コネクタ(150)およびホース(151)を容器(65)から取り外すことができる。
上記の容器補給装置(86)の容器保持部(114)は、この容器(65)を保持して、インキの補給を行うことができる。
その場合、容器保持部(114)は一箇所に定置されていてもよい。容器(65)は手作業で底部載置部(117)にのせられ、上記同様に、保持、密閉される。コネクタ(150)およびホース(151)は、底部載置部(117)の開口(121)を通して、容器(65)に接続される。そして、上記と同様にして、弁(71)およびホース(151)を通して、所望の個所にインキを供給することができる。
もちろん、この容器(65)は、上記の印刷機に使用することもできる。
印刷機、インキ補給装置、インキ容器の全体構成および各部の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。