JP5263799B2 - 体性感覚運動統合評価訓練システム - Google Patents

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Description

本発明は、静的および動的な身体運動能力の退行を予防し、運動感覚を統合して評価すると共にその退行を予防し、向上させるための体性感覚運動統合評価訓練システムに関するものである。
例えば、加齢や、病気・外傷などに引き続く安静による身体不活動、さらに環境の変化による生活活動の運動量の減少などによって、人の身体運動機能は低下する。加齢による身体運動機能の低下は、日常生活における防御反応や姿勢反応の退行を引き起こし、日常生活動作能力の減退が余儀なくされる。このため、中年者の身体不活動は、生活習慣病の誘因となり、ひいては脳血管障害などの重篤な障害につながる可能性がある。
また、児童の運動量低下は身体運動機能の正常発達にとって重要な問題であり、運動量の減少は筋・骨格の成長にとって陰性に働くため、将来的に骨折や外傷が増加するなどの懸念につながる。
このような背景から、医療費や労働力の確保という側面から社会負担を軽減するため、積極的な身体運動機能の退行を予防、治療する必要がある。身体運動能力の構成要素に筋力がある。歩行などの移動手段をはじめとした日常生活動作を遂行するにあたっては、最低限の筋力が必要であり、かつ予備的筋力の量によって日常生活で加わる加重への予備能力が決定される。日常生活動作は随意的に遂行されるものであるから、運動機能退行を予防・治療するための運動(訓練)は意思を持って意図的(随意的)に行う必要がある。
一方、この訓練は、日常生活の動作に伴う随意運動をその訓練に適した方法で行うこと(例えば、漫然と歩くのではなく、姿勢を正し、訓練となりうる速度で歩くなど)で可能であるが、その場合にはどうしても個人が得意な方法で動作が遂行されるため、強い筋はより強化され、弱い筋は訓練されにくいということになる。そこで、現在の身体運動機能がどのような状況であるのかを客観的に示し、かつ訓練の指針を作成するための身体運動機能評価・計測方法が求められている。また、さまざまな研究から、単に筋力を発揮するような訓練方法ではなく、関節運動を制御する中枢神経系が体性感覚入力を注意深く知覚し、それに基づいて訓練するような形態で実施した方が効果的である。
従来から、多くの身体訓練装置が提案されているが、加齢にともなう肢体能力の退行に関する分析およびその対応の装備が希薄であって、この種の身体訓練装置は合理的な訓練になるのか否か疑問のあるものや、筋力や関節の可動領域を拡大するなど、肢体の一部を訓練することを目的としたものが多い。若年向きの装置や無理な訓練を行う強化装置は、肢体能力の退行予防の観点からは意味がない。また、リハビリテーションを行う目的にした身体訓練装置も多く提案されている。
例えば、特許文献1に記載の「肢体リハビリテーション訓練装置」は、肢体の関節角に変位を生じない状態での動作力情報により、被訓練者の操作能力の向上に必要な情報を人間へと帰還するものである。この装置によれば、肢体の関節角の変位を必要とせず、肢体運動の操作調整機能の回復が可能となり、その際に訓練結果が定量化され記憶、評価が自動的に行われることになり、中枢神経系への障害のリハビリテーションを支援することができる。
また、特許文献2の「関節屈伸運動装置」は、例えば、片麻痺患者が関節の運動感覚を再獲得するための認知運動療法に使用して好適な訓練装置である。この関節屈伸訓練装置によれば、アームを介して感覚的に認識した関節の屈曲角度が実際の角度と比較して判定されることから、患者は中枢神経系や抹消神経系を関節の角度の判断に集中させることになり、これにより、関節の屈伸動作と中枢神経の作用に基づく知覚神経系や末消神経系の運動感覚の再教育訓練を行うことができる。
また、リハビリーションを行う理学療法士や作業療法士などの担当者を手助けするものとして、社会復帰のための治療を受ける患者が、毎日毎日のリハビリーションにおいて楽しみながら効率の良い、確実な訓練を受けることができるシステムとして、特許文献3の「医療情報システム」が参照できる。利用者が通常運動時と同一の運動感覚を得ることができる運動訓練装置としては、特許文献4の「運動訓練装置」が参照できる。
特開2004−008605号公報 特開2003−175085号公報 特開2003−305094号公報 特開平09−84898号公報
したがって、身体運動機能の一つである運動感覚機能を計測すると共に、運動感覚機能が退行するのを予防、治療するのに適合し、楽しみながら運動を実施できる程度の抵抗を提示し、運動感覚機能を計測するシステムを開発することが望まれる。
スポーツ活動や日常生活において適正に活動するためには、身体が置かれている状況を自らが認知しながら環境に適応して動作力を出力しなくてはならない。このために、身体運動機能の退行予防および治療は、動作力として単に力を出力すればよいのではなく、提示された力を認知し、それに対して応答する閉回路の運動制御機能を訓練しなくてはならない。また、そのためには、身体運動機能の評価として単に筋力や力の提示もしくは抵抗を加えたことによる位置のずれを計測しても意味がない。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、静的および動的な身体運動能力の退行を予防して、運動感覚を統合して評価すると共にその退行を予防し、向上させるための体性感覚運動統合評価訓練システムを提供することにある。
上記のような目的を達成するため、本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムは、基本的な構成として、訓練者の動作部位を固定具により固定する身体固定部と、訓練者の動作部位に運動課題の所定量の力を加えるように前記身体固定部に力を加える負荷発生機構部と、前記身体固定部の初期位置からの位置ずれを位置信号として検出する位置センサと、訓練者の動作力を力信号として検出する力センサと、前記力センサにより検出された力信号に応じて訓練者の動作部位に運動課題の所定量の力を加えるように前記負荷発生機構部を制御する制御部と、前記力センサにより検出された力信号および位置センサから検出された位置信号に基づいて訓練者の運動課題に対する運動感覚を評価する処理を行う評価処理部とを備える。
具体的には、台部に載せた訓練者の動作部位を固定具により固定する身体固定部と、例えば椅座した訓練者の関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加えるように前記身体固定部に力を加える負荷発生機構部と、前記台部の位置ずれを検出する位置センサと、前記身体固定部の台部に装備されて訓練者の関節を屈曲もしくは伸展させる方向の力を検出する力センサと、前記力センサにより検出された力信号に応じて椅座した訓練者の関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加えるように前記負荷発生機構部を制御する制御部と、前記力センサにより検出された力信号および位置センサから検出された位置信号に基づいて訓練者の運動課題に対する運動感覚を評価する処理を行う評価処理部とを備える。
本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムにおいては、更に、訓練者に対する課題を提示する表示装置を備え、前記評価処理部は、訓練者の運動感覚を評価した結果に基づいて前記表示装置に訓練者に対する運動課題を表示することを特徴とするものである。
また、この場合に、体性感覚運動統合評価訓練システムにおいて、前記制御部は、運動課題に対応して前記負荷発生機構部を制御して訓練者の動作部位に対して前記身体固定部を介して加える力を発生させる。提示した運動課題は表示装置に表示される。
訓練者が運動課題に対して訓練を行う場合において、表示装置は必ずしも必要でない。運動課題として、例えば閉眼で視覚情報をなくした状態で、四肢に対して力を提示し、その提示された力を視覚情報ではなく四肢で感じ取り、提示された力に負けないように押し返す運動課題では、表示装置は必ずしも必要でない。この運動課題では、必ずしも、その場から動かないようにする必要はなく、一定の動作力を出しつつも提示された位置を追いかけるように動作力の力を出しながら動かすという課題である。この運動課題は、具体的には、負荷発生機構部が出力する力に対して、訓練者が負けないよう動作力を出し、身体の動作部位の位置を一定の位置に保たせるという課題である。しかし、一定の力を出しつつも、負けながら提示された運動速度で動かしたり、勝ちながら一定の運動速度で動かしたりするというような運動課題が提示されても良い。
また、この体性感覚運動統合評価訓練システムは、人間の四肢のそれぞれの部位の運動動作を個別に評価するようにも構成できる。その場合には、身体固定部、負荷発生機構部の構造をそれぞれの動作部位に対応した構造とされる。既存の運動形態、例えば、ペダリングや単関節筋力発揮などに適応するようなものであっても良い。
具体的に脚の運動動作を評価する別の態様として、例えば、身体固定部は、水平移動可能なペダルであり、負荷発生機構部はこのペダルを駆動して、横たわっている状態の訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる所定量の力を加えるようにペダルに水平方向の力を加える機構として構成されてもよい。更に別の態様として、エルゴメータのような機構を利用することができる。この場合には、身体固定部は、回転運動するクランクシャフトに訓練者の足を固定するペダルであり、負荷発生機構部は、前記ペダルの回転運動により訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加える機構に構成される。
更に別の態様の例として、腕の運動動作を評価する場合には、身体固定部は、回転運動するクランクシャフトを訓練者が握持する握り部であり、前記負荷発生機構部は、前記握り部の回転運動により訓練者の肘関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加えるような機構に構成される。
このような特徴的な機構を有する本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムによれば、訓練者は、身体固定部の台部に身体の動作部位の例えば足を置き、固定具により足を台部に固定した状態として、運動感覚訓練の開始を指示して、訓練を開始する。訓練が開始されると、負荷発生機構部が、訓練者の動作部位に対して、例えば膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に力を加えるように前記身体固定部に所定量の力を加える動作を開始する。負荷発生機構部は制御部により制御されており、制御部は、安全性を高めるため、過度な力が訓練者に加わらないようされるが、力センサにより検出された力信号に応じて訓練者の関節を屈曲もしくは伸展させる方向に力を加えるように前記負荷発生機構部が制御される。
負荷発生機構部は、その駆動により、訓練を行う訓練者に対して身体固定部を介して関節を屈曲もしくは伸展させる方向へ力を加えてくるので、訓練者は自己の運動感覚に従い、訓練者が身体固定部の押してきた力と同量と考える力を、身体固定部を押し返す方向に発揮して、力の釣り合いを保つようにする。この場合に、訓練者には、運動課題として、力をつり合わせるだけでなく、身体固定部の位置が元の位置から極力移動しないように、身体固定部を押し返す方向に動作力を発揮するように要求されている。
負荷発生機構部から与えられる力は、運動課題とされる所定の訓練プログラムのパターンにしたがって、一定周期のもとに強弱をつけて与えられるので、訓練者はどのような力を受けているかを注意深く感じながら、それに見合った力を出すように要求される。
このようにして、訓練者が自己の感覚に合う動作力を発揮すると、この動作力は力センサにより検出されて、検出した力信号が評価処理部に入力される。また、この場合に、位置センサが身体固定部の台部の初期位置からの位置ずれを検出しており、その位置ずれの検出信号についても評価処理部に入力される。評価処理部は、力センサにより検出された力信号および位置センサから検出された位置ずれの検出信号に基づいて、訓練者の運動課題に対する運動感覚を評価する処理を行う。
本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムは、リハビリテーションを目的とした運動療法の訓練・評価、もしくはスポーツ選手や健康増進を目的とした筋力トレーニングのためにも利用できる。訓練者(生体)の側の出力(動作力)をモニタしながら負荷発生機構部の負荷力(モータ)を制御し、それに応じて運動抵抗を提示するようにも構成されているので、この機構を利用する。この場合においても、評価処理部により、運動目標値に対して実施者が出力した力と目標値とのずれから運動感覚機能を評価することができる。この体性感覚運動統合評価訓練システムにおいては、評価する運動動作としては、既存の運動形態、例えば、ペダリングや単関節筋力発揮などに適応することができるので、その場合においては、身体固定部、負荷発生機構部の構造をそれぞれの動作部位に対応した構造とする。
このように、本発明の体性感覚運動統合評価訓練システムは、身体運動機能を構成する一つである運動感覚機能を評価することができると共に、運動感覚機能が退行するのを予防し、治療するために好適に利用できる。このため、訓練者が楽しみながら運動を実施できる抵抗を提示して、運動感覚機能を評価するシステムが提供される。
本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムの全体の構成を説明する図 本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムのシステム構成および負荷発生機構部を示す図 体性感覚運動統合評価訓練システムの訓練パターンの一例を説明する図 評価処理部における処理の概略を説明する図 体性感覚運動統合評価訓練システムの訓練パターンの他の例を説明する図 体性感覚運動統合評価訓練システムの訓練パターンの別の例を説明する図 評価処理部における別の処理例を説明する図 評価処理部における別の処理例を説明する図 評価処理部における別の処理例を説明する図 運動負荷制御及び評価処理の制御系を説明する図
本発明に係る運動感覚統合評価運動システムを実施するための一形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムの全体の構成を説明する図であり、図2は、本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムの負荷発生機構部および制御システムの構成を示す図である。
図1において、10は訓練プログラム入力部、11はデータ処理装置、12は訓練者に課題を画面表示すると共に訓練者からの訓練開始等の指示をタッチパネルにより受け付ける入出力表示装置、13は訓練者に対して運動感覚訓練を行うための訓練課題の負荷を発生させると共に訓練者が出した動作力を検出するセンサ部が設けられた運動感覚訓練装置部である。14は訓練者を表している。また、図2において、1は身体固定部とする足置き板、2は負荷発生駆動部、3は位置センサ、4は力センサ、5は運動負荷制御部、6は評価処理部、7は表示装置である。1a、1bは身体固定部の足置き板に訓練者の動作部位の足を固定する固定具である。
体性感覚運動統合評価訓練システムは、図1に示すように、訓練プログラム入力部10、データ処理装置11、訓練者に課題を表示する表示装置12、運動感覚訓練装置部13から構成されている。データ処理装置11には、訓練プログラム入力部10により運動感覚の訓練を行う訓練者14の特性に対応した訓練プログラムが入力される。データ処理装置11は、訓練プログラム入力部10により入力され設定された訓練者に対する運動感覚訓練を行うための運動課題の訓練プログラムに従って、運動感覚訓練装置部13を制御して、訓練者に対応して運動課題とされた負荷を発生させる。
これに対して、訓練者14は運動感覚訓練装置部13の身体固定部の足置き板1に足を固定した状態で、足置き板1においた足を動かして訓練者が運動課題に対する運動感覚訓練のための動作力を発揮する。運動感覚訓練装置部13は、足置き板1の中央部に設けられたセンサ部(力センサ4)によって、訓練者14が動作部位において出した動作力を検出し、検出信号をデータ処理装置11の評価処理部6に入力する。その場合に、後述するように、足置き板1の位置ずれについてもセンサ部(位置センサ3)により検出されており、そのデータについても評価処理部6に入力される。データ処理装置11の評価処理部6では、入力されたセンサ部からの検出信号(動作力)と訓練者に与えた訓練課題(負荷力)により、訓練者14の運動感覚機能を評価する。また、このデータに基づいて運動感覚訓練装置部13の負荷力についても制御される。
詳細に説明すると、運動感覚訓練装置部13の構造は、図2に示すように、身体固定部となる足置き板1、負荷発生機構部2、位置センサ3、力センサ4、およびこれらを配置するハウジング部から構成されている。足置き板1は、訓練者の足を載せる水平移動可能な台部と当該台部上に載せた訓練者の足を固定する固定具1a、1bとから構成され、負荷発生駆動部2のギヤ・モータ機構により駆動される。これにより、例えば、椅座した訓練者14の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加えるように前記足置き板1に力が加えられる。
負荷発生機構部2による足置き板1の移動は、位置センサ3において台部の位置ずれとして検出される。位置センサ3により検出された位置ずれの検出信号は、評価処理部6に入力される。訓練者は、足置き板1に足を固定具1a、1bにより固定しており、負荷発生機構部2により力が加えられる足置き板1を移動させようとする力に抗して、体性感覚を感じながら動作力を発揮するので、この動作力の力を力センサ4により検出する。力センサ4により検出された力信号のデータは、評価処理部6に入力される。図示されていないが、それぞれのセンサからの信号は、アナログディジタル変換器を介してディジタル信号のディジタルデータとして、評価処理部6に入力される。なお、ここでの位置ずれを検出する位置センサ3は、具体的には、ずれ量を検出するために、リニアエンコーダを用いているが、カメラにより撮像した画像の処理により位置ずれ量を検出するものを用いるようにしても良い。
これにより、力センサ4により検出される力信号は、訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向の訓練者の動作力が検出され、評価処理部6は、力センサ4により検出された力信号および位置センサ3から検出された位置信号に基づいて訓練者の運動課題に対する運動感覚を評価する処理を行う。評価処理部6は、この評価処理として、例えば、運動課題に対して発揮した動作力と提示された力との差をとり、その誤差積分値などにより評価する処理を実行するが、詳細については後述する。
また、この場合、評価処理部6に入力された位置センサ3および力センサ4からの検出信号は、評価処理部6から運動負荷制御部5にも供給され、運動負荷制御部5は、負荷発生機構部2を制御する際に、力センサにより検出された力信号に応じて例えば椅座した訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加えるように制御する。
体性感覚運動統合評価訓練システムにおいては、訓練者のそれぞれの訓練プログラムにしたがって、表示装置7に訓練者に対する運動課題が提示される。また、訓練を行った後には、訓練の結果についても表示される。評価処理部6が、訓練者の運動感覚を評価した結果に基づいて前記表示装置に訓練者に対する課題と共に表示する。
運動負荷制御部5による制御は、表示装置7に提示した運動課題に対応して負荷発生機構部2が制御され、例えば椅座した訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に力が加えられて運動感覚の訓練が実行されることなるが、負荷発生機構部2から訓練者に対して与えられる運動負荷強度は、訓練者が最大に発揮できる筋力に対して調節可能となっている。0〜100%の範囲で調整される。運動負荷としては低強度の負荷が好ましい。
前述したように、訓練者の運動課題(運動感覚)の訓練では、負荷発生機構部2の駆動力により、身体固定具の足置き板1が膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向へ力を加えてくるので、訓練者が足置き板の押してきた力と同量と考える力を、足置き板を押し返す方向に発揮して、力の釣り合いを保つようにする。この場合に、訓練者には動作力を発揮して力をつり合わせるだけでなく、足置き板の位置が元の位置から極力移動しないように、足置き板を押し返す方向に動作力を発揮するように要求される。また、負荷発生機構部2から与えられる力は、一定周期のもとに強弱をつけて与えられるので、訓練者はどのような力を受けているかを注意深く感じながら、それに見合った力を出す。
訓練者が自己の感覚(運動感覚)に合う動作力を発揮すると、この動作力は力センサにより検出されて、検出された力信号が評価処理部に入力される。また、その際、位置センサが足置き板の台部の位置を検出しており、台部のずれを検出してその位置ずれの検出信号についても評価処理部に入力される。評価処理部は、力センサにより検出された力信号および位置センサから検出された位置信号に基づいて、訓練者の運動感覚を評価する処理を行う。
次に、評価処理部6における運動感覚訓練の評価処理について具体的に説明する。
(1)まず負荷の設定を行う。
運動課題の負荷として提示される力抵抗は、サイン曲線、ベル型曲線、台形曲線などのパターンとして示される。そして、力の大きさ、力を変化させる速度、力を加える方向、オフセット力などの細目を設定することにより、運動課題の負荷の設定を行う。負荷として提示される力抵抗のパターンは、例えば、図3に示すように、パターン曲線の振幅や周波数が変化し、負荷課題が決定される。波形パターンの別の例は、図4〜図6において示されている。例えば、サイン曲線、ベル型曲線が混合されたものであっても良い。図3には、ベル型曲線のパターンの一例が示されており、図4には台形曲線のパターンの一例が示されている。また、図5には、サイン曲線のパターンの一例が示されている。図6には、サイン曲線とベル型曲線を組み合わせたパターンの一例が示されている。
(2)次に負荷の提示を行う。
運動平衡課題の提示は、体性感覚運動統合評価訓練システムにより、次の2種類の方法により行われて、運動感覚に対する評価の処理が行われる。制御系の構成は図10に示されている。
(2−1)開回路制御による負荷の提示:
体性感覚運動統合評価訓練システムでは、予め設定された力抵抗の提示パターンに従って負荷発生機構部のモータの出力トルクを制御する。この場合は、予め装置の機械的特性はパラメータとしてプログラムに含まれていることが必要である。実際に訓練者が出力した力の値は、身体固定部位の変位(位置ずれ)から計算する。また、身体固定部に取り付けた力センサによりモニタする。
(2−2)閉回路制御による負荷の提示:
この場合には、予め設定した力抵抗の提示パターンに一致するように、力センサもしくは位置センサからのフィードバック信号に基づいて負荷発生機構部のモータ出力値を計算する。計算結果に応じてモータ出力の負荷の値を修正し、負荷発生機構部に制御信号を送る。実際に訓練者が出力した力の値は、身体固定部位の変位から計算する。また、身体固定部に取り付けた力センサによりモニタする。
(3)運動課題の実施(運動感覚の訓練):
力を変動させる負荷と位置を変動させる負荷の二つに大別できる。運動課題に基づいて与えられる抵抗提示に対して、二種類の応答のうちどちらかを実施する。一つ目の応答は、力を調節してできるだけ一定の位置を保つようにする方法である。二つ目の方法は、位置を調節して一定の力を保つようにする方法である。
(4)フィードバック信号の処理:
フィードバックされる信号は、位置センサのエンコーダからの位置情報と、力センサからの訓練者が発揮した力出力値である。二つの信号は、モータ出力の閉回路制御の演算、運動感覚の訓練を実施している最中の結果を表示するために利用され、また、評価に使用するための変数として保存される。
(5)体性感覚運動連関機能の評価:
図4には、訓練課題として台形に変化する訓練課題が与えられた際の運動訓練の様子を示している。目標課題の台形の負荷に対して訓練者が動作力を発揮してずれないようにして力を発揮している様子を示している。動作力の力センサの検出信号を上側に示し、位置センサによる位置ずれの検出信号を下側に示している。
(5−1)位置および力の目標値に対する実測値の差(誤差曲線)の単位時間当量(誤差)を評価値として用いる。図4の右上で示すように、目標値と実測値の差の誤差積分値が求められる。評価処理として、
(5−2)誤差曲線の標準偏差(図4の右下)が求められ、
(5−3)誤差曲線についての周波数分析が行われる。
また、周波数分析が行われる場合、図7に示すように、誤差曲線について高速フーリエ変換処理により周波数分析を行い、中間周波数の変化や、周波数帯域毎に算出したパワーの変化から評価する。また、別の評価処理として、図8に示すように、
(5−4)目標値と実測値の相互相関係数を求めようにしても良い。
これらの処理の実行中で、目標値、実測値および誤差曲線はリアルタイムに表示装置に表示し、フィードバック誤差学習がなされる。図9には、訓練の途中において表示装置に表示される波形図を示している。力実測値、力目標値、力誤差曲線がそれぞれ表示される。なお、図示されていないが、表示装置には、身体固定部の位置の表示とともに、その目標位置からのずれが2次元表示されるので、訓練者は、身体固定部の位置が目標位置と重なるように動作力を発揮するようにして訓練を行う。上記の説明では、力センサは身体固定部に取り付けられている実施例を説明しているが、力センサが設けられる位置は身体固定部でなく、例えば、力センサが負荷発生機構部のモータと直列に連結されていても、装置の構造に基づいて訓練者が動作により出力した動作力を計算で求められる。モータの出力について、位置変化とモータ出力との関係を表す係数をあらかじめ設定してモータを稼働しておけば(力=速度×粘性係数)、位置変化により力を計算することができる。
本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムは、リハビリテーションの運動療法理学療法に用いることができ、本発明による体性感覚運動統合評価訓練システムを臨床応用できれば、これまでは、理学療法の対象の症例が受けることのできなかった的確な運動感覚機能評価およびそのリハビリテーションが可能となり、効率的および効果的な運動機能回復が見込まれる。
また、臨床で理学療法の対象となっている症例において、これまでは不可能であった運動感覚機能評価を実施することでその機能障害を詳細に分析し、その結果に基づいて、効率的かつ効果的な運動感覚機能の向上を目指した理学療法が提供できる。
1 足置き板、
1a、1b 固定具
2 負荷発生駆動部、
3 位置センサ、
4 力センサ、
5 運動負荷制御部、
6 評価処理部、
7 表示装置
10 訓練プログラム入力部、
11 データ処理装置、
12 表示装置、
13 運動感覚訓練装置部、
14 訓練者、

Claims (6)

  1. 訓練者の動作部位を固定具により固定する身体固定部と、
    訓練者の動作部位に運動課題の所定量の力を加えるように前記身体固定部に力を加える負荷発生機構部と、
    前記身体固定部の初期位置からの位置ずれを位置信号として検出する位置センサと、
    訓練者の動作力を力信号として検出する力センサと、
    訓練者の運動課題に対応して前記負荷発生機構部を制御して訓練者の動作部位に対して前記身体固定部を介して加える力を発生させる制御部と、
    前記力センサにより検出された力信号および位置センサから検出された位置信号に基づいて訓練者の運動課題に対する運動感覚を評価する処理を行う評価処理部と、
    訓練者に対する運動課題を提示する表示装置を備え、
    前記制御部が、前記負荷発生機構部を制御して、運動課題とされる所定の訓練プログラムのパターンによる一定周期のもとに強弱をつけた力を、前記身体固定部を介して訓練者に対して運動感覚の評価のための力として提示し、
    前記力センサが、前記身体固定部を介して訓練者に対して提示された力に抗して訓練者が前記身体固定部の位置を調節して一定の力を保つことを運動課題とした場合に自己の運動感覚に合うとして発揮した動作力を検出し、検出した動作力の力信号を評価処理部に入力し、
    前記位置センサにより、前記身体固定部の位置ずれを検出し、検出した位置ずれの検出信号を評価処理部に入力し、
    前記評価処理部が、力センサにより検出された力信号および位置センサから検出された位置信号に基づいて、訓練者の運動課題に対する運動感覚の評価として、運動課題に対して発揮した動作力と提示された力との差をとり、その誤差積分値により評価する処理を実行し、
    前記表示装置は、前記発揮した動作力と提示された力を表示し、あわせて前記評価処理部での評価結果を表示する、
    ことを特徴とする体性感覚運動統合評価訓練システム。
  2. 請求項1に記載の体性感覚運動統合評価訓練システムにおいて、
    前記制御部は、前記表示装置に提示した課題に対応して前記負荷発生機構部を制御して訓練者の動作部位に対して前記身体固定部を介して加える力を発生させ、
    前記表示装置は、前記身体固定部の位置と目標位置を表示する
    ことを特徴とする体性感覚運動統合評価訓練システム。
  3. 請求項1に記載の体性感覚運動統合評価訓練システムにおいて、
    身体固定部は、水平移動可能な台部に訓練者の足を載せると共に前記台部上に載せた訓練者の足を固定具により固定する足置き板であり、
    前記負荷発生機構部は、訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加えるように前記足置き板に力を加える
    ことを特徴とする体性感覚運動統合評価訓練システム。
  4. 請求項1に記載の体性感覚運動統合評価訓練システムにおいて、
    身体固定部は、水平移動可能なペダルであり、
    前記負荷発生機構部は、横たわった状態の訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる所定量の力を加えるように前記ペダルに水平方向の力を加える
    ことを特徴とする体性感覚運動統合評価訓練システム。
  5. 請求項1に記載の体性感覚運動統合評価訓練システムにおいて、
    身体固定部は、回転運動するクランクシャフトに訓練者の足を固定するペダルであり、
    前記負荷発生機構部は、前記ペダルの回転運動により訓練者の膝関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加える
    ことを特徴とする体性感覚運動統合評価訓練システム。
  6. 請求項1に記載の体性感覚運動統合評価訓練システムにおいて、
    身体固定部は、回転運動するクランクシャフトを訓練者が握持する握り部であり、
    前記負荷発生機構部は、前記握り部の回転運動により訓練者の肘関節を屈曲もしくは伸展させる方向に所定量の力を加える
    ことを特徴とする体性感覚運動統合評価訓練システム。
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