JP5269621B2 - 酸素イオン伝導モジュールおよび導電性接合材 - Google Patents
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Description
また、上記のようなインターコネクタは、SOFCが上記のような高温域で動作することを考慮し、かかる高温下での酸化還元雰囲気における化学耐久性や導電性が高く、固体電解質材料と類似の熱膨張係数を有する等の性質を具備した材料から形成されることが好ましい。このようなインターコネクタ材料として、金属材料(例えば耐熱合金やAg(銀)系コンポジット等)またはセラミック材料が提案されている。かかるセラミック材料としては、特許文献1〜9に示されるように、種々のペロブスカイト型酸化物材料が提案されている。例えば、La1−pApCrO3(ここで、AはMg,Ca,Sr,Baからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、0≦p<1である。)等のランタンクロマイト(LaCrO3)系のペロブスカイト型酸化物、あるいはそのBサイトを他の元素(例えばSi,Ti,Co,NiあるいはZr)で一部置換(ドープ)したペロブスカイト型酸化物、さらにはMTiO3(ここで、MはLi,Ca,Cu,Sr,Ba,La,Ce,Pb,Biからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)等のチタネート系のペロブスカイト型酸化物等が例示される。
また、上記固体電解質とインターコネクタとの接合材料としては、かかる固体電解質材料およびインターコネクタ材料と類似の熱膨張係数を有し、SOFCの作動温度以上でも高い気密性を有して接合(シール)できる材料が好ましい。例えば、特許文献10〜16に示されるように、安定化ジルコニアとガラスの混合物、固体電解質材料とインターコネクタ材料との混合物、ガラスと金属の混合物が提案されている。
(a).クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶がガラスマトリックス中に析出していることを特徴とするガラス;および
(b).前記接合部を電子伝導経路として機能させ得る導電性物質として、少なくとも一種の金属元素を有する金属酸化物等の金属化合物(無機化合物);
が混在して形成されている。
本発明に係る酸素イオン伝導モジュールでは、酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との接合部が、(a)ガラスマトリックス中にクリストバライト結晶(SiO2)および/またはリューサイト結晶(KAlSi2O6)とが析出しているガラス(以下、「結晶含有ガラス」という。)と、(b)少なくとも一種の金属元素を有する導電性物質の二つの成分の混在により形成されている。かかる接合部が上記構成成分(a)を含む(例えばガラスマトリックス中に上記クリストバライトおよび/またはリューサイトの微細結晶が分散状態で析出される)ことにより、800℃以上の温度域、例えば800℃〜1000℃の温度領域で流動し難い。したがって、かかる酸素イオン伝導モジュールによると、該モジュールの使用温度が上記温度領域に到達しても、酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との接合部が溶出する虞はなく、機械的強度が向上した接合部を実現することができる。
SiO2 60〜75質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
Na2O 3〜10質量%;
K2O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
から実質的に構成されている。
かかる組成の結晶含有ガラスが混在する接合部は、接合対象の酸素イオン伝導性セラミック材および接続部材の熱膨張率(熱膨張係数)に近似した熱膨張率を有する。このため、ここで開示される上記構成の酸素イオン伝導モジュールを、高温域(例えば800℃〜1000℃)で繰り返し使用し、該使用温度域と非使用時の温度(常温)との間で昇温と降温とを繰り返しても、上記酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との接合部(シール部)からのガスのリークを防止し、長期にわたり高い気密性を保持することができる。したがって、かかる構成の酸素イオン伝導モジュールは、優れた耐熱性および耐久性を実現することができる。
かかる構成の酸素イオン伝導モジュールでは、上記導電性物質として、上述のような金属元素を含む金属酸化物等の金属化合物(無機化合物)が導電性を有する状態で上記接合部に混在していることにより、かかる導電性物質は、上記高温域においても、混在する結晶含有ガラスとの反応性が低く、また該高温域でも良好な導電性を有する。したがって、かかる酸素イオン伝導モジュールによると、上記酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との接合部は上記高温域においても変質することなく優れた耐熱性および耐久性(長期にわたる気密性)を実現するとともに、該接合部において優れた電子伝導路として上記酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との間で良好な導通をとることができる。
すなわち、SOFCとして機能する酸素イオン伝導モジュールでは、上記酸素イオン伝導性セラミック材は、ジルコニア系(例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ))固体電解質である。上記セラミック製接続部材は、ペロブスカイト型酸化物(例えばランタン(La)、またはクロム(Cr)の一部がアルカリ土類金属で置換された、または置換されていないランタンクロマイト系酸化物)から成るインターコネクタである。さらに、上記酸素イオン伝導性セラミック材と上記接続部材とを接合する導電性接合材は、上記インターコネクタとして作用することを特徴とする。
かかる機能を備えた酸素イオン伝導モジュールでは、上記SOFCの好適使用温度域である800℃〜1200℃(好ましくは800℃〜1000℃)の高温域において、固体電解質としての上記酸素イオン伝導性セラミック材とインターコネクタとしての接続部材との接合部は、上述したような耐熱性および耐久性に加えて優れた導電性を有し、上記インターコネクタ(の一部)として作用する。したがって、かかる酸素イオン伝導モジュールによると、接合する箇所や接合面積を制限することなく上記接合部を形成して、上記耐熱性、耐久性および導電性に優れた好適なSOFCを提供することができる。
かかる導電率を有する接合部を備えることにより、900℃程度の高温域で使用しても良好な導電性を呈する酸素イオン伝導モジュールを提供することができる。
かかる熱膨張係数(一般的な示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜ガラスの軟化点以下の温度(例えば450℃)の間の平均値)は、例えばYSZ等のジルコニア系材料から成る酸素イオン伝導性セラミック材およびペロブスカイト型酸化物(例えばランタンクロマイト系酸化物)から成る接続部材の熱膨張係数と近似する。これにより、接合部(シール部)の耐熱性、耐久性および導電性に優れる酸素イオン伝導モジュールを提供することができる。
(a)酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 60〜75質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
Na2O 3〜10質量%;
K2O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
から実質的に構成されたガラスであって該ガラスのマトリックス中にクリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶が析出しているガラス;および
(b).少なくとも一種の金属元素を有する導電性物質
が混在して形成されている。
ここで、かかる導電性接合材の好適な一態様では、上記(a)成分および(b)成分を含む接合材原料を主成分として含むペースト状(スラリー状ともいう。)の接合材(シール材)として提供される。
かかる構成の接合材を使用することにより、上述のような良好な導電性を有した状態で上記酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材とを接合することができるとともに、機械的強度、耐熱性および耐久性に優れた上記接合部を備えた酸素イオン伝導モジュールを提供することができる。
かかる構成の導電性接合材では、上記のような金属を含む物質(化合物)が導電性を有した状態で上記結晶含有ガラスに混在していることにより、上記高温域においても上記結晶含有ガラス(上記構成成分(a))と反応性が低く、良好な導電性を有した状態で上記酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材とを接合することができる。このことにより、上記高温域において上記接合部を優れた電子伝導路として備える好適な酸素イオン伝導モジュールを提供することができる。特に銅(Cu)またはコバルト(Co)を金属成分として含む化合物であることが好ましい。
かかる組成の導電性接合材は、接合性能と導電性能の両立を図ることができる。このことにより、かかる態様では、接合性能に加えて導電性の向上した接合部を備えたより好適な酸素イオン伝導モジュールを提供することができる。
すなわち、本発明により提供される方法は、ここで開示されるいずれかの導電性接合材導電性接合材を用意し、該接合材を上記酸素イオン伝導性セラミック材と上記接続部材との接続部分に塗布すること、そして、該塗布された導電性接合材を、1000℃以上の温度域で焼成することによって、上記酸素イオン伝導性セラミック材と上記接続部材との上記接続部分において該導電性接合材から成るガス流通を遮断する接合部を形成すること、を包含する。
かかる構成の方法では、上記接続部分に塗布された上記導電性接合材を1000℃以上の高温域で焼成することによって、上述したような効果を奏する酸素イオン伝導モジュールを提供することができる。
したがって、本発明は他の側面として、ここで開示される導電性接合材を使用して酸素イオン伝導性セラミック材(例えばジルコニア系材料)と、少なくとも一つのセラミック(例えばランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物)製の接続部材とを、上記接合方法により接合することを特徴とする酸素イオン伝導モジュールの製造方法を提供する。ここで、上記導電性接合材の焼成温度は、酸素イオン伝導モジュールの使用温度域(例えば800℃〜1000℃)以上であることが好ましい。
酸素分離装置やSOFC等に代表される酸素イオン伝導モジュールを比較的高温域、例えば800〜1200℃、好ましくは800〜1000℃(例えば900〜1000℃)で使用する場合、かかる構成成分(a)として、当該高温域で溶融し難い組成のガラスが好ましい。この場合、ガラスの融点(軟化点)を上昇させる成分の添加または増加により、所望する高融点(高軟化点)を実現することができる。
このような構成成分(a)は、必須構成成分としてSiO2、Al2O3、K2Oを含む酸化物ガラスが好ましい。これら必須成分のほか、目的に応じて種々の成分(典型的には種々の酸化物成分)を付加的に含むことができる。
また、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶の析出量は、ガラス組成物中の上記必須構成成分の含有率(組成率)によって適宜調整することができる。
特に限定されないが、ガラス成分全体(クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶部分を含む)の酸化物換算の質量比で、SiO2:60〜75質量%、Al2O3:10〜20質量%、Na2O:3〜10質量%、K2O:5〜15質量%、MgO:0〜3質量%、およびCaO:0〜3質量%(好ましくは0.1〜3質量%)であるものが好ましい。
好ましくは、酸素イオン伝導モジュールにおける酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との接合部を構成するガラスの熱膨張係数が、該酸素イオン伝導性セラミック材および接続部材の熱膨張係数に近似するように上述の各成分を調合して結晶含有ガラス(構成成分(a))を調製する。例えば酸素イオン伝導性セラミック材がYSZ等のジルコニア系材料であり、接続部材がランタンクロマイト系酸化物等のペロブスカイト型酸化物である場合には、これらの熱膨張係数に近似させて、形成される接合部の熱膨張係数(示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜ガラスの軟化点以下の温度(例えば450℃)の間の平均値)が9×10−6/K〜14×10−6/Kとなるように組成を調整して上記結晶含有ガラスを調製すればよい。
かかる構成成分(b)である導電性物質は、上記酸素イオン伝導モジュールの使用温度域(800℃〜1200℃)下で上記結晶含有ガラスと反応しにくく、また、かかる温度域下で導電性を有するもの(すなわち、かかる温度域下で導電性を有する状態で存在し得るもの)が好ましい。このような導電性物質としては、例えば、Cu、Co、Fe、Ni、Cr、Ir、Sn、Nb等の金属元素(一種または二種以上)を含む金属化合物(一種または二種以上であってもよい。)が挙げられる。上記例示したもののうち、より好ましい金属成分(金属元素)はCuまたはCoである。
また、かかる導電性物質の含有率は、接合材に求められる接合能力(すなわち上記ガラス成分の含有率に依存する。)が具備される限りにおいて特に制限はないが、導電性物質を構成する金属元素の酸化物換算において、導電性接合材全体の質量を100質量%としたときの10質量%〜90質量%程度が好ましい。例えば、このような含有率で導電性物質を含む接合材によると、好適には、導電率が900℃の温度条件下で0.01S/cm〜1.5S/cmとなるような接合部を形成することができる。
得られた混和物(粉末)は、乾燥後、耐火性の坩堝に入れ、適当な高温(典型的には1000℃〜1500℃)条件下で加熱・溶融させる。
こうして得られたリューサイト含有ガラスは、種々の方法で所望する形態に成形することができる。例えば、ボールミルで粉砕したり、適宜篩いがけしたりすることによって、所望する平均粒径(例えば0.1μm〜10μm)の粉末状ガラス組成物(構成成分(a))を得ることができる。
このようにして得られた粉末状体の導電性接合材は、従来の接合材と同様に、典型的にはペースト状に調製されて、酸素イオン伝導性セラミック材と接続部材との接続部分に塗布することができる。例えば、得られた上記導電性接合材に適当なバインダーや溶媒を混合してペーストを調製することができる。なお、ペーストに用いられるバインダー、溶媒および他の成分(例えば分散剤)は、特に限定されるものではなく、ペースト製造において従来公知のものから適宜選択して用いることができる。
例えば、バインダーの好適例としてセルロースまたはその誘導体が挙げられる。具体的には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの塩が挙げられる。バインダーは、ペースト全体の5〜20質量%の範囲で含まれることが好ましい。
かかるSOFCは、ジルコニア系固体電解質(酸素イオン伝導性セラミック材)とランタンクロマイト系酸化物から成るインターコネクタ(接続部材)との間の接合部(シール部)が上記結晶含有ガラスと上記導電性物質との混在により形成されていることで特徴づけられる。かかる以外の構成部分、例えば燃料極(アノード)や、空気極(カソード)の形状や組成は、種々の基準に照らして任意に決定することができる。
かかるランタンクロマイト系酸化物は、一般式:La(1−x)Ma(x)Cr(1−y)Mb(y)O3で表され、式中のMaおよびMbは同一かまたは相互に異なる1種または2種以上のアルカリ土類金属であり、xおよびyはそれぞれ0≦x<1、0≦y<1である。すなわち、かかるランタンクロマイト系酸化物は、ランタン、またはクロムの一部がアルカリ土類金属で置換されたものであってもよい。好適例として、LaCrO3、あるいはMaまたはMbがカルシウム(Ca)である酸化物(ランタンカルシアクロマイト)、例えばLa0.8Ca0.2CrO3が挙げられる。なお、上記一般式において酸素原子数は3であるように表示されているが、実際には組成比において酸素原子の数は3以下(典型的には3未満)であり得る。
例えば、所定の材料(例えば平均粒径0.1〜10μm程度のYSZ粉末、メチルセルロース等のバインダー、水等の溶媒)から成る成形材料を用いて押出成形等によって成形されたYSZ成形体を大気条件下で適当な温度域(例えば1300〜1600℃)で焼成し、所定形状(例えば板状または管状)の固体電解質を作製する。
その固体電解質の一方の表面に、所定の材料(例えば平均粒径0.1μm〜10μm程度の上記ペロブスカイト型酸化物粉末、メチルセルロース等のバインダー、水等の溶媒)から成る空気極形成用スラリーを塗布し、大気条件下、適当な温度域(例えば1300〜1500℃)で焼成することにより、多孔質の膜状空気極を形成する。
次いで、固体電解質の他方の表面(空気極を形成していない表面)上に、適当な方法により、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等を用いて燃料極を形成する。例えば、プラズマによって溶融した原料粉体を固体電解質表面に吹き付けることにより上記サーメット材料から成る多孔質の膜状燃料極を形成する。
なお、ここで開示されるSOFCは、SOFCを構成する単セル(例えば予め固体電解質と接合された状態のインターコネクタを含む形態の単セル構成ユニット)、あるいはSOFCを構成する単セル(典型的にはインターコネクタを含まない構成の単セル)と該単セルを構成する固体電解質と接合した状態のインターコネクタとをそれぞれ複数積層した形態のSOFCスタックを包含し得る。
3〜8mol%Y安定化ジルコニア粉末(平均粒径:約1μm)に一般的なバインダー(ここではポリビニルアルコール(PVA)を使用した。)、および溶媒(ここでは水)を添加して混練した。次いで、この混練物を用いてプレス成形を行い、縦30mm×横30mm×厚み3mm程度の板形状の成形体を得た。そして、この成形体を大気中において1400〜1600℃(ここでは最高焼成温度:約1400℃)で焼成した。焼成後、焼成物の表面を研磨し、所望の外形寸法(縦30mm×横30mm×厚み1mm)のYSZから成る薄板状固体電解質32(図2)を作製した。
La0.8Ca0.2CrO3粉末(平均粒径:約1μm)に一般的なバインダー(ここではポリビニルアルコール(PVA)を使用した。)、および溶媒(ここでは水)を添加して混練した。次いで、この混練物を用いてプレス成形を行い、縦30mm×横30mm×厚み3mm程度の板形状の成形体を得た。そして、この成形体を大気中において1400〜1600℃(ここでは最高焼成温度:約1400℃)で焼成した。焼成後、焼成物の表面を研磨し、所望の外形寸法(縦30mm×横30mm×厚み1mm)のランタンカルシアクロマイトから成る薄板状部材38(図2)を作製した。
平均粒径が約1〜10μmであるSiO2粉末、Al2O3粉末、Na2CO3粉末、K2CO3粉末、MgCO3粉末、CaCO3粉末を、それぞれ以下の配合比、すなわち酸化物換算でSiO2;60〜75質量%、Al2O3;10〜20質量%、Na2O;3〜10質量%、K2O3;5〜15質量%、MgO;0〜3質量%;、CaO;0〜3質量%で混合し、構成成分(a)の結晶含有ガラスの原料粉末を調製した。
次いで、原料粉末を1000〜1500℃の温度域(ここでは1450℃)で溶融してガラスを形成した。その後、ガラスを粉砕し、800〜1000℃の温度域(ここでは850℃)で30分〜60分間の結晶化熱処理を行った。これにより、ガラスマトリックス中に分散するようにクリストバライト結晶および/またはリューサイトの結晶が析出した。その後、得られた結晶含有ガラスを粉砕し、分級を行って、平均粒径約2μmの粉末状の結晶含有ガラスを得た。
上記13種類のペーストをそれぞれ接合材として用いて接合処理を行った。具体的には、図2に示すように、上記作製した薄板状固体電解質32と同形の薄板状セパレータ相当部材38の対向する二つの側方部に上記ペースト状接合材40を塗布して張り合わせた。そして80℃で乾燥後、大気中で1000〜1100℃の温度域(ここでは1050℃)で1時間焼成した。
結果、何れのサンプルのペーストを用いた場合も当該接合材の流出を生じることなく焼成が完了し、張り合わされた両部材32,38間の対向する一対の側方部に接合部40が形成された供試体(接合体)30を得た(図2)。
ここで、上記サンプル1〜11については、室温冷却後に接合部40の溶出は認められなかった。
ここで、サンプル1〜10のペーストを使用して得られる接合部の熱膨張係数(ただし、示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜450℃の間の平均値))は、いずれも9×10−6/K〜14×10−6/Kの範囲内であった。なお、ここで使用したYSZ固体電解質の同条件での熱膨張係数は10.2×10−6/Kであった。また、ここで使用した上記ランタンカルシアクロマイトから成る薄板状インターコネクタ相当部材の同条件での熱膨張係数は9.7×10−6/Kであった。
次に、上記構築した計13種類(サンプル1〜13)の供試体(接合体)30について、接合部40からのガスリークの有無を確認するリーク試験を行った。具体的には、供試体(接合体)30の接合部40が形成されていない開口部にエポキシ樹脂でガス配管(図示せず)を封着した。そして当該ガス配管から供試体30の両部材32,38間の中空部35に空気を0.2MPa加圧した条件で供給し、その状態で供試体30を水中に沈め、水中でバブル発生の有無を目視で調べた。
この結果、ガラス成分としての結晶含有ガラスと導電性物質から構成されるサンプル1〜10、および結晶含有ガラスのみから成るサンプル11については、ガス(空気)のリークは全く観察されなかった。他方、ガラス成分としてパイレックスガラスを含有するサンプル12および13については、接合部40表面からのバブル発生、すなわち、ガス(空気)のリークが認められた。
次に、粉末状の上記サンプル1〜13をそれぞれ直径3mm×高さ20mmの円柱状にプレス成形し、これらを900℃〜1100℃で焼成して各サンプル1〜13に対応する焼成体を13種類作製した。まず、上記サンプル1の表面に電極となる白金ペーストを塗布した後、該電極部分に電流端子および電圧端子を接続するための白金線を取り付けて850〜1100℃で10〜60分間焼き付け、任意の温度に調整可能な装置内で、直流四端子法で導電率[S/cm]を求めた。サンプル2〜13における導電率についても、上記と同様にして求めた。一定の温度条件(900℃)下における導電率の測定結果を表1に示す。
この結果、導電性物質が含まれるサンプル1〜10およびサンプル12、13は、いずれも導電性が認められた。また、サンプル1〜10については、酸化銅または酸化コバルトの含有率が大きくなるにつれて導電率も上昇することが確認された。この結果より、導電性物質の含有率が低い導電性接合材を用いる場合には、導電率の大きさに応じて接合部40の厚みを任意に変更し、セルの発電抵抗に悪影響を及ぼさない程度に導電率を調整することにより、好適に使用することができる。
4 燃料ガス流路
10 SOFC
12 固体電解質
14 空気極
16 燃料極
18A,18B セパレータ
20 接合材(接合部)
30 接合体(供試体)
32 固体電解質
35 中空部
38 セパレータ相当部材
40 接合材(接合部)
Claims (8)
- 酸素イオン伝導性を有するセラミック材を備える酸素イオン伝導モジュールであって、
前記酸素イオン伝導性セラミック材は、少なくとも一つのセラミック製接続部材に接合しており、
前記酸素イオン伝導性セラミック材と前記接続部材との接合部は、以下の二つの成分:
(a).クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶がガラスマトリックス中に析出していることを特徴とするガラス;および
(b).前記接合部を電子伝導経路として機能させ得る導電性物質としてCu、Co、Fe、Ni、Cr、Ir、Sn、およびNbからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を有する導電性金属酸化物;
が混在して形成されており、
前記導電性金属酸化物の含有率は、前記金属元素の酸化物換算で、前記ガラスおよび導電性金属酸化物の総量を100質量%として10質量%〜90質量%である、酸素イオン伝導モジュール。 - 前記接合部に混在するガラスは、
酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 60〜75質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
Na2O 3〜10質量%;
K2O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
から実質的に構成されている、請求項1に記載の酸素イオン伝導モジュール。 - 前記接合部の900℃の温度条件下での導電率が0.01S/cm〜1.5S/cmである、請求項1又は2に記載の酸素イオン伝導モジュール。
- 前記接合部の熱膨張係数が9×10−6/K〜14×10−6/Kである、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素イオン伝導モジュール。
- 酸素イオン伝導モジュールを構成する酸素イオン伝導性セラミック材と少なくとも一つのセラミック製接続部材とを接合するための導電性接合材であって、以下の二つの成分:
(a).酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 60〜75質量%;
Al2O3 10〜20質量%;
Na2O 3〜10質量%;
K2O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
から実質的に構成されたガラスであって該ガラスのマトリックス中にクリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶が析出しているガラス;および
(b).前記酸素イオン伝導性セラミック材と前記セラミック製接続部材との接合部を電子伝導経路として機能させ得る導電性物質としてCu、Co、Fe、Ni、Cr、Ir、Sn、およびNbからなる群から選択される少なくとも一種の金属元素を有する導電性金属酸化物
が混在して形成されており、
前記導電性物質の含有率は、前記金属元素の酸化物換算で、導電性接合材の総量を100質量%として10質量%〜90質量%である、導電性接合材。 - 前記導電性物質は、CuまたはCoを金属元素として含む導電性金属酸化物である、請求項5に記載の導電性接合材。
- 酸素イオン伝導モジュールを構成する酸素イオン伝導性セラミック材と少なくとも一つのセラミック製接続部材とを接合する方法であって、
請求項5又は6に記載の導電性接合材を用意し、該接合材を前記酸素イオン伝導性セラミック材と前記接続部材との接続部分に塗布すること、
前記塗布された導電性接合材を、1000℃以上の温度域で焼成することによって、前記酸素イオン伝導性セラミック材と前記接続部材との前記接続部分において該導電性接合材から成るガス流通を遮断する接合部を形成すること、
を包含する、方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素イオン伝導モジュールであって、
前記酸素イオン伝導性セラミック材は、ジルコニア系固体電解質であり、
前記セラミック製接続部材は、ペロブスカイト型酸化物から成るインターコネクタであり、
前記酸素イオン伝導性セラミック材と前記接続部材とを接合する導電性接合材は、前記インターコネクタとして作用することを特徴とする、固体酸化物形燃料電池として機能する酸素イオン伝導モジュール。
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