JP5285437B2 - 抗hmgb−1抗体を含む臓器移植拒絶抑制剤 - Google Patents
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Description
(1)抗ハイモビリティーグループボックスプロテイン1 (HMGB-1) 抗体を含む臓器移植拒絶抑制剤。
(2)臓器移植が膵島移植である、上記(1)に記載の臓器移植拒絶抑制剤。
(3)膵島移植が、糖尿病患者に対して行われるものである、上記(2)に記載の臓器移植拒絶抑制剤。
(4)抗HMGB-1抗体が、ハイモビリティーグループボックスプロテイン2 (HMGB-2) よりもHMGB-1に強く結合することを特徴とする、上記(1)から(3)いずれかに記載の臓器移植拒絶抑制剤。
(5)抗HMGB-1抗体が、HMGB-2に結合しないことを特徴とする、上記(1)から(3)いずれかに記載の臓器移植拒絶抑制剤。
(6)抗HMGB-1抗体が、配列番号:1の部分ペプチドを認識することを特徴とする、上記(1)から(5)いずれかに記載の臓器移植拒絶抑制剤。
(7)抗HMGB-1抗体を含む臓器保存剤。
(8)抗HMGB-1抗体を含む移植臓器の生着促進用組成物。
(9)抗HMGB-1抗体を含む溶液を用いて臓器を保存する方法。
(10)抗HMGB-1抗体を含む溶液を用いて移植臓器の生着を促進する方法。
(11)以下の工程を含む臓器の保存方法、
(a) 抗HMGB-1抗体を含む保存液を調製する工程、
(b) (a)で調製された保存液に臓器を接触させる工程。
(12)以下の工程を含む移植臓器の生着を促進する方法、
(a) 抗HMGB-1抗体を含む溶液を調製する工程、
(b) (a)で調製された溶液と移植臓器を接触させる工程。
ポリクローナル抗体・抗血清
HMGB-1に対するポリクローナル抗体又は抗血清の取得は、以下の操作により取得することができる。
まず、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を哺乳動物(マウス、ウサギ、ラット、ヒツジ、ヤギ、ウマ等)又は鳥類等に免疫する。HMGB-1の場合、1)動物を免疫すること自体が、免疫動物において強い炎症を引き起こし、血液中にHMGB-1を誘導すること、及び、2)HMGB-1の種間のホモロジーが非常に高く、誘導された抗HMGB-1抗体が炎症で誘導されてきたHMGB-1に吸収されてしまい、最終的に得られる抗血清中の目的とするHMGB-1との親和性が高い抗体が減り、親和性の弱い抗体ばかりが残ってしまうこと、等を考慮するとニワトリ等の鳥類を免疫動物として用いることが好ましい。ニワトリHMBG-1は、ヒトHMGB-1とのホモロジーが低いため(アミノ酸配列において76%の相同性)、ヒトHMGB-1に対する抗体の取得を目的とする場合、上記現象を回避することができる。
モノクローナル抗体は、ケーラーらの細胞融合法(Koehler G et al., Nature (1975) 256: 495-7)によるハイブリドーマ、又はエプスタン−バーウイルス等のウイルスによる腫瘍化細胞等の抗体産生細胞により得ることができる。
例えば、細胞融合法によるモノクローナル抗体の調製は、以下の操作により行うことができる。
まず、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を、哺乳動物(マウス、ヌードマウス、ラットなど、例えば近交系マウスのBALB/c)又は鳥類(ニワトリなど)等に免疫する。この前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物の免疫量は、免疫動物の種類、免疫注射部位等により適宜決められるものであるが、例えば、マウスの場合には一匹当り一回につき0.1μg〜5mg、ニワトリの場合は一羽当り一回につき0.1μg〜数十mgの前記の免疫原又は前記の免疫原と担体の結合物を注射するのが好ましい。なお、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントを添加混合して注射することが好ましい。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント又は百日咳菌アジュバント等の公知なものを用いることができる。注射は、皮下(腹部皮下、背部皮下、フットパット等)、静脈内、腹腔内等に行えばよい。
本発明で使用される抗HMGB-1抗体は、HMGB-1に結合し、臓器移植拒絶抑制の効果を有するものである限り、抗体断片又は抗体修飾物であってもよい。抗体断片としては、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、ダイアボディ(diabody;Db)、線状抗体、一本鎖抗体(以下、scFvとも記載する)分子等が含まれる。「Fv」断片は、最小の抗体断片であり、完全な抗原認識部位と結合部位を含む。「Fv」断片は、1つの重(H)鎖可変領域(VH)及び軽(L)鎖可変領域(VL)が、非共有結合により強く連結されたダイマー(VH-VLダイマー)である。各可変領域の3つの相補性決定領域(complementarity determining region;CDR)が相互作用し、VH-VLダイマーの表面に抗原結合部位が形成される。6つのCDRにより、抗体の抗原結合部位が形成されている。しかしながら、1つの可変領域(又は、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、全結合部位よりも親和性は低くなるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。従って、そのような1つの可変領域若しくはCDRのみを含む断片、3つのCDRのみを含むFvの半分も、HMGB-1に結合し、臓器移植拒絶抑制の効果を有するものである限り、本発明において使用することができる。
(1) 前記抗体のH鎖または、H鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖または、L鎖V領域をコードするDNAを鋳型とし、それらの配列のうちの所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅する。
(2) 次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNAおよびその両端を各々H鎖、L鎖と連結させるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅する。
また一旦scFVをコードするDNAが作製されれば、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いて常法に従って、scFVを得ることができる。
抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込み作製された発現ベクターを宿主に導入する遺伝子組み換え技術により、本発明で使用される抗体を組換え型の抗体として作製することも可能である(例えば、Vandamme et al., Eur J Biochem (1990) 192: 767-75参照)。具体的には、最初に、所望の抗体を産生するハイブリドーマから、mRNAを調製する。公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin et al., Biochemistry (1979) 18: 5294-9)、AGPC法(Chomczynski et al., Anal Biochem (1987)162: 156-9)等により、抗体を産生する脾臓細胞から全RNAを調製した後、mRNA Purification Kit (Pharmacia)等を使用して、mRNAを調製することができる。また、QuickPrep mRNA Purification Kit (Pharmacia)を用いることにより、全RNAを調製することなしに、mRNAのみを直接調製することもできる。次に、得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit (生化学工業)等を用いて行うことができる。また、cDNAの合成及び増幅は、5’-Ampli FINDER RACE Kit (Clontech)を用い、PCRを利用した5’-RACE法(Frohman et al., Proc Natl Acad Sci USA (1988) 85: 8998-9002; Belyavsky et al., Nucleic Acids Res (1989) 17: 2919-32)等により行うことができる。例えば、可変領域付近に対応するプライマーを用いて、RT-PCRにてL鎖、H鎖可変領域(VL、VH)のcDNAを増幅し、回収する。プライマーとしては、CDRに対応するプライマー、CDRよりも多様性の低いフレームワークに対応するプライマー、あるいはシグナル配列とCH1若しくはL鎖定常領域(CL)に対応するプライマーを用いることができる。続いて、得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAに連結することにより組換えベクターを作製する。該組換えベクターを大腸菌等の宿主細胞に導入し、形質転換された細胞のコロニーを選択する。得られた細胞を培養することにより、所望の組換え抗体を作製することができる。必要に応じ、目的とする抗体をコードする遺伝子の塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチド法等により確認する。
また、上記で得られた抗体V領域をコードするDNAを、所望の抗体定常領域 (C領域)をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込むこともできる。発現ベクターは、発現制御領域、例えば、エンハンサー及びプロモーターを含み、本発明の製剤において使用される抗体のDNAは、該領域の制御により発現されるように組み込まれる。この発現ベクターを用い、適当な宿主細胞を形質転換することにより、所望の分子型の抗体を発現させ、これを得ることができる。
本発明で使用される抗体は、ニワトリ抗体、マウス抗体、ラット抗体等、その由来は限定されないが、ヒトへの投与を目的とした場合、ヒト化抗体又はヒト抗体が好ましい。ヒト抗体の取得方法は既に知られており、例えば、ヒト抗体遺伝子の全てまたは一部のレパートリーを有するトランスジェニック動物を目的の抗原で免疫することで、目的のヒト抗体を取得することができる(WO93/12227, WO92/03918,WO94/02602, WO94/25585,WO96/34096, WO96/33735参照)。
本発明で使用される抗体は、上述のようにして得られた抗体のアミノ酸配列を置換、欠失、付加及び/または挿入等により改変されたものも含まれる。アミノ酸配列の改変は、公知の方法により行うことができる。アミノ酸の置換、欠失、付加及び/または挿入等により改変された抗体は改変前の抗体と同様の活性を有していることが好ましい。
さらに、本発明で使用される抗体には、抗体修飾物が含まれる。抗体修飾物としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を挙げることができる。本発明の抑制剤において使用される抗体修飾物においては、結合される物質は限定されない。抗体を安定化するため、その結合能を高めるため等、様々な目的で抗体の修飾を行うことができる。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野において既に確立されている。
構築された抗体遺伝子を公知の方法により発現させ、抗体を取得することができる。哺乳類細胞の場合、常用される有用なプロモーター/エンハンサー、発現させる抗体遺伝子、及びその3’側下流にポリAシグナルを機能的に結合させたDNAを含む発現ベクターにて、抗体遺伝子を発現させることができる。例えば、プロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウイルス前期プロモーター/エンハンサーが挙げられる。また、それ以外にも、レトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、シミアンウイルス40(SV40)などのウイルスプロモーター/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター−1αなどの哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサーを用いることができる。例えば、SV40プロモーター/エンハンサーを使用する場合には、Mullingらの方法 (Mulling RC et al., Nature (1979) 277: 108-14)に従えば、容易に抗体遺伝子を発現することができる。ヒトエロンゲーションファクター−1αを用いる場合には、Mizushimaの方法 (Mizushima, Nucleic Acids Res (1990) 18: 5322) に従えば、容易に抗体遺伝子を発現することができる。大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、抗体分泌のためのシグナル配列、発現させる抗体遺伝子を機能的に結合させたDNAを含む発現ベクターにて、抗体遺伝子を発現させることができる。例えば、プロモーターとしてLacZプロモーター、araBプロモーターが挙げられる。
上述のように、ハイブリドーマ培養・増殖または遺伝子組換えにより得られた抗体は、均一になるまで精製することができる。抗体の分離、精製は、通常の蛋白質で使用されている分離、精製方法を使用すればよい。例えば、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウム等による塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組合せれば、抗体を分離、精製することができる(Antibodies : A Laboratory Manual. Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)が、これらに限定されるものではない。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラム、プロテインLカラム等が挙げられる。
本発明は、抗HMGB-1抗体を有効成分として含有する臓器移植拒絶抑制剤を提供する。本発明の抑制剤において使用される抗体を含む抑制剤は、臓器移植時、特に糖尿病患者に対して行われる膵島移植時に生じる移植片拒絶反応を抑制する効果を有するものと期待される。
本発明の臓器保存剤により保存される臓器は特に限定されず、如何なる臓器であってもよいが、例えば、膵島移植の際に用いられる膵島を挙げることができる。
本発明の臓器保存剤に含有される抗HMG-1抗体の量は特に限定されないが、例えば0.001μg/ml〜1000mg/ml、好ましくは0.1μg/ml〜100μg/mlの量を含有することが可能である。
より具体的には、例えば、以下の工程を含む方法により臓器を保存することが可能である。
(a) 抗HMGB-1抗体を含む保存液を調整する工程、
(b) (a)で調整された保存液に臓器を接触させる工程。
抗HMGB-1抗体を含む保存液は抗HMGB-1抗体を含んでいれば特に限定されず、如何なる保存液でもよい。例えば、当業者であれば上述の添加剤などを適宜組み合わせて添加することにより保存液を調整することが可能である。
本発明の保存液と臓器の接触は如何なる状況において行われてもよく、例えば、臓器を本発明の保存液に浸してもよいし、臓器に本発明の保存液を散布してもよいし、本発明の保存液を臓器に投与してもよい。
本発明の生着促進用組成物により生着が促進される移植臓器は特に限定されず、如何なる移植臓器であってもよいが、例えば、膵島移植の際に用いられる膵島を挙げることができる。
本発明の生着促進用組成物に含有される抗HMG-1抗体の量は特に限定されないが、例えば0.001μg/ml〜1000mg/ml、好ましくは0.1μg/ml〜100μg/mlの量を含有することが可能である。
より具体的には、例えば、以下の工程を含む方法により移植臓器の生着を促進することが可能である。
(a) 抗HMGB-1抗体を含む溶液を調整する工程、
(b) (a)で調整された溶液に移植臓器を接触させる工程。
抗HMGB-1抗体を含む溶液は抗HMGB-1抗体を含んでいれば特に限定されず、如何なる溶液でもよい。例えば、当業者であれば上述の添加剤などを適宜組み合わせて添加することにより溶液を調整することが可能である。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕ヒトHMGB-1のアミノ酸配列における、親水性が高く、ヒトHMGB-2との間で相同性の低いアミノ酸配列の選択
親水性が高く、ヒトHMGB-2との間で相同性の低いアミノ酸配列を、ヒトHMGB-1のアミノ酸配列より選択した。
(1)ヒトHMGB-1のアミノ酸配列(配列番号:6)は、前記のウエンらのデータの通りである(Wen et al., Nucleic Acids Res. (1989) 17: 1197-214)。
(2)このヒトHMGB-1のアミノ酸配列の各アミノ酸残基の親水性の高さの推定を、前記のホップらの方法(T.P,Hopp et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1981) 78: 3824-8)により行った。
(3)次に、このヒトHMGB-1のアミノ酸配列のうち親水性の高い配列を、ヒトHMGB-2のアミノ酸配列(M.Yoshida et al., J. Biol. Chem. (1992) 267: 6641-5)と比較した。そして、この親水性の高いアミノ酸配列の中から、ヒトHMGB-1とヒトHMGB-2との間で相同性の低いヒトHMGB-1のアミノ酸配列を選択した。
(4)ここで本発明者らが選択したアミノ酸配列の第1番目は、ヒトHMGB-1の167番目のアミノ酸残基(リシン)より180番目のアミノ酸残基(リシン)までの、「Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys」(配列番号:1)である。なお、このヒトHMGB-1のアミノ酸配列「Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys」(配列番号:1)は、これに相当するヒトHMGB-2のアミノ酸配列「Lys Ser Glu Ala Gly Lys Lys Gly Pro Gly Arg Pro Thr Gly」(配列番号:2)と9個のアミノ酸残基が異なっている。
実施例1で選択したアミノ酸配列の各々のN末端に、担体に結合させるためにシステインを結合させたアミノ酸配列「Cys Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys」(配列番号:3)のペプチドをそれぞれ合成した。
まず、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems)のモデル430Aペプチド自動合成装置(Model 430A peptide synthesizer)により、取扱説明書に従って、t-ブトキシカルボニルアミノ酸固相法でアミノ酸配列「Cys Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys」(配列番号:3)のペプチドの合成を行った。副反応を抑制するためにスカベンジャーとして、ジメチルスルファイド、p-チオクレゾール、m-クレゾール及びアニソールの存在下でフッ化水素法により樹脂から合成したペプチドの脱離を行った。その後、ジメチルエーテルによりスカベンジャーを抽出し、そして2N酢酸により合成したペプチドの抽出を行った。陰イオン交換樹脂であるダウエックス1-X2(DOWEX 1-X2)により陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを行い精製をして、オクタデシル(ODS)カラムでの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、メインピークのパターンの確認を行った。そして、エバポレーターにより凍結乾燥をして濃縮を行った後、HPLCにより精製を行い分取した。なお、このHPLC精製時の装置及び条件は、山村化学研究所社の逆相ODSカラムYMC-D-ODS-5(20mm×300mm)を用い、日本分光工業社のTWINCLEポンプ及び日本分光工業社のGP-A40型グラジエンターで0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中アセトニトリルの0%から70%のグラジエントを流速7.0mL/分で行い、日本分光工業社製UVIDEC-100V型検出器(210nm、1.28AUFS)で検出を行った。
担体であるスカシガイのヘモシアニン(KLH)(カルビオケム社製)又はウシ血清アルブミン(BSA)(生化学工業社製)の10mgを10mMリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、これにN,N-ジメチルホルムアミドに溶解している2.5%マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシサクシニミドエステル(MBS)(ピアース社製)溶液150μLを加え室温で撹拌しながら30分間反応させた。
これを、4℃下で、10mMリン酸二水素カリウム-リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化しておいたゲル濾過カラム(セファデックスG-25(Sephadex G-25)カラム〔ファルマシア-エルケービー社製〕)に通し、280nmにおける吸光度でモニターして、MBS-担体結合成分を分取した。このMBS-担体結合成分をリン酸三ナトリウムでpH7.0に調整し、これに実施例2で合成したペプチド「Cys Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys」(配列番号:3)を添加混合して150分間反応させた。反応後、水に対して3回透析した後、凍結乾燥を行って前記ペプチドと結合した担体よりなる免疫原を得た。
ブタの胸腺より、ブタHMGB-1(配列番号:4)及びブタHMGB-2(配列番号:5)をサンダースらの方法(C.Sanders et al.,BBRC (1977) 78:1034-42)に従って調製した。
(1)ブタの胸腺500gを、140mMの塩化ナトリウム及び0.5mMのPMSFを含む600mLの緩衝液中で破砕を行った。
(2)次に、この破砕物を遠心分離機で遠心分離を行い、その上澄み液を除去した。
(3)これに、140mMの塩化ナトリウム及び0.5mMのPMSFを含む緩衝液を加えて撹拌した後、遠心分離機で遠心分離を行い、その上澄み液を除去した。この洗浄操作を2回繰り返して行った。
(4)次に、得られた沈殿物に、0.75Mの過塩素酸300mLを加えた。そして、遠心分離機で遠心分離した後、上澄み液を分取した。残った沈殿物に0.75Mの過塩素酸400mLを加えた。これについても、遠心分離機で遠心分離した後、上澄み液を分取した。この上澄み液と先に分取した上澄み液とを合わせた。なお、沈殿物は廃棄した。
(5)前記の合わせた上澄み液に0.75Mの過塩素酸を加えて、全体の容量を1,000mLとした。次に、遠心分離機で遠心分離した後、上澄み液をグラスフィルター(グレード4)で濾過した。
(6)前記の濾過の濾液に、3,500mLのアセトンと21mLの濃塩酸の混合液を加えた。濁りが生じてくるので、遠心分離機で遠心分離して、上澄み液を分取した。この上澄み液に、アセトン2,500mLを加えた。そして、再度、濁りが生じてくるので、これを遠心分離機で遠心分離して、上澄み液を分離し、残った沈殿物を集めた。
(7)この集めた沈殿物を室温で自然乾燥させた。
以上の操作により、HMGB-1及びHMGB-2を含むタンパク質画分が、およそ20mg得られた。
(9)この透析の後、7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)で平衡化しておいたCM-セファデックスC25のカラムに添加した。そしてその後、200mM塩化ナトリウムを含む7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)により溶出させて、陽イオン交換クロマトグラフィーを行った。
(10)そして、15%SDS-ポリアクリルアミド電気泳動の結果、その移動度より、図1において「A」で示した溶出画分及び「B」で示した溶出画分はブタHMGB-1を含む画分であり、更に「C」で示した溶出画分及び「D」で示した溶出画分はブタHMGB-2を含む画分であることが確かめられた。
(11)そこで、図1 において「A」で示した溶出画分及び「B」で示した溶出画分を混合して集め、更に「C」で示した溶出画分及び「D」で示した溶出画分を混合して集めた。
ヒトHMGB-1(配列番号:6)及びHMGB-2(配列番号:7)を文献(P. Cabart et al. Cell Biochemistry and Function 13; 125-133: 1995)に従ってHL60細胞から精製した。
(1)HL60 cellを、10%の非動化したFCS(牛胎児血清:ギブコ)を含んだRPMI1640(ギブコ)300mLにて一週間ほど培養した。
(2)培養したHL60細胞を回収し、RPMI1640にて洗浄後、3LのPFHM-II(インビトロゲン)にて二週間ほど培養を行った。
(3)次にこの培養上清を、PBSにて平衡化されたHeparin-Sepharose(シグマ社)に通した。
(4)PBSにてよく洗浄後、0.5 Mの塩化ナトリウムを含んだPBSにて溶出を行った。この溶出を280nmの吸収にてモニタリングし、吸収のある部分をプールした。このプールを5mM ホウ酸緩衝液(pH9.0) 0.2M 塩化ナトリウムにてよく透析を行った。
この透析したプールを7.5mM ホウ酸緩衝液(pH9.0)で平衡化されたCM-SehadexC25(Pharmacia)に添加した。そしてその後、200mM塩化ナトリウムを含む7.5mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)により溶出させた。結果は実施例4で示したものと同様である。
実施例4で調製した免疫原ブタHMGB-1を用いてポリクローナル抗体の調製を下記のようにして行った。
〔1〕動物への免疫
(1)前記の実施例4で得た免疫原ブタHMGB-1を100μg/mLになるように生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で溶解し、これをフロイント完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、ニワトリ(旭テクノグラス社)の羽の付け根に0.5mLを注射した。
(2)初回免疫から2週間後に、前記の免疫原を100μg/mLになるように生理食塩水で溶解し、これをフロイント不完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、その0.5mLを追加注射を行った。この追加注射は2週間おきに行った。
(3)免疫動物であるこのニワトリの血清中及び卵黄中の抗体価を、酵素免疫測定法(ELISA,EIA)にて、初回免疫から6週間目より1週間ごとに測定した。このELISA法の操作を以下に示した。
(3-1)ブタHMGB-1を1μg/mLになるように生理食塩水に溶解し、これを96ウェル-マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置してこのブタHMGB-1の固相化を行った。
(3-2)このマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2)))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム-リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
(3-3)抗体の産生を検査すべき前記ニワトリ卵黄100μLを生理食塩水900μLに溶解し、さらにそれを生理食塩水で1000倍、10000倍、そして100000倍と希釈し、これらをマイクロプレートのウェルに100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。その後洗浄液で洗浄した。
(3-4)また対照として、前記(3-2)のマイクロプレートのウェルに、1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝生理食塩水を100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、その後洗浄液で洗浄した。
(3-5)パーオキシダーゼ(POD)標識抗ニワトリIgY抗体(Up-Data社製)を3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で5000倍に希釈した後、(3-3)及び(3-4)のマイクロプレートに1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。
(3-6)これを洗浄液で洗浄した後、パーオキシダーゼ反応液(3mM 2,2'-アジノ−ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)を含む50mMリン酸水素二ナトリウム-24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したもの)を1ウェル当り100μLずつ加え、室温で反応させた。15分後に1ウェル当り150μLの6N硫酸を加えて反応を停止させた。
(3-7)これをEIAプレートリーダー(バイオラッド社製)にて415nmにおける吸光度の測定を行った。
(4)初回免疫から12週間目以降、抗体価がプラトーに達したと認められたので、この免疫動物であるニワトリの卵黄より抗体(IgY)を得た。
(5)卵黄10mLにTBS(0.14M NaCl, 0.01M Tris/HCl, pH7.4, 0.01%NaN3)40mLを加え、よく攪拌後、遠心分離を行い上清を得た。
(6)次にこの上清に7.5mL CaCl2, 3mL デキストラン硫酸(10%(W/V)デキストラン硫酸in TBS)を加え30分間ほど攪拌後、遠心分離を行い上清と沈殿を得た。上清を回収し、沈殿を再度TBSにて再抽出した。遠心分離後再度得られた上清を前回の上清と合わせてTBSにて100mLにした。
(7)これに無水硫酸ナトリウムを20g添加し、30分間攪拌後、遠心分離を行い上清を除去した後、沈殿を10mL TBSに溶解し、PBSを加え、さらにPBSにて透析を行いグロブリン分画を得た。
(8)次にこれを実施例4で調製したブタHMGB-1を固定化したカラムに通して、アフィニティークロマトグラフィーを行った。この操作を以下に示した。
(8-1)実施例4で調製したブタHMGB-14mgに対して2gのCNBr-セファロース(ファルマシアバイオテック社製)をその取扱説明書に従って反応させ、前記のペプチドを固定化したアフィニティークロマトグラフィー用のカラムを調製した。
(8-2)このカラムをリン酸緩衝生理食塩水で平衡化しておき、その後、前記(7)にて濃縮した成分(ポリクローナル抗体)を通した。
(8-3)これにリン酸緩衝生理食塩水を充分に通して洗浄した後、0.1Mの酢酸緩衝液(pH3.0)を通した。
(8-4)これにより溶出した画分を集め、リン酸緩衝生理食塩水で透析を行い、その後、濃縮を行った。
以上のアフィニティークロマトグラフィーの操作により、ブタHMGB-1に結合するポリクローナル抗体を分取した。
(9)以上の操作により得られたニワトリの抗ブタHMGB-1ポリクローナル抗体は、ヒトHMGB-1,2に結合することができるものである。今回の場合はアフイニティー精製を行った抗体を調製したが、アフイニティー精製をしなくてもよい。
ヒトHMGB-1に結合するがヒトHMGB-2には結合しないポリクローナル抗体の調製を下記のように行なった。
実施例6で調製したポリクローナル抗体を実施例4で調製したブタHMGB-2を固定化したカラムに通して、HMGB-2に反応する抗体の吸収を行った。この操作を以下に示す。
(1)実施例4で調製したブタHMGB-24mgに対して2gのCNBr-セファロース(ファルマシアバイオテック社製)をその取扱説明書に従って反応させ、前記のHMGB-2を固定化したHMGB-2吸収用のカラムを調製した。
(2)このカラムをリン酸緩衝生理食塩水で平衡化しておき、その後、実施例6にて濃縮した成分(ポリクローナル抗体)を通した。
(3)素通りした画分を集め、リン酸緩衝生理食塩水で透析を行い、その後、濃縮を行った。
以上のアフィニティークロマトグラフィーの操作により、ブタHMGB-1に結合するがブタHMGB-2には結合しないポリクローナル抗体を分取した。以上の操作により得られたニワトリの抗ブタHMGB-1ポリクローナル抗体は、ヒトHMGB-1に結合するがヒトHMGB-2には結合しないものである。
実施例3で調製されたペプチド抗原に対する実施例6で調製された抗ブタHMGB-1ポリクローナル抗体の反応性を確認をした。
(1)実施例3で得たペプチド抗原を1μg/mLになるように生理食塩水に溶解し、これを96ウェル-マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置してこのペプチド抗原の固相化を行った。
(2)このマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2)))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム-リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
(3)抗体の産生を検査すべき前記ニワトリ卵黄100μLを生理食塩水900μLに溶解し、さらにそれを生理食塩水で1000倍、10000倍、そして100000倍と希釈し、これらをマイクロプレートのウェルに100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせ、その後洗浄液で洗浄した。
(4)また対照として、前記(2)のマイクロプレートのウェルに、1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝生理食塩水を100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、その後洗浄液で洗浄した。
(5)パーオキシダーゼ(POD)標識抗ニワトリIgY抗体(Up-Data社製)を3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で5000倍に希釈した後、(3)及び(4)のマイクロプレートに1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。
(6)これを洗浄液で洗浄した後、パーオキシダーゼ反応液(3mM 2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)を含む50mMリン酸水素二ナトリウム-24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したもの)を1ウェル当り100μLずつ加え、室温で反応させた。15分後に1ウェル当り50μLの6N硫酸を加えて反応を停止させた。
(7)これをEIAプレートリーダー(バイオラッド社製)にて415nmにおける吸光度の測定を行った。
その結果を図2に示す。希釈倍率が高いほどシグナルが高かった。このことから明らかにHMGB-1で得たポリクローナル抗体の中にはペプチド抗原に対する抗体が含まれていることがわかった。
実施例3で調製した免疫原ペプチド抗原を用いてポリクローナル抗体の調製を下記のようにして行った。
〔1〕動物への免疫
(1)前記の実施例3で得た免疫原(「Cys Lys Pro Asp Ala Ala Lys Lys Gly Val Val Lys Ala Glu Lys」(配列番号:3)で表されるペプチドにBSAを結合させたもの)を100μg/mLになるように生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で溶解し、これをフロイント完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、ニワトリ(旭テクノグラス社)の羽の付け根に0.5mLを注射した。
(2)初回免疫から2週間後に、前記の免疫原を100μg/mLになるように生理食塩水で溶解し、これをフロイント不完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、その0.5mLにより追加免疫注射を行った。この追加免疫注射は2週間おきに行った。
(3)免疫動物であるこのニワトリの血清中及び卵黄中の抗体価を、酵素免疫測定法(ELISA,EIA)にて、初回免疫から6週間目より1週間ごとに測定した。このELISA法の操作を以下に示した。
(3-1)実施例3で得たペプチドにKLHを結合させたものを1μg/mLになるように生理食塩水に溶解し、これを96ウェル-マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置してこのペプチド-KLHの固相化を行った。
(3-2)このマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2)))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム-リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。
(3-3)抗体の産生を検査すべき前記ニワトリ卵黄100μLを生理食塩水900μLに溶解し、さらにそれを生理食塩水で1000倍、10000倍、そして100000倍と希釈し、これらをマイクロプレートのウェルに100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせ、その後洗浄液で洗浄した。
(3-4)また対照として、前記(3-2)のマイクロプレートのウェルに、1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝生理食塩水を100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、その後洗浄液で洗浄した。
(3-5)パーオキシダーゼ(POD)標識抗ニワトリIgY抗体(Up-Data社製)を3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で5000倍に希釈した後、(3-3)及び(3-4)のマイクロプレートに1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。
(3-6)これを洗浄液で洗浄した後、パーオキシダーゼ反応液(3mM 2,2'-アジノ−ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)を含む50mMリン酸水素二ナトリウム-24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したもの)を1ウェル当り100μLずつ加え、室温で反応させた。15分後に1ウェル当150μLの6N硫酸を加えて反応を停止させた。
(3-7)これをEIAプレートリーダー(バイオラッド社製)にて415nmにおける吸光度の測定を行った。
(4)初回免疫から12週間目以降、抗体価がプラトーに達したと認められたので、この免疫動物であるニワトリの卵黄より抗体(IgY)を得た。
(5)卵黄10mLにTBS(0.14M NaCl, 0.01M Tris/HCl, pH7.4, 0.01%NaN3)40mLを加え、よく攪拌後、遠心分離を行い上清を得た。
(6)次にこの上清に7.5mL CaCl2, 3mL デキストラン硫酸(10%(W/V)デキストラン硫酸in TBS)を加え30分間ほど攪拌後、遠心分離を行い上清と沈殿を得た。上清を回収し、沈殿を再度TBSにて再抽出した。遠心分離後再度得られた上清を前回の上清と合わせてTBSにて100mLにした。
(7)これに無水硫酸ナトリウムを20g添加し、30分間攪拌後、遠心分離を行い上清を除去した後、沈殿を10mL TBSに溶解し、PBSを加え、さらにPBSにて透析を行いグロブリン分画を得た。
(8)次に、これを実施例2で調製したペプチドを固定化したカラムに通して、アフィニティークロマトグラフィーを行った。この操作を以下に示した。
(8-1)実施例2で調製したペプチド10mgに対して2gのCNBr-セファロース(ファルマシアバイオテック社製)をその取扱説明書に従って反応させ、前記のペプチドを固定化したアフィニティークロマトグラフィー用のカラムを調製した。
(8-2)このカラムをリン酸緩衝生理食塩水で平衡化しておき、その後、前記(7)にて濃縮した成分(ポリクローナル抗体)を通した。
(8-3)これにリン酸緩衝生理食塩水を充分に通して洗浄した後、0.1Mの酢酸緩衝液(pH3.0)を通した。
(8-4)これにより溶出した画分を集め、リン酸緩衝生理食塩水で透析を行い、その後、濃縮を行った。
以上のアフィニティークロマトグラフィーの操作により、ペプチドに結合するポリクローナル抗体を分取した。
(9)以上の操作により得られたニワトリのポリクローナル抗体は、ヒトHMGB-1に結合することができるものである。また、ヒトHMGB-1と相同性の高いヒトHMGB-2とは結合できないものであった。
今回の場合はアフィニティー精製を行った抗体を調製したが、アフィニティー精製を行わなかった抗体でも適切な量を使用すれば同様の効果が期待できた。
実施例9で調製した抗ペプチドポリクローナル抗体のヒトHMGB-1,2に対する反応性をウエスタンブロット法により確かめた。
1.ウエスタンブロット法
実施例9で調製した抗ペプチドポリクローナル抗体の反応性
(1)実施例5で得られたヒトHMGB-1(1mg/mL)及びHMGB-2(1mg/mL)を1:1に混合し、さらにサンプルバッファーと1:1で混合した。
(2)このサンプルを15% SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。そして、泳動緩衝液としてバルビタール緩衝液(pH8.8)を使用して、電流20mAで180分間通電して電気泳動を行った。
(3)前記(2)の電気泳動の後の転写は、ノバ・ブロット・エレクトロフォレティック・トランスファー・キット(ファルマシア-エルケービー社製)を用いて、その使用説明書に従い、ドライ方式で行った。まず、前記(2)において電気泳動を行ったゲルを転写用装置上に置いた。次に、このゲルの上に、9cm×9cmのニトロセルロース膜(バイオラッド社製)を重ね、48mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、39mMグリシン、0.0357%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流60mAで2時間転写を行った。
(4)この転写を行ったニトロセルロース膜を、1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2))の20mLに4℃で1晩浸漬して、ブロッキングを行った。
(5)次に、これを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(6)実施例9で調製したポリクローナル抗体80μgを20mLの1%BSAを含んだリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、この溶液に前記(5)の操作を行ったニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。
(7)前記(6)の操作を行ったニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
(8)次に、パーオキシダーゼ標識抗ニワトリIgY抗体(Up-Data社製)を、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で500倍希釈をして、20mLの溶液を調製し、これに前記(7)のニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。
(9)このニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(10)0.025%の3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩及び0.01%過酸化水素を含むリン酸緩衝生理食塩水の20mLに、前記(9)のニトロセルロース膜を室温で15分間浸漬して発色させた。
以上の操作により、実施例9で調製したポリクローナル抗体におけるウエスタンブロット法の結果を得た。
(1)ウエスタンブロット法の結果
前記のポリクローナル抗体のウエスタンブロット法の結果を図3に示した。なお、この図において、「1」はポリクローナル抗体(実施例9で調製したポリクローナル抗体)における結果である。そして「2」はパーオキシダーゼ標識抗ニワトリIgY抗体(Up-Data社製)のみを反応させた結果である。「3」は実施例6で得られた抗ブタHMGB-1ポリクローナル抗体を反応させることにより、ヒトHMGB-1,2の位置を明らかにしたことを示す。
図3より、「2」のポリクローナル抗体を作用させていないパーオキシダーゼ標識抗ニワトリIgY抗体のみを作用させた対照(コントロール)においては、ヒトHMGB-1のバンドが現れる位置及びヒトHMGB-2のバンドが現れる位置のいずれにおいても何ら発色は認められなかった。このことより、前記の各ウエスタンブロット法においては、非特異的な発色が起きていないことが確かめられた。「1」の実施例9で調製したポリクローナル抗体では、ヒトHMGB-1が泳動される位置には発色が見られるものの、ヒトHMGB-2が泳動される位置には発色が見られないことが分かる。このことから実施例9で調製された抗ペプチドポリクローナル抗体はヒトHMGB-1には反応するがヒトHMGB-2には反応しないことが明らかになった。
本発明において使用可能なモノクローナル抗体は、以下の操作により取得することができる。実施例5で調製した免疫原ヒトHMGB-1を用いてモノクローナル抗体の作製を下記のようにして行った。
1.動物への免疫
前記の実施例5で得た免疫原ヒトHMGB-1を100μg/mLになるように生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で溶解し、これをフロイント完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、8週齢のメスのBALB/cマウス(日本チャールズリバー社)の腹部皮下に0.5mLを注射した。初回免疫から2週間後に、前記の免疫原を100μg/mLになるように生理食塩水で溶解し、これをフロイント不完全アジュバントと等量ずつ混合してエマルジョンとして、その0.5mLにより追加注射を行った。この追加注射は2週間おきに行った。免疫動物であるこれらマウスの抗体価を、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)にて、初回免疫から6週間目より1週間ごとに測定した。ELISA法の具体的操作については、下記(1)において詳述する。初回免疫から18週間目以降、抗体価がプラトーに達したと認められたので、免疫動物であるこれらマウスの腹部皮下に、生理食塩水で800μg/mLとした実施例2で得たヒトHMGB-1の0.5mLを注射した。その後3日目に、これらマウスより脾臓を取得した。
ヒトHMGB-1を1μg/mLになるように生理食塩水に溶解し、これを96ウェル-マイクロプレート(ヌンク社製)に1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置してこのヒトHMGB-1の固相化を行った。このマイクロプレートを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2)))で洗浄した後、1%BSAを含む10mMリン酸二水素カリウム-リン酸水素二カリウム緩衝液(pH7.2)を1ウェル当り300μLずつ加えて、37℃で2時間静置してブロッキングを行い、その後再び洗浄液で洗浄した。抗体の産生を検査すべき前記マウスの血清を試料として100μLを生理食塩水900μLに溶解し、さらにそれを、生理食塩水で1000倍、10000倍、そして100000倍と希釈し、これらをマイクロプレートのウェルに100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせ、その後洗浄液で洗浄した。また対照として、マイクロプレートのウェルに、マウス血清に代えて1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝生理食塩水を100μLずつ加え、37℃で2時間静置して、その後洗浄液で洗浄した。パーオキシダーゼ(POD)標識抗マウスIgG抗体(アマシャム社製)を3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で5000倍に希釈した後、各マイクロプレートに1ウェル当り100μLずつ加え、37℃で2時間静置して反応を行わせた。これを洗浄液で洗浄した後、パーオキシダーゼ反応液(3mM 2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)を含む50mMリン酸水素二ナトリウム-24mMクエン酸緩衝液の1mLに対して2μLの1.7%過酸化水素を使用直前に添加したもの)を1ウェル当り100μLずつ加え、室温で反応させた。15分後に1ウェル当り150μLの6N硫酸を加えて反応を停止させた。これをEIAプレートリーダー(バイオラッド社製)にて415nmにおける吸光度の測定を行った。
BALB/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ欠損の骨髄腫細胞株であるP3-X63-Ag8-U1株(癌研究リサーチソースバンク 9085)を、胎生ウシ血清を10%含有しグルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンを補ったRPMI1640組織培養培地(バイオセル社製)で増殖を行った。より詳細には、この骨髄腫細胞を細胞培養用中型ボトル(ヌンク社製、200mL容)内で、ボトルの底面の約8割を細胞が占めるまで増殖させた。なお、細胞数は、トリパン青染料排除法及び血球計で計数した。
前記1.で免疫動物のマウスより取得した脾臓を、ステンレススチールメッシュ#200を使用して充分にほぐし、血清を含まないRPMI1640培地で洗浄しながら濾過した。その後、200gで遠心分離を行い、脾臓細胞を分離した。更に、再度血清を含まないP3-X63-Ag8-U1株骨髄腫細胞を5対1の割合で混合した後、遠心分離を行った。混合した細胞を、ポリエチレングリコール1500(PEG1500、ロシュ・ダイアグノスティック社製)を50%含むRPMI1640培地にゆっくりと懸濁した。そして、最終的にポリエチレングリコール濃度が5%となるように、これをRPMI1640培地で徐々に希釈した。これより細胞を遠心分離で分離し、5%のハイブリドーマクローニングファクター(オリゲン社製)を含んだS-クローン培地(三光純薬社製)よりなる増殖培地に徐々に分散させた。そして、平底の96穴マイクロプレート(ヌンク社製)のウェルに、1ウェル当り106個/100μLの細胞数の細胞を植え、5%の二酸化炭素中37℃で培養した。細胞融合後1日目に、各ウェルに100μLのHAT培地(前記の増殖培地に0.01mMヒポキサンチン、1.6μMチミジン及び0.04μMアミノプテリンとなるようにそれぞれを補充したもの;いずれも東京化成社製)を加えた。その後3日間は、毎日、約半分のHAT培地を新しいHAT培地と交換し、更にその後は、2〜3日ごとに同様の交換を行った。
ヒトHMGB-1に対する抗体を産生する前記ハイブリドーマの各々を、限界希釈法にてサブクローニングした。これらのハイブリドーマの細胞数を、トリパン青染料排除及び血球計により計数した。次に、これらのハイブリドーマを、100μLのHT培地当り、0.5個の生育細胞数の割合と1個の生育細胞数の割合の2種類の割合で懸濁し、96穴の平底マイクロプレートの1ウェル当り100μLずつ分注した。これを2〜3日ごとに培地を交換して、ハイブリドーマを増殖させた。2週間後、顕微鏡下で各ウェルのコロニー数を調べ、そして、ブタHMGB-1に対する抗体を産生するハイブリドーマについて前記と同様にしてELISA法で調べた。1ウェル中に1コロニーが存在し、そしてこのような抗体を産生するハイブリドーマ(ウェル)を2個得ることができた。
この結果、前記のハイブリドーマのうち、20個のハイブリドーマが、前記ヒトHMGB-1に結合する抗体を産生する細胞株であることが判明した。
この検討の結果、このハイブリドーマが産生する抗体として、ヒトHMGB-1には結合するが、ヒトHMGB-2には結合しないクローンも確かめられた。このハイブリドーマは、R08G12G2, R06G7E10と命名された。
前記4.で得た各々のモノクローナル抗体産生細胞株(ハイブリドーマ)を、それぞれ中型ボトル(ヌンク社製)の中に1つずつ入れ、底面の約8割を細胞が占めるまでHT培地中で培養を行った。その後、これらのハイブリドーマをハーベストし、200g、5分間の遠心分離にて回収した。次に、これを血清を含まないRPMI1640培地液で3回洗浄した後、2mLのRPMI1640培地液に懸濁した。このハイブリドーマ懸濁液1mLを、予め2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン処置したオスのBALB/cマウス(日本チャールズリバー社)の腹腔に注射した。注射から2週間以内に腹部の膨張が認められなかった場合には、再度この操作を繰り返した。腹部の膨張が認められたマウス腹水を採取した。これを200g、5分間の遠心分離にかけ、ハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体を含む上澄み液を、ハイブリドーマから分離して取得した。
(1) モノクローナル抗体がIgGの場合
前記5.で得た、ハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体を含む上澄み液の各々の10mLに、22℃で硫酸ナトリウム1.8gを撹拌しながら加え、硫酸ナトリウムが完全に溶けてから更に1時間撹拌を続けて塩析を行った。これを22℃で遠心分離(7000g、15分間)を行い、上澄み液と分離して得た沈殿を、30mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)2mLに溶解した。次に、これを30mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に対して充分に透析した後、1000gで20分間遠心分離し不溶性のものを除去した。これを30mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で平衡化しておいたDEAE-セルロースイオン交換カラム(セルバ社製)(1×10cm)に流速0.4mL/分で通して、溶出液を2mLずつ集めた。免疫グロブリンG(IgG)が溶出液の素通り画分に含まれていることを280nmの吸光度より確認し、これを集めて2mLに濃縮した。更に、これをプロテインA-セファロースCL-4Bアフィニティークロマトグラフィー(ファルマシア-エルケービー社製)にかけて精製を行い、精製したモノクローナル抗体を得た。
前記5.で得た、ハイブリドーマから産生されたモノクローナル抗体を含む上澄み液の各々の10mLを20mM リン酸緩衝液(pH7.5) 0.8M 硫酸アンモニウムで十分に透析した。透析の終了した上澄み液を20mM リン酸緩衝液(pH7.5) 0.8M 硫酸アンモニウムにて平衡化されたHiTrap IgM purification HP 1mL(アマシャムバイオサイエンス)にかけた。十分に20mM リン酸緩衝液(pH7.5) 0.8M 硫酸アンモニウムにて洗浄後、20mM リン酸緩衝液(pH7.5)にて溶出した。これで精製されたIgMタイプのモノクローナル抗体を得た。
実施例5で調製したヒトHMGB-1,2に対する、モノクローナル抗体の反応性をウエスタンブロット法により確かめた。この場合クローンR06G7E10を例として述べる。他のクローンについても同様に検討を行った。
(1)実施例11で調製したモノクローナル抗体の反応性(ウエスタンブロット法)
実施例5で得られたヒトHMGB-1(1mg/mL)及びHMGB-2(1mg/mL)を1:1に混合し、さらにサンプルバッファーと1:1で混合した。このサンプルを15% SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。そして、泳動緩衝液としてバルビタール緩衝液(pH8.8)を使用して、電流20mAで180分間通電して電気泳動を行った。電気泳動の後の転写は、ノバ・ブロット・エレクトロフォレティック・トランスファー・キット(ファルマシア-エルケービー社製)を用いて、その使用説明書に従い、ドライ方式で行った。具体的には、まず、電気泳動を行ったゲルを転写用装置上に置いた。次に、このゲルの上に、9cm×9cmのニトロセルロース膜(バイオラッド社製)を重ね、48mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、39mMグリシン、0.0357%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流60mAで2時間転写を行った。
転写を行ったニトロセルロース膜を、1%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(5.59mMリン酸水素二ナトリウム、1.47mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム及び2.68mM塩化カリウムを含む水溶液(pH7.2))の20mLに4℃で1晩浸漬して、ブロッキングを行った。次に、これを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。実施例11で調製したモノクローナル抗体を20mLの1%BSAを含んだリン酸緩衝生理食塩水に80μg溶解し、前記洗浄したニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。続いて膜を20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
次に、パーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(ダコ社製)を、3%BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水で500倍希釈をして、20mLの溶液を調製し、これに前記ニトロセルロース膜を室温で2時間浸漬して反応させた。このニトロセルロース膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。0.025%の3,3’-ジアミノベンジジン四塩酸塩及び0.01%過酸化水素を含むリン酸緩衝生理食塩水の20mLに、前記ニトロセルロース膜を室温で15分間浸漬して発色させた。
以上の操作により、実施例11で調製したモノクローナル抗体におけるウエスタンブロット法の結果を得た。
ELISA法により、臓器移植後の生体試料中にHMGB-1が検出できることを確認した。
(1)糖尿病マウスの作製
正常マウス(C57BL/6、オス、23-25 g、日本チャールスリバー、横浜、日本)に、膵島機能を低下させる目的で、ストレプトゾシン(シグマ-アルドリッチ、セントルイス、ミズーリ州、アメリカ合衆国)を180 mg/kg 静脈内に投与した。3日後に、生化学自動分析装置(ベックマン・コールター、フラートン、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)にて、非空腹時血糖値が高値(400 mg/dL以上)であることを確認し、以下に詳述する膵島移植における抗体投与の実験に用いた。
正常マウス(C57BL/6、オス、23-25 g、日本チャールスリバー、横浜、日本)より採取した膵臓を、コラゲナーゼで消化後、Ficoll-Conrayを用いた比重遠心法にて、膵島を単離した。単離した膵島は、培養液中で、二酸化炭素濃度5%、摂氏24度に調整したインキュベーター内に一晩静置した。その後顕微鏡下でパスツールピペットを用い、膵島をピックアップした。(参照文献:Sutton R, Peters M, McShane P, Gray DW, Morris PJ, "Isolation of rat pancreatic islets by ductal injection of collagenase." Transplantation 1986 Dec, 42(6): 689-91, Erratum in: Transplantation 1987 Apr, 43(4): 608; Ohtsuka K, Yasunami Y, Ikehara Y, Nagai T, Kodama S, Maki T, Tomita A, Abo T, Ikeda S, "Expansion of intermediate T cell receptor cells expressing interleukin-2 receptor alpha- beta+, CD8alpha+ beta+, and lymphocyte function-associated antigen-1+ in the liver in association with intrahepatic islet xenograft rejection from rat to mouse: prevention of rejection with anti-interleukin-2 receptor beta monoclonal antibody treatment." Transplantation 1997 Aug 27, 64(4): 633-9)
上記(1)で作製した糖尿病マウスに、上記(2)で調製した膵島 200個/匹を、経門脈的に肝内に注入し、移植した。膵島移植と同時に、実施例6で作製したポリクローナルニワトリIgY抗HMGB-1中和抗体(N=6)またはコントロールのニワトリIgY抗体 500μg/匹(N=4)を、1回腹腔内に投与した。
膵島移植/抗体投与した後、週3回マウスから採血を行い、生化学自動分析装置(ベックマン・コールター、フラートン、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を用い、非空腹時血糖値を測定した。
膵島移植/抗体投与後の糖尿病マウス非空腹時血糖値の推移を、図5に示す。対照抗体投与群においては、非空腹時血糖値が高値のまま推移したが、抗HMGB-1抗体投与群では、非空腹時血糖値の低下が認められた。この結果は、抗HMGB-1抗体投与群において、移植片拒絶が抑制され、移植膵島の生着に成功し、移植膵島によりインシュリン分泌が行われていることを示し、一方、対照抗体投与群においては、移植片拒絶が生じ、移植膵島の生着に成功せず、インシュリン分泌機能不全状態を是正できなかったことを示している。
実施例14の膵島移植を行ったマウスから、移植6時間後に、肝単核細胞を単離した。単離した肝単核細胞のGr-1、CD11b及びIFN-γの発現を、フローサイトメーター(FACSCAlibur, Becton Deckinson社)にて、allophycocyanin標識抗IFN-γ抗体(SEROTEC社)、PerCP標識抗Gr-1抗体(SEROTEC社)、FITC-標識抗CD11b抗体(SEROTEC社)、を用いて染色し、解析を行った。その結果、Gr-1+/CD11b+細胞の占める割合が、膵島移植の実施により上昇した(naive と islet txとの比較)。さらに、Gr-1+/CD11b+細胞においてIFN-γ産生が顕著に上昇していることが観察された(naive と islet txとの比較)。一方、膵島移植と同時に抗HMGB-1抗体を投与した場合(Islet tx anti-HMGB1 ab)、対照抗体(トリIgY)投与の場合(islet tx)に比し、Gr-1+/CD11b+細胞の占める割合に大きな変化はなかったが、Gr-1+/CD11b+細胞におけるIFN-γ産生上昇が減少していた(図6)。すなわち、抗HMGB-1抗体の投与により、膵島移植に起因する、Gr-1+/CD11b+細胞からのIFN-γ産生が、抑制されたことが示された。
(1)糖尿病マウスの作製
実施例14に準じ糖尿病マウスの作製を行った。
(2)膵島の調製
実施例14に準じ単離した膵島は、培養液中、ポリクローナルニワトリ抗HMGB-1 中和抗体 1μg/mLを含む培養液中、あるいはコントロールのニワトリ抗体1μg/mLを含む培養液中にて、二酸化炭素濃度5%、摂氏24度に調整したインキュベーター内に一晩静置した。その後顕微鏡下でパスツールピペットを用い、膵島をピックアップした。
(3)糖尿病マウスへの膵島移植
上記(1)で作製した糖尿病マウスに、上記(2)で調製した膵島 200個/匹を、経門脈的に肝内に注入し、移植した。
(4)非空腹時血糖値の測定
膵島移植した後、週3回マウスから採血を行い、生化学自動分析装置(ベックマン・コールター、フラートン、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を用い、非空腹時血糖値を測定した。
膵島移植後の糖尿病マウス非空腹時血糖値の推移を、図7に示す。抗体非存在下(実線)、あるいはコントロール抗体存在下(破線)で、移植前に24時間培養した膵島を移植した群においては、非空腹時血糖値が高値のまま推移した。一方、移植前に、抗HMGB-1抗体存在下で培養した膵島を移植した群(点線)においては、非空腹時血糖値の低下が認められた。この結果は、単離膵島を、抗HMGB-1抗体存在下で培養することによって、移植膵島の生着が促進され、インシュリン分泌が行われることを示している。すなわち、移植目的で摘出した臓器の保存剤の成分として、抗HMGB-1抗体は有用である。
Claims (7)
- 抗ハイモビリティーグループボックスプロテイン1 (HMGB-1) 抗体を含む臓器移植拒絶抑制剤であって、抗HMGB-1抗体が配列番号:1のペプチドを認識することを特徴とする臓器移植拒絶抑制剤。
- 臓器移植が膵島移植である、請求項1に記載の臓器移植拒絶抑制剤。
- 膵島移植が、糖尿病患者に対して行われるものである、請求項2に記載の臓器移植拒絶抑制剤。
- 抗HMGB-1抗体が、ハイモビリティーグループボックスプロテイン2 (HMGB-2)よりもHMGB-1に強く結合することを特徴とする、請求項1から3いずれかに記載の臓器移植拒絶抑制剤。
- 抗HMGB-1抗体が、HMGB-2に結合しないことを特徴とする、請求項1から3いずれかに記載の臓器移植拒絶抑制剤。
- 抗HMGB-1抗体を含む臓器保存剤であって、抗HMGB-1抗体が配列番号:1のペプチドを認識することを特徴とする臓器保存剤。
- 抗HMGB-1抗体を含む移植臓器の生着促進用組成物であって、抗HMGB-1抗体が配列番号:1のペプチドを認識することを特徴とする組成物。
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