JP5287541B2 - 電気光学装置、および電子機器 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、100μm以下にまで薄型化した2枚のガラス基板間に有機EL(Electro Luminescence)層を挟持した有機EL表示装置が提案されている。また、当該文献では、薄型化に伴う強度不足を補うために、表裏のガラス基板の外側にそれぞれ樹脂製の補強層を設けることも記載されている。
これらの補強板や、樹脂フィルムのラミネートによる補強構造は、圧縮応力には比較的強いものの、引張り応力に非常に弱いというガラス基板の特性を補うためのものと考察される。また、当該文献には、当該補強構造を有機ELパネルにも適用可能であるとの記載もある。
これは、ガラス基板に貼付けられた樹脂製の補強板や、樹脂フィルムは、曲げ応力が加わるとガラス基板に追従して曲がってしまうからである。換言すれば、補強板や樹脂フィルムは、ガラス基板と一緒にガラス基板の限界点(限界半径)まで容易に曲がってしまうため、ガラス基板に亀裂が生じて割れてしまうことがあった。
この隙間Gは、特に、当該補強構造を有機ELパネルに適用した場合に問題となる。詳しくは、有機ELパネルの周縁部に大きな隙間Gが形成されると、当該隙間Gに水分が浸入する恐れがあり、有機EL層の劣化を招くからである。
また、有機ELパネルは自発光デバイスであるため表示の際に発熱を伴うが、従来の補強構造では、放熱についてなんら考慮されていないという課題があった。換言すれば、従来の補強構造では、有機ELパネルの発熱による劣化を抑制することが困難であるという課題があった。
一対のガラス基板間に電気光学層を挟持した表示パネルと、表示パネルの表示領域側の第1の面と、第1の面と対向する第2の面と、を覆うようにラミネートする樹脂フィルムと、を備え、少なくとも第1の面を覆う樹脂フィルム上には、補強部材が設けられており、補強部材は、表示パネルの表示領域に開口部を有するように形成されていることを特徴とする電気光学装置。
さらに、補強部材は、平面的に第1方向に延在する複数本の炭素繊維を含む第1炭素繊維層と、第1方向と交差する第2方向に延在する複数本の炭素繊維を含む第2炭素繊維層とによる積層構造を含み、平面的に表示パネルの表示領域を囲って設けられる。
補強部材は、第1方向に延在する複数本の炭素繊維を含む第1炭素繊維層と、第1方向と交差する第2方向に延在する複数本の炭素繊維を含む第2炭素繊維層とによる積層構造を含んでいるため、両者によって平面的にあらゆる方向からの引っ張り強度が高まり、いずれの方向から曲げ応力が加わったとしても、ガラス基板が限界点(限界半径)まで曲がることを抑制することができる。
炭素繊維とは、PAN(ポリアクリロニトリル)やピッチ等を原料とする長繊維を、1000℃以上の高温で高純度に炭化させたもので、高引張り強度、低い熱変形率(低線膨張係数)、高熱伝導性などを有する。このような炭素繊維をエポキシ樹脂などのバインダー樹脂と複合化したCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)とすることで、従来の無機粒子やガラス繊維で複合化した樹脂製の補強板に比べて高い引張り強度を付与することができるため、50〜200μmのような極めて薄い額縁状の補強部材が貼り付けられた状態で、炭素繊維の延在方向に曲げ応力が加わったとしても、ガラス基板が限界点(限界半径)まで曲がることを抑制することができる。
従って、適用例に係る電気光学装置によれば、十分な実用強度を得ることができる。
また、補強部材は、インバー、またはチタン、若しくはチタン合金からなることが好ましい。
また、補強部材は、第1の面を覆う樹脂フィルムの上に設けられた第1の補強部材と、第2の面を覆う樹脂フィルムの上に設けられた第2の補強部材と、を備えていることが好ましい。
また、ガラス基板の厚さは、それぞれ100μm以下であることが好ましい。
また、補強部材の開口部には、表示領域を覆う光学フィルムが設けられており、樹脂フィルムは、表示パネルと補強部材および光学フィルムとを貼り合わせる接着剤であることが好ましい。
また、電気光学層は、有機発光層を含む有機EL層であることが好ましい。
「表示装置の概要」
図1は、本実施形態に係る表示装置の一態様を示す斜視図である。図2は、図1のf−f断面における表示装置の側断面図である。
まず、本発明の実施形態1に係る電気光学装置としての表示装置100の概要について説明する。
表示パネル18は、マトリックス状に配置された複数の画素からなる表示領域Vを備えている。また、柔軟性を確保するために表示パネル18を構成する一対の基板の厚さは、それぞれ100μm以下に設定されている。表示領域Vには、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色画素が周期的に配置されており、各画素が出射する表示光によりフルカラーの画像が表示される。なお、カラー表示を行う表示パネルに限定するものではなく、モノクロ表示を行う表示パネルであっても良い。表示領域Vは、横長の長方形をなしており、図1を含む各図においては、当該横方向をX軸方向とし、横方向よりも短い縦方向をY軸方向と定義している。また、表示パネル18の厚さ方向をZ軸方向としている。また、表示領域V側の面を第1の面としての表面、その反対側の面を第2の面としての裏面という。
このような構成により、表示装置100は、図1において点線で示したように、曲げることが可能なフレキシブル性と、曲げても表示パネル18が割れない実用強度とを兼ね備えている。
なお、図2に示すように、表示パネル18は、素子基板1と、CF(カラーフィルター)基板16とから構成されており、その一端には、素子基板1の一辺がCF基板16から張出した張出し領域が形成されている。張出し領域には、フレキシブル基板20が接続されている。なお、フレキシブル基板とは、フレキシブルプリント回路の略称である。また、フレキシブル基板20には、駆動用IC(Integrated Circuit)21が実装され、その端部には外部機器と接続するための複数の端子が形成されている。
図3は、図2の表示パネル18におけるd部の拡大図である。
続いて、表示パネル18の詳細な構成について説明する。
表示パネル18は、素子基板1、素子層2、平坦化層4、画素電極6、隔壁7、電気光学層としての有機EL層8、共通電極9、電極保護層10、緩衝層11、ガスバリア層12、充填材13、CF層14、CF基板16などから構成されている。また、素子基板1とCF基板16とに挟持された部位のことを機能層17という。換言すれば、素子層2からCF層14までの積層構造を機能層17という。
素子基板1は、透明な無機ガラスから構成されている。本実施形態では、好適例として、無アルカリガラスを用いている。
素子層2には、各画素をアクティブ駆動するための画素回路が形成されている。画素回路には、TFT(Thin Film Transistor)からなる画素を選択するための選択トランジスターや、有機EL層8に電流を流すための駆動トランジスター3などが含まれており、画素ごとに対応して形成されている。
平坦化層4の上層には、画素ごとに区画されて、反射層5と、画素電極6とがこの順番で積層されている。反射層5は、例えば、アルミニウムなどからなる反射層であり、有機EL層8から素子基板1側に向かう光を反射して、表示に寄与する光にする。
画素電極6は、ITO(Indium Tin Oxide)や、ZnOなどの透明電極から構成されており、画素ごとに素子層2の駆動トランジスター3のドレイン端子と平坦化層4を貫通するコンタクトホールにより接続されている。
隔壁7は、光硬化性の黒色樹脂などから構成され、平面的に各画素を格子状に区画している。なお、素子層2における駆動トランジスター3を含む画素回路は、光による誤動作を防止するために、平面的に隔壁と重なるように配置されている。
共通電極9は、MgAgなどの金属を、光を透過するようにごく薄く成膜した金属薄膜層である。さらに、抵抗を下げるため、ZnOなどの金属酸化物やTiNなどの金属窒化物層など透明導電膜を積層しても良い。
緩衝層11は、熱硬化性のエポキシ樹脂などの透明な有機緩衝層である。
ガスバリア層12は、SiO2や、Si3N4、SiOxNyなどの透明、かつ、高密度で、水分を遮断する機能を有する封止層であり、有機EL層8への水分の浸入を防止する機能を担う。
充填材13は、例えば、熱硬化性のエポキシ樹脂などからなる透明な接着層であり、ガスバリア層12とCF層14との間の凹凸面に充填されるとともに、両者を接着する。また、外部から、有機EL層8への水分の浸入を防ぐ機能も果たす。
CF層14には、赤色カラーフィルター14r、緑色カラーフィルター14g、青色カラーフィルター14bが画素配置と同様に配置されている。詳しくは、各色のカラーフィルターは、それぞれが対応する画素電極6と重なるように配置されており、各カラーフィルター間には、ハッチングで示した遮光部が形成されている。遮光部は、平面的に隔壁7と重なるように格子状に形成されており、光学的には、ブラックマトリックスの機能を果たす。
これにより、表示領域Vでは、CF基板16から出射される複数のカラー画素からの表示光によりフルカラーの画像が表示されることになる。
また、反射層5を無くせば、表示領域Vの裏面においても表示を行うことができる。換言すれば、表示パネル18の表裏両面において表示を行うことができる。
なお、表示パネル18の構成は、トップエミッション型に限定するものではなく、2枚のガラス基板間に、電気光学層を挟持した構成であれば良い。例えば、有機EL層8が発する光を素子基板1側から出射するボトムエミッション型の有機EL表示装置であっても良い。また、無機ELを光源として備えた無機EL表示装置であっても良い。
ここで、異方性導電接着フィルムによる接続だけでは、機械的強度が不足しているため、従来は、フレキシブル基板20の接続部を覆ってシリコン樹脂(接着剤)などでモールドし、補強していたが、剥離し易いという問題があった。
本実施形態では、この補強構造の替わりに、樹脂フィルム25aを接着剤(充填材)として機能させることによって、十分な実用強度と柔軟性とを確保している。なお、樹脂フィルムの接着方法(ラミネート方法)については、後述する。
図2に戻る。
続いて、ラミネート構造体25を構成する樹脂フィルム25a,25b、および補強部材28の材質について説明する。
表示領域Vから表示パネル18の周縁部までを含む表示パネル18全面を平面的に表裏面から覆うように、ラミネートする樹脂フィルム25a,25bには、ガラス基板および補強部材28との接着性、柔軟性、透明性(光取り出し性)、フレキシブル基板20のモールド性(絶縁性と耐熱性)、および内部への水分浸入を防ぐ耐水性などの機能が必要となる。
これらの機能を満たすため、樹脂フィルム25a,25bの材料としては、耐水性(低吸水率)や絶縁性、柔軟性、透明性、低温溶着性を有するポリエチレンをベースとした樹脂が好ましい。また、接着性を向上させるため一部極性基を持たせた共重合体であることがより好ましい。
これらの機能を満たすためには、高ヤング率(10GPa以上)で、低線膨脹係数(10ppm/℃以下)、かつ、高熱伝導率(10W/m・k以上)の材料が好ましい。
本実施形態では好適例として、優れた引張り強度と、放熱性とを兼ね備えたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)を補強部材28の材料に用いている。CFRPは、低密度(1.5〜2.0g/cm3)、かつ、高引張り強度(1000MPa以上)であるため、薄膜化しても高強度な補強が可能であり、また、軽量であるため補強部材28の材料として好適である。
CFRPは、炭素繊維と樹脂による複合材料であり、1方向に並行に揃えられた炭素繊維にエポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、またはポリエステルなどの熱可塑性を含浸させたプリプレグと呼ばれる前駆体(炭素繊維層)を異なる方向に2層以上積層し硬化した複合材料である。
具体的には、図4に示すように、X軸方向に延在する複数本の炭素繊維を含む前駆体を炭素繊維層h(第1炭素繊維層)、Y軸方向に延在する複数本の炭素繊維を含む前駆体を炭素繊維層i(第2炭素繊維層)としたときに、炭素繊維層hと炭素繊維層iとを交互に4層積層した後に、加圧および加熱(例えば、120〜180℃)して、板状に硬化させたCFRPを補強部材28に用いている。なお、図4において、ストライプ状に示された線分は、炭素繊維の延在方向を示している。また、構成を明確にするために各層を離して描いているが、実際は接着(密着)されて一体となった積層体となっている。
また、炭素繊維としては、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、またはピッチ(石油樹脂)系炭素繊維を用いることが好ましい。
また、X軸方向を約0度としたときに、炭素繊維の延在方向が約0度、約90度、約90度、約0度となるような表裏対称の積層順が基本構造となるが、これに限定されるものではなく、例えば、約0度、約90度、約0度、約90度といった積層順や、約0度、約0度、約90度、約90度といった積層順であっても良い。
また、3層の場合は、0度、90度、0度という積層順や、6層の場合は0度、90度、0度、0度、90度、0度のような表裏対称構造の積層順が基本となるが、これらも上記のように限定されるものではない。
これらの構成であっても、補強部材28としての所期の機能を確保することができる。詳しくは、引張り強度については、平面的な略全方位において1000MPa以上を確保することができる。
また、放熱性については、高純度炭素からなる炭素繊維は高純度炭素であるため熱伝導が20〜60W/m・kと、ガラス(1W/m・k)や汎用プラスチック(約0.5w/m・k)に比べて高いため、十分な放熱性を得ることができる。さらに、CFRPの最表面には、大気中への放熱をより高めるため、表面に凹凸形状を設けて表面積を広げるような加工を行っても良い。
図3に戻る。
ここでは、表示装置100がフレキシブル性と、実用強度(強靭さ)とを両立させるために必要な各部の最適な厚さについて説明する。
まず、表示パネル18の厚さについて説明する。
図3では、各構成部位の積層関係を明確にするために、特に、機能層17における縮尺を他の部位よりも拡大しているが、実際は、機能層17の部分が最も薄く構成されることになる。機能層17の厚さは、数μm〜20μm程度の厚さである。このうち、緩衝層11が半分以上の厚さを占めている。ちなみに、厚さがnmオーダーの複数の薄膜からなる有機EL層8の厚さは1μmに満たない。なお、図3で説明した通り、表示パネル18は、フレキシブル性に耐えられる接着強度を得るため、基板間に中空構造を持たない全固体物質で充填されている。
他方、素子基板1、およびCF基板16の厚さが約100μm以上となると、柔軟性が損なわれて来ることも解っている。
このため、素子基板1、およびCF基板16の厚さは、10〜100μmの範囲内に設定することが好ましい。また、強度と柔軟性とのバランスを考慮すると、20〜80μmの範囲内とすることがより好ましい。
さらに、素子基板1とCF基板16とを重ね合せた表示パネル18の総厚は、強度と柔軟性とのバランスを考慮して、50〜120μmの範囲内に設定することが好ましい。
次に、ラミネート構造体25を構成する樹脂フィルム25a,25bの厚さについて説明する。
本実施形態では、好適例として、厚さが約50μmのEVAフィルムを樹脂フィルム25a,25bに用いている。発明者等の実験結果によれば、表示パネル18の周縁部における隙間を含む段差の被覆性(充填性)を満たすためには、約20μm以上の厚さが必要となることが解っている。
この被覆性と、表示装置100としての総厚とのバランスを考慮すると20〜100μmの範囲内であることが好ましい。また、樹脂フィルムのコストや、ラミネートのし易さ(作業性)を加味すると、40〜80μmの範囲内であることが好ましい。
本実施形態では、好適例として、4層構造で厚さが約100μmのCFRPを補強部材28に用いている。
CFRPは、約25μm以上の厚さであれば形成可能であるが、上述したような厚さに設定されたラミネート構造体25(表示パネル18を含む)に貼り付けた状態で、フレキシブル性と実用強度(強靭さ)とを確保するためには、50〜200μmの範囲内の厚さに設定する必要がある。
そして、これらの部材を積層して形成された表示装置100の総厚は、最も厚い部分で、約290μmとなる。なお、表示パネル18と補強部材28とが重なる表示パネル18の周縁部が最も厚い部分となる。
なお、上記好適例の寸法は、発明者等が実験結果や、物性データなどから創意工夫の末に導出した好適事例の一つであり、これに限定するものではなく、上述した各部の推奨寸法範囲内において、用途に応じた寸法設定をすることができる。
図5は、表示装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。図6(a)、(b)は、各工程における製造態様を示す図である。
ここでは、表示装置100の製造方法について、図5のフローチャートに沿って詳細に説明する。
そして、準備体をラミネート装置にセットする。なお、図6(a)では、ラミネート装置の加圧ローラー81,82のみを図示している。
また、平行して、加圧ローラー81,82の加熱が行われ、伝熱性のあるエラストマーから構成されたローラー面が80〜120℃の温度に熱せられる。
ステップS3では、図6(a)の矢印で示すように、準備体におけるフレキシブル基板20の反対側の一辺から、一対の加圧ローラー81,82の間に準備体が挿入されて、ラミネートが行われる。加圧ローラー81,82に挟持された部分では、ローラーの熱によって樹脂フィルム25a,25bが溶解し、さらに加圧されて相互に接着される。また、溶解した樹脂フィルムは、接着剤(充填材)として機能し、表示パネル18、フレキシブル基板20、および補強部材28も接着する。
また、準備体の一辺から他端に向かってラミネートが行われるため、各部材に気泡(空気)が残っていたとしても、気泡は、ラミネート順に沿って他端側に押し出されることになる。そして、図6(b)に示すように、ラミネートされた表示装置100が加圧ローラー81,82間から押し出されてラミネートが完了する。
なお、ラミネート装置は、一対の加圧ローラー81,82を備えたロールラミネート方式に限定するものではなく、準備体を表示装置100の完成状態にラミネート可能な装置であれば良い。例えば、1枚の板状加熱板(ホットプレート)上に準備体をセットし、変形するゴムシートを気圧差により当該準備体に押し当てて、加熱および加圧するダイアフラム方式(ダイヤフラム方式)による真空ラミネート装置を用いても良い。
このようにして、図1に示すような、フレキシブル性と実用強度(強靭さ)とを兼ね備えた表示装置100が形成される。
なお、補強部材28を表示領域V側(表面)に取り付ける構成に限定するものではなく、表示領域Vの反対側(裏面)に取り付ける構成であっても良い。換言すれば、補強部材28を樹脂フィルム25a,25bのうち、いずれか一方の外面に設ける構造であっても良い。この構成であっても、同様な補強効果を得ることができる。
表示装置100によれば、柔軟性が確保される厚さに設定されたラミネート構造体25に、CFRPからなる額縁状の補強部材28が平面的に表示領域Vを囲って設けられている。CFRPに含まれる炭素繊維の引っ張り強度は、従来の樹脂製の補強板に比べて高いため、補強部材28が貼り付けられた状態で、炭素繊維の延在方向に曲げ応力が加わったとしても、柔軟性を損なわずに、ガラス基板が限界点(限界半径)まで曲がることを抑制することができる。
さらに、補強部材28は、炭素繊維の延在方向が異なる炭素繊維層を2層以上積層した積層構造を含んでいるため、両者によって平面的にあらゆる方向からの引っ張り強度が高まり、いずれの方向から曲げ応力が加わったとしても、ガラス基板が限界点(限界半径)まで曲がることを抑制することができる。
これは、高い引っ張り強度による伸びが極めて小さく、繊維を対角に積層することにより寸法変化が非常に小さくなるという炭素繊維の特性によるものである。この特性により、補強部材28は、応力をかけてもある程度曲がったところで変形が止まり、ガラス基板が限界点(限界半径)まで曲がることを抑制することができる。また、補強部材28は、ばねのように元の形に復元させる変形拘束性と復元性の機能も有している。
また、補強部材28の開口部(穴)の4隅には角Rが形成されているため、4隅がエッジとなっている場合に比べて、曲げ応力が加わった場合の亀裂の発生を抑制することができる。例えば、角Rは半径1mm程度に形成されている。
従って、フレキシブル性と、実用強度(強靭さ)とを兼ね備えた表示装置100を提供することができる。
特に、発明者等の実験結果によれば、表示パネル18の厚さが約90μmで、樹脂フィルム25a,25bの厚さが約50μmに設定された好適例においては、表示パネル18の周縁部に隙間の発生は認められなかった。
また、図1に示すように、表示領域V側(表面)に補強部材28を設けた場合、補強部材28は黒色であるため、当該部材により表示領域Vを区画するとともに、際立たせる見切り縁としても機能させることができる。
また、補強部材28は、樹脂よりも熱伝導率が高く、また、ラミネート構造体25の表裏面のいずれかにおいて、一面が外気に触れる状態で取り付けられているため、表示パネル18の発熱を効率良く放熱することができる。よって、表示パネル18の発熱による劣化を抑制することができる。
従って、フレキシブル性と、実用強度(強靭さ)と、放熱性とを兼ね備えた表示装置100を提供することができる。
さらに、樹脂フィルム25a,25bに用いられるポリエチレン系接着層は、絶縁性、耐水性、耐熱性に優れるため、十分な電気的信頼性を確保することができる。
さらに、ポリエチレン系接着層は室温での初期粘着がほとんど無いため、異物の貼りつきが少なく、また、異物が付いても除去が容易である。また、異物があった場合でも、加熱により軟化した際に、小さな異物であれば接着層内に埋め込まれるため、一般に用いられるアクリル系粘着層よりも異物混入による不良を抑えることができる。また、ポリエチレン系樹脂は汎用樹脂であるため、部材コストを抑えることができる。
図7は、実施形態2に係る表示装置の断面図であり、図2に対応している。
以下、本発明の実施形態2に係る表示装置110について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態の表示装置110は、実施形態1の表示装置100に、光学フィルム35と、裏面の補強部材29とを追加した構成を備えている。それ以外は、実施形態1での説明と略同様である。
また、表面の補強部材28の開口部(穴)には、表示領域Vを覆う光学フィルム35が取り付けられている。
光学フィルム35は、強度補強や、表示面の保護、表示視認性の向上などを図るために設けられている。
本実施形態では、好適例として、優れた透明性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)を光学フィルム35に用いている。また、その表面には、屈折率の異なる無機酸化物の多層構造からなる反射防止層(AR)が形成されており、表示視認性の向上を図っている。
また、光学フィルム35の表面処理についても、反射防止処理に限定するものではなく、様々な処理を施すことができる。例えば、PMMAなどのハードコート層を形成して耐摩耗性を向上させるハードコート処理や、低屈折率のフッ素樹脂からなる低反射防止層(LR)を形成する反射防止処理、表面に凹凸を設けるアンチグレア処理、帯電防止層を形成して埃付着を防ぐ帯電防止処理、皮脂が付着しにくい撥油層を形成する撥油処理などの表面処理を行うことであっても良い。
また、平面的な光学フィルム35のサイズを表示領域Vよりも一回り大きくして、当該フィルムの周縁部の上に補強部材28を重ねる構成としても良い(図8参照)。この構成によれば、光学フィルム35のセット時の作業性を向上することができる。
表示装置110は、表裏に補強部材を配置する構成であるため、各々の厚さを若干薄くしても、十分な実用強度を確保することができる。よって、例えば、補強部材28、および補強部材29の厚さを共に、炭素繊維層3層構成の約75μmとしても良い。また、この場合、ラミネート後のパネルの反りを防ぐため、光学フィルム35の厚さを20〜50μmの範囲内とすることが好ましい。
また、炭素繊維の延在方向が異なる炭素繊維層を2層以上積層した積層構造を含んでいれば、補強部材28,29の厚さを75μmよりもさらに薄くしても良い。また、補強部材28の厚さと補強部材29の厚さとを異なる厚さに設定しても良い。
表示装置110によれば、ラミネート構造体25表面の補強部材28に加えて、同様な額縁状の補強部材29をラミネート構造体25の裏面にも備えている。
よって、いずれの方向から曲げ応力が加わったとしても、ガラス基板が限界点(限界半径)まで曲がることを抑制することができる。特に、2枚の補強部材によって、最も亀裂が生じ易い表示パネル18の周縁部を表裏面から包み込む構成であるため、より確実に表示パネル18の割れを防止することができる。
従って、フレキシブル性と、実用強度(強靭さ)とを兼ね備えた表示装置110を提供することができる。
従って、フレキシブル性と、実用強度(強靭さ)と、放熱性とを兼ね備えた表示装置110を提供することができる。
また、表示装置110によれば、表面の補強部材28の開口部(穴)には、表示領域Vを覆う光学フィルム35が取り付けられている。
よって、表示面を保護するとともに、強靭さを向上させることができる。また、表示視認性を向上させることができる。
図8は、実施形態3に係る表示装置の断面図であり、図7に対応している。
以下、本発明の実施形態3に係る表示装置120について説明する。なお、実施形態2と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態の表示装置120は、実施形態2の表示装置110と裏面の補強部材の構成のみ異なる。詳しくは、ラミネート構造体25の裏面に開口部(穴)のない平板状の補強部材30を備えている。また、平面的な光学フィルム35のサイズを表示領域Vよりも一回り大きくして、当該フィルムの周縁部の上に補強部材38を重ねる構成を採用している。それ以外は、実施形態2での説明と同様である。
なお、補強部材28、および補強部材29の厚さを共に、炭素繊維層4層構成の約70μmとして説明したが、この厚さに限定するものではなく、実施形態2での説明と同様に、炭素繊維の延在方向が異なる炭素繊維層を2層以上積層した積層構造を含んでいれば、さらに薄くしても良い。
また、光学フィルム35のサイズを表示領域Vよりも一回り大きくして、当該フィルムの周縁部の上に補強部材28を重ねる構成としたことにより、貼り付け時の作業性を向上することができる。詳しくは、図7のように、補強部材28の開口部に薄手の光学フィルム35をはめ込むように、セットすることは熟練を要するが、上記構成によれば、位置合せが簡単になる。
表示装置120によれば、表面の補強部材28に加えて、裏面に開口部(穴)が形成されていない平板状の補強部材30を備えている。よって、表示パネル18が発する熱を表裏面の2枚の補強部材によって、効率良く放熱することができる。特に、裏面の補強部材30は、表示領域Vを含む表示パネル18の全面を平面的に覆っているため、表示駆動時に表示領域Vから放出される熱を効率良く放熱することができる。
従って、フレキシブル性と、実用強度(強靭さ)と、放熱性とを兼ね備えた表示装置120を提供することができる。
図9は、上述の表示装置を搭載した電子書籍を示す斜視図であり、(a)はページを構成する表示装置の斜視図であり、(b)は電子書籍の斜視図である。
上述した表示装置100は、例えば、電子機器としての電子書籍150に搭載して用いることができる。なお、表示装置100を各実施形態、および変形例における表示装置と置き換えても良い。
図9(b)に示すように、電子書籍150は、本体50、ヒンジ部51、リング52,53、回路部54、操作部55などから構成されている。
本体50は、ファイル(バインダー)であり、開閉自在に形成された表裏の台紙部分を備えている。
ヒンジ部51は、表裏の台紙部分の接合部に配置されており、リング52,53を備えている。また、ヒンジ部51は、開閉可能に形成されており、当該開閉に同期してリング52,53も開閉する構成となっている。
また、表の台紙部分には、タッチパネルからなる操作部55が設けられており、操作部55を操作用ペン57や、指で触ることにより、所望の画像を表示装置100に表示することができる。
ヒンジ部51の内部に配置された回路部54には、リチウムイオン電池などの充電型の電源部や、表示装置100に供給する画像データを生成する画像処理部、電子書籍150による様々な表示態様を規定したプログラムやデータを記憶した記憶部、当該プログラムやデータ、または操作部55への操作内容に応じて各部を制御する制御部、外部機器と接続して画像信号などを受信するインターフェイス部などが含まれている。
従って、通常の本と同様に取り扱うことが可能な電子書籍150を提供することができる。
図3を用いて説明する。
上記各実施形態では、表示パネル18は、全画素共通で白色光を出射し、表示面側に白色光からRGBの各色光を選択的に透過するカラーフィルターを設けた構成であるものとして説明したが、これに限定するものではない。色画素ごとに、RGBの色光が出射可能な構成であれば良い。
例えば、有機EL層8においてRGBの色画素ごとに、RGBの各色の発光層を形成した、いわゆる3色塗り分け方式による構成の表示パネルであっても良い。
また、上記各実施形態では、表示装置100は、アクティブマトリックス型であるものとして説明したが、パッシブ(単純)マトリックス型であっても良い。
この場合、素子層2は不要となり、有機EL層8を走査電極とデータ電極とで挟持する構成となる。例えば、走査電極は素子基板1側に形成し、データ電極はCF基板16側に形成する。なお、走査電極とデータ電極とは、平面視において格子状になるように、交差する方向にそれぞれ延在して形成される。
これらの構成であっても、上記各実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
図2を用いて説明する。
上記各実施形態では、補強部材28として、炭素繊維を含むCFRPを用いることとして説明したが、これに限定するものではない。同様の物性を有する材料であれば良い。また、実施形態2の補強部材29、実施形態3の補強部材30についても同様である。
例えば、CFRPに近い低熱変形性(低線膨張係数)を有するインバー(Ni含有率30〜50%の鉄合金)や、チタン、チタン合金などを用いて補強部材28を構成することであっても良い。
また、例えば、図8の構成において、額縁状の補強部材28には加工性の優れたインバーを使い、板状の補強部材30にはCFRPを用いるというように、これらの材料を組み合わせて用いても良い。
これらの構成であっても、上記各実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
図10は、変形例3に係る表示パネルの断面図であり、図3に対応している。
上記各実施形態では、表示パネル18は、有機ELパネルであるものとして説明したが、これに限定するものではない。一対の基板間に、電気光学層を挟持した薄型の表示パネルであれば良い。例えば、電気光学層として、電気泳動層を備えた電気泳動パネルであっても良い。
以下、変形例3に係る表示パネル68について説明する。なお、図3と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態の表示パネル68は、電気光学層として電気泳動層67を備えた反射型の電気泳動パネルである。
対向基板65は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板65における素子基板1側には、対向電極64が複数の画素電極6と対向して全面(ベタ状)に形成されている。対向電極64は、ITO等の透明導電材料から形成されている。
電気泳動層67は、複数のマイクロカプセル70、複数のマイクロカプセル70を保持するバインダー62、および接着層61などから構成されている。なお、表示パネル68は、電気泳動層67が予め対向基板65側にバインダー62によって固定されてなる電気泳動シートと、当該シートとは別途製造され、画素電極6などが形成された素子基板1とを、接着層61により接着することによって形成されている。
図10の右上の拡大図に示すように、マイクロカプセル70は、被膜75の内部に分散媒71と、複数の白色粒子72と、複数の黒色粒子73とを封入した構成となっている。マイクロカプセル70は、例えば、50μm程度の粒径を有する球状に形成されている。
被膜75は、アクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム、ゼラチン等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
分散媒71は、白色粒子72及び黒色粒子73をマイクロカプセル70内(言い換えれば、被膜75内)に分散させる媒質である。
黒色粒子73は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
これにより、白色粒子72および黒色粒子73は、画素電極6と対向電極64との間の電位差によって発生する電場(電位差)によって分散媒71中を移動するため、対向電極64側に集まった粒子の色調が表示されることになる。
なお、白色粒子72、黒色粒子73に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色などのカラー表示をすることもできる。
また、上述したマイクロカプセル方式に限定するものではなく、帯電性を有する電子粉流体を画素内に入れ、プラス・マイナスを切り替えることで表示の切り替え・オンオフを制御する電子粉流体方式の電気泳動パネルであっても良い。または、コレステリック液晶を用いた電気泳動パネルであっても良い。
これらの構成であっても、上記各実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
Claims (12)
- 一対のガラス基板間に電気光学層を挟持した表示パネルと、
前記表示パネルの表示領域側の第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面と、を覆うようにラミネートする樹脂フィルムと、を備え、
少なくとも前記第1の面を覆う前記樹脂フィルム上には、補強部材が設けられており、
前記補強部材は、前記表示パネルの表示領域に開口部を有するように形成されていることを特徴とする電気光学装置。 - 前記補強部材は、平面的に第1方向に延在する複数本の炭素繊維を含む第1炭素繊維層と、前記第1方向と交差する第2方向に延在する複数本の炭素繊維を含む第2炭素繊維層とによる積層構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記第1炭素繊維層、および前記第2炭素繊維層は、炭素繊維に樹脂を含浸させたプリプレグで形成され、
前記補強部材は、前記第1炭素繊維層と、前記第2炭素繊維層とを3層以上積層、および硬化させた積層体であることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。 - 前記補強部材は、インバー、またはチタン、若しくはチタン合金からなることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記補強部材の開口形状は、前記表示領域と同じ形状で設けられるとともに、
前記補強部材は、平面的に前記表示パネルの端部までを覆う大きさであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 前記補強部材は、前記第1の面を覆う前記樹脂フィルムの上に設けられた第1の補強部材と、前記第2の面を覆う前記樹脂フィルムの上に設けられた第2の補強部材と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記ガラス基板の厚さは、それぞれ100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記樹脂フィルムは、ポリエチレン系共重合材料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記補強部材の開口部には、前記表示領域を覆う光学フィルムが設けられており、
前記樹脂フィルムは、前記表示パネルと前記補強部材および前記光学フィルムとを貼り合わせる接着剤であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 前記表示パネルには、前記一対のガラス基板のうち、いずれか一方の前記ガラス基板の一辺が他方のガラス基板よりも張出した張出し領域が形成されており、
前記張出し領域には、フレキシブル基板の一端が接続され、
前記フレキシブル基板の一端は、前記樹脂フィルムによって覆われるとともに、前記フレキシブル基板の他端は、前記樹脂フィルムの端部から外部に露出していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気光学装置。 - 前記電気光学層は、有機発光層を含む有機EL層であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の電気光学装置を表示部として備えたことを特徴とする電子機器。
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