JP5288567B2 - 河川に設置する発電用水車 - Google Patents

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Description

本発明は、小さな河川でも設置できる発電用水車に関するものである。
最近、大規模の水力発電に代わって沢、小川、用水といった小河川に設置される水力発電(以下、略して小川発電と称する)が注目を集めている。理由は大がかりな工事を必要とせず、わずかな付帯工事で設置できるからである。もちろん、一基あたりの発電量はわずかであるが、これを集めると相当の発電量が確保できる。例えば、水深0.2m、幅0.6m、流速0.4m/sの小川で落差が1mの箇所に水車を据え付けて発電機を回すと、60%のエネルギー変換効率で、0.28kwの電力が得られ、年間を通すと2,450kwhとなる。これは1kwの太陽光発電の2.5倍程度になる(なお、一般家庭での年間消費電力量は5000kwh弱といわれている)。
このような小川発電も十分に利用価値があるので、下記特許文献1及び2を始めとして数多くのものが提案されている。いずれも小落差を利用して水車を回しており、特許文献1のものは上掛水車、特許文献2のものは下掛水車となっている。これら小川発電に要求されるものは、発電効率が良いこともさることながら、装置そのものが簡単で安価であること、施工のための工事が少なくて設置コストが安いこと、現場の状況に合わせて調整が容易であること、洪水や土砂草木に対して強いといったことである。いずれの特許文献のものも、それ相応の工夫をしてあるが、特別の現場工事を必要としたり、装置そのものが複雑であったりする。
特開2000−199471号公報 特開2004−251262号公報
本発明は、上記した小川発電に要求されるすべての条件をできるだけ充足するようにすることで、発電効率が高く、かつ、設置や維持のためのコストを安くできるようにしたものである。
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、河川の落差個所に設置され、外周に羽根を取り付けた軸を有する発電用水車であり、軸の半分側の羽根の上を遮蔽するとともに、軸を地面に対して一端が上方に持ち上がるように傾斜させ、かつ、落水面とほぼ平行に沿うような向きにしたことを特徴とする発電用水車を提供するとともに、これにおいて、請求項2に記載した、軸の傾斜角は地面に対して15〜70°が適し、より適切には40〜55°である構成を提供する。
また、本発明は、以上の発電用水車において、請求項3に記載した、軸に沿って遮蔽を兼ねて羽根を収容するケーシングを設けた手段、請求項4に記載した、ケーシングの真下付近から羽根の回転方向下流側の水平までの一部又は全部を開放した手段、請求項5に記載した、落水を受ける側の羽根が水平より下方に傾いている手段を提供する。
一般に、発電用水車としては、流速が早くて流量が少ない場合には速度水頭による衝動水車が適し、流速は遅いが、流量が多いような場合には圧力水頭による反動水車が適しているといわれている。そこで、請求項1の発明、すなわち、軸を落水面とほぼ平行にして一端を持ち上げて傾斜させると、羽根の翼面に衝突した水が下位の羽根の表に当たって回転力の向上に寄与する良い影響を与える。つまり、衝動水車に加えて反動水車的な役割を果たして水車の回転効率(回転数)を上げるのである。
この場合、請求項3の手段によるケーシングを設けると、ケーシングの中を水が流下し、下位の羽根の表面により多くの水を衝突させることになる。一方で、この流下する水を何時までも滞らせるておくと、下位の羽根に対して悪い影響をも与えかねないので、請求項4の手段のようにケーシングの後半部分を開放してよい影響を与えた水を速やかに排出させる。
加えて、本発明は、軸、羽根及び場合によってはケーシングからなる簡単な構造をしているとともに、付帯設備としてこれらを支える架台のようなものを製作するだけでよく、また、取付けは現状の落差をそのまま利用すればよい。したがって、据付け、調整も簡単であり、全体のコストが安い。さらに、請求項2〜4の構成によれば、この水車の機能をそれぞれの目的の下に高めることができる。
本発明の発電用水車の設置例を示す正面図である。 上記設置例の側面図である。 上記設置例の平面図である。 発電用水車の一部を示す側面図である。 水車を示す正面図である。 ケーシングを軸と直交する面で切断した状態を示す端面図である。 水車の回転中におけるケーシング内の水の流れを示す正面視説明図である。 ガイド付のケーシングを軸に直交する面で切断した端面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1〜図3はそれぞれ本発明の発電用水車の設置例を示す正面図、側面図及び平面図、図4は発電用水車の一部を示す側面図、図5は軸と羽根との関係を示す側面図であるが、本発明の発電用水車は、河川a1 の落差(滝となる部分)a2 個所に設置され、落差aから落ちる落水b1 を受けて回転させられるもので、落水b1 の下に設けられる軸1と羽根(ランナ)2を有する。なお、以下の例では、羽根を収容するケーシング3を備えたもので説明する。
これにおいて、軸1は直状の棒体であり、落差a2 の幅方向に向けられ、かつ、傾斜して設置される。本発明では、この軸1が傾斜角θ1 で傾斜していることが不可欠の要件である。ただ、この傾斜角θ1 は、衝動水車的な働きと反動水車的な働きの両方をさせるためにはあまり小さくてもよくないし、極端に大きすぎてもよくない(後述する実験で証明)。この点が単一の衝動水車や反動水車とは違う点である。
羽根2は軸1に取り付けられるものであるが、一本の軸1に複数枚設けられることが条件である。本例では、製作上の点から一枚の羽根2を4つに分割したものにしているが、連続したものにしてもよい。なお、羽根2を取り付ける間隔は適当でよい。さらに、本例では、羽根2を平板としているが、その表面(落水b1 を受ける面)を凹ませることは落落水b1 を受ける時間が長くなることから、通常の水車でも行われており、効果があると考えている。
後述するように、ケーシング3の上面の約半分は開口しており、この開口下において、傾斜角θ1 で傾斜している軸1に対して羽根2は水平でもよいが、傾斜角θ1 とは逆の傾斜をつけて下向きに取り付けられているのが好ましい。この羽根2の水平より下向きの角度をここでは突っ込み角θ2 と称することにする。
ケーシング3は羽根2の外周を軸1に沿って設けられる円筒形をしたものである。ケーシング3が存在することで、上位の羽根2に衝突して翼面を滑り下りた水は下位に流れて行き、下位の羽根2に良い影響を与えることがある。
このケーシング3は固定されるものであり、河川a1 の底等に適当な架台(図示省略)で設置されている。なお、ケーシング3は単なる筒であるが、上下端ではスポーク4を内方に張り出し、その中心でベアリング(図示省略)によって軸1を回転可能に軸支している。図6は軸1とケーシング3の断面図であるが、ケーシング3を断面で見た場合、その上面の半分、すなわち、円周の1/4を開口させてここを受水溝5としている(溝としたのは、ケーシングの軸芯に沿って溝状に形成されるからである)。したがって、落水b1 はこの受水溝5のみからケーシング3に落下し、他の半分では遮断される。
この場合、ケーシング3は受水溝5を除いて全部が閉鎖されるものよりも、少なくとも軸1の真下前後から回転方向(イ)下流側である水平までの一部若しくは全部を開口した排水溝6を有するものの方が総じて好ましい。なお、排水溝6の位置や幅については後述する。ただし、羽根2に衝突して翼面を滑り下りた水はケーシング3の下方に流下して当該羽根2や下位の羽根2に良い影響と悪い影響を与えることがあるのは上述した。
図7は落水b1 がケーシング3内を流下するときの概念的な説明図であるが、良い影響とは、羽根2の翼面に衝突した水が、当該羽根2や下位の羽根2の表面に当たって回転力を向上させることであり(A)、悪い影響とは、当該羽根2や下位の羽根2の裏面に当たって回転力を減殺させることである(B)。いずれの影響、特に、良い影響を与えるためには、羽根2の外端とケーシング3の内周とはあまり隙間が大きいのは好ましくない。しかし、あまり隙間が小さいと、土砂や草木或いはゴミがこの隙間に詰まる虞がある。しかし、この草木等は受水溝5の上に適当な網目のスクリーン(図示省略)を設置することである程度解決できる。
図8はケーシング3を軸1に直交する面で切断した端面図であるが、ケーシング3の受水溝5の上側の前後には落水b1 を誘導するガイド7を設けている。このガイド7は一般的には平板からなり、このガイド7は上側ほど間隔が広い漏斗状のもので、広範囲の落水b1 を受水溝5に誘導する役目を果たすものである。この他、図1等において、Gは軸1の高い方の軸端等に取りつけられて軸1の回転によって駆動される発電機である。また、a3 は落差a2 個所の底であり、a4 は落差箇所の下流側の小川である。なお、ある程度まとまった発電量を確保するには、これら各発電機の電力を集電することはいうまでもないことである。
以下に、軸1の傾斜角θ1 、ケーシング3の有無及び排水溝6の位置と幅並びに羽根2の突っ込み角θ2 をファクターとしてかきの実験を行ってみた。この実験は次のような仕様の装置で行った。
1)軸
長さ :95cm
傾斜角θ1 :0〜55°
2)羽根
枚数 :4
突っ込み角θ2 :0〜20°
幅 :7cm
外径d :14cm(軸からの突出長さ:4.5cm)
軸方向への取付け長さ :軸の中心を振り分けに45cm
3)ケーシング
長さ ;95cm
内径D :16.5cm
排水溝の位置及び幅 :受水溝以外を閉鎖したものを閉鎖型、真下を過ぎて45°から始まって水平までを開放したものを一部開放型、真下から水平までを開放したものを開放型と称する。
4)落水
落水の水量 :4L/sec
落水の落下容量 :35×3cm
落水の落下長さ(θ1 =45°):羽根の上端で90cm、下端で116cm
以上の条件のそれぞれで何回か実験を行い、その高値と低値のそれぞれの平均値及び平均値の平均値を算出した。実験は軸を無負荷として、これに回転計を当ててその回転数(RPM)を計測した。その結果が表1である。
(表1)
これを見ると、次のようなことがいえる。
まず、軸1の傾きであるが、これは本発明では不可欠な要件であることがわかる。理由は、軸1が傾いていないものは高い数値が得られてないからである。問題は、軸1の傾斜角θ1 であるが、表1からは40〜55°が適していることがわかる。ただ、上記の角度が適しているものの、落水b1 の形態、すなわち、勢いよく飛び出す滝か、チョロチョロしか落ちない滝とでは15〜70°の範囲で変動するのではないかと予測している。
次に、ケーシング3の有無であるが、表1を見る限りではあった方が好ましい。理由は、ケーシング3が存在するものの方が総じて数値が高いからである。ただ、排水溝6の位置、幅については、開放型、中でも、一部開放型がもっとも好ましく、閉鎖型や開放型では数値の悪くなっているものもある。一方で、ケーシング3は必ずしもなくてもよい。理由は、ケーシング3のないものでも、結構数値が高いものがあり、ベストテンに入っているものがある位である。
最後に羽根2であるが、これは、突っ込み角θ2 を有して(水平より下向き)その値が大きい方が総じて好ましいといえる。これらを総合すると、もっとも回転数の高いベストワンは実験番号22のものであり、これは、通常の上掛水車(衝動水車)である実験番号1のものに比べて約137%の向上がみられた。
このことを含めて、軸1が特定の範囲の傾斜角θ1 で傾いていてこれに取り付けられる羽根2が特定の範囲の突っ込み角θ2 を有しており、かつ、一部開放型のケーシング3を有しているものが優れているといえる。
なお、軸1の傾斜角θ1 は大きいほど総じて結果はよく、その反面で55°を超えるものについては実験をしていないが、55°のものでも羽根2に突っ込み角θ2 を与えると、数値がかなり低下している(実験番号26)。したがって、この角度を超えると羽根2の突っ込み角02 は小さい方がよいのではないかと考えている。以上、要するに、軸1と羽根2の傾き及びケーシング3の有無と排水溝6の位置、幅は密接な相関性を有していることがわかった。これらのベストを選択するのが本発明の目的であり、この実験結果から上述の傾向を把握できた。
さらに、実際では軸1に発電機Gを取り付けることから、軸1の抵抗は増す。したがって、より多くの水がケーシング3内に溜まり、圧力水頭的な要素が更に高まるのではないかと予想している(速度水頭は変わらない)。なお、落水b1 が羽根2の翼面を滑り下りるときに水が下方に向くように羽根2の傾きを水平より上方(突っ込み角02 がマイナス)にしたものを試してみたが、結果は表1の成績よりも悪かった。その原因は、上述した悪い影響が強く出たためと思われる。
1 軸
2 羽根
3 ケーシング
4 スポーク
5 受水溝
6 排水溝
7 ガイド

Claims (5)

  1. 河川の落差個所に設置され、外周に羽根を取り付けた軸を有する発電用水車であり、軸の半分側の羽根の上を遮蔽するとともに、軸を地面に対して一端が上方に持ち上がるように傾斜させ、かつ、落水面とほぼ平行に沿うような向きにしたことを特徴とする発電用水車。
  2. 軸の傾斜角は地面に対して15〜70°が適し、より適切には40〜55°である請求項1の発電用水車。
  3. 軸に沿って遮蔽を兼ねて羽根を収容するケーシングを設けた請求項1又は2の発電用水車。
  4. ケーシングの真下付近から羽根の回転方向下流側の水平までの一部又は全部を開放した請求項3の発電用水車。
  5. 落水を受ける側の羽根が水平より下方に傾いている請求項1〜4いずれかの発電用水車。
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