JP5293631B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車の操舵輪に舵角を付与する為のステアリング装置のうち、二次衝突時に、ステアリングコラムの後方寄り部分を支持するアッパブラケットが車体から離脱する事により、ステアリングホイールを前方へ変位させて、運転者に加わる衝撃を緩和する機能を備えたステアリング装置の改良に関する。
操舵輪に舵角を付与する為のステアリング装置は、図14に示す様に、ステアリングホイール1の動きをステアリングシャフト2を介してステアリングギヤに伝達し、左右の操舵輪3に舵角を付与する様にしている。又、上記ステアリングホイール1と運転席との位置関係は、運転者の体格や運転姿勢により変化する為、良好な運転姿勢を実現する為に、ステアリングホイール1の前後位置及び上下位置を調節する事が行われている。この様なステアリングホイール1の位置調節機能を備えたステアリング装置として、チルト・テレスコピック式のステアリング装置が広く使用されている。
図15〜16は、チルト・テレスコピック式のステアリング装置として従来から知られた、従来構造の第1例を示している。この従来構造の第1例として示したステアリング装置は、電動式パワーステアリング装置付きのもので、後端部(図15の右端部。前後方向に関しては、車両の前後方向で表す。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)にステアリングホイール1を固定したステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2をその内側に回転自在に支持したステアリングコラム4と、このステアリングシャフト2に補助トルクを付与する為の操舵力補助装置(アシスト装置)5と、上記ステアリングシャフト2の回転に基づきタイロッド6、6を変位させる(押し引きする)為のステアリングギヤユニット7とを備える。
このうちのステアリングシャフト2は、インナーシャフト8とアウターシャフト9とを、回転力の伝達自在に、且つ、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成る。これらインナーシャフト8とアウターシャフト9とは、軸方向に相対変位する事で上記ステアリングホイール1の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際には上記ステアリングシャフト2の全長を縮める。
上記ステアリングコラム4は、インナーコラム10とアウターコラム11とを、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成り、上記ステアリングホイール1の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際には、上記ステアリングシャフト2と共に全長を縮める。上記インナーコラム10の前端部(図15の左端部)は、上記操舵力補助装置5を構成するギヤハウジング12の後端面に結合固定している。又、上記インナーシャフト8は、このギヤハウジング12内に挿入し、このインナーシャフト8の前端部を、上記操舵力補助装置5を構成する入力軸に結合している。又、この入力軸にトーションバーを介して連結された、同じく上記操舵力補助装置5を構成する出力軸13の前端部を、上記ギヤハウジング12の前端面から突出させている。
又、上記ステアリングコラム4を構成するインナー、アウター両コラム10、11のうち、前方側に配置されたインナーコラム10は、ロアブラケット14により、上記ギヤハウジング12を介して、ダッシュボードの下面等、車体15の一部に支持されている。又、上記ロアブラケット14は、このロアブラケット14に対して回転自在に支持されたピボットピン16を中心として、上記ギヤハウジング12を揺動自在に支持している。
一方、上記ステアリングコラム4を構成するインナー、アウター両コラム10、11のうち、後方側に配置されたアウターコラム11は、その中間部をアッパブラケット17により、車体15の一部に支持されている。又、このアッパブラケット17は、車体15に対して、前方に向いた強い衝撃が加わった場合に、前方に離脱(脱落)する様に支持されている。
この為に、図16に示す様に、上記アッパブラケット17を構成する左右1対の側壁部18、18の上端部を互いに反対方向に折り曲げる事により支持板部19、19を形成し、これら両支持板部19、19に切り欠き20、20を、これら両支持板部19、19の後端縁に開口する状態で設けている。そして、これら両切り欠き20、20に、図示しないボルトにより車体15に固定されたカプセル21、21を係止している。これら各カプセル21、21は、それぞれの左右両側面に上記各切り欠き20、20の左右両側縁部を係合させる為の係合溝22、22を、中間部に図示しないボルトを挿通させる為の上下方向通孔23を、それぞれ形成している。
衝突事故の際には、運転者の身体から前記ステアリングホイール1、前記ステアリングシャフト2を介して上記ステアリングコラム4に、前方に向いた大きな衝撃荷重が加わる。そして、これらステアリングシャフト2及びステアリングコラム4が、この衝撃のエネルギを吸収しつつ全長を縮める傾向になる。この結果、上記アッパブラケット17が、上記ステアリングコラム4(アウターコラム11)と共に前方に変位する傾向になるのに対し、上記両カプセル21、21は、上記ボルトと共にそのままの位置に止まる。この結果、これら両カプセル21、21が上記両切り欠き20、20から後方に抜け出し、上記ステアリングホイール1が前方に変位する事を許容する。
又、上記ステアリングホイール1の前後位置及び上下位置を調節可能とすべく、上記アウターコラム11を、上記アッパブラケット17に対して、前後移動及び上下移動を可能に支持している。この為に、上記アウターコラム11の中間部下面に被支持ブラケット24を溶接固定し、この被支持ブラケット24を上記アッパブラケット17を構成する両側壁部18、18により挟持している。又、この被支持ブラケット24の左右両側壁の互いに整合する位置には、それぞれ前後方向に長い第一長孔25、25を、上記各側壁部18、18の一部で互いに整合し、且つ、これら各第一長孔25、25の前後方向の一部と整合する部分には上下方向に長い第二長孔26、26を、それぞれ形成している。そして、上記第一長孔25、25及び第二長孔26、26を一方から他方(図16の右から左)に挿通した結合ボルト27の他端に、結合ナット28を螺合させている。
又、上記結合ナット28は、調節レバー42により回転自在としている。従って、この調節レバー42の操作に基づいて上記結合ナット28を回転させ、この結合ナット28と上記結合ボルト27の頭部29との間隔を変化させれば、上記被支持ブラケット24を固定したアウターコラム11を、上記アッパブラケット17に対し固定したり、或は固定を解除する事ができる。従って、上記結合ナット28と上記頭部29との間隔を広げた状態では、上記結合ボルト27が上記各第一長孔25、25の内側で変位できる範囲内で、上記アウターコラム11を前後移動させて、上記ステアリングホイール1の前後位置の調節を行える。更に、上記結合ボルト27が上記各第二長孔26、26の内側で変位できる範囲内で、上記アウターコラム11(ステアリングコラム4)を上下移動させて、上記ステアリングホイール1の上下位置の調節を行える。この際、上記ステアリングコラム4は、前記ピボットピン16を中心として、上下方向に揺動変位する。
又、前記操舵力補助装置5を構成する出力軸13の前端部は、自在継手30を介して、中間シャフト31の後端部に連結している。又、この中間シャフト31の前端部に、別の自在継手32を介して、前記ステアリングギヤユニット7の入力軸33を連結している。又、上記ステアリングギヤユニット7は、図示しないラック及びピニオンを備え、このうちのピニオンに上記入力軸33を結合している。又、このピニオンと噛合する上記ラックは、両端部に前記タイロッド6、6を連結しており、このラックの軸方向変位に基づいてこれら各タイロッド6、6を押し引きする事で、図示しない操舵輪に所望の舵角を付与する。又、上記操舵力補助装置5は、電動モータ34によりウォーム減速機を介して、前記出力軸13に、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを付与する。
上述した様に、従来構造の第1例のステアリング装置の場合、二次衝突時に、ステアリングコラムの後方寄り部分(アウターコラム)を支持するアッパブラケットを、カプセルから離脱させて、ステアリングホイールの前方への変位を許容するが、この様な機能を備える事で、次の様な問題を生じる可能性がある。
第一に、二次衝突によって、アッパブラケット17がカプセル21、21から離脱した後に、ステアリングコラム4(及びステアリングコラム4の内側に支持されたステアリングシャフト2、ステアリングシャフト2の後端部に結合されたステアリングホイール1)が、その自重によって下方に落下する(ピボットピン16を中心に回転し、落下する)と言った問題を生じる。この様にして、上記ステアリングコラム4が落下した場合には、ステアリングホイール1の位置が、通常の設置位置から大きくずれる為、運転者が操舵操作を行いにくくなる。
又、上記ステアリングコラム4が落下すると言った問題は、衝突事故が発生した場合に限らず、ステアリングホイール1の前後位置の調節時にも生じる可能性がある。即ち、調節レバー42の操作に基づいて結合ナット28を回転させ、この結合ナット28と結合ボルト27の頭部29との間隔を広げた状態で、上記ステアリングホイール1を前方に、必要以上に強い力でストロークエンド(第一長孔25の後端縁部)まで繰り返し押し下げた様な場合に、上記結合ボルト27を介して上記アッパブラケット17に前方に向いた強い力が作用する。この為、このアッパブラケット17が上記両カプセル21、21から離脱する可能性がある。従って、この様なステアリングホイール1の前後位置の調節時に於いても、上記ステアリングコラム4が下方に落下する可能性がある。
第二に、上記アッパブラケット17が上記両カプセル21、21から離脱した状態で、上記ステアリングコラム4を構成するインナーコラム10とアウターコラム11とが不用意に分離する可能性がある。例えば二次衝突によって、上記アッパブラケット17が上記両カプセル21、21から離脱すると共に、上記ステアリングコラム4がその全長を縮めて下方に落下した状態で、運転者等が上記ステアリングホイール1を引き上げると、上記アウターコラム11が上記インナーコラム10から分離する(インナーコラム10の周囲から抜け出る)可能性がある。この為、この様なインナーコラム10とアウターコラム11との分離防止を図る為に、分離防止の為の専用の部品を設ける等する必要があり、この場合には、部品点数の増加、組立工数の増加等に伴って、ステアリング装置全体としてのコスト上昇を招く。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1に記載された発明がある。図17〜18は、この特許文献1に記載された従来構造の第2例のステアリング装置を示している。この従来構造の第2例の場合、ステアリングコラム4aを構成するインナーコラム10aを、ロアブラケット14aに支持したピボットピン16aを中心とする揺動可能に支持している。又、上記ステアリングコラム4aを構成するアウターコラム11aを、アッパブラケット17aにより車体に支持すると共に、このアッパブラケット17aをカプセル21aを介して、車体に対し前方に離脱可能に支持している。更に、上記ロアブラケット14aと上記アッパブラケット17aとの間にエネルギ吸収プレート35を掛け渡す状態で設けると共に、このエネルギ吸収プレート35の長さ方向中間部に形成した逆U字状の湾曲部36を、上記アッパブラケット17aに固定した扱きピン37に係合させている。
以上の様な構成を有する従来構造の第2例の場合、二次衝突時に、上記ステアリングコラム4aに前方に向いた大きな衝撃荷重が加わると、上記扱きピン37により上記エネルギ吸収プレート35を塑性変形させながら、上記アッパブラケット17aが離脱・移動(コラプス移動)する。この為、二次衝突に伴って、ステアリングホイールに加えられた衝撃エネルギを、上記エネルギ吸収プレート35を塑性変形させる事によって吸収する事ができる。
但し、上述の様な従来構造の第2例の場合には、二次衝突の際に、運転者に加わる衝撃を小さく抑える面から不利になる可能性がある。即ち、上記湾曲部36と上記扱きピン37とが、上記アッパブラケット17aが離脱動作を開始していない状態(コラプス移動開始以前の状態)で隙間なく係合している。この為、上記アッパブラケット17aが離脱動作を開始する瞬間から、上記エネルギ吸収プレート35を塑性変形させ始める必要がある。従って、運転者の身体からステアリングホイールに加わった衝撃荷重に対して、上記エネルギ吸収プレート35の変形抵抗が、上記アッパブラケット17aの離脱抵抗、及び、上記ステアリングコラム4a及びステアリングシャフト2aの初期動き出し抵抗(各部の静止摩擦力)等と同時に作用する。この結果、ステアリングホイールの前方への変位を開始させる為の、二次衝突発生直後のピーク荷重が上昇し易くなる。このピーク荷重が大きくなる事は、ステアリング装置の技術分野で周知の様に、衝突事故の際に運転者を保護する面からは好ましくない。
更に、従来構造の第2例の場合には、上記アッパブラケット17aを前方へと円滑に移動させられなくなる可能性がある。即ち、二次衝突時に、このアッパブラケット17aは、左右の側壁部18aに形成したスリット孔38内を挿通したピン部材39から入力される力に基づき前方へと移動するが、この前方への移動に対して、上記湾曲部36と上記扱きピン37との係合部が抵抗となる。特に従来構造の第2例の場合には、この抵抗部(湾曲部36と扱きピン37との係合部)が、上記アッパブラケット17aの移動方向に関して1個所にのみ設けられている為、このアッパブラケット17aが上記両カプセル21aから離脱し、前方へと移動する際に、上記抵抗部を支点として時計回りに回転し易く(こじれ易く)なる。この結果、このアッパブラケット17aを前方へと円滑に移動させられなくなる可能性がある。
特開2009−90737号公報
本発明のステアリング装置は、上述の様な事情に鑑み、アッパブラケットが離脱部材から離脱した場合にも、ステアリングコラムが下方に落下する事を防止できると共に、ステアリングコラムを構成するインナーコラムとアウターコラムとが不用意に分離する事を防止できる構造を実現するものである。又、ステアリングホイールの前方への変位を開始させる為の、二次衝突発生直後のピーク荷重が過大になる事を防止できる構造を実現するものである。更に、必要に応じて、アッパブラケットの前方への移動を利用して、衝撃エネルギの吸収を行える構造を実現するものである。
本発明のステアリング装置は、前記図15〜16に示した従来構造の第1例のステアリング装置と同様に、ステアリングコラムと、ロアブラケットと、アッパブラケットと、離脱部材とを備える。
上記ステアリングコラムは、インナーコラムとアウターコラムとを、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成り、その内側にステアリングシャフトを回転自在に支持する。
又、上記ロアブラケットは、上記ステアリングコラムを構成する上記インナー、アウター両コラムのうち、前方側に配置された一方のコラムを、車体に対して支持する。
又、上記アッパブラケットは、上記ステアリングコラムを構成する上記インナー、アウター両コラムのうち、後方側に配置された他方のコラムを、車体に対して前後移動可能に(テレスコピック調節を可能に)支持する。
更に、上記離脱部材は、車体に固定されて、上記アッパブラケットを前方へと離脱可能に支持する。
特に、本発明のステアリング装置に於いては、前端部を上記ロアブラケットに対し揺動自在に支持された他の部材(例えば操舵力補助装置を構成するギヤハウジング)に連結すると共に、後端部を上記離脱部材と共に上記車体に固定し且つ上記アッパブラケットに対し分離可能として、上記他の部材と上記車体に固定された部分との間に掛け渡す様に、ガイド部材を設けている。又、このガイド部材の前端部により上記他の部材に対して、上方に向いた弾力を付与している。
これに対し、上記アッパブラケットには、上記ガイド部材の長さ方向に離隔した状態で、前後方向に貫通した複数(例えば2個或いは3個)のガイド孔を設けている。そして、これら各ガイド孔内に、上記ガイド部材の長さ方向中間部を挿通している。
又、このアッパブラケットの離脱動作開始時の状態で、上記ガイド孔の内面と上記ガイド部材の外面との間に隙間を設けている。
又、上述した本発明のステアリング装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記アッパブラケットが離脱動作を開始して前方へと所定量移動した後に、上記ガイド孔の内面と上記ガイド部材の外面とを係合させて、二次衝突時の衝撃エネルギを吸収する。
又、上述した請求項2に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、上記アッパブラケットの前方への移動量が大きくなるに従って、上記ガイド孔の内面と上記ガイド部材の外面とが係合する程度を大きくして、上記アッパブラケットが前方に移動する事に対する抵抗を大きくする。
上述の様に構成する本発明のステアリング装置によれば、アッパブラケットが離脱部材から離脱した場合にも、ステアリングコラムが下方に落下する事を防止できると共に、ステアリングコラムを構成するインナーコラムとアウターコラムとが不用意に分離する事を防止できる。更に、ステアリングホイールの前方への変位を開始させる為の、二次衝突発生直後のピーク荷重が過大になる事を防止できる。
即ち、本発明のステアリング装置の場合、二次衝突時やステアリングホイールの前後位置調節時に、上記アッパブラケットが離脱部材から離脱した場合にも、このアッパブラケットは、ガイド孔内に挿通されたガイド部材に案内されて、このガイド部材に沿って前方へと移動する。この為、上記ステアリングコラムは、上記アッパブラケットを介して上記ガイド部材に吊り下げられた状態のままその全長を縮め、全長が収縮し切った状態に於いても、このガイド部材に吊り下げられたままである。従って、上記ステアリングコラムが下方に落下する事を防止できる。
又、上記アッパブラケットが上記離脱部材から離脱した後にも、上記ガイド部材の両端部は、上記ロアブラケット又はこのロアブラケットに支持された他の部材と上記離脱部材とにそれぞれ固定されたままである。この為、運転者等がステアリングホイールを引き上げる等した場合にも、上記ガイド孔が上記ガイド部材から抜け出る事はない。従って、上記ステアリングコラムを構成するインナーコラムとアウターコラムとが不用意に分離する事を防止できる。
この結果、本発明によれば、上記アッパブラケットが上記離脱部材から離脱した後に於いても、ステアリングホイールの位置を、通常の設置位置に近い状態に維持する事ができる為、運転者が操舵操作を行い易くなる。又、インナーコラムとアウターコラムとの分離防止を、専用の部品を設ける事なく実現できる為、ステアリング装置全体としてのコスト上昇を抑える事もできる。
、上記アッパブラケットの離脱動作開始時に於いて、上記ガイド孔の内面と上記ガイド部材の外面との間に隙間が設けられている為、上記アッパブラケットが離脱動作を開始する(前方へのコラプス移動を開始する)際に、上記ガイド孔の内面と上記ガイド部材の外面との間に摩擦力は作用しない。従って、ステアリングホイールの前方への変位を開始させる為の、二次衝突発生直後のピーク荷重が過大になる事を防止できる。
又、上記アッパブラケットには、上記ガイド部材の長さ方向に離隔した状態で、前後方向に貫通した複数のガイド孔を設けている為、上記アッパブラケットが前方へと移動するに際して、こじりが発生しにくくなる。この為、このアッパブラケットの前方への移動を円滑に行わせる事ができる。
更に、上記ガイド部材の前端部により上記他の部材に対して、上方に向いた弾力を付与している為、このガイド部材にチルトスプリングと同様の機能を発揮させ、ステアリングホイールの位置調節の際に、このステアリングホイールやステアリングコラム等の重量を支え、このステアリングホイールが下降する事を防止する事もできる。
又、請求項2に記載した発明の場合には、上記ガイド部材に、エネルギ吸収部材としての機能を持たせる事ができる。この為、ステアリング装置の他の部分に、エネルギ吸収部材又はエネルギ吸収構造等を設ける必要がなくなるか、或いは、その数を少なくできる。
又、請求項3に記載した発明の場合には、上記アッパブラケットの前方への移動量(コラプスストローク)が大きくなるに従って、衝撃エネルギの吸収量を増大させる事ができる。この為、上記アッパブラケットの前方への変位量を十分に確保できない場合にも、ステアリングホイールの前方への変位の途中で、運転者の身体に大きな衝撃が加わる事を防止しつつ、短いコラプスストロークで衝撃エネルギを効率良く吸収する事ができる。
本発明の実施の形態の第1例のステアリング装置を示す略側面図。 同じく図1のA−O−A断面図。 同じく1対のガイド部材を取り出して示す平面図。 同じくガイド部材を取り出して示す側面図。 同じく図1のB部拡大図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図。 同じく第3例を示す、図3と同様の図。 同じく第4例を示す、図3と同様の図。 図8に示したガイド部材を3個所で切断した場合の断面図であり、(a)はC−C断面図を(b)はD−D断面図を(c)はE−E断面図をそれぞれ示す。 本発明の実施の形態の第5例を示す、図4と同様の図。 同じく第6例を示す、図4と同様の図。 同じく第7例を示す、図4と同様の図。 本発明のステアリング装置に適用可能なガイド部材の一部を示す略図 車両に搭載したステアリング装置の1例を示す略斜視図。 従来構造の第1例のステアリング装置を示す略側面図。 図15のF−F断面図。 従来構造の第2例のステアリング装置を示す略側面図。 同じく図17のG部拡大図。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例のステアリング装置の特徴は、ギヤハウジング12とアッパブラケット17bとの間に、1対のガイド部材40、40をそれぞれ掛け渡す様に設けると共に、これら両ガイド部材40、40の長さ方向中間部を、上記アッパブラケット17bに形成したガイド孔41a、41b内にそれぞれ隙間を設けた状態で挿通した点にある。その他の部分の構造及び作用・効果に就いては、前述した従来構造の第1例の場合とほぼ同様であるから、同等部分に関する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合にも、ステアリングコラム4bは、ステアリングホイール1をその後端部に固定したステアリングシャフト2を、その内側に回転自在に支持している。又、上記ステアリングコラム4bは、インナーコラム10bとアウターコラム11bとを、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成り、上記ステアリングホイール1の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際には、上記ステアリングシャフト2と共に全長を縮める。
又、上記インナー、アウター両コラム10b、11bのうち、前方側に配置されたインナーコラム10bは、ロアブラケット14bにより、操舵力補助装置5を構成するギヤハウジング12を介して、ダッシュボードの下面等、車体15の一部に、ピボットピン16を中心として、揺動自在に支持されている。
一方、上記ステアリングコラム4bを構成するインナー、アウター両コラム10b、11bのうち、後方側に配置されたアウターコラム11bは、上記アッパブラケット17bにより、車体15に対して、その中間部を支持されており、このアッパブラケット17bは、車体15に対して、前方に向いた強い衝撃が加わった場合に、前方に離脱する様に支持されている。この為に、本例の場合にも、前述した従来構造の第1例の場合と同様に、上記アッパブラケット17bの上辺を構成する支持板部19a、19aに切り欠き20、20を形成し、これら両切り欠き20、20にカプセル21、21を係止している。これら両カプセル21、21が、特許請求の範囲に記載した離脱部材に相当する。
又、上記ステアリングホイール1の前後位置及び上下位置を調節可能とすべく、上記アウターコラム11bを、上記アッパブラケット17bに対して、前後方向及び上下方向に移動可能に支持している。この為に、本例の場合にも、前述した従来構造の第1例の場合と同様に、結合ナット28と結合ボルト27の頭部29との間隔を、調節レバー42を操作する事により変化させて、この結合ボルト27を、前後方向に長い第一長孔25、25、及び、上下方向に長い第二長孔26、26の内側で変位させる。これにより、上記ステアリングホイール1の前後位置及び上下位置を調節可能としている。
特に本例の場合には、上記アッパブラケット17bが上記両カプセル21、21から離脱する以前の状態で、特許請求の範囲の他の部材に相当する上記ギヤハウジング12とこのアッパブラケット17bとの間に、1対のガイド部材40、40をそれぞれ掛け渡す様に設けている。又、これら両ガイド部材40、40を、図3に示した様に、車体の幅方向(図3の上下方向)に離隔した状態で互いに平行に配置すると共に、図4に示した様に、前記ステアリングコラム4bのコラム中心軸αに対して平行に配置している。
又、上記両ガイド部材40、40は、例えばステンレス鋼、炭素鋼等の鉄系合金製で、図3に示す様に、全体を長板状としており、板厚及び両端部を除く幅寸法は全長に亙り一定である。又、上記各ガイド部材40、40の長さ方向両端部には、それぞれボルト挿通孔43a、43bが形成されている。これら両ボルト挿通孔43a、43bのうち、上記両ガイド部材40、40の前端部を上記ギヤハウジング12に対して連結する為に利用するボルト挿通孔43aは、上記両ガイド部材40、40の前端部と上記ハウジング12との相対変位を可能とし、上記ステアリングホイール1の上下位置の調節を可能とすべく、上記両ガイド部材40、40の長さ方向に長い長孔としている。これに対して、上記両ガイド部材40、40の後端部を上記アッパブラケット17bに連結する為に利用するボルト挿通孔43bは、単なる円孔である。
そして、本例の場合には、上記両ガイド部材40、40の前端部を、上記各ボルト挿通孔43a、43aを上方から挿通したボルト44aによって、上記ギヤハウジング12の上面に対して相対変位を可能(スライド自在)に連結している。又、上記両ガイド部材40、40の後端部を、上記各ボルト挿通孔43b、43bを下方から挿通したボルト44bによって、上記アッパブラケット17bを離脱可能に保持した上記両カプセル21、21と共に、車体15に対して固定している。従って、上記両ガイド部材40、40の後端部は、上記アッパブラケット17bに分離可能に連結している。尚、本例の場合には、上記両ガイド部材40、40の後端部と上記両カプセル21、21とを、共通のボルト44b(図2には図示省略)によって車体15に固定している。又、本例の場合には、上記両ガイド部材40、40の前端部により、上記ギヤハウジング12に対して上方に向いた弾力を付与している。これにより、上記両ガイド部材40、40にチルトスプリングと同様の機能を発揮させ、前記ステアリングホイール1の位置調節の際に、このステアリングホイール1や前記ステアリングコラム4b等の重量を支え、このステアリングホイール1が下降する事を防止している。
又、上記両ガイド部材40、40を、上記ギヤハウジング12と上記アッパブラケット17bとの間に掛け渡す様に配置した状態で、上記両ガイド部材40、40の長さ方向中間部を、上記アッパブラケット17bに形成したガイド孔41a、41b内にそれぞれ挿通している。これら両ガイド孔41a、41bのうち、上記アッパブラケット17bの前方側に設けられたガイド孔41a、41aは、このアッパブラケット17bを構成する前記両支持板部19a、19aの前端部を下方に向けてほぼ直角に折り曲げる事により形成した前板部45に対して、前後方向に貫通する状態でそれぞれ形成されている。これに対して、上記アッパブラケット17bの後方側に設けられたガイド孔41b、41bは、上記両支持板部19a、19aの前後方向中間部下面から下方に垂下した状態で設けられた後板部46、46に対して、前後方向に貫通する状態でそれぞれ形成されている。この様にして形成された上記両ガイド孔41a、41bは、上記ガイド部材40、40の長さ方向に離隔しており、それぞれの中心軸を同一直線上に存在させている。
又、本例の場合には、上記両ガイド孔41a、41bを矩形孔状としている。特に、これら各ガイド孔41a、41bの内寸のうち、幅方向に関する内寸(図3の上下方向に関する寸法)を、上記両ガイド部材40、40の幅方向寸法よりも僅かに大きくすると共に、上下方向に関する内寸(図1、2の上下方向に関する寸法)を、これら両ガイド部材40、40の板厚よりも僅かに大きくしている。これにより、本例の場合には、上記アッパブラケット17bの離脱動作開始時を含む、離脱動作の開始以前の状態で、上記ガイド孔41a、41bの内面と上記ガイド部材40、40の外面との間にそれぞれ隙間を設けている。
以上の様な構成を有する本例のステアリング装置は、衝突事故が発生した場合や、ステアリングホイール1の前後位置の調節が不適切に行われた場合に、次の様に動作する。
即ち、衝突事故の発生に伴って、運転者の身体から前記ステアリングホイール1、前記ステアリングシャフト2を介して前記ステアリングコラム4bに、前方に向いた大きな衝撃荷重が加わると、これらステアリングシャフト2及びステアリングコラム4bが、この衝撃エネルギを吸収しつつ全長を縮める傾向になる。これにより、上記アッパブラケット17bが、上記アウターコラム11bと共に前方に変位する傾向になるのに対し、上記両カプセル21、21は、上記ボルト44bと共にそのままの位置に止まる。この結果、これら両カプセル21、21が前記両切り欠き20、20から後方に抜け出す(実際にはカプセル21、21は後方に変位せずに、切り欠き20、20が前方に変位する)。又、上記ステアリングホイール1の前後位置の調節時に於いて、このステアリングホイール1を前方に、必要以上に強い力で、ストロークエンド(第一長孔25の後端縁部)まで繰り返し押し下げた様な場合にも、前記結合ボルト27を介して上記アッパブラケット17bに前方に向いた強い力が作用する為、上記両カプセル21、21が上記両切り欠き20、20から後方に抜け出す可能性がある。
本例の場合には、上述の様にして、上記アッパブラケット17bが上記両カプセル21、21から離脱した場合にも、このアッパブラケット17b(及びこのアッパブラケット17bに支持されたアウターコラム11b)は、上記両ガイド孔41a、41b内に挿通された上記両ガイド部材40、40に案内されて、これら両ガイド部材40、40に沿って前方(ギヤハウジング12側)へと移動する。この為、上記ステアリングコラム4bは、上記アッパブラケット17bを介して、上記両ガイド部材40、40に吊り下げられた状態のままその全長を縮め、全長が収縮し切った状態に於いても、上記両ガイド部材40、40に吊り下げられたままとなる。従って、上記ステアリングコラム4bが下方に落下する事を防止できる。
又、上記アッパブラケット17bが上記両カプセル21、21から離脱した後にも、上記両ガイド部材40、40の両端部は、上記ギヤハウジング12と上記両カプセル21、21(車体15)とにそれぞれ固定されたままである。この為、運転者等が上記ステアリングホイール1を引き上げる等した場合にも、上記両ガイド孔41a、41bが上記ガイド部材40、40から抜け出る事はない。従って、上記ステアリングコラム4bを構成するインナーコラム10bとアウターコラム11bとが不用意に分離する事を防止できる。
この結果、本例のステアリング装置によれば、上記アッパブラケット17bが上記両カプセル21、21から離脱した後に於いても、前記ステアリングホイール1の位置を、通常の設置位置に近い状態に維持する事ができる為、運転者が操舵操作を行い易くなる。又、上記インナーコラム10bと上記アウターコラム11bとの分離防止を、専用の部品を設ける事なく実現できる為、ステアリング装置全体としてのコスト上昇を抑える事もできる。
又、本例の場合には、上記アッパブラケット17bの離脱動作開始時に於いて、上記各ガイド孔41a、41bの内面と上記両ガイド部材40、40の外面との間に隙間が設けられている。この為、上記アッパブラケット17bが離脱動作を開始する(前方へのコラプス移動を開始する)際(瞬間)に、上記両ガイド孔41a、41aの内面と上記ガイド部材40、40の外面との間に摩擦力が作用する事はない。従って、上記ステアリングホイール1の前方への変位を開始させる為の、二次衝突発生直後のピーク荷重が過大になる事を防止できて、運転者の保護を有効に図れる。
更に、本例の場合には、上記アッパブラケット17bを上記両ガイド部材40、40に沿って移動させる(吊り下げた状態で移動させる)為のガイド孔41a、41bを、これら両ガイド部材40、40の長さ方向に離隔した状態で2個所(合計4個所)に設けている。この為、ガイド孔を1個所にのみ設けた場合に比べて、上記アッパブラケット17bが前方へと移動する際に、回転し(こじれ)にくくなる。この結果、このアッパブラケット17bを前方へと円滑に移動させる事ができる。更に、本例の場合には、上記両ガイド部材40、40を合計2本使用すると共に、これら両ガイド部材40、40を、車両の幅方向に離隔した状態で設けている。この為、上記アッパブラケット17bが、これら両ガイド部材40、40に案内されて前方へと移動する際に、このアッパブラケット17bが左右に揺動しにくくなる。従って、この面からも、このアッパブラケット17bを前方へと円滑に移動させる事ができる。
尚、本例の場合には、後述する実施の形態の第3例、第4例、第6例、第7例の場合とは異なり、上記アッパブラケット17bが前方へと移動する際に、上記両ガイド孔41a、41bの内面と上記両ガイド部材40、40の外面との間に、積極的に大きな摩擦力を作用させる事は意図していない。但し、本例の場合にも、上記アッパブラケット17bが前方へと移動する際に、上記両ガイド孔41a、41bの内面と上記両ガイド部材40、40の外面とが摺接する為、実質的にはこの摺接部分に摩擦力が作用するが、この摩擦力の大きさは、二次衝突時の衝撃エネルギを十分に吸収できる程度のものではなく、実用上無視できる程度のものである。
[実施の形態の第2例]
図6は、同じく請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ギヤハウジング12(図1参照)とアッパブラケット17cとの間に、全体形状を略T字形とした1本のガイド部材40aを掛け渡す様に設けている。この為に、このガイド部材40aを構成する長辺48の先端部(ガイド部材40aの前端部)を上記ギヤハウジング12に連結すると共に、短辺49の両端部(ガイド部材40aの後端部)を、カプセル21、21と共に車体15(図1、2参照)に支持固定し、且つ、上記アッパブラケット17cに分離可能に連結している。
又、本例の場合には、上記アッパブラケット17cが離脱動作を開始する以前の状態で、上記長辺48の基端寄り部分を、このアッパブラケット17cに形成した1対のガイド孔41c、41d内にそれぞれ隙間を設けた状態で挿通している。従って、本例の場合には、これら両ガイド孔41c、41dを、上記アッパブラケット17cの幅方向中央部に、上記長辺48の長さ方向に離隔した状態で設けている。
この様な構成を有する本例の場合には、上述した実施の形態の第1例の場合に比べて、部品点数を少なくする事ができ、組み付け工数、部品管理工数の削減を図る事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、上記実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図7は、全ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の特徴は、前述した実施の形態の第1例の構造に使用した1対のガイド部材の形状を工夫する事により、アッパブラケット17bの前方への移動を利用して、二次衝突時の衝撃エネルギの吸収を行うと共に、前方への移動量(コラプスストローク)が大きくなるに従って、この衝撃エネルギの吸収量を増大させる点にある。
この為に本例の場合には、ガイド部材40b、40bとして、それぞれの長さ方向中間部が幅方向に折れ曲がった、略く字形状のものを使用している。そして、上記両ガイド部材40b、40bを、ギヤハウジング12(図1参照)と上記アッパブラケット17bとの間に掛け渡す様に取り付けた状態で、上記両ガイド部材40b、40bの後方側に配置された後半部50、50同士の間隔を一定にすると共に、前方側に配置された前半部51、51同士の間隔を前方に向かう程小さくしている。そして、上記アッパブラケット17bが離脱動作を開始する以前の状態で、上記両ガイド部材40b、40bのうちの後半部50、50を、上記アッパブラケット17bに形成したガイド孔41a、41b内にそれぞれ隙間を設けた状態で挿通している。
以上の様な構成を有する本例の場合、上記アッパブラケット17bがカプセル21、21(図1、2参照)から離脱し、上記両ガイド孔41a、41bが上記両後半部50、50の周囲を移動している間は、これら両ガイド孔41a、41bの内面と後半部50、50の外面との間には、実用上無視できる程度の大きさの摩擦力を除き、摩擦力は作用しない。この為、上記アッパブラケット17bが前方へと円滑に移動する。
そして、上記アッパブラケット17bの前方への移動量が大きくなり、このアッパブラケット17bの前方側に設けられた上記両ガイド孔41a、41aが、上記両前半部51、51の周囲にまで移動すると、これら両ガイド孔41a、41aの内面のうち幅方向中央側の側面と、上記両前半部51、51の外面のうち幅方向中央側の側面との摺接部の面圧が次第に高くなり、この摺接部で生じる摩擦力が次第に大きくなる。更には、上記両前半部51、51を塑性変形させつつ、上記アッパブラケット17bが前方に変位する様になる。この為、この摩擦力及び塑性変形に対する抵抗によって、二次衝突時の衝撃エネルギを吸収し始めると共に、エネルギ吸収量を次第に大きくする。
以上に説明した通り、本例の場合には、上記アッパブラケット17bの前方への移動を利用して、二次衝突時の衝撃エネルギを吸収できると共に、前方への移動量が大きくなるに従って、エネルギ吸収量を増大させる事ができる。従って、前記図1に示した様に、電動式パワーステアリング装置を備える等によって、上記アッパブラケット17bの前方への移動量を十分には確保しにくい構造の場合にも、ステアリングホイールの前方への変位の途中で、運転者の身体に大きな衝撃が加わる事を防止しつつ、短いコラプスストロークで衝撃エネルギを効率良く吸収する事ができる。更に、ステアリング装置の他の部分に、エネルギ吸収部材又はエネルギ吸収構造等を設ける必要がなくなるか、或いは、その数を少なくする事ができる。尚、上記両ガイド部材40b、40bの前半部51、51同士の間隔は、上述した場合とは反対に、前方に向かう程大きくした場合にも、同様の効果を得られる。
その他の構成及び作用効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図8〜9は、やはり全ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の特徴は、前述した実施の形態の第2例で使用したガイド部材の形状を工夫して、上述した実施の形態の第3例の場合と同様に、アッパブラケット17cの前方への移動を利用して、二次衝突時の衝撃エネルギの吸収を行うと共に、前方への移動量が大きくなるに従って、この衝撃エネルギの吸収量を増大させる点にある。
即ち、本例の場合には、全体形状を略T字形としたガイド部材40cを構成する長辺48aのうち、前半部52の断面形状及び幅寸法を工夫している。具体的には、この前半部52の断面形状を略く字形とすると共に、幅寸法(図8、9の上下方向の寸法)を前方に向かう程大きくし、その最大寸法をガイド孔41c、41dの内寸のうち幅方向に関する寸法(図9の上下方向の寸法)よりも大きくしている。又、この前半部52の厚さ寸法(図9の左右方向の寸法)を、上記両ガイド孔41c、41dの内寸のうち上下方向に関する寸法(図9の左右方向の寸法)よりも僅かに大きくしている。又、本例の場合には、上記アッパブラケット17cが離脱動作を開始する以前の状態で、図9の(a)に示した様に、上記ガイド部材40cを構成する長辺48aのうちの後半部53を、上記アッパブラケット17cに形成したガイド孔41c、41d内にそれぞれ隙間を設けた状態で挿通している。
以上の様な構成を有する本例の場合、上記アッパブラケット17cがカプセル21、21(図1、2参照)から離脱し、上記両ガイド孔41c、41dが上記後半部53の周囲を移動している間は、実用上無視できる程度の大きさの摩擦力を除き、摩擦力は作用しない。この為、上記アッパブラケット17cは前方へと円滑に移動する。
そして、上記アッパブラケット17cの前方への移動量が大きくなり、このアッパブラケット17cの前方側に設けられた上記ガイド孔41cが、上記前半部52の周囲にまで移動すると、図9の(b)に示した様に、これらガイド孔41cの内面のうち上下両面と前半部52の上下両端縁部とが係合(互いの相対変位に対して大きな抵抗を生じる程度に、強く当接)し始め、この係合部で生じる摩擦力及びこの前半部52が塑性変形する事に対する抵抗によって、二次衝突時の衝撃エネルギを吸収し始める。
そして、上記アッパブラケット17cの前方への移動量が更に大きくなると、図9の(c)に示した様に、上記ガイド孔41cの内面のうち上下両面と上記前半部52の上下両端縁部とが係合するだけでなく、このガイド孔41cの内面のうち左右両側面と上記前半部52の左右両端縁部とが係合し始める。更に、このガイド孔41cの内面のうち左右両側面と上記前半部52の左右両端縁部との摺接部の面圧は、上記アッパブラケット17cの前方への移動量が大きくなる程高くなり、この摺接部で生じる摩擦力、及び、上記前半部52が塑性変形する事に対する抵抗が次第に大きくなる。この為、本例の場合には、上記アッパブラケット17cの前方への移動量が大きくなるに従って、衝撃エネルギの吸収量が大きくなる。更に、上記アッパブラケット17cの後方側に設けられた上記ガイド孔41dが、上記前半部52の周囲に移動する事によっても、衝撃エネルギの吸収量を更に大きくできる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例、第2例、第3例の場合とほぼ同様である。
[実施の形態の第5例]
図10は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、コラム中心軸αに対して、ガイド部材40(40a)の前方側(図10の左側)が上方に、後方側(図10の右側)が下方に、それぞれ向かう方向に傾斜させる事により、このガイド部材40(40a)を、水平方向に対する傾斜角度が上記コラム中心軸αよりも小さくなる様に傾斜させている。
この様な構成を有する本例の場合には、図1〜3、5〜8に示したアッパブラケット17b(17c)が上記ガイド部材40(40a)に沿って前方へと移動する際に、図1〜3、5〜8に示したガイド孔41a、41b(41c、41c)の内面と上記ガイド部材40(40a)の外面との間に作用する摩擦力を、前述した実施の形態の第1例の場合(ガイド部材をコラム中心軸αと平行とした場合)に比べて小さくする事ができる。即ち、二次衝突時に、ステアリングホイールには運転者の身体からほぼ水平方向乃至斜め上方に向いた衝撃荷重が加わる為、上記ガイド部材40(40a)を上述の様に傾斜させる事によって、上記アッパブラケット17b(17c)の移動方向を、上記衝撃荷重の作用方向に近づける事ができる。この為、上記両ガイド孔41a、41b(41c、41d)の内面と上記ガイド部材40(40a〜40c)の外面との間に作用する摩擦力を小さく抑える事ができる。従って、上記アッパブラケット17b(17c)の前方への移動を円滑に行わせる事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び第2例の場合とほぼ同様である。
[実施の形態の第6例]
図11は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、ガイド部材40(40a〜40c)を、上述した実施の形態の第5例の場合とは反対方向に傾斜させている。即ち、本例の場合には、コラム中心軸αに対して、上記ガイド部材40(40a〜40c)の前方側(図11の左側)を下方に向かう方向に、後方側(図11の右側)を上方に向かう方向に、それぞれ傾斜させる事により、このガイド部材40(40a〜40c)を、水平方向に対する傾斜角度が上記コラム中心軸αよりも大きくなる様に傾斜させている。
この様な構成を有する本例の場合には、図1〜3、5〜8に示したアッパブラケット17b(17c)が上記ガイド部材40(40a〜40c)に沿って前方へと移動する際に、図1〜3、5〜8に示したガイド孔41a、41b(41c、41c)の内面と上記ガイド部材40(40a〜40c)の外面との間に作用する摩擦力を、前述した実施の形態の第1例の場合(ガイド部材をコラム中心軸αと平行とした場合)に比べて大きくする事ができる。そして、上記摩擦力は、上記第1例の場合とは異なり、実質上無視できない程度の大きさとなり、この摩擦力によって、二次衝突時の衝撃エネルギの吸収を行う事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び第2例の場合とほぼ同様である。
[実施の形態の第7例]
図12は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、ガイド部材40dとして、その長さ方向中間部が板厚方向に折れ曲がった略く字形のものを使用している。そして、上記ガイド部材40dを、図示しないギヤハウジング12とアッパブラケット17b(17c)との間に掛け渡す様に取り付けた状態で、後方側(図12の右側)に位置する後半部54を、水平方向に対する傾斜角度が小さくなる様に配置すると共に、前方側(図12の左側)に位置する前半部55を、コラム中心軸αと平行に配置している。
この様な構成を有する本例の場合には、上記アッパブラケット17b(17c)の前方への移動量が小さい場合(動き出しの初期の状態)には、前述した実施の形態の第5例の場合と同様に、前方への移動を円滑に行わせる事ができる。そして、上記アッパブラケット17b(17c)の前方への移動量が大きくなり、図示しないガイド孔41a、41b(41c、41d)が、上記ガイド部材40dの折れ曲がり部の周囲に差し掛かると、これらガイド孔41a、41b(41c、41d)の内面と上記ガイド部材40dの外面との間に作用する摩擦力が大きくなる。この為、本例の場合には、この摩擦力を利用して衝撃エネルギを吸収する事ができる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例及び第2例の場合とほぼ同様である。
本発明に使用するガイド部材は、実施の形態の欄で説明した様な、板状のものに限定されず、例えば図13に示した様なワイヤ状(紐状)のものでも良いし、棒状(円柱状)、円筒状、角柱状等、所定の剛性を有し、アッパブラケットを前方へと案内する事ができるものであれば、何れの形状でも良い。又、ワイヤ状(紐状)、棒状(円柱状)、円筒状のものを使用した場合には、ガイド孔を円孔状とする事ができる。又、上記図13に示した様な、ワイヤ状のガイド部材40eを使用する場合には、その両端部にボルトを挿通自在なボルト通孔43b(43a)を備えた金属製の係止部54を備えたものを使用する事ができる。
又、本発明を実施する場合に、ガイド孔の内面とガイド部材の外面との摩擦力を小さく抑える為に、このガイド孔の内面に、摩擦係数の低い材料製のカバーを取り付ける事もできる。更に、ガイド部材の外面に摩擦係数の低い被膜を形成する事もできる。反対に、摩擦力を大きくする為に、ガイド孔の内面或いはガイド部材の外面に、摩擦係数を高くする為の粗面加工を施したり、摩擦材を被覆したりする事もできる。
又、ガイド部材の外面の摩擦係数を、このガイド部材の前後方向位置によって変化させる(例えば前方側で高くする)事により、衝撃エネルギの吸収量を調整する事もできるし、ガイド部材として、ワイヤ状(紐状)、棒状(円柱状)、円筒状のものを使用した場合にはその外径寸法を、板状のものを使用した場合には板厚を、前後方向位置によって変化させる(例えば前方側に向かう程大きくする)事により、衝撃エネルギの吸収量を調整する事もできる。
更に、アッパブラケットとカプセル(離脱部材)との離脱構造は、実施の形態の欄で説明した様な、切り欠きと係合溝とを利用した係合構造の他、樹脂製等の裂断ピンを利用したもの等、従来から知られた種々の離脱構造を採用する事ができる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵輪
4、4a、4b ステアリングコラム
5 操舵力補助装置
6 タイロッド
7 ステアリングギヤユニット
8 インナーシャフト
9 アウターシャフト
10、10a、10b インナーコラム
11、11a、10b アウターコラム
12 ギヤハウジング
13 出力軸
14、14a、14b ロアブラケット
15 車体
16、16a、16b ピボットピン
17、17a、17b アッパブラケット
18 側壁部
19、19a 支持板部
20 切り欠き
21、21a カプセル
22 係合溝
23 上下方向通孔
24 被支持ブラケット
25 第一長孔
26 第二長孔
27 結合ボルト
28 結合ナット
29 頭部
30 自在継手
31 中間シャフト
32 自在継手
33 入力軸
34 電動モータ
35 エネルギ吸収プレート
36 湾曲部
37 扱きピン
38 スリット孔
39 ピン部材
40、40a〜40e ガイド部材
41a、41b、41c、41d ガイド孔
42 調節レバー
43a、43b ボルト挿通孔
44a、44b ボルト
45 前板部
46 後板部
47 係止部
48、48a 長辺
49 短辺
50 後半部
51 前半部
52 前半部
53 後半部
54 係止部

Claims (3)

  1. インナーコラムとアウターコラムとを、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成り、その内側にステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングコラムと、
    このステアリングコラムを構成する上記インナー、アウター両コラムのうち前方側に配置された一方のコラムを車体に対して支持するロアブラケットと、
    上記ステアリングコラムを構成する上記インナー、アウター両コラムのうち後方側に配置された他方のコラムを車体に対して前後移動可能に支持するアッパブラケットと、
    車体に固定されこのアッパブラケットを前方へと離脱可能に支持する離脱部材と
    を備えたステアリング装置に於いて、
    前端部を上記ロアブラケットに対し揺動自在に支持された他の部材に連結すると共に、後端部を上記離脱部材と共に上記車体に固定し且つ上記アッパブラケットに対し分離可能として、上記他の部材と上記車体に固定された部分との間に掛け渡す様に、ガイド部材が設けられており、このガイド部材の前端部により上記他の部材に対して上方に向いた弾力を付与しており、
    上記アッパブラケットには、上記ガイド部材の長さ方向に離隔した状態で、前後方向に貫通した複数のガイド孔が設けられており、これら各ガイド孔内に上記ガイド部材の長さ方向中間部をそれぞれ挿通しており、
    上記アッパブラケットの離脱動作開始時の状態で、上記ガイド孔の内面と上記ガイド部材の外面との間に隙間が設けられている事を特徴とするステアリング装置。
  2. アッパブラケットが離脱動作を開始して前方へと所定量移動した後、ガイド孔の内面とガイド部材の外面とを係合させて、二次衝突時の衝撃エネルギを吸収する、請求項1に記載したステアリング装置。
  3. アッパブラケットの前方への移動量が大きくなるに従って、ガイド孔の内面とガイド部材の外面とが係合する程度を大きくして、上記アッパブラケットが前方に移動する事に対する抵抗を大きくする、請求項2に記載したステアリング装置。
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