JP5298932B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対し、バルブタイミング制御とバルブリフト量制御とを独立して行う内燃機関の可変動弁装置に関し、特に、上死点近傍での吸・排気バルブとピストンとの干渉防止に好適な内燃機関の可変動弁装置に関するものである。
従来から内燃機関の運転状態に応じて、吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミング又はバルブリフト量を最適な制御量に制御する可変動弁装置において、上死点近傍での吸・排気バルブとピストンとの干渉を防止する内燃機関の可変動弁装置が提案されている(特許文献1参照)。
これは、吸気側カム軸に吸気バルブのバルブタイミング(開閉タイミング)可変機構とバルブ特性切換機構とを合わせて配設し、吸気バルブのバルブタイミングとバルブリフト量との双方を可変することが可能となっており、機関の回転速度と負荷で定まる運転領域毎に吸気バルブのバルブタイミングとバルブリフト量とを可変制御するようになっている。そして、吸気バルブ側の可変バルブタイミング機構(VTC)の目標バルブタイミングを、機関の負荷と回転速度より求める一方、吸気バルブ側の可変バルブリフト機構(VEL)の実際のバルブリフト量に応じてVTCの目標バルブタイミング上限値を設定し、負荷と機関回転速度より求まったVTC目標バルブタイミングが目標バルブタイミング上限値を上回った場合に、目標バルブタイミングをVTC目標バルブタイミング上限値に制限するようにしている。
特開2002−285871号公報
しかしながら、上記従来例では、目標バルブタイミングがバルブタイミング上限値内に制限することにより吸・排気バルブとピストンとの干渉を防止するものであるが、バルブタイミングおよびバルブリフトの応答速度が条件によらず所定の一定値に設定されているため、実際のバルブリフト量を検出して、バルブタイミングをバルブタイミング上限値に制限するまでに時間遅れを伴う場合に、バルブタイミング進角量が大きくなり、吸・排気バルブとピストンとが干渉する虞があり、干渉防止のためにピストンに設けるリセス(窪み)を大きくする必要があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、吸・排気バルブとピストンとの干渉防止に好適な内燃機関の可変動弁装置を提供することを目的とする。
本発明は、吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対して可変制御されるバルブタイミングの作動状態に応じて、対応する吸気バルブ又は排気バルブのバルブリフト量の制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブリフト量限界値設定手段と、前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブリフト制御の制御範囲を制限するバルブリフト制御制限手段と、前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブリフト実際値からバルブリフトの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段と、を備えるか、若しくは、吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対して可変制御されるバルブリフト量の作動状態に応じて、対応する吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングの制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブタイミング限界値設定手段と、前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブタイミング制御の制御範囲を制限するバルブタイミング制御制限手段と、前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブタイミング実際値からバルブタイミングの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段と、を備える。
したがって、本発明では、バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブリフト実際値からバルブリフトの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段、若しくは、バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブタイミング実際値からバルブタイミングの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段を備えるため、吸・排気バルブとピストンとが近づく、バルブタイミング、あるいはバルブリフト量では、夫々の応答速度を遅くして、バルブタイミングの作動状態に応じてバルブリフト量を制限、あるいはバルブリフト量の作動状態に応じてバルブタイミングを制限するまでに時間遅れを伴う場合においても、IVO進角量、あるいは、バルブリフト増加量を低減して、ピストンリセス低減を図ることができる。
本発明の一実施形態を示す内燃機関の可変動弁装置のシステム構成図。 可変動弁装置の構成図。 可変動弁装置によるバルブリフト特性図。 制御系の構成図。 第1実施例のECM側のメイン制御のフローチャート。 第1実施例のVEL−C/U側のメイン制御のフローチャート。 可変動弁装置の作動特性図。 第2実施例のECM側のメイン制御のフローチャート。 第2実施例のVEL−C/U側のメイン制御のフローチャート。
以下、本発明の内燃機関の可変動弁装置を一実施形態に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すエンジン(直噴火花点火式内燃機関)のシステム図である。エンジン1の吸気通路2には、エンジンコントロールユニット(以下ECMという)10により開度制御される電制スロットル弁3が設置されている。前記電制スロットル弁3により制御された空気は、吸気バルブ4を介して、エンジン1の燃焼室5に吸入される。
前記吸気バルブ4は、吸気バルブ4のバルブ作動角(開期間)、詳しくは、バルブ作動角及びリフト量を連続的に変化させることができるバルブ作動角及びリフト量可変装置(VEL装置;VELアクチュエータ49)と、吸気バルブ4のバルブタイミング(バルブ作動角の中心位相)を連続的に変化させることができるバルブタイミング可変装置(VTC装置;VTCアクチュエータ51)と、を備える可変動弁装置により駆動される。
前記エンジン1の燃焼室5には、点火プラグ6と、燃料噴射弁7とが設置されている。前記燃料噴射弁7は、ECM10からエンジン回転に同期して吸気行程又は圧縮行程にて出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、燃焼室5内に所定圧力に調圧された燃料を噴射する。
前記燃焼室5内に噴射された燃料は、燃焼室に導入された空気と共に混合気を形成し、点火プラグ6によりECM10により決定された点火時期にて点火されて燃焼する。燃焼後の排気は、排気バルブ8を介して、排気通路9へ排出される。
前記ECM10には、アクセルペダルセンサ11により検出されるアクセル開度APO、クランク角センサ12により検出されるエンジン回転数Ne、エアフローメータ13により検出される吸入空気量Qaなどのエンジン運転条件としての信号が入力されている。
前記吸気バルブ4の可変動弁装置は、図2に示すように、構成されている。前記吸気バルブ4(1気筒につき2つ設けられる)の端部のバルブリフタ40の上方には、図外のクランク軸に連動して軸周りに回転駆動されるカム軸41が気筒列方向に延在している。前記カム軸41の外周には、吸気バルブ4に対応して揺動カム42が揺動可能に外装されており、この揺動カム42がバルブリフタ40に当接してこれを押圧することにより、吸気バルブ4が図外のバルブスプリングのバネ力に抗して開閉駆動される。
前記カム軸41と揺動カム42との間には、両者41、42を機械的に連携するリンクの姿勢を変化させて、吸気バルブ4のバルブ作動角(開期間)及びリフト量を連続的に可変制御可能なバルブ作動角及びリフト量可変装置(VEL装置)が設けられている。
前記VEL装置は、カム軸41に偏心して設けられてカム軸41と一体的に回転する駆動カム43と、この駆動カム43の外周に相対回転可能に外嵌するリング状リンク44と、カム軸41と略平行に気筒列方向へ延在する制御軸45と、この制御軸45に偏心して設けられて制御軸45と一体的に回転する制御カム46と、この制御カム46の外周に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク44の先端と相対回転可能に連結されたロッカアーム47と、このロッカアーム47の他端と揺動カム42の先端とに回転可能に連結され、両者47、42を機械的に連携するロッド状リンク48と、を備える。
前記カム軸41及び制御軸45は、軸受ブラケットを介してエンジン1のシリンダヘッド側へ回転可能に支持されている。前記制御軸45の一端にはバルブ作動角及びリフト量変更用のアクチュエータ(VELアクチュエータ)49の出力端が接続され、制御軸45はVELアクチュエータ49によって所定の制御角度範囲内で軸周りに回転駆動され且つ所定の回転位相に保持される。
上記した構成により、クランク軸に連動してカム軸41が回転すると、駆動カム43を介してリング状リンク44をカム軸41に直交する方向に往復移動するよう作動させ、それによりロッカアーム47が制御カム46周りを揺動し、ロッド状リンク48を介して揺動カム42を揺動させて、吸気バルブ4を開閉駆動する。
また、VELアクチュエータ49により制御軸45の回動位置を変化させることにより、ロッカアーム47の揺動中心となる制御カム46の中心位置が変化して、各リンク44、48等の姿勢が変化し、揺動カム42の揺動角度範囲が変化する。これにより、バルブ作動角の中心位相が略一定のままで、バルブ作動角及びリフト量が連続的に変化する。例えば、制御軸45を一方向へ回動することにより、バルブ作動角及びリフト量が増加し、他方向へ回動することによりバルブ作動角及びリフト量が減少するようになる。尚、バルブ作動角が決まれば、バルブリフト量は一義的に定まる。
従って、VELアクチュエータ49の通電量をデューティ制御することで、制御軸45の回転位置を変更して、吸気バルブ4のバルブ作動角及びリフト量を変更することができ(図3のA参照)、これによりバルブ作動角及びリフト量可変装置(VEL装置)が構成される。
一方、カム軸41は、クランク軸の回転がタイミングベルトによりスプロケット50に入力されて駆動されるが、バルブタイミング変更のために、スプロケット50とカム軸41との間に、これらの回転位相を制御可能なロータリー式のアクチュエータ(VTCアクチュエータ)51が装着されている。
従って、VTCアクチュエータ51の通電量をデューティ制御することで、クランク軸とカム軸41との回転位相を変更して、吸気バルブ4のバルブタイミング(バルブ作動角の中心位相)を変更することができ(図3のA参照)、これによりバルブタイミング可変装置(VTC装置)が構成される。
前記VTC装置のVTCアクチュエータ51は、図4に制御系の構成を示すように、第1コントロールユニットであるECM10により制御するが、VEL装置のVELアクチュエータ49は、第1コントロールユニットであるECM10とは別の、第2コントロールユニット(以下VEL−C/Uという)20により制御する。
上記各制御のため、ECM10には、VTCアクチュエータ51の実位置を検出するVTC位置センサ51Sの信号を入力して、VTC実際値(実バルブタイミング)を検出する機能を持たせ、VEL−C/U20には、VELアクチュエータ49の実位置を検出するVEL位置センサ49Sの信号を入力して、VEL実際値(実バルブ作動角)を検出する機能を持たせている。
しかしながら、エンジン運転条件に応じてVEL目標値(目標バルブ作動角)を算出する機能と、エンジン運転条件に応じてVTC目標値(目標バルブタイミング)を算出する機能とは、エンジン運転条件に関する各種センサの信号が入力されるECM10に集中させている。
ECM10とVEL−C/U20とは、通信手段(CAN)30により接続し、ECM10からVEL−C/U20へ、VEL目標値(目標バルブ作動角)を送信するようにしている。前記CAN(Controller Area Network)は、それぞれのコントロールユニットを通信線でつないでシリアル通信することにより、コントロールユニット間でのデータの送受信を可能としている。
また、VEL−C/U20からECM10へは、VEL実際値(実バルブ作動角)を送信するようにしている。これは、ECM10にて吸入空気量の演算などに実バルブ作動角を用いるためであり、また次のような理由でバルブタイミング制御と関連づけるためである。吸気バルブ4のバルブタイミング制御とバルブ作動角制御(バルブリフト量制御)とは独立に行うものであり、それぞれの制御範囲は、各制御特性によってエンジン性能(運転性能及び排気浄化性能など)を最大限高められるように設定されている。そのため、これらの制御を併用した場合には、例えば図3のBに示すように、バルブタイミングを進角側に、バルブ作動角を広角側(バルブリフト量を高リフト側)に制御すると、ピストン上死点におけるバルブリフト量が極めて大きくなり、吸気バルブ4とピストンとの間に干渉が生じる恐れがある。
前記ピストン上死点近傍において、バルブリフト量が過度に大きくならないように吸気バルブ4のVTC装置の最大進角値やVEL装置の最大作動角(最大リフト量)を制限するため、ストッパ等により機械的に制限するのでは、制御範囲が狭められてしまう。
そこで、VEL実際値(実バルブ作動角)に応じて、VTC目標値(目標バルブタイミング)に対する進角側限界値を設定し、VTC目標値の算出に際し、これが進角側限界値を超えないように、制限している。
このため、VEL実際値を検出する機能を有するVEL−C/U20から、VTC目標値を算出する機能を有するECM10へ、VEL実際値を送信している。
図5はECM10で実行される第1実施例のメイン制御のフローチャートであり、これについて説明する。
ステップS1では、エンジン回転数Neとエンジン負荷を代表する基本燃料噴射量Tp(=K×Qa/Ne;Kは定数)とに基づいて、マップを参照することにより、VEL目標値(目標バルブ作動角)を算出する。算出したVEL目標値は、通信手段30により、VEL−C/U20へ送信する。
ステップS2では、エンジン回転数Neとエンジン負荷を代表する基本燃料噴射量Tpとに基づいて、マップを参照することにより、VTC目標値(目標バルブタイミング)を算出する。
ステップS3では、VEL位置センサを介してVEL−C/U20により検出された値であって、VEL−C/U20から通信手段30により受信したVEL実際値(実バルブ作動角)を読込む。
ステップS4では、VEL実際値(実バルブ作動角)に基づいて、テーブルを参照することにより、VTC目標値(目標バルブタイミング)の限界値(進角側限界値)を算出する。
前記VTC目標値(目標バルブタイミング)の限界値は、図7に示すように、VEL実際値(実バルブ作動角)が小〜中の範囲においては、VTCを最進角値に制御しても、吸気バルブ4とピストンとが干渉する恐れはないため、VTC装置のストッパ機構により規制される最進角位置と同じにしている。
一方、吸気バルブ4のバルブ作動角が大の領域になると、バルブタイミングが最進角位置に近づくにつれて、ピストン上死点において吸気バルブ4とピストンとが干渉する恐れを生じるため、VTC目標値の限界値を徐々に遅角側へ設定するようになっている。
ステップS5では、VTC位置センサ51Sの検出信号に基づいて、VTC実際値(実バルブタイミング)を検出する。
ステップS6では、ステップS5で求めたVTC実際値とステップS4で求めた限界値とを比較し、VTC実際値>限界値の場合(VTC実際値が限界値より進角側の場合)は、ステップS7へ進んで、VTC目標値=限界値として、VTC目標値を制限した後、ステップS8へ進む。VTC実際値≦限界値の場合(VTC実際値が限界値より遅角側の場合)は、そのままステップS8へ進む。
ステップS8では、VTC目標値(目標バルブタイミング)とVTC実際値(実バルブタイミング)との偏差VTCERRを算出する。
ステップS9では、VTC限界値とVTC実際値との差分が、予め設定した所定値X以下か否かを判定する。即ち、VTC限界値とVTC実際値との差分が前記所定値X以下である場合とは、VTC実際値がVTC限界値に接近している状態である。例えば、図7において、太線で示す限界値に接近して所定値X(図中破線参照)以内の限界領域にあることを意味している。また、VTC限界値とVTC実際値との差分が前記所定値Xを超えている場合とは、VTC実際値がVTC限界値から離れている状態である。例えば、図7において、限界値から離れた図中破線で示す所定値Xを超えていない安全領域に存在していることを意味している。
前記VTC限界値とVTC実際値との差分が所定値以下である場合にはステップS10へ進んで、偏差VTCERRに1以下の係数を乗算して、偏差VTCERRを減算補正して、ステップS11へ進む。これにより、補正偏差VTCERRは本来の偏差VTCERRより小さくされる。前記1以下の係数は、例えば、0.1〜0.5等の任意に設定した係数であり、予め設定する。前記VTC限界値とVTC実際値との差分が所定値を超える場合には、そのままステップS11へ進む。
ステップS11では、前記偏差VTCERRに応じて、VTC実際値をVTC目標値に一致させるように、VTCアクチュエータに対する制御出力を算出して出力し、フィードバック制御を行い、バルブタイミングを制御する。
具体的には、先ず、前記偏差VTCERRと、フィードバックゲインGp(比例分)、Gi(積分分)、Gd(微分分)とに基づいて、次式により、比例分制御量VTCp、積分分制御量VTCi、微分分制御量VTCdを、次のように、
VTCp=Gp・VTCERR
VTCi=VTCiz+Gi・VTCERR
VTCd=Gd・(VTCERR−VTCERRz)
それぞれ求める。尚、添字のzは、前回値であることを示す。
次に、基本デューティ値BASDTYvtcと制御量VTCp、VTCi、VTCdを加算して、VTCデューティ値VTCDTYを演算し(次式参照)、
VTCDTY=BASDTYvtc+VTCp+VTCi+VTCd
これを出力信号としてVTCアクチュエータ51を駆動する。ここでは、VTCアクチュエータ51は、VTCデューティ値VTCDTY=基本デューティ値BASDTYvtc(例えば50%)のときに、そのときの位置で固定され、偏差の分、プラス側又はマイナス側に設定されることで、駆動され、偏差がなくなれば、VTCデューティ値VTCDTY=基本デューティ値BASDTYvtcとなって、その位置で固定されるものとする。VELアクチュエータ49についても同様である。
図6はVEL−C/U20で実行される第1実施例のメイン制御のフローチャートであり、これについて説明する。
ステップS21では、ECM10により算出された値であって、ECM10から通信手段30により受信したVEL目標値(目標バルブ作動角)を読込む。
ステップS22では、VTC実際値(実バルブタイミング)に基づいて、テーブルを参照することにより、VEL目標値(目標バルブ作動角)の限界値(大作動角側限界値)を算出する。
前記VEL目標値(目標バルブ作動角)の限界値は、図7に示すように、VTC実際値(実バルブタイミング)が進角側において、吸気バルブ4とピストンとが干渉する恐れが大きいため、バルブ作動角限界値が小さくなり、VTC実際値(実バルブタイミング)が遅角側において、吸気バルブ4とピストンとが干渉する恐れが小さくなるため、バルブ作動角限界値が大きくなるように設定されている。
ステップS23では、VEL位置センサ49Sの検出信号に基づいて、VEL実際値(実バルブ作動角)を検出する。検出したVEL実際値は、通信手段30により、ECM10へ送信する。
ステップS24では、ステップS23で求めたVEL実際値とステップS22で求めた限界値とを比較し、VEL実際値>限界値の場合(VEL目標値が限界値より大作動角側の場合)は、ステップS25へ進んで、VEL目標値=限界値として、VEL目標値を制限した後、ステップS26へ進む。VEL実際値≦限界値の場合(VEL実際値が限界値より小作動角側の場合)は、そのままステップS26へ進む。
ステップS26では、VEL目標値(目標バルブ作動角)とVEL実際値(実バルブ作動角)との偏差VELERRを算出する。
ステップS27では、VEL限界値とVEL実際値との差分が、予め設定した所定値Y以下か否かを判定する。即ち、VEL限界値とVEL実際値との差分が前記所定値Y以下である場合とは、VEL実際値がVEL限界値に接近している状態である。例えば、図7において、太線で示す限界値に接近して所定値Y(図中破線参照)以内の限界領域にあることを意味している。
また、VEL限界値とVEL実際値との差分が前記所定値Yを超えている場合とは、VEL実際値がVEL限界値から離れている状態である。例えば、図7において、限界値から離れた図中破線で示す所定値Yを超えていない安全領域に存在していることを意味している。
前記VEL限界値とVEL実際値との差分が所定値以下である場合にはステップS28へ進んで、偏差VELERRに1以下の係数を乗算して、偏差VELERRを減算補正して、ステップS29へ進む。これにより、補正偏差VELERRは本来の偏差VELERRより小さくされる。前記1以下の係数は、例えば、0.1〜0.5等の任意に設定した係数であり、予め設定する。前記VEL限界値とVEL実際値との差分が所定値を超える場合には、そのままステップS29へ進む。
ステップS29では、前記偏差VELERRに応じて、VEL実際値をVEL目標値に一致させるように、VELアクチュエータ49に対する制御出力を算出して出力し、フィードバック制御を行い、バルブ作動角を制御する。フィードバック制御の詳細は、ECM10でのVTCアクチュエータ51に対するフィードバック制御と同様である。
以上に説明した内燃機関の可変動弁装置においては、VEL作動角、VTC進角位置が夫々限界値に接近した限界領域に存在する場合には、VEL装置、VTC装置の応答速度を低く変化させるよう構成しているため、VEL実際値に応じてバルブタイミングを制限、あるいは、VTC実際値に応じてバルブリフト量を制限するまでに時間遅れを伴う場合においても、IVO(吸気バルブ4のバルブ開弁)進角量、またはバルブリフト増加量を低減させることができ、干渉回避のためにピストンに設けるリセスの深さを低減することができ、ピストンリセス低減による熱効率向上が図れ、燃費向上、排気性能の向上、及び出力を向上させることができる。
例えば、図7において、VEL装置の最大作動角近傍での固着時(図中矢印E参照)においても、VTC装置におけるバルブタイミングの進角側への作動速度を制限するため、バルブタイミングを制限し始めるまでに遅れ時間があっても、バルブ〜ピストンの干渉を回避させることができる。
また、図7において、VTC装置の最進角近傍での固着時(図中矢印F参照)においても、VEL装置における大作動角側への作動速度を制限するため、バルブリフト量を制限し始めるまでに遅れ時間があっても、同様に、バルブ〜ピストンの干渉を回避させることができる。
また、図7において、POS信号,PHASE信号の誤差によりVTC装置の進角側への誤進角時(図中矢印G参照)においても、VTC装置における進角側への作動速度を制限するため、バルブタイミングを制限し始めるまでに遅れ時間があっても、同様に、バルブ〜ピストンの干渉を回避させることができる。
図8及び図9は、本発明を適用した内燃機関の可変動弁装置の第2実施例を示し、図8はECM10により実行されるメイン制御のフローチャートの一部であり、図9はVEL−C/U20側により実行されるメイン制御のフローチャートの一部である。本実施例においては、VTC限界値とVTC実際値との差分、若しくは、VEL限界値とVEL実際値との差分が、予め設定した所定値X若しくは所定値Yより低下した場合に、VTC目標値若しくはVEL目標値が夫々の限界値から離れる方向に設定される場合には、偏差VTCERR若しくは偏差VELERRのその値通りに許容する構成を第1実施例に追加したものである。なお、第1実施例と同一装置には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
ステップS5〜ステップS11を示す図8は、ECM10により実行されるメイン制御のフローチャートであり、図示していないステップS1〜ステップS4、及び、図示するステップS5〜ステップS11は、第1実施例の図5に示すフローチャートと同様に実行される。本実施例においては、ステップS9とステップS10との間に、ステップS12を追加している。
また、ステップS23〜ステップS29を示す図9は、VEL−C/U20により実行されるメイン制御のフローチャートであり、図示していないステップS21〜ステップS22、及び、図示するステップS23〜ステップS29は、第1実施例の図6に示すフローチャートと同様に実行される。本実施例においては、ステップS27とステップS28との間に、ステップS30を追加している。その他の構成は、第1実施例と同様である。
本実施例では、ECM10により実行されるメイン制御のフローチャートのステップS9において、VTC限界値とVTC実際値との差分が所定値以下である場合にはステップS12へ進む。ステップS12では、偏差VTCERRがゼロより大きい、即ち、「進角方向」である場合にはステップS10へ進み、偏差VTCERRに1以下の係数を乗算して、偏差VTCERRを減算補正して、ステップS11へ進む。しかしながら、偏差VTCERRがゼロ若しくはゼロより小さい、即ち、「遅角方向」である場合にはステップS10を経由することなくステップS11へ進む。即ち、VTC目標値が限界値に近づく方向に設定される場合にのみ、偏差VTCERRを減算補正し、VTC目標値が限界値から離れる方向に設定される場合には、偏差VTCERRをその値通りに許容する。
また、VEL−C/U20により実行されるメイン制御のフローチャートのステップS27において、VEL限界値とVEL実際値との差分が所定値以下である場合にはステップS30へ進む。ステップS30では、偏差VELERRがゼロより大きい、即ち、「大作動角方向」である場合にはステップS28へ進み、偏差VELERRに1以下の係数を乗算して、偏差VELERRを減算補正して、ステップS29へ進む。しかしながら、偏差VELERRがゼロ若しくはゼロより小さい、即ち、「小作動角方向」である場合にはステップS28を経由することなくステップS29へ進む。即ち、VEL目標値が限界値に近づく方向に設定される場合にのみ、偏差VELERRを減算補正し、VEL目標値が限界値から離れる方向に設定される場合には、偏差VELERRをその値通りに許容する。
本実施例においては、VTC限界値とVTC実際値との差分、若しくは、VEL限界値とVEL実際値との差分が、予め設定した所定値X若しくは所定値Yより低下した場合に、VTC目標値若しくはVEL目標値が夫々の限界値から離れる方向に設定される場合には、偏差VTCERR若しくは偏差VELERRのその値通りに許容するため、各限界値から離れる方向の目標に対してはその応答速度を制限することがなく、応答性を確保しつつ限界値へ接近を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、バルブリフト量限界値設定手段としてのステップS22で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS27〜S28、及び、バルブタイミング限界値設定手段としてのステップS4で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS9〜S10の両方を備えるものについて説明したが、いずれか一方のみを備えるものであってもよい。
また、上記実施形態では、吸気バルブ4側にのみにVTC装置,VEL装置を設けたものに適用したものについて説明したが、排気バルブ8側にVTC装置,VEL装置を設けたものにおいて、排気バルブ8のバルブタイミングの遅角量が大きく、かつ、バルブリフト量が最大リフト量側に設定された場合に排気バルブ8がピストンと干渉するおそれがある場合にも適用でき、前記実施例において吸気バルブ4のバルブタイミングの進角量を、排気バルブ8のバルブタイミングの遅角量に置き換えることで同様に実施できる。
また、例えば、前記実施形態においてはVEL装置の駆動手段として電動のアクチュエータ49を用いたが、電動のアクチュエータ49に代えて、油圧のアクチュエータによる駆動装置としてもよい。また、VTC装置もVEL装置と同様に油圧式のものに代えて、電動式のVTC装置を用いたものにしてもよい。また、バルブリフト量の可変手段として、バルブリフト量及び作動角を連続的に可変制御するVEL装置をバルブリフト量可変手段として用いたが、バルブリフト量を数段階に可変制御する構成であってもよい。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)吸気バルブ4又は排気バルブ8の少なくとも一方に対して可変制御されるバルブタイミングの作動状態に応じて、対応する吸気バルブ4又は排気バルブ8のバルブリフト量の制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブリフト量限界値設定手段としてのステップS22と、前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブリフト制御の制御範囲を制限するバルブリフト制御制限手段としてのステップS24〜S25と、前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブリフト実際値からバルブリフトの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS27〜S28と、を備える構成とした場合、即ち、吸気バルブ4又は排気バルブ8の可変制御されるバルブタイミングの作動状態と無関係に機関の運転状態に応じた要求どおりにバルブリフト量を制御する場合に、ピストンと干渉してしまうようなときには、該バルブリフト量の制御の制御範囲の限界値の手前において、その応答速度が低下されることにより、バルブリフト量が限界値を超えてバルブリフト量の制限が開始されるまでに時間遅れを伴う場合においても、該ピストンとの干渉を防止することができる。また、前記バルブタイミングの作動状態と無関係に要求とおりにバルブリフト量を制御しても、ピストンと干渉しないときには、そのまま他方を要求とおりにバルブリフト量を制御することにより、機関性能を最大限高めることができる。例えば、冷間始動時やリーン燃焼時等の運転状態における出力の向上や排気浄化性能を向上することができる。
(イ)吸気バルブ4又は排気バルブ8の少なくとも一方に対して可変制御されるバルブリフト量の作動状態に応じて、対応する吸気バルブ4又は排気バルブ8のバルブタイミングの制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブタイミング限界値設定手段としてのステップS4と、前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブタイミング制御の制御範囲を制限するバルブタイミング制御制限手段としてのステップS6〜S7と、前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブタイミング実際値からバルブタイミングの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS9〜S10と、を備える構成とした場合、即ち、吸気バルブ4又は排気バルブ8の可変制御されるバルブリフト量の作動状態と無関係に機関の運転状態に応じた要求とおりにバルブタイミングを制御する場合に、ピストンと干渉してしまうようなときには、該バルブタイミングの制御の制御範囲の限界値の手前において、その応答速度が低下されることにより、バルブタイミングが限界値を超えてバルブタイミングの制限が開始されるまでに時間遅れを伴う場合においても、該ピストンとの干渉を防止することができる。また、前記バルブリフト量の作動状態と無関係に要求とおりにバルブタイミングを制御しても、ピストンと干渉しないときには、そのまま他方を要求とおりにバルブタイミングを制御することにより、第1の発明同様に、機関性能を最大限高めることができる。
(ウ)バルブリフト量限界値設定手段としてのステップS22で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブリフト実際値からバルブリフトの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS27〜S28、及び、バルブタイミング限界値設定手段としてのステップS4で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブタイミング実際値からバルブタイミングの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS9〜S10とを備える場合には、吸・排気バルブとピストンとが近づくバルブタイミング、あるいはバルブリフト量では、夫々の応答速度を遅くして、バルブタイミングの作動状態に応じてバルブリフト量を制限、あるいはバルブリフト量の作動状態に応じてバルブタイミングを制限するまでに時間遅れを伴う場合においても、バルブ〜ピストン干渉回避制御が始まるまでのIVO進角量、あるいはバルブリフト増加量を低減して、ピストンリセス低減を図ることができる。このため、ピストンリセス低減による熱効率向上が図れ、燃費向上、排気性能の向上、及び出力を向上させることができる。
(エ)バルブリフト量の応答速度及びバルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段としてのステップS12及びS30は、各限界値から離れる方向のバルブリフト量変化若しくはバルブタイミング変化に対しては制限を加えないことにより、各限界値から離れる方向の目標に対してはその応答速度を制限することがなく、応答性を確保しつつ限界値へ接近を抑制することができる。
1 エンジン
4 吸気バルブ
8 排気バルブ
10 ECM(第1コントロールユニット)
20 VEL−C/U(第2コントロールユニット)
30 通信手段
49 VELアクチュエータ
49S VEL位置センサ
51 VTCアクチュエータ
51S VTC位置センサ

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対し、バルブリフト量を連続的に変更するようにバルブリフト制御を行う内燃機関の可変動弁装置であって、
    前記吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対して可変制御されるバルブタイミングの作動状態に応じて、対応する吸気バルブ又は排気バルブのバルブリフト量の制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブリフト量限界値設定手段と、
    前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブリフト制御の制御範囲を制限するバルブリフト制御制限手段と、
    前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブリフト実際値からバルブリフトの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対し、バルブタイミングを変更するようにバルブタイミング制御を行う内燃機関の可変動弁装置であって、
    前記吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対して可変制御されるバルブリフト量の作動状態に応じて、対応する吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングの制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブタイミング限界値設定手段と、
    前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブタイミング制御の制御範囲を制限するバルブタイミング制御制限手段と、
    前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブタイミング実際値からバルブタイミングの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  3. 内燃機関の吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対し、バルブリフト量を連続的に変更するために機関運転状態に応じて目標値を設定するバルブリフト量目標値設定手段と、
    実際のバルブリフト作動状態と目標値とに基づいてバルブリフト量を制御するバルブリフト制御手段と、
    前記可変制御されるバルブタイミングの作動状態に応じて、対応する吸気バルブ又は排気バルブのバルブリフト量の制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブリフト量限界値設定手段と、
    前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブリフト制御の制御範囲を制限するバルブリフト制御制限手段と、
    前記吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対し、バルブタイミングを変更するために機関運転状態に応じて目標値を設定するバルブタイミング目標値設定手段と、
    実際のバルブタイミング作動状態と目標値とに基づいてバルブタイミングを制御するバルブタイミング制御手段と、
    前記吸気バルブ又は排気バルブの少なくとも一方に対して可変制御されるバルブリフト量の作動状態に応じて、対応する吸気バルブ又は排気バルブのバルブタイミングの制御範囲を制限するための限界値を設定するバルブタイミング限界値設定手段と、
    前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値に基づいて、前記バルブタイミング制御の制御範囲を制限するバルブタイミング制御制限手段と、を備え、
    前記バルブリフト量限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブリフト実際値からバルブリフトの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブリフト量の応答速度を低下させる応答速度制限手段と、
    前記バルブタイミング限界値設定手段で設定された限界値までの予め設定した所定範囲の領域において、バルブタイミング実際値からバルブタイミングの制御目標値までの偏差を減算補正して、前記バルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記バルブリフト量の応答速度及びバルブタイミングの応答速度を低下させる応答速度制限手段は、各限界値から離れる方向のバルブリフト量変化若しくはバルブタイミング変化に対しては制限を加えないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の内燃機関の可変動弁装置。
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