JP5310063B2 - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の変速制御装置に関する。
従来、モータを駆動源として走行する車両の変速制御として、特許文献1に記載の技術が知られている。この公報には、モータ制御に高応答のモードと低応答のモードとを有し、変速機の変速中は、モータの制御モードの切り替えを禁止することで、モータ作動状態の急変を抑制している。
特開2006−117206号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、変速中にモータの回転数を変更する必要があるにも係らず、低応答のモードが選択されたまま変速を行うと、変速時間が長くなるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、変速時間を短縮可能な車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、変速機の変速中は、インバータの温度が所定値以上でキャリア周波数が低く制限された状態であっても、インバータから出力されるキャリア周波数を非変速時よりも高くすることとした。

よって、変速中は、パルス幅変調制御におけるスイッチング回数の増大により、電流制御精度ひいてはモータの制御精度を向上することができ、変速時間の短縮化を図ることができる。
実施例1の車両の変速制御装置のシステム図である。 実施例1のキャリア周波数変更処理を表すフローチャートである。 実施例1のキャリア周波数変更処理を表すタイムチャートである。 他の実施例の車両構成を表す概略図である。 他の実施例の車両構成を表す概略図である。
図1は本発明が適用された実施例1の車両の全体システム図である。実施例1の車両は電動車両であり、モータ1の駆動力を変速機3により変速し、デファレンシャルギヤ4から駆動輪5に駆動力を伝達して走行する。
モータ1は、バッテリ20に蓄電された電力(直流)をインバータ10によりモータ駆動電力に変換して駆動力を出力する。一方、減速時等はモータ1を発電機として作動させ、発電された電力をインバータ10により直流電力に変換してバッテリ20を充電する。インバータ10はモータ1を駆動する際、パルス幅変調制御によって擬似正弦波を出力し、所望の出力状態を所定範囲できめ細かに設定する。尚、パルス幅変調制御を行う際にキャリア周波数を適宜変更して最適な制御を実行する。このキャリア周波数とは、インバータで出力電圧形のパルス幅を決めるための変調波の周波数を意味する。キャリア周波数が高ければ、制御がきめ細かに実行でき、キャリア周波数が低ければ、素子のスイッチング回数減少により発熱等の懸念は抑制されるが、制御のきめ細かさに欠けるといえる。
モータ1と変速機3の間には、モータ1の駆動力を変速機3の入力軸との間で断接するクラッチ2が設けられている。このクラッチ2は、変速機3が変速する際には解放され、変速以外の定常状態では完全締結される。尚、モータ1の要求駆動力や作動条件に応じてスリップ制御を行い、クラッチ締結・解放時におけるショックを抑制し、また、モータ1の駆動効率を高めている。
変速機3は有段式の自動変速機であり、実施例1では常時噛み合い式の自動変速機を採用している。具体的には、1速,2速といった複数の固定変速比の関係となる常時噛み合い歯車組のうち、一つを動力伝達経路中に固定するアクチュエータを有し、後述する変速判定部31により判定された変速比となるようにアクチュエータを作動させて変速する。
コントローラ30は、運転者が操作するアクセルペダル開度を検出するアクセル開度センサ42と、車速を検出する車速センサ41と、インバータ10の発熱状態を表すインバータモジュール温度を検出する温度センサ43とからセンサ信号を入力する。変速判定部31では、予め設定されたマップを有し、車速とアクセル開度に基づいて変速比を決定し、変速要求を出力する。
キャリア周波数可変判定部32(周波数変更手段,周波数制限手段)では、変速判定部31からの変速要求指令と、後述するクラッチ制御部34からのクラッチ状態量と、インバータモジュール温度に基づいて、パルス幅変調制御を行う際のキャリア周波数を決定し、モータ制御部33にキャリア周波数指令を出力する。インバータモジュール温度が予め設定された所定値以上であれば、キャリア周波数として低めの所定周波数に制限し、所定値未満のときは、特に制限をかけない高い所定周波数を出力する(周波数制限手段)。また、インバータモジュール温度が所定値以上であって、変速要求指令が出力されたときは、キャリア周波数の増加量決定処理を行って高いキャリア周波数に変更し、クラッチ状態量に基づいて変速が終了したと判断したときは、制限されたキャリア周波数の減少量決定処理を行って低いキャリア周波数に変更し、インバータ温度に応じたキャリア周波数を出力する(周波数変更手段)。
図2はキャリア周波数可変判定処理を表すフローチャートである。ステップ101では、変速要求の有無を判断し、変速要求があるときはステップ102へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。ステップ102では、インバータモジュール温度を検出し、キャリア周波数増加量決定処理を実行する。ステップ103では、クラッチ状態量に基づいて変速処理が完了したか否かを判断し、完了したと判断したときはステップ104に進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。ステップ104では、インバータモジュール温度を検出し、キャリア周波数低減量決定処理を実行する。このとき、インバータモジュール温度が低ければキャリア周波数低減量は小さくてよく、高いキャリア周波数のまま制御を継続してもよい。一方、キャリアモジュール温度が高ければキャリア周波数低減量を大きく設定する。
モータ制御部33では、アクセル開度センサ42により検出されたアクセル開度に基づいてトルク制御を行い、要求駆動力に応じたトルクを出力する。また、変速要求信号を受信したときは、後述するようにクラッチ2を解放することとなる。このとき、クラッチ2の解放に伴ってモータ1の負荷が一気に減少し、回転数が急増するおそれがある。そこで、変速要求信号を受信したときは、現在のアクセルペダル開度に応じたトルク制御から、回転数の急増を抑制するための吹け上がり防止トルク制御に切り替えて目標モータトルクまで低減させる。
一方、駆動輪5の回転数は数秒以内の短時間ではさほど変化しないことから、変速機3における変速比の変更はモータ1の回転数の変更により対応することになる。よって、クラッチ状態量が解放状態を表す状態量を示したときは、変速後の変速比に対応した同期回転数制御に切り替える。そして、同期回転数に到達したときは、クラッチ制御部34に同期信号を出力する。クラッチ状態量が完全締結を表す状態量を示したときは、アクセルペダル開度に応じたトルク制御に切り替えて通常通り走行する。
クラッチ制御部34では、変速要求に基づいてクラッチ2の締結容量を徐々に低下させ、解放に伴うショックを抑制する。また、クラッチ状態量をキャリア周波数可変判定部32及びモータ制御部33に出力する。変速機3においてアクチュエータの作動が完了し、変速が終了したこと、及びモータ1が同期回転数に到達したことを確認すると、クラッチ2の締結容量を上昇させて完全締結する。尚、変速機3では、変速要求に応じてアクチュエータを作動させ、所望の変速比に変速する。
図3は実施例1の車両において変速制御処理を表すタイムチャートである。初期状態は所定車速で変速比を1速として走行しているものとする。また、インバータモジュール温度が所定値以上であり、キャリア周波数は制限された状態とする。この状態からアップシフト要求が出力されて2速に変速する場合を示す。
時刻t1において、車速の上昇に伴って変速要求が出力されると、キャリア周波数が制限されたキャリア周波数から増加され、モータ制御部33において吹け上がり防止トルク制御が実行されてモータトルクが目標モータトルクとなるように抑制される。ここで、キャリア周波数が増加された状態でトルク制御を行うため、素早く目標トルクに低下させることができる。
時刻t2において、モータ1のトルクが目標モータトルクまで低減すると、クラッチ2を解放すると共に、モータ制御を吹け上がり防止トルク制御から同期回転数制御に切り替え、モータ回転数を同期回転数まで低下させる。このとき、キャリア周波数は増加されており制御精度が高く、電力供給が早く行われるため、素早く同期回転数に低下させることができる。
時刻t3において、モータ回転数が同期回転数まで低下すると、クラッチ2を再締結する。そして、時刻t4において、クラッチ2の再締結が完了すると、キャリア周波数をインバータモジュレータ温度に応じた周波数まで低下させると共に、モータ制御を同期回転数制御からトルク制御に切り替えて、2速へのアップシフトを完了する。
すなわち、特許文献1に記載の技術のように、変速タイミングとモータ制御モード切り替えタイミングが一致した場合、モータ運転状態が急激に変動し、制御装置が故障するのを防ぐために、変速タイミングとモータ制御モード切り替えタイミングを一致させないようにすると、キャリア周波数が低い状態で変速を行う場合がある。すなわち、インバータモジュール温度が高く、キャリア周波数を低下させている状態で変速を行うと、モータトルク制御精度が低下し、変速時間が長くなる、もしくは、変速ショック等を招くおそれもある。
これに対し、実施例1では、インバータモジュール温度が高く、キャリア周波数を低下させている状態であっても、変速中はキャリア周波数を増加することで、モータトルク制御精度を向上させ、トルク変動を低減することができる。これにより、クラッチ解放や再締結時のショックを低減できる。また、モータトルクの制御精度を向上させているため、回転数制御を早く収束させることができ、クラッチ2の解放から再締結までの時間をより短縮することができる。よって、クラッチ解放時に運転者の感じる空走感を抑制することができる。尚、実施例1のようにキャリア周波数を増加させる区間を、クラッチ2の解放から再締結までの短時間に制限しているため、インバータモジュール温度が過剰に発熱することはなく、インバータ10の大型化やコストアップを回避することができる。
以上、説明したように、実施例1にあっては下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)モータ1と、モータ1の回転数を変更して駆動輪5に出力する変速機3と、モータ1と変速機3との間に介装され、変速機3の変速開始時に解放し変速終了後に締結するクラッチ2と、所定のキャリア周波数でパルス幅変調制御を行い、モータ1に対して電力を供給するインバータ10と、変速機3の変速要求が出力されたときは、変速要求前のキャリア周波数よりも高いキャリア周波数に変更し、変速終了後は変速中のキャリア周波数よりも低いキャリア周波数に変更するキャリア周波数可変判定部32(周波数変更手段)と、を備えた。よって、変速中は、パルス幅変調制御におけるスイッチング回数の増大により、電流制御精度ひいてはモータの制御精度を向上することができ、モータ作動状態の急変を抑制しつつ、変速時間の短縮化を図ることができる。また、モータの制御精度が高いため、クラッチ2を素早く解放及び再締結することができる。加えて、締結後は再度キャリア周波数を低く設定するため、周波数の高い状態は短時間でよく、インバータモジュール温度の上昇を抑制することができ、インバータ10の大型化やコストアップを回避することができる。
(2)インバータモジュール温度を検出する温度センサ43(温度検出手段)と、検出されたインバータモジュール温度が所定値以上のときは、所定値未満のときよりもキャリア周波数を低く制限するキャリア周波数可変判定部32(周波数制限手段)と、を有し、キャリア周波数可変判定部32(周波数変更手段)は、インバータモジュール温度に基づいてキャリア周波数が制限された状態であっても周波数を変更することとした。すなわち、インバータの温度が高く、キャリア周波数が制限されているような状況であっても、変速時のクラッチ2の解放から再締結までの限られた時間であるため、インバータの温度上昇を抑制することができ、インバータの耐熱性の向上のための大型化やコスト上昇を抑制することができる。
(3)変速要求が出力された後であってクラッチ2の解放前に、モータのトルクを抑制する吹け上がり防止トルク制御を行うため、キャリア周波数が高く変更されていると、素早くトルクを抑制でき、モータ回転数の吹け上がりといった問題を回避しつつ、安定した変速を素早く達成することができる。
(4)クラッチ2の解放後であってクラッチ2の締結前に、モータ1の回転数を変速後の同期回転数に維持する回転数制御を行うため、キャリア周波数が高く変更されていると、素早く目標回転数に収束でき、クラッチ締結時の締結ショックといった問題を回避しつつ、安定した変速を素早く達成することができる。
以上実施例1について説明したが、本発明は実施例1の電動車両に限られず、他の車両構成に適用してもよい。例えば図4に示すように、内燃機関であるエンジン6によって発電機7を駆動し、これにより蓄電されたバッテリ電力もしくは発電機電力をそのまま用い、モータ1を駆動して走行するいわゆるシリーズハイブリッド車両に適用してもよい。
また、図5に示すように、エンジン6の出力とモータジェネレータ(図5に示すのは二つのモータジェネレータ1,1aを備えたタイプだが、一つのモータジェネレータでもよい)の出力を遊星歯車に代表される動力合成分配機構8を介して出力して走行するいわゆるパラレルハイブリッド車両に適用してもよい。二つのモータジェネレータを備えた場合は、両方のモータジェネレータに備えられたインバータにおいてキャリア周波数を上昇させることが好ましいが、一方のみで対応することとしてもよい。
また、実施例1では、変速機として常時噛み合い式の自動変速機を用いたが、遊星歯車組からなる自動変速機に適用してもよい。この場合、クラッチとしては変速段を決定する複数のクラッチもしくはブレーキを備えているため、解放するクラッチと締結するクラッチは異なる場合があっても構わない。
1 モータ
2 クラッチ
3 変速機
4 デファレンシャルギヤ
5 駆動輪
10 インバータ
20 バッテリ
30 コントローラ
31 変速判定部
32 キャリア周波数可変判定部(周波数変更手段,周波数制限手段)
33 モータ制御部
34 クラッチ制御部
43 温度センサ

Claims (3)

  1. モータと、
    該モータの回転数を変更して駆動輪に出力する変速機と、
    前記モータと前記変速機との間に介装され、前記変速機の変速開始時に解放し、変速終了後に締結するクラッチと、
    所定のキャリア周波数でパルス幅変調制御を行い、前記モータに対して電力を供給するインバータと、
    前記変速機の変速要求が出力されたときは、変速要求前の前記キャリア周波数よりも高いキャリア周波数に変更し、変速終了後は変速中のキャリア周波数よりも低いキャリア周波数に変更する周波数変更手段と、
    前記インバータの温度を検出する温度検出手段と、
    検出されたインバータの温度が所定値以上のときは、所定値未満のときよりも前記キャリア周波数を低く制限する周波数制限手段と、
    を有し、
    前記周波数変更手段は、前記周波数制限手段によりキャリア周波数が制限された状態であっても周波数を変更することを特徴とする車両の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の変速制御装置において、
    変速要求が出力された後であって前記クラッチの解放前に、前記モータのトルクを抑制する吹け上がり防止トルク制御を行うことを特徴とする車両の変速制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の変速制御装置において、
    前記クラッチの解放後であって前記クラッチの締結前に、前記モータの回転数を変速後の同期回転数に維持する回転数制御を行うことを特徴とする車両の変速制御装置。
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