JP5319632B2 - 止水樋の固定構造 - Google Patents

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この発明は、橋梁、高架橋などの路面を形成する床版同士の継目部において、継目部から落下する雨水等を止水して排水する止水樋の固定構造に関する。詳しくは、路面幅員方向に連続した一体の止水樋を継目部の所定位置に容易に取り付け固定することのできる止水樋の固定構造に関する。
橋梁、高架橋などにおいて、路面を形成する床版同士の継目部は、隣接する床版の間に伸縮可能な間隙が設けられている。この継目部により床版の温度変化による伸縮、通行車両の荷重による撓み、時間経過による寸法変化などの影響を吸収し、車両等の円滑な通行が可能となるのである。この継目部に流れ込んだ雨水等はそのままでは継目部の下方に落下してしまうので、この雨水等の落下を防止するとともに所定の排水位置に誘導するために断面U字形の止水樋が設置される。
従来は、この止水樋はボルトとナットにより所定位置に固定されたり、接着剤により所定位置に固定されたりしていた。しかし、この止水樋の設置作業は、作業位置が床版の下面側の作業しにくい位置であることもあり、作業員に困難な長時間の作業を強いるものであった。また、下記の特許文献1のような止水樋の設置方法も公知である。特許文献1には、ワイヤと接着手段とを使用して止水樋を橋梁等に接着固定するようにした施工方法が記載されている。
特開2008−248494号公報
前述のように、ボルトとナットなどによる従来の止水樋の設置作業は、長時間の困難な作業を必要とし、施工コストを引き上げる原因となっていた。また、特許文献1やその他の接着による施工方法では、施工時の作業の困難さもさることながら、劣化したり損壊した古い止水樋を新しいものに交換する作業が困難であった。すなわち古い止水樋を取り外すことが難しかった。このように、従来の止水樋の固定構造では、設置作業や交換作業が困難であり、作業時間も長時間を要するという問題点があった。
そこで、本発明は、路面幅員方向に連続した一体の止水樋を床版の継目部の所定位置に容易に取り付け固定することができ、また、交換のために止水樋を取り外すことも容易に行うことのできる止水樋の固定構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の止水樋の固定構造は、下方の開口部が狭く上方の底部が広く形成された溝状凹部を備えた樋固定部と、上方が開放され雨水等の誘導が可能な有底形状であって、両上端部に板厚の厚い部分が形成された止水樋と、前記樋固定部の前記溝状凹部に装着可能であるとともに前記止水樋の両上端部を保持可能に形成された弾性材料からなる保持部材とを有し、前記保持部材は、前記止水樋の両上端部を弾性力により挟持する挟持部と、前記挟持部を弾性力に抗して押し広げる開閉腕部とを備え、前記開閉腕部が前記溝状凹部の上方底部側に押し込まれた状態では前記挟持部が弾性力により狭められて前記止水樋の両上端部を保持可能であり、前記開閉腕部が前記溝状凹部の開口部近傍に引き出された状態では前記挟持部が開放されて前記保持部材内に前記止水樋の両上端部を挿入可能なものである。
また、上記の止水樋の固定構造において、前記止水樋は、全体の断面形状がU字形のものであることが好ましい。
また、上記の止水樋の固定構造において、前記止水樋は、その両上端部の断面形状が略逆三角形に形成されたものであり、前記保持部材は、前記止水樋の前記上端部を保持可能な略逆三角形に形成されたものであることが好ましい。
また、上記の止水樋の固定構造において、前記開閉腕部は、その先端部に外方側に突出する突起が形成されたものであり、前記溝状凹部は、前記開閉腕部の前記突起が係合する係合凹部が2位置に設けられたものであることが好ましい。
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
本発明の止水樋の固定構造により、路面幅員方向に連続した一体の止水樋を床版の継目部の所定位置に容易に取り付け固定することができる。また、固定した止水樋を修理、交換等のために取り外す作業も容易に行うことができる。そのため、橋梁等の建設工事のコストを低減させることができ、工期を短縮することができる。
図1は、橋梁などの床版の継目部の構造と本発明の止水樋の固定構造を示す断面図である。 図2は、継目部のフェースプレート41の形状を示す平面図である。 図3は、樋固定部2の構成を示す断面図である。 図4は、保持部材3の構成を示す断面図である。 図5は、樋固定部2に対する保持部材3の装着状態を示す断面図である。 図6は、止水樋1を樋固定部2に固定する手順を示す断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の止水樋の固定構造を適用する橋梁などの床版の継目部の構造を示す断面図である。橋梁、高架橋などにおいて、路面を形成する床版4,4同士の継目部は、隣接する床版4,4の間に伸縮可能な間隙が設けられている。この継目部により床版4,4の温度変化による伸縮、通行車両の荷重による撓み、時間経過による寸法変化などの影響を吸収し、車両等の円滑な通行が可能となるのである。床版4,4は、図1の矢印に示すように水平方向に伸縮移動したりする。
床版4の継目部の表面には金属製のフェースプレート41が設けられている。図2は継目部のフェースプレート41の形状を示す平面図である。フェースプレート41の継目部には、図2に示すようなフィンガー部42が形成されており、このフィンガー部42が互い違いに配置されている。この構造により、継目部での床版4,4同士の伸縮移動が可能であるとともに、継目部における車両等の通行も円滑に行うことができる。
継目部における床版4,4の間のフェースプレート41裏側には、弾性シール材5が配置されており、継目部から雨水等が下方に流下するのを防止している。弾性シール材5はゴム等の柔軟性を有する防水材料からなる。また、弾性シール材5の下方にはバックアップ材6が配置されている。バックアップ材6は弾性シール材5をフェースプレート41裏面に密着保持するための裏打ち部材である。このバックアップ材6は、床版4,4の伸縮方向の移動に追従できるだけの十分な弾性を有している。
この継目部に流れ込んだ雨水等は、弾性シール材5によってそのまま落下することは防止されているが、弾性シール材5でも完全に雨水等の落下を遮断することはできない。弾性シール材5から漏れ落ちる雨水等は、止水樋1によって落下を防止され、所定の排水位置に誘導される。図1に示すように、止水樋1は断面U字形とされ、バックアップ材6の下面に配置されている。なお、止水樋1は、断面U字形に限らず、断面形状をV字形、W字形、上方が開放された四角形等の形状としてもよい。止水樋1の断面形状としては、上方が開放され雨水等の誘導が可能な有底形状であればよい。
従来は、このような止水樋はボルトとナットにより所定位置に固定したり、接着剤により所定位置に固定したりしていた。しかし、このような従来の止水樋の設置作業は、作業位置が床版の下面側の作業しにくい位置であることもあり、作業員に困難な長時間の作業を強いるものであった。また、劣化したり損壊した古い止水樋を新しいものに交換する作業も困難であった。
本発明では、止水樋1の固定を独自の固定構造によって行うようにして、止水樋1を床版4の継目部の下面に固定する作業を極めて容易に行うことができるようにしたものである。また、古い止水樋1を交換のために取り外すことも容易に行うことができる。固定構造の詳細は後述するが、止水樋1は樋固定部2に固定される。
樋固定部2は溝を形成した細長い棒状の部材であり、溝の開口面を下方に向けて設置されている。樋固定部2は接着やビス等の任意の方法で、バックアップ材6および床版4に固定される。この樋固定部2は、長さも止水樋1の全長ほどは長くなくてよい。適度な長さの樋固定部2を長さ方向に所定の間隔で設置すればよく、重量も軽いためバックアップ材6下面への設置作業は容易である。
止水樋1は、柔軟なゴム材からなる板状の部材をU字状に屈曲させて、止水樋1として構成することができる。止水樋1の上端部11は、板厚が先端側ほど厚くなる形状に形成されている。止水樋1の上端部11は、最上端が最も厚肉となる略逆三角形の形状に形成されている。上端部11のこの厚肉部分を樋固定部2に固定するのである。なお、この上端部11の厚肉部分の形状は、逆三角形に限らず、四角形、円形等の任意の形状とすることができる。ただし、保持部材3の形状との適合性を考慮すると逆三角形が好ましい。
図3は、樋固定部2の構成を示す断面図である。樋固定部2は溝状凹部21が形成された細長い棒状の部材であり、溝状凹部21の開口面を下方に向けて設置される。溝状凹部21は、その断面形状が上方(溝の底面側)ほど溝幅が広くなるような図示のような形状に形成されている。
また、溝状凹部21には、その底面の近傍位置の両側に係合凹部22,22が形成されており、開口面の近傍位置の両側にも係合凹部23,23が形成されている。これらの係合凹部22,23には、後述する保持部材3の突起33,33が係合して、保持部材3の開閉状態を規定する。
図4は、保持部材3の構成を示す断面図である。保持部材3は紙を束ねるためのクリップと似たような断面構造をしており、全体がばね鋼などの弾性材料の薄板で形成されている。挟持部31は止水樋1の上端部11を挟んで保持する部分である。保持部材3の本体部は上端部11をちょうど収納可能な略逆三角形の形状に形成されている。
開閉腕部32は、挟持部31の開閉操作を行うための部分である。保持部材3に外力が加わっていない状態では、図4のように挟持部31は最も閉じた状態となり、開閉腕部32は上方が最も開いた状態となっている。この状態から開閉腕部32の上端を閉じる方向に移動させると、てこの作用により挟持部31がばね力に抗して開く方向に移動する。開閉腕部32の上端に作用する力を解除すれば、挟持部31はばね力により元の閉じた状態に戻る。
保持部材3は図示のような断面形状であるが、その奥行き方向の長さは適宜の長さとすればよい。保持部材3の長さは樋固定部2の長さよりも短くてよく、1つの樋固定部2に対して複数の保持部材3を所定の間隔で装着することができる。なお、保持部材3は、そのばね力によって止水樋1を十分に保持できる程度のばね剛性に設計されている。すなわち、挟持部31のばね力による保持力は、止水樋1がその自重で脱落しない程度の十分な大きさとされている。
図5は、樋固定部2に対する保持部材3の装着状態を示す断面図である。保持部材3の開閉腕部32の上端に閉じる方向の力を加えて、開閉腕部32上端の間隔を狭めると、開閉腕部32が溝状凹部21の開口部に挿入可能となる。そして、さらに保持部材3を溝状凹部21の内部に押し込むと、図5(a)に示すように、開閉腕部32が弾性変形して溝状凹部21の内部に挿入され、開閉腕部32の突起33が開口面の近くの係合凹部23に入り込み、その位置で突起33が係合凹部23に係合する。この位置では、保持部材3の開閉腕部32上端が間隔の狭い状態で係合されており、挟持部31は間隔の広い開放状態となってその状態が維持されている。
保持部材3をこの位置からさらに溝状凹部21の内部に押し入れることができる。保持部材3をさらに溝状凹部21内部に押し入れると、図5(b)に示すように、開閉腕部32の間隔は溝状凹部21の断面形状に沿って広げられ、逆に挟持部31の間隔はばね力によって狭められて挟持状態となる。保持部材3を最も溝状凹部21の内部に押し入れると、開閉腕部32の突起33が溝状凹部21の底面の近くの係合凹部22に係合する。
保持部材3は、溝内に押し込んだり引き出したりすることにより、図5(a)の開放状態と、図5(b)の挟持状態を切り換えることができる。止水樋1を保持していない状態では、図5(a)の開放状態としておく。また、開放状態からさらに保持部材3を引き出すことにより、保持部材3を樋固定部2から完全に取り外すこともできる。
図6は、止水樋1を樋固定部2に固定する手順を示す断面図である。まず、図6(a)に示すように、樋固定部2に保持部材3を開放状態で装着しておく。そして、保持部材3の開放されている挟持部31に止水樋1の上端部11を挿入する。次に、さらに力を加えて上端部11を挟持部31とともに上方に移動させる。すると、図6(b)に示すように、止水樋1の上端部11は保持部材3の挟持部31によって挟持され、その位置で固定される。このように、止水樋1の固定作業を、単に上方に押し上げるだけの極めて簡単な操作で遂行することができる。
また、このように固定した止水樋1を修理、交換等のために取り外す作業も容易である。固定されている止水樋1の上端部11を挟持部31とともに下方に引き出せば、保持部材3が開放状態となり、止水樋1を簡単に取り外すことができる。ただし、止水樋1を取り外す際に必要な力は、止水樋1の自重を支えるための力よりも十分に大きくしておく。これにより、止水樋1が自重により自然に外れてしまうことが防止される。
以上のような本発明の止水樋の固定構造により、路面幅員方向に連続した一体の止水樋1を床版の継目部の所定位置に容易に取り付け固定することができる。また、固定した止水樋1を修理、交換等のために取り外す作業も容易に行うことができる。そのため、橋梁等の建設工事のコストを低減させることができ、工期を短縮することができる。
本発明によれば、橋梁等の建設工事において、止水樋を床版の継目部の所定位置に容易に取り付け固定することができ、また、固定した止水樋を修理、交換等のために取り外す作業も容易に行うことができるので、橋梁等の建設工事のコストを低減させ、工期を短縮することができる。
1 止水樋
2 樋固定部
3 保持部材
4 床版
5 弾性シール材
6 バックアップ材
11 上端部
21 溝状凹部
22,23 係合凹部
31 挟持部
32 開閉腕部
33 突起
41 フェースプレート
42 フィンガー部

Claims (4)

  1. 下方の開口部が狭く上方の底部が広く形成された溝状凹部(21)を備えた樋固定部(2)と、
    上方が開放され雨水等の誘導が可能な有底形状であって、両上端部(11)に板厚の厚い部分が形成された止水樋(1)と、
    前記樋固定部(2)の前記溝状凹部(21)に装着可能であるとともに前記止水樋(1)の両上端部を保持可能に形成された弾性材料からなる保持部材(3)とを有し、
    前記保持部材(3)は、前記止水樋(1)の両上端部を弾性力により挟持する挟持部(31)と、前記挟持部(31)を弾性力に抗して押し広げる開閉腕部(32)とを備え、前記開閉腕部(32)が前記溝状凹部(21)の上方底部側に押し込まれた状態では前記挟持部(31)が弾性力により狭められて前記止水樋(1)の両上端部を保持可能であり、前記開閉腕部(32)が前記溝状凹部(21)の開口部近傍に引き出された状態では前記挟持部(31)が開放されて前記保持部材(3)内に前記止水樋(1)の両上端部を挿入可能なものである止水樋の固定構造。
  2. 請求項1に記載した止水樋の固定構造であって、
    前記止水樋(1)は、全体の断面形状がU字形のものである止水樋の固定構造。
  3. 請求項1,2のいずれか1項に記載した止水樋の固定構造であって、
    前記止水樋(1)は、その両上端部(11)の断面形状が略逆三角形に形成されたものであり、
    前記保持部材(3)は、前記止水樋(1)の前記上端部(11)を保持可能な略逆三角形に形成されたものである止水樋の固定構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載した止水樋の固定構造であって、
    前記開閉腕部(32)は、その先端部に外方側に突出する突起(33)が形成されたものであり、
    前記溝状凹部(21)は、前記開閉腕部(32)の前記突起(33)が係合する係合凹部(22,23)が二位置に設けられたものである止水樋の固定構造。
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