JP5332129B2 - 車両前部のフレーム構造 - Google Patents

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本発明は、車両前部の左右側方に設けられる、フロントサイドメンバの構造に関する。
自動車の車体前部のフレーム構造として、左右の前輪の頭頂部とほぼ同じ高さに位置する左右のアッパフレームと、フロア部分とほぼ同じ高さに位置する左右のシャシメンバに加え、前輪の中心軸とほぼ同じ高さにおいて車体前後方向へ延びる左右のフロントサイドメンバが配置されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。エンジン及びトランスミッションは、この左右のフロントサイドメンバの車幅方向内側に配置される。
このようなフレーム構造では最大操舵時に前輪がフロントサイドメンバと干渉する場合があるため、衝突エネルギー吸収性能の向上と操舵角を考慮して、前輪がフロントメンバ部よりも車幅方向内側へ進入できる空間を形成し、フロントメンバ部が中心領域とエンジン及びトランスミッションとの間を通らないようなレイアウトにする技術が提供されている(例えば特許文献2参照)。この車体フレーム構造は、前輪の中心軸より上方に位置し、フロントピラより車両前方に延びるアッパメンバ部と、前記前輪の中心軸より下方に位置し、フロアの前端部より車両前方に延びるロアメンバ部と、前記前輪より前方で結合するアッパメンバ部とロアメンバ部を結合する結合部と、前記結合部より車両前方に延びるフロントメンバ部とを備えている。このような車体フレーム構造において、衝突等の際に車体前方から入力される力は、左右のフロントメンバ部からアッパメンバ部及びロアメンバ部に分散される。
更に車両を軽量化させる上において、車両のフレーム構造を、アルミニウム合金等からなる構成部材で形成することが考えられる。仮にアッパメンバ部やフロントピラを、例えばアルミニウム合金ダイカストで成形しようとすると、それら部材の全体の形状や、補強用リブの配置関係などから、車両の内外方向に沿って型抜き方向を設定することが考えられる。
特許第2890938号公報 特開2006−143178号公報
しかしながら、アッパメンバ部にはストラットが組み付けられるストラットハウス部が設けられる。このストラットハウス部は、周囲を壁体で囲み、頂部にストラットを取り付ける頂板を有する有頂筒体状に形成し剛性を確保するため、車両の内外方向を成形時の型抜き方向に設定した場合、型抜き方向に壁体が二面設けられることとなり、アッパメンバ部は一度の型抜きでは成形できないこととなる。そこで、型抜き方向に重なった壁体のうちの一面を除いた状態でアッパメンバ部を成形し、アッパメンバ部を成形した後に、壁体を除いた部分に別途形成した壁体を溶接などで取り付けることが必要となる。したがってアッパメンバ部を成形する場合において、部品点数が多く、かつ手間がかかる工程となっていた。
本発明は上記課題を解決し、部品点数が少なく、製造工程を簡易とした車両前部のフレーム構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため車両の前部フレーム構造を次のように構成した。
1、車両の室内空間より前方で、車幅方向の左右に一対設けられ、上部がフロントピラーアッパーの下端に接続され、下部がサイドシルの前端に接続されるフロントピラと、
前記フロントピラの車両前方側に取り付けられ、前端が、フロントサイドメンバロアに接続されるフロントサイドメンバアッパとからなる車両前部のフレーム構造において、
前記フロントピラ及び前記フロントサイドメンバアッパは、前記車両の内外方向を型抜き方向としたダイカスト部材であり、かつ前記フロントサイドメンバアッパはストラットハウス部を備え、前記ストラットハウス部は、前記ストラットハウス部の周囲を構成する4方の面のうちの3方の面を壁体とし、該4方の面のうちの他の1方の面であって、前記型抜き方向に互いに対向する2つののいずれか一方の面を前記ストラットハウス部における型抜きを可能とする切り欠き部分し、前記フロントピラは、前記フロントサイドメンバアッパを該フロントピラに組み付けたとき、前記切り欠き部分を塞ぐ覆い板を備え、少なくとも、前記切り欠き部分に前記覆い板を接合して、前記3方の壁体と前記覆い板による4方の壁体により閉断面のストラットハウス部を形成し、前記フロントピラと前記フロントサイドメンバアッパとを連結させ車両前部のフレーム構造を構成した。
2、1に記載の車両前部のフレーム構造において、前記フロントサイドメンバアッパは、前記車両の前輪の上部を越えて前端が前記フロントサイドメンバロアに連結される構造とした。
3、1または2に記載の車両前部のフレーム構造において、前記切り欠き部分は、車両の外側に面していることとした
4、3に記載の車両前部のフレーム構造において、前記切り欠き部分は、前記型抜き方向に抜き勾配をもって形成された前記ストラットハウス部の内面に連続していることとした。
本発明にかかる車両の前部フレーム構造は、次の効果を有している。
フロントサイドメンバアッパは、型抜き方向に重なる壁体の一方が除かれ、ダイカストで一体に形成できる。また覆い板を有するフロントピラも、ダイカストで一体に形成できる。
更に、フロントサイドメンバアッパとフロントピラを溶接等により組み付ける際切り欠き部分に覆い板の周縁が溶接されるので、閉断面構造を有するストラットハウス部が壁体と覆い板によりフロントサイドメンバアッパに形成される。したがって、ストラットハウス部の壁体を別途製造すること、及び壁体を別途フロントサイドメンバアッパに接合で組み付ける工程を行う必要がなく、閉断面構造のストラットハウス部を含む車両前部のフレーム構造の製造工程を簡易に、かつ安価することができる。
本発明に係る車両前部のフレーム構造の第一の実施形態について、図を参照して説明する。図1に、フロントサイドメンバアッパ10及びフロントピラ12を含む自動車(車両)ほぼ全体のフレーム構造を示す。以下、自動車の進行方向を前方(前側)とし、これを基準に後方(後側)、左右幅方向を定義し、自動車の幅方向の中心に向かう方向を内方向(内側)、自動車の中心から幅方向に広がる方向を外方向(外側)とする。また重力の作用する方向を下方向(下側)、重力に逆らう方向を上方向(上側)とする。図中矢印X、Y及びZは直交する3方向を示し、矢印Xは車両前方、矢印Yは車幅方向左側、矢印Zは車両上方向を指す。尚、左右で同様な構成については適宜説明を省略することがある。
フロントサイドメンバアッパ10とフロントピラ12は、車両の室内空間の前方で、車両の幅方向左右両側にそれぞれ配置されている。図2に車両前部のフレーム構造の一方、つまり車両前部の左方に設けられるフロントサイドメンバアッパ10及びフロントピラ12からなる前左フレーム11を示す。尚、前右フレームは、前左フレームと左右を反転したほぼ同一の構造を有しており、その説明は省略する。
前左フレーム11は、上端が、(左)フロントピラーアッパー14に接続し、下端が、(左)サイドシル16に接続し、前端が前方に延び、フロントサイドメンバロア20に連結している。
図3に、前左フレーム11の分解図を示し、図中の右側に、フロントピラ12を示す。フロントピラ12は、主に縦方向に延設された部材であり、上端に接続部15を有し、下部に接続部17を有している。接続部15には、前述したようにフロントピラーアッパー14の下端が、また接続部17には、サイドシル16の前端がそれぞれ溶接等により一体に接続される。またフロントピラ12の上部前方には、接続部18が形成してある。接続部18は、平坦に形成された端面であり、接続部18の左側、すなわち車両外側には、前方に延びる覆い板22が設けられている。覆い板22は、板状の部材で、フロントピラ12にフロントサイドメンバアッパ10を組み付けると、後述するフロントサイドメンバアッパ10の切り欠き部分24に対応するように形成してある。
またフロントピラ12は、車両の内外方向、すなわち図中Aで示す方向をダイカストの型抜き方向とした、アルミダイキャスト材などの軽合金鋳物からなる構造部材であり、覆い板22を含めて一体に成形されている。
図3の左側に、フロントサイドメンバアッパ10を示す。フロントサイドメンバアッパ10は、図の右方、つまり車両の後方側に基端部26を有し、基端部26から車両前方に向けて延びている。基端部26は、フロントピラ12の接続部18に対応し、接続部18に溶接等で固定させるように形成されている。
フロントサイドメンバアッパ10は、基端部26から前方に延びるにつれ、車両の内側に向かい、かつ下方に向かって湾曲し、フロントサイドメンバロア20に前端が連結するように形成してある。(図1参照。)。フロントサイドメンバロア20は、フロントサイドメンバアッパ10の下方にあって、左右のサイドシル16の前端に接続し、サイドシル16とほぼ同一の高さをもって前方に延びている、平面視がほぼH型の部材である。
具体的には、フロントサイドメンバアッパ10を接続部18に組み付けると、フロントサイドメンバアッパ10は、車輪Wの上方を越えて車輪Wの内側に入り、車体前方下部においてフロントサイドメンバロア20に接続される。更にフロントサイドメンバアッパ10とフロントサイドメンバロア20が接続された先端部には、フロントバンパービーム30が設けられている。
基端部26の近傍には、ストラットハウス部28が設けてある。ストラットハウス部28は、3方に設けられた壁体32と、頂板34からなり、一方の面(車両の外側面)が前述した切り欠き部分24となっている。壁体32は、図4にも示すように車両の前方と後方と内側のそれぞれの面に設けてあり、ストラットハウス部28の3方を囲い、頂板34は、それら壁体32の3箇所の頂縁に連結している。図4は、前左フレーム11を車両内側から示した図である。
フロントサイドメンバアッパ10は、フロントピラ12と同様、車両の内外方向、すなわち矢印Aの方向を型抜き方向とした、アルミダイキャスト材などの軽合金鋳物からなる構造部材であり、切り欠き部分24は、型抜き方向に若干の抜き勾配をもって形成されたストラットハウス部28の内面に連続して形成されている。すなわち、切り欠き部分24を通って、ストラットハウス部28の内側面を形成する型面(凸状)が、型締めに際してストラットハウス部28の外側面を形成する型面(凹状)内に進入し、また型を開く際に抜き出されるようになっている。頂板34には、取付孔36が形成してある。取付孔36は、前輪Wのショックアブソーバの取付部(図示せず。)に対応しており、取付孔36を介してストラットハウス部28の内側にショックアブソーバが固定される。
次に、前左フレーム11の形成方法について説明する。
上述したように、フロントサイドメンバアッパ10とフロントピラ12を図3に示すようにダイカストでそれぞれ形成する。ダイカストは、前述したようにそれぞれ車両の内外方向を型抜き方向として行われる。
そしてフロントサイドメンバアッパ10の基端部26をフロントピラ12の接続部18に組み付け、接続部18と基端部26の周縁を溶接するとともに、覆い板22と切り欠き部分24の突き合わせ部分を溶接する。これにより、前左フレーム11が一体に形成され、かつ覆い板22と切り欠き部分24が溶接されることによりストラットハウス部28が3方の壁体32と覆い板22により4方が囲まれてた閉断面に形成される。尚、前右フレームも同様にして形成することができる。
したがって、閉断面のストラットハウス部28を有する車両前部のフレーム構造を、ダイカストにより、簡易な工程で、かつフロントサイドメンバアッパ10とフロントピラ12以外の部品を用いることなく、これら部材を接続させて確実に剛性を確保し、かつ安価に構成することができる。
また、覆い板22を切り欠き部分24に合わせることにより、接続部18と基端部26における位置合わせが容易となり、フロントサイドメンバアッパ10とフロントピラ12を正確に、かつ容易に溶接固定できる。
尚、覆い板22と切り欠き部分24は溶接により固定するが、他の部分は、ねじ固定等でもよい。また本発明のフレーム構造の素材は、アルミニウム、あるいはアルミニウム合金等に限定するものではない。更に、切り欠き部分は、車両外側でなく、他の面、例えば車両内側面等に形成してもよい。
本発明にかかる車両前部のフレーム構造の一実施形態を備えた車両のフレーム示す斜視図。 前左フレームを示す斜視図。 前左フレームを示す分解斜視図。 前左フレームを示す斜視図。
符号の説明
10…フロントサイドメンバアッパ
11…前左フレーム
12…フロントピラ
15、17、18…接続部
22…覆い板
24…切り欠き部分
28…ストラットハウス部分
32…壁体

Claims (4)

  1. 車両の室内空間より前方で、車幅方向の左右に一対設けられ、上部がフロントピラーアッパーの下端に接続され、下部がサイドシルの前端に接続されるフロントピラと、
    前記フロントピラの車両前方側に取り付けられ、前端が、フロントサイドメンバロアに接続されるフロントサイドメンバアッパとからなる車両前部のフレーム構造において、
    前記フロントピラ及び前記フロントサイドメンバアッパは、前記車両の内外方向を型抜き方向としたダイカスト部材であり、
    かつ前記フロントサイドメンバアッパはストラットハウス部を備え、
    前記ストラットハウス部は、前記ストラットハウス部の周囲を構成する4方の面のうちの3方の面を壁体とし、該4方の面のうちの他の1方の面であって、前記型抜き方向に互いに対向する2つののいずれか一方の面を前記ストラットハウス部における型抜きを可能とする切り欠き部分し、
    前記フロントピラは、前記フロントサイドメンバアッパを該フロントピラに組み付けたとき、前記切り欠き部分を塞ぐ覆い板を備え
    少なくとも、前記切り欠き部分に前記覆い板を接合して、前記3方の壁体と前記覆い板による4方の壁体により閉断面のストラットハウス部を形成し、前記フロントピラと前記フロントサイドメンバアッパとを連結させたことを特徴とする車両前部のフレーム構造。
  2. 前記フロントサイドメンバアッパは、前記車両の前輪を越えて前端が前記フロントサイドメンバロアに連結される構造である請求項1に記載の車両前部のフレーム構造。
  3. 前記切り欠き部分は、前記車両の外側に面していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両前部のフレーム構造。
  4. 前記切り欠き部分は、前記型抜き方向に抜き勾配をもって形成された前記ストラットハウス部の内面に連続していることを特徴とする請求項3に記載の車両前部のフレーム構造。
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