JP5332146B2 - スピーカ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカ装置に関する。
従来、スピーカとして、動電形、静電形、圧電形、及び電磁形その他が知られる。このうち、動電形スピーカ(ダイナミック形スピーカ)は、振動板やその振動源の構造などによりムービングコイル形、リボン形、ブラットハーラ形、及びハイル形などに分類されるが、その基本は電磁気力により振動板を駆動するものであり、比較的簡単な構造で高い変換効率が得られるためスピーカの主流になっている。中でもムービングコイル形は動電形スピーカの大部分を占め、これにはコーン形スピーカやドーム形スピーカが含まれる。
コーン形スピーカは図16に示すように、円錐形の振動板(コーン振動板C)を用いるものであり、そのコーン振動板Cを駆動するための電磁気力を発生するボイスコイルVcと磁気回路Mc、ボイスコイルVcを磁気回路McのギャップGpに対して一定の位置に保つためのダンパD、ボイスコイルVcの先端に連結されたコーン振動板Cの周辺を支持するエッジE、及びこれらの部品を連結するフレームFから構成される。
そして、磁気回路Mcのギャップ中においたボイスコイルVcに音声波形に基づく電流を流すことにより、ボイスコイルVcが磁力線の直角方向に往復運動して直結しているコーン振動板Cを駆動する。
さて、上述のコーン型スピーカにおいて、ボイスコイルVcの振動中心を保持するための構造として、ダンパDとエッジEが設けられている。しかしながら、そのようにメカニカルなバネ構造によりボイスコイルを振動中心位置に保持しようとすると、振動板Cの振動がそれらの力学特性に強く依存するため、周波数ごとで発音にムラが生じるなどの問題点があった。また、振動板Cの振幅を大きくしようとしても限界が生じてしまうなどの問題点もあった。
以上に述べたメカニカルな支持構造により生じる問題点を解消するために、以下に述べるような技術が提案されている。
非特許文献1においては、上記のメカニカルな支持構造に代えて、エアダンパを用いることにより上記の課題を解決する方法が示されている。
特許文献1においては、ダブルボイス構造で、それぞれのコイルにおいて、オーディオ信号による駆動電流にバイアス電流を重畳することにより、振動の基準位置を制御する技術が開示されている。
特許文献2においては、ボイスコイルが静止位置にある際に磁場から外れる位置に第3のコイルを設け、該第3のコイルにより動作時のプレーキングを行わせる技術が開示されている。該技術においては、基準振動位置は従来通りメカニカルな構造により制御されている。
Guy Lemarquand "New structure of loudspeaker", Audio Engineering Society Convention Paper 6846 Presented at the 120th Convention, May 2006. 特開2001−186589号公報 特開平11−164394号公報
上記非特許文献1の技術においては、エアダンパの構造によりバネ定数に相当する力学特性が決定されるため、設計の自由度が制限されるとの問題点があった。また、口径に対して大きな容積を持つ空気室が必要であった。
また、特許文献1の技術においては、振動中心位置を保持する為のコイルとオーディオ信号を入力する為のコイルを兼ねている為、動作を実現する為には、コイルが振動中心位置以外にいる場合には、コイルが磁気ギャップの領域から外れてしまい、磁場の利用効率が下がるとの問題点が生じた。また、二つのボイスコイルに逆極性のバイアスを印加する必要があり、駆動回路が複雑になるとの問題点、および、複数のコイルを提案されている目的以外(例えばMFB(motion feedback)を実現する為のセンサ等)に利用する事が難しいとの問題点があった。
また、特許文献2の技術においては、ボイスコイルが振動中心位置にいる場合に、第三のコイルが磁場から外れた位置にある必要があり、その状態では、ダンパレスを実現する為のローレンツ力を得る事ができないとの問題点があった。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、ボイスコイルの駆動に係るバネ特性が適切に調整されると共に、大振幅の駆動が可能なスピーカおよびスピーカ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るスピーカ装置は、筒状のボビンと、前記ボビンをその軸方向にスライド可能に支持する支持機構と、磁石と磁路形成部材とを有し、両者によって筒状の空隙である磁気ギャップが形成され、前記磁気ギャップに前記ボビンが軸心を共通するように配置されるとともに、前記磁気ギャップにおいて前記ボビンの内外を貫く磁界が形成される磁路形成フレームと、前記ボビンに巻き付けられる制御コイルと、前記制御コイルに対して一定の直流電流を供給する回路と、前記制御コイルを挟んで、前記ボビンの一端側および他端側に巻き付けられる第1、第2のコイルとを有し、前記磁界は前記制御コイルの一端側に対して他端側が逆方向となるように形成され、前記制御コイルに前記一定の直流電流を流した場合に、前記ボビンが基準位置からスライドするとこれを押し戻す方向に、前記制御コイルにローレンツ力が働くように設定されていることを特徴とする。
上記の構成において、前記磁石に隣接して前記ボビンの一端側で前記磁界を形成する第1プレートと、前記磁石に隣接して前記ボビンの他端側で前記一端側と逆方向の磁界を形成する第2プレートとを有し、前記制御コイルの巻き幅が、前記第1プレートの前記第2プレート側の端から前記第2プレートの前記第1プレート側の端まで、または、前記第1、第2コイルに電流が流れていない場合に、前記制御コイルは、前記磁石と前記磁路形成部材との間のギャップにオーバラップし、且つ、一端側が前記第1プレートと前記磁路形成部材との間の磁気ギャップにオーバラップする長さと、他端側が前記第2プレートと前記磁路形成部材との間の磁気ギャップにオーバラップする長さとが同じ長さであってもよい。
本発明に係るスピーカ装置は、上記の構成において、入力電流を増幅し、該増幅された入力電流を前記第1、第2のコイルに互いに逆方向に供給する出力手段とが設けられていても良い。
本発明に係るスピーカおよびスピーカ装置によれば、ボイスコイルの駆動に係るバネ特性が適切に調整されると共に、大振幅の駆動が可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施する際の最良の形態について説明する。
(A;構成)
(A−1;全体構成)
図1は、スピーカ1の全体構成を示した図である。なお、図1では、ボイスコイルが静止位置(基準位置)にある場合について示す。
スピーカ1は、筐体であるヨークと、該ヨークと接触しながらすべり運動するボイスコイルとに大別される。
(A−2;ヨークの構成)
まず、ヨークの構成について図1を参照して説明する。ヨークは、外部ヨーク11と内部ヨークからなる。
外部ヨーク11は、鉄等の磁性体で構成され、後方(図中左側)が底面となっている円筒形状を有している。
内部ヨークは、略円柱状構造であり、外部ヨーク11の底面に固定された保持部12と、この保持部12に隣接している後部プレート13と、後部プレート13に隣接しているマグネット14と、マグネット14に隣接している前部プレート15によって構成されている。
マグネット14は、外部磁場が無くても自発的に磁性を持つ永久磁石であり、前方(図中右側)がN極、後方(図中左側)がS極となっている。前部プレート15および後部プレート13は、磁場を印加するとその方向に磁化する常磁性体からなり、マグネット14により磁化されている。外部ヨーク11と前部プレート15、および外部ヨーク11と後部プレート13との間には、ほぼ円柱状の空隙が形成され、この空隙には、マグネット14の磁束が集中した磁界が形成される。以下では、該空隙を磁気ギャップと呼ぶ。
マグネット14のN極とS極は、上記のように配列しているため、磁気ギャップに形成されている磁界の方向は、前部プレート15により形成される磁気ギャップにおいては、前部プレート15から外部ヨーク11の方向であり、後部プレート13により形成される磁気ギャップにおいては、外部ヨーク11から後部プレート13の方向である。
外部ヨーク11の内側面には、摺動部16が設けられている。摺動部16は、外部ヨーク11の内側面から内部ヨーク側に突出して設けられており、外部ヨーク11の内側面の周方向に沿って所定距離毎に設けられている。すなわち、摺動部16は、外部ヨーク11の軸心から見て放射状に配置されている。
ボビン21は円筒状に形成され、前述した円筒状の空隙に軸心を共通するようにして配置されている。このようにして、外部ヨーク11と内部ヨークの隙間に嵌め込まれたボビン21は、互いの軸心が一致するように、前述した摺動部16によって、その軸心方向に移動可能に支持されている。
外部ヨーク11とボビン21とは、上記突起構造の先端において接触しているため、ボビン21が外部ヨーク11中で接触しながらすべり運動する際に生じる接触抵抗は極めて小さく、その運動抵抗は無視できる。この実施形態においては、ボビン21の外周面で、上記摺動部16の突起構造と接触する領域には摩擦を低減するための平滑処理(例えば、メッキなど)が施されている。
(A−3;ボイスコイルの構成)
次に、ボイスコイルの構成について説明する。ボイスコイルは、ボビン21と振動板22と後部コイル23と位置制御コイル24と前部コイル25とを有する。
振動板22は、コーン型の振動板であり、ボビン21の前端の外周部に固着されている。この振動板22は、例えば、木材パルプを中心にした炭素繊維など各種の繊維質を配合してなる紙、アルミなどの金属やセラミックス、又はポリプロピレンなどのプラスチックなどから形成されている。
また、コイルがボビン21に巻き付けられて一体化されている。ここで、ボビン21へのコイルの巻き付けの態様について説明する。本実施形態においては、3つのコイルが巻き付けられている。
前部コイル25は、ボイスコイルが図1に示す基準の位置にある状態で、前部プレート15の前端と後端から各々所定長オフセットした位置に詰めて巻き付けられている。同様に後部コイル23は、後部プレート13の前端と後端から各々所定長オフセットした位置に詰めて巻き付けられている。位置制御コイル24は、マグネット14の全領域とオーバーラップすると共に、前部プレート15および後部プレート13と互いに同じ長さだけオーバーラップするように詰めて巻き付けられている。
ここで、上記後部コイル23、位置制御コイル24、および前部コイル25に電流を供給する回路について、図2を参照して説明する。前部コイル25および後部コイル23には、アンプ30の出力端からオーディオ信号が供給される。この場合、図示したように、前部コイル25および後部コイル23には、共通の電流が供給される。
また、位置制御コイル24には、直流電源31から一定の大きさの直流電流DC(Direct Current)が供給される。なお、直流電源31としては、商用電源を直流に変換する直流定電流回路(スイッチングレギュレータなど)や電池などのような電流供給手段が用いられる。
図3は、図1に示す破線の領域(磁気ギャップ周辺)を拡大した図である。図3において、後部コイル23,位置制御コイル24,前部コイル25の断面を2種類の表示方法で示している。後部コイル23の断面の表示方法(円の中に黒丸)は、アンプ30によりコイルに紙面裏側から手前の方向が正の方向となるように電流が供給されることを表し、前部コイル25の断面の表示方法(円の中にクロス)は、コイルに紙面手前から裏側の方向が正の方向となるように電流が供給されることを表す。すなわち、後部コイル23と前部コイル25には、互いに逆方向に同波形の電流が供給される。位置制御コイル24には、直流電源31により、紙面裏側から手前の方向に直流電流DCが供給される。
なお、同図は、後部コイル23、位置制御コイル24、および前部コイル25に供給される電流の極性を模式的に表すためのものであり、コイルの巻き数や巻き付ける密度を正確に示すものではない。また、磁気ギャップに書き込まれた矢印は、各磁気ギャップに形成された磁界の方向を表す。
(B;動作)
次に、上記の構成を有するスピーカ1の動作について説明する。
(B−1;オーディオ信号が供給されていないとき)
スピーカ1にオーディオ信号が供給されていない時の動作について説明する。上述したように、オーディオ信号が供給されていない場合にも、位置制御コイル24には定常的に直流電流DCが供給されている。位置制御コイル24は、ボイスコイルが図1に示した基準の位置にある場合に、両端の所定長が磁気ギャップを横切るように巻き付けられていることから、位置制御コイル24の両端には、磁気ギャップに形成された磁界から定常的にローレンツ力が働く。以下では、該ローレンツ力の特性について説明する。
ローレンツ力の方向は、磁気ギャップにおける磁界の方向と該磁界を横切る電流の方向とから、フレミングの左手の法則により導き出される。位置制御コイル24の前端では、位置制御コイル24に対して後向き(図中左方向)のローレンツ力が働き、一方位置制御コイル24の後端では、位置制御コイル24に対して前向きのローレンツ力が働く。
このとき、各磁気ギャップを横切る位置制御コイル24の長さは、位置制御コイル24の前端および後端で等しいことから、それらローレンツ力は逆向きで大きさが等しく、釣り合っている。
次に、ボイスコイルが前向きまたは後向きに微少量移動した場合の、上記ローレンツ力について考える。図4は、ボイスコイルが前向きに微少量移動した場合について示した図である。また、図5は、図4において破線で示した領域(磁気ギャップ周辺)を拡大して示した図である。
このとき、磁気ギャップを横切っている位置制御コイル24の前端の長さは、位置制御コイル24の後端よりも長くなる。コイルに働くローレンツ力は、磁気ギャップを横切るコイルの長さに比例することから、位置制御コイル24の前端に働く力(図中左向き)は後端に働く力(図中右向き)より大きくなる。従って、ローレンツ力のベクトル和は左向きであり、ボイスコイルの移動と逆方向となる。
一方、ボイスコイルが後向きに移動した場合には、上述の説明と同じ仕組みにより、生じるローレンツ力の和はボイスコイルの移動と逆方向(前向き)となる。
以上をまとめると、ボイスコイルが基準の位置から前後いずれかの方向に移動すると、位置制御コイル24の全体に働くローレンツ力は、該移動の方向とは逆の方向になる。従って、ボイスコイルは上記基準の位置に安定化される。
位置制御コイル24を流れる電流に対するローレンツ力であり、ボイスコイルの移動とは逆の方向に働く力を、以下では「電気バネ力」と呼ぶ。また、該電気バネ力によりボイスコイルが安定化される上記基準の位置を、以下では「基準位置」と呼ぶ。
(B−2;オーディオ信号が供給されているとき)
スピーカ1にオーディオ信号が供給されている時の動作について説明する。前部コイル25および後部コイル23には、オーディオ信号に基づいた波形の電流が供給される。例えば、周波数800Hzの音(純音)を表すオーディオ信号は、800Hzの正弦波の交流として入力される。前部コイル25および後部コイル23は、それぞれ磁気ギャップに形成された磁界を垂直に横切るようにボビン21に巻き付けられていることから、前部コイル25および後部コイル23に電流が供給されると、磁気ギャップに形成された磁界からローレンツ力が生じる。以下では、該ローレンツ力によるボイスコイルの駆動について説明する。
ここで、例えば、図6に示す波形の電流が前部コイル25および後部コイル23に供給された場合について説明する。例えば、区間Aにおいては、前部コイル25には紙面手前から裏側方向に、後部コイル23には紙面裏側から手前方向に電流が流れている。この場合、前部コイル25および後部コイル23に流れる電流は互いに逆方向であるが、それぞれのコイルが横切る磁気ギャップに形成された磁界も互いに逆方向であることから、それぞれのコイルに働くローレンツ力は互いに同じ前向き(図中右方向))となる。その結果、ボイスコイルは、該ローレンツ力により前向きに駆動される。
さて、区間Aにおいても、位置制御コイル24には直流電流DCが供給されている。該直流電流DCにより、上記ボイスコイルの移動とは逆の方向(後向き)に、移動量に応じたローレンツ力(電気バネ力)が働く。移動したボイスコイル全体に働く力は、オーディオ信号に基づいた駆動力と電気バネ力の和となる。そして、それら電気バネ力と駆動力が釣り合う位置にボイスコイルは移動することとなる。従って、区間Aにおいては、基準位置よりも前方の位置にボイスコイルは移動することになる。
一方、図6における区間Bのように電流が負の向きに流れている場合には、上記とは逆に前部コイル25および後部コイル23に働くローレンツ力の方向は、共に後向き(図中左方向)となる。そしてボイスコイルの移動に伴い、移動と逆向き(前向き)の電気バネ力が生じる。その結果、ボイスコイルは基準位置よりも後方の位置にボイスコイルは移動する。
前部コイル25および後部コイル23に供給されている電流はオーディオ波形に基づいていることから、その電流値は振動している。従って、上記区間AおよびBにおいて説明したような動作が交互に繰り返されることになり、ボイスコイルはオーディオ信号波形に対応して前後に移動(振動)する。そしてボイスコイルが振動すると、ボイスコイルと連動して振動板22も振動し、オーディオ信号の波形に基づいた発音がなされる。
(C;まとめ)
以上のように、ボイスコイルは、オーディオ信号が供給されていない時には、位置制御コイル24に働く電気バネ力により基準位置へ安定化されている。そして、オーディオ信号が供給されている時には、オーディオ信号に基づく駆動力と位置制御コイル24による電気バネ力とにより、オーディオ信号の波形と対応して振動する。
従来は、ボイスコイルを支持したり、振動基準位置を定めたりするために、エッジやスパイダなどの機械的な支持部材を用いていた。そのため、該支持部材の材質や形状などにより、ボイスコイルの振動が制限されたり、望ましくない力がボイスコイルに加わったりするなどの問題点があった。しかし、本発明に係る技術を用いればそれら支持部材を設けることなく振動の基準位置に支持すると共に、発音時には該基準位置を中心としてボイスコイルを振動させることができ、上記の問題点を解決することができる。
(D;変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように種々の態様で実施することができる。なお、以下に説明する種々の実施形態を、適宜組み合わせて実施することも可能である。
(1)上記実施形態においては、電気バネ力に係る構成の一例を示した。しかし、位置制御コイル24の巻き方、直流電流DCの電流値、および磁気ギャップに形成される磁界を以下のように制御することで、電気バネ力の態様を制御しても良い。
位置制御コイル24をボビン21に巻き付ける密度を以下のようにしても良い。
(A)位置制御コイル24をボビン21に巻き付ける密度を一様に高くしても良く、その場合、移動に応じた電気バネ力は大きくなる。逆に密度を低くした場合、電気バネ力は小さくなる。
(B)位置制御コイル24をボビン21に巻き付ける密度を局所的に高くしても良く、その場合、電気バネ力は、ボイスコイルの移動に応じて多様に制御される。例えば、位置制御コイル24が、巻き幅の中心付近で高い密度、両端で低い密度で巻き付けられている場合には、ボイスコイルの移動が大きくなるにつれてボイスコイルが移動しにくくなるように大きい電気バネ力が働く。
また、位置制御コイル24に供給される直流電流値を以下のようにしても良い。
(C)位置制御コイル24に供給される直流電流値を高く設定した場合、電気バネ力は大きくなる。逆に小さく設定した場合、電気バネ力は小さくなる。
(D)位置制御コイル24に供給される直流電流値を、楽曲の種類や音響空間の種類に応じて異なる値に設定することができるようにしても良い。そのようにすれば、状況に適した音響特性の音を放音させることが可能である。例えば、図7に示すような可変出力の直流電源32を設け、その出力値をスイッチSW1〜SWnによって選択するように構成しても良い。また、図8に示すように、アンプ30に直流電源32の出力値を指示する制御信号を出力する機能を付加し、直流電源32は供給される制御信号に応じて出力値を変えるようにすればよい。この場合は、アンプ30に選択スイッチを設け、該スイッチの状態に応じて制御信号の内容を変えてもよいし、オーディオ信号を解析した結果やオーディオ信号を供給するオーディオ機器(外部機器)からの信号によって楽曲の種類(音域検出や拍検出によってジャンルを特定するなどの処理をして特定)や音響空間の種類を自動的に特定する機能をアンプ30に設け、該特定された楽曲の種類や音響空間の種類に応じて、上記制御信号を出力するようにしても良い。
(E)マグネット14を交換したり、磁気ギャップの間隔を変えたりすることで、磁気ギャップに形成される磁界の強さを変えても良い。
以上に例示したように、電気バネ力の態様は、ユーザが適宜設定すれば良い。以上に説明したように、バネ特性を電気的に設定することにより、機械的な支持部材によっては実現することが難しい音響効果も実現可能である。
(2)上記実施形態においては、位置制御コイル24の両端が互いに同じ所定長だけ磁気ギャップを横切るように巻き付けられて、基準位置に安定化される場合について説明した。しかし、位置制御コイル24の巻き付け方および直流電流DCの供給態様は、上記実施形態に示した態様に限られるものではなく、以下のようにしても基準位置への安定化が可能である。
(例1)例えば、図9に示すように、位置制御コイル24の巻き幅を、前部プレート15の前端から後部プレート13の後端までとし、磁気ギャップにオーバーラップしないようにしても良い。その場合、位置制御コイル24は、図9の破線で囲まれた領域において、紙面裏側から手前に電流が流れるようにする。そして、ボイスコイルが基準位置にある時には、位置制御コイル24は磁気ギャップを横切っていないためローレンツ力は働かないが、ボイスコイルが例えば前向きに移動すると、位置制御コイル24の前端が磁気ギャップを横切るため、該新たに磁気ギャップを横切った位置制御コイル24の部分にローレンツ力が働き、ボイスコイルは移動方向と逆の方向(後向き)に力を受ける。ボイスコイルが後向きに移動した場合は、前向きにローレンツ力を受ける。以上のようにすれば、上記実施形態と同様に、ボイスコイルは基準位置に安定化される。
(例2)また、図10に示したように、位置制御コイル24を2つ(以下、両者を区別する場合は、24Bおよび24Fと呼ぶ)設けるようにし、位置制御コイル24Fは、前部プレート15により形成される磁気ギャップに対し両端を前方にずらして巻き付けるようにし、位置制御コイル24Bは、後部プレート13により形成される磁気ギャップに対し両端を後方にずらして巻き付けるようにしても良い。その場合、直流電源31は、図10の破線で囲まれた領域Aにおいて、位置制御コイル24に紙面手前から裏側に向けて直流電流DCが流れるように電流を供給すれば良い。
ボイスコイルが図10に示す基準位置にある際に、位置制御コイル24Bおよび24Fに働くローレンツ力のベクトル和は0であることは明らかであるためここでは説明を省略する。
ボイスコイルが前向きに移動した場合に働くローレンツ力について説明する。図11は、図10に示したボイスコイルが前向きに移動した場合の位置制御コイル24と磁気ギャップの位置関係について示している。なお、同図においては、前部コイル25および後部コイル23の図示を省略する。
このとき、位置制御コイル24Fには前向きにローレンツ力が生じ、位置制御コイル24Bには後向きのローレンツ力が生じる。そして、位置制御コイル24Bは、位置制御コイル24Fと比較して、磁気ギャップを横切る長さが長いことから、位置制御コイル24Bに対するローレンツ力は位置制御コイル24Fに対するローレンツ力より大きくなる。その結果、位置制御コイル24に生じるローレンツ力のベクトル和は、ボイスコイルの移動とは逆の後向き(図中左方向)となる。
ボイスコイルが後向きに移動した場合にも、移動と逆の方向(前向き)にローレンツ力が働くが、ここではその説明を省略する。
このように、上記の態様によっても、ボイスコイルは基準位置に安定化される。
(例3)また、図12に示したように、位置制御コイル24を2つ(両者を区別する場合は、24bおよび24fと呼ぶ)設け、位置制御コイル24fは、前部プレート15により形成される磁気ギャップの前端から後方に所定長オフセットした位置から、該磁気ギャップの後端から後方にオフセットした位置まで巻き付け、位置制御コイル24bは、位置制御コイル24fとは対照的な位置に巻き付けるようにしても良い。その場合、図12の破線で囲まれた領域Bにおいて、紙面裏側から手前に向けて位置制御コイル24に直流電流DCを供給する。
ボイスコイルが図12に示す基準位置にある際に、位置制御コイル24bおよび24fに働くローレンツ力のベクトル和は0であることは明らかであるためここでは説明を省略する。
ボイスコイルが前向きに移動した場合に働くローレンツ力について説明する。図13は、図12に示したボイスコイルが前向きに移動した場合の位置制御コイル24と磁気ギャップの位置関係について示している。なお、同図においては、前部コイル25および後部コイル23の図示を省略する。
このとき、位置制御コイル24fには後向きにローレンツ力が生じ、位置制御コイル24bには前向きのローレンツ力が生じる。そして、位置制御コイル24fは、位置制御コイル24bと比較して、磁気ギャップを横切る長さが長いことから、位置制御コイル24fに対するローレンツ力は位置制御コイル24bに対するローレンツ力より大きくなる。その結果、位置制御コイル24に生じるローレンツ力のベクトル和は、ボイスコイルの移動とは逆の後向き(図中左方向)となる。
ボイスコイルが後向きに移動した場合にも、移動と逆の方向(前向き)にローレンツ力が働くが、ここではその説明を省略する。
このように、上記の態様によっても、ボイスコイルは基準位置に安定化される。
上記例1ないし3のいずれの場合においても、ボイスコイルが基準位置にある際には、通電された位置制御コイル24にはローレンツ力は働かないか、働く場合においても、生じるローレンツ力のベクトル和は0である。また、上記いずれの巻き付け方においても、ボイスコイルが基準位置から微少量前後いずれかの方向に移動した場合には、位置制御コイル24と、前部プレート15および後部プレート13により形成される磁気ギャップを横切るコイル量が変動し、位置制御コイル24全体に生じるローレンツ力のベクトル和は、上記移動とは逆の方向となる。このようにして、ボイスコイルは基準位置に安定化される。
以上のように、位置制御コイル24の巻き付け方や直流電流DCの供給態様には様々な態様が可能であるが、要はボイスコイルが基準位置にある場合に位置制御コイル24に働くローレンツ力のベクトル和が0であり、ボイスコイルが前後いずれかの方向に移動した場合に位置制御コイル24に働くローレンツ力のベクトル和が上記移動の方向と逆であるように、位置制御コイル24に直流電流DCが供給されていれば良い。
(3)上記実施形態においては、ボイスコイルを外部ヨーク11の内部ですべり運動可能に支持する摺動部16として、突起構造を設ける場合について説明した。しかし、支持機構は上記の態様に限られるものではない。以下に例を挙げて説明する。
(A)磁性流体による機構
図14は、磁性流体による支持機構を採用したスピーカ1の断面を示した図である。磁性流体とは、表面が界面活性剤により処理された微細な磁性粒子を媒体に懸濁させた液体である。
外部ヨーク11の内側面には、凹部構造18が設けられており、該凹部構造18は磁石からなる。該凹部構造18に磁性流体19が流し込まれることにより、磁性流体は凹部構造18の中で流動的に保持される。
ボビン21は表面がなめらかな非磁性体で構成され、外部ヨーク11の内側面に挿入されている。そのとき、ボビン21の外周面は、磁性流体19を介して外部ヨーク11中に保持される。すなわち、ボイスコイルが磁性流体19中に浮いているように保持される。そして、ボイスコイルが上記実施形態で説明したように振動した場合にも、磁性流体19は、凹部構造18を構成する磁石との間で引力を生じているからそのまま凹部構造18内に保持される。
以上のように、ボイスコイルが外部ヨーク11との間で磁性流体19を介して保持されることにより、ボイスコイルが外部ヨーク11の中で振動した場合にも、生じる接触抵抗を小さく抑えることができる。また、外部ヨーク11とボイスコイルとは直接接してすべり運動することがないため、その接触箇所が磨耗するなどの問題も生じない。
なお、磁性流体19の流動抵抗を変化させることにより、ボイスコイルと外部ヨーク11との間に生じる抵抗を制御するようにしても良い。その場合、磁性流体19を生成する際に用いる界面活性剤や液媒体の化学組成などを変えることにより磁性流体の特性を制御すれば良い。
(B)ベアリングによる支持機構
図15は、ベアリングによる支持機構を採用したスピーカ1の断面を示した図である。
外部ヨーク11の内側面には、従来のボールベアリング機構17が設けられている。ボビン21の外周面はメッキなどにより表面がなめらかに加工され、上記ボールベアリング機構17が設けられた外部ヨーク11の内側面に挿入されている。このとき、ボビン21は、上記ボールベアリング機構17を介して外部ヨーク11中に保持される。そして、ボイスコイルが上記実施形態で説明したように振動した場合には、ボイスコイルは滑らかにすべり運動する。また、外部ヨーク11とボイスコイルとはボールベアリング機構17を介して接しているため、その接触箇所が著しく磨耗するなどの問題も生じない。
(C)ダンパによる支持機構
本変形例に示すスピーカの構成は、一点の差異を除いて該従来のスピーカと同じである。該一点の差異とは、エッジの機械的特性である。
従来のスピーカにおいては、エッジを構成する材料は、繊維質の材料やウレタンフォームなどの材料が一般に用いられている。このような支持部材によりボイスコイルを保持する場合に、弾性が非常に弱い支持部材を用いても良い。例えば支持部材の厚みを薄く加工したり、弱い材質で作成された支持部材を用いたりすれば良い。そのようにすれば、支持部材のバネ特性がボイスコイルの駆動に大きな影響を及ぼすことが抑制される。
(4)上記実施形態においては、アンプ30および直流電源31が、スピーカ1とは別体に設けられている場合について説明した。しかし、スピーカ1と直流電源31とを組み合わせて同一のスピーカエンクロージャー等に収容しても良い。また、アンプ30、直流電源31およびスピーカ1を組み合わせて、同一のスピーカエンクロージャー等に収容してもよい。この場合、アンプ30内に直流電源31を設けても良い。すなわち、直流定電流源をアンプ30内の回路に組み込んでもよい。
(5)上記実施形態においては、摺動部16を外部ヨーク11の内側面に設ける場合について説明した。しかし、摺動部16をボビン21の内側面に設けても良い。
上記実施形態に係るスピーカの断面図である。 スピーカに電流を供給する回路図である。 磁気ギャップの拡大図である。 ボイスコイルが移動した際のスピーカの断面図である。 ボイスコイルが移動した際の磁気ギャップの拡大図である。 前部コイルおよび後部コイルに供給される電流を示した図である。 変形例(1)に記載の直流電流DCの供給態様を示した図である。 変形例(1)に記載の直流電流DCの供給態様を示した図である。 変形例(1)に係るスピーカの断面図である。 変形例(2)に係るスピーカの断面図である。 変形例(2)に係る磁気ギャップの拡大図である。 変形例(2)に係るスピーカの断面図である。 変形例(2)に係る磁気ギャップの拡大図である。 変形例(3)に係る磁性流体による支持機構を備えたスピーカの断面図である。 変形例(3)に係るベアリング機構を備えたスピーカの断面図である。 従来のムービングコイル型スピーカの構成を示した図である。
符号の説明
1…スピーカ、11…外部ヨーク、12…保持部、13…後部プレート、14…マグネット、15…前部プレート、16…摺動部、17…ボールベアリング機構、18…凹部構造、19…磁性流体、21…ボビン、22…振動板、23…後部コイル、24…位置制御コイル、25…前部コイル、30…電源、31、32…直流電源

Claims (3)

  1. 筒状のボビンと、
    前記ボビンをその軸方向にスライド可能に支持する支持機構と、
    磁石と磁路形成部材とを有し、両者によって筒状の空隙である磁気ギャップが形成され、前記磁気ギャップに前記ボビンが軸心を共通するように配置されるとともに、前記磁気ギャップにおいて前記ボビンの内外を貫く磁界が形成される磁路形成フレームと、
    前記ボビンに巻き付けられる制御コイルと、
    前記制御コイルに対して一定の直流電流を供給する回路と、
    前記制御コイルを挟んで、前記ボビンの一端側および他端側に巻き付けられる第1、第2のコイルとを有し、
    前記磁界は前記制御コイルの一端側に対して他端側が逆方向となるように形成され、前記制御コイルに前記一定の直流電流を流した場合に、前記ボビンが基準位置からスライドするとこれを押し戻す方向に、前記制御コイルにローレンツ力が働くように設定されていること
    を特徴とするスピーカ装置。
  2. 前記磁石に隣接して前記ボビンの一端側で前記磁界を形成する第1プレートと、前記磁石に隣接して前記ボビンの他端側で前記一端側と逆方向の磁界を形成する第2プレートとを有し、
    前記制御コイルの巻き幅が、前記第1プレートの前記第2プレート側の端から前記第2プレートの前記第1プレート側の端まで、
    または、前記第1、第2コイルに電流が流れていない場合に、前記制御コイルは、前記磁石と前記磁路形成部材との間のギャップにオーバラップし、且つ、一端側が前記第1プレートと前記磁路形成部材との間の磁気ギャップにオーバラップする長さと、他端側が前記第2プレートと前記磁路形成部材との間の磁気ギャップにオーバラップする長さとが同じ長さであること
    を特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 入力電流を増幅し、該増幅された入力電流を前記第1、第2のコイルに互いに逆方向に供給する出力手段を
    更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスピーカ装置。
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