JP5340101B2 - 炭化水素油の水素化精製方法 - Google Patents
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一般にディーゼルの主基材は、常圧蒸留塔や分解装置等から留出する軽油留分である。従って、硫黄分の低いクリーンなディーゼルを製造するためには、水素化精製装置により硫黄分を除去する必要がある。
通常、軽油の水素化精製は固定床反応塔に脱硫触媒を充填し、水素気流中、高温高圧の反応条件下で行なわれる。脱硫触媒としてはアルミナを担体として、そこに活性金属であるモリブデンやコバルトが担持されたものがよく用いられる。この時の脱硫活性は担体の種類、活性金属の種類や量に大きく影響され、例えば非特許文献1に担体(アルミナまたはシリカ)および活性金属(モリブデンまたはモリブデンとコバルトの混合)の影響が開示されている。更に、非特許文献2には担体としてジルコニアやチタニアを用い、活性金属としてニッケルやタングステンを用いた時の脱硫活性について開示されている。
このようにクリーンな燃料を製造する為に脱硫触媒の改良が精力的に行われてきた。
本発明の目的は、高い脱硫活性を持つ炭化水素油の水素化精製方法を提供することにある。
本発明に係る水素化脱硫触媒は、X線回折分析により測定されるアナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピーク面積及びルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積が、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/4以下であるシリカ−チタニア−アルミナ担体に、周期表第VIA族(IUPAC 第6族)及び第VIII族(IUPAC 第8族〜第10族)から選ばれる少なくとも1種の金属成分が担持されたものであり、(a)比表面積(SA)が150m2/g以上、(b)全細孔容積(PVo)が0.30ml/g以上、(c)平均細孔直径(PD)が6〜15nm(60〜150Å)の範囲、および(d)平均細孔径(PD)±30%の細孔直径の細孔容積(PVp)の占める割合が全細孔容積(PVo)の70%以上のものである。
周期表第VIA族の金属成分としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を例示することができ、周期表第VIII族の金属成分としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を例示することができる。これらの金属成分は1種を単独で又は2種以上を組合せて用いても良い。触媒性能の点から、金属成分としては、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン−コバルト、ニッケル−タングステン、コバルト−タングステン、ニッケル−タングステン−コバルト等の組合せが好ましく、特に、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン−コバルトの組合せがより好ましい。
リン酸を用いる場合、周期表第VIA族の金属成分100質量%に対してリンは酸化物換算で3〜25質量%のリン酸を含有させることが好ましく、より好ましくは10〜15質量%の範囲で含有されることが好ましい。含有量が25質量%を超えると触媒性能が低下する傾向にあるので好ましくなく、3質量%未満だと担持金属溶液の安定性が悪くなり好ましくない。
また、有機酸を用いる場合、有機酸は好ましくは周期表第VIA族の金属成分に対し35〜75質量%、より好ましくは55〜65質量%の範囲で担持されることが好ましい。有機酸が周期表第VIA族の金属成分に対し75質量%を超えると該金属成分を含有した溶液(以下、「担持金属含有溶液」ともいう。)の粘度が上がり、製造での含浸工程が困難になるため好ましくなく、35質量%未満だと担持金属含有溶液の安定性が悪くなる上、触媒性能が低下する傾向にあり好ましくない。
それぞれの回折ピーク面積の算出方法は、X線回折装置でX線回折分析によって得られたグラフを最小二乗法によりフィッティングしベースライン補正を行い、最大ピーク値からベースラインまでの高さを求め(ピーク強度W)得られたピーク強度の半分の値(1/2W)のときのピーク幅(半値幅)を求め、この半値幅とピーク強度との積を回折ピーク面積とした。求めた各回折ピーク面積から、「チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積」を算出した。
まず、珪酸イオンの存在下で、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩の混合水溶液(これは酸性の水溶液である。)と、塩基性アルミニウム塩水溶液(これはアルカリ性の水溶液である。)とを、pHが6.5〜9.5、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは6.5〜7.5になるように混合して、シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物を得る。
ここで、(1)の場合、塩基性アルミニウム塩水溶液に含有される珪酸イオンは、塩基性または中性のものが使用できる。塩基性の珪酸イオン源としては、珪酸ナトリウムなどの水中で珪酸イオンを生じる珪酸化合物が使用可能である。また、(2)の場合、チタニウム鉱酸塩及び酸性アルミニウム塩水溶液の混合液に含有される珪酸イオンは、酸性または中性のものが使用できる。酸性の珪酸イオン源としては、珪酸などの水中で珪酸イオンを生じる珪酸化合物が使用可能である。
第1工程で得られた水和物のスラリーを、所望により熟成した後、洗浄して副生塩を除き、シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物のスラリーを得る。得られた水和物のスラリーを、所望によりさらに加熱熟成した後、慣用の手段により、例えば、加熱捏和して成型可能な捏和物とした後、押出成型などにより所望の形状に成型し、通常70〜150℃、好ましくは90〜130℃で乾燥した後、更に400〜800℃、好ましくは450〜600℃で、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間焼成して、シリカ、チタニア及びアルミナを含むシリカ−チタニア−アルミナ担体を得る。
得られたシリカ−チタニア−アルミナ担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれた少なくとも1種の金属成分を上述したとおり、慣用の手段(含浸法、浸漬法など)で担持した後、通常400〜800℃、好ましくは450〜600℃で、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間焼成し、本発明の水素化脱硫触媒を製造する。
金属成分の原料としては、例えば、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモン、パラタングステン酸アンモンなどが好ましく使用される。
なお、ここでいう蒸留性状(沸点)の値は、JIS K2254「石油製品‐蒸留試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
なお、ここでいう硫黄分(硫黄分濃度)の値は、JIS K2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。また窒素分(窒素分濃度)の値は、JIS K2609「原油及び石油製品−窒素分試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
容量が100Lのスチームジャケット付のタンクに、Al2O3濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液8.16kgを入れ、イオン交換水41kgで希釈後、SiO2濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して、塩基性アルミニウム塩水溶液を作成した。また、Al2O3濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液7.38kgを13kgのイオン交換水で希釈した酸性アルミニウム塩水溶液と、TiO2濃度換算で33質量%の硫酸チタン1.82kgを10kgのイオン交換水に溶解したチタニウム鉱酸塩水溶液とを混合し、60℃に加温して、混合水溶液を作成した。塩基性アルミニウム塩水溶液が入ったタンクに、ローラーポンプを用いて混合水溶液をpHが7.2となるまで一定速度で添加(添加時間:10分)し、シリカ、チタニア、及びアルミナを含有する水和物スラリーaを調製した。
(1)Al2O3濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.82kgを入れ、イオン交換水44kgで希釈後、SiO2濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して作製した塩基性アルミニウム塩水溶液に、(2)Al2O3濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液4.14kgを7kgのイオン交換水で希釈した酸性アルミニウム塩水溶液、及び、TiO2濃度換算で33質量%の硫酸チタン2.73kgを15kgのイオン交換水に溶解したチタニウム鉱酸塩水溶液とを混合して作製した混合水溶液を、一定速度でpHが7.2となるまで添加して、水和物スラリーbを調製した点が、触媒Aの調製と異なる。
触媒Aの調製と同様にして、水和物スラリーbから担体bを調製した。担体bは、SiO2濃度が3質量%(担体基準)、TiO2濃度が30質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で67質量%(担体基準)であった。
また、担体aと同様の方法で担体bについてX線回折分析を行った結果(図示せず)、チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積は1/5であった。
触媒Aの調製と同様にして、担体bから触媒Bを製造した。触媒Bは、MoO3を22質量%(触媒基準)、CoOを3質量%(触媒基準)、P2O5を3質量%(触媒基準)含有していた。表1に触媒Bの性状を示す。
(1)Al2O3濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液7.09kgを入れ、イオン交換水47kgで希釈後、SiO2濃度換算で5質量%の珪酸ナトリウム溶液1.80kgを攪拌しながら添加し、60℃に加温して作製した塩基性アルミニウム塩水溶液に、(2)TiO2濃度換算で33質量%の硫酸チタン4.09kgを23kgのイオン交換水に溶解したチタニウム鉱酸塩水溶液を、一定速度でpHが7.2となるまで添加して、水和物スラリーcを調製した点が、触媒Aの調製と異なる。
触媒Aの調製と同様にして、水和物スラリーcから担体cを調製した。担体cは、SiO2濃度が3質量%(担体基準)、TiO2濃度が45質量%(担体基準)、アルミニウムがAl2O3濃度換算で52質量%(担体基準)であった。
また、担体aと同様の方法で担体cについてX線回折分析を行った結果(図示せず)、チタニア回折ピーク面積/アルミナ回折ピーク面積は1/3であった。
更に、触媒Aの調製と同様にして、担体cから触媒Cを製造した。触媒Cは、MoO3を22質量%(触媒基準)、CoOを3質量%(触媒基準)、P2O5を3質量%(触媒基準)含有していた。表1に触媒Cの性状を示す。
触媒A(100ml)を充填した反応管(内径20mm)を固定床流通式水素化脱硫装置に取り付けた。その後、硫黄分濃度が1.5質量%となるようにジメチルサルファイドを加えた直留軽油を用いて触媒層平均温度350℃、水素分圧5.0MPa、液空間速度1.0h−1、水素/油比200NL/Lの条件下で、48時間触媒の予備硫化を行なった。
予備硫化後、水素雰囲気下、中東系直留軽油(表2に性状を示す。)を反応温度350℃、水素分圧5.0MPa、液空間速度1.0h−1、水素/油比200NL/Lの条件で通油して水素化処理を行なった。水素化処理条件及び得られた生成油の性状を表3に示す。
反応温度を335℃とした以外は実施例1と同様にして、中東系直留軽油(表2に性状を示す。)の水素化処理を行なった。水素化処理条件及び得られた生成油の性状を表3に示す。
水素分圧を4.0MPaとした以外は実施例1と同様にして、中東系直留軽油(表2に性状を示す。)の水素化処理を行なった。水素化処理条件及び得られた生成油の性状を表3に示す。
触媒Aの代わりに触媒Bを用いた以外は実施例1と同様にして、中東系直留軽油(表2に性状を示す。)の水素化処理を行なった。水素化処理条件及び得られた生成油の性状を表3に示す。
中東系直留軽油の代わりに接触分解軽油(表2に性状を示す。)を用いた以外は実施例1と同様にして、接触分解軽油の水素化処理を行なった。水素化処理条件及び得られた生成油の性状を表3に示す。
触媒C(100ml)を充填した反応管(内径20mm)を固定床流通式水素化脱硫装置に取り付けた。その後、硫黄分濃度が1.5質量%となるようにジメチルサルファイドを加えた直留軽油を用いて触媒層平均温度350℃、水素分圧5.0MPa、液空間速度1.0h−1、水素/油比200NL/Lの条件下で、48時間触媒の予備硫化を行なった。
予備硫化後、水素雰囲気下、中東系直留軽油(表2に性状を示す。)を反応温度350℃、水素分圧5.0MPa、液空間速度1.0h−1、水素/油比200NL/Lの条件で通油して水素化処理を行なった。水素化処理条件及び得られた生成油の性状を表3に示す。
Claims (7)
- シリカ、チタニア及びアルミナを含む水和物のスラリーを焼成して得られるシリカ−チタニア−アルミナ担体であって、X線回折分析により測定角度範囲10°〜60°において測定されるアナターゼ型チタニア(101)面の結晶構造を示す回折ピーク面積及びルチル型チタニア(110)面の結晶構造を示す回折ピーク面積の合計の面積が、γ−アルミナ(400)面に帰属されるアルミニウム結晶構造を示す回折ピーク面積に対して、1/4以下であり、アルミナ含有量がAl 2 O 3 として55〜84質量%、シリカ含有量がSiO 2 として1〜10質量%、チタニア含有量がTiO 2 として15〜35質量%であるシリカ−チタニア−アルミナ担体に、周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる少なくとも1種の金属成分を担持してなる炭化水素油の水素化脱硫触媒であって、(a)比表面積(SA)が150m2/g以上、(b)全細孔容積(PVo)が0.30ml/g以上、(c)平均細孔直径(PD)が6〜15nm(60〜150Å)の範囲、および(d)平均細孔径(PD)±30%の細孔直径の細孔容積(PVp)の占める割合が全細孔容積(PVo)の70%以上である水素化脱硫触媒を用いて、水素雰囲気下で炭化水素油を水素化処理することを特徴とする、炭化水素油の水素化精製方法。
- 前記周期表第VIA族及び第VIII族から選ばれる金属成分が、モリブデン、タングステン、コバルトおよびニッケルから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
- 前記金属成分の担持量が、触媒基準で、酸化物として1〜35質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
- 前記炭化水素油の水素化処理における反応温度が300〜420℃、水素分圧が3.0〜15.0MPa、液空間速度が0.5〜4.0h−1、水素/油比が120〜420NL/Lであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法。
- 前記炭化水素油が、直留軽油、減圧軽油、接触分解軽油、水素化分解軽油および熱分解軽油から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法。
- 前記炭化水素油が沸点260〜360℃の留分を70容量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法。
- 前記炭化水素油の水素化処理によって得られる生成油の硫黄分が10質量ppm以下であり、かつ窒素分が3質量ppm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の炭化水素油の水素化精製方法。
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