JP5368954B2 - 車両用制動システム - Google Patents

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Description

本発明は、4輪自動車等に搭載される車両用制動システムに係り、詳しくはサービスブレーキのフェードやベーパロックを抑制する技術に関する。
4輪自動車では、走行中の制動に用いられるサービスブレーキ(常用ブレーキ)として、油圧式のディスクブレーキやドラムブレーキが一般に用いられている。油圧式ディスクブレーキ(以下、単に油圧ブレーキと記す)においては、運転者がブレーキペダルを踏み込むと、踏込力がマスタパワー(真空倍力装置)によって増幅されてマスタシリンダに伝達され、マスタシリンダから高圧のブレーキ液が各車輪のブレーキキャリパに供給される。ブレーキキャリパ内ではブレーキ液に駆動されたキャリパピストンが大きな押圧力でブレーキパッドをブレーキディスクに押し付け、ブレーキディスクとブレーキパッドとの間に摩擦力が生起されることにより、ブレーキディスク(すなわち、車輪)の回転エネルギが熱エネルギに変換されて制動が行われる。
油圧ブレーキでは、降坂走行時や屈曲路走行時等に制動が頻繁に行われると、受熱と放熱とのバランスが崩れ、ブレーキパッドやキャリパピストンの温度が次第に上昇する。そして、ブレーキパッドやキャリパピストンの温度が著しく上昇した場合、ブレーキパッドの変質によるフェード(ブレーキパッド表面の摩擦係数の低下)やブレーキ液の沸騰によるベーパロック(ブレーキ液中での気泡の発生)が起こり、制動力が急速に低下することがあった。このような問題を解決すべく、電動アクチュエータによって制動を行う電動ブレーキ(電動パーキングブレーキ)を備え、油圧ブレーキにフェードが起こったことを検出した場合、油圧ブレーキの制動力低下量に応じた制動力を電動ブレーキによって補填する技術(特許文献1参照)や、各車輪のブレーキ温度を個別に検出し、特定の車輪のブレーキにフェードが起こっていた場合にはそのブレーキの制御量を増加させて意図しないヨーモーメントの発生を抑制する技術(特許文献2参照)、進入する道路が勾配の大きい下り坂であった場合、他のブレーキ(エンジンブレーキや回生ブレーキ)による制動量を大きくして油圧ブレーキの負担を減少させることでフェードを抑制する技術(特許文献3参照)が提案されている。
特開2008−174114号公報 特開2009−12658号公報 特開2005−138816号公報
上述した特許文献1,2の装置は、サービスブレーキのフェードを判定した後、制動力低下やヨーモーメントの発生に対処している。しかしながら、サービスブレーキに実際にフェードが起こってしまった場合、ブレーキパッド等の温度低下によってフェードが解消され、制動力が回復するまでに長時間を要する問題があった。また、サービスブレーキにベーパロックが発生した場合、ブレーキ液の温度低下によって気泡が完全に消滅する(蒸気が再び液化する)までには更に時間が掛かり、ブレーキ液の交換を余儀なくされることもあった。また、特許文献3の装置は、サービスブレーキのフェード抑制を目的としているが、サービスブレーキと他のブレーキとの制動配分割合についての考慮が無いため、運転者が要求する減速度が得られない可能性があった。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、サービスブレーキのフェードやベーパロックを抑制した車両用制動システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、車両の制動に供される制動システムであって、主制動量をもって車輪を制動する主制動手段と、補助制動量をもって車輪を制動する補助制動手段と、運転者の制動操作量に基づき、車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、前記目標減速度に基づき目標総制動量を設定する目標総制動量設定手段と、予め定められた制動配分割合に基づき、前記目標総制動量を目標主制動量と目標補助制動量とに配分する制動配分手段と、前記補助制動手段の最大補助制動量を推定する最大補助制動量推定手段と、前記最大補助制動量と前記目標補助制動量との差を補助制動余力として算出し、当該補助制動余力と前記目標主制動量とに応じ、小さくとも前記目標主制動量から当該補助制動余力を引いた値を前記目標主制動量に対する上限値として設定する上限値設定手段と、前記主制動手段の制動能力が低下する可能性があるか否かを判定する主制動能力判定手段、および降坂走行中であるか否かを判定する降坂走行判定手段の少なくとも一方と、運転者の制動操作量に基づき、高減速度での制動が行われたか否かを判定する高G制動判定手段と、前記制動配分手段により定められた前記目標主制動量と前記目標補助制動量との配分を補正する配分補正手段とを備える。当該制動システムにおいて、前記補助制動手段は、回生ブレーキと電動ブレーキとを含み、前記配分補正手段は、前記主制動手段の制動能力の低下または降坂走行中であることが前記主制動能力判定手段または前記降坂走行判定手段により判定され、かつ、前記目標総制動量が増加する過程で前記目標主制動量が前記上限値よりも大きくなった場合には、前記目標主制動量を前記上限値で制限するとともに、当該目標総制動量の増加に対応すべく、前記目標補助制動量を前記補助制動余力の範囲内で増加させ高減速度での制動が行われたことが前記高G制動判定手段により判定された場合には、前記目標主制動量を大きくすべく、前記目標主制動量を補完するように前記電動ブレーキに対する前記目標補助制動量を増大させる
また、第の発明は、第1の発明に係る車両用制動システムにおいて、前記主制動手段を用いて車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキシステムと、路面状態に基づき、前記アンチロックブレーキシステムが作動する可能性があるか否かを判定するABS作動判定手段とをさらに備え、前記配分補正手段は、前記ABS作動判定手段によって前記アンチロックブレーキシステムが作動する可能性があると判定された場合、前記目標主制動量を増大させる一方、前記目標補助制動量を減少させることを特徴とする。
第1の発明によれば、主制動手段の能力低下が生じる可能性があった場合または降坂走行中には、目標総制動量を目標主制動量と目標補助制動量とに配分した後、補助制動余力に応じて目標主制動量に対する上限値を設定し、目標主制動量が上限値を超えないように補助制動余力の範囲内で目標補助制動量を増加させるため、主制動手段のフェードやベーパロックを効果的に抑制しながら必要な減速度を確保できる。また、回生ブレーキによって車両の運動エネルギを電気エネルギに変換することでオルタネータの発電負荷の低減を図ることができるとともに、車速やバッテリの充電状態等に起因して回生ブレーキだけでの制動が行えない場合にも、電動ブレーキを併用することで所望の減速度を実現することが可能となる。さらに、高減速度での制動が行われたことが判定された場合には、電動ブレーキを瞬時に作動させ、主制動手段の立ち上がりの遅さや、運転者が不得手なブレーキペダルの強い踏み込みや高踏力の維持を補完することができる。また、第2の発明によれば、主制動手段のフェードやベーパロックを抑制しつつ、アンチロックブレーキシステムが作動する可能性があると判定された場合には、目標主制動量を増大させることでABSが作動するマージンを確保することができる。
実施形態に係る車両の概略構成を示す平面図である。 実施形態に係るブレーキシステムの構成を示す模式図である。 実施形態に係る制動ECUの構成を示すブロック図である。 実施形態に係る制動制御の手順を示すフローチャートである。 実施形態に係る制動制御の手順を示すフローチャートである。 実施形態に係る各制動手段の減速度比率と油圧ブレーキの上限値とを示す図である。 油圧ブレーキ主体の場合における各制動手段の制動量変化を示すグラフである。 補助制動手段主体の場合での各制動手段の補正前の制動量変化を示すグラフである。 補助制動手段主体の場合での各制動手段の補正前の制動量比率を示すグラフである。 補助制動手段主体の場合での各制動手段の補正後の制動量変化を示すグラフである。 補助制動手段主体の場合での各制動手段の補正後の制動量比率を示すグラフである。
以下、図面を参照し、本発明をハイブリッド型4輪自動車のブレーキシステムに適用した一実施形態を詳細に説明する。
《実施形態の構成》
<車両の装置構成>
先ず、図1を参照して、自動車の装置構成について説明する。説明にあたり、4本の車輪やそれらに対応して配置された部材については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して例えば車輪4fl(左前)、車輪4fr(右前)、車輪4rl(左後)、車輪4rr(右後)と記すとともに、総称する場合には例えば車輪4と記す。
図1に示すように、自動車1は、車体2の前後左右に、タイヤ3が装着された4つの車輪4を有しており、車体の前部にエンジン11、フロントモータ12および自動変速機13等からなるフロントパワーユニット10を搭載する一方、車体の後部にディファレンシャルギヤを組み込んだリヤモータ15を搭載している。
各車輪4にはブレーキディスク21が締結/一体化される一方、ブレーキディスク21を制動する油圧ブレーキキャリパ22と電動ブレーキキャリパ23とが図示しない車輪支持部材(ナックル等)に取り付けられている。また、各車輪4の近傍には車輪速Vwを検出する車輪速センサ25が設置され、各油圧ブレーキキャリパ22にはキャリパ温度センサ26が取り付けられている。
本実施形態の場合、主制動手段は、油圧ブレーキキャリパ22を駆動する油圧ブレーキである。また、補助制動手段は、電動ブレーキキャリパ23を駆動する電動ブレーキと、フロントモータ12およびリヤモータ15を用いた回生ブレーキと、自動変速機13を用いたエンジンブレーキとからなっている。なお、油圧ユニット42はABS機能を備えており、各車輪4のいずれかがロックした場合、その車輪4のブレーキ液圧Pbが断続的に低下させられる。
エンジンルーム内には、ブレーキペダル31に連結されたマスタパワー32と、電動式のバキュームポンプ33とが設置されている。図2にも示すように、マスタパワー32は、マスタシリンダ34を一体に備えるとともに、バキュームポンプ33とエンジン11の吸気マニホールド35とに負圧配管36(36a,36b)を介して接続され、これらに真空引きされることでその内部に所定の負圧が生成される。図2において、符号37で示す部材は負圧配管36に介装されたチェックバルブであり、符号38で示す部材はマスタパワー32の負圧(ブースト圧Pbst)を検出するブースト圧センサであり、符号39で示す部材は吸気マニホールド35の内圧を検出する吸気マニホールド圧センサである。
図1に示すように、車体2には、油圧ブレーキと補助ブレーキとを統括制御する制動ECU41と、油圧ブレーキキャリパ22に供給するブレーキ圧を制御する油圧ユニット42と、自動変速機13の変速制御を行う変速ECU43と、電動ブレーキキャリパ23を駆動制御する電動ブレーキECU44と、フロントモータ12およびリヤモータ15を駆動制御するモータECU45とが設置されている。各ECU41,43〜45や油圧ユニット42は、通信回線(本実施形態では、CAN(Controller Area Network))を介して接続されており、相互に信号の授受を行う。また、上述した各センサ25,26,38,39の他、大気圧を検出する大気圧センサ47や、前後加速度を検出する前後Gセンサ48、油圧ユニット42に入力する油圧(ブレーキ液圧Pb)を検出するブレーキ圧センサ49等が制動ECU41に接続されている。
<制動ECU>
図3に示すように、制動ECU41は、図示しない入出力インタフェースの他、車速推定部51と、目標減速度設定部52と、目標総制動量設定部53と、制動配分設定部54と、最大補助制動量推定部55と、上限値設定部56と、配分補正部57と、主制動能力判定部58と、降坂走行判定部59と、ABS作動判定部60と、高G制動判定部61とを備えている。
車速推定部51は、各車輪4の車輪速センサ25から入力した車輪速信号に基づき、車速Vを推定する。目標減速度設定部52は、ブレーキ圧センサ49から入力したブレーキ液圧Pb(すなわち、運転者によるブレーキペダル31の操作量)等に基づき、目標減速度Gtgtを設定する。目標総制動量設定部53は、目標減速度設定部52から入力した目標減速度Gtgtや車速Vに基づき、目標総制動量Bgtを設定する。制動配分設定部54は、目標総制動量Bgtに基づき、図示しない制動配分マップから目標主制動量Bmtと目標補助制動量Bstとを設定する。
また、最大補助制動量推定部55は、各補助制動手段(電動ブレーキ、回生ブレーキ、エンジンブレーキ)が負担できる制動量の和を最大補助制動量Bsmxとして推定する。上限値設定部56は、最大補助制動量Bsmxと目標補助制動量Bstとの差を補助制動余力Bsmgとして算出した後、補助制動余力Bsmgと現状の目標主制動量Bmtとに基づいて主制動量の上限値Bmmxを設定する。配分補正部57は、目標主制動量Bmtが上限値Bmmxに至った場合、目標総制動量Bgtの増加に対応すべく、目標補助制動量Bstを補助制動余力Bsmgの範囲内で増加させる。
主制動能力判定部58は、キャリパ温度センサ26の検出信号等に基づき、油圧ブレーキの制動能力の低下可能性(フェードの可能性)を判定する。降坂走行判定部59は、前後Gセンサ48の検出信号等に基づき、降坂走行中であるか否かを判定する。ABS作動判定部60は、各車輪速センサ25から入力した車輪速信号に基づき、作動する可能性があるか否かを含めてABSの作動状況を判定する。高G制動判定部61は、ブレーキ圧センサ49から入力したブレーキ液圧Pb等に基づき、高減速度での制動が行われたか否かを判定する。
<実施形態の作用>
自動車1の走行中に運転者が制動操作を行うと(運転者がブレーキペダル31を踏み込んで、ブレーキ液圧Pbが所定値以上になると)、制動ECU41は、図4,図5のフローチャートにその手順を示す制動制御を所定の処理間隔(例えば、10ms)で繰り返し実行する。
制動制御を開始すると、制動ECU41は、図4のステップS1で前後Gセンサ48の検出信号に基づき走行中の道路の勾配を推定する。なお、勾配は、車速Vの変化率や、自動変速機13の負荷状態等から推定してもよい。次に、制動ECU41は、ステップS2で所定値より大きい勾配の坂道を降坂中であるか否か(すなわち、降坂走行中であるか否か)を判定し、この判定がYesであればステップS3で降坂フラグFaを1とし、NoであればステップS4で降坂フラグFaを0とする。
次に、制動ECU41は、ステップS5でキャリパ温度センサ26の検出信号等に基づき、油圧ブレーキがフェードする可能性を推定する。なお、この推定は、ブースト圧Pbstの変動量やブレーキ液圧Pb、車速V等から運転者の要求減速度を算出し、実際の減速度がこの要求減速度に満たないこと、ブレーキパッドの摩擦材の諸情報や車速V、ブレーキ液圧Pbから油圧ブレーキキャリパ22に加わる熱量を推定すること、ブレーキ液圧Pbおよび各車輪4のロック率からブレーキパッドの摩擦材の摩擦係数が所定値以下に低下したこと等によって行ってもよい。
次に、制動ECU41は、ステップS6で油圧ブレーキがフェードする可能性があるか否かを判定し、この判定がYesであればステップS7でフェードフラグFbを1とし、NoであればステップS8でフェードフラグFbを0とする。
次に、制動ECU41は、ステップS9で車速Vと各車輪4の車輪速Vwとから、ABSが作動する可能性があるか否か(すなわち、各車輪4がロック傾向にあるか否か)を推定する。
次に、制動ECU41は、ステップS10で、ABSが作動する可能性があるにもかかわらずブレーキ液圧PbがABSの作動油圧に達していないか否かを判定し、この判定がYesであればステップS11で加圧フラグFcを1とし、NoであればステップS12で加圧フラグFcを0とする。
次に、制動ECU41は、ステップS13で、車速Vやブースト圧Pbst、ブレーキ液圧Pbの変化率から高G制動の必要性を推定する。なお、この推定は、車体2の前部にミリ波レーダを設置し、その検出結果から前方車両との距離が急激に小さくなったか否かを判定することで行ってもよい。
次に、制動ECU41は、ステップS14で高G制動の必要性があるか否かを判定し、この判定がYesであればステップS15で高GフラグFdを1とし、NoであればステップS16で高GフラグFdを0とする。
次に、制動ECU41は、図5のステップS17で降坂フラグFaとフェードフラグFbとの少なくとも一方が1であるか否かを判定し、この判定がYesであればステップS18でフェード抑制処理を実行する。具体的には、目標主制動量Bmt(ブレーキ液圧Pb)を低減させ、目標補助制動量Bst(電動ブレーキ、回生ブレーキおよびエンジンブレーキによる制動量)を増加させるとともに、降坂時においては前輪4fl,4fr側の目標総制動量を後輪4rl,4rr側の目標総制動量よりも大きくする。
次に、制動ECU41は、ステップS19で加圧フラグFcが1であるか否かを判定し、この判定がYesであればステップS20で加圧処理を実行する。具体的には、ABSが作動するマージンを確保すべく、目標主制動量Bmtを増大させる一方で目標補助制動量Bstを減少させる。
次に、制動ECU41は、ステップS21で高GフラグFdが1であるか否かを判定し、この判定がYesであればステップS22で高G制動処理を実行する。具体的には、目標総制動量Bgtを確保すべく、目標主制動量Bmtを補完するように目標補助制動量Bstを増大させる。
次に、制動ECU41は、ステップS23で車輪4がロックしたか否かを判定し、この判定がYesであればステップS24でABS制御処理を実行する。
<油圧ブレーキ主体>
主制動手段(油圧ブレーキ)を主体とし、補助制動手段(回生ブレーキ、エンジンブレーキ、電動ブレーキ)を併用して制動を行う場合、現状の油圧ブレーキの仕事量(目標主制動量Bmt)から補助制動手段で補える部分(補助制動余力Bsmg)を算出し、降坂走行やフェード時に油圧ブレーキの仕事量に上限値を設ける。例えば、図6に示すように、現状の油圧ブレーキの仕事量:回生ブレーキで補える部分:エンジンブレーキで補える部分:電動ブレーキで補える部分間の減速度比率を10:1:2:2とすると、現状の油圧ブレーキの仕事量10のうちの5は補助制動手段で補えるから、油圧ブレーキの上限値は最小で現状の仕事量の50%となる。
図7に示すように、運転者がブレーキペダル31を強く踏み込むこと等で高G制動と判定されると、その時点で電動ブレーキが作動して所定の減速度での高G制動を実現する。これは、電動ブレーキが瞬時に作動し、油圧ブレーキにおける油圧の立ち上がりの遅さや、運転者が不得手なブレーキペダル31の強い踏み込みや高踏力の維持を補完できるためである。油圧ブレーキの制動量が立ち上がるに連れて電動ブレーキの制動量は減少するが、降坂フラグFaとフェードフラグFbとの少なくとも一方が1であり、前述した配分補正部57による補正が行われた場合、油圧ブレーキの制動量は上限値Bmmxに達した時点でその増加が抑制される。そして、自動変速機13のダウンシフトによるエンジンブレーキが作動し始めると、電動ブレーキの制動量は減少して0となる。更に、油圧ブレーキがフェード気味になってその制動量が減少すると、回生ブレーキによる制動がその減少分を補う。
<補助制動手段主体>
(補正前)
補助制動手段(回生ブレーキやエンジンブレーキ、電動ブレーキ)を主体とし、油圧ブレーキを併用して制動を行う場合、図8に示すように、運転者がブレーキペダル31を踏み込むと、油圧ブレーキと回生ブレーキとによる制動が先ず行われ、高G制動と判定された時点で電動ブレーキが作動して所定の減速度での高G制動が実現される。そして、油圧ブレーキの制動量が立ち上がる一方で、エンジンブレーキによる制動も開始され、電動ブレーキの制動量が減少する。中速域のt1時に至ると、油圧ブレーキによる制動量はリニアに減少し、その減少分がエンジンブレーキおよび電動ブレーキによって補われる。なお、エンジンブレーキは、自動変速機13がCVTあるいはトルクコンバータを備えたものであれば、これらを駆動制御することでその制動量が調整される。
図9に示すように、t1時おける補正前の制動量配分では、総制動量が回生ブレーキと油圧ブレーキとエンジンブレーキとに配分され、電動ブレーキは制動に寄与していない。また、t1時には、回生ブレーキとエンジンブレーキと電動ブレーキとにそれぞれ制動余力が存在する一方、油圧ブレーキには所定の過剰量(補助制動手段で補える量)が存在している。
(補正後)
降坂フラグFaとフェードフラグFbとの少なくとも一方が1であり、前述した配分補正部57による補正が行われた場合、図10,図11に示すように、油圧ブレーキの制動量が上限値Bmmxに達した時点で、電動ブレーキとエンジンブレーキと回生ブレーキとの制動余力による制動が追加され、油圧ブレーキの制動量の増加が抑制される。これにより、油圧ブレーキの負担が減少し、フェードやベーパロックの発生する可能性が極めて小さくなる。なお、電動ブレーキとエンジンブレーキと回生ブレーキとによる制動は、余力の大きさと制御性と勘案してその比率が設定される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態はハイブリッド型4輪自動車のブレーキシステムに本発明を適用したものであるが、ガソリンエンジン車や電気自動車等にも当然に適用可能である。また、車両の具体的構成や制御の具体的手順等についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 自動車
2 車体
3 タイヤ
4 車輪
11 エンジン
12 フロントモータ
13 自動変速機
15 リヤモータ
21 ブレーキディスク
22 油圧ブレーキキャリパ
23 電動ブレーキキャリパ
41 制動ECU
42 油圧ユニット
43 変速ECU
44 電動ブレーキECU
45 モータECU
51 車速推定部
52 目標減速度設定部
53 目標総制動量設定部
54 制動配分設定部
55 最大補助制動量推定部
56 上限値設定部
57 配分補正部
58 主制動能力判定部
59 降坂走行判定部
60 ABS作動判定部
61 高G制動判定部

Claims (2)

  1. 車両の制動に供される制動システムであって、
    主制動量をもって車輪を制動する主制動手段と、
    補助制動量をもって車輪を制動する補助制動手段と、
    運転者の制動操作量に基づき、車両の目標減速度を設定する目標減速度設定手段と、
    前記目標減速度に基づき目標総制動量を設定する目標総制動量設定手段と、
    予め定められた制動配分割合に基づき、前記目標総制動量を目標主制動量と目標補助制動量とに配分する制動配分手段と、
    前記補助制動手段の最大補助制動量を推定する最大補助制動量推定手段と、
    前記最大補助制動量と前記目標補助制動量との差を補助制動余力として算出し、当該補助制動余力と前記目標主制動量とに応じ、小さくとも前記目標主制動量から当該補助制動余力を引いた値を前記目標主制動量に対する上限値として設定する上限値設定手段と、
    前記主制動手段の制動能力が低下する可能性があるか否かを判定する主制動能力判定手段、および降坂走行中であるか否かを判定する降坂走行判定手段の少なくとも一方と、
    運転者の制動操作量に基づき、高減速度での制動が行われたか否かを判定する高G制動判定手段と、
    前記制動配分手段により定められた前記目標主制動量と前記目標補助制動量との配分を補正する配分補正手段と
    を備え
    前記補助制動手段は、回生ブレーキと電動ブレーキとを含み、
    前記配分補正手段は、
    前記主制動手段の制動能力の低下または降坂走行中であることが前記主制動能力判定手段または前記降坂走行判定手段により判定され、かつ、前記目標総制動量が増加する過程で前記目標主制動量が前記上限値よりも大きくなった場合には、前記目標主制動量を前記上限値で制限するとともに、当該目標総制動量の増加に対応すべく、前記目標補助制動量を前記補助制動余力の範囲内で増加させ
    高減速度での制動が行われたことが前記高G制動判定手段により判定された場合には、前記目標主制動量を大きくすべく、前記目標主制動量を補完するように前記電動ブレーキに対する前記目標補助制動量を増大させる
    ことを特徴とする車両用制動システム。
  2. 前記主制動手段を用いて車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキシステムと、
    路面状態に基づき、前記アンチロックブレーキシステムが作動する可能性があるか否かを判定するABS作動判定手段と
    をさらに備え、
    前記配分補正手段は、前記ABS作動判定手段によって前記アンチロックブレーキシステムが作動する可能性があると判定された場合、前記目標主制動量を増大させる一方、前記目標補助制動量を減少させることを特徴とする、請求項1に記載された車両用制動システム。
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