JP5381640B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池としては、リチウムイオンを伝導する固体電解質としてのガラスセラミックスLi1+XTi2SiX3-X12・AlPO4(以下、オハラ電解質という)を正極又は負極に含有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電池では、高温環境下での保存性や充放電サイクル特性を向上することができるとしている。また、固体電解質二次電池において、固体電解質に非プロトン性溶媒を添加し、固体電解質であるLi1+X+YAlXTi2-XSiY3-Y12を電極に混入することにより、電解液にリチウム塩を用いないようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、電極に混入する固体電解質をLi0.35La0.65TiO3とし、正負極の短絡時の安定性を高めたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2008−117542号公報 特開2001−155777号公報 特開平10−116632号公報
しかしながら、上述の特許文献1のリチウム二次電池では、高温環境下での保存性や充放電サイクル特性を向上することができるものの、オハラ電解質はリチウム金属基準において1.5V以下の範囲で還元性を示すように電位窓が狭いことがあり、更なる改良が望まれていた。また、特許文献2のリチウム二次電池では、固体電解質二次電池のリチウム伝導性を向上することはできるが、電池の高温安定性については検討されていなかった。また、特許文献3のリチウム二次電池では、正負極の短絡時の安定性を高めることはできるものの、サイクル特性の向上や高温安定性はまだ十分でなく、更なる向上を図ることが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができるリチウム二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、Zr,Nbを含みリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を正極に含むものとすると、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、を備え、前記正極、前記負極及び前記電解液のうち少なくとも1以上にリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物が存在するものである。
本発明のリチウム二次電池は、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、電位窓が広く、高温でも安定で、リチウムイオン伝導度が高いことがある。このガーネット型酸化物がリチウム二次電池内に存在することから、熱的安定性を高めたり、サイクル特性を高めたりすることができる。例えば、電位窓が広いため、過充電及び過放電などの環境下にさらされても、電池性能へ悪影響を与えにくいと考えられる。また、例えば、このガーネット型酸化物を電極に含ませたものとすると、活物質の表面の一部を覆うことにより電解液−活物質間の副反応などを抑制することができると考えられる。また、このガーネット型酸化物を電解液に入れたものにおいては、より化学的に安定な固体電解質で電解液を置き換えるため、電解液−活物質間の副反応などを抑制することができると考えられる。このように、本発明のリチウム二次電池では、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物の電池内の存在により、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができるものと推察される。
リチウム二次電池10の構造の一例を示す説明図である。 リチウム二次電池30の構造の一例を示す説明図である。 実験例1,3,5,7のXRDパターンを示すグラフである。 実験例1〜7(4を除く)の格子定数のX値依存性を示すグラフである。 実験例1〜7のリチウムイオン伝導度のX値依存性を示すグラフである。 ガーネット型酸化物の結晶構造に含まれる部分構造の説明図である。 ガーネット型酸化物の結晶構造の説明図であり、(a)は全体像、(b)は六面体のLiO6(II)を露出させた様子を示す。 実験例1,3,5〜7のLiO4(I)結晶構造のX値依存性を示すグラフであり、(a)は酸素イオンが形成する三角形の辺a,bのX値依存性を示し、(b)は該三角形の面積のX値依存性を示す。 実験例1,3,5〜7の各回折強度を(220)回折強度で規格化したときの規格化後強度のX値依存性を示すグラフである。 実験例1,3,5〜7の(024)の規格化後強度のX値依存性を示すグラフである。 実験例1〜7のアレニウスプロットのグラフである。 実験例1〜7の活性化エネルギーのX値依存性を示すグラフである。 実験例5の室温大気中での化学的安定性を示すグラフである。 実験例5の電位窓の測定結果を示すグラフである。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、を備え、正極、負極及び電解液のうち少なくとも1以上にリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物が存在するものである。例えば、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、正極に存在しているものとしてもよいし、負極に存在しているものとしてもよいし、電解液に存在しているものとしてもよい。更に、本発明のリチウム二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備え、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、このセパレータに存在しているものとしてもよい。また、本発明のリチウム二次電池において、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、粉末状で存在していてもよいし、正極、負極及びセパレータの少なくとも1以上に積層された積層体として存在してもよい。このように、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物がリチウム二次電池の中に含まれているものとすればよい。こうすれば、熱的及び化学的に安定なガーネット型酸化物により電解液を置き換えるなどして、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができる。本実施形態では、説明の便宜のため、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を正極に備えたものを主として説明する。
本発明のリチウム二次電池に含まれるリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、少なくともZrを含有していることが好ましく、少なくともZr及びNbを含有していることがより好ましく、少なくともZr、Nb及びLaを含有していることが更に好ましい。こうすれば、リチウムイオンの伝導性をより高めることができる。このリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、組成式Li5+XLa3(ZrX,A2-X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X<2)で表されるものとしてもよい。ここで用いるガーネット型酸化物は、Xが1.4≦X<2を満たすため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりX=2)と比べて、リチウムイオン伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物を含むリチウム二次電池によれば、リチウムイオンが伝導しやすく、抵抗が低くなり、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり温度に対する伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、Xが1.6≦X≦1.95を満たせば、伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、Xが1.65≦X≦1.9を満たせば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Aとしては、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
あるいは、本発明のリチウム二次電池に含まれるリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、組成式Li7La3Zr212のZrサイトがZrとはイオン半径の異なる元素で置換され、XRDにおける(220)回折の強度を1に規格化したときの(024)回折の規格化後の強度が9.2以上であるものとしてもよい。(024)回折の規格化後の強度が9.2を超えると、LiO4(I)の四面体の酸素イオンが形成する三角形が正三角形に近づき、その三角形の面積が大きくなるため、公知のガーネット型酸化物Li7La3Zr212(つまりX=2)と比べて、伝導度が高くなり且つ活性化エネルギーも小さくなる。例えば、AがNbの場合、伝導度が2.5×10-4Scm-1以上、活性化エネルギーが0.34eV以下になる。したがって、この酸化物をリチウム二次電池に用いた場合、リチウムイオンが伝導しやすくなるため、電池の出力が向上する。また、活性化エネルギーが小さい、つまり温度に対する伝導度の変化の割合が小さいため、電池の出力が安定する。また、(024)回折の規格化後の強度が10.0以上であれば、伝導度がより高く、活性化エネルギーがより低くなるため、より好ましい。更に、(024)回折の規格化後の強度が10.2以上であれば、伝導度がほぼ極大、活性化エネルギーがほぼ極小となるため、一層好ましい。なお、Zrとはイオン半径の異なる元素としては、Sc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素が挙げられ、このうち、NbやNbとイオン半径が同等のTaが好ましい。
ここで、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、主としてガーネット型の構造を有していればよく、例えば、固体電解質として他の構造が一部含まれていたり、例えばX線回折のピーク位置がシフトしているなどガーネットからみて歪んだ構造を含むものとしてもよい。また、組成式で示しているが、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物には他の元素や構造などが一部含まれていてもよい。
このリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、正極活物質とガーネット型酸化物との全体に対して50重量%以下の範囲で正極に含まれていることが好ましく、30重量%以下の範囲で正極に含まれていることがより好ましく、20重量%以下の範囲で正極に含まれていることが更に好ましく、10重量%以下の範囲で正極に含まれていることが最も好ましい。ガーネット型酸化物の含有量が50重量%以下では、活物質が相対的に少なくなってしまうのを抑制可能であり、電池容量の低下をより抑制することができ、30重量%以下では電池容量の低下を更に抑制することができる。また、ガーネット型酸化物を電極に含ませる場合は、活物質の平均粒径よりもガーネット型酸化物の平均粒径が小さい方が、活物質の表面をガーネット型酸化物によってより覆いやすく、好ましい。なお、平均粒径は、電子顕微鏡(SEM)による観察により求めた粒径の平均値とする。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば正極活物質とガーネット型酸化物と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV23などのリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiV23などが好ましい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウム二次電池の負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素質材料は、特に限定されるものではないが、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり電解質塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時おける不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウム二次電池の電解液としては、支持塩を含む非水系電解液や水溶液系電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。
本発明のリチウム二次電池に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、こうしたリチウム二次電池を複数直列に接続して電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明のリチウム二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウム二次電池10は、集電体11に正極合材12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極合材17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18との間を満たす非水電解液20と、を備えたものである。このリチウム二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シートに接続された負極端子26とを配設して形成されている。また、このリチウム二次電池10では、正極活物質12aとリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物12bとが正極合材12に含まれている。
以上詳述した本実施形態のリチウム二次電池では、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、例えば、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、電位窓が広く、高温でも安定で、リチウムイオン伝導度が高いことがあり、このガーネット型酸化物がリチウム二次電池内に存在することから、熱的安定性を高めたり、サイクル特性を高めたりすることができると考えられる。例えば、電位窓が広いため、過充電及び過放電などの環境下にさらされても、電池性能へ悪影響を与えにくいと考えられる。また、例えば、このガーネット型酸化物を電極に含ませたものとすると、活物質の表面の一部を覆うことにより電解液−活物質間の副反応などを抑制することができると考えられる。また、ガーネット型酸化物を電解液に入れたものにおいては、より化学的に安定な固体電解質で電解液を置き換えるため、電解液−活物質間の副反応などを抑制することができると考えられる。また、このガーネット型酸化物は、例えば組成式Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(1.4≦X<2)とすることができ、こうすれば、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物が粉末状で正極活物質と共に正極に存在するものとしたが、上述のようにガーネット型酸化物が正極上に層状に存在するものとしてもよい。本発明のリチウム二次電池において、正極を作製する方法としては、例えば、気相法や固相法により集電体上に正極活物質を形成するものとしてもよい。気相法としては、PLD(パルスレーザー堆積)やスパッタリング、蒸着、CVD(MO−CVDなどを含む)などが挙げられる。固相法としては、焼結法やゾルゲル法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、スラリーキャスト法、粉体の圧着などが挙げられる。このように形成した正極活物質上にこのガーネット型酸化物を層上に形成してもよい。こうしても、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができる。なお、負極上に層状のガーネット型酸化物を形成する場合も同様である、
上述した実施形態では、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物が正極に存在するものとしたが、図2に示すように、このガーネット型酸化物が負極に存在するものとしてもよい。図2は、別の本発明のリチウム二次電池30の一例を示す模式図である。このリチウム二次電池30は、集電体31に正極合材32を形成した正極シート33と、集電体34の表面に負極合材37を形成した負極シート38と、正極シート33と負極シート38との間に設けられたセパレータ19と、正極シート33と負極シート38との間を満たす非水電解液20と、を備えたものである。このリチウム二次電池30では、負極活物質37aとリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物37bとが負極合材37に含まれている。こうしても、サイクル特性及び熱的安定性をより向上することができる。このリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物は、負極活物質とガーネット型酸化物との全体に対して50重量%以下の範囲で負極に含まれていることが好ましく、30重量%以下の範囲で負極に含まれていることがより好ましく、20重量%以下の範囲で負極に含まれていることが更に好ましく、10重量%以下の範囲で負極に含まれていることが最も好ましい。ガーネット型酸化物の含有量が50重量%以下では、活物質が相対的に少なくなってしまうのを抑制可能であり、電池容量の低下をより抑制することができ、30重量%以下では電池容量の低下を更に抑制することができる。なお、正極、負極、電解液及びセパレータのうち少なくとも1以上にリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物が存在するものとすればよい。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。
[ガーネット型酸化物の作製]
ガーネット型酸化物Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)は、Li2CO3、La(OH)3、ZrO2、およびNb25を出発原料に用いて合成を行った。ここで、実験例1〜7のXの値は、それぞれX=0,1.0,1.5,1.625,1.75,1.825,2.0とした(表1参照)。はじめに、出発原料を化学量論比になるように秤量し、エタノール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で1時間、混合・粉砕を行った。出発原料の混合粉末をボールとエタノールから分離したのち、Al23製のるつぼ中にて、950℃、10時間大気雰囲気で仮焼を行った。その後、本焼結でのLiの欠損を補う目的で、仮焼した粉末に、Li5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)の組成中のLi量に対して Li換算で10at.%になるようにLi2CO3を過剰添加した。この混合粉末を、混合のためエタノール中にて遊星ボールミル(300rpm/ジルコニアボール)で1時間処理した。得られた粉末を再び950℃、10時間大気雰囲気の条件下で再度仮焼した。その後、成型したのち、1200℃、36時間大気中の条件下で本焼結を行い、ガーネット型酸化物(実験例1〜7)を作製した。
[ガーネット酸化物の物性の測定及び結果]
1.相対密度
電子天秤にて測定した乾燥重量をノギスを用いて測定した実寸から求めた体積で除算することにより、各試料の測定密度を算出した。また、理論密度を算出し、測定密度を理論密度で除算し100を乗算した値を相対密度(%)とした。実験例1〜7の相対密度は、88〜92%であった。
2.相及び格子定数
各試料の相及び格子定数は、XRDの測定結果から求めた。XRDの測定は、XRD測定器(ブルカー(Buruker)製、D8ADVANCE)を用いて、試料粉末をCuKα、2θ:10〜120°,0.01°step/1sec.の条件で測定した。結晶構造解析は、結晶構造解析用プログラム:Rietan−2000(Mater. Sci. Forum, p321−324(2000),198)を用いて解析を行った。代表例として実験例1,3,5,7つまりLi5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0,1.5,1.75,2)のXRDパターンを図3に示す。図3から、各試料は不純物を含まず単相であることがわかる。また、実験例1〜3,5〜7につき、XRDパターンより求めた格子定数のX値依存性を図4に示す。図4から、Zrの割合が増えるほど格子定数が増大することがわかる。これは、Zr4+のイオン半径(rZr4+=0.79Å)がNb5+のイオン半径(rNb5+=0.69Å)よりも大きいためである。格子定数が連続的に変化していることから、NbはZrサイトに置換されていると考えられる(全率固溶が可能と考えられる)。
3.伝導度
伝導度は、恒温槽中にてACインピーダンスアナライザーを用い(周波数:0.1Hz〜1MHz、振幅電圧:100mV)、ナイキストプロットの円弧より抵抗値を求め、この抵抗値から算出した。ACインピーダンスアナライザーで測定する際のブロッキング電極にはAu電極を用いた。Au電極は市販のAuペーストを850℃、30分の条件で焼き付けることで形成した。実験例1〜7つまりLi5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)の25℃での伝導度のX値依存性を図5に示す。図5から、伝導度は、Xが1.4≦X<2のとき、公知のLi7La3Zr212(つまりX=2、実験例7)に比べて高くなり、Xが1.6≦X≦1.95のとき、実験例7に比べて一段と高くなり、Xが1.65≦X≦1.9の範囲のとき、ほぼ極大値(6×10-4Scm-1以上)を取ることがわかる。上記1.で述べたとおり、各試料の相対密度は88〜92%であったことから、伝導度がX値に応じて変化するのは、密度による影響ではないと考えられる。
ここで、ニオブを適量添加することで、伝導度が向上した理由について考察する。ガーネット型酸化物の結晶構造には、図6に示すように、リチウムイオンが酸素イオンと4配位してなる四面体のLiO4(I)と、リチウムイオンが酸素イオンと6配位してなる八面体のLiO6(II)と、ランタンイオンが酸素イオンと8配位してなる十二面体のLaO8(I)と、ジルコニウムイオンが酸素イオンと6配位してなる八面体のZrO6とが含まれている。この結晶構造の全体像を図7(a)に示す。この図7(a)の結晶構造では、六面体のLiO6(II)は八面体のZrO6と十二面体のLaO8とによって囲まれているため見えない状態となっている。図7(b)は、図7(a)の結晶構造からLiO8(I)を削除して六面体のLiO6(II)を露出させた様子を示す。このように、6配位しているリチウムイオンは、6個の酸素イオンと、3個のランタンイオンと、2個のジルコニウムイオンに囲まれた位置にあり、恐らく、伝導性にはほとんど寄与していないと考えられる。一方、4配位しているリチウムイオンは、酸素イオンを頂点とする四面体を形成している。リートベルド(Rietveld)構造解析より求めたLiO4(I)四面体構造の変化を図8に示す。LiO4(I)四面体を形成する酸素イオン間距離は二つの長さがある。ここでは長尺の二辺をa、短尺の一辺をbとする。図8(a)に示すように、長尺の辺aは、Nbの置換量によらずほとんど一定の値を示すのに対し、短尺の辺bは、Nbを適量置換することで長くなっている。つまり、酸素イオンが形成する三角形はNbを適量置換することで、正三角形に近付きつつ面積は増大している(図8(b)参照)。このことから、適量のNbをZrと置換すると、伝導するリチウムイオン周りの構造(酸素イオンが形成している四面体)が最適となり、リチウムイオンの移動を容易にする効果があると考えられる。なお、Zrと置換する元素は、Nb以外の元素、たとえばSc,Ti,V,Y,Hf,Taなどであっても、同様の構造変化が見込まれることから、同様の効果が得られる。
ここで、XRDの回折ピークの強度は、LiO4(I)四面体構造を反映して変化する。すなわち、ZrサイトをNbで置換することによりLiO4(I)四面体をなす三角形が上述したように変化するため、当然、XRDの各回折ピークの強度比も変化するのである。実験例1〜3,5,7の各試料の(220)回折の強度を1に規格化したときの各回折の規格化後強度のX値依存性を図9に示す。代表的なピークとして(024)回折の規格化後強度に注目する(図10参照)。(024)回折に関して言えば、公知のLi7La3Zr212(つまりX=2、実験例7)に比べて伝導度が高くなる1.4≦X<2に対応する規格化後強度は9.2以上であり、一段と伝導度が高くなる1.6≦X≦1.95に対応する規格化後強度は10.0以上であり、伝導度がほぼ極大値を取る1.65≦X≦1.9に対応する規格化後強度は10.2以上であることがわかる。
4.活性化エネルギー(Ea)
活性化エネルギー(Ea)はアレニウス(Arrhenius)の式:σ=Aexp(−Ea/kT)(σ:伝導度、A:頻度因子、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)を用い、アレニウスプロットの傾きより求めた。代表例として実験例1〜7のLi5+XLa3(ZrX,Nb2-X)O12(X=0〜2)の伝導度の温度依存性(アレニウスプロット)を図11に示す。図11には、併せてLiイオン伝導性酸化物の中でも特に高い伝導度を示すガラスセラミックスLi1+XTi2SiX3-X12・AlPO4(オハラ電解質、X=0.4)とLi1.5Al0.5Ge1.5(PO43(LAGP)の伝導度の温度依存性(いずれも文献値)を示す。実験例1〜7につき、アレニウスプロットより求めた活性化エネルギーEa(25℃)のX値依存性を図12に示す。図12から、Xが1.4≦X<2のとき、Li7La3Zr212(つまりX=2、実験例7)より低い活性化エネルギーEa(つまり0.34eV未満)を示すことから、広い温度域で伝導度が安定した値をとるといえる。また、Xが1.5≦X≦1.9のときには活性化エネルギーが0.32eV以下となり、特にXが1.75のときに極小値0.3eVとなった。0.3eVという値は既存のLiイオン伝導性酸化物中で最も低い値と同等の値である(オハラ電解質:0.3eV、LAGP:0.31eV)。
5.化学的安定性
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりX=1.75、実験例5)の室温大気中での化学的安定性を調べた。具体的には、大気中に放置したLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512の伝導度の経時変化(0〜7日)の有無を確認することで行った。その結果を図13に示す。バルクの抵抗成分が大気中に放置していた時間によらず一定であることから、ガーネット型酸化物は室温大気中でも安定と言える。
6.電位窓
ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりX=1.75、実験例5)の電位窓を調べた。電位窓は、Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512のバルクペレットの片面に金を、もう片面にLiメタルを貼り付け、0〜5.5V(対Li+)および−0.5V〜9.5V(対Li+)の範囲で電位をスイープ(1mV/sec.)させることで調べた。その測定結果を図14に示す。電位を0〜5.5Vの範囲で走査しても、電流は全く流れなかった。このことからLi6.75La3Zr1.75Nb0.2512は0〜5.5Vの範囲で安定と言える。走査する電位を−0.5 〜9Vに広げると、0Vを境にして、酸化・還元電流が流れた。これはリチウムの酸化・還元に起因すると思われる。また、約7V以上でわずかに酸化電流が流れ始めた。しかし、流れる酸化電流量が非常に微弱であること、目視で色に変化が無いことなどから、流れる酸化電流は電解質の分解ではなく、セラミックス中に含まれている微量の不純物や粒界の分解が原因だと考えている。
[リチウム二次電池の作製・評価方法]
正極活物質として、層状Ni系活物質である、平均粒径が10μm程度であるLiNi0.80Co0.15Al0.052を用いた。この正極活物質と、所定割合の上記ガーネット型酸化物Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512(つまりX=1.75、実験例5)とを混合し、正極/固体電解質混合物を作製した。このガーネット型酸化物は、平均粒径が3μm程度になるよう粉砕したものを用いた。この平均粒径は、電子顕微鏡を用いて観察した領域内にある各粒子の短径と長径とを計測し、この短径と長径との平均値を1つの粒径とし、全粒子の平均値を算出することにより求めた。なお、ガーネット型酸化物を電極に含ませる場合は、活物質の平均粒径よりもガーネット型酸化物の平均粒径が小さい方が、活物質の表面をガーネット型酸化物がより覆いやすく、好ましい。この正極/固体電解質混合物を85重量%、導電材としてのカーボンブラックを10重量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、正極合材を作製した。この正極合材をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散させてペーストとし、この正極合材ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗工乾燥させ、ロールプレスして高密度化し、正極シート電極とした。なお、正極シート電極は52mm×450mmとし、正極活物質の付着量は片面あたり7mg/cm2程度とした。次に、人造黒鉛を負極活物質とした。この負極活物質を95重量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、負極合材を作製した。この負極合材をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散させてペーストとした。この負極合材ペーストを厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗工乾燥させ、ロールプレスして高密度化し、負極シート電極とした。なお、負極シート電極は54mm×500mmとし、負極活物質の付着量は片面あたり5mg/cm2程度とした。電解液は、LiPF6を、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比3:7)に1mol/L濃度で溶解したものを用いた。作製した正・負極シート電極をセパレータ(東燃タピルス製、PE25μm厚、幅58mm品)を介してロール状に捲回し、18650電池缶に挿入し、上記の電解液を注入したあと、トップキャップを密閉することによりリチウム二次電池を作製した。
[実験例8〜11]
上記リチウム二次電池において、正極活物質とガーネット型酸化物との重量比が99:1となるように、即ち、正極活物質とガーネット型酸化物との全体に対してガーネット型酸化物が1重量%正極に含まれるように配合して得られたリチウム二次電池を実験例8とした。また、正極活物質とガーネット型酸化物との重量比が90:10となるように、即ち、正極活物質とガーネット型酸化物との全体に対してガーネット型酸化物が10重量%正極に含まれるように配合して得られたリチウム二次電池を実験例9とした。また、正極活物質とガーネット型酸化物との重量比が70:30となるように、即ち、正極活物質とガーネット型酸化物との全体に対してガーネット型酸化物が30重量%正極に含まれるように配合して得られたリチウム二次電池を実験例10とした。また、正極活物質とガーネット型酸化物との重量比が50:50となるように、即ち、正極活物質とガーネット型酸化物との全体に対してガーネット型酸化物が50重量%正極に含まれるように配合して得られたリチウム二次電池を実験例11とした。
[実験例12]
また、上記リチウム二次電池において、正極活物質とガーネット型酸化物との重量比が100:0となるように、即ち、ガーネット型酸化物を添加せずに得られたリチウム二次電池を実験例12とした。
(初期容量)
作製した電池について、0.2C(100mA)の電流で、上限4.1V、下限3.0Vとして充放電を5サイクル実行するコンディショニングを行った。次に、20℃の温度条件下で電流密度0.2mA/cm2の定電流・低電圧充電方式で充電上限電圧である4.1Vまで7時間かけて充電した。次いで、電流密度0.1mA/cm2の定電流で放電下限電圧である3.0Vまで放電を実施した。このときの正極活物質当たりの放電容量(mAh/g)を電池初期容量とした。
(容量維持率)
作製した電池について、2mA/cm2の定電流で充電上限電圧である4.1Vまで充電し、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧である3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを60℃の温度条件下で500サイクル行った。この充放電サイクル試験前後において、20℃の温度条件下で、電流密度0.2mA/cm2での放電容量を測定し、充放電サイクル試験後の放電容量を、充放電サイクル試験前の放電容量で除したものに100を乗じて容量維持率(%)を求めた。
(DSC発熱開始温度評価)
正極活物質を加圧密閉セルにて4.2Vまで充電したあと、正極活物質5mgと電解液(LiPF6/EC+DEC(3:7))3mgをDSC測定用容器に封入し、示差走査熱量計(NT06−0106,Rigaku社製)を用いて昇温速度5℃/minで室温から480℃まで発熱挙動を測定した。発熱開始温度は、熱流量ピークの立ち上がりが最大値の1/2となる温度とした。標準的活物質である実験例12の発熱開始温度を基準としてその温度差をDSC評価の結果とした。
(実験結果)
実験例8〜12のリチウム二次電池について、表2に正極活物質とガーネット型酸化物との重量比、初期容量(mAh/g)、容量維持率(%)及び発熱開始温度(℃)をまとめた。実験例8〜11のリチウム二次電池では、実験例12に比して容量維持率がより高くなることが明らかとなった。したがって、粉体としてガーネット型酸化物(Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512)を正極に存在させると、サイクル特性が向上することが明らかとなった。また、実験例8〜11のリチウム二次電池では、実験例12に比して発熱開始温度がより高くなることが明らかとなった。したがって、粉体としてガーネット型酸化物(Li6.75La3Zr1.75Nb0.2512)を正極に存在させると熱的により安定とすることができることが明らかとなった。しかしながら、ガーネット型酸化物が50重量%含む実験例11では、正極活物質量が低下することにより、初期容量が低下することがわかった。このため、ガーネット型酸化物は、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることが更に好ましいことがわかった。
このように、サイクル特性、熱的安定性を向上する理由は、Zr及びNbを含みリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物が正極活物質の表面の一部を覆うことにより、正極活物質と電解液との接触面積が減少し、正極活物質−電解液間の発熱反応が抑制されたためであると推察された。例えば、Zr及びNbを含むガーネット型酸化物は、高いリチウム伝導度を有しており、電池の出力特性低下などの懸念が少ない。また、大気中でも安定であるから、大気中の水分と反応したり吸収したりしにくい。また、0V〜9.5Vの広い電位窓を有するため、充放電を行っても電池内で安定に存在できる。即ち、低電位の負極に混入又は接触可能であるし、高電位の正極に混入又は接触可能であるし、正負極に混入又は接触可能である。また、過放電が起きて正極の電位が下がりすぎたり負極の電位が上がりすぎたりしてもガーネット型酸化物は安定であるため、電極に悪影響を与えにくい。
なお、本実験例では、正極活物質とリチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物とを混合して正極に存在させたものを検討したが、負極活物質とこのガーネット型酸化物とを混合して負極に存在させても同様の効果を奏するものと推察された。また、セパレータ内にこのガーネット型酸化物を存在させた場合についても、電解液を固体電解質で一部置き換えるものとして、同様の効果が期待できる。また、ガーネット型酸化物の粉体を正極内に混入するものとしたが、正極、負極及びセパレータのうち少なくとも1以上にガーネット型酸化物を積層させるものとしても同様の効果が期待できる。
10,30 リチウム二次電池、11,14,31,34 集電体、12,32 正極合材、12a 正極活物質、12b,37b ガーネット型酸化物、13,33 正極シート、17,37 負極合材、18,38 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子、37a 負極活物質。

Claims (4)

  1. リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、
    リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、
    を備え、
    前記正極は、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を含み、
    前記ガーネット型酸化物は、前記正極活物質と該ガーネット型酸化物との全体に対して50重量%以下の範囲で前記正極に含まれている、
    リチウム二次電池。
  2. 前記ガーネット型酸化物は、組成式Li5+XLa3(ZrX,A2-X)O12(式中、AはSc,Ti,V,Y,Nb,Hf,Ta,Al,Si,Ga及びGeからなる群より選ばれた1種類以上の元素、Xは1.4≦X<2)で表される、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、
    リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、
    を備え、
    前記正極は、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を含み、
    前記ガーネット型酸化物は、前記正極活物質と該ガーネット型酸化物との全体に対して50重量%以下の範囲で前記正極に含まれており、
    電気自動車に用いることが可能なリチウム二次電池。
  4. リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、
    リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しリチウムを伝導する電解液と、
    を備え、
    前記正極は、リチウムイオンを伝導するガーネット型酸化物を含み、
    前記ガーネット型酸化物は、前記正極活物質と該ガーネット型酸化物との全体に対して50重量%以下の範囲で前記正極に含まれており、
    コンディショニングが行われた、
    リチウム二次電池。
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JP2016143577A (ja) * 2015-02-03 2016-08-08 株式会社豊田中央研究所 リチウムイオン二次電池

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