JP5382986B2 - ヘパリン注射液製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、バイアル瓶入りヘパリン注射液製剤のプラスチック容器化技術に関する。より詳細には、環状ポリオレフィンを含む樹脂層からなる包装袋またはブロー成形容器から形成されたプラスチック容器に充填し、次いで高温滅菌(以下、「高圧蒸気滅菌」という場合がある。)した保存剤入りヘパリン注射液製剤およびその容器に関する。
我が国では、医療用ヘパリン注射液製剤として、ヘパリンナトリウム注射液、ヘパリンカルシウム注射液等の各種製剤が、血管内血液凝固症候群および血栓塞栓症の治療、血液透析装置使用時の血液凝固の防止等を適応症として広範に使用されている。このうち、日局へパリンナトリウム注射液、1000単位/mLは、5mL、10mL、50mLおよび100mLの各容量の製剤が市販され、該注射液の高容量(50mLおよび100mL)製剤、および一部の低容量(5mLおよび10mL)製剤には、用時に希釈し分割使用することによる細菌汚染等を防止するために保存剤として通常ベンジルアルコールが1w/v%濃度で配合されている。また、ベンジルアルコール以外の保存剤として、パラオキシ安息香酸メチル0.026w/v%およびパラオキシ安息香酸プロピル0.014w/v%が配合されたヘパリンナトリウム注射液製剤も市販されている(三菱ウェルファーマ製、商品名:ヘパリンナトリウム注−Wf)。
これらの保存剤はポリエチレン製容器やポリプロピレン製容器を透過するため、保存剤入りヘパリン注射液製剤には通常はバイアル瓶が使用され、プラスチック容器化はされていない。さらに、そのバイアル瓶を密閉するゴム栓には、ネオプレン製ゴム栓やブチルゴム栓などが使用され、ゴム栓へのベンジルアルコールのごとき保存剤の吸着を防止するため、その表面はフッ素化ポリマーなどで被覆されている(非特許文献1参照)。
また、特開2004−10596号公報は、ヘパリンナトリウム水溶液をガス透過性プラスチック容器に充填し、脱酸素剤とともにガスバリア性外装袋で外装された注射液製剤に関する発明(1)、ならびに安定化剤としてベンジルアルコールを含有するが、pH調整剤を含有しないヘパリンナトリウム製剤に関する発明(2)を開示する。しかしながら、上記発明(1)では、分割使用する場合、一旦外装容器を開封すると再度収納できないため、次回使用時までの期間中に保存剤が容器を透過し、保存剤の含量が低下するおそれがあるなどの問題点がある。さらに、上記発明(2)ではヘパリンナトリウムとベンジルアルコールを充填した後、滅菌時に保存剤が容器を透過し、含量が低下するという問題点を有する。
一方、近年、電解質輸液や栄養輸液などの大容量輸液においては、軽量化や廃棄性の問題から、その容器はバイアル瓶からプラスチック容器に変遷してきた。そこで、本発明者らは、1w/v%ベンジルアルコール入りヘパリンナトリウム薬液を調製し、通常輸液に使用されるポリエチレン製およびポリプロピレン製容器に充填し、高圧蒸気滅菌したところ、薬液中のベンジルアルコール含量が低下した。また、それを40℃保存したところベンジルアルコール含量は更に低下した。このように、医療用の輸液容器として通常使用されるポリエチレン製およびポリプロピレン製容器は、事実上保存剤入りヘパリン注射液製剤には適さないことが判明した。
特開2004−10596号公報 「医薬品添加物ハンドブック」、日本薬学会編、丸善、1989、第316〜318頁
本発明は、高圧蒸気滅菌時および保存時に保存剤の含量がほとんど低下せず、また、プラスチック容器化により優れた柔軟性および落下衝撃強度を有する、保存剤入りヘパリン注射液製剤およびその製造用容器の提供を目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、環状ポリオレフィンを含む樹脂層からなる包装袋またはブロー成形容器から形成されたプラスチック容器を使用することにより、高圧蒸気滅菌時および保存時に製剤中の保存剤が減量せず、保存剤を含有したヘパリン注射液製剤に適用可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1)環状ポリオレフィン層を有する樹脂層からなる容器内に、ヘパリンおよび/またはその塩、ならびに保存剤を含有してなるヘパリン注射液を収納し、高温滅菌したことを特徴とするヘパリン注射液製剤、
2)前記樹脂層が積層体である1)記載のヘパリン注射液製剤、
3)前記積層体が、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンと環状ポリオレフィンとが接着のための層を介して、または、介すことなく積層された積層構造を有する2)記載のヘパリン注射液製剤、
4)前記保存剤が、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピルよりなる群から選択される1種または2種以上の保存剤である1)〜3)のいずれかに記載のヘパリン注射液製剤、
5)前記保存剤が、ベンジルアルコールである4)記載のヘパリン注射液製剤、
6)前記1)〜5)のいずれかに記載のヘパリン注射液製剤の製造に用いる、環状ポリオレフィンを含む樹脂層からなる容器、および
7)前記容器が包装袋またはブロー成形容器である6)記載の容器
を提供するものである。
前記1)発明により、ヘパリン注射液製剤用の容器のプラスチック化が可能となった。
前記2)発明により、優れた柔軟性および落下衝撃強度を付与できる。
前記3)発明により、より優れた柔軟性および落下衝撃強度を付与できる。
前記4)発明により、製造工程における高圧蒸気滅菌時および製造後の保存時に保存剤の含量の低下を防止できる。
前記5)発明により、製造工程における高圧蒸気滅菌時および製造後の保存時に保存剤の含量の低下をより効果的に防止できる。
前記6)発明により、優れた柔軟性および落下衝撃強度を有するヘパリン注射液製剤用容器が提供される。
前記7)発明により、優れた柔軟性および落下衝撃強度を有する包装袋またはブロー成形容器のヘパリン注射液製剤用容器が提供される。
本発明のヘパリン注射液製剤は、環状ポリオレフィンを含む樹脂層からなる容器内にヘパリンおよび/またはその塩、ならびに保存剤を含む。
環状ポリオレフィン層を有する樹脂層は、単層または積層体のいずれでもよく、環状ポリオレフィンから形成される、少なくとも1つの樹脂層を含む。
環状ポリオレフィンから形成される樹脂層は、環状オレフィンモノマーを含むモノマー組成物を重合して得られる樹脂をシート状あるいはボトル状に成形したものである。原料モノマーとしては、環状オレフィンモノマーのみを用いても良く、あるいはその他のモノマーを併用して共重合しても良い。
環状オレフィンモノマーの具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;テトラシクロドデセン、ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、2つのノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物が挙げられる。上記ノルボルネン系モノマーは単独でも二種以上を併用してもよく、二種以上の併用が好ましい。二種以上併用する場合には、熱可塑性樹脂となる1つの二重結合を有するモノマーと、熱硬化性樹脂となる複数の二重結合を有するモノマーを適宜組み合わせると種々の物性を有する樹脂を入手することができる。また、単一使用の場合と比較して凝固点降下により、モノマーを液状として取扱える範囲が拡がる場合があるからである。また、これらノルボルネン系モノマーに、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれらの誘導体を共重合することもできる。
本発明の目的からは、上記の極性基を含まないモノマーだけからなる熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーが、バリア性(保存剤の含量低下防止能)の点から好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で一部極性モノマーを共重合したポリマーであっても良い。この場合の極性モノマーは上記のノルボルネン系モノマー類に塩素や臭素などのハロゲン基やエステル基を導入した置換体を挙げることができる。
また、前記の共重合できるその他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数2以上のα−オレフィンなどであり、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセン等が挙げられる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらのうち、エチレンまたはプロピレンが好ましく、さらにエチレンが特に好ましい。
環状ポリオレフィンとしては、1種または2種以上の前記環状オレフィンモノマーを含むモノマー組成物を重合して得られる環状ポリオレフィンが挙げられ、より具体的には、下記一般式(1)または(2):
Figure 0005382986
(式中、R,R,RおよびRは互いに同一または異種の炭素数1〜20の有機基を示すか、あるいはRおよびR、またはRおよびRは、同一または異なり、それらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。mおよびpは同一または異なり0または1以上の整数を示す。lおよびnは同一または異なり1以上の整数を示す。)で表される構造単位を単独でまたは組み合わせて有する重合体である。
、R、RおよびRの炭素数1〜20の有機基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル(1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル)、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル等のアルキルシクロアルキル基;アリル、プロペニル、ブテニル、2−ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、スルホフェニル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等のアラルキル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を併用しても良い。
これらの環状ポリオレフィンは、上記一般式(1)〜(2)中のl、m、n、pの値、あるいはこれら一般式(1)〜(2)で示される環状ポリオレフィンの分子量、環状オレフィンモノマーの組み合わせにより、適宜調整される。
上記環状ポリオレフィンからなる層には、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂成分、例えば他のポリオレフィン系樹脂を配合でき、また、紫外線吸収剤や滑剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。
また、本発明のヘパリン注射液製剤の容器に使用される樹脂層では、環状ポリオレフィン層に加えて、通常医薬品用輸液容器に使用される合成樹脂層を積層して用いることができる。該合成樹脂の具体例としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリアミド、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレンプロピレン系エストラマー、およびこれらの混合物等が挙げられ、これらの合成樹脂を単層または多層として、環状ポリオレフィン層に積層し容器を製造してもよい。これらの内、本発明のヘパリン注射液製剤の容器に使用される樹脂層においては、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンと環状ポリオレフィンとが接着のための層を介して、または、介すことなく積層された積層構造を有する積層体であることが好ましい。
例えば、本発明に使用される容器は、高圧蒸気滅菌により通常硬くなることを回避するため、ポリエチレン系樹脂(PE)/環状ポリオレフィン(COP)/ポリエチレン系樹脂(PE)からなる3層の樹脂層から形成できる。最外層に使用されるポリエチレン系樹脂は、最内層に使用されるポリエチレン系樹脂よりも融点が高いとヒートシール作業が容易となるので好ましい。そして、ポリエチレンは、密度と融点との間にある程度の相関関係があるので、最外層に使用されるポリエチレン系樹脂は、最内層に使用されるポリエチレン系樹脂よりも密度が高いと好ましい。具体的に一例を挙げると、最外層に使用されるポリエチレン系樹脂は、密度0.910以上の直鎖状低密度ポリエチレンに密度0.910未満のメタロセン系触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンを95:5〜80:20の割合で混合したものとし、最内層に使用されるポリエチレン系樹脂は密度0.910以上の直鎖状低密度ポリエチレンに密度0.910未満のメタロセン系触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンを90:10〜60:40の割合で混合したものとして、最外層に使用されるポリエチレン系樹脂が最内層に使用されるポリエチレン系樹脂よりも密度が高く構成されていることが好ましい。
また、そのような容器とすることで、高圧蒸気滅菌前においても容器自体に柔軟性を付与することができるので充填作業等が容易となり、且つ、容器の衝撃強度が増し、容器に充填した製品の輸送等における安全性が一層高まる。
その他、積層体の場合の、層構成例としては、外層〜内層の構成として、ポリプロピレン系樹脂(PP)/接着性樹脂(AD)/環状ポリオレフィン(COP)、(ポリプロピレン系樹脂(PP)+エチレンプロピレン系エストラマー)/接着性樹脂(AD)/環状ポリオレフィン(COP)、高密度ポリエチレン(PE)/直鎖状低密度ポリエチレン(PE)/環状ポリオレフィン(COP)/直鎖状低密度ポリエチレン(PE)等が挙げられる。なお、「/」は積層を、「+」は混合を意味する。
環状ポリオレフィン層を有する樹脂層の厚みは、特に制限されず、含有すべき保存剤の容器からの透過を防止し、優れた柔軟性および落下衝撃強度を有するものであれば、用いられる環状ポリオレフィンおよびその他の合成樹脂の性質、層構造、保存剤の種類などに応じて任意に選択できる。限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン層のみからなる単層構成である場合、保存剤の透過防止、柔軟性および落下衝撃強度の観点から、その厚みは、50〜400μm、好ましくは70〜200μmであり、一方、環状ポリオレフィン層を少なくとも1つ有する樹脂層と他の合成樹脂層からなる積層体である場合、環状ポリオレフィン層は、通常、10〜300μm、好ましくは20〜100μmの厚みを有する。積層体である場合の総厚みは通常60〜500μmの範囲である。
本発明において、容器の製造方法は、通常の医薬品用輸液容器の製造方法として公知の方法を採用することができ、容器が包装袋の場合には例えば、単層用あるいは多層用のTダイを利用したTダイ法またはサーキュラーダイを介してチューブ状のシートを得る単層や多層のインフレーション法等を適宜活用できる。さらに、延伸フィルムなど特殊な基材を用いて多層構成とする場合には、接着剤を用いて各層をドライラミネートする方法や、溶融性樹脂を用いて押出ラミネートする方法等を適宜併用することができる。得られたシートは、必要箇所を公知の手段でヒートシールして容器となる。容器がブロー成形容器の場合には例えば、単層や多層の押出ブロー成形や射出ブロー成形が好適に採用される。多層の共押出ブロー成形の方法としては、少なくとも2台の押出機を有する多層押出機を用いて、環状ポリオレフィンおよびその他の合成樹脂及び必要に応じて接着性樹脂をそれぞれの押出機に供給して混練、溶融押出しを行い、各溶融樹脂層を多層パリソン成形用ダイの内部またはダイより吐出直後の外部で密着合流させ、管状の多層パリソンを得、次いでこの多層パリソンを溶融状態でブロー成形して多層容器を得る、いわゆるダイレクトブロー成形法が好適なものとして挙げられる。
また、多層の共射出ブロー成形の方法としては、少なくとも2台の押出機を有する多層射出成形機を用いて射出成形によって多層パリソンを得てから、冷却途中に、あるいは冷却後再加熱してからブロー成形する方法が好適に採用される。多層パリソンをブロー成形する際には、延伸ブロー成形、特に二軸延伸ブロー成形することが好ましい。
また、本発明のヘパリン注射液製剤におけるヘパリンまたはその塩としては、日本薬局方収載ヘパリンナトリウムならびに、ヘパリンカルシウム、低分子ヘパリンのナトリウム塩、カルシウム塩等のいずれのヘパリンであっても使用でき、特に、日本薬局方収載ヘパリンナトリウムが好ましい。また、該製剤の薬液中のヘパリン濃度は特に限定されないが、好ましくは、1000〜10000単位/ml、より好ましくは1000単位/mlである。
さらに、本発明のヘパリン注射液製剤には、分割使用するための保存剤が添加される。使用される保存剤としては、通常医薬品に使用される保存剤であれば特に限定されないが、ヘパリン注射液の保存剤として利用可能なベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、パラオキシ安息香酸メチル、およびパラオキシ安息香酸プロピルが用いられ、特にベンジルアルコールが好ましい。
本発明のヘパリン注射液製剤は、薬液収納後に熱水スプレー(シャワー)式滅菌、熱水インジェクション式滅菌、熱水浸漬式滅菌、および蒸気式滅菌などのレトルト滅菌装置やオートクレーブ滅菌装置により高温で加圧加熱滅菌される。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1
水900mLを40℃に加温し、塩化ナトリウム9.0g、ベンジルアルコール10.0g、ヘパリンナトリウム(約200単位/mg)5.0gを順次溶解した。次に、1モル/L塩酸試液適量および1モル/L水酸化ナトリウム液適量を加え、pH6.5〜7.0にpH調整し、水適量を加え、全量を1000mLとし、薬液を調製した。その薬液を開口径0.20μmのメンブランフィルターでろ過しながら、約100mLずつを単層の環状ポリオレフィン(日本ゼオン(株)製 ゼオノア)製袋状容器(縦14.0cm×横12.6cmの包装袋、シート厚み80μm)に充填し、ヒートシールで密封した。このようにして得られた袋状容器6本及び水3Lを5L加圧タンクに入れ、タンクの液出入り口に盲栓をして106℃30分間高圧蒸気滅菌を行った。冷却後、加圧タンクより容器を取り出し、試験検体とし、充填時の残液を対照液として、表1に示す試験項目につき測定した。
Figure 0005382986
その試験結果を表2に示す。
Figure 0005382986
ベンジルアルコール含量は、滅菌後の環状ポリオレフィン製容器内の薬液と対照液(充填時残液)との間で差はなく、環状ポリオレフィン製容器を用いた場合、滅菌処理によりその含量が低下しないことを確認した。同様に、塩化ナトリウム含量にも差はなく、滅菌時希釈や濃縮現象も起こっていないことを確認した。
実施例2
水900mLを40℃に加温し、塩化ナトリウム9.0g、ベンジルアルコール10.0g、ヘパリンナトリウム(約200単位/mg)5.0gを順次溶解した。次に、1モル/L塩酸試液適量および1モル/L水酸化ナトリウム液適量を加え、pH6.5〜7.0にpH調整し、水適量を加え、全量を1000mLとし、薬液を調製した。その薬液を口径0.2μmのメンブランフィルターでろ過しながら、その50mLずつを環状ポリオレフィン製袋状容器A−I(層構成(厚み):PE(125μm)/COP(日本ゼオン(株)製 ゼオノア)(25μm)/PE(50μm)、全体の厚み:200μm)および環状ポリオレフィン製袋状容器B(層構成(厚み):ポリプロピレン系樹脂(PP)(140μm)/接着性樹脂(AD)(30μm)/COP(日本ゼオン(株)製 ゼオノア)(30μm)、全体の厚み:200μm)に充填し、ヒートシールで密封して包装袋とした。このようにして得られた容器A−Iを9本、容器Bを9本および水2Lを5L加圧タンクに入れ、タンクの液出入り口に盲栓をして、106℃30分の高圧加熱滅菌により滅菌した。冷後、加圧タンクより、容器を取り出し、バッグA−IおよびバックBを、各々、検体A−Iおよび検体Bとした。次に、これらの検体A−IおよびBの一部をとり、ベンジルアルコールの含量を測定し、残りを40℃恒温室に入れ、安定性試験を実施し、ベンジルアルコールの含量を測定した。また同様に調製した薬液を口径0.2μmのメンブランフィルターでろ過しながら、その50mLずつを環状ポリオレフィン製成形容器A−II(層構成(厚み):PE(125μm)/COP(日本ゼオン(株)製 ゼオノア)(25μm)/PE(50μm)に充填して密封した。使用したA−II容器は多層ブロー成形法により製造された容器を使用した。このようにして得られた容器A−IIを9本および水2Lを5L加圧タンクに入れ、タンクの液出入り口に盲栓をして、106℃30分の高圧加熱滅菌により滅菌した。冷却後、加圧タンクより、容器を取り出し、容器A−IIを検体A−IIとした。次に、これらの検体A−IIの一部をとり、ベンジルアルコールの含量を測定し、残りを40℃恒温室に入れ、安定性試験を実施し、ベンジルアルコールの含量を測定した。
比較例1
水1800mLを40℃に加温し、塩化ナトリウム18.0g、ベンジルアルコール20.0g、ヘパリンナトリウム(約200単位/mg)10.0gを順次溶解した。次に、1モル/L塩酸試液適量および1モル/L水酸化ナトリウム液適量を加え、pH6.5〜7.0にpH調整し、水適量を加え、全量を2000mLとし、薬液を調製した。その薬液を口径0.2μmのメンブランフィルターでろ過しながら、その50mLずつをポリエチレン製容器C(低密度ポリエチレン、厚み:400〜500μm、ブロー成型)、ポリエチレン製容器D(層構成:低密度ポリエチレン(60μm)/超低密度ポリエチレン(80μm)/低密度ポリエチレン(60μm)、全体の厚み:200μm)およびポリプロピレン製容器E(層構成:エチレンとプロピレンがリアクター重合されたポリプロピレン系樹脂(エチレンプロピレン系エストラマー)の単層構成、厚さ:200μm)に充填した後、シールした。容器の滅菌は、容器C、DおよびEにつき、各々、容器9本および水2Lを5L加圧タンクに入れ、タンクの液出入り口に盲栓をして、106℃30分の高圧加熱滅菌により滅菌し、冷却後、加圧タンクより、容器を取り出し、各々、検体C、DおよびEとした。次に、これらの検体の一部をとり、ベンジルアルコールの含量を測定し、残りを40℃恒温室に入れ、安定性試験を実施し、ベンジルアルコールの含量を測定した。
実施例2および比較例1の結果を表3に示す。
Figure 0005382986
その結果、検体A−I、A−IIおよびBのベンジルアルコール含量は滅菌後(製造時)、40℃保存時のいずれにおいても低下せず、それらが保存剤配合による保存効力を維持できる製剤であることが確認された。また、これらの検体A〜Eのいずれも、製造時(滅菌時)および40℃保存時に優れた柔軟性および落下衝撃強度を示した。
一方、検体C、DおよびEは滅菌前後でベンジルアルコール含量が約10〜20%減量した。この時使用した各滅菌水中のベンジルアルコールを測定したところ、それぞれ0.19g/2L、0.70g/2Lおよび0.31g/2Lが検出され、その量は各検体の滅菌時の減量に相当した。このことより滅菌時にベンジルアルコールは容器を透過するものと推定され、実生産に移行するにはGMP上の問題があることが判明した。また、これらの3検体では、40℃保存時にもベンジルアルコール含量は著しく低下することが確認された。以上の結果より、検体C、DおよびEはベンジルアルコール含量が製造時(滅菌時)および40℃保存時に低下し、保存効力が低下する問題があると考えられた。

Claims (7)

  1. 環状ポリオレフィン層を有する樹脂層からなる包装袋内に、ヘパリンおよび/またはその塩、ならびに分割使用するための保存剤を含有してなる薬液を収納し、高温滅菌したことを特徴とするヘパリン注射液製剤であって、
    高温滅菌時および保存時に該製剤中の保存剤が減量しないことを特徴とする該ヘパリン注射液製剤。
  2. 前記樹脂層が、環状ポリオレフィン層のみからなる単層構成である場合、その環状ポリオレフィン層を有する樹脂層の厚みが50〜400μmであり、環状ポリオレフィン層を少なくとも1つ有する樹脂層と他の合成樹脂層からなる積層体である場合、その積層体の総厚みが60〜500μmである請求項1記載のヘパリン注射液製剤。
  3. 水酸化ナトリウムによりpH調整を行うことを特徴とする請求項1または2記載のヘパリン注射液製剤。
  4. 前記樹脂層が積層体である請求項1〜3いずれか1記載のヘパリン注射液製剤。
  5. 前記積層体が、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンと環状ポリオレフィンとが接着のための層を介して、または、介すことなく積層された積層構造を有する請求項4記載のヘパリン注射液製剤。
  6. 前記保存剤が、ベンジルアルコール、クロロブタノール、クロロクレゾール、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピルよりなる群から選択される1種または2種以上の保存剤である請求項1〜5のいずれかに記載のヘパリン注射液製剤。
  7. 前記保存剤が、ベンジルアルコールである請求項6記載のヘパリン注射液製剤。
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