JP5387175B2 - 一酸化炭素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一酸化炭素の製造方法に関する。
一酸化炭素は、従来、ポリカーボネート、イソシアネートやその他さまざまな化合物を合成する原料として広く用いられている。一酸化炭素は、一般的にコークスのガス化法(部分酸化法)、メタノール分解法、LNG改質法等により製造される。これらの製造方法によって得られる一酸化炭素には、硫化カルボニル、二硫化炭素、硫化水素等の硫黄化合物が含有される可能性がある。特に、コークスのガス化法(部分酸化法) は、安価で大量に一酸化炭素を製造できる利点があるが、コークス中に存在している硫黄化合物が副生することが知られている。上記硫黄化合物は一般的に金属触媒等の被毒原因となることが多く、硫黄化合物を含んだ一酸化炭素を原料として化合物を合成する場合に、支障をきたすことがある。よって一酸化炭素に含有される硫黄化合物の除去方法が提案されている。
特許文献1及び特許文献2には、コークスのガス化法による一酸化炭素の製造法が開示されており、その製造法には、一酸化炭素に含有される硫黄化合物を除去するプロセスとして、クラウス触媒と接触させて硫黄化合物である二硫化炭素及び硫化カルボニルを硫化水素に転換させた後、苛性ソーダ又は炭酸カリウムと接触させて脱炭酸、脱硫を行い、ついで微量残存する硫黄化合物を酸化亜鉛を用いて吸着除去することで、効率的に一酸化炭素含有ガス中の硫黄化合物を除去することができることが記載されている。 また、特許文献3乃至7には一酸化炭素に含有される硫黄化合物の除去方法としては、アルカリ溶液による吸収が記載され、特許文献8には硫黄化合物の酸化亜鉛による吸着等が記載されている。
特開2006−144023 特開2007−176722 特開昭63−69520 特開昭53−67691 特開昭61−48412 特開昭63−36815 特開平1−275630 特開昭56−151789
一酸化炭素の製造においては、製造開始から安定して、不純物の少ない一酸化炭素を製造できることが望ましい。とりわけて、コークスのガス化法による一酸化炭素製造においては、製造開始から製造条件が安定化するまで、製造装置に不具合なく、安定して不純物の少ない一酸化炭素を製造できることが必要である。
上記従来の方法は、コークスのガス化法による一酸化炭素の定常時の製造方法であり、製造開始方法にそのまま適応できないという問題がある。更に従来の方法では硫黄化合物を含有する一酸化炭素から硫黄化合物を除去する一般的な方法の記載はあるが、該硫黄化合物を含有する一酸化炭素の受け入れ条件をどうするのか、又硫黄化合物を除去した一酸化炭素の払い出し条件をどうするのかという問題が残る。
従って、本発明の目的は、コークスに酸素含有ガスを通気することによる一酸化炭素の
製造方法において、製造開始当初より安定に純度の高い一酸化炭素を安定して製造することができる一酸化炭素の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的に鑑み鋭意検討した結果、一酸化炭素に含有される硫黄化合物が、移送配管等に通常用いられている金属と反応し、とりわけてアルカリ吸収工程の安定運転を損なう原因となる場合があることを見出した。特に、製造開始当初より一次精製ガス温度をある温度以上に維持し、加水分解工程からアルカリ吸収工程へ移送することで、硫黄化合物の低減された一酸化炭素を製造の開始から、安定的に製造できることを見出し、本発明に至った。
本発明は、コークスに酸素含有ガスを通気して一酸化炭素含有ガスを得る一酸化炭素合成工程と、
該一酸化炭素含有ガスを加水分解触媒と接触させ一次精製ガスを得る加水分解工程と、該一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させ二次精製ガスを得るアルカリ吸収工程と、を含む一酸化炭素の製造方法において、 該一次精製ガスが硫黄化合物を5容量ppm以上含有し、且つ該一次精製ガスを該加水分解工程から該アルカリ吸収工程へ移送する温度を、アルカリ吸収工程で硫化鉄が析出しない温度に、製造開始から、維持することを特徴とする一酸化炭素の製造方法に存する。
又、本発明はコークスに酸素含有ガスを通気して一酸化炭素含有ガスを得る一酸化炭素合成工程と、該一酸化炭素含有ガスを加水分解触媒と接触させ一次精製ガスを得る加水分解工程と、該一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させ二次精製ガスを得るアルカリ吸収工程と、を含む一酸化炭素の製造方法において、該一次精製ガスを該加水分解工程から該アルカリ吸収工程へ移送する温度を、製造開始から、105℃以上に維持することを特徴とする一酸化炭素の製造方法に存する。
尚、本願において「製造開始」とは製造設備が停止している状態から一酸化炭素の製造を開始することはもちろん、製造を一旦停止してから製造を再開することも含まれる。
又、本発明の一酸化炭素の製造方法において、一次精製ガスが硫黄化合物を5容量ppm以上含有することが好ましい。
更に、本発明の一酸化炭素の製造方法において、アルカリ吸収工程における、該一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させる温度が100℃以下であることが好ましい。
加えて、本発明の一酸化炭素の製造方法において、該一次精製ガスを該加水分解工程から該アルカリ吸収工程へ移送する配管が、鉄を含有する金属材質で構成されることが好ましい。
更に加えて、本発明の一酸化炭素の製造方法において、該二次精製ガスを、更に、周期表第3族元素から周期表第12族元素の酸化物と接触させる、金属酸化物接触工程を更に含むことが好ましい。
本発明では、一酸化炭素の製造において各工程が、運転開始当初から安定的に運転ができるため、工業的に安定に純度の高い一酸化炭素を運転開始から安定して製造することができる。
また、本発明の製造方法により得られた一酸化炭素は純度が高いので、更に他の化合物を製造するための前駆体として用いることができる。
一酸化炭素製造の各工程を示すフローシート図
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(1)一酸化炭素合成工程
本発明の一酸化炭素合成工程では、例えば一酸化炭素生成炉において、コ―クスに酸素含有ガスを通気して一酸化炭素含有ガスを生成させる。
該一酸化炭素生成炉は、通常、竪型円筒状であり、炉内中央部にコークス充填部を有し、該コークス充填部の上方にコークス供給口及び生成ガス排出口、該コークス充填部の下方に燃焼灰排出口及び酸素含有ガス供給口をそれぞれ有する。
しかして、一酸化炭素生成炉の運転では、コークス供給口よりコークスをコークス充填部に連続的に供給し、酸素含有ガス供給口より酸素含有ガスを連続的に供給することにより、酸素含有ガスのコークスへの通気が行われる。発生する一酸化炭素含有ガスは生成ガス排出口から排出される。
本発明の原料として用いられるコークスは平均径として、好ましくは10mm〜100mm 、更に好ましくは15mm〜25mmである。平均径が大きすぎると燃焼効率が悪
くなる場合がある。また、平均径が小さすぎると取り扱いが困難となり、また過度の燃焼が起こる場合がある。
本発明で用いられる酸素含有ガスは、酸素が含まれていれば特に制限は無いが、例えば、純酸素、空気、酸素と二酸化炭素の混合ガス、酸素と窒素との混合ガス、酸素と二酸化炭素と窒素の混合ガス等が用いられる。これら酸素含有ガスの酸素濃度は、燃焼速度の点から、5容量%以上が好ましい。 例えば、酸素と二酸化炭素との混合ガスを用いる場合、酸素と二酸化炭素との容量比は通常10:1〜1:10であり、好ましくは5:1〜1:5であり、更に好ましくは3:2〜2:1である。この範囲であれば、発熱反応が一気に進行せず、温度を適温に保つことができる。
また酸素と二酸化炭素と窒素の混合ガスを用いる場合、酸素と二酸化炭素と窒素との容量比は通常10〜40:10〜40:20〜80である。
コークスに酸素含有ガスを通気する際の一酸化炭素生成炉内最高温度は定常運転時、通常800℃以上、好ましくは900℃以上、また酸素含有ガスに二酸化炭素が含まれる場合には好ましくは1100℃以上、更に好ましくは1400℃〜1700℃に保持される。尚、本発明において、一酸化炭素発生炉内最高温度(以下、炉内最高温度)とは、一酸化炭素発生炉内で最も高い温度が観測された地点の温度であり、通常、該地点は一酸化炭素発生炉内の中央付近である。コークスが石炭コークスである場合、温度が上記範囲よりも高いと、焼塊(クリンカー) が生成しやすく、反応炉の連続運転が妨げられる。また、温度が上記範囲より低いと、反応速度が遅くなり一酸化炭素の生成効率が悪くなる。この温度は、通気する酸素含有ガスおよびコークスの供給量によって制御される。コークスは石炭の乾留によって得られるものを用いるのが経済的にも最も有利であるが、例えば、オイルコークス等の他のコークスを使用することもできる。
一酸化炭素生成炉内では、以下の化学反応により一酸化炭素が生成すると考えられる。
2C + O → 2CO 式( 1 )
C + CO → 2CO 式( 2 )
コークスに酸素含有ガスを通気させた場合には、コークスの約10%程度は燃焼灰として一酸化炭素生成炉内に残る場合がある。この燃焼灰は燃焼灰排出口から回収することができる。
生成した一酸化炭素含有ガスは、一酸化炭素を主成分とするが、通常10容量%〜50容量%の二酸化炭素を含む。
さらに、一酸化炭素含有ガス中には、水(HO) と以下の反応等により副生した水素
(H)やメタン(CH)等が微量に含まれる可能性がある。
O +CO → H + CO 式( 3 )
3H +CO → CH +HO 式( 4 )
更にまた、コークスに含まれている硫黄成分は、一酸化炭素生成炉中で反応しガス状の硫黄化合物を生成する。従って、一酸化炭素含有ガスには通常100容量ppm〜5000容量ppm の硫化水素(HS) 、1容量ppm〜2000容量ppmの硫化カルボニル(COS) 、1容量ppm〜1000容量ppmの二硫化炭素(CS)が含有されている。
一酸化炭素生成炉で得られた一酸化炭素含有ガスは、大気圧を超え1kPa−G(ゲー
ジ圧表示、以下同じ)、好ましくは0.2kPa〜0.8kPa−Gの圧力で、前記生成ガス排出口より排出される。
一酸化炭素生成炉より排出された一酸化炭素含有ガスは、場合により、サイクロン等によりサイズが比較的大きい塵を除去したり、バグフィルター等によりサイズが比較的小さい塵を捕集除去を行ってもよい。
一酸化炭素合成工程は、前記一酸化炭素生成炉内のコークス充填部にコークスを充填し、そして、酸素含有ガスを供給し、着火源を用いてコークスに点火することにより開始される。酸素含有ガスの温度は特に制限はないが、通常常温で供給される。また、着火源は、通常裸火や電気火花が使用されるが、取扱いの容易性および設備の簡略化の点で、裸火が好ましい。
一酸化炭素合成工程の開始時は、通常、半日以上、好ましくは1日以上、生成した一酸化炭素含有ガスは系外に排気後、次の加水分解工程に移送する。一酸化炭素合成工程の開始時は一酸化炭素生成炉に供給された酸素が十分に消費されず、生成した一酸化炭素含有ガス中の酸素濃度が高くなる等の問題があり、一定時間経過せずに、シ゛肯定に移送すると、次工程以降の運転が安定しない場合がある。
(2)加水分解工程
本発明の加水分解工程では、例えば加水分解装置において、固定層に加水分解触媒を担持し、一酸化炭素合成工程で得られた一酸化炭素含有ガスを該加水分解触媒と接触させ一次精製ガスを生成させる。尚、この工程はクラウス反応とも呼ばれる。
一酸化炭素含有ガスに含まれる硫黄化合物は、主として、硫化水素、二硫化炭素、硫化カルボニル等である。この一酸化炭素含有ガスを後述のアルカリ吸収工程でアルカリ溶液との接触に先立って、本加水分解工程において、一酸化炭素含有ガスに含まれる二硫化炭素、硫化カルボニルを、以下の反応により、酸性の硫化水素に変換する。これは二硫化炭素、硫化カルボニルはアルカリ溶液への吸収率が低いが、一方、硫化水素はアルカリ溶液への吸収率が高いため、より効率的にアルカリ吸収工程で硫黄化合物を除去するためである。
COS +H0 → HS+CO 式( 5 )
CS +2HO →2HS +CO 式( 6 )
加水分解触媒としては、例えばTiO2、Al3、TiO−Al等が挙げられ、TiO−Alが好ましく用いられる。また加水分解温度は150℃〜400℃が好ましく、200℃〜300℃がさらに好ましい。加水分解温度が低いと加水分解反応が十分に進行せず二硫化炭素、硫化カルボニルが残存する可能性がある。加水分解温度高いと触媒の劣化が進行しやすくなり、触媒を頻繁に入れ替えないと効率よい加水分解反応を維持できない場合がある。
加水分解反応後の一次精製ガス組成は、コークス中の硫黄分の濃度にもよるが、例えば、一酸化炭素が50容量%〜97容量%、二酸化炭素が1容量%〜50容量%、水素が1容量%〜3容量%、硫化カルボニルは10容量ppm以下、二硫化炭素は10容量ppm以下、硫化水素は少ない場合は5ppm〜1000容量ppm、多い場合は1000ppm〜8000容量ppmである。
本発明においては硫黄化合物を5容量ppm以上含有する一次精製ガスを、次工程であるアルカリ吸収工程へ移送するが、その際は、移送温度を、アルカリ吸収工程で硫化鉄が析出しない温度に製造開始から維持する。
又、本発明においては一次精製ガスを、次工程であるアルカリ吸収工程に移送する際は、移送温度を105℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上に維持する。また、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは150℃以下で維持する。移送温度が低いと、一次精製ガス中の硫黄化合物が移送配管材質に含まれる鉄分と反応し、不純物である硫化鉄が発生してしまう。この硫化鉄は次工程のアルカリ吸収工程において、不溶物として析出してしまい、フィルターに堆積したり、内壁に付着したりして、安定的に運転することができなくなる。一方移送温度が高いと、次工程のアルカリ吸収工程のアルカリ溶液との接触時にアルカリ溶液が沸騰する可能性があるため、アルカリ溶液を過度に冷却しなければならなくなる。しかしアルカリ溶液は冷却しすぎると、アルカリ成分のアルカリ溶液への溶解度が低下し、アルカリ成分の析出を起こしやすいため、安定に運転することが困難となる。
上記移送する一次精製ガス中の硫黄化合物濃度が5容量ppm以上、好ましくは100容量ppm以上、さらに好ましくは1000容量ppm以上の場合に特に効果を発揮する。
加水分解工程は、通常、加水分解触媒を加水分解装置に充填した後に、加水分解装置に一酸化炭素含有ガスを導入することにより開始される。
加水分解装置に充填した加水分解触媒は加水分解工程の開始時は、通常、常温であるため、一酸化炭素含有ガスが高温であっても、得られる一次精製ガスの温度が低い場合がある。よって、一次精製ガスの温度を一定温度以上に維持し次のアルカリ吸収工程に移送するためには、加水分解工程で得られた一次精製ガスをアルカリ吸収工程へ移送する配管を加温する方法、加水分解工程の開始温度を製造開始当初から高温にするため、一酸化炭素含有ガス供給量を多くして加水分解工程を開始する方法、加水分解工程出口の一次精製ガスの温度が高温となるまでは次工程に移送せず、一次精製ガスの温度が上昇した後、アルカリ吸収工程に移送する方法、加水分解工程の開始前に予め加水分解装置内温を加温する方法などが有効である。
(3)アルカリ吸収工程
本発明のアルカリ吸収工程では、加水分解工程で得られた一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させ二次精製ガスを生成させる。該一次精製ガスを該アルカリ溶液に接触させる方
法は、例えばアルカリ溶液を滴下しながら一次精製ガスを通気する方法、アルカリ溶液中に一次精製ガスをバブリングする方法、アルカリ溶液と一次精製ガスを同一の配管中で混合する方法等が挙げられる。
アルカリ吸収工程では、一次精製ガス中の酸性成分である二酸化炭素と硫化水素が、アルカリ溶液との接触によって吸収除去される。アルカリ溶液のアルカリ成分として炭酸カリウムを用いた場合、以下の反応による。
CO + CO + HO → 2KHCO 式( 7 )
CO + HS → KHCO+ KHS 式( 8 )
アルカリ溶液に用いられるアルカリ成分としては、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム等、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸との塩、アルコキシド等が挙げられる。 これらのうち、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が好ましく、後記アルカリ放散工程におけるアルカリ溶液の再生の点で、アルカリ金属の、炭酸塩、炭酸水素塩が更に好ましい。
また、アルカリ溶液に用いられる溶媒としては、水、あるいはメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類、又はそれらの混合物が用いられるが、水を用いた、アルカリ水溶液が好ましい。
アルカリ吸収工程に用いるアルカリ溶液のアルカリ成分の濃度は、溶液全量に対し通常5重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜35重量%、更に好ましくは20重量%〜30重量%である。
一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させる温度は通常100℃以下であり、好ましくは10℃〜100℃、より好ましくは30℃〜80℃ 、更に好ましくは50℃〜70℃で
ある。温度が高いと硫黄化合物のアルカリ溶液への吸収効率が低くなる場合があり、また温度が低いとアルカリ溶液中の無機塩等が析出する可能性がある。ここで一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させる温度とは一次精製ガスと接触した後のアルカリ溶液の液温のことを言う。
また、一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させる時の圧力は一次精製ガスのアルカリ溶液への溶解度を増すため高いほうが好ましく、通常大気圧〜150kPaである。
アルカリ吸収工程により得られる二次精製ガス組成は、一酸化炭素が75容量%〜80容量%、二酸化炭素が1容量%〜2容量% 、水素が2容量%〜3容量%、水蒸気が15
容量%〜20容量%、硫黄化合物が300容量ppm以下(内、硫化カルボニルと二硫化炭素が合計して20容量ppm以下、大半は硫化水素)である。
このような硫黄化合物の低減を達成するには、上述のアルカリ成分の種類、アルカリ溶液の濃度及び量、を適宜選択すればよい。
本発明のアルカリ吸収工程は、通常、一次精製ガスをアルカリ吸収塔に導入する前に、所定温度でアルカリ溶液をアルカリ吸収塔に供給した後に、120℃以上の一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させることにより開始される。
尚、本発明において、アルカリ吸収工程で硫化鉄が析出するとは、一次精製ガスと接触後のアルカリ溶液を後述の分析手法に則り分析した際に、所定量以上の硫化鉄が検出されることである。すなわち、アルカリ吸収工程へ移送された一次精製ガス中の硫化鉄の濃度が10ppmを超えたことと同義である。
(4)金属酸化物接触工程
本発明においては、アルカリ吸収工程で得られた二次精製ガスと、周期表第3族元素から周期表第12族元素の酸化物とを金属酸化物接触工程で接触させることが好ましい。二次精製ガスと前記酸化物とを接触させる方法としては、例えば、前記酸化物を粒状とし、適度な容器に充填し、二次精製ガスを通気させる方法が挙げられる。
金属酸化物としては、金属硫化物に変換されることができ、安定な硫化物を形成し得る金属元素の酸化物を用いることができ、具体的には周期表第3族元素から周期表第12族元素の酸化物を用いることができる。硫黄原子との親和性の良さから、第12族元素の酸化物が好ましく、コスト及び安全性の面から酸化亜鉛(ZnO)が特に好ましい。
酸化亜鉛を酸化物として用いた場合、以下の反応により硫黄化合物が吸着除去される。
ZnO + CS → ZnS + COS 式( 1 1 )
ZnO + COS → ZnS + CO 式( 1 2 )
ZnO + H2S → ZnS + HO 式( 1 3 )
酸化物として用いられる酸化亜鉛は、底面の径が4mm〜5mm 、高さが5mm〜1
5mm の円柱状成型品等の粒状物が好ましい。 接触条件は、温度が通常100℃〜1
70℃、好ましくは135℃〜150℃である。圧力は通常10kPa〜150kPaである。
酸化亜鉛は水蒸気の存在下では水酸化物に変換する副反応も起こり得るが、上記温度範囲であれば、水酸化物となる反応を抑えることができ、また硫化反応については速度論的及び熱力学的なバランス上効率が良好となる。
二次精製ガスが酸化亜鉛と接触した後の金属酸化物接触工程出口ガス組成は、一酸化炭素が75容量%〜80容量%、二酸化炭素が1容量%〜2容量% 、水素が2容量%〜3
容量%、硫黄化合物5容量ppm未満、好ましくは1容量ppm未満、及び飽和水蒸気15容量%〜20容量%である。
(5)アルカリ放散工程
アルカリ放散工程では、アルカリ吸収工程で使用したアルカリ溶液を加熱し、二酸化炭素を放散させる。アルカリ溶液のアルカリ成分として炭酸カリウムを用いた場合は、以下のような二酸化炭素の放散が温和な条件で効率よく進行し、炭酸カリウムが再生する。
2KHCO → KCO + CO+HO 式( 9 )
アルカリ吸収工程ではアルカリ溶液により二酸化炭素が吸収除去されるが、本アルカリ放散工程では前記式のようにアルカリ成分が再生する。よってアルカリ放散工程でアルカリ溶液を回収し、アルカリ吸収工程で再使用することができる。
アルカリ放散工程の条件としては、圧力は80kPa〜150kPa、温度はその圧力におけるアルカリ溶液の沸点が好ましく、例えば80〜120℃である。
アルカリ溶液を回収・再使用するためには、放散と吸収を効率的に行う必要がある。
アルカリ放散工程において生成するアルカリ溶液を回収し、アルカリ吸収工程のアルカリ溶液として再使用する場合、例えばアルカリ成分として炭酸カリウムを用いた場合、放散工程では二酸化炭素を極力放散させ、炭酸水素カリウムを充分に炭酸カリウムに変換させたほうが良く、従って、アルカリ放散後の炭酸水素カリウム/炭酸カリウムの比(重量比)は好ましくは1/3以下、更に好ましくは1/4以下となるようにする。
(6)アルカリ接触工程
本発明においては、金属酸化物接触工程より得られた金属酸化物接触工程出口ガスをア
ルカリ水溶液と接触させ、少量含有される二酸化炭素を除く、アルカリ接触工程を設けても良い。
アルカリ水溶液に用いられるアルカリ成分としては、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム等、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱酸との塩、アルコキシド等が挙げられる。 これらのうち、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が好ましく、コスト等の面から水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を特に好ましい。
アルカリ接触工程に用いるアルカリ溶液のアルカリ成分の濃度は、生成した炭酸塩がなるべく析出しないように、アルカリ水溶液全量に対し通常1重量%〜10重量% 、好ま
しくは4重量%〜8重量% 程度の比較的低濃度のものが用いられる。アルカリ成分とし
て、水酸化ナトリウムを用いた場合、二酸化炭素のアルカリ吸収は以下の反応による。
NaOH + CO → NaHCO 式( 1 4 )
NaOH + NaHCO → NaCO+ HO 式( 1 5 )
金属酸化物接触工程出口ガスのアルカリ溶液と接触した後のアルカリ接触工程出口ガス中の二酸化炭素濃度は、0.01容量%以下となる。
(7)脱水工程
本発明において、アルカリ接触工程出口ガスを濃硫酸等の脱水剤と接触させることにより、一酸化炭素ガス中の水分が除かれる、脱水工程を設けても良い。
脱水剤として用いる濃硫酸の濃度は通常98%であり、脱水により水分量が増加し、濃度が低下すると、装置から抜き出し、新たな濃硫酸(98%) を脱水剤として供給する。
こうして、最終的に得られる精製一酸化炭素ガスの組成は、一酸化炭素が約97容量%、水素が約2〜3容量% 、二酸化炭素が約0.01容量%、水が約0.05容量%以下
であり、硫黄化合物は0.1容量ppm以下、好ましくは0.01容量ppm以下であり、更に好ましくは検出限界以下である。
精製化炭素ガスの組成は製造開始直後から、所定運転条件時と変わらず、製造開始直後の精製一酸化炭素ガスも通常の製品と同様に取り扱うことができる。
本発明を、以下の実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
添付の図1に従って、工程ごとに説明する。
<各ガスの組成分析方法>
各ガスの組成分析はガスクロマトグラフィー(装置:株式会社島津製作所製GC−14A、キャリアガス:アルゴン50mL/分、カラム:MS−13X、カラム温度:50℃、イソジェクション温度:120℃、検出器:TCD検出器100℃)を用いて実施した。
<アルカリ吸収工程での硫化鉄の検出方法>
一次精製ガスとの接触後のアルカリ水溶液を、目開き250μmのフィルターで濾過し、フィルター上の濾過分を乾燥し、固形分を取得した。元素分析により、前記固形分の硫化鉄濃度を測定し、下記式(16)によりアルカリ水溶液あたりの濃度に換算した。
Figure 0005387175
<一次精製ガス中の硫化鉄濃度の算出方法>
一次精製ガス中の硫化鉄濃度は、上記式(16)により求めたアルカリ水溶液中の硫化鉄の濃度から下記式(17)により算出した。
Figure 0005387175
(実施例1)
<一酸化炭素合成工程>
炭素鋼製(鉄99%以上含有)一酸化炭素生成炉に、平均径17.5mmの炭素コークスを450kg充填した。次いで、温度20℃の炭酸ガスと温度20℃の純酸素ガス(酸素濃度:99容量%以上)を、それぞれ120Nm3/時間、70Nm3/時間にて酸素含有ガス供給口より供給し、裸火を用いて前記石炭コークスに点火し運転を開始した。更に前記炭酸ガス及び前記純酸素ガスをそれぞれ同流量供給を続け、又、前記石炭コークスもコークス供給口より64.5kg/時間の流量で供給を続けた。一酸化炭素精製ガスは製造開始から約1日間は系外に排気した。
製造開始から約1日経過後、一酸化炭素生成炉内最高温度は約1400℃で安定化したことを確認した後に、一酸化炭素生成炉の生成ガス排出口より排出される一酸化炭素含有ガス(圧力:約0.8kPa−G、温度:約250℃)を、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、サイクロン(図示せず) に移送し、30μm以上のダストを除去した。
次いで、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、ブロワー(図示せず)に移送し、バグフィルター(図示せず)にて微細ダストを除去した。尚、前記微細ダスト除去後の一酸化炭素含有ガスの組成は以下のとおりであった。
一酸化炭素:62.4容量%、二酸化炭素:28.5容量%、水:7.0容量%、水素:2.0容量%、硫化カルボニル:1400容量ppm、硫化水素:1200ppm、二硫化炭素:13容量ppm
<加水分解工程>
前記一酸化炭素含有ガスを、断熱保温を施した炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、固定層にTiO−Al触媒を担持した加水分解装置へ296Nm/時間の速度で移送した。尚、配管内温は250℃であった。加水分解装置では、温度:220℃、圧力:20kPa−Gの条件で不純物である硫化カルボニル、二硫化炭素等を加水分解し硫化水素に転換した。得られた一次精製ガスの組成は一酸化炭素: 60.9容量% 、二酸化炭素:27.8容量%、水:9.0容量% 、水素:1.9容量%、窒素:0.3容量%、硫化カルボニル:10容量ppm、硫化水素:2600容量ppmであった。一次精製ガスの温度は加水分解工程に一酸化炭素含有ガスを供給開始当初から140℃で
あった。
<アルカリ吸収工程>
前記一次精製ガスを、断熱保温を施した炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、ボールリングを充填したアルカリ吸収塔へ296Nm/時間の速度で移送した。尚、配管内温は130℃以上であった。また温度計を前記炭素鋼製配管内に設置し、温度を監視しながら運転した。アルカリ吸収塔では圧力:113kPa、内温:60℃の条件で、一次精製ガス296Nm/時間とアルカリ水溶液(KHCO3= 8.4重量%、K2CO3=17.4重量%)9880kg/時間とを向流接触させて脱炭酸、脱硫を行い、二次精製ガスを得た。
この時、アルカリ吸収塔へ供給される一次精製ガスの温度が高いため、アルカリ水溶液の温度を調整し、内温が60℃に保たれるよう制御した。
このときアルカリ吸収塔から排出されたアルカリ水溶液中の硫化鉄は1重量ppm以下であり、一次精製ガス中の硫化鉄濃度は10ppm以下であった。
<金属酸化物接触工程>
前記二次精製ガスを135℃に昇温した後、底面の径が4.5mm、高さが10mmの円柱状酸化亜鉛成型品を充填した金属酸化物塔(内径0.5m、高さ1m)に210Nm/時間の流量で移送した。金属酸化物塔内は圧力15kPa、温度:140℃条件で、二次精製ガス210Nm/時間の流量で酸化亜鉛と接触させ、硫黄化合物を吸着除去し、金属酸化物接触工程出口ガスを得た。前記金属酸化物接触工程出口ガスの硫黄化合物は未検出(1容量ppm未満) であった。
<アルカリ放散工程>
前記アルカリ吸収塔から排出されたアルカリ水溶液(KHCO3=15.0重量%、K2CO3=12.5重量%)は加熱した後、ボールリングを充填した放散塔に供給した。放散塔では圧力:140kPa、内温:108℃の条件で溶存する炭酸ガスおよび硫化水素を放出した後、アルカリ水溶液は前記したアルカリ吸収塔へ送液し、一次精製ガス中の炭酸ガスや硫化水素を吸収する溶剤として再利用した。
<アルカリ接触工程>
前記金属酸化物接触工程出口ガスは40℃まで冷却し、コンプレッサー(図示せず)
にて0.55MPa−Gに昇圧後、微量含有している炭酸ガスを除去する目的で、ラシヒリングを充填したアルカリ接触塔に210Nm/時間の流量で移送された。アルカリ接触塔において、前記金属酸化物接触工程出口ガス(210Nm/時間)とアルカリ水溶液(NaOH=3重量%、Na2CO3=3重量%)とを向流接触させ、アルカリ接触工程出口ガスを得た。尚、アルカリ接触塔内では前記アルカリ水溶液は循環して使用おり、NaON濃度及びNa2CO3濃度に変動がないように、濃度検知を行いながら、適宜6重量%濃度の苛性ソーダ水溶液を前記アルカリ水溶液に添加した。
<脱水工程>
前記アルカリ接触工程出口ガスは、98重量%硫酸が充填されている脱水塔に210Nm/時間の流量で移送され、脱水処理され、精製一酸化炭素(201Nm3/時間)を
得た。
前記精製一酸化炭素の組成は、一酸化炭素:96.4容量%、水素:3.0容量%、窒素:0.5容量%、二酸化炭素:検出下限以下、水: 検出下限以下であった。
上記の運転を連続して約1年間継続したが、前記精製一酸化炭素の品質は安定であった。
(比較例1)
<一酸化炭素合成工程>
炭素鋼製(鉄99%以上含有)一酸化炭素生成炉に、平均径17.5mmの炭素コークスを450kg充填した。次いで、温度20℃の炭酸ガスと温度20℃の純酸素ガス(酸素濃度:99容量%以上)を、それぞれ60Nm3/時間、35Nm3/時間にて酸素含有ガス供給口より供給し、裸火を用いて前記石炭コークスに点火し運転を開始した。更に前記炭酸ガス及び前記純酸素ガスをそれぞれ同流量供給を続け、又、前記石炭コークスもコークス供給口より32kg/時間の流量で供給を続けた。一酸化炭素精製ガスは製造開始から約1日間は系外に排気した。
製造開始から約1日経過後、一酸化炭素生成炉内最高温度は約1400℃で安定化したことを確認した後に、一酸化炭素生成炉の生成ガス排出口より排出される一酸化炭素含有ガス(圧力:約0.8kPa−G、温度:約250℃)を、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、サイクロン(図示せず) に移送し、30μm以上のダストを除去した。
次いで、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、ブロワー(図示せず)に移送し、バグフィルター(図示せず)にて微細ダストを除去した。尚、前記微細ダスト除去後の一酸化炭素含有ガスの組成は以下のとおりであった。
一酸化炭素:62.4容量%、二酸化炭素:28.5容量%、水:7.0容量%、水素:2.0容量%、硫化カルボニル:1400容量ppm、硫化水素:1200ppm、二硫化炭素:13容量ppm
<加水分解工程>
前記一酸化炭素含有ガスを、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、固定層にTiO−Al触媒を担持した加水分解装置へ148Nm/時間の速度で移送した。尚、前記炭素鋼製配管には断熱保温は施されておらず、配管内温は200℃であった。加水分解装置では、温度:180℃、圧力:20kPa−Gの条件で不純物である硫化カルボニル、二硫化炭素等を加水分解し硫化水素に転換した。得られた一次精製ガスの組成は一酸化炭素: 60.9容量% 、二酸化炭素:27.8容量%、水:9.0容量%、水素:1.9容量%、窒素:0.3容量%、硫化カルボニル:30容量ppm、硫化水素:2600容量ppmであった。一次精製ガスの温度は加水分解工程に一酸化炭素含有ガスを供給開始当初から100℃であった。
<アルカリ吸収工程>
前記一酸化炭素含有ガスを、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、ポールリングを充填したアルカリ吸収塔へ148Nm/時間の速度で移送した。その際一次精製ガスの温度は100℃であった。アルカリ吸収塔では圧力:113kPa、内温:60℃の条件で、一次精製ガス148Nm/時間とアルカリ水溶液(KHCO3=15.0重量
%、K2CO3=12.5重量%)4990kg/時間とを向流接触させた。
この場合運転開始後すぐにアルカリ吸収塔に設置していた目開き250μmのフィルターに不溶物が堆積し、アルカリ吸収塔の連続運転ができなかった。この堆積物を分析したところ、成分は硫化鉄 70.5重量%、炭素 29.5重量%であり、アルカリ吸収工程から排出されるアルカリ溶液中の硫化鉄は7.05ppmであり、一次精製ガス中の硫化鉄の濃度は53.9ppmであった。
アルカリ吸収塔の連続運転ができなかったため、一酸化炭素を安定に製造することができなかった。
(実施例2)
<一酸化炭素合成工程>
炭素鋼製(鉄99%以上含有)一酸化炭素生成炉に、平均径17.5mmの炭素コークスを450kg充填した。次いで、温度20℃の炭酸ガスと温度20℃の純酸素ガス(酸素濃度:99容量%以上)を、それぞれ60Nm3/時間、35Nm3/時間にて酸素含有ガス供給口より供給し、裸火を用いて前記石炭コークスに点火し運転を開始した。更に前
記炭酸ガス及び前記純酸素ガスをそれぞれ同流量供給を続け、又、前記石炭コークスもコークス供給口より32kg/時間の流量で供給を続けた。一酸化炭素精製ガスは製造開始から約1日間は系外に排気した。
製造開始から約1日経過後、一酸化炭素生成炉内最高温度は約1400℃で安定化したことを確認した後に、一酸化炭素生成炉の生成ガス排出口より排出される一酸化炭素含有ガス(圧力:約0.8kPa−G、温度:約250℃)を、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、サイクロン(図示せず) に移送し、30μm以上のダストを除去した。
次いで、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、ブロワー(図示せず)に移送し、バグフィルター(図示せず)にて微細ダストを除去した。尚、前記微細ダスト除去後の一酸化炭素含有ガスの組成は以下のとおりであった。
一酸化炭素:62.4容量%、二酸化炭素:28.5容量%、水:7.0容量%、水素:2.0容量%、硫化カルボニル:1400容量ppm、硫化水素:1200ppm、二硫化炭素:13容量ppm
<加水分解工程>
前記一酸化炭素含有ガスを、断熱保温を施した炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、固定層にTiO−Al触媒を担持した加水分解装置へ148Nm/時間の速度で移送した。尚、配管内温は220℃であった。加水分解装置では、温度:200℃、圧力:20kPa−Gの条件で不純物である硫化カルボニル、二硫化炭素等を加水分解し硫化水素に転換した。得られた一次精製ガスの組成は得られた一次精製ガスの組成は一酸化炭素: 60.9容量% 、二酸化炭素:27.8容量%、水:9.0容量%、水素:1.9容量%、窒素:0.3容量%、硫化カルボニル:20容量ppm、硫化水素:2600容量ppmであった。一次精製ガスの温度は加水分解工程に一酸化炭素含有ガスを供給開始当初から130℃であった。
<アルカリ吸収工程>
前記一次精製ガスを、二重菅を施した炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、ボールリングを充填したアルカリ吸収塔へ148Nm/時間の速度で移送した。尚、前記二重管のジャケットには140℃のオイルを循環させた。それにより、配管内の一次精製ガスは135℃に維持され、アルカリ吸収塔へ移送された。アルカリ吸収塔では圧力:113kPa、内温:60℃の条件で、一次精製ガス148Nm/時間とアルカリ水溶液(KHCO3=15.0重量%、K2CO3=12.5重量%)4990kg/時間とを向流接触させて脱炭酸、脱硫を行い、二次精製ガスを得た。
この時、アルカリ吸収塔へ供給される一次精製ガスの温度が高いため、アルカリ水溶液の温度を調整し、内温が60℃に保たれるよう制御した。
このときアルカリ吸収塔から排出されたアルカリ水溶液中の硫化鉄は1重量ppm以下であり、一次精製ガス中の硫化鉄濃度は10ppm以下であった。
<金属酸化物接触工程>
前記二次精製ガスを135℃に昇温した後、底面の径が4.5mm、高さが10mmの円柱状酸化亜鉛成型品を充填した金属酸化物塔(内径0.5m、高さ1m)に105Nm/時間の流量で移送した。金属酸化物塔内は圧力15kPa、温度:140℃条件で、二次精製ガス105Nm/時間の流量で酸化亜鉛と接触させ、硫黄化合物を吸着除去し、金属酸化物接触工程出口ガスを得た。前記金属酸化物接触工程出口ガスの硫黄化合物は未検出(1容量ppm未満) であった。
<アルカリ放散工程>
前記アルカリ吸収塔から排出されたアルカリ水溶液(KHCO3=15.0重量%、K2CO3=12.5重量%)は加熱した後、ボールリングを充填した放散塔に供給した。放散塔では圧力:140kPa、内温:108℃の条件で溶存する炭酸ガスおよび硫化水
素を放出した後、アルカリ水溶液は前記したアルカリ吸収塔へ送液し、一次精製ガス中の炭酸ガスや硫化水素を吸収する溶剤として再利用した。
<アルカリ接触工程>
前記金属酸化物接触工程出口ガスは40℃まで冷却し、コンプレッサー(図示せず)
にて0.55MPa−Gに昇圧後、微量含有している炭酸ガスを除去する目的で、ラシヒリングを充填したアルカリ接触塔に105Nm/時間の流量で移送された。アルカリ接触塔において、前記金属酸化物接触工程出口ガス(105Nm/時間)とアルカリ水溶液(NaOH=3重量%、Na2CO3=3重量%)とを向流接触させ、アルカリ接触工程出口ガスを得た。尚、アルカリ接触塔内では前記アルカリ水溶液は循環して使用おり、NaON濃度及びNa2CO3濃度に変動がないように、濃度検知を行いながら、適宜6重量%濃度の苛性ソーダ水溶液を前記アルカリ水溶液に添加した。
<脱水工程>
前記アルカリ接触工程出口ガスは、98重量%硫酸が充填されている脱水塔に105Nm/時間の流量で移送され、脱水処理され、精製一酸化炭素(105Nm3/時間)を
得た。
前記精製一酸化炭素の組成は、一酸化炭素:96.6容量%、水素:3.2容量%、窒素:0.4容量%、二酸化炭素:検出下限以下、水: 検出下限以下であった。
上記の運転を連続して約1年間継続したが、前記精製一酸化炭素の品質は安定であった。
(実施例3)
<一酸化炭素合成工程>
炭素鋼製(鉄99%以上含有)一酸化炭素生成炉に、平均径17.5mmの炭素コークスを450kg充填した。次いで、温度20℃の炭酸ガスと温度20℃の純酸素ガス(酸素濃度:99容量%以上)を、それぞれ60Nm3/時間、35Nm3/時間にて酸素含有ガス供給口より供給し、裸火を用いて前記石炭コークスに点火し運転を開始した。更に前記炭酸ガス及び前記純酸素ガスをそれぞれ同流量供給を続け、又、前記石炭コークスもコークス供給口より32kg/時間の流量で供給を続けた。一酸化炭素精製ガスは製造開始から約1日間は系外に排気した。
製造開始から約1日経過後、一酸化炭素生成炉内最高温度は約1400℃で安定化したことを確認した後に、一酸化炭素生成炉の生成ガス排出口より排出される一酸化炭素含有ガス(圧力:約0.8kPa−G、温度:約250℃)を、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、サイクロン(図示せず) に移送し、30μm以上のダストを除去した。
次いで、炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管により、ブロワー(図示せず)に移送し、バグフィルター(図示せず)にて微細ダストを除去した。尚、前記微細ダスト除去後の一酸化炭素含有ガスの組成は以下のとおりであった。
一酸化炭素:62.4容量%、二酸化炭素:28.5容量%、水:7.0容量%、水素:2.0容量%、硫化カルボニル:1400容量ppm、硫化水素:1200ppm、二硫化炭素:13容量ppm
<加水分解工程>
前記一酸化炭素含有ガスを、断熱保温を施した炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、固定層にTiO−Al触媒を担持した加水分解装置へ148Nm/時間の速度で移送した。尚、配管内温は200℃であった。加水分解装置では、温度:180℃、圧力:20kPa−Gの条件で不純物である硫化カルボニル、二硫化炭素等を加水分解し硫化水素に転換した。得られた一次精製ガスの組成は一酸化炭素: 60.9容量%、二酸化炭素:27.8容量%、水:9.0容量% 、水素:1.9容量%、窒素:0.3容量%、硫化カルボニル:30容量ppm、硫化水素:2600容量ppmであった。
一次精製ガスの温度は加水分解工程に一酸化炭素含有ガスを供給開始当初から100℃であった。
そこで、一次精製ガスを加水分解装置出口にて系外に排気した。通気ガスにより加温されて、少しずつ加水分解装置の内温が上昇し、加水分解装置の内温が250℃となった時点で、一次精製ガスの温度は220℃であった。このとき、得られた一次精製ガスの組成は一酸化炭素: 60.9容量% 、二酸化炭素:27.8容量%、水:9.0容量% 、
水素:1.9容量%、窒素:0.3容量%、硫化カルボニル:10容量ppm、硫化水素:2600容量ppmであった。
<アルカリ吸収工程>
前記一次精製ガスを、二重菅を施した炭素鋼製(鉄99%以上含有)配管を介して、ボールリングを充填したアルカリ吸収塔へ148Nm/時間の速度で移送した。尚、前記二重管のジャケットには140℃のオイルを循環させた。それにより、配管内の一次精製ガスは135℃に維持され、アルカリ吸収塔へ移送された。アルカリ吸収塔では圧力:113kPa、内温:60℃の条件で、一次精製ガス148Nm/時間とアルカリ水溶液(KHCO3=15.0重量%、K2CO3=12.5重量%)4990kg/時間とを向流接触させて脱炭酸、脱硫を行い、二次精製ガスを得た。
この時、アルカリ吸収塔へ供給される一次精製ガスの温度が高いため、アルカリ水溶液の温度を調整し、内温が60℃に保たれるよう制御した。
このときアルカリ吸収塔から排出されたアルカリ水溶液中の硫化鉄は1重量ppm以下であり、一次精製ガス中の硫化鉄濃度は10ppm以下であった。
<金属酸化物接触工程>
前記二次精製ガスを135℃に昇温した後、底面の径が4.5mm、高さが10mmの円柱状酸化亜鉛成型品を充填した金属酸化物塔(内径0.5m、高さ1m)に105Nm/時間の流量で移送した。金属酸化物塔内は圧力15kPa、温度:140℃条件で、二次精製ガス105Nm/時間の流量で酸化亜鉛と接触させ、硫黄化合物を吸着除去し、金属酸化物接触工程出口ガスを得た。前記金属酸化物接触工程出口ガスの硫黄化合物は未検出(1容量ppm未満) であった。
<アルカリ放散工程>
前記アルカリ吸収塔から排出されたアルカリ水溶液(KHCO3=15.0重量%、K2CO3=12.5重量%)は加熱した後、ボールリングを充填した放散塔に供給した。放散塔では圧力:140kPa、内温:108℃の条件で溶存する炭酸ガスおよび硫化水素を放出した後、アルカリ水溶液は前記したアルカリ吸収塔へ送液し、一次精製ガス中の炭酸ガスや硫化水素を吸収する溶剤として再利用した。
<アルカリ接触工程>
前記金属酸化物接触工程出口ガスは40℃まで冷却し、コンプレッサー(図示せず)
にて0.55MPa−Gに昇圧後、微量含有している炭酸ガスを除去する目的で、ラシヒリングを充填したアルカリ接触塔に105Nm/時間の流量で移送された。アルカリ接触塔において、前記金属酸化物接触工程出口ガス(105Nm/時間)とアルカリ水溶液(NaOH=3重量%、Na2CO3=3重量%)とを向流接触させ、アルカリ接触工程出口ガスを得た。尚、アルカリ接触塔内では前記アルカリ水溶液は循環して使用おり、NaON濃度及びNa2CO3濃度に変動がないように、濃度検知を行いながら、適宜6重量%濃度の苛性ソーダ水溶液を前記アルカリ水溶液に添加した。
<脱水工程>
前記アルカリ接触工程出口ガスは、98重量%硫酸が充填されている脱水塔に105Nm/時間の流量で移送され、脱水処理され、精製一酸化炭素(105Nm3/時間)を
得た。
前記精製一酸化炭素の組成は、一酸化炭素:96.5容量%、水素:3.1容量% 、
窒素:0.4容量%、二酸化炭素:検出下限以下、水: 検出下限以下であった。
上記の運転を連続して約1年間継続したが、前記精製一酸化炭素の品質は安定であった。
1 炭酸ガス
2 酸素含有ガス
3 石炭コークス
4 一酸化炭素合成工程(CO発生炉)
5 加水分解工程(クラウス反応器)
6 アルカリ吸収工程(アルカリ吸収塔)
7 アルカリ放散工程(放散塔)
8 金属酸化物接触工程(金属酸化物接触塔)
9 アルカリ接触工程
10 脱水工程
11 精製一酸化炭素

Claims (6)

  1. コークスに酸素含有ガスを通気して一酸化炭素含有ガスを得る一酸化炭素合成工程と、該一酸化炭素含有ガスを加水分解触媒と接触させ一次精製ガスを得る加水分解工程と、
    該一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させ二次精製ガスを得るアルカリ吸収工程と、を含む一酸化炭素の製造方法において、
    該一次精製ガスが硫黄化合物を5容量ppm以上含有し、
    且つ該一次精製ガスを該加水分解工程から該アルカリ吸収工程へ移送する温度を、アルカリ吸収工程で硫化鉄が析出しない温度に、製造開始から維持することを特徴とする一酸化炭素の製造方法。
  2. コークスに酸素含有ガスを通気して一酸化炭素含有ガスを得る一酸化炭素合成工程と、該一酸化炭素含有ガスを加水分解触媒と接触させ一次精製ガスを得る加水分解工程と、
    該一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させ二次精製ガスを得るアルカリ吸収工程と、を含む一酸化炭素の製造方法において、
    該一次精製ガスを該加水分解工程から該アルカリ吸収工程へ移送する温度を、製造開始から105℃以上に、維持することを特徴とする一酸化炭素の製造方法。
  3. 該一次精製ガスが硫黄化合物を5容量ppm以上含有する請求項2に記載の一酸化炭素の製造方法。
  4. 該アルカリ吸収工程において、該一次精製ガスをアルカリ溶液と接触させる温度が100℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の一酸化炭素の製造方法。
  5. 該一次精製ガスを該加水分解工程から該アルカリ吸収工程へ移送する配管が、鉄を含有する金属材質で構成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の一酸化炭素の製造方法。
  6. 該二次精製ガスを、更に、周期表第3族元素から周期表第12族元素の酸化物と接触させる、金属酸化物接触工程を更に含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の一酸化炭素の製造方法。
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