JP5400523B2 - 液体バランサとそれを備えた洗濯機 - Google Patents

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Description

この発明は、液体バランサとそれを備えた洗濯機に関する。
従来、洗濯機では、洗濯兼脱水槽などの回転槽を高速で回転させて、回転槽に収容された衣類などの洗濯物を脱水している。洗濯物は、回転槽の内部において偏心して分布することが多い。回転槽に収容される洗濯物に偏心荷重がある場合には、偏心荷重がない場合と比較して、回転槽を回転させたときに回転槽の振動の振幅が大きくなる。特に、回転槽が、回転槽と回転槽の駆動部とを合わせた系の一次共振振動数で回転させられるときには、回転槽の振動の振幅が極めて大きくなり、騒音が発生する。また、一次共振振動数よりも振動数が高い二次共振振動数で回転させられるときには、一次共振振動数で回転槽が回転させられるときよりも、さらに振動の振幅が大きくなり、騒音も大きくなる。
脱水時に生じるこのような騒音を低減するためには、洗濯物の偏心によって生じる、洗濯物が収容された回転槽全体の偏心を解消することが考えられる。洗濯物の偏心の状態は、脱水開始時、すなわち、洗濯終了時の洗濯物の状態によって異なる。そのため、脱水開始時における洗濯物の偏心の状態に応じて、回転される全体の偏心を解消するために、従来、回転槽の上部に、液体バランサが取り付けられている。
液体バランサは、例えば、環状の管によって構成され、管の内部には、管の容積の半分程度の量の水や塩水などの水溶液が収容される。このように構成された液体バランサを偏心荷重を有する容器に取り付けて容器とともに高速で回転させ、回転数を次第に上昇させると、管の内部の液体は次のような挙動を示す。すなわち、回転数が一次共振振動数に近付いて一次共振振動数よりも少し高い振動数で回転させられるとき、管の内部の液体が、回転中心をはさんで偏心荷重と反対側に移動して、容器の偏心荷重と管の内部の液体の平均的な位置が最も離れる。このように、回転数が一次共振振動数に近付いて一次共振振動数よりも少し高い振動数で回転させられるときに、管の内部の液体が偏心荷重を解消する方向に移動するので、回転数が一次共振振動数に達したときには、液体バランサを備えない場合と比較して振動の振幅が小さくなる。
このような液体バランサでは、回転数が一次共振振動数を超えると、二次共振振動数に近づくまで、管の内部の液体は偏心荷重を解消する位置からあまり移動しない。しかし、回転数がさらに上昇されて二次共振振動数に近づくと、管の内部の液体が再び移動して、すなわち、偏心荷重を解消する位置にあった管の内部の液体が容器の偏心荷重に近づいて、偏心を大きくしてしまう。管の内部の液体が容器の偏心荷重の位置に近づくと、容器と液体バランサとを合わせた系全体では、液体バランサを備えない場合よりも、かえって偏心荷重が大きくなる。偏心荷重が大きくなると、回転される系全体の振動の振幅が大きくなり、騒音も大きくなる。
そこで、例えば、特開2007−325811公報(特許文献1)には、洗濯兼脱水槽に設けられた流体バランサの貯液室内の液体が移動するための連通路に開閉手段を設けた洗濯機が記載されている。連通路の開閉手段は、洗濯兼脱水槽の回転数が所定の回転数よりも大きくなると、遠心力によって連通路を閉じ、洗濯兼脱水槽の回転数が所定の回転数よりも小さいときには、連通路を開く。
この洗濯機の洗濯兼脱水槽は、外槽内に回転軸が水平または傾斜した状態で回転自在に配置されている。洗濯兼脱水槽は、回転軸が水平または傾斜した状態で回転される。洗濯兼脱水槽内に収容されている衣類に偏心荷重があるとき、偏心荷重を下から上方向へ持ち上げるためには、偏心荷重を上から下方向へ移動させるときよりも、比較的大きな力が必要である。そのため、洗濯兼脱水槽を回転させる駆動手段のトルクが一定に制御されていると、洗濯兼脱水槽の回転が速くなったり遅くなったりする。すなわち、偏心荷重が下から上方向に移動されるときには洗濯兼脱水槽の回転が遅く、偏心荷重が上から下方向に移動されるときには洗濯兼脱水槽の回転が速くなる。したがって、偏心荷重が下から上方向に移動するときには洗濯兼脱水槽の回転が遅くなって、開閉手段によって連通路が開かれ、流体は自重で下側へ移動する。衣類は、洗濯兼脱水槽にはりついており、衣類どうしの抵抗で落下動作が遅れるので、偏心荷重の移動はない。一方、偏心荷重が上から下方向に移動するときには、洗濯兼脱水槽の回転が速くなるので、遠心力を付与された開閉手段によって連通路が閉じられ、流体が移動しない。このようにすることにより、偏心荷重の反対側に液体が分布するようになり、徐々に偏心荷重が補正されて洗濯兼脱水槽の回転は安定する。その後、回転数を上昇させて、遠心脱水を行うことになる。一次共振振動数と二次共振振動数との間の回転数の定常回転では、開閉手段を閉めることにより、流体の移動がなくなり、安定した脱水振動を得ることができる。
特開2007−325811公報
しかしながら、特開2007−325811公報(特許文献1)に記載の洗濯機では、流体バランサ内の流体の移動がスロッシング現象に依存するものであることを前提にしていないために、遠心力によって連通路を開閉する開閉手段を採っているが、この方法で流体バランサ内の流体の移動を制御することは技術的に難しい。例えば、一次共振振動数と二次共振振動数との間の回転数で洗濯兼脱水槽が回転しているときに、連通路内の液体を移動させない場合に、開閉手段を完全に閉じるために必要な遠心力を加えることが難しい。また、開閉手段が完全に閉じられていない状態では、連通路内の液体の移動をある程度、制限することはできるが、スロッシングを防止することはできない。
洗濯兼脱水槽の回転数が一次共振振動数や二次共振振動数に近づいたときに液体バランサ内の液体が移動するのは、液体バランサの容器内の液体が、遠心力で容器の内壁面に押し付けられた状態で移動するスロッシング現象によるものである。
そのため、スロッシングを防止することができなければ、偏心荷重を有する容器の回転数が一次共振振動数に近づいたときに液体バランサの内部の液体が受動的に偏心を解消する位置に移動しても、偏心荷重を有する容器の回転数をさらに上昇させて二次共振振動数に近づいたときには、液体バランサの内部の液体が、かえって偏心を増大させる位置に移動することを防ぐことができない。
このような液体バランサが洗濯機に備えられると、容器の回転数が二次共振振動数に近づくと容器の振動の振幅が極めて大きくなり、洗濯機の安全装置が働いて、容器を回転させ続けることができなくなってしまうことがある。
また、特開2007−325811公報(特許文献1)に記載の洗濯機では、連通路の開閉手段を遠心力に応じて開閉させる以外の方法で制御するためには、洗濯機全体の構成が複雑になる。
そこで、この発明の目的は、簡単な構成で、液体のスロッシングを防止することが可能な液体バランサと、それを備えた洗濯機を提供することである。
この発明の一つの局面に従った液体バランサは、環状の容器と、複数の緩衝部材とを備える。環状の容器は、回転軸線の周りに形成された内壁面を有し、この内壁面は外周側内壁面とこの外周側内壁面に対向する内周側内壁面とを含む。環状の容器は、液体を収容して回転軸線を中心に回転することができるように配置される。複数の緩衝部材は、容器の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置され、容器の外周側内壁面の上に固着される。
緩衝部材は、弾性体によって形成される収容部材と、収容部材に収容される流体とを含む。緩衝部材は、容器が回転軸線を中心に回転させられるときに遠心力が付与された容器内の液体によって変形させられるように構成される。収容部材に収容される流体の比重は、容器に収容される液体の比重よりも小さい。
液体を収容した環状の容器が回転軸線を中心に回転すると、容器内の液体には遠心力が付与される。遠心力を付与された液体は、回転している容器の外周側内壁面に押し付けられながら移動しようとする。このとき、遠心力が付与された液体は、容器の外周側内壁面の上に固着された緩衝部材に力を加える。緩衝部材は、弾性体によって形成される収容部材と、収容部材に収容される流体とによって構成されており、遠心力を付与された液体に力を加えられて変形する。
容器の外周側内壁面の上に固着された緩衝部材が変形することによって、容器内の液体は、容器の外周側内壁面の上に緩衝部材が固着されていない場合と比較して、回転している容器の外周側内壁面に遠心力によって十分に押し付けられなくなる。回転している容器の外周側内壁面に、遠心力によって十分に押し付けられない液体は、回転している容器の外周側内壁面に押し付けられながら移動するスロッシングを起こすことができなくなる。
このようにすることにより、簡単な構成で、液体のスロッシングを防止することが可能な液体バランサを提供することができる。
スロッシングを防止することによって、例えば、偏心荷重と最も離れる位置にあって偏心荷重を解消している液体を、液体バランサを回転させたときに移動させにくくすることができる。容器の回転数が回転される系の二次共振振動数に近付く前に、偏心荷重を解消する位置にあれば、容器の回転数が二次共振振動数に近付いても、偏心荷重が増大されないようにすることができる。回転される系の偏心荷重が増大されないようにすることによって、この系の回転数が二次共振振動数に達したときに振動の振幅が増大することを抑え、騒音を低減させることができる。容器の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数の緩衝部材が配置されることによって、スロッシングを効果的に防ぐことができる。
この発明のもう一つの局面に従った液体バランサは、環状の容器と、緩衝部材とを備える。環状の容器は、回転軸線の周りに形成された内壁面を有し、この内壁面は外周側内壁面とこの外周側内壁面に対向する内周側内壁面とを含む。環状の容器は、液体を収容して回転軸線を中心に回転することができるように配置される。緩衝部材は、容器の外周側内壁面の上に固着される。緩衝部材は、弾性体によって袋状に形成された複数の収容部材に流体が収容されることによって構成される。緩衝部材は、容器が回転軸線を中心に回転させられるときに遠心力が付与された容器内の液体によって変形させられるように構成される。収容部材に収容される流体の比重は、容器に収容される液体の比重よりも小さい。
このようにすることにより、簡単な構成で、液体のスロッシングを防止することが可能な液体バランサを提供することができる。
この発明に従った液体バランサにおいては、液体は水であり、流体は空気であり、弾性体はポリエチレン膜であることが好ましい。
ポリエチレン膜によって形成される収容部材に空気が収容されて緩衝部材が構成される。空気は水よりも比重が小さい。また、ポリエチレン膜は、変形しやすい。そのため、この緩衝部材は、遠心力を付与された水によって変形されやすい。このように、遠心力を付与された水によって変形されやすい緩衝部材を容器の外周側内壁面上に固着することによって、容器内の液体は、回転している容器の外周側内壁面に遠心力によって十分に押し付けられなくなる。このようにすることにより、スロッシングを効果的に防ぐことができる。
この発明に従った洗濯機は、洗濯槽と、駆動部と、上記のいずれかの液体バランサとを備える。洗濯槽は、洗濯物を収容して回転軸線を中心に回転することができるように配置されるものである。駆動部は、回転軸線を中心に洗濯槽を回転させるためのものである。液体バランサは、回転軸線を中心にして洗濯槽とともに回転することができるように構成されている。
このようにすることにより、液体バランサ内の液体のスロッシングを防止して、脱水時に洗濯槽の回転数が二次共振振動数に近づくときの騒音を低減することが可能な洗濯機を提供することができる。
以上のように、この発明によれば、簡単な構成で、液体のスロッシングを防止することが可能な液体バランサと、それを備えた洗濯機を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る洗濯機の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態に係る洗濯機が備える液体バランサの外観を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る洗濯機が備える液体バランサを、図2に示すIII−III線の方向から見たときの断面図である。 本発明の実施の形態に係る洗濯機が備える液体バランサを、図2に示すIV−IV線の方向から見たときの断面図である。 本発明の実施の形態に係る洗濯機が備える液体バランサの緩衝部材を示す図である。 本発明の実施の形態に係る洗濯機の洗濯槽が回転させられたときの液体バランサの内部を示す図4と同様の断面図である。 本発明の実施の形態に係る液体バランサによるスロッシング防止の効果を確認するための装置の全体を示す図である。 本発明の実施の形態に係る液体バランサによるスロッシング防止の効果を確認するための装置の制御関連の構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る液体バランサと比較例の液体バランサにおける回転数と振動の大きさとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る液体バランサと比較例の液体バランサにおける回転数と液体の位相との関係を示す図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1においては、左側が洗濯機1の正面、右側が洗濯機1の背面である。図1に示すように、洗濯機1は全自動型の縦型洗濯機であり、主に、外箱10と、外箱10の内部に収容される洗濯槽20と、液体バランサ30と、水槽40と、駆動ユニット50と、給水部60と、排水部70と、制御部80とを備える。
外箱10の上面板11には、洗濯槽20に洗濯物を投入するための洗濯物投入口12が形成されている。洗濯物投入口12は、洗濯が行われている間は、蓋13によって上方から覆われる。
洗濯槽20と水槽40は、円筒形のカップの形状を有し、上面が開口されている。洗濯槽20と水槽40は、洗濯槽20の外周面を水槽40が覆い、軸線がほぼ鉛直方向に延びるように、同心状に配置されている。水槽40は、サスペンション部材14によって外箱10内に吊り下げられている。サスペンション部材14は、外箱10の内面の4箇所の角部のそれぞれを水槽40の外周面の下部と連結するように、4箇所に配置されている。サスペンション部材14によって吊り下げられた水槽40は、水平面内で揺動することが可能であるように外箱10内に支持される。
洗濯槽20は、下部から上部の開口に向かうにつれて内壁面の径が大きくなるように形成されている。言い換えれば、洗濯槽20は、上方に向かうにつれて緩やかに広がるテーパ形状の傾斜した内周壁面を有する。洗濯槽20の周壁の最上部には、複数の脱水孔21が形成されている。複数の脱水孔21は、環状に並ぶように形成されている。洗濯槽20の周壁には、脱水孔21を除いて、液体を通すための開口部は形成されていない。すなわち、洗濯槽20は、いわゆる「穴なし」タイプである。
洗濯槽20の上部に形成された開口部の上方には給水部60が配置されている。給水部60は、洗濯機1の外部から水道水などの上水を供給する接続管61と、電磁的に開閉する給水弁62と、給水口63とを含む。給水口63は、洗濯槽20の開口に対向するように配置されている。
洗濯槽20の上部に形成された開口の縁には、環状の液体バランサ30が装着されている。液体バランサ30の詳細については後述する。
洗濯槽20の内部底面には、洗濯槽20内で洗濯水、または、すすぎ水の流動を生じさせるためのパルセータ22が配置されている。
水槽40の外周下面には駆動ユニット50が装着される。駆動ユニット50は、駆動部としてモータ51と、クラッチ機構52と、ブレーキ機構53を含む。クラッチ機構52とブレーキ機構53の中心部から脱水軸54とパルセータ軸55とがほぼ鉛直方向に、上向きに突出している。脱水軸54とパルセータ軸55とは、脱水軸54を外側、パルセータ軸55を内側とする二重軸構造を有する。脱水軸54は、水槽40の下面から水槽40の内部に入り込み、洗濯槽20に連結されて洗濯槽20を支持する。脱水軸54は、洗濯槽20の回転軸であり、脱水軸54に沿って洗濯槽20の回転軸線Rが延びている。パルセータ軸55は、さらに洗濯槽20の内部に入り込み、パルセータ22に連結されてパルセータ22を支持する。脱水軸54と水槽40との間と、脱水軸54とパルセータ軸55との間には、それぞれ、水もれを防ぐためのシール部材が配置されている。
水槽40の底部には、水槽40と洗濯槽20の内部の水を外箱10の外に排出するための排水ホース71が取り付けられている。排水ホース71には、相対的に水槽40の中心部側において水槽40に接続される中心側排水管72と、相対的に水槽40の周壁面側において水槽40に接続される外側排水管74とが接続されている。中心側排水管72には、排水弁73が取り付けられている。
外箱10の上面において洗濯機1の正面側には、操作/表示部15が配置されている。外箱10内の上部において洗濯機1の正面側には、制御部80が配置されている。使用者が操作/表示部15を操作すると、制御部80に動作指令が送信される。制御部80は、操作/表示部15から受信した動作指令に基づいて、駆動ユニット50と、給水弁62と、排水弁73に制御信号を送信する。また、制御部80は、操作/表示部15に表示指令を送信する。
次に、洗濯槽20の開口部の縁に装着される液体バランサ30について説明する。
図2と図3に示すように、液体バランサ30は、環状の容器31によって構成される。容器31の外径Dは、洗濯槽20(図1)の最上部の内径と同じ大きさである。液体バランサ30は、洗濯槽20の回転軸線Rが容器31の中心Cを通るように洗濯機1(図1)に配置される。
容器31は、例えば合成樹脂によって形成される。容器31は、外側壁部311と内側壁部312とを有する。外側壁部311と内側壁部312との間には空間が形成されている。
外側壁部311と内側壁部312との間において、外側壁部311の内壁面311a上には、容器31の周方向に沿って幅W3の緩衝部材32が4つ、固着されている。4つの緩衝部材32は、隣り合う一方の緩衝部材32との間隔が、外側壁部311の内壁面311aに沿って、容器31の中心Cを中心にして60°になるように配置され、隣り合う他方の緩衝部材32との間隔が、外側壁部311の内壁面311aに沿って、容器31の中心Cを中心にして120°になるように、互いに間隔をあけて配置されている。
また、4つの緩衝部材32は、外側壁部311の内壁面311aに沿って、容器31の中心Cを中心にして90°ずつ離して配置されてもよい。
図4に示すように、容器31の内部の空間は、外側壁部311と内側壁部312と底部313と蓋部314とによって密閉されている。容器31の外側壁部311と内側壁部312と底部313と蓋部314は、例えば、同一の合成樹脂によって形成される。外側壁部311と内側壁部312は、ほぼ同じ厚みW1に形成されている。外側壁部311と内側壁部312との間には、幅W2の空間が形成されている。外側壁部311の内壁面311aは外周側内壁面の一例であり、内側壁部312の内壁面312aは内周側内壁面の一例である。
外側壁部311と内側壁部312との間の空間には、液体として水33が収容されている。水33は、例えば、容器31の容積の3分の1から半分程度の量、収容される。外側壁部311の内壁面311a上に固着されている緩衝部材32の高さHは、容器31の内部の空間の高さとほぼ同じである。
図5に示すように、幅W3、高さHの緩衝部材32は、全体が弾性体としてポリエチレン膜によって形成され、緩衝部材32の表面全体に、円筒形の袋状の収容部材321が形成されている。収容部材321の内部には流体として空気が収容されて、密封されている。収容部材321は、緩衝部材32の表面から突出している。収容部材321は、直径Eの大きさと比較して、表面から突出する厚みが小さい、薄い円筒形状に形成されている。図4に示すように緩衝部材32を容器31の外側壁部311の内壁面311a上に固着させると、収容部材321が外側壁部311と内側壁部312との間の空間内に、外側壁部311の内壁面311aから突出する。
以上のように構成された洗濯機1(図1)の動作を説明する。
使用者は、洗濯機1の蓋13を開け、洗濯物投入口12から洗濯槽20の中へ洗濯物を投入する。使用者は、給水部60の洗剤室(図示しない)に洗剤を入れる。また、必要であれば、給水部60の仕上剤室(図示しない)に仕上剤を入れる。仕上剤は洗濯行程の途中で入れられてもよい。
次に、使用者は蓋13を閉じ、操作/表示部15の操作ボタン群を操作して洗濯の条件を選び、スタートボタンを押す。スタートボタンが押されると、使用者によって選ばれた洗濯の条件で洗濯行程が行われる。洗濯行程は、例えば、洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程とを含む。
洗い行程においては、まず、水槽40の下部から延びている中心側排水管72の排水弁73が閉じられる。次に、給水部60の給水弁62が開かれて、洗濯槽20の内部に上方から所定量の水が供給される。所定量の水が供給されると、給水弁62が閉じられて、パルセータ22が正方向と逆方向に回転されて、洗濯物と水とを撹拌し、洗濯物を水になじませる。このようななじませ運転を行なうことにより、洗濯物に水を十分に吸収させる。また、洗濯物にとらわれていた空気を逃がす。なじませ運転を行なったときに洗濯槽20内の水位が低下した場合には、給水弁62が開かれて洗濯槽20内に水が補給される。
洗い行程では、使用者の設定に従って、モータ51がパルセータ22を所定のパターンで回転させる。このようにして、洗濯槽20の中に洗濯のための主水流が形成される。この主水流によって洗濯物の洗濯が行われる。脱水軸54にはブレーキ機構53によりブレーキがかけられているので、洗濯水と洗濯物が動いても洗濯槽20は回転しない。
所定の期間、主水流によって洗濯物が洗濯された後、パルセータ22が小刻みに反転して洗濯物をほぐし、洗濯槽20の中において洗濯物がバランスよく配分されるようにする。これは、洗濯槽20の脱水回転に備えるためである。このようにして洗濯物をほぐしても、洗濯槽20内の洗濯物に偏りが残り、洗濯物を収容する洗濯槽20と、水槽40と、モータ51と、液体バランサ30とから構成される系が偏心荷重を有することがある。
洗い行程が終了すると、脱水行程が行われる。脱水行程については後述する。脱水行程の後、すすぎ行程が行われる。
すすぎ行程について説明する。すすぎ行程においては、給水弁62が開かれて、洗濯槽20内に規定水量の水が供給される。次に、洗い行程と同様に、なじませ運転が行なわれる。すすぎ行程のなじませ運転では、洗濯槽20に貼りついた洗濯物を洗濯槽20の内周壁面から剥離させ、水になじませ、洗濯物に十分に水を吸収させる。なじませ運転を行なったときに洗濯槽20内の水位が低下した場合には、給水弁62が開かれて洗濯槽20内に水が補給される。
すすぎ行程では、使用者の設定に従って、モータ51がパルセータ22を所定のパターンで回転させる。このようにして、洗濯槽20の中にすすぎのための主水流が形成される。この主水流によって洗濯物のすすぎが行われる。脱水軸54にはブレーキ機構53によりブレーキがかけられているので、すすぎ水および洗濯物が動いても洗濯槽20は回転しない。
所定の期間、主水流によって洗濯物がすすがれた後、パルセータ22が小刻みに反転して洗濯物をほぐし、洗濯槽20の中において洗濯物がバランスよく配分されるようにする。これは、洗濯槽20の脱水回転に備えるためである。このようにして洗濯物をほぐしても、洗濯槽20内の洗濯物に偏りが残り、洗濯物を収容する洗濯槽20と、水槽40と、モータ51と、液体バランサ30とから構成される系が偏心荷重を有することがある。
上述の説明では、洗濯槽20の中にすすぎ水をためておいてすすぎを行う「ためすすぎ」を実行するものとしたが、常に新しい水を補給する「注水すすぎ」、あるいは洗濯槽20を低速回転させながら給水口63より洗濯物に水を注ぎかける「シャワーすすぎ」を行ってもよい。
次に、脱水行程について説明する。脱水行程は、例えば、洗い行程とすすぎ行程の間と、すすぎ行程との後に行なわれる。
脱水行程においては、まず、排水弁73が開かれる。洗濯槽20の中の洗濯水、または、すすぎ水は、中心側排水管72を通って、排水ホース71から洗濯機1の外部に排出される。排水弁73は、脱水行程中、開かれたままである。
洗濯物から大部分の洗濯水、または、すすぎ水が除かれたところで、クラッチ機構52とブレーキ機構53とが切り替えられる。クラッチ機構52とブレーキ機構53の切り替えのタイミングは、洗濯物から大部分の水が除かれてからであってもよいし、排水開始前であってもよく、また、排水と同時でもよい。
次に、低速脱水が行われる。低速脱水は、モータ51が脱水軸54を回転させることによって行われる。モータ51が脱水軸54を回転させると、洗濯槽20が脱水回転させられる。洗濯槽20とともに、パルセータ22も回転させられる。
続いて、高速脱水が行われる。高速脱水は、モータ51による脱水軸54の回転速度を高めることによって行われる。洗濯槽20が高速で回転させられると、洗濯物は遠心力で洗濯槽20の内周壁に押しつけられる。洗濯物に含まれていた洗濯水も、遠心力によって洗濯槽20の周壁内面に集まる。洗濯槽20はテーパ状に上方に広がっているので、遠心力を受けた洗濯水は洗濯槽20の内周壁面に沿って上昇する。洗濯水は、洗濯槽20の上端にたどりついたところで脱水孔21から放出される。脱水孔21を離れた洗濯水は水槽40の内面にたたきつけられ、水槽40の内面を伝って水槽40の底部に流れ落ちる。そして、外側排水管74と、それに続く排水ホース71を通って外箱10の外に排出される。
高速脱水が行われると、洗濯槽20の開口部の縁に装着されている液体バランサ30も洗濯槽20とともに、回転軸線Rを中心に高速で回転される。
図6に示すように、液体バランサ30が中心C(図3)を中心に高速で回転されると、液体バランサ30の容器31の外側壁部311と内側壁部312との間の空間内の水33に、図6に矢印Fで示す方向に遠心力が付与される。遠心力を付与された水33は、外側壁部311の内壁面311a上に押し付けられる。十分に大きな遠心力が水33に付与されると、液体バランサ30内の空間内においては、水33の水面が外側壁部311の内壁面311aと内側壁部312の内壁面312aとにほぼ平行になる。緩衝部材32の表面の大部分、または、表面全体が水33に接触する。
高速脱水が行われて、洗濯槽20に回転数が上昇されると、洗濯槽20の回転数が、洗濯槽20と水槽40と駆動ユニット50と液体バランサ30とからなる系の二次共振振動数に近づく。洗濯槽20の回転数が二次共振振動数に近付くと、外側壁部311の内壁面311a上において緩衝部材32が配置されていない位置では、水33は、遠心力によって外側壁部311の内壁面311aに強く押し付けられながら移動することができる。
一方、外側壁部311の内壁面311a上において、緩衝部材32が配置されている位置では、遠心力を付与された水33は、緩衝部材32に押し付けられる。しかしながら、緩衝部材32の表面には収容部材321が多数、形成されており、それぞれの収容部材321は、水33よりも比重が小さい空気が収容されたポリエチレン膜によって形成された袋によって構成されている。そのため、遠心力を付与された水33が緩衝部材32に押し付けられると、緩衝部材32は水33によって簡単に変形される。
このように、緩衝部材32が配置されている位置では、水33は、外側壁部311の内壁面311aに十分に強く押し付けられることができない。水33が外側壁部311の内壁面311aに十分に強く押し付けられなければ、水33は容器31の内部においてスロッシングすることができず、水33は移動しない。このように、容器31の外側壁部311の内壁面311aに沿って、外側壁部311の内壁面311a上に間隔をあけて複数の緩衝部材32が配置されていることによって、複数の緩衝部材32の位置でスロッシングを防止することができる。このようにすることにより、容器31内の全体において効果的にスロッシングを防止し、水33の移動を抑制することができる。
上述のように、洗い行程の終了時やすすぎ行程の終了時にはパルセータ22を小刻みに反転させて洗濯物をほぐしているが、洗濯槽20内の洗濯物に偏りが残り、脱水行程の開始時に、洗濯物を収容する洗濯槽20と、水槽40と、モータ51と、液体バランサ30とから構成される系が偏心荷重を有することがある。
従来の液体バランサを備える洗濯機では、この系が偏心荷重を有する場合には、高速脱水が行われて洗濯槽の回転数がこの系の二次共振振動数に近付く前に、液体バランサ内の水が洗濯槽内の洗濯物の偏心荷重を解消する位置にあったとしても、洗濯槽の回転数がこの系の二次共振振動数に近付くと、液体バランサ内の水が移動するスロッシングが起きる。液体バランサ内の水が、洗濯槽内の洗濯物の偏心荷重を解消する位置から別の位置に移動すると、液体バランサ内の水によって偏心荷重が解消されなくなり、かえってこの系の偏心を増大させてしまう。そのため、従来の液体バランサを備える洗濯機では、洗濯槽が二次共振振動数付近の回転数で回転されるときには、液体バランサを備えることによって二次共振振動数付近における洗濯槽の振動を抑えることができない。
一方、洗濯機1が備える液体バランサ30では、上述のようにして容器31内の水33のスロッシングを防止することができる。容器31内の水33は、高速脱水が行われて洗濯槽20の回転数が二次共振振動数に近付いても移動しにくい。したがって、洗濯槽20の回転数がこの系の二次共振振動数に近付く前に液体バランサ30内の水33が洗濯槽20内の洗濯物の偏心荷重を解消する位置にあれば、水33はそのまま、偏心荷重を解消する位置に留まる。このようにして、洗濯槽20が、上記の系の二次共振振動数付近の回転数で回転させられても、液体バランサ30がこの系の振動を増大させることを防ぐことができる。
脱水行程を開始してから所定時間が経過すれば、制御部80はモータ51への通電を断ち、停止処理を行う。
以上のように、洗濯機1に装着される液体バランサ30は、環状の容器31と、緩衝部材32とを備える。環状の容器31は、回転軸線Rの周りに形成された内壁面を有し、この内壁面は外側壁部311の内壁面311aとこの外側壁部311の内壁面311aに対向する内側壁部312の内壁面312aとを含む。環状の容器31は、液体を収容して回転軸線Rを中心に回転することができるように配置される。緩衝部材32は、容器31の外側壁部311の内壁面311aの上に固着される。
緩衝部材32は、弾性体によって形成される収容部材321と、収容部材321に収容される流体とを含む。緩衝部材32は、容器31が回転軸線Rを中心に回転させられるときに遠心力が付与された容器31内の液体によって変形させられるように構成される。収容部材321に収容される流体の比重は、容器31に収容される液体の比重よりも小さい。
液体を収容した環状の容器31が回転軸線Rを中心に回転すると、容器31内の液体には遠心力が付与される。遠心力を付与された液体は、回転している容器31の外側壁部311の内壁面311aに押し付けられながら移動しようとする。このとき、遠心力が付与された液体は、容器31の外側壁部311の内壁面311aの上に固着された緩衝部材32に力を加える。緩衝部材32は、弾性体によって形成される収容部材321と、収容部材321に収容される流体とによって構成されており、遠心力を付与された液体に力を加えられて変形する。
容器31の外側壁部311の内壁面311aの上に固着された緩衝部材32が変形することによって、容器31内の液体は、容器31の外側壁部311の内壁面311aの上に緩衝部材32が固着されていない場合と比較して、回転している容器31の外側壁部311の内壁面311aに遠心力によって十分に押し付けられなくなる。回転している容器31の外側壁部311の内壁面311aに、遠心力によって十分に押し付けられない液体は、回転している容器31の外側壁部311の内壁面311aに押し付けられながら移動するスロッシングを起こすことができなくなる。
このようにすることにより、簡単な構成で、液体のスロッシングを防止することが可能な液体バランサ30を提供することができる。
スロッシングを防止することによって、偏心荷重と最も離れる位置にあって偏心荷重を解消している水33を、液体バランサ30を回転させたときに移動させにくくすることができる。容器31の回転数が回転される系の二次共振振動数に近付く前に、偏心荷重を解消する位置にあれば、容器31の回転数が二次共振振動数に近付いても、偏心荷重が増大されないようにすることができる。回転される系の偏心荷重が増大されないようにすることによって、この系の回転数が二次共振振動数に達したときに振動の振幅が増大することを抑え、騒音を低減させることができる。
また、液体バランサ30は、複数の緩衝部材32を備える。複数の緩衝部材32は、容器31の周方向に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。
容器31の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数の緩衝部材32が配置されることによって、スロッシングを効果的に防ぐことができる。
また、液体バランサ30においては、液体は水であり、流体は空気であり、弾性体はポリエチレン膜である。
ポリエチレン膜によって形成される収容部材321に空気が収容されて緩衝部材32が構成される。空気は水よりも比重が小さい。また、ポリエチレン膜は、変形しやすい。そのため、この緩衝部材32は、遠心力を付与された水によって変形されやすい。このように、遠心力を付与された水によって変形されやすい緩衝部材32を容器31の外側壁部311の内壁面311a上に固着することによって、容器31内の液体は、回転している容器31の外側壁部311の内壁面311aに遠心力によって十分に押し付けられなくなる。このようにすることにより、スロッシングを効果的に防ぐことができる。
また、洗濯機1は、洗濯槽20と、モータ51と、液体バランサ30とを備える。洗濯槽20は、洗濯物を収容して回転軸線Rを中心に回転することができるように配置されるものである。モータ51は、回転軸線Rを中心に洗濯槽20を回転させるためのものである。液体バランサ30は、回転軸線Rを中心にして洗濯槽20とともに回転することができるように構成されている。
このようにすることにより、液体バランサ30内の液体のスロッシングを防止して、脱水時に洗濯槽20の回転数が二次共振振動数に近づくときの騒音を低減することが可能な洗濯機1を提供することができる。
なお、この実施の形態においては、洗濯機1としては「穴なし」槽を備える、いわゆる縦型洗濯機を用いて説明したが、洗濯機1は、横型洗濯機や斜め型など、他の洗濯機であってもよい。また、液体バランサ30内の液体は水33の他、食塩水や他の液体であってもよく、緩衝部材32の収容部材321内の流体は空気の他、ヘリウムや他の気体であってもよい。
この発明に従った液体バランサの効果の一つとして、液体バランサを構成する環状の容器に収容された液体のスロッシングを防止する効果がある。この効果を以下のようにして確認した。
図7に示すように、本発明の液体バランサによるスロッシング防止の効果を確認するための装置2は、液体バランサ300と、液体バランサ300を下方向から支持する円板210と、円板210の中心Cにおいて円板210を支持する回転軸220と、回転軸220を中心に液体バランサ300と円板210とを回転させるモータ230と、モータ支持台240と、荷重計測装置250と、台座260と、バネ270とによって構成された。液体バランサ300は円板210上に固着された。円板210には、中心Cから離れた位置に1組のボルトとナットとを取り付けて偏心荷重280とした。ボルトとナットは、合計で140.9gであった。
この装置2の液体バランサ300として、本発明の液体バランサを用いた場合と、比較例の液体バランサを用いた場合とについて、液体バランサ300を回転させたときの振動の振幅の大きさと、液体バランサ300の容器の内部の水と偏心荷重との位相差とを測定した。水と偏心荷重との位相差は、偏心荷重の位置を0°として、液体バランサ300の中心Cを中心として、偏心荷重と容器内の水の平均的な位置Pとの間の角度θで表した。
本発明の液体バランサとしては、図2〜図5に示す液体バランサ30を用いた。液体バランサ30の径Dは500mm、外側壁部311と内側壁部312の厚みW1は20mm、外側壁部311と内側壁部312との間の空間の幅W2は20mmであった。緩衝部材としては、図5に示す緩衝部材32が用いられた。緩衝部材32の高さHは20mm、緩衝部材32の幅W3は60mmであった。緩衝部材32は、図3に示すように配置された。外側壁部311と内側壁部312との間の空間には、150mLの水が収容された。
比較例の液体バランサでは、本発明の液体バランサ30と異なる点として、緩衝部材32を設けなかった。比較例の液体バランサのその他の点は、本発明の液体バランサ30と同様であった。
図8に示すように、制御関連の構成として、装置2が、制御関連の構成として、パルス計測装置291と、AD変換器292と、荷重計測装置250と、処理部290と、モータ230とを備えるように構成した。処理部290は、モータ230に制御信号を送信して、円板210と円板210の上に固着された液体バランサ300とを回転させた。
荷重計測装置250は、モータ支持台240の反力を計測する反力計251と、動歪計252と、AD変換器253とを含む。パルス計測装置291によって計測されたパルスの情報は、AD変換器292を通して処理部290に送信された。反力計251によって計測されたモータ支持台240の反力は、動歪計252とAD変換器253とを通して、処理部290に送信された。処理部290では、パルス計測装置291と荷重計測装置250とから送信された情報に基づいて、それぞれの回転数における荷重の大きさを求めた。
以上のように構成された装置2によって、液体バランサ300を回転させた。液体バランサ300の回転数は、150rpmから10rpmごとに、500rpm付近まで上昇させられた。液体バランサ300の回転数は、安全のため、500rpmより大きくならないように制御された。
図9に示すように、本発明の液体バランサ30を用いた場合でも、比較例の液体バランサを用いた場合でも、220rpm付近の回転数で液体バランサ300が回転されたときと、480rpm付近よりも高い回転数で液体バランサ300が回転されたときに、荷重計測装置250で計測された荷重が大きくなった。このとき、目視によっても、液体バランサ300の振動の振幅が大きくなったことが確認された。この結果から、一次共振振動数は220rpm付近であることと、480rpm付近から二次共振領域に入ることとがわかった。
荷重計測装置250によって測定された荷重、すなわち、液体バランサ300の振動の振幅の大きさは、150rpmから500rpmまでの回転数の全領域において、本発明の液体バランサ30の方が比較例の液体バランサよりも小さかった。特に、一次共振振動数である220rpm付近の回転数と、二次共振振動数の領域に入る480rpm付近よりも高い回転数では、本発明の液体バランサ30の回転による荷重と比較例の液体バランサの回転による荷重との間に大きな差が現れた。
図10に示すように、緩衝部材32を備えない比較例の液体バランサでは、150rpmから500rpmまでの回転数の全領域において、本発明の液体バランサ30よりも、比較的大きく水の位置が移動することがわかった。
比較例の液体バランサでは、液体バランサの回転数が一次共振振動数である220rpmに到達する直前の200rpm付近で一旦、位相差が0°になり、水が偏心荷重に最も近づいて、偏心を大きくしていることがわかった。一方、一次共振振動数を過ぎると、二次共振振動数の直前までは、位相差が180°になり、水が偏心荷重から最も離れて、偏心を解消していることがわかった。さらに、液体バランサの回転数が二次共振振動数の領域である480rpmに到達する直前の400rpm〜450rpmの範囲では、位相差が再び0°になって、水が偏心荷重に最も近づき、かえって偏心を増大させていることがわかった。
一方、本発明の液体バランサ30では、150rpmから500rpmまでの回転数の全領域にわたって位相差が180°〜240°の範囲内にあり、比較的、水の移動が少なかった。
このように、緩衝部材32を備える本発明の液体バランサ30によって、液体バランサ30内の液体のスロッシングを防止することができることがわかった。スロッシングを防止することによって、例えば、偏心荷重との位相差が180°、すなわち、偏心荷重と最も離れる位置にあって偏心荷重を解消している水を、液体バランサ30を回転させたときに移動させにくくすることができる。
このようにすることにより、液体バランサ30の回転数が二次共振振動数に近付く前に液体バランサ30内の水が偏心荷重を解消する位置にある場合、液体バランサ30の回転数が二次共振振動数に近付いたときに液体バランサ30内の水が移動することを防いで、偏心荷重が増大されないようにすることができる。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
1:洗濯機、20:洗濯槽、30:液体バランサ、31:容器、32:緩衝部材、33:水、40:水槽、51:モータ、311:外側壁部、311a:内壁面、312:内側壁部、312a:内壁面、321:収容部材。

Claims (4)

  1. 回転軸線の周りに形成された内壁面を有し、この内壁面は外周側内壁面とこの外周側内壁面に対向する内周側内壁面とを含み、かつ、液体を収容して前記回転軸線を中心に回転することができるように配置された環状の容器と、
    前記容器の周方向に沿って互いに間隔をあけて配置され、前記容器の外周側内壁面の上に固着された複数の緩衝部材とを備え、
    前記緩衝部材は、弾性体によって形成される収容部材と、前記収容部材に収容される流体とを含み、前記容器が前記回転軸線を中心に回転させられるときに遠心力が付与された前記容器内の液体によって変形させられるように構成され、
    前記収容部材に収容される流体の比重は、前記容器に収容される液体の比重よりも小さい、液体バランサ。
  2. 回転軸線の周りに形成された内壁面を有し、この内壁面は外周側内壁面とこの外周側内壁面に対向する内周側内壁面とを含み、かつ、液体を収容して前記回転軸線を中心に回転することができるように配置された環状の容器と、
    前記容器の外周側内壁面の上に固着された緩衝部材とを備え、
    前記緩衝部材は、弾性体によって袋状に形成された複数の収容部材に流体が収容されることによって構成され、かつ、前記容器が前記回転軸線を中心に回転させられるときに遠心力が付与された前記容器内の液体によって変形させられるように構成され、
    前記収容部材に収容される流体の比重は、前記容器に収容される液体の比重よりも小さい、液体バランサ。
  3. 前記液体は水であり、
    前記流体は空気であり、
    前記弾性体はポリエチレン膜である、請求項1または請求項2に記載の液体バランサ。
  4. 洗濯物を収容して回転軸線を中心に回転することができるように配置された洗濯槽と、
    回転軸線を中心に前記洗濯槽を回転させる駆動部と、
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体バランサとを備え、
    前記液体バランサは、前記回転軸線を中心にして前記洗濯槽とともに回転することができるように構成されている、洗濯機。
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