JP5409190B2 - 略円弧状のテープ芯地及びその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、平面において略円弧状の形状を保持している高伸長性テープ芯地に関する。
従来、スカート、スラックス、ズボン等の腰周りのベルト部分、襟、帽子等に使用されているテープ芯地の形状としては、平面において直線状のものが大半であった。しかしながら、近年、デザイン性やシルエット重視の傾向から、着用時に体の腰部の形状に合うようにするため、以下の特許文献1には、伸縮性が18%以下の伸縮性芯地について、略円弧状の形状を呈するテープ芯地が開示されている。
一方、最近では、動きやすさなどの着用感のある18%超の高伸長(ストレッチ)性を有し、表地素材に追従することができる高伸長性テープ芯地の要求が高まっている。
18%超の高伸長性テープ芯地として、平面において直線状の形状を呈するものを、体の腰部の形状に合うように略円弧状に型抜きされた表地に、適用する場合には、縫製段階で、アイロンなどの仮接着による「いせ(縮縫)込み」を、芯地プレス機を用いた表地への接着前に、実施する必要があった。この場合には、接着後や縫製後に、「ぶくつき(表地又は芯地に発生する部分的な水泡状のうき)」や「剥離」などが発生するという問題があった。一方、略円弧状に型抜きした高伸長性テープ芯地を使用する場合には、該テープ芯地にバイアス地の目部分が含まれるため、接着後や縫製後に、寸法変化を生じやすく、着用しているうちに型崩れや「ほつ(解)れ」などが発生するという問題があった。
前記したように、特許文献1には、伸縮性布地の経方向の定荷重伸長率が8〜18%である伸縮性布地からなり、表面に接着樹脂を有する、平面において略円弧状を呈する接着芯地が開示されている。特許文献1には、直線状の接着芯地のテープ部の長辺一辺を差動ロックミシンにて縫い縮めて、該芯地を略円弧状にしたと記載されている。ここで、特許文献1における「差動ロックミシンによる縫い縮め」とは、オーバーロック縫い(縁かがり縫い)により、ロックミシンの差動送り機能を使用して、直線状の接着芯地のテープ部の片縁を「縮み縫い」して、略円弧状の形状を保持した接着芯地を作製したものと理解される。すなわち、特許文献1には、18%以下の伸長率のテープ芯地に関しては、縁かがり縫いにより略円弧状を呈する接着芯地を作製することができることが教示されている。
しかしながら、特許文献1に教示された方法に従って、18%を超える高伸長のテープ芯地を、ロックミシンの差動送り機能を使用して、縁かがり縫いにより略円弧状に加工しようとしても、縫い縮めれば縮めるほど縫い目が動かない状態になってしまい、略円弧状の形状を保持しているテープ芯地は得られないことを、本願発明者らは、実験を繰り返し確認した。
より詳細には、18%を超える高伸長性のテープ芯地に関しては、差動ロックミシンを使用した縁かがり縫いにおいて、1本針の場合、一定の曲率を保持することができなかったが、2本針の場合には、ある程度の曲率を保持することができた。しかしながら、かかる差動ロックミシンは、二重環縫いミシンに比較して、ミシン糸の消費量が2〜3倍と多く、材料コスト面での問題がある。また、このようなミシン糸の消費量が多いことに起因して、テープ芯地の接着時、縫目部分の「当たり(表地面における凹凸)」の発生や縫目部分での接着不良も発生した。これらの問題を回避しようとして、ミシン糸の繊度を小さくすることや縫目ピッチを大きくても、逆に、ミシン仕掛け時の糸切れや曲率の保持性のさらなる低下などの新たな問題が発生した。
すなわち、18%を超える高伸長のテープ芯地については、特許文献1に教示された「差動ロックミシンによる縫い縮め」によっては平面において略円弧状の形状を保持しているテープ芯地を作製することはできない。その結果、スカート、スラックス、ズボン等ベルト部分のデザイン形状とテープ芯地の湾曲状態とが合致されず、縫い縮め部の「パッカリング(縫った時にミシン目にできる縫い縮みやひきつりによる歪み)」、接着不良などが発生し、縫製における作業性を低下させていた。
特開2001−226854号公報
本発明が解決しようとする課題は、前記した従来技術の円弧状テープ芯地の問題点を解決し、高伸長性を有し、表地との追従性及び保形性を有し、かつ、所定の曲率半径を有する略円弧状のテープ芯地及びその製法の提供することである。
本発明者らは、18%を超える高伸長性のテープ芯地に関して、適正なミシンの縫目種類や使用するミシン糸のタイプなどを鋭意検討し、実験を重ねた結果、高伸長性テープ基布の片端を、伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸を用いて、二重環縫いミシンで、二重環縫いにより縫い縮めることにより、所定の略円弧状の形状を保持しているテープ芯地を作製することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]表面に接着樹脂を有し、かつ、テープ長さ方向の伸長率が18%超40%以下である高伸長性テープ状基布からなるテープ芯地であって、該高伸長性テープ基布の片端を、伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸を用いて、二重環縫いミシンで、二重環縫いにより縫い縮めることにより、平面において曲率半径30cm以上200cm以下の略円弧状の形状を保持していることを特徴とする前記テープ芯地。
[2]前記伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸が、熱接着性である、前記[1]に記載のテープ芯地。
[3]以下のステップ:
表面に接着樹脂を有し、かつ、テープ長さ方向の伸長率が18%超40%以下である高伸長性テープ状基布の片端を、伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸を用いて、二重環縫いミシンで、二重環縫いにより縫い縮める、
を含む、平面において曲率半径30cm以上200cm以下の略円弧状の形状を保持しているテープ芯地の製造方法。
[4]前記伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸が、熱接着性である、前記[3]に記載のテープ芯地の製造方法。
本発明によれば、高伸長性のテープ芯地を、平面において略円弧状に加工し、その形状を保持することができるため、縫製時の縫目部分での接着不良、縫製後の「剥がれ」、「ぶくつき」、「当たり」、「パッカリング」、縫製後のテープ芯地の「ほつ(解)れ」などの従来の円弧状テープ芯地の問題点を解決し、腰部回り方向に高ストレッチ性を持たせ、表地との追従性や保形性を持たせることのできる所定の曲率の略円弧状テープ芯地、すなわち、仕立て映えに優れるテープ芯地を提供することができる。さらに、本発明は、縫製時での作業効率向上、ミシン糸ロスの低減などの経済的な効果も奏する。
テープ芯地1と曲率半径Rの関係を示す概略図である。 本発明に係る二重環縫いにより縫い縮めることにより作製した略円弧状の形状を保持している高伸長性テープ芯地の図面に代わる写真である。 特許文献1に記載の方法又は比較例1に従って作製した縁かがり縫いによる(略円弧状の形状を保持していない)テープ芯地の図面に代わる写真である。
本発明に用いられる高伸長性テープ芯地に用いる高伸長性テープ基布は、テープ長さ方向に伸長性を有する。高伸長性テープ基布としては、伸長方向に使用される高伸縮性の糸として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド系の6ナイロン、66ナイロンなど、それらの捲縮加工糸、芯糸にポリウレタン繊維などを使用した鞘芯構造したカバーリング糸などを使用した織物、トリコット、緯糸挿入トリコット、不織布などの布帛が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートの2成分系サイドバイサイド型のフィラメント仮撚り加工糸やポリアミド仮撚り加工糸が好ましい。
伸長方向に直交する軸方向に使用される繊維は、伸長性の有無などの機能性、フュラメントや紡績糸などの繊維形態、合成繊維や再生繊維などの繊維素材、撚糸や仮撚り加工糸などの物理加工された糸条に関して、特に限定されない。
本発明に係る高伸長性テープ芯地に用いる高伸長性テープ基布の素材や繊維糸条のそのものの繊度に関しては特に制約はないが、テープ芯地としての布帛の伸長方向の「伸長率」は18%超40%以下である。
本発明に係る高伸長性テープ芯地に用いる高伸長性テープ基布は、例えば、シート状の布帛を紙管に巻き付け、その幅方向に任意の幅でカットすることで得られる。この布帛が、織物の場合、テープの伸長方向は織物の経糸方向となる。
これらの布帛は、生機を精練、リラックス、染色、ヒートセット、接着樹脂のドット加工等の加工を行ない、テープ長さ方向での伸長率が18%超40%以下のる高伸長テープ基布となる。
本明細書中、「伸長率」とは、カトーテック社製FB−1機を用い、一辺が20cmの正方試料片に10kgの荷重をかけた状態での試料織物の伸びを測定する。すなわち、500g/cm幅の荷重下での伸長率を算出する。
高伸長性テープ基布の伸長率は、18%超40%以下であり、18%以下の伸長率では、得られるテープ芯地は、平面において曲率半径30cm以上200cm以下の略円弧状の形状を保持することができず、一方、伸長率40%超では、縫い糸の伸長限界やテープ基布の矯正限界となり好ましくない。
本明細書中、「曲率半径(cm)」とは、図1に示すように、平面において略円弧状の形状を呈するテープ芯地の該円弧(曲線)の曲がり具合を表す量であり、曲率半径R(cm)は、半径R(cm)の円の円周の弧が示す曲がり具合を指標する。すなわち、曲率半径R(cm)が小さい程、曲がり具合がきつくなる。
本発明に係る高伸長性テープ芯地は、高伸長性テープ基布の片端を、伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸を用いて、二重環縫いミシンで、二重環縫いにより縫い縮めることにより、平面において曲率半径30cm以上200cm以下の略円弧状の形状を保持することができる。
所定の曲率半径を有するテープ芯地の縫い加工により得るために、例えば、ミシン上に必要とする曲率半径のラインを引きそれに沿ってテープの片端を追込みながら縫い縮めたり、ミシン本体に必要とする曲率半径のテープ幅溝を持つ生地送りガイドなどの冶具を設置したりすることができる。
本発明においては、二重環縫いミシンに使用するミシン糸は、伸長率20〜40%の伸縮性のあるものが好ましい。伸長率が20%未満40%超のミシン糸を使用すると、テープ芯地の円弧状の形態保持性や伸長率追従性が低下する。ミシン糸の伸長率は25〜35%であることが好ましい。
なお、ここでのミシン糸の伸長率は、JIS L 1090 合繊フィラメント嵩高加工糸試験方法 A法に準じた試験方法で測定される。
また、本発明においては、二重環縫いミシンに使用するミシン糸は、上糸及び/又は下糸に熱接着糸を使用することが望ましい。すなわち、テープ芯地の熱可塑性樹脂を塗布した面に熱接着糸の縫目がくるようにすることで、縫製段階でのプレスやアイロンなどで糸が溶融し、略円弧状にしたテープ芯地の形状保持に優れ、また、ミシン糸によるテープ芯地の伸長性の阻害が緩和される。
本発明においては、縫目種類としては、二重環縫いに限る。
差動ロックミシンなどは、ミシン機構上、縫い縮め設定は可能であるが、その調整の難易度や縫い縮め後でのテープ芯地の成型保持性が充分でなく、縫い上げ後、放置すると高伸長性テープ芯地の縫い縮めによる圧縮回復力や伸長力に耐えられなくなり、元の直線状のテープ芯地に復元しようとするため、所定の曲率の略円弧状の形状を保持することができない。
したがって、本発明においては、テープ芯地の伸長性やその回復力を二重環縫いによって固定化することにより、平面において略円弧状の形状を保持することが可能になる。また、運針は、多いほど円弧状の保持性は良くなるが、作業性や保持性を考慮すると12〜14針/3cmであることが好ましい。
本発明に係るテープ芯地をズボン・スカートに使用すれば、表地パターンと形状が合い、また、略円弧状の形状が保持されているため、縫製における作業効率が顕著に改善される。さらに、腰回りでの放射伸長方向での伸縮性のある高伸長性テープ芯地が表地に接着されているので、多種多様なストレッチ表地素材に適用することができる。
さらに、本発明に係るテープ芯地の平面における略円弧状の形状の曲率半径は、広い範囲の腰周りのパターンを網羅しているので、本発明に係るテープ芯地は、表地のサイズやデザイン性に関してなどの適応性が高い。前記したように、本発明に係るテープ芯地は、ズボン・スカートなどの腰部の表地への適用に限定されるものではなく、襟や帽子などに幅広く適用されうる。
また、図2に示すように、本発明に係るテープ芯地は、平面において略円弧状の形状を保持している。したがって、これを用いれば、テープ芯地原反から型抜きしたものを用いる必要がないため、原反のロスを生じない。
本願発明のテープ芯地に用いるテープ基布に接着剤である熱可塑性樹脂を塗布する方法は、パウダードット方式、ダブルドット方式、シンター方式、スプレー方式等が用いられ、どの方法を用いても構わない。
テープ芯地の接着剤としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、EVA系、PVA系等いずれでもよい。
本願発明のテープ芯地は、フラットプレス型、ローラープレス型の芯地プレス機等により、表地に接着される。
以下、本発明を実施例、比較例により、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
167dtex/72fのサイドバイサイド型のポリトリメチレンテレフタレートのS撚り捲縮加工糸とZ撚り捲縮加工糸を双糸にし、総繊度334dtexを経糸とし、繊維長38mmアクリル紡績糸48メートル番手糸を緯糸として、織物経密度31本/インチ、織物緯密度31本/インチ、織物幅100cmの平組織織物を作成した。
この織物を、リラックス、精練、染色、ヒートセットの各加工を行い、セット工程での経方向の生地オーバーフィード率を変更させ、経糸伸長率18%、25%、38%の3種類の布帛を得た。
これらの布帛に、低融点ポリアミド樹脂(エムスケミー・ジャパン製 グリテックスD1500A 樹脂融点90℃)を用いてシングルドットコーティング法で、30ポイント/インチ間のドットコーティング加工を施した。
更に、この芯地を製品検査検反機上で、外径40mmφの紙管に織物長25m巻き付けた。
次に、巻き付けた織物を幅方向30mm間隔に切断して得られたテープ芯地を解き、長さ60cmに切断して、幅30mm、長さ60cmのテープ芯地のパーツを採取した。
なお、それぞれテープ芯地のパーツの伸度を測定した結果、18%、25%、38%の伸長率であった。
そのパーツ片端を上糸下糸共に、伸度30%のミシン糸を使い、二重環縫いミシンにて縫い、目標とする曲率半径(R)を30cm、100cm、200cmの本願発明のテープ芯地を得た。
形態保持性の評価として、上記、作成したテープ芯地を恒温恒湿(温度20℃、相対湿度65%)環境下、平置きの状態で、24時間放置後、その曲率半径の変化量が、±2cm以内を合格として評価した。結果を以下の表1に示す。
なお、実施例1に使用した条件は次の通りであった。
<使用ミシン>
ペガサス社製 二重環縫いミシン EX2200
使用針:DC×27、#14
回転数:3000rpm
運針:12針/3cm
<使用ミシン糸>
(株)フジックス・キングレジロンF (ナイロン100%)、#50
比較例1
実施例1において、セット工程での経方向の生地オーバーフィード率を変更し、経糸伸長率16%、43%の2種類の布帛を得た。その後、実施例1と同様のシングルドットコーティング、テープ芯地のパーツを作成し、得られたテープ芯地のパーツ片端を差動ロックミシンにて、縫い縮め量を調整し、目標とする曲率半径(R)を30cm、100cm、200cmのテープ芯地を得た。
実施例1と同様に、形態保持性を評価したが、目標とする曲率半径を保持することはできなかった(図3参照)。
テープ芯地接着作業工程においては、縫目部分の接着不足や必要とされる腰部回りの表地湾曲との接着作業で湾曲修正を行いながら、作業する必要があり、作業性を著しく低下させた。結果を以下の表1に示す。
比較例2
実施例1において、得られた布帛から得られたテープ芯地のパーツ片端を、伸長率30%の伸縮性ミシン糸を使い、差動ロックミシンにて、縫い縮め量を調整し、目標とする曲率半径(R)を30cm、100cm、200cmのテープ芯地を得た。
実施例1と同様に形態保持性を評価したが、目標とする曲率半径を保持することはできなかった。
テープ芯地接着作業工程においては、縫目部分の接着不足や必要とされる腰部回りの表地湾曲との接着作業で湾曲修正を行いながら、作業する必要があり、作業性を著しく低下させた。
なお、比較例1及び2に使用した条件は次の通りであった。
<使用ミシン>
ヤマトミシン社製 差動ロックミシン AZ8000G
使用針:TV×7、#16
回転数:3000 rpm
運針:12針/3cm
<使用ミシン糸>
(株)フジックス・キングレジロンF (ナイロン100%) #50

Claims (4)

  1. 表面に接着樹脂を有し、かつ、テープ長さ方向の伸長率が18%超40%以下である高伸長性テープ状基布からなるテープ芯地であって、該高伸長性テープ基布の片端を、伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸を用いて、二重環縫いミシンで、二重環縫いにより縫い縮めることにより、平面において曲率半径30cm以上200cm以下の略円弧状の形状を保持していることを特徴とする前記テープ芯地。
  2. 前記伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸が、熱接着性である、請求項1に記載のテープ芯地。
  3. 以下のステップ:
    表面に接着樹脂を有し、かつ、テープ長さ方向の伸長率が18%超40%以下である高伸長性テープ状基布の片端を、伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸を用いて、二重環縫いミシンで、二重環縫いにより縫い縮める、
    を含む、平面において曲率半径30cm以上200cm以下の略円弧状の形状を保持しているテープ芯地の製造方法。
  4. 前記伸長率20〜40%の伸縮性ミシン糸が、熱接着性である、請求項3に記載のテープ芯地の製造方法。
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