以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明者らが事前に検討したEUVL技術と、見出された課題について、図面を用いて詳しく説明する。
図23(a)は、本発明者らが検討したEUVマスクMをパターン面と対抗するようにして見た平面図である。EUVマスクMの中央部には半導体集積回路装置のパターンを有するデバイスパターンエリアMDEを有し、周辺部にはマスクの位置合せのためのマークやウェハアライメントマークなどを含むアライメントマークエリアMA1,MA2,MA3,MA4が配置されている。
図23(b)はEUVマスクMのデバイスパターンエリアMDEにおける要部断面図である。石英ガラスや低熱膨張材などの基板MSの上に上述のような多層膜MLが被着され、その上にキャッピング層CAPが被着されている。その上に、バッファ層BUFを介して吸収体パターンABSが設けられている。一方、基板MSの裏面側には、マスクを静電チャックするためのメタル膜CFがコーティングされている。
図24は、EUV投影露光装置EPによりEUVマスクM上のパターンをウェハ上に縮小転写する手段を示す説明図である。光源80から発する中心波長13.5nmのEUV光(極端紫外線)LLは多層膜反射鏡からなる照明光学系81を介してEUVマスクMのパターン面を照明する。パターン面からの反射光を多層膜反射鏡からなる縮小投影光学系82を通過させ、パターンをウェハ83上に転写する。ウェハ83はステージ84に搭載されており、ステージ84の移動とパターン転写の繰返しによりウェハ83の所望の領域にパターンを多数転写する。
EUVLでは、露光波長が13.5nmと極めて短いので、数nm程度のごく僅かな表面高さあるいは深さの異常が発生した場合でも、その表面異常に起因して反射光に位相差が生じ、吸収体パターン転写の際に欠陥を生じさせる要因となる。図25(a)は、基板MSの上に前記の多層膜MLを被着させる際に、微小なパーティクルP01を挟んだために凸形状の位相欠陥91が発生した例を示す説明図である。また、図25(b)は、基板MSの上に微小な窪みP02が存在したまま前記の多層膜MLを被着させた結果、凹形状の位相欠陥92が発生した例を示す説明図である。これらの位相欠陥91,92を残したままバッファ層BUFと吸収体パターンABSとを形成すると、例えば図26(a)の説明図に示すように、隣接する吸収体パターンABSの中央に凸型の位相欠陥91が残存したり、あるいは図26(b)の説明図に示すように、隣接する吸収体パターンABSの中央に凹型の位相欠陥92が存在したりする。また、バッファ層BUFと吸収体パターンABSとを形成する際にパターン欠陥93が発生する場合もある。
このような各欠陥91,92,93が存在すると、ウェハ83上に転写するパターン投影像が乱れて転写パターンの欠陥が発生する。従来の光リソグラフィ用の透過型マスクブランクでは、表面の数nm程度の凹凸は無視しても差し支えなかった。しかしながら、EUVマスクMでは、従来の透過マスクと比較して欠陥転写に関して質的に大きな差があり、位相差を与えるマスクブランク欠陥の発生を回避する必要がある。
そこで、多層膜ML上に吸収体パターンABSを被着させる前の段階、すなわち上記図25の段階で、位相欠陥91,92を検出することが必要である。吸収体パターンABSを形成する前段階でのマスクブランク欠陥検査に関しては、レーザ光をマスクブランクに対し斜めから照射し、その乱反射光から異物を検出するものと、マスクパターン露光に用いる波長と同じ波長のEUV光を用いて欠陥検出する同波長(at wavelength)欠陥検査法がある。レーザ光を検査光とする方法は多層膜表面のみに感度を有するので、多層膜内部や底部にある欠陥を検出することが困難である。
この様な観点から、本発明者らは上記特許文献1〜6に開示されている技術の導入を検討した。上述のように、これらの技術によれば、マスクブランク上の欠陥の有無は判定できるが、欠陥の程度や位置の特定については考慮されていない。例えば、マスクブランク上の位相欠陥としては、微小サイズであったり、吸収体に完全に覆われる位置であったりと、パターン転写に影響を及ぼさないものもある。本発明者らが事前に検討した上記の技術では、このように影響の少ない位相欠陥を有する場合であっても、その程度を判別するのが困難であり、不良品として扱われ、処分されることになる。また、欠陥検出段階で修正可能な程度の位相欠陥であっても、その位置の特定が困難であれば修正することができず、やはり不良品として扱われ、処分されることになる。言い換えれば、本発明者らが事前に検討した技術では、位相欠陥を検査した時点でマスクブランクにおける欠陥位置座標を特定し、その後に形成される吸収体パターンとの相対位置を明確にすることは困難である。
以上を踏まえて、本実施の形態1では、多層膜MLが形成されたマスクブランク上に吸収体パターンABSを形成したEUVマスクの位相欠陥91,92やパターン欠陥93を、暗視野検査光学系で得られる検査画像と、パターン設計データから計算される暗視野投影像との比較により検出する技術について説明する。
図1を用いて、本実施の形態1のEUVマスク検査装置EC1について説明する。EUVマスク検査装置EC1は、EUV検査光BMを発生する光源1、EUVマスクMを載置するためのマスクステージ2、照明光学系CIO、結像光学系DPO、2次元アレイセンサー(画像検出器)SE、センサー回路5、パターンメモリ6,閾値設定回路8、閾値との比較回路9、タイミング制御回路10、マスクステージ制御回路11、及び、装置全体の動作を制御するシステム制御コンピュータ18などで構成される。
結像光学系DPOは凹面鏡L1と凸面鏡L2とから構成され、集光開口数NA=0.2、中心遮光開口数NA=0.1、倍率26倍のシュバルツシルド光学系である。位相欠陥やパターン欠陥の有無が検査されるEUVマスクMは、マスクステージ2上に載置される。マスクステージ2は、2次元方向(例えば、互いに交差するX方向およびY方向)に可動である。光源1から発する中心波長13.5nmのEUV検査光BMは、照明光学系CIOを通して集束ビームに変換された後、多層膜ミラーPMで折り曲げられてEUVマスクMの所定の領域を照射する。EUVマスクMからの反射光のうちパターン部や欠陥部で散乱した光は、結像光学系DPOを介して集束ビームSLIを形成し、2次元アレイセンサーSE上に集光する。すなわち、2次元アレイセンサーSEには、EUVマスクMの暗視野検査像が形成され、その結果、EUVマスクM上に残存する位相欠陥は検査画像の中で輝点として検出される。2次元アレイセンサーSEは多数の画素を有し、検査画像を画素信号として取り込む。また吸収体パターンのエッジで散乱する光も捉えられ、前記の位相欠陥の輝点に比べて小さい信号しか得られないものの、吸収体パターンに欠陥が存在すると検出信号の強度が変化する。
EUVマスクMの位置は、マスクステージ2に固定された測長用ミラー3の位置をレーザ測長器4で読み込むことにより、マスクステージ2の位置情報として得られる。この情報は位置回路12に送られ、システム制御コンピュータ18で認識できる。
一方、本EUVマスク検査装置EC1には、EUVマスクM上に形成されているパターンあるいはEUVマスクMの輪郭位置などを光学的に観察してパターン位置を把握できる光学顕微鏡ALOが備えられている。
また、ビームスプリッタBSPによりEUV検査光BMの一部を分岐してセンサー7で光量をモニタし、閾値設定回路8において信号処理のための閾値を設定することができる。更に、マスクパターンに関する種々のデータを格納する各種データファイル13、閾値データを格納する閾値データファイル14、欠陥位置などの検出結果を記録する記録装置15が備えられており、種々の情報をパターンモニタ16や画像出力部17を介して観察することができる。
次に、図2を用いて、本実施の形態1のEUVマスクの欠陥検査方法に関し、マスクパターンの画像検査の方法を説明する。EUVマスクM上の検査画像取得領域21は、幅200〜500μm程度の細長い短冊状の検査ストライプ22に分割されている。まず、この検査ストライプ22内において所定の被検査領域を定め、そこにEUV光を照射する。そして、上記図1を用いて説明したEUVマスク検査装置EC1の機構により、被検査領域からの鏡面反射光を除く散乱光を捕集して拡大結像し、その暗視野拡大像を多数の画素24を有する2次元アレイセンサー(画像検出器)SEにより、画素信号として取得する。この状態でマスクステージを走査させ、矢印23に示す方向に連続的に同様の拡大像を取り込む。センサーとして、走査方向と直交する画素方向が1024画素、積算方向の画素数が512段であるTDI(Time Delay Integration)センサーを用いた。このTDIセンサーは、マスクステージの走査と同期して矢印25の示す方向に電荷を1段ずつ転送することで、電荷を蓄積段数分だけ蓄積して出力することができる。尚、ストライプの幅やセンサーの画素数については上記の数値に限定されることは無い。
図3(a)は、種々の形状の吸収体パターンABSといくつかの欠陥(欠陥DEF1〜DEF5)が含まれるマスクパターンがセンサーに取り込まれたときの、画素との位置関係を示す説明図である。図中、縦方向の点線26はTDIセンサーの電荷蓄積方向(すなわちパターンの走査方向)の画素の境界線を表し、横方向の点線27はTDIセンサーの画素方向の境界線を表している。一方、図3(b)は欠陥が存在しない理想的な吸収体パターンABSの設計値とそこに仮想的に重ねた画素境界線を示す説明図である。
図3(b)に示すパターンは、例えばパターン設計データから生成される。図3(a)と図3(b)との対応する画素の出力を比較して、差が有れば欠陥が存在すると判断できる。この比較は画素ごとに行なわれることを基本とするが、周辺の画素で得られる信号強度を参照した様々な信号処理アルゴリズムが適用される。
一例として、図4(a)を用いて、隣接する吸収体パターンABSの中間に多層膜の位相欠陥31が存在する場合の欠陥検出について説明する。図4(b)は図4(a)の平面図のA−A線に沿って見た断面図である。吸収体パターンABSの幅と間隔はいずれも140nmとする。また、位相欠陥31はガウシアン形状を有し、その半値全幅は60nm、高さは2nmとする。このパターンを暗視野検査光学系で観察したときに得られる投影像光強度分布32を図4(c)に示す。一方、吸収体パターンABSが存在せず位相欠陥31のみが存在する場合、即ち吸収体パターンABSを形成する前のマスクブランクの状態で前記と同一の位相欠陥31が存在すると、図4(d)に示す暗視野検査像の光強度分布33が得られる。逆に、位相欠陥31が存在せず吸収体パターンABSのみが存在する、所謂良品マスクを検査すると、暗視野検査画像からは図4(e)に示す光強度分布34が得られる。これら3種の信号を比較すると、暗視野検出信号は吸収体パターンABSのエッジの散乱光成分も捉えるが、位相欠陥が存在すると光強度の強い検査信号が現われることがわかる。
実際の2次元アレイセンサーSEで得られる信号は、これらのような暗視野検査像の光強度分布32,33,34ではなく、ピクセルごとに蓄積されるピクセル光強度の羅列として得られる。例として、集光開口数NA=0.2、中心遮光開口数NA=0.1の結像光学系DPOを採用し、マスク上に対応する一画素のサイズを200μm×200μmとすると、1なる強度の照明光に対する1画素の検査信号は、図4(c)の場合は0.033、図4(d)の場合は0.025、図4(e)の場合は、0.019となった。したがって、例えば閾値を0.022と設定すれば、吸収体パターンABSの有無に関わらず位相欠陥を含む画素が閾値を超える信号を捕らえて位相欠陥を検知できる。
次に、欠陥DEF1〜DEF5として認識される画素の例を前記の図3(a)から抽出し、欠陥DEF1〜DEF5の存在しない場合(図3(b))の画素と比較して表した説明図を図5に示す。図5の左側は欠陥DEF1〜DEF5が存在しない場合の画素であり、図5の右側は欠陥DEF1〜DEF5が存在する場合の画素である。図5(a)は密集した吸収体ラインパターン群の一部をライン幅より大きな画素で捉えたときに、吸収体パターンABSに窪み型の欠陥DEF1が存在する場合を示す。図5(b)は、吸収体パターンABSの輪郭部に突起型の欠陥DEF2が存在する場合を示す。図5(c)は、吸収体パターンABSが存在しない領域に位相欠陥DEF3のみが存在する場合を示す。図5(d)は吸収体にピンホール状の欠陥DEF4が存在する場合を示す。図5(e)は多層膜表面に吸収体材料が微小付着したドット状の欠陥DEF5の場合を示す。
上記図4に示す例と同様に暗視野検査像を計算して画素信号強度を求め、それぞれの欠陥DEF1〜DEF5について、欠陥DEF1〜DEF5が存在する場合と存在しない場合についての画素信号強度の比較を行った。なお、吸収体パターン線幅を128nmに設定している。その結果、図5(a)の窪み型の欠陥DEF1に関して、検出された信号強度は、欠陥なしの場合0.008であったのに対し、欠陥ありの場合0.0142であった。また、図5(b)の突起型の欠陥DEF2に関して、検出された信号強度は、欠陥なしの場合0.008であったのに対し、欠陥ありの場合0.0110であった。また、図5(c)の位相欠陥DEF3に関して、検出された信号強度は、欠陥なしの場合0.002であったのに対し、欠陥ありの場合0.0117であった。また、図5(d)のピンホール状の欠陥DEF4に関して、検出された信号強度は、欠陥なしの場合0.0であったのに対し、欠陥ありの場合0.0013であった。また、図5(e)のドット状の欠陥DEF5に関して、検出された信号強度は、欠陥なしの場合0.002であったのに対し、欠陥ありの場合0.0026であった。これらのように、欠陥の種類によって欠陥信号強度レベルや欠陥の有無による信号レベル差は異なるが、両者の画素強度には明らかな差があるので、この差が事前に定めた閾値を超えれば、欠陥ありと判断できる。
ここで、欠陥なしの場合の画素強度は、検査対象となっている被検査領域の吸収体パターンABSの設計データを用いて、画素信号の予測値を数値計算により求めることも可能である。
図6(a)は、EUVマスクM上のパターン配置と吸収体パターンで構成された基準マークを示す説明図である。上述のように、EUVマスクMの中央部には半導体装置の製造工程において転写すべきパターンを有するデバイスパターンエリアMDEを有し、周辺部にはEUVマスクMの位置合せのためのマークやウェハアライメントマークなどを含むアライメントマークエリアMA1,MA2,MA3,MA4が配置されている。このアライメントエリアの複数の場所に、図6(b)または図6(c)の説明図に示すような基準マーク41,44が形成されている。図6(b)中には、吸収体パターンABSの中に、十字形状の多層膜反射領域REFからなる基準マーク41、および仮想的に重ねた画素境界線(破線)を示している。多層膜反射領域REFとは、吸収体パターンABSの開口により、下層の多層膜MLが露出した領域である。図6(c)中には、多層膜反射領域REF内に十字形状の吸収体パターンABSからなる基準マーク44と画素境界線とを示している。
いずれの場合も、画素の幅に対して基準マーク41,44の太さは充分に大きい。従って、例えば図6(b)に示すように、基準マーク検査画像には、吸収体パターンABSのみを含む画素42と多層膜反射領域REFのみを含む画素43が多数存在する。本実施の形態1で使用するマスク検査装置で基準マーク41,44を暗視野観察すると、吸収体パターンABSのみを含む画素42から得られる信号強度はほぼゼロである。一方、多層膜反射領域REFのみを含む画素43で得られる信号強度は多層膜表面の粗さに起因した散乱光成分を捉えた強度となる。この強度は、本発明者らのこれまでの検討によれば、照明強度1に対して少なくとも0.002程度の検出信号が得られることが分かっている。従って、画素43と画素42とで得られる信号強度を区別することができる。即ち、EUV光を用いた暗視野検査で基準マーク41,44の位置を検出できる。ここでは、EUV光の代わりに深紫外線(Deep Ultra Violet:DUV光)を用いても良い。いずれにしても、EUV光またはDUV光を用いて、光学式マーク検出方式によって、前記基準マークの位置を検出する。
以上に示した検査手段を用いて、本実施の形態1のEUVマスクの欠陥検査方法のフローをまとめると、図7に示す通りとなる。図7に示すステップS101において、上記図1で説明したようなEUVマスク検査装置EC1において、EUVマスクMをマスクステージ2に載置したのち、EUVマスクM上に配置された基準マーク41,44が結像光学系DPOの光軸上になるようにマスクステージ制御回路11によってマスクステージ2を位置決めする。この位置を干渉計からなるレーザ測長器4で読み取って、EUVマスクM上の基準座標として記憶する。
続いて、ステップS102において、EUVマスクMの検査領域を短冊状に分割した際の最初の短冊領域の検査開始位置(被検査領域)にマスクステージ2を移動し、位置決めする。次に、マスクステージ2を連続移動させながら上記図2で説明した方法で検査信号であるピクセル光強度を連続的に収集してパターンメモリ6に格納する(ステップS103)。同時に、検査領域内の画素の番号を指定し(ステップS104)、指定された画素の検査信号強度とパターンデータから計算される無欠陥パターンの検査信号計算値とを比較する(ステップS105)。この比較は、図3(a)で表されるパターンの検査信号強度と図3(b)のパターンデータから計算された検査信号強度との比較に相当する。より具体的には、上記の画素信号の強度の差である強度差を取る。
次に、ステップS106において、ステップS105で得られた信号強度差を、予め指定した閾値(所定の閾値)と比較する。閾値を超えた場合は、その画素に対応するEUVマスクM上の位置に欠陥が存在すると判断して、その欠陥情報、例えば基準マーク41の中心位置に対する相対位置としての欠陥位置を記録装置15に記録する(ステップS107)。強度差が所定の閾値よりも充分大きければ、上記図4で説明した位相欠陥の候補となり、小さければ吸収体パターンABSの欠陥と解釈する。
続いて、短冊状領域内の全画素の比較処理が終了したかどうかを判断し(ステップS108)、比較すべき画素が残っていたら画素番号を更新して(ステップS109)、再びステップS105に戻り比較処理を継続する。
短冊状領域内の検査が終了したら、ステップS110において、EUVマスクM上の指定した全ての領域の検査処理が完了したかどうかを判断する。検査処理すべき領域が残っている場合は、ステップS111で短冊状の検査領域を更新してステップS102に移行し、再び欠陥の有無の判断処理を繰り返す。このようにして、EUVマスクM上の指定された検査領域の検査が終了するまで、前記の比較検査を行う。
本実施の形態1では、以上のようなEUVマスクMの欠陥検査方法とすることによって、吸収体パターンABSが形成されたEUVマスクM上の多層膜ML反射面に残存する位相欠陥や、吸収体パターンABSの欠陥を検出することができる。更に、その欠陥の位置を、吸収体パターンABSで形成された基準マーク41,44に対する相対位置として明確に検知することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、同じパターンが描かれた2つのチップのパターンをそれぞれ複数の画素を有するセンサーで走査検出し、その両者の違いを適当な欠陥検出アルゴリズムによって比較し検出する方法について説明する。
図8は、EUVマスクM上に、同じパターンの2つのダイ51,52(チップA1,チップA2)が描かれた様子を示す説明図である。それぞれ複数の画素を有するセンサーで観察する。EUVマスクMには、上記実施の形態1で述べたように基準マーク41,44が付与されている。EUVマスクMを搭置したマスクステージ2を連続移動させ、短冊状の検査領域53の長手方向に連続して存在する複数のダイを一度に貫通して走査し、画像を取得する。これにより、チップ画像を効率よく取り込むことができる。このために、画像は連続で撮影して撮影画像をメモリに取り込み、取り込みと同時進行あるいは短冊状の検査領域53の全信号を取り込み完了後に、メモリに格納された画像同士を比較する。この画像同士の比較は、上記実施の形態1において図3(a)に示す検査画像と図3(b)に示す設計値から計算される信号強度との画素ごとの比較と同様の処理となる。
図9は、本実施の形態2のEUVマスクの欠陥検査方法において、1つの短冊状の検査領域53を検査・処理する工程を説明するためのタイムチャート図である。ここで例示する被検査EUVマスクMは、上記図8で説明したように、短冊状の検査領域53の長手方向(例えばX方向とする)に見て、平面的に隣り合うようにして2つのダイ(第1のダイ51および第2のダイ52、または、第1のチップA1および第2のチップA2と記す)が配置されている。第1のダイ51(第1のチップA1)および第2のダイ(第2のチップA2)には、互いに同じ平面パターン形状からなる吸収体パターンABSが形成されている。
時刻T1でEUVマスクMを走査開始するとともに、2次元アレイセンサーSEをスタンバイ状態にする。時刻T2でセンサーの画素が第1のダイ51(第1のチップA1)の第1被検査領域に差し掛かると、マスクステージ2の位置とセンサー画像との相互関係を記憶すると同時に第1のダイ51(第1のチップA1)の検査画像データ(第1の画素信号)を取り込む。以後パターンメモリ6にデータを取り込む。時刻T3で第1のダイ51(第1のチップA1)からの画像データ取り込みを終了する。マスクステージ2が移動を続けてセンサーの画素が第2のダイ52(第2のチップA2)の第2被検査領域に差し掛かる時刻T4で、第2のダイ52(第2のチップA2)の検査画像データ(第2の画素信号)の取り込みを開始する。時刻T5において、第2のダイ52(第2のチップA2)からの画像データの取り込みを終了する。時刻T4と時刻T5の間では、前述した画像処理を用いたダイ−ダイ(Die to Die)比較処理が行なわれる。
ダイ−ダイ比較を行なう方法としては、第2のダイ52(第2のチップA2)から取り込まれた検査画像データ(第2の画素信号)を比較回路9に入力する。これと並行して、パターンメモリ6から、先に記録してある第1のダイ51(第1のチップA1)の区切りに相当するメモリ番地から検査画像データ(第1の画素信号)を順次読み出して、比較回路9に入力する。比較回路9は、二つの画素信号データを比較して、欠陥判定を行う。比較回路9は適切なアルゴリズムに従って2つの検査画像データ(画素信号データ)を比較し、その差が予め指定した閾値(所定の閾値)より大きい場合は、両者は一致しないので欠陥ありと判断する。第1のダイ51(第1のチップA1)または第2のダイ52(第2のチップA2)のどちらが欠陥かすぐに判断できない場合は、両方の位置情報を基準マーク41,44に対する欠陥位置座標として記録する。
X方向のダイ(チップ)構成数が3つ(例えば、第1のチップA1、第2のチップA2および第3のチップA3)の場合もある。このときは、第3のチップA3の検査画像を取り込む際に、第1のチップA1の検査画像データを再度パターンメモリ6から読み出して比較回路9に送ると同時に、第3のチップA3の検査画像データを比較回路9に並列に送り込んで、欠陥判定を行う。X方向のダイ構成数が4つ以上の場合も同様である。一つの短冊状の検査領域53内の複数チップの画像を取り込み終わった時点で、比較回路9での比較判定処理の終了を待ち、次の短冊状の検査領域の検査画像取り込みに進み、マスク上の所定の全短冊状検査領域の処理が終了した段階でマスク検査を終了する。
短冊状の検査領域53の幅方向(または短手方向、例えばY方向とする)に繰り返されているチップ同士を比較する際には、各チップの開始Y座標に基づいて、検査のための短冊状の検査領域53の位置(Y座標)を調整して、画像画素の差し掛かり具合を一致させるようにする。
以上に示した検査手段を用いて、本実施の形態2のEUVマスクの欠陥検査方法のフローをまとめると、図10に示す通りとなる。ステップS201において、上記図1を用いて説明したように、EUVマスク検査装置EC1において、EUVマスクMをマスクステージ2に載置したのち、EUVマスクM上の基準マーク41が結像光学系DPOの光軸上になるようにマスクステージ制御回路11によってマスクステージ2を位置決めする。この位置を干渉計からなるレーザ測長器4で読み取って、EUVマスクM上のパターン位置の原点座標として記憶する。
続いて、ステップS202において、EUVマスクMの検査領域を短冊状に分割した際の最初の短冊領域の検査開始位置にマスクステージ2を移動し、位置決めする。次にマスクステージ2を連続移動させながら、上記図2で説明した方法で検査画像を連続的に収集する(ステップS203)。
センサーの画素が第1のダイ51(第1のチップA1)の第1被検査領域に差し掛かったら、第1のダイ51(第1のチップA1)の検査画像データ(第1の画素信号)の取り込みを行なう(ステップS204)。ここでは、第1のダイ51(第1のチップA1)に対応する検査画像のパターンメモリ6への取り込みを合わせて行なう(ステップS205)。次に、マスクステージ2の継続的な連続移動によりセンサーの画素が第2のダイ52(第2のチップA2)の第2被検査領域に差し掛かったら、第2のダイ52(第2のチップA2)の検査画像データ(第2の画素信号)の取り込みを行なう。同時に、これらのデータと、パターンメモリ6から読み出した第1のダイ51(第1のチップA1)の検査画像データとを比較回路9に入力する(ステップS206)。比較回路6では、2つのダイ51,52(2つのチップA1,A2)の画像比較を行ない欠陥の有無を判定する(ステップS207)。画像比較の方法については、検出された欠陥位置の記録法と共に後述する。
次に、1つの短冊状検査領域内に3つ以上のダイ(チップ)があるかを判断し(ステップS208)、もし存在する場合は、同様に第3以降のダイ(チップ)について同様な比較処理と欠陥の有無の判定を継続する(ステップS209)。1つの短冊状検査領域上の処理がすべて終了したら、マスク上の所定領域の欠陥検査が終了したかを判定する(ステップS210)。未終了の場合は次の短冊状検査領域を指定して(ステップS211)、マスクステージ2の新たな位置決めによりEUVマスクMを次の検査開始位置決めし、ステップS202に戻って比較検査を繰り返す。EUVマスクM上の所定領域内のすべての短冊状検査領域上の処理が終了した時点で、欠陥検査を終了する。
ここで、上記図10を用いて説明した、ステップS207で行なわれる画像比較の方法と、検出された欠陥位置の記録方法とを図11のフロー図を用いて説明する。比較回路6では、第1のダイ51(第1のチップA1)と第2のダイ52(第2のチップA2)との検査画像のうち対応する画素同士の比較処理を行なう。より詳しく、まずはステップS221において比較する最初の画素の画素番号を指定する。
次に、対応する画素の検査信号強度差を比較するが、それに先立って、ステップS222において位相欠陥の有無を判定するために第1のダイ51(第1のチップA1)と第2のダイ52(第2のチップA2)とのそれぞれの画素信号強度が第1の閾値を超えるか否かを判断する。第1の閾値とは、上記図5(c)を用いて説明したような位相欠陥の有無を判定するために設定する画素信号強度の閾値である。もし両方の画素信号がいずれも第1の閾値を超えていれば、両方に位相欠陥が存在するとしてその位置を画素番号から演算し、前記の基準マーク41,44に対する相対座標として記録する(ステップS223)。いずれか一方のみが超えている場合も、それを位相欠陥候補位置として記録すると共に、他の画素に対しては欠陥位置候補としてこれも記録する。ただし、この場合は無欠陥である可能性もあるが、少なくともダイ(チップ)同士の比較検査においては欠陥位置の候補として記録する。
上記のステップS222において、いずれのダイ(チップ)も第1の閾値未満であれば、次のステップS224において、第1のダイ領域の画素強度と第2のダイ領域の画素強度との差を計算し、その差があらかじめ定めた第2の閾値を越えるかどうかを判定する。超えていれば、両画素の強度が異なることになるのでいずれの画素に対応する位置も欠陥存在候補としてそれらの基準マーク41,44に対する相対座標を記録装置15に記録する。どちらのダイ(チップ)に欠陥が存在するかは、別方式で確認することになり、ダイ(チップ)同士の比較検査においては確認すべき欠陥位置の候補を記録する(ステップS225)。
与えられた短冊状領域の全て画素強度の比較が行なわれたどうかを判断する(ステップS226)。まだ画素が残っていれば画素番号を更新して(ステップS227)ステップS222に移行する。全ての画素に対して比較処理を終了した時点で、上記図10に示すステップS207の処理が終了したことになる。
以上のように、本実施の形態2のEUVマスクMの欠陥検査方法によれば、同じパターンが繰返し描かれた複数のダイ(チップ)を有するEUVLマスクMのパターン欠陥検査を行うにあたり、EUV光を検査光とする暗視野検査によるダイ−ダイ比較により、多層膜ML中に残存する位相欠陥や吸収体パターンABSの欠陥の存在する位置を検出することができる。特に、パターン設計データから検査の参照画像を演算することなく欠陥の存在候補位置を特定でき、それらの欠陥位置を、EUVマスクM上に吸収体パターンABSで形成された基準マークに対する相対位置として検知することができる。これにより、パターン設計データから検査の参照画像を計算する工程を省略することができ、より高速かつ高精度なEUVマスクMの欠陥検査方法を実現することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、上記実施の形態1または2にて説明したEUVマスクの欠陥検査方法と同様の工程を含み、検出した位相欠陥が吸収体パターンABSの転写に影響を与えると判断した場合に、位相欠陥の近傍の吸収体パターンの形状を修正することにより、見かけ上位相欠陥の影響を低減あるいは消滅させることが可能なEUVマスクの製造方法を説明する。
図12(a)は、検出された位相欠陥61が隣接する吸収体パターンABSの中間に存在する例を示す説明図である。この位相欠陥61は、上記実施の形態1の上記図1を用いて説明した検査装置の暗視野検査機能によりその存在を検出され、その位置を吸収体パターンで構成された基準マーク41,44に対する座標として記憶されている。従って、例えば上記図1に示す各種データファイル13に格納されているパターン図形情報を参照することにより、位相欠陥61に近接する吸収体パターンABSの位置や形状を把握することができる。
図12(a)のようなEUVマスクMをそのまま用いて、マスクパターンをウェハ上に転写すると2本の吸収体パターンABSの像が中央部で接近して線幅精度が劣化する。これは位相欠陥部分の反射率が低下してウェハ面における投影像光強度が本来の値より低くなる為である。
そこで、この投影像光強度の低下を防止する為に、位相欠陥の周辺の吸収体パターンABSの一部を除去加工するなどの、所謂吸収体パターン修正工程を導入した。即ち、図12(b)に示すように、吸収体パターンABSのうち、要部62および要部63で表される吸収体パターンABSの一部分を除去する。この除去は、吸収体パターンABSの中の除去加工すべき座標を取り込み、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いる一般的なパターン修正方法を採用する。その結果、位相欠陥部で発生した投影像光強度の低下を抑制あるいは回避し、寸法誤差が充分小さいパターン投影像を与えるEUVマスクMを製造することができる。このような、EUVマスクMにおける吸収体パターンABSの修正は、前記のような位相欠陥の転写影響低減のほか、吸収体パターンABSの輪郭そのものに欠陥が存在する場合にも適用できる。
本発明者らが事前に検討したEUVマスクの製造方法では、吸収体パターンを形成する前のマスクブランクの段階で位相欠陥検査が行なわれる。従って、位相欠陥の存在が検知されると、そのマスクブランクは不良品として扱われる。仮に、その後の吸収体パターンの形成によって、吸収体に被覆される位置に位相欠陥があったとしても、吸収体パターンを描画する際に、事前に検出された位相欠陥の位置情報を描画位置に反映させることは困難であった。これに対し、本実施の形態3のEUVマスクMの製造方法では、マスクブランク上に存在する位相欠陥が極端に大きいものでなければ吸収体パターンABS形成工程に送り、その後に吸収体パターンABSと残存する位相欠陥との相対位置を求め、かつ、吸収体パターンABSの形状補正によって位相欠陥の転写への影響を回避することができる。
また、本実施の形態3のEUVマスクの製造方法では、吸収体パターンABSを形成した後に上述のような位相欠陥検査を行うことにより、位相欠陥の修正を施す必要の無い場合を選定することができる。より具体的に、以下で説明する。
図13(a)は、多数のホールパターン71を有する吸収体パターンABSを含むEUVマスクMにおいて、吸収体の下に位相欠陥72が残存している場合の説明図を示している。このような位相欠陥72は、上記実施の形態1,2の検査では検出できない。しかしながら、このように吸収体パターンABSに埋もれる位相欠陥72は転写パターンに影響を与えないから、検出する必要も無ければ、修正する必要も無い。即ち、上記実施の形態1,2の欠陥検査方法においてこのような位相欠陥72が検出されないことはむしろ好適である。そして、本実施の形態3のEUVマスクの製造方法においても、吸収体パターンABSに覆われた位相欠陥72に対しては、上記図12で説明したような修正工程を経ずに、EUVマスクの製造工程を遂行できる。
また、図13(b)は、吸収体パターンABSから離れた位置に位相欠陥73が存在する場合である。上記実施の形態1,2の欠陥検査方法によれば、この位相欠陥73は当然に検出される。一方で、上記実施の形態1,2の欠陥検査方法によれば、欠陥の位置も特定できるので、この位相欠陥73が吸収体パターンABSから充分離れている位置に存在することも判断することができる。従って、この位相欠陥73のように、単独で転写されないものであれば、それが存在しても修正の必要は無いと判断することができる。
以上に示した検査手段を用いて、本実施の形態3のEUVマスクの製造方法のフローをまとめると、図14に示す通りとなる。まずクリーニングされたマスク基板を準備し(ステップS301)、次いでEUV光を反射させるMo,Si多層膜およびキャッピング層を形成し、多層膜マスクブランクを作製する(ステップS302)。必要に応じてマスクブランクの従来の検査を行ない、明らかな欠陥が無いことを確認しておく。
続いて、ステップS303で、バッファ層や吸収体材料(吸収体膜)の被着を行う。その後、通用のフォトリソグラフィ法やエッチング法によって吸収体膜などをパターニング(加工)して、吸収体パターンを形成する。その後、従来の光リソグラフィ用マスクに施されるパターン欠陥検査を行なっても良い。その場合、深紫外線(Deep Ultra Violet:DUV光ともいう)などを検査光とする従来の吸収体パターンの欠陥検査を行なって、吸収体パターンに輪郭異常やピンホールあるいは吸収体残りなどの吸収体パターンの欠陥を見出した場合は、欠陥情報を記憶する。ここまでの工程は、本発明者らが事前に検討したEUVL用マスクの従来の製造方法と同様である。
次に、上記実施の形態1,2で説明した方法でEUVマスクの検査を行なう。即ち、ステップS304において、上記図1で説明したEUVマスク検査装置EC1にEUVマスクMを載置して吸収体パターンで構成された基準マークの位置を検出し、続いてステップS305においてEUVマスクMのパターン形成領域全面を暗視野検査法で検査する。欠陥が検出された場合は、その位置を吸収体パターンABSで構成された基準マーク41,44に対する相対位置として記録する。EUVマスクM全面の検査を終了した後、位相欠陥が検出されてその位置が記録されたか否か、すなわち欠陥の有無を判定する(ステップS306)。ここでは、欠陥の有無の判定に際して前記の位相欠陥のみならず、吸収体パターンABSそのものの欠陥の有無の判定も含める。
欠陥が検出されなかった場合、良品マスクとする。位相欠陥が検出された場合、それが近傍の吸収体パターンABSからなるデバイスパターンの転写像に影響するかを判定する(ステップS307)。この欠陥が、例えば上記図13(b)で説明したように、転写パターンに影響を及ぼすような欠陥でないならば、良品マスクとする。そして、位相欠陥が検出され、かつ、近傍の吸収体パターンABSからなるデバイスパターンの転写像に影響すると判定された場合は、ステップS308において、それが吸収体パターンABSの輪郭補正で位相欠陥の影響を回避できるか否かを判断する。吸収体パターンABSの輪郭補正により位相欠陥の影響を修正できると判断した場合は、上記図12(b)に示したような吸収体パターンABSの修正を行なって(ステップS309)、最終的に良品マスクとすることができる。吸収体パターンABSの輪郭補正では位相欠陥の影響が回避できないと判断した場合に、初めて、検査対象のEUVマスクMは不良品として扱われる。また、吸収体パターンABSそのものの欠陥が検出された場合も、ステップS309において合わせて修正する。
ここで、残存して検出された位相欠陥のパターン転写に与える影響を、吸収体パターンABSの輪郭修正で回避できるかどうかの判断は、光学投影像光強度シミュレーションの結果をみて行う。ここでは、本実施の形態3のEUVマスクの製造方法では、上記実施の形態1,2のような欠陥検査方法を採用することで、欠陥と吸収体パターンとの相対位置関係を特定できることから、上記のような判断が可能になる。
なお、本実施の形態3では、吸収体パターンABS形成後に従来の光リソグラフィ用マスクに施される方式と同様の吸収体パターン欠陥検査を行なっても良いとし、その後に位相欠陥検査を行なう例を示したが、吸収体パターンABS形成後は、EUV光を用いる暗視野欠陥検査を従来技術である吸収体パターンABSの欠陥検査工程の前に行なっても良い。
以上のように、本実施の形態3のEUVマスクMの製造方法によれば、吸収体パターンABSを形成したEUVマスクMの多層膜に残存する位相欠陥に起因するパターン投影像の欠陥発生を、吸収体パターンABSの修正によって回避することができる。また、検出された位相欠陥において、修正を施す必要があるか否かを判断することができる。その結果、完成したEUVマスクMに位相欠陥が残存しても、これを良品として使用できる頻度が増大してマスクの歩留まりを大幅に向上させることができる。結果として、信頼性の高いEUVマスクを製造することができる。また、製造するEUVマスクのコスト低減に寄与することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態4では、上記実施の形態1,2にて説明したEUVマスクの欠陥検査工程を、マスクブランクにおける吸収体膜のピンホール欠陥の検査に適用する例を示す。
図15(a)は、多層膜MLおよびキャッピング層CAPの上に、順に、バッファ層BUFと吸収体膜AB1とを被着した状態のマスクブランクMBを示す平面図である。図15(b)は、図15(a)のB−B線に沿って見た断面図である。ここで、吸収体膜AB1とは、後のフォトリソグラフィ法などによる加工によりパターニングされ、吸収体パターンABSとなる前の膜である。このように吸収体膜AB1をバッファ層BUF上に被着した段階で、吸収体膜AB1が正常にバッファ層BUFを覆いきれず、ピンホール欠陥74が発生する場合がある。
このマスクブランクMBを、上記図1を用いて説明したEUVマスク検査装置EC1で検査すると、2次元センサーSEのほとんど全ての画素に取り込まれる検査信号は吸収体膜AB1表面の暗視野検査画像で、その強度はほとんどゼロである。しかし、ピンホール欠陥74を含む画素は、ピンホール欠陥74からのわずかな反射光やピンホールのエッジからの回折光成分を収集してゼロより大きな画素強度を有する。これはちょうど上記図5(d)に示す欠陥DEF4を含む画素強度に相当する。そのため、ピンホール欠陥74については、暗視野検査では比較的高い信号コントラストで検出することができる。
以上のように、本実施の形態4のEUVマスクの欠陥検査方法によれば、吸収体膜AB1を多層膜ML上に被着する際に発生し得るピンホール欠陥74を、比較的大きな画素サイズで検出することができる。また、吸収体膜AB1を被着したマスクブランクMBの状態でピンホール欠陥74を検出しておけば、それが致命的なサイズと判断される場合は、以後のEUVマスク製造工程に送ることを止めることができ、EUVマスク製造の歩留まり低下を未然に防止できる。
(実施の形態5)
本実施の形態5では、上記実施の形態3の製造方法で製造されたEUVマスクMを用いた、半導体装置の製造方法について説明する。上記実施の形態3のEUVマスクの製造方法によって製造されたマスクは、上述の反射型露光装置(上記図24を参照)に載置されて、パターン転写を行なう。半導体装置の製造工程において、微細なパターンの転写が必要な工程にEUVLを採用する。
図16(a)〜(f)は、本実施の形態5の半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。ここでは、ツイン・ウエル方式のCMIS(Complimentary MIS)回路を有する半導体集積回路を製造する場合を例示するが、他の種々の方式の回路にも本製造方法は適用可能である。
半導体ウェハ101を構成するシリコン基板(半導体基板)101sは、例えば、平面略円板状のn型Si(シリコン)単結晶からなる。シリコン基板101sの上部には、例えばnウェル102nおよびpウェル102pが形成されている。nウェル102nには、例えば、n型不純物のP(リン)またはAs(ヒ素)が導入されている。また、pウェル102pには、例えば、p型不純物のB(ホウ素)が導入されている。nウェル102nおよびpウェル102pは以下のようにして形成する。
まず、シリコン基板101s上にマスク合わせ用のウエハライメントマークを形成する(図示しない)。このウエハライメントマークは選択酸化工程を付加してウェル形成時に形成することもできる。続いて、図16(a)に示すように、シリコン基板101s上に酸化膜103を形成し、そして、酸化膜103の上に、インプラ(イオン・インプランテーションの略称、イオン注入ともいう)マスク用のレジストパターン104を通常の光リソグラフィを用いて形成する。その後、P(リン)またはAsをイオン注入して、nウェル102nを形成する。その後、アッシング処理を行ってレジストパターン104を除去し、酸化膜103を除去する。
次に、図16(b)に示すように、シリコン基板101sの上に酸化膜105を形成する。そして、酸化膜105の上に、インプラマスク用のレジストパターン106を通常の光リソグラフィを用いて形成する。その後、B(ホウ素)をイオン注入して、pウェル102pを形成する。その後、アッシング処理を行ってレジストパターン106を除去し、酸化膜105を除去する。
次に、図16(c)に示すように、シリコン基板101sの上側主面に、例えば、酸化シリコン膜からなる分離部107を溝型アイソレーションの形状で形成する。このアイソレーション形状は、例えば、最小寸法がウェハ上で約36nmと小さく、寸法精度が約3.5nmと厳しい値が要求される。このような微細寸法での加工時のリソグラフィ法として、EUVリソグラフィ技術を適用するのが好ましい。
この分離部107によって囲まれた活性領域には、nMISトランジスタQnおよびpMISトランジスタQpが形成される。各トランジスタのゲート絶縁膜108は、例えば、酸化シリコン膜からなり、熱酸化法などで形成される。また、各トランジスタのゲート電極109は、例えば、最小寸法がウェハ上で約32nmと小さく、寸法精度が約3nmと厳しい値が要求される。そのため、例えば、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法等を用いて低抵抗ポリシリコンからなるゲート形成膜を堆積した後、EUVリソグラフィ(第1リソグラフィ)を用いてパターニングしたフォトレジストを形成し、エッチング処理によりゲート電極109を形成する。この工程のリソグラフィは、一般にゲート層用リソグラフィと称され、極めて微細でかつ寸法精度の高いパターン転写が求められる。
nMISトランジスタQnの半導体領域110は、ゲート電極109をマスクとしてシリコン基板101sに、例えば、PまたはAsをイオン注入法等によって導入することにより、ゲート電極109に対して自己整合的に形成される。また、pMISトランジスタQpの半導体領域111は、ゲート電極109をマスクとして基板101sに、例えば、B(ホウ素)をイオン注入法等によって導入することにより、ゲート電極109に対して自己整合的に形成される。
ここで、ゲート電極109は、低抵抗ポリシリコンの単体膜で形成されることに限定されるものではなく種々変更可能である。例えば、ゲート電極109は、低抵抗ポリシリコン膜上にタングステンシリサイドやコバルトシリサイド等のようなシリサイド層を設けた、いわゆるポリサイド構造としてもよい。あるいは、ゲート電極109は、低抵抗ポリシリコン膜上に、窒化チタンや窒化タングステン等のようなバリア導体膜を介在し、さらにタングステン等のような金属膜を設けた、いわゆるポリメタル構造としてもよい。
次に、図16(d)に示すように、シリコン基板101s上に、例えば、CVD法等を用いて酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜112を堆積する。その後、層間絶縁膜112の上面に配線用のポリシリコン膜をCVD法等によって堆積する。続いて、このポリシリコン膜に対してフォトリソグラフィ法やエッチング法などによりパターニングを施した後、パターニングされたポリシリコン膜の所定領域に不純物を導入することにより、ポリシリコン膜からなる配線113Lおよび抵抗113Rを形成する。
次に、図16(e)に示すように、シリコン基板101s上に、例えば、CVD法等を用いて酸化シリコン膜114を堆積する。そして、層間絶縁膜112および酸化シリコン膜114に対してEUVリソグラフィ(第2リソグラフィ)を用いてフォトレジスト膜を形成し(図示しない)、エッチング処理により、半導体領域110,111および配線113Lの一部が露出するような接続孔(コンタクトホールともいう)115を形成する。微細な孔は光回折の影響により解像しにくいので、この接続孔用リソグラフィには高い解像度を持ったEUVリソグラフィ技術を適用するのが好ましい。
次に、図16(f)に示すように、シリコン基板101s上に、例えば、スパッタリング法やCVD法等を用いてチタン(Ti)、窒化チタン(TiN)またはタングステン(W)などからなる金属膜を順次堆積する。その後、金属膜上に、EUVリソグラフィ(第3リソグラフィ)を用いてパターニングしたフォトレジスト膜を形成し(図示しない)、エッチング処理により第1配線層116を形成する。第1配線層116は、微細な密集パターンと孤立パターンとが含まれ、また近隣の配線を避けて配線を引き回したり、配線間を接続したりするため複雑なレイアウト形状となる。このため第1配線層116のフォトリソグラフィにおいても、高い解像度と寸法精度が要求される。
これ以降も、第1配線層116と同様にして第2配線層(図示しない)等を形成することにより、最終製品を製造することができる。上述した一連の半導体装置の製造工程の中で、上記図16(c)のゲート層用リソグラフィ、上記図16(e)の接続孔用リソグラフィ、または、上記図16(f)の第1配線層用リソグラフィには十分高い解像性能が要求される。
そして、上記図16(c)のゲート層用リソグラフィと、上記図16(f)の第1配線層用リソグラフィのフォトレジストマスクのパターニングには、実施の形態1〜4を用いて説明したEUVマスクの欠陥検査方法およびEUVマスクの製造方法を用いて、無欠陥の状態を確認したEUVマスクを用いることが好ましい。また、微細な欠陥が検出された場合であっても、EUVマスク製造時に、欠陥近傍には吸収体パターンが存在せず、かつ欠陥単独では実質的にウェハ上に転写されない場合は、無欠陥と同様の取り扱いができる可能性もある。このように、本実施の形態5の半導体装置の製造方法とすることで、微細なパターンを高い歩留まりで加工することができる。結果として、より信頼性の高い半導体装置を製造することが可能となる。
また上記図16(e)の接続孔用リソグラフィには、実施の形態1〜4を用いて説明したEUVマスクの欠陥検査方法およびEUVマスクの製造方法を用いて、接続孔部形成予定領域付近に欠陥がないことを確認したEUVマスクを用いることが、より好ましい。上述のように、接続孔の面積は小さく、またパターン密度も5%程度であるため、接続孔付近に欠陥が発生する比率は少なく、この方法により使用できるマスクの歩留まりは高くなる。従って、本実施形態により作製した半導体集積回路の歩留まりは、従来のマスク欠陥検査を行って作製したものより高くなる。
以上のように、本実施の形態5の半導体装置の製造方法を採用することで、上記実施の形態1,2または4で説明したEUVマスクの検査装置および欠陥検査方法を用いてマスクブランクを検査し、上記実施の形態3を用いて説明した製造方法で製造したEUVマスクを用いることができ、信頼性の高いEUVマスクを用いたパターン転写を行なうことができる。このため、本実施の形態5の半導体装置の製造方法によって製造した半導体装置の性能、信頼性および歩留まりを向上させることが可能となる。そして、半導体装置のコスト低減にも寄与できる。
(実施の形態6)
図17は、本実施の形態6のEUVマスク検査装置EC2を示す説明図である。EUVマスク検査装置EC2は、EUV検査光(EUV光)BMを発生する光源(EUV光源)1、反射型マスクブランクあるいはEUVマスクMを載置するためのマスクステージ2、照明光学系CIO、結像光学系DPO、2次元アレイセンサー(画像検出器)SE、センサー回路5、パターンメモリ6、閾値設定回路8、閾値との比較回路9、タイミング制御回路10、マスクステージ制御回路11、及び、装置全体の動作を制御するシステム制御コンピュータ18などで構成される。
結像光学系DPOは凹面鏡L1と凸面鏡L2とから構成され、例えば集光開口数NA=0.2、中心遮光開口数NA=0.1、倍率20倍のシュバルツシルド光学系である。位相欠陥やパターン欠陥の有無が検査されるEUVマスクMは、マスクステージ2上に載置される。光源1から発する中心波長13.5nmのEUV検査光BMは、照明光学系CIOを通して集束ビームに変換された後、多層膜ミラーPMで折り曲げられて多層膜マスクMの所定の領域を照射する。多層膜マスクMからの反射光のうち欠陥部で散乱した光は、結像光学系DPOを介して集束ビームSLIを形成し、2次元アレイセンサーSE上に集光する。すなわち、2次元アレイセンサーSEには、EUVマスクMの暗視野検査像が形成され、その結果、EUVマスクM上に残存する位相欠陥は検査画像の中で輝点として検出される。
ここでは吸収体パターンのエッジで散乱する光も捉えられ、前記の位相欠陥の輝点に比べて小さい信号しか得られないものの、吸収体パターンに欠陥が存在すると検出信号の強度が変化する。ここで、EUVマスクMは、石英ガラス等の低熱膨張材で形成されたマスク基板上に、波長(例えば、13.5nm)の露光光に対して反射率が十分に得られるように、Si(シリコン)とMo(モリブデン)を交互に積層した多層膜を形成している。そして、この多層膜の上に所望のパターン形状を有する吸収体パターンを形成することによって、反射型露光マスクを構成している。
EUVマスクMの位置は、マスクステージ2に固定された測長用ミラー3の位置をレーザ測長器4で読み込むことにより、マスクステージ2の位置情報として得られる。この情報は位置回路12に送られ、システム制御コンピュータ18で認識できる。また、EUVマスクM上に形成されているパターンあるいはEUVマスクMの輪郭位置などを光学的に観察してパターン位置を把握できる光学顕微鏡ALOが備えられている。また、ビームスプリッタBSPによりEUV検査光BMの一部を分岐してセンサー7で光量をモニターし、閾値設定回路8において信号処理のための閾値を設定することができる。更に、マスクパターンに関する種々のデータを格納する各種データファイル13、閾値データを格納する閾値データファイル14、欠陥位置などの検出結果を記録する記録装置15が備えられており、種々の情報をパターンモニタ16や画像出力部17を介して観察することができる。以上の構成は、上記実施の形態1において上記図1を用いて説明したEUVマスク検査装置EC1の構成とほぼ同様である。上記で特記していない構成に関しても、本実施の形態6のEUVマスク検査装置EC2は、上記実施の形態1のEUVマスク検査装置EC1と同様の構成を有するとし、ここでの重複した説明は省略する。
本実施の形態6のEUVマスク検査装置EC2は、更に、2次元アレイセンサーSEの位置を2次元方向(互いに交差するX,Y方向とする)に微動させる微動駆動部1001と駆動制御回路1002が備え付けられている。この微動駆動部1001は、2次元アレイセンサーSEの検出器の画素の大きさ、即ちピクセルサイズ(画素寸法)より小さな距離だけ2次元アレイセンサーSEを動かすことが可能である。例えば、2次元アレイセンサーSEの1ピクセルの寸法は10μmであり、倍率20倍の結像光学系DPOを用いた場合、マスク上換算ではピクセルサイズは500nmなので、マスクを500nmより小さい距離だけ移動させることに相当する。このような微動駆動部1001の駆動源として、例えばピエゾ素子を用いる。
以下では、上記のEUVマスク検査装置EC2を用いたEUVマスクの欠陥検査方法を説明する。第1ステップとして、マスク全面検査は上記実施の形態2の欠陥検査方法と同じ手順で行う。
ここでの検査では、欠陥の有無の判断と、画像検出器の検査画素サイズとほぼ同じ位置精度での欠陥位置の特定となる。ここで用いた画像検出器の画素サイズは1個当たり、実際の検出器上で10μm、倍率20倍のシュバルツシルド光学系が用いられているのでマスク上換算では500nmとなり、この位置特定精度では欠陥修正に用いるには誤差が大きい。EUVLでは、代表的な転写寸法が32nmである。これは、通常使用されている4倍体のマスク上では、128nmとなる。
この観点からの本発明者らの事前の検討によれば、マスク上換算の検査画素を細かくするのは2つの理由で課題がある。1つの課題は画素が細かいほど検査時間がかかることである。例えば画素サイズを50nmと現状の10分の1にすると、検査時間は画素面積にほぼ反比例するので、100倍時間がかかることになる。現状の検査時間はマスク全面で2〜10時間であり、その100倍の200〜1000時間は実用的な時間ではない。もう1つの課題は検出器のブラーの問題である。画像検出器としてCCD(Charge Coupled Device)を用いているが、このデバイスでは、入射してきたEUV光がSi層で原子と相互作用して2次電子を放出し、その電子に感応してEUV光が入射してきたことを検知する。EUV光の波長帯ではSi層の比較的表層面で2次電子を放出するため、この電子は幅広く拡散する。従って、拡散領域は数から数十ミクロンにおよび、画素のピクセルサイズを小さくしても検出器上数から数十ミクロン内にある周囲のピクセルが感応してしまうため、位置を特定する精度を向上させるのが困難となる。
そこで、本実施の形態6のEUVマスクの欠陥検査方法では、第2ステップとして、EUVマスクMと検出器の相対位置を微動させてデータを取得することにより、第1のステップで検出した欠陥の位置と形状を正確に特定する。
まず、欠陥が観測された場所(第1被検査領域または第2被検査領域)にマスクステージ2を移動し、微動駆動部1001を使って2次元アレイセンサーSEを所望の方向(第1方向)に微動させて、EUV像信号を収集する。
本実施の形態6のEUVマスクの欠陥検査方法におけるダイ−ダイ比較のシーケンスの例を図18に示す。ここでは、上記実施の形態2と同様に、第1のチップA1(第1のダイ)および第2のチップA2(第2のダイ)が、同一のEUVマスクM上に配置され、ダイ−ダイ比較されるチップ同士である。この符号に添え字を付けて、所望の方向に微動させた場合を示す。より具体的には、第1の位置A11と表記した場合が、第1のチップA1内の最初の位置(第1被検査領域)を示し、以後、順に、第2の位置A12、第3の位置A13、第4の位置A14、・・・、第nの位置A1nなどが微動させた場合を示す。同様に、第1の位置A21と表記した場合が、第2のチップA2内の最初の位置(第2被検査領域)を示し、以後、順に、第2の位置A22、第3の位置A23、第4の位置A24、・・・、第nの位置A2nなどが微動させた場合を示す。
時間軸の流れとして、第1のチップA1の最初の位置(第1の位置A11)でのデータを取り込み、メモリに格納する。続いて、2次元アレイセンサーSEに対する第1のチップA1の相対位置を所望の方向(第1方向)に第1距離だけ微動させて、第2の位置A12でのデータを取り込み、メモリに格納する。ここでは、2次元アレイセンサーSEを動かすことで、2次元アレイセンサーSEに対する第1のチップA1の相対位置を第1距離だけずらすようにして微動させる。予め定めた第nの位置A1nまでこの手順を続けて、第1のチップA1の第1被検査領域内における各位置でのデータ(第1の補助画素信号)を取り込み、メモリに格納する。
その後、第2のチップA2の箇所にマスクステージ2を移動させて、第2のチップA2の最初の位置(第1の位置A21)でのデータを取り込み、メモリに格納する。続いて、2次元アレイセンサーSEに対する第2のチップA2の相対位置を微動させて、第2の位置A22でのデータを取り込み、メモリに格納する。ここでは、2次元アレイセンサーSEを動かすことで、2次元アレイセンサーSEに対する第2のチップA2の相対位置を第1距離だけずらすようにして微動させる。この際の微動の方向(第1方向)および量(第1距離)は、第1のチップA1において第1の位置A11から第2の位置A12に微動させた方向および量と同じにする。予め定めた第nの位置A2nまでこの手順を続けて、第2のチップA2の第2被検査領域内における各位置でのデータ(第2の補助画素信号)を取り込み、メモリに格納する。
ここで、上述のように、2次元アレイセンサーSEは微動駆動部1001によって、2次元アレイセンサーSEの検出器の画素の大きさ、即ちピクセルサイズ(画素寸法)より小さな距離だけ2次元アレイセンサーSEを動かすことが可能である。従って、上記の第1距離も、2次元アレイセンサーSEの画素寸法よりも小さい距離として設定することが可能である。
次に、メモリから第1のチップA1および第2のチップA2の各データを読み出してきてダイ−ダイ比較を行う。ここでは、特に、第1のチップA1と第2のチップA2との対応する位置での信号強度の差を取り、データD1,D2,D3,・・・,Dnとする。より具体的には、第1のチップA1の第1の位置A11での信号(第1の補助画素信号)の強度と、第2のチップA2の第1の位置A21での信号(第2の補助画素信号)の強度とをメモリから読み出し、これらの強度の差である補助強度差を取って、データD1とする。この段階で検出信号のマスク吸収体パターンの影響は除去され、あたかも多層膜上に位相欠陥のみがあるのと同じような状況となる。続いて、第1のチップA1の第2の位置A12での信号強度と、第2のチップA2の第2の位置A22での信号強度とをメモリから読み出し、差を取って、データD2とする。
この手順を続けて第nの位置A1n,A2nでの信号強度を比較したデータDnまで演算し、データを蓄える。その後、各位置の補助強度差であるデータD1〜データDnの解析をして、欠陥位置を特定する。このようにすると、多層膜上に欠陥がある場合を示す上記図25の例に帰することができる。
また、本実施の形態6のEUVマスクの欠陥検査方法における、他のダイ−ダイ比較のシーケンスの例を図19に示す。時間軸の流れとして、第1のチップA1の最初の位置(第1の位置A11)でのデータを取り込み、メモリに格納する。第1のチップA1を第1方向に第1距離だけ微動させて、第2の位置A12でのデータを取り込み、メモリに格納する。ここでは、2次元アレイセンサーSEを動かすことで、2次元アレイセンサーSEに対する第1のチップA1の相対位置を第1距離だけずらすようにして微動させる。予め定めた第nの位置A1nまでこの手順を続けて、各位置でのデータ(第1の補助画素信号)を取り込み、メモリに格納する。
その後、第2のチップA2の箇所にマスクステージ2を移動させて、第2のチップA2の最初の位置(第1の位置A21)でのデータを取り込む。ここでは、同時に、第1のチップA1の第1の位置A11のデータをメモリより読み出し、それらの信号強度の差を取って、データD1としてメモリに格納する。その後、第2のチップA2を第1方向に第1距離だけ微動させて、第2の位置A22でのデータ(第2の補助画素信号)を取り込む。この際の微動の方向および量は、第1のチップA1において第1の位置A11から第2の位置A12に微動させた方向(第1方向)および量と同じにする。ここでは、2次元アレイセンサーSEを動かすことで、2次元アレイセンサーSEに対する第2のチップA2の相対位置を第1距離だけずらすようにして微動させる。そして、上記と同様に、この時点で第1のチップA1の第2の位置A12のデータ(第1の補助画素信号)をメモリより読み出し、これらの信号強度の差である補助強度差を取って、データD2としてメモリに格納する。予め定めた第nの位置A2nまでこの手順を続けて、データDnをメモリに格納する。その後、各位置での補助強度差としてのデータD1〜データDnを解析して、欠陥位置を特定する。
ここで、上述のように、2次元アレイセンサーSEは微動駆動部1001によって、2次元アレイセンサーSEの検出器の画素の大きさ、即ちピクセルサイズ(画素寸法)より小さな距離だけ2次元アレイセンサーSEを動かすことが可能である。従って、上記の第1距離も、2次元アレイセンサーSEの画素寸法よりも小さい距離として設定することが可能である。
このように、図19を用いて説明した方法によれば、上記図18を用いて説明した方法と比較してメモリの消費量が少なく、また処理時間を短くすることができる。一方、上記図18を用いて説明した方法によれば、図19を用いて説明した方法と比較して、各データ(例えばデータD1)などの差分画像計算を各位置(例えば第1の位置A11)などのデータ取り込み時間にとらわれずに設定でき、中央処理装置の設定自由度を高くすることができる。
上記のデータ収集工程について、図20の説明図を用いて詳しく説明する。ここでは、説明を分かりやすくするために、EUVマスクM上に位相欠陥1101が1つ存在する場合を示す。また、周囲にマスク吸収体パターンがある場合の吸収体の影響は、同じパターンが配置されたチップとのダイ−ダイ比較により排しておく。
図20中には、2次元アレイセンサーSEの画素1102、即ちピクセルアレイマトリックスを示している。図20(a),(b),(c)は最初の位置を基点にX方向(横方向)にマスクステージ2に対して2次元アレイセンサーSEを相対的に微動させた場合を示し、図20(a),(d),(e)はY方向(縦方向)にマスクステージ2に対して2次元アレイセンサーSEを相対的に微動させた場合を示す。この微動はステップ送りでも良いし、スキャンでもよい。微動機構はピエゾ駆動とした。ここで、EUVマスクM全面走査のスループットを考慮して、2次元アレイセンサーSEの画素1102のサイズは、センサー上で10μmとなっている。本発明者らの検証によれば、通常、位相欠陥1101の大きさはそれよりはるかに小さい。例えば、本発明者らがマスクブランクの破壊検査を行ったところ、代表的な位相欠陥は多層膜表面からの高さが約1.5nm程度であり、幅が約40nm程度であった。
本実施の形態6の欠陥検査方法によれば、2次元アレイセンサーSEを微動させて各センサー画素(ピクセル)で信号を取ることにより、位相欠陥1101の正確な位置情報が得られる。即ち、図20(a)では、中心のピクセルで強い信号が得られ、図20(b)では中心ピクセルでの信号強度はやや減衰して、中段列左側のピクセルの信号が強まり、図20(c)では中心ピクセルでの信号強度は大幅に減衰して、中段列左側のピクセルの信号が強まる。このようにして、ピクセルの大きさと比較した移動距離と信号強度の各ピクセルでの挙動から、正確な欠陥位置を特定できる。
2次元アレイセンサーSEで捕らえる欠陥像信号のグラフ図を図21に示す。図21(a)は、静止状態での2次元アレイセンサーSE上でのEUV光強度分布(像)1201を示す。暗視野像であり、結像光学系の収差も加わることから欠陥の大きさそのものより拡がった像となる。これを2次元アレイセンサーSEで受けて信号1202として表示したものを図21(b)に示す。信号1202は、2次元アレイセンサーSEの画素(ピクセル)単位で離散されたものとなるとともに、センサーでのブラーが加わって数ピクセルに渡って信号1202が観測される。2次元アレイセンサーSEでのブラーとは、センサーに入射して来たEUV光がセンサーの物質に当って2次電子を出す際、いろいろな向きに2次電子を放出することである。言い換えれば、このような2次電子は物質中で拡散するため、所謂ニジミとなる現象である。このため欠陥の位置の特定は、2次元アレイセンサーSE上の数十μmの範囲にとどまる。結像光学系の倍率は20倍であるため、マスクブランク全面検査の段階ではマスク上で表現しても1μm程度の位置特定精度となっている。
一方、本実施の形態6の欠陥検査方法のように、2次元アレイセンサーSEに微動をかけて信号解析を施した場合、各微動位置において信号波形を積算した包絡線を求めて必要に応じてスムージング処理を施すと、図21(c)に示すように中心位置を正確に把握できるEUV光強度分布1203を得る位置を求めることができる。本発明者らの検証によれば、本実施の形態6の欠陥検査方法とすることで、全面走査だけの場合に比べて50倍以上の細かさで欠陥位置を特定することができた。即ち、欠陥の位置をマスクブランク上で数十nmの精度で特定することができた。特に、この40nmの欠陥の場合の位置特定精度は30nm程度で、マスクとして欠陥救済する上で十分な精度であった。
また、本実施の形態6のような方法で、X,Y両方向に微動を行って信号を取得することにより、欠陥の平面形状を計測することも可能となった。欠陥の平面形状は、欠陥救済を行う上で有用である。一例として、図22に、測定の結果得られた代表的な欠陥の平面形状を説明するための説明図を示す。円形の欠陥1301、楕円形状の欠陥1302、または、線状に近い欠陥1303といったような欠陥形状を、位置を特定して検出することができる。さらに、例えば楕円形状の欠陥1302などにおいては、中心位置に加え、長軸、短軸の向きも捉えることができ、欠陥救済を行う上で重要なデータを得ることができる。また信号強度のピーク位置から重心を求めることもできる。
以上では、EUVマスク検査装置EC2においてEUVマスクMと2次元アレイセンサーSEとの相対位置を微動させる手段として、2次元アレイセンサーSEに微動駆動部1001を設けた構造を説明した。この方法は、結像光学系DPOを介した拡大像に対しての微動となるため、微動精度を保つ上で効果的である。
この他に、マスクステージ2に微動機構を備えるという方法もある。この方法では駆動部がステージに集中し、2次元アレイセンサーSEは半固定となってセンサー周りの構造を簡便、軽量にすることができる。また、マスクステージ2の微動機構と2次元アレイセンサーSEの微動機構を組み合わせることもできる。本質的なことは2次元アレイセンサーSEとマスクブランクとの相対位置をセンサーのピクセルサイズより細かく微動させることにある。
なお、本実施例では欠陥検査対象として吸収体パターンのついたEUVマスクMの場合を示したが、これに限らずフィデューシャルマークのついた多層膜ブランクを検査対象とすることもできる。その場合はダイ−ダイ比較を省くことができる。
以上のように、本実施の形態6のEUVマスク検査装置およびEUVマスクの欠陥検査方法によれば、EUVマスクの位相欠陥の位置と形状とを正確に測定することが可能となる。更に、得られた欠陥位置情報を用いて、欠陥の影響を回避するように、EUVマスクブランクの上に吸収体パターンを形成することが可能になるため、EUVマスクの製造歩留まりを向上させることができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。