JP5428302B2 - 樹脂構造体の製造方法および樹脂構造体製造装置 - Google Patents

樹脂構造体の製造方法および樹脂構造体製造装置 Download PDF

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本発明は、樹脂構造体の製造方法および樹脂構造体製造装置に関するものである。
翼部等の部位に用いられる樹脂構造体においては、エロージョンやキャビテーション等によりその表面が磨耗等することが問題となっており、耐摩耗性を向上させるためその表面上に所定の強度を有する金属材からなる保護部材や保護層を設けることが成されている。このような樹脂構造体の製造方法として、従来では、数ミリ程度の薄い金属板に曲げ加工を施して翼形状に応じて変形させ、変形した金属板と翼部とを接着剤を介して併合させる方法が取られている。このような樹脂構造体として、特許文献1には、繊維強化プラスチックで形成された翼部の表面に、複数の金属製の保護部材を設けるものが開示されている。
特開2004−84524号公報
しかしながら、従来の樹脂構造体の製造方法では、金属板に曲げ加工を施して正確に翼形状に応じて変形させるには、技術者の技量、手間、及び時間が必要となるという施工性の問題がある。また、金属板と翼部とを併合させるための接着剤の塗布工程等は、機械による自動化が難しく作業能率の向上を図ることが難しいという問題がある。
なお、特許文献1に記載のように、保護部材を複数用いる構成であれば、保護部材を形成する金属板一つあたりの変形量が少なくなり翼形状に応じた変形が容易となるが、金属板に曲げ加工を施すという工程は従来と同様に必要であり、従来の問題点と同様に施工性の問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、施工性及び作業効率の向上を図ることが可能な、金属材から形成される保護層を備える樹脂構造体の製造方法及び樹脂構造体製造装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、樹脂材から形成される基材の表面上に、コールドスプレー法を用いて金属材から形成される保護層を形成する保護層形成工程を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、コールドスプレー法により、金属材の粉末を作動ガスと共にノズルから高速で噴射し、固相状態のまま樹脂材の基材に衝突させることで、金属材の保護層を形成することが可能となる。
また、本発明では、上記樹脂材は、繊維強化プラスチックであるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、繊維強化プラスチックからなる基材の表面上に金属材の保護層が形成される樹脂構造体が得られる。
また、本発明では、上記基材は、翼形状を有し、上記保護層形成工程では、上記保護層を、上記翼形状の前縁湾曲部に位置する上記表面上に形成するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、翼形状において特に摩耗が懸念される前縁湾曲部に金属材の保護層が形成される樹脂構造体が得られる。
また、本発明では、樹脂材から形成される基材を対象として、該基材の表面上に、コールドスプレー法を用いて金属材から形成される保護層を形成する保護層形成装置を有するという構成を採用する。
本発明によれば、樹脂材から形成される基材の表面上に、コールドスプレー法を用いて金属材から形成される保護層を形成する保護層形成工程を有するという構成を採用することによって、コールドスプレー法により、金属材の粉末を作動ガスと共にノズルから高速で噴射し、固相状態のまま樹脂材の基材に衝突させて、金属材の保護層を形成することが可能となる。このことから、樹脂構造体を製造するにあたり、施工性の問題を有する基材の形状に応じて金属板に曲げ加工を施す工程、及び作業能率の問題を有する接着剤の塗布工程が不要となる。
したがって、本発明は、施工性及び作業効率の向上を図ることが可能な、金属材の保護層を備える樹脂構造体の製造方法を提供することができる効果がある。
以下、本発明に係る樹脂構造体の製造方法及び樹脂構造体装置の実施形態について、図面を参照して説明する。図1及び図2は、樹脂構造体装置の一部を構成するコールドスプレー装置(保護層形成装置)を示す。
図1は、本実施形態に係るコールドスプレー装置1の概略構成を示す模式図である。
図2は、本実施形態に係るコールドスプレー部10の概略構成を示す模式図である。
コールドスプレー装置1は、コールドスプレー法を用いて基材Bの表面上に保護層Rを形成するものであり、材料粉末Aをスプレーするコールドスプレー部10と、基材Bを載置すると共に基材Bを一定温度に温度制御する基材温度調整部50等から構成される。
基材Bは、例えば、樹脂材と繊維材との複合材である繊維強化プラスチック(FRP)を対象とし、本実施形態では、繊維材として炭素繊維を用いたCFRPを選択している。
材料粉末Aは、例えば、アルミニウム(Al)、Al合金、ステンレス、タングステン・カーバイドコバルト(WC−Co)等の硬質の金属粉末が用いられ、本実施形態では、ステンレスを選択している。
コールドスプレー部10は、材料粉末Aを音速〜超音速で基材Bの表面に固相状態で衝突させて保護層Rを形成するための装置であって、図2に示すように、材料粉末Aを高圧の作動ガスGと共に噴射するスプレーガン11、所望量の材料粉末Aを作動ガスGと共にスプレーガン11に供給する粉末供給部12、作動ガスGを加熱してスプレーガン11に供給するガス加熱器13、粉末供給部12及びガス加熱器13に対して作動ガスGを供給する不図示のガス供給部等を備えている。
ガス供給部から供給される高圧の作動ガスGは2つの経路に分岐され、一方の作動ガスG1はガス加熱器13を経て、室温以上に加熱された後、スプレーガン11に供給される。他方の作動ガスG2は、粉末供給部12へ送気され、キャリアガスとして材料粉末Aと共にスプレーガン11に供給される。
そして、スプレーガン11に供給された作動ガスG(G1,G2)と材料粉末Aは、スプレーガン11の先端のノズル11Nを経て音速〜超音速流となり、ノズル11Nの出口から噴出される。
なお、材料粉末Aの吹き付け速度(噴射速度)は、300〜800m/s程度に設定されている。
また、作動ガスGとしては、空気、窒素、ヘリウムなどが用いられる。特に、不活性ガス(ヘリウム)が好適である。ガス圧力は、0.27〜0.69MPa程度に設定されている。
図1に戻り、基材温度調整部50は、基材Bを載置すると共に基材Bを加熱可能な加熱プレート52と、加熱プレート52内に埋め込まれている加熱ヒータ54と、加熱プレート52の温度を検出する温度センサ56と、温度センサ56の検出結果に基づいて加熱ヒータ54を作動させる温度制御部58等から構成されている。
加熱プレート52としては、熱伝導率が高い材料、例えば、銅やアルミニウム等が好適に用いられる。
加熱ヒータ54としては、高周波コイル(高周波誘導加熱装置)が好適に用いられる。
交流電源に接続された加熱ヒータ54(高周波コイル)を作動させると、加熱プレート52の表面付近に高密度のうず電流が発生し、そのジュール熱で加熱プレート52が誘導加熱するようになっている。
温度センサ56としては、熱電対が好適に用いられる。加熱プレート52に埋め込んだ温度センサ56(熱電対)により加熱プレート52の温度を検出する。加熱プレート52の温度は、基材Bの加熱温度とほぼ等しいので、この温度を基材Bの加熱温度とみなすことができる。
したがって、温度制御部58は、温度センサ56の検出結果に基づいて加熱ヒータ54を制御することで、基材Bを所望の温度に加熱・維持することが可能となっている。
続いて、上記構成のコールドスプレー装置1の動作(保護層形成工程)について説明する。
先ず、加熱プレート52上に、基材Bを載置する。基材Bは常温で載置されても良いし、加熱ヒータ54を作動させ、加熱プレート52からの熱伝導により基材Bを所定温度(例えば、100℃程度)まで加熱された状態で載置されても良い。次に、コールドスプレー部10を作動させ、材料粉末Aを基材Bの表面にスプレーし、基材B上に保護層Rを形成する。
より詳しくは、図2に示すように、作動ガスG1はガス加熱器13を経て、室温以上に加熱された後、スプレーガン11に供給される。作動ガスG2は、粉末供給部12へ送気され、キャリアガスとして材料粉末Aと共にスプレーガン11に供給される。
そして、スプレーガン11に供給された作動ガスG(G1,G2)と材料粉末Aは、スプレーガン11の先端のノズル11Nを経て音速〜超音速流となり、ノズル11Nの出口から噴出される。
ノズル11Nの出口から噴出した材料粉末Aは、固体のまま基材Bに衝突する。そして、高速で基材Bに衝突した材料粉末Aは、塑性変形して基材Bに付着(保護層Rを形成)する。また、材料粉末Aが基材Bに衝突した際に運動エネルギーが熱エネルギーに変わり、材料によっては材料表面が融点を超え結合し強固な密着力を得ることができる。
このように、コールドスプレー部10は、材料粉末Aを溶融またはガス化させること無く、作動ガスGと共に音速〜超音速流で固相状態のまま基材Bに衝突させて保護層Rを形成することができる。
これによって得た保護層Rは、緻密で密度が高く、且つ、硬質の耐摩耗性を有する層を形成する。特に、材料粉末Aを加熱して溶融させないので、酸化や熱変質が殆どないという優れた性質を有する。また、材料粉末Aは、融点以下の低温度で噴射されるため、樹脂材から形成される基材Bに熱変形を与えることなく、保護層Rを形成することができる。
このようにして、基板Bの表面上に保護層Rが形成された樹脂構造体100が得られる。
また、上記構成のコールドスプレー装置1を用いて、図3に示すような樹脂構造体100を形成することが可能である。
この樹脂構造体100は、翼形状を有する基材Bと、翼形状の前縁湾曲部101に位置する表面上に保護層Rが形成されている。このような樹脂構造体100を形成する場合は、例えば、固定具を用いて基材Bを加熱プレート上に固定し、前縁湾曲部101に沿ってスプレーガン11を走査させる。あるいは、スプレーガン11が固定ならば、基材Bをスプレーガン11に対して相対的に移動させ、前縁湾曲部101に沿って保護層Rを形成する方法が採られることとなる。
上記コールドスプレー法を用いることで、図3に示す如く、基材Bが複雑な3次元形状を有していても、その形状に沿って材料粉末Aが衝突して、その形状に応じた一定の厚さの耐摩耗性を有する保護層Rを形成することが可能となり、また、保護層Rと基材Bとを接着剤を必要とせずに併合させることが可能となる。
したがって、上述した本実施形態によれば、樹脂材から形成される基材Bの表面上に、コールドスプレー法を用いて金属材から形成される保護層Rを形成する保護層形成工程を有するという構成を採用することによって、コールドスプレー法により、金属材の粉末を作動ガスGと共にノズル11Nから高速で噴射し、固相状態のまま樹脂材の基材Bに衝突させて、金属材の保護層Rを形成することが可能となる。このことから、樹脂構造体100を製造するにあたり、施工性の問題を有する基材Bの形状に応じて金属板に曲げ加工を施す工程、及び作業能率の問題を有する接着剤の塗布工程が不要となる。
したがって、本発明は、施工性及び作業効率の向上を図ることが可能な、金属材の保護層Rを備える樹脂構造体100の製造方法を提供することができる効果がある。
また、本発明では、上記樹脂材は、繊維強化プラスチックであるという構成を採用することによって、繊維強化プラスチックからなる基材Bの表面上に金属材の保護層Rが形成される樹脂構造体100が得られる。
また、本発明では、基材Bは、翼形状を有し、上記保護層形成工程では、保護層Rを、上記翼形状の前縁湾曲部101に位置する上記表面上に形成するという構成を採用することによって、翼形状において特に摩耗が懸念される前縁湾曲部101に金属材の保護層Rが形成される樹脂構造体100が得られる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、基材B及び材料粉末Aは、保護層Rの剥離防止の観点から、コールドスプレー装置1で形成した保護層Rと基材Bとの熱膨張係数の差が小さくなるものを選定及び組合せするのが望ましい。また、熱膨張係数の差が大きい場合には、本実施形態のように基材Bの樹脂材全体の加熱、もしくは、保護層Rの形成後に急冷しないよう、ガス加熱器13を経て加熱された作動ガスG1のみを形成後の保護層Rに供給し続けて、徐々に冷却する方法を採用することが望ましい。
本発明の実施形態に係るコールドスプレー装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るコールドスプレー部の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る樹脂構造体を示す図である。
符号の説明
B…基材、R…保護層、1…コールドスプレー装置(保護層形成装置)、100…樹脂構造体、101…前縁湾曲部

Claims (2)

  1. 繊維強化プラスチックからなる樹脂材から形成される翼形状の基材の前縁湾曲部に位置する表面上に、コールドスプレー法により、金属材の粉末を、加熱した作動ガスと共にノズルから噴射し、前記金属材から形成される保護層を形成した後、前記作動ガスのみを前記ノズルから噴射しながら前記保護層を徐々に冷却する保護層形成工程を有することを特徴とする樹脂構造体の製造方法。
  2. 繊維強化プラスチックからなる樹脂材から形成される翼形状の基材の前縁湾曲部に位置する表面上に、コールドスプレー法により、金属材の粉末を、加熱した作動ガスと共にノズルから噴射し、前記金属材から形成される保護層を形成した後、前記作動ガスのみを前記ノズルから噴射しながら前記保護層を徐々に冷却するスプレーガンを備える保護層形成装置を有することを特徴とする樹脂構造体製造装置。
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