JP5432019B2 - 難燃性ネット状物、網糸用未硬化状線状物の製造方法、及び難燃性frpネット本体の製造方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の繊維強化樹脂製土木工事用篭マットによれば、施工時及び施工後の篭マットの形態を保持するに足る充分な剛性を有し、経時的な腐食の進行による篭マットの脆化や破損、破損に伴う人体損傷、腐食による環境汚染等が無く、軽量で施工地盤の僅かな凹凸に順応出来る適度の柔軟性を有する事によって作業効率を向上させ、施工後の洗掘に対しても前記柔軟性によって、僅かな洗掘の内に篭マットが洗掘に合わせて沈下し、隙間の拡大を防止できるという効果を奏し得る。
また、コンクリート塊が剥離して落下するのを防ぐネットとして、金属板の枠体に金網を挟持した剥落防止ネットが提案されている(特許文献3参照)。
さらに、合成繊維網の周囲にロープを挿通し縫製した網体を、支持金具に挿通した連結ワイヤーに、ロープを介して結束して張設する工法(特許文献4参照)が提案されている。
さらに、特許文献4に記載の張設工法は、道路高架橋下面のコンクリート片剥落物の防止を対象とするものであって、トンネル上面や壁面などには適用できない。
また、この特許文献5に記載のFRP格子筋は、補強筋が互いに30〜150mm離間して格子状に配置され、幅が3〜10mm、厚さが1〜5mmで、面状の剛性を有する比較的剛直なものであるため、トンネルのつなぎ目など段差のある部分に張設するには適していない。また、重量も比較的重く、高価であり、作業性に課題が残る。
(2)一方、複合線状物におけるFRPの断面外周の被覆樹脂である熱可塑性樹脂に難燃剤を配合すると、被覆樹脂層が被覆樹脂層とFRP層の界面で、未硬化状熱硬化性樹脂のモノマーを吸収し、熱硬化処理時に充分に硬化できないという硬化不良の問題が発生していた。これはFRP部のマトリックス樹脂が脆く、マトリックス樹脂と補強繊維とが接着不足の状態を生じていたためである。
(3)また、編網が終了するまで硬化しないような、少なくとも30日程度の可使時間(ポットライフ)を有し、かつ編網後、加熱によって充分硬化して物性を発現するようなマトリックス樹脂が望ましいが、難燃剤を添加すると可使時間の調節が一層困難になるという可使時間の不足の問題があった。
(1)土木工事用篭マット又は構築物のコンクリート剥落防止用ネットに用いられる難燃性ネット状物であって、該難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体が、(i)未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維状の補強繊維の外周に直接するポリエチレンからなる1次被覆層と、該1次被覆層の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆してなる2次被覆層を有する未硬化状複合線状物を、2子の網糸として編網後に硬化した、目合い20〜150mmの角目状の無結節網からなり、(ii)前記未硬化状複合線状物は、前記ポリエチレンにより1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0mm2と、前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上として被覆されたものであり、(iii)硬化した2子の網糸を試験片としたときの燃焼性が自己消火性であり、(iv)硬化した2子の網糸の1本を切断し、被覆樹脂を剥ぎ、FRP部を目視および触手によって、硬化した熱硬化性樹脂であるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と前記補強繊維との接着状態を評価した時、固化状態のマトリックス樹脂が補強繊維と結着している、
ことを特徴とする難燃性ネット状物。
(2)前記FRPネット本体は、前記未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網して硬化してなる、前記(1)に記載の難燃性ネット状物。
(3)前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンは、難燃剤として無機金属水酸化物が含まれてなる前記(1)又は(2)に記載の難燃性ネット状物。
(4)前記未硬化状複合線状物の未硬化状熱硬化性樹脂に、さらに、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物から選ばれる少なくともいずれかを重合単位とする樹脂からなる増粘剤(A)と、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物の少なくともいずれかから選ばれる重合単位とする樹脂からなる浸透増粘剤(B)とを配合してなり、かつ、前記増粘剤(A)の配合量が前記未硬化状熱硬化性樹脂と前記浸透増粘剤(B)5〜50質量部との合計量100質量部に対して、0.5〜50質量部である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
(5)さらに、目合いが1〜30mmの難燃性メッシュ状物を、前記FRPネット本体の一方の面に配置してなる、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
(6)難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iv)を含む製造方法、
(i)長繊維状の補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸する工程、(ii) 前記熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程、(iii)前記未硬化状線条物の外周を第1の溶融押出機の被覆ヘッドに導いてポリエチレンにより環状に1次被覆し、直ちにこの1次被覆層を冷却固化する工程、及び(iv)前記1次被覆層を有する未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより所定の厚みで環状に2次被覆し、直ちにこの2次被覆層を冷却固化する工程。
(7)難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iii)を含む製造方法、
(i)長繊維状の補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸する工程、(ii)熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程、(iii)未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて、該未硬化状線状物の外周に直接する第1層をポリエチレン、該第1層の外周の第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンの複層として環状に押出して被覆し、これを直ちに冷却固化して、該第2層を網糸用未硬化状複合線状物の表面層とする複層被覆工程。
(8)前記(6)又は(7)に記載の製造方法により得られた網糸用未硬化状複合線状物による難燃性FRPネット本体の製造方法であって、下記(i)〜(ii)を含む製造方法、
(i)未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網する工程、(ii)編網されたネットを緊張状態で固定して目合い20〜150mmの角目状の無結節網に硬化する工程。
本発明の網糸用未硬化状複合線状物の製造方法は、未硬化状熱硬化性樹脂に難燃剤を配合した場合に生じる、補強用長繊維への含浸不良、硬化阻害の問題、及び可使時間の短縮化等の問題を回避できる未硬化状複合線状物の製造方法として有効に利用できる。
さらに、本発明の難燃性FRPネット本体の製造方法は、難燃性網糸用未硬化状複合線状物を用いた無結節網の製造方法として有効に利用できる。
FRPネット本体は、図4(A)に示すように、未硬化状熱硬化性樹脂22'に増粘剤と浸透増粘剤とを含有させる工程と、補強用長繊維21を未硬化状熱硬化性樹脂22'に含浸させる工程と、この含浸された長繊維21の外周を所定の外径に絞り成形し、その外周にポリエチレンからなる1次被覆層23を施し、引き続いて該1次被覆層23の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆して2次被覆層24を有する図2に示す如き未硬化状複合線状物20'を、2子の網糸として編網して硬化した、目合いが20〜150mmの角目状の図1に平面図として示すような無結節網であって、硬化した複合線状物20とすることで、所定形状、物性を備えたFRPネット本体2とすることができる。
複合線状物20の外径は、1.5〜5mmであることが好ましく、2.0〜3.5mmであることがさらに好ましい。1.5mm未満では、コンクリート剥落防止用ネットとしての十分な抗張力(引張強力)が得られず、5mmを超えると、編網がし難くなり、得られるFRPネット本体2も柔軟性に欠け、かつ重量も増して、施工性の問題が生じる。
また、前記FRPネット本体2を構成する複合線状物20の破断荷重(引張耐力)が、400N以上であることが篭マットやコンクリート剥落防止用ネットとしての性能上好ましく、500N以上であることが更に好ましく、600N以上であることが特に好ましい。
このように、増粘剤だけでなく浸透増粘剤も用いることで、液ダレ現象が起こらず実用に適した未硬化状複合線状物20'とすることができる。
本発明の2次被覆に用いられるノンハロゲン難燃性ポリエチレンは、JIS K7201(1976)に規定する測定法による酸素指数が31以上であることを要し、酸素指数31未満では有効な自己消火性レベルの難燃性が得られない。
本発明において使用されるノンハロゲン難燃剤とは、その化学構造中にハロゲン元素を持たない化合物であり、具体的には、無機系難燃剤、有機リン系難燃剤、窒素系難燃剤並びにシリコーン系難燃剤等を挙げることができる。
本発明に2次被覆に用いる難燃性ポリエチレンは、特性的には、メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜10g/10分である。MFRが0.1g/10分未満であると溶融被覆性が低下し、30g/10分を超えると、2次被覆層の破壊応力、破壊歪み、衝撃強度等の
機械特性が低下するので好ましくない。
前記(iii)の1次被覆及び(iv)の2次被覆は、それぞれポリエチレン及びノンハロゲン難燃性ポリエチレンによって継ぎ目なく環状に被覆すること、及び被覆直後に被覆層を冷却固化することが重要である。被覆層の冷却固化が遅れると、溶融押出された被覆層の熱により未硬化状線状物の熱硬化性樹脂が部分的硬化したりして、網糸用未硬化状複合線状物としての、編網迄の可使状態での保管ができなくなったり、編網して硬化した後の複合線状物の物性が低下する等の不具合を来す。
上記(iii)工程のポリエチレンによる1次被覆により1次被覆層を形成した1次被覆未硬化状複合線状物は、図4(B)に示すように必要に応じて引取機44を介し、巻取りボビン45がセットされた巻取機によって一旦ボビン45に巻取り、引き続いて図4(D)に示すように、ボビン45に巻取られた1次被覆未硬化状複合線状物を溶融押出機50に連続的に導いて、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンで2次被覆する2段階の工程を経て未硬化状複合線状物とすることができる。すなわち、1次被覆と2次被覆を別ライン、即ち図4(A)と図(B)の工程に引き続いて図(D)の工程で行うこともできる。
このため、減圧ラインに接続された吸引パイプ73によって、被覆ポリエチレンによる被覆コーン内部も含めて減圧とすることにより、未硬化状線状物の外周とポリエチレンによる一次被覆層との密着性を向上させることができる。
また、最終絞りノズル60は、図5においては被覆ヘッド部の入り口側にあるが、図6の案内ノズル83のように、なるべく円環状ダイス72の近傍に近づけることが望ましい。そのためには、図5においては、芯金74の空洞部の径を大きくして、かつ、最終絞りノズルのジャケット部の径を細くして、芯金74の空洞部に挿着可能な構造とすればよい。
この第2態様発明の網糸用未硬化状複合線状物の製造方法について図4により説明する。(i)及び(ii)の工程は第1態様の製造方法と同じであるが、図4(A)に示す(iii)の工程が未硬化状線条物の外周を2台の押出機が結合された溶融押出機42A+Bの複層被覆ヘッド(図6に断面の概要を示す)に導いて、第1層をポリエチレン(図6の流路A)と、第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレン(図6の流路B)を、ポリエチレンを内層、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンを外層とする複層に合流させて環状に押出して被覆し、これを直ちに水冷槽43に導いて冷却固化し、得られた網糸用未硬化状複合線状物をボビン等に巻き取る方法である。
また、2次被覆に無機金属水酸化物からなる難燃剤を含むポリエチレンを用いると、溶融粘度が上昇して被覆し難くなるが、被覆適性に優れたポリエチレンが内層にあるので、2層が協同して円滑な被覆を施すことが可能となる利点を有する。
(i)未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網する工程、(ii)編網されたネットを緊張状態で固定して目合い20〜150mmの角目状の無結節網に硬化する工程、を含む、製造方法である。
無結節網には、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線状に伸びる貫通型(普通型)、2子の網糸の子糸を2〜3回交叉させ、網糸がジグザグに伸びる千鳥型、2子の網糸の子糸を3〜4回交叉させ網糸は連接部を経て直線的に伸び、網目を開いたときの形が六角形になる亀甲型が挙げられるが、特に、軽量で網目が一定であることから、貫通型(普通型)無結節ネットとすることが好ましい。
また、FRPネット本体の幅および長さは使用する編網機の大きさによって決定されるものであるが、対象となる篭マットやコンクリート剥落防止箇所の工事方法等に対応して、適宜の幅や長さとして供給することができる。
本発明の難燃性ネット状物をコンクリート剥落防止用ネットとする場合には、コンクリート剥落細片を捕捉するため、図3に示すように目合いが1〜30mmの難燃性メッシュ状物3を、前記FRPネット本体2の一方の面に配置することができる。
難燃性メッシュ状物1はFRPネット本体2の一方の面に取り付けられるが、取付けられた難燃性メッシュ状物は、コンクリート剥落防止用に用いられるときは、当該難燃性メッシュがコンクリート構造物側となるようにして施工される。
難燃性メッシュ状物としては、構成する繊維自体が難燃性或いは不燃性の織物として、ガラス繊維を用いた平織物、合成繊維の平織物等のメッシュ状物の表面に難燃加工を施したもの等が挙げられる。
難燃加工としては、難燃性樹脂液のコート、ポリ塩化ビニル樹脂のコート等が挙げられるが、ノンハロゲン難燃性樹脂液による加工がより好ましい。また、メッシュ状織物等を構成する繊維そのものを難燃化してもよい。
メッシュ状物の目合いは、1〜30mmであることが好ましく、1〜20mmであることがさらに好ましく、2〜10mmであることが特に好ましい。目合いが1mm未満では、剥落した小片で目詰まりが生じ、透水不良となる危惧があり、30mmを超えると、剥落片を有効に捕捉できない。
本発明の難燃性ネット状物として、コンクリート剥落防止用ネットに用いられる場合の1例を図3に示す。同図は、1つの目合いを拡大して示すものであり、メッシュ状物3とFRPネット本体2とが、FRPネット本体2の連接部2のメッシュ状物との接触側において固着されている。固着する目的は、先ずFRPネット本体2とメッシュ状物3とを一体とすることによって、製造後、保管時、施工時の取扱い性を向上させると同時に、FRPネット本体2の開口部26を覆うメッシュ状物3に万一コンクリートの剥落が生じた場合に、コンクリート剥落片による荷重を、FRPネット本体2を構成する当該負荷部近傍の目合いの複合線状物20を介してFRPネット本体2に負荷し、さらにその負荷を、FRPネット本体2を固定する部材を介してコンクリート構造体に分担させることが出来るようにするためであり、当該負荷部のメッシュ状物3が、FRPネット本体2の目合い(開口部)26から膨出したりするのを極力抑制するためである。
具体的な固着の手段としては、接着剤を用いる方法や、熱融着による方法、バンドや紐等の適宜の結束具で結わえる方法等を挙げることができる。
なお、メッシュ状物は、通常、強度がFRPネット本体よりも低いので、実際の施工に際しては、FRPネットとコンクリート面との間に介在させて施工されるので、FRPネットの全面に固着されている必要はなく、施工時の取扱いが容易な程度に固着されていればよい。
前記固着の手段としては、熱融着が簡便である。FRPネット本体2を構成する複合線状物20は、熱可塑性樹脂被覆層24を有しているので、当該熱可塑性樹脂被覆層24と、メッシュ状物3とが熱融着可能なものを選択し、FRPネット本体2とメッシュ状物3を重ねて、融点近傍の温度に加熱された熱ローラー間に通す方法等で熱融着することができる。
なお、ここで言う熱融着とは、メッシュ状物を構成する繊維間にFRP本体の2次被覆樹脂24が溶融含浸するか、メッシュ状物を構成する繊維束を包埋
して、FRPネット本体とメッシュ状物とが固着されている状態を含むものである。
この方法によるときは、接着剤による方法と比較して、接着剤が不要で、塗布や硬化の装置や手間が要らず、経済的にも有利である。
例えば酸化防止処理、耐候性処理、抗菌処理、帯電防止処理、表面凹凸処理、酸化処理、微粒子付与処理、撥水処理、撥油処理、吸着処理、多孔質処理、蓄光・蛍光処理等を施すことができる。表面凹凸処理としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。また、密着性向上処理としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理が上げられる。
実施例、比較例の各種物性は以下の方法により測定した。
(ネットの引張強力)
編網硬化したFRPネットから200mmの長さの2節1本の撚られた網糸が含まれるようにサンプリングし、図7に示すように上下各50mmずつを把持し、500kgのロードセルを取付けた万能型引張り試験機(オリエンテック社製:TENSILON万能試験機RTA−100)を用いて100mm/分で測定した。測定数nは4とした。
編網硬化したFRPネットを構成するネット線(編網された2子の複合線状物)の1本を切断し、被覆樹脂を剥ぎ、FRP部を目視および触手によって、熱硬化性樹脂からなるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と補強繊維との接着状態を評価した。
マトリックス樹脂が硬く固まり、かつ補強繊維と結着している場合を「硬化」と判定し、マトリックス樹脂が脆く崩れ、かつ補強繊維がマトリックス樹脂から分離できる場合を「非硬化」と判定した。
編網硬化したFRPネットから図9に示すような幅12.7mm×127mmのサンプルを5個用意し、UL94のV試験方法に準じて、約900℃のバーナーを、10秒間サンプル下端に接炎し、5個の試験サンプルがすべて自然消火する場合を「自己消火性」と判定した。
(未硬化状複合線状物の製造)
1100dtex/本を13本無撚合糸した14300総dtexのポリエステル長繊維(東洋紡績(株)製、商品名「E1100T190−H02」)に、増粘剤としてポリメタクリル酸メチル樹脂粉末(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼブイアックF320」、粒子径1μm)と、浸透増粘剤としてメタクリル酸ベンジルと、を含む不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ユピカ9001」)を未硬化状熱硬化性樹脂として含浸させ、外径1.50mmに絞り成形した未硬化状物とし、引き続いてこの未硬化状物を溶融押出機のヘッド部に導いて、その外周をMFRが4g/10分、酸素指数が16の直鎖低密度ポリエチレン(プライムポリマー社製、商品名「ネオゼックス 0434N」)で環状に被覆して、水冷却槽に導いて、ポリエチレン被覆層を冷却固化して、1次被覆厚み0.1mm、1次被覆層外径1.7mmの1次被覆未硬化状複合線状物をボビンに巻き取った。
引き続いて、この1次被覆未硬化状複合線状物を連続的に2次被覆用の押出機に挿通して、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンとして、難燃成分として水酸化マグネシウムと有機リン化合物を含み酸素指数が33、MFRが0.27g/10分のダウケミカル社製の「ナックセーフNUC 9739」により2次被覆を施し、水冷却槽に導いて、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンを冷却固化して、2次被覆厚み0.65mm、2次被覆層外径3.0mmの2次被覆を有する未硬化状複合線状物をボビンに巻き取った。なお、未硬化状複合線状物の未硬化状熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂75質量部に対して、増粘剤としてポリメタクリル酸メチル1質量部、浸透増粘剤としてメタクリル酸ペンジル25質量部を配合したものである。
前記で得られた未硬化状複合線状物〔製造後24℃で保管し、1日(24時間)経過したもの〕を用い、目合い50mmの無結節網を編網し、次いでこれを、50mmの角目状になるように両端を緊張して110℃の高圧飽和水蒸気釜中で40分間加熱硬化しつつ熱セットして、FRPネット本体を得た。
得られたFRPネット本体は、単位重量が900g/m2で、見かけ厚みが6.5mmであった。編網時における、子糸として未硬化状複合線状物の1目合いの撚り回数は3回、1m当たりの撚り回数は60回/mとした。
なお、FRPネット本体を構成する複合線状物の撚線2節1本の引張強力は、1.45kNであった。
難燃性ネット状物の構成及び評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例1におけるノンハロゲン難燃性ポリエチレンをダウケミカル社製の「ナックセーフNUC 9739」から、水酸化マグネシウムと有機リン化合物からなる難燃剤を含み、酸素指数が34、MFRが0.35g/10分である日本ポリエチレン社製の「CR136GB」に置き換えた他は、実施例1と同様にしてFRPネット本体を作製した。評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例1において、補強繊維の本数を13本から7本に減じ、未硬化状線状物の絞り外径を1.1mmとし、1次被覆外径を1.3mm、2次被覆外径を2.4mmとした他は、実施例1と同様にして未硬化状複合線状物を得た。得られた未硬化状複合線状物を用いて、目合い30mmの無結節網を編網し、次いでこれを、30mmの角目状になるように両端を緊張して110℃の高圧飽和水蒸気釜中で40分間加熱硬化しつつ熱セットして、FRPネット本体を得た。
得られたFRPネット本体は、単位重量が500g/m2で、見かけ厚みが5.5mmであった。編網時における、子糸として未硬化状複合線状物の1目合いの撚り回数は2回、1m当たりの撚り回数は67回/mとした。評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例1で得られたFRPネット本体に、難燃性メッシュ状物として、ガラス繊維織布(からみ織)を複層した。このガラス繊維織布は、織布を構成するガラス繊維束の太さが0.4mm、目合いが、縦1.4mm、緯1.2mm、織布25mm幅の引張強力が340N/25mm、破断伸度3%のものである。FRPネット本体とガラス繊維織布との複層は、ガラス繊維織布をFRPネット本体上に重ね、170℃に加熱された上部ローラーと、非加熱で常温の下部ローラー(面材による表面)からなる一対のローラー間に、FRPネット本体を下層、メッシュ状ガラス繊維織布を上層として通して、FRPネット本体の2次被覆層を溶融させて、熱融着させた。評価物性についてまとめて表1に示す。
実施例1で得られたFRPネット本体に、難燃性メッシュ状物として、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維織布にポリ塩化ビニル樹脂コートを施した平織織布を複層した。このPET織布は、構成繊維束の太さが0.5mm、目合いが4mm、織布25mm幅の強力が527N/25mm、破断伸度25%のものである。FRPネット本体とメッシュ状PET織布との複層は、メッシュ状PET織布をFRPネット本体上に重ね、FRPネット本体の連接部(交点)で結束用バンドにより結束した。評価物性についてまとめて表1に示す。なお実施例5の複層FRPネットは、複層したメッシュ状物のコート材としてポリ塩化ビニル樹脂を少量使用しているものであるが、マウスによる燃焼ガス有害性試験(国土交通省告示1231号)に合格するレベルであった。
実施例1の2次被覆層のノンハロゲン難燃性ポリエチレンを、水酸化マグネシウムを主成分とし、MFRが1.9g/10分、酸素指数が25であるプライムポリマー社製の商品名;モアテック ISEC−B3に変えた他は、実施例1と同様にして、未硬化状複合線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。得られたFRPネット本体は、難燃性テスト時にバーナーを離しても延焼し、自己消火性を満足し得なかった。評価物性についてまとめて表2に示す。
実施例1において、2次被覆層の厚みを0.65mmから0.55mmに減らして、2次被覆層の外径を2.8mmとした未硬化状複合線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。本比較例2では、1次被覆した未硬化状被覆線状物の断面積S0mm2、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0が1.71であり、難燃性テスト時にバーナーを離しても延焼し、自己消火性を満足し得なかった。評価物性についてまとめて表2に示す。
実施例1において、ポリエチレンによる1次被覆をすることなく、2次被覆に用いたノンハロゲン難燃性ポリエチレンを用いて、未硬化状線状物の外周を直接ノンハロゲン難燃性ポリエチレンで厚み0.75mm、被覆外径3.0mmに1層で被覆した未硬化状被覆線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。本比較例3では、未硬化状線状物の断面積S0mm2、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0が3.00であり、難燃性は十分であるが、熱硬化性樹脂の硬化が不十分であるため、引張強力が低く、かつ、FRP部を観察した結果、非硬化状態であった。評価物性についてまとめて表2に示す。
比較例3において、未硬化状線状物の外周を直接ノンハロゲン難燃性ポリエチレンで被覆したのに換えて、実施例1で用いたポリエチレンのみにより1層で被覆した未硬化状被覆線状物を得、その他は実施例1と同様にして編網、硬化してFRPネット本体を得た。本比較例4では、引張強力は高い値を示したが、ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる被覆層がないため、難燃性テストにおいて延焼し、難燃性は不十分であった。評価物性についてまとめて表2に示す。
本発明の難燃性ネット状物は、未硬化状複合線状物を編網後に硬化した、無結節網からなるFRPネット本体とし、該FRP本体にメッシュ状物を固着させれば、柔軟性を有し、且つ充分な抗張力と、細剥落片の捕捉力を有しており、トンネルの繋ぎ目などの段差がある部分の剥落防止用ネットとして利用できる。所定の目合いのメッシュ状物を組み合わせて使用すれば、透水性があり、湧水のある部分の剥落防止用ネットとして利用できる。
本発明の難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法は、未硬化状熱可塑性樹脂と接触する層をポリエチレンからなる1次被覆層、その上層にノンハロゲン難燃性ポリエチレンからなる2次被覆層を施しているので、難燃性成分による未硬化熱硬化性樹脂への硬化阻害等の悪影響を回避でき、編網硬化後に複合線状物として十分な物性を発現できる網糸用未硬化状複合線状物の製造方法として利用できる。
本発明の難燃性FRPネット本体の製造方法は、本発明の網糸用未硬化状複合線状物の製造方法により得られた網糸用未硬化状複合線状物を用いて編網し、角目状の無結節網を製造する方法として有効に利用できる。
2 FRPネット本体
3 メッシュ状物
20 複合線状物
20' 未硬化状複合線状物(網糸)
21 長繊維
22 硬化した熱硬化性樹脂
22' 未硬化状熱硬化性樹脂組成物
23 ポリエチレン
24 ノンハロゲン難燃性ポリエチレン
25 連接部
26 目合い(升目、開口部)
30 メッシュ構成繊維
40 熱硬化性樹脂含浸槽
41 絞りノズル
42A、46、50 単層被覆押出機
42(A+B) 複層被覆押出機
43、47、51 水冷槽
44、48、52 引取機
45、49、53 巻取りボビン
60 最終絞りノズル
61、86 給水パイプ
62、87 排水パイプ
70 導管部
71、80 被覆ヘッド
72、82 円環状ダイス
73、85 減圧(空気吸引)パイプ
74、84 芯金
81 複層(2層)被覆ヘッド
83 案内ノズル(最終絞りノズル)
S 被測定サンプル
W FRPネット本体の目合い
Claims (8)
- 土木工事用篭マット又は構築物のコンクリート剥落防止用ネットに用いられる難燃性ネット状物であって、該難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体が、
(i)未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維状の補強繊維の外周に直接するポリエチレンからなる1次被覆層と、該1次被覆層の外周を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより被覆してなる2次被覆層を有する未硬化状複合線状物を、2子の網糸として編網後に硬化した、目合い20〜150mmの角目状の無結節網からなり、
(ii)前記未硬化状複合線状物は、前記ポリエチレンにより1次被覆した未硬化被覆線状物の断面積S0mm2と、前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンによる2次被覆層の断面積S1mm2との比S1/S0を2.1倍以上として被覆されたものであり、
(iii)硬化した2子の網糸を試験片としたときの燃焼性が自己消火性であり、
(iv)硬化した2子の網糸のFRP部を目視および触手によって、硬化した熱硬化性樹
脂であるマトリックス樹脂の固化状態およびマトリックス樹脂と前記補強繊維との接着状態を評価した時、固化状態のマトリックス樹脂が補強繊維と結着している、
ことを特徴とする難燃性ネット状物。 - 前記FRPネット本体は、前記未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網して硬化してなる、請求項1に記載の難燃性ネット状物。
- 前記ノンハロゲン難燃性ポリエチレンは、難燃剤として無機金属水酸化物が含まれてなる請求項1又は2に記載の難燃性ネット状物。
- 前記未硬化状複合線状物の未硬化状熱硬化性樹脂に、さらに、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物から選ばれる少なくともいずれかを重合単位とする樹脂からなる増粘剤(A)と、アクリル酸エステル系化合物、メタクリル酸エステル系化合物、及びビニル化合物の少なくともいずれかから選ばれる重合単位とする樹脂からなる浸透増粘剤(B)とを配合してなり、かつ、前記増粘剤(A)の配合量が前記未硬化状熱硬化性樹脂と前記浸透増粘剤(B)5〜50質量部との合計量100質量部に対して、0.5〜50質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
- さらに、目合いが1〜30mmの難燃性メッシュ状物を、前記FRPネット本体の一方の面に配置してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性ネット状物。
- 難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iv)を含む製造方法。
(i)長繊維状の補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸する工程。
(ii) 前記熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程。
(iii)前記未硬化状線条物の外周を第1の溶融押出機の被覆ヘッドに導いてポリエチレンにより環状に1次被覆し、直ちにこの1次被覆層を冷却固化する工程。
(iv)前記1次被覆層を有する未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンにより所定の厚みで環状に2次被覆し、直ちにこの2次被覆層を冷却固化する工程。 - 難燃性ネット状物を構成するFRPネット本体に用いる、網糸用未硬化状複合線状物の製造方法であって、下記(i)〜(iii)を含む製造方法。
(i)長繊維状の補強繊維に未硬化状の熱硬化性樹脂を含浸する工程。
(ii) 熱硬化性樹脂が含浸された補強繊維を絞り成形して所定の外径の未硬化状線条物とする工程。
(iii)未硬化状線条物を溶融押出機の被覆ヘッドに導いて、該未硬化状線条物の外周に直接する第1層をポリエチレン、該第1層の外周の第2層を酸素指数31以上のノンハロゲン難燃性ポリエチレンの複層として環状に押出して被覆し、これを直ちに冷却固化して、該第2層を網糸用未硬化状複合線状物の表面層とする複層被覆工程。 - 請求項6又は7に記載の製造方法により得られた網糸用未硬化状複合線状物による難燃性FRPネット本体の製造方法であって、下記(i)〜(ii)を含む製造方法。
(i)未硬化状複合線状物を子糸として、2子の網糸の子糸を互いに交叉させ、網糸が連接部を貫通して直線的に伸びる貫通型(普通型)無結節状に編網する工程。
(ii)編網されたネットを緊張状態で固定して目合い20〜150mmの角目状の無結節網に硬化する工程。
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