JP5437018B2 - エコノマイザーの性能回復方法と回復設備 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器内に堆積した低熱伝導物質を除去して伝熱性能を回復させる性能回復方法および回復設備に関し、特に、ボイラのエコノマイザーに堆積した硫安や酸性硫安などの低熱伝導物質をボイラの運転を継続しながら除去して、エコノマイザーの伝熱性能を回復させる性能回復方法および回復装置に関する。
三酸化イオウや硫酸ガスなどのSOxガスとアンモニアガスを含む排ガスは、化学反応により硫酸アンモニウム(硫安)や硫酸水素アンモニウム(酸性硫安)を生成し、排ガス温度がこれら塩の析出温度以下になると、排ガス流路に堆積して閉塞したり、伝熱管表面に堆積して熱交換性能を劣化させたりする。
たとえば、SOxガスを含むボイラ排ガス中に、ボイラエコノマイザー上流のアンモニア脱硝設備などからアンモニアガスが混入する場合は、ボイラエコノマイザーで排ガスが低温になるためエコノマイザー伝熱部で硫安および酸性硫安を析出して堆積する。伝熱面に付着した硫安等は熱伝導率が低いので、熱交換器の熱交換効率が低下する。なお、硫安や酸性硫安を生成するSOxガスとアンモニアガスは、排ガスを生成するプロセスから供給される場合もある。
スートブロアーや水洗装置など既存のダスト除去装置は、硫安等が析出することにより生成したダストに対してはクリーニング効果が十分でない。このため、従来は、ボイラを一旦停止して冷却した後に水洗しエアーブローする、などのクリーニング方法が取られてきた。硫安等は、水溶性であるため比較的容易に水洗処理できるが、この方法では、ボイラを停止する必要がある。
たとえば、特許文献1には、類似の処理として、廃棄物焼却設備におけるアンモニア脱硝反応塔の触媒表面に堆積した酸性硫安などの触媒被毒物質を処理する方法が開示されている。開示方法は、アンモニア脱硝反応塔に被毒物質が堆積したときに、アンモニア脱硝反応塔を含み温風循環ヒータを備える循環系を形成して、循環系内のガスを350℃〜550℃に加熱してアンモニア脱硝反応塔へ送り、脱硝触媒表面に堆積した被毒物質を熱分解し、硫黄酸化物(SOx)、塩化水素(HCl)、アンモニア(NH)を発生させて放散させることにより触媒を再生する方法である。
また、特許文献2には、A重油を用いるガスタービン用熱回収ボイラに組み込まれているアンモニア脱硝装置における脱硝触媒再生方法が開示されている。特許文献2には、ガスタービン用熱回収ボイラにおいても、節炭器に相当する150℃〜220℃のガス温度領域で、アンモニア脱硝装置から漏れたアンモニアガスと燃料中のイオウ成分から生成したSOxガスとの化学反応により酸性硫安が生成して伝熱管群に付着することが記載されている。この酸性硫安は、ガスタービンを停止しボイラを冷却した後に、ガスタービンを再起動させ排ガスパージにより煙突の金網式煤塵捕獲装置に付着させ、作業員が除去している。
特開2008−073665号公報 特開2007−285631号公報
上記の通り、従来技術では、酸性硫安などが付着した時にボイラエコノマイザー(節炭器)の性能回復をしようとすると、ボイラを停止する必要があった。また、特許文献に開示された触媒再生技術やガスタービン用熱回収ボイラの酸性硫安除去方法においても、ボイラを停止して運転系統を切り離した上で除去をすることが前提であって、ボイラ停止に伴うエネルギー損失が問題であった。
そこで、本発明が解決しようとする第1の課題は、熱交換器の運転を継続しながら熱交換器に堆積した酸性硫安などの低熱伝導物質を除去して熱交換器の性能を回復させる性能回復方法および性能回復装置を提供すること、特に、ボイラの運転を継続しながらボイラエコノマイザーの性能を回復させる性能回復方法および性能回復装置を提供することである。また、本発明が解決しようとする第2の課題は、熱交換器内に堆積した低熱伝導物質を除去して伝熱性能を回復させることができる簡便な性能回復方法および性能回復設備を提供することである。
上記第1の課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復方法は、SOxとアンモニアを含む熱ガスで伝熱管中の水を加熱して熱水あるいは熱水蒸気を得る熱交換器に適用する性能回復方法である。
本発明の熱交換器の性能回復方法を適用するため、熱交換器は、ガス側通路を複数のガス通路セルに分割して、各ガス通路セル毎にガス通路セル内で完結した伝熱管ループを形成している。
本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復方法は、内部に硫安または酸性硫安が析出して付着したときに、熱交換器のなかの選択したガス通路セルの伝熱管に対する水の供給を停止し、選択したガス通路セルの伝熱管内の水を排出する工程と、水が排出された伝熱管を熱ガスで加熱し、管壁温度を硫安または酸性硫安の分解温度より高温にしてこれらの塩を分解する工程と、硫安または酸性硫安の分解が終わった伝熱管ループについてクリーニングを行う工程と、熱交換器への水の供給を再開し、熱交換条件を満たすようにさせる工程とを含むことを特徴とする。
たとえば、SOxを含むボイラ排ガスには、ボイラエコノマイザーの上流に設けられたアンモニア脱硝設備でアンモニアガスが混入する場合がある。また、プロセスガスで加熱する熱交換器では、プロセスガス中にSOxガスとアンモニアガスが含まれる場合がある。ここで、プロセスガスとは、処理、加工、製造などの種々の過程において発生する高温ガスをいう。
SOxガスとアンモニアガスが含まれるガスが低温化すると、たとえば、下の化学反応式で表されるように硫安(硫酸アンモニウム)あるいは酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)が生成する。
(1) 2NH+HO+SO→(NHSO(硫安)
(2) NH+HO+SO→(NH)HSO(酸性硫安)
硫安は、通常280℃以上で分解する。また、酸性硫安は、融点が146.9℃で、硫安と同じく通常280℃以上の高温で分解する。いずれも水溶性である。
熱交換器が硫安あるいは酸性硫安の分解温度(通常、280℃以上)より高温であるうちはガス化しているので問題がないが、120℃〜220℃程度の低温になると、硫安等が析出して伝熱管の壁面に付着する。伝熱管の壁面に付着した硫安等は熱伝導率の低い物質であるので、熱交換器の熱交換効率を低下させる。
本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復方法によれば、ガス側通路を複数のガス通路セルに分割して、ガス通路セル毎に完結した伝熱管ループを形成した熱交換器を使い、熱交換器の選択したガス通路セルに対する水の供給を停止し、さらに伝熱管内の水を排出するので、選択したガス通路セル内の伝熱管は熱ガスにより加熱されて管壁温度が高くなる。管壁温度を酸性硫安等の分解温度より高温にすると、管壁に付着した酸性硫安等の塩が分解して遊離する。そこで、酸性硫安等の塩を遊離させた熱交換器のガス通路セル内部についてクリーニングを行い、熱交換器のガス通路セルへの水の供給を再開し、熱交換条件を満たすようにさせている。
本発明の第1の観点に係る熱交換器性能回復方法では、複数のガス通路セルを有する熱交換器の選択したガス通路セルのみを酸性硫安等の除去作業にかけるので、他のガス通路セルについては熱交換作用を継続することができる。したがって、熱交換器としての運転を継続しながらガス通路セル内の堆積物を除去することができる。また、複数のガス通路セルを順次巡って酸性硫安などの除去作業を行うようにすれば、熱交換器全体の熱交換性能を回復させることができる。
なお、熱交換器の下流に、加熱熱媒のガス中の有害物質を除去する工程が付属する場合は、熱交換器の直ぐ下流の位置に冷却用の物質を供給して下流側設備における許容温度を超えないようにすることが好ましい。
このため、熱交換器下流側のガスダクト中に、大気、噴霧水、などの冷却媒体を注入して、ガス温度の上昇を抑制する方法を採用することができる。
なお、熱交換器のガス通路を適宜の数に分割したガス通路セルについて順次性能回復方法を施す場合は、ガス通路セル数が大きいほど、性能回復作業中のガス通路セルから放出される高温ガスの熱交換器排出ガス中に占める割合が小さくなって熱交換器下流側のガス温度の上昇量が小さくなるので、下流側設備における脱硫などの処理が容易になる。
また、熱交換器への水の供給を停止してから水の供給を再開するまでの期間において、伝熱管のループの内部を大気圧に開放することにより、伝熱管ループ内の配管に残留した水や給水再開時に供給された水が急激に蒸発して異常な圧力上昇を生じる現象を回避して、熱交換器用の安全弁の作動を防止することができる。
さらに、伝熱管への水の供給を再開した後は、伝熱管出口における熱水の温度が通常運転圧力時の飽和水蒸気温度より低くなってから、通常運転圧力下にある他の伝熱管ループに繋がる配管と合流させるようにすると、合流時の蒸気凝縮による配管振動を防止することができる。
また、上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復設備は、SOxとアンモニアを含む熱ガスで水を加熱する熱交換器であって、熱交換器のガス側通路を複数のガス通路セルに分割して、各ガス通路セル毎に完結した伝熱管ループを形成した熱交換器において、伝熱管ループに対する水の供給を制御する第1の制御弁と、水の排出を制御する第2の制御弁と、水が伝熱管ループをバイパスするためのバイパス弁とを備え、シーケンス制御装置を備える。
本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復設備は、シーケンス制御装置により、熱交換器の内部に硫安または酸性硫安が析出して付着したときに、第1の制御弁と第2の制御弁とバイパス弁とを操作して、熱交換器に対する給水を停止し、伝熱管内の水を排出する工程と、伝熱管の管壁温度を硫安または酸性硫安の分解温度より高温にして、これらの塩を分解する工程と、伝熱管のクリーニングを行う工程と、熱交換器への給水を再開し、熱交換条件を充足させる工程とを実施することを特徴とする。
本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復方法または設備は、ボイラのエコノマイザーに適用することができる。また、供給された水をプロセスガスで加熱する給水加熱器に適用することもできる。
さらに、上記第2の課題を解決するため、本発明の第2の観点に係る熱交換器の性能回復方法は、SOxとアンモニアを含む熱ガスで伝熱管中の水を加熱して熱水あるいは熱水蒸気を得る熱交換器に適用する性能回復方法である。
本発明の第2の観点に係る熱交換器の性能回復方法は、熱交換器の内部に硫安または酸性硫安が析出して付着したときに、熱交換器の伝熱管内の水を排出する工程と、水が排出された伝熱管に熱ガスの供給を行い、管壁温度を硫安または酸性硫安の分解温度より高温にしてこれらの塩を分解する工程と、硫安または酸性硫安の分解が終わったガス通路セルについてクリーニングを行う工程と、熱交換器への水の供給を再開し、熱交換条件を満たすようにさせる工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第2の観点に係る熱交換器の性能回復方法によれば、熱交換器内部に堆積した硫安または酸性硫安を除去するために、伝熱管に対する水の供給を停止し、さらに伝熱管内の水を排出するので、伝熱管は熱ガスにより加熱されて管壁温度が高くなる。管壁温度を硫安等の分解温度より高温にすると、管壁に付着した硫安等の塩が分解して遊離する。そこで、硫安等の塩を遊離させた熱交換器の内部についてクリーニングを行った後に、熱交換器への水の供給を再開し、熱交換条件を満たすようにさせている。
本発明の第2の観点に係る熱交換器の性能回復方法は、堆積する物質が高温になると分解して容易に遊離することと、熱交換器の伝熱管が冷却媒体の水を排除すれば熱ガスにより容易に高温になることに注目して、既存の熱交換器についても簡単な工作を付加することにより、かつ単純な手順を使って堆積した断熱材料を除去して、熱交換器の熱交換性能を回復させることができる。
なお、本発明の第2の観点に係る熱交換器の性能回復方法においても、熱交換器の直ぐ下流の位置に冷却用の物質を供給して下流側設備における許容温度を超えないようにすること、熱交換器下流側のガスダクト中に、大気、噴霧水、などの冷却媒体を注入して、ガス温度の上昇を抑制する方法を採用すること、熱交換器への水の供給を停止してから水の供給を再開するまでの期間に伝熱管の内部を大気圧に開放することが好ましい。
本発明の第1の観点に係る熱交換器の性能回復方法および設備によれば、内部に硫安あるいは酸性硫安などの低熱伝導物質が堆積して熱交換性能が低下する熱交換器について、運転を継続しながら低熱伝導物質の除去を行うことができる。本発明は、特に、ボイラを運転しながらエコノマイザーの性能を再生する方法と設備を提供するもので、硫安あるいは酸性硫安の堆積を除去するためにボイラを停止する必要がないので、停止によるエネルギー損失を防止することができる。
また、本発明の第2の観点に係る熱交換器の性能回復方法によれば、簡単な設備の追加と簡単な手順を使って伝熱管の表面に堆積した硫安あるいは酸性硫安を除去して、熱交換器の熱交換性能を回復させることができる。
本発明の第1実施例に係る熱交換器の性能回復設備のブロック図である。 第1実施例における熱交換器部分を示したブロック図である。 第1実施例における熱交換器の性能回復方法の例を示すフロー図である。 第1実施例における熱交換器の性能回復方法におけるドライ運転化サブルーチンの例を示すフロー図である。 第1実施例における熱交換器の性能回復方法における通常運転化サブルーチンの例を示すフロー図である。 本発明の第2実施例に係る熱交換器の性能回復設備のブロック図である。 本発明の第3実施例に係る熱交換器の性能回復設備のブロック図である。 本発明の第4実施例に係る熱交換器の性能回復設備のブロック図である。
以下、図面を用い実施例に基づいて本発明の熱交換器の性能回復設備および方法を詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例における熱交換器の性能回復設備のブロック図、図2はその熱交換器部分をより詳細に表したブロック図である。第1実施例の熱交換器の性能回復設備は、ボイラ排ガスから熱を回収してボイラ給水を加熱する廃熱ボイラにおけるエコノマイザーに適用されたものである。
第1実施例の性能回復設備は、図1に示すように、プロセスの高温排ガスの流路内に伝熱管を配置して蒸気を発生させる廃熱ボイラ1と、廃熱ボイラ1の内部に配置されるスクリーン蒸発器2、過熱器3、本体蒸発器4およびエコノマイザー(節炭器)5と、水と蒸気を分離する汽水ドラム6と、ボイラ出口排ガスを空気冷却するために設けられた押込送風機17と風量調整ダンパ18で構成される。
なお、廃熱ボイラ1の排ガス出口部には排ガス温度検出器19が設けられている。
SOxを含むボイラ排ガスには、エコノマイザー5の上流に設けられたアンモニア脱硝設備でアンモニアガスが混入する場合がある。
SOxガスとアンモニアガスが含まれるガスが低温化すると、下の化学反応式で表されるように硫安(硫酸アンモニウム)あるいは酸性硫安(硫酸水素アンモニウム)が生成する。
(3) 2NH+HO+SO→(NHSO(硫安)
(4) NH+HO+SO→(NH)HSO(酸性硫安)
硫安と酸性硫安は、通常、280℃以上の高温で分解しガス化するが、低温になると析出する。
エコノマイザー5は通常、給水入口温度で120℃〜220℃程度の低温で運転されるので、エコノマイザー5内で硫安等が析出して伝熱管の壁面に固着し熱交換器の熱交換効率を低下させる。このため、エコノマイザー5における伝熱管の熱伝導率が低下したときには、壁面に付着した硫安等を除去する必要がある。
本実施例の熱交換器の性能回復設備および方法は、熱交換器の運転を継続させながら、熱交換器に堆積した硫安等の低熱伝導物質を除去して熱交換器の性能を回復させるものである。図1および図2は、特に、廃熱ボイラ1内のエコノマイザー5における堆積硫安等を処理する性能回復設備について表示している。
本実施例におけるエコノマイザー5は、バッフルプレート16によりガス通路が2つのガス通路セルに分割されており、分割されたガス通路セルに別々に、互いに独立した伝熱管ループ5a,5bが配置されている。伝熱管ループ5a,5bは、それぞれのガス通路セルに収まった伝熱管の端部同士をヘッダ(管寄せ)で連結したものである。伝熱管の中には水が流通し、伝熱管中を流れる水はガス通路を流れる熱ガスと熱交換して加熱される。
エコノマイザー5への給水は、それぞれの伝熱管ループ5a,5bの入口に設けられる節炭器入口弁8a−1,8b−1で2分流され、伝熱管ループ5a,5bでそれぞれ加熱された給水は節炭器出口弁8a−2,8b−2を通って合流し、ボイラ給水調節弁12を経由して最終的に汽水ドラム6に供給される。ボイラ給水調節弁12は、汽水ドラム6の水面を一定に保持して廃熱ボイラ1の運転を安定化させている。
なお、節炭器入口弁8a−1,8b−1には、それぞれ節炭器入口子弁8'a,8'bが付属している。節炭器入口子弁8'a,8'bは、各伝熱管ループ5a,5bの性能回復運転後に給水を復活するときに、最初は小さい通水量に制限して伝熱管を徐冷することによって、急激な蒸発による圧力上昇を回避し、伝熱管への熱衝撃を低減できるようにしている。
また、節炭器出口弁8a−2,8b−2には、それぞれ直列に逆止弁11a,11bが設けられている。逆止弁11a,11bは、伝熱管ループ5a,5bが低圧状態になったときに汽水ドラム6への給水配管から給水が逆流することを防止している。伝熱管ループ5a,5bの給水出口配管には、さらに節炭器安全弁10a,10bが設けられている。
また、伝熱管ループ5a,5bの出口ヘッダ34a,34bには、節炭器圧力逃がし弁9a,9bと節炭器ドレン弁9'a,9'bが設けられている。さらに、伝熱管ループ5a,5bの出口ヘッダ34a,34bまたは給水出口配管には、給水圧力検出器14a,14bと給水温度検出器15a,15bが設けられている。
節炭器圧力逃がし弁9a,9bは、伝熱管ループ5a,5b内の過剰圧力を大気圧と繋がっている大気圧タンク13側に逃がす調節弁で、給水圧力検出器14a,14bの測定結果に基づいて給水圧力が所定の値になるように制御される。また、節炭器ドレン弁9'a,9'bは、ドライ運転時に伝熱管ループ5a,5b内に溜まったドレンを大気圧タンク13に排出する弁である。
ここで、ドライ運転とは、ガス通路セルに収まった伝熱管ループ5a,5bの内部の水を乾燥させて、ガス通路を通る熱ガスにより伝熱管を加熱する運転をいう。本実施例では、ドライ運転により、伝熱管表面に付着した硫安および酸性硫安を分解温度(通常、280℃以上)以上に加熱して熱分解させることができる。
エコノマイザー5には、さらに、節炭器バイパス弁7が、伝熱管ループ5a,5bと並列に設けられたバイパス配管に設けられている。節炭器バイパス弁7は、いずれかの伝熱管ループ5a,5bの性能回復運転をするときに、不足するボイラ給水量をバイパス配管を経由して補給するための弁である。節炭器バイパス弁7には、直列にオリフィス7'が設けられていて、運転中の伝熱管ループ5a,5bとの圧力バランスを取ったスムーズなバイパス運転を可能にする。
第1実施例における熱交換器の性能回復設備は、シーケンス制御装置30を備える。シーケンス制御装置30は、熱交換器の状態を判定して、状態に対応して必要な操作を行う。
図3は、シーケンス制御装置30が実行する手順を説明するフロー図である。図4は、伝熱管ループをドライ運転にするサブルーチンを説明するフロー図、図5は、伝熱管ループを通常運転に戻すサブルーチンを説明するフロー図である。
オペレータは、エコノマイザー5内における硫安あるいは酸性硫安の堆積状態に基づいて、エコノマイザー5の性能回復作業を行うことを決定すると、シーケンス制御装置30に対して、性能回復作業を開始する指令を与える。なお、熱交換器の性能回復作業を開始する指令は、シーケンス制御装置30における論理的な判断によって内部的に発生させることもできる。また、単に経時的な条件に従って性能回復作業を開始するようにしてもよい。
シーケンス制御装置30は、エコノマイザー5の性能回復をする指令があったことを検知すると(図3のステップS01)、予め決められた順で、伝熱管ループ5a,5bの性能回復を行う。ここでは、初めに第1の伝熱管ループ5aの性能回復を行い、次いで第2の伝熱管ループ5bの性能回復を行うものとする。
そこで、第1の伝熱管ループ5aについてドライ運転を行うため、必要なバルブ操作を行う(S02)。
伝熱管ループについてドライ運転を行う手順が、図4に例示されている。図4は、2つの伝熱管ループ5a,5bがいずれも通常運転しているところから、一方の伝熱管ループをドライ運転に移行させる手順を説明している。
なお、図4に関する説明においては、理解を助けるため、第1の伝熱管ループ5aについてドライ運転を行うようにする場合を仮定して、参照番号を付すことにする。
図4を参照すると、ドライ運転が始まるとドライ運転中の伝熱管ループ5aからはボイラ給水が得られなくなるので、まず、節炭器バイパス弁7を開けて、ボイラ給水量を確保する(図4のステップS21)。この場合、節炭器バイパス弁7に併設されたオリフィス7'により、通常運転中の伝熱管ループ5bの入口ヘッダ33aと出口ヘッダ34aの間に適宜な圧力差を生成して、バイパス運転を安定化することができる。
次に、ドライ運転に移行しようとする伝熱管ループ5aの節炭器入口弁8a−1を閉じて、伝熱管ループ5aへのボイラ給水の供給を遮断する(S22)。このとき、節炭器入口子弁8'aが閉止していることも、たとえばリミットスイッチなどで確認しておく。
その後、節炭器圧力逃がし弁9aの制御を開始させ、また節炭器ドレン弁9'aを開き、伝熱管ループ5a内の圧力が大気圧タンク13を介して大気に開放され、かつ伝熱管ループ5a内のドレンが排除されるようにする(S23)。
さらに、節炭器出口弁8a−2を閉じて、汽水ドラム6への給水配管と絶縁をする(S24)。なお、節炭器出口弁8a−2に併設された逆止弁11aは、汽水ドラム6に繋がる給水配管中の高圧熱水が大気開放された伝熱管ループ5a内に逆流することを防止している。
こうして、伝熱管ループ5a内の水を排除すると、冷却媒体が無くなった伝熱管はガス通路を通る高温の排ガスにより加熱されてガス温度(たとえば400℃など)近くまで昇温するので、伝熱管表面に付着した硫安および酸性硫安を分解温度(通常、280℃以上)以上に加熱して熱分解することができる。
以上の操作により、第1の伝熱管ループ5aはドライ運転を行い、第2の伝熱管ループ5bは通常運転を行うようになる(図3のS03)。このとき、ドライ運転をしている第1の伝熱管ループ5aはボイラ給水を供給することができないが、通常運転を行っている第2の伝熱管ループ5bにおいて高温の排ガスにより加熱されて所定の温度になったボイラ給水が、ボイラ給水調節弁12を介して汽水ドラム6に供給される。
通常運転している第2の伝熱管ループ5bの排ガス出口温度は、たとえば200℃など、エコノマイザー5の下流に配置される装置に対応して管理された温度になっている。
一方、ドライ運転している第1の伝熱管ループ5aにおける熱負荷は、管内側の熱吸収が無く、小さいので、出口における熱ガスの温度は入口における温度とあまり違わず、たとえば400℃となっている。
したがって、第1の伝熱管ループ5aを通過した熱ガスと第2の伝熱管ループ5bを通過した熱ガスが合流する位置における熱ガスの温度は、たとえば、300℃など、2つの伝熱管ループから排出された2つの熱ガス温度の中間値となる。
2つの熱ガスが合流する位置における熱ガスの温度が、脱硫装置などエコノマイザー5の下流に設けられる装置に適合しない場合は、ガス側通路の下流側ガスダクトなど、熱ガスが合流する位置に大気、噴霧水、等の冷却媒体を注入して、下流側装置の運転に支障がないガス温度まで低下させることが好ましい。
廃熱ボイラ1の出口に設けられた押込送風機17、風量調整ダンパ18および排ガス温度検出器19は、ボイラ出口排ガスを空気冷却するために設けられた装置である。いずれかの伝熱管ループ5a,5bがドライ運転をしているときは、伝熱管ループ5a,5bから排出される排ガスが混合して形成されるボイラ出口における排ガスの温度が上昇するので、風量調整ダンパ18の開度を調整して、排ガス温度検出器19で計測する排ガス温度が下流側装置に適合した温度になるように冷却することができる。
また、廃熱ボイラ1の運転負荷が高くて、第2の伝熱管ループ5bでは給水量がまかなえない場合には、節炭器バイパス弁7を介して給水源から直接供給する給水量を増大することにより対応することができる。
伝熱管の表面に付着した硫安あるいは酸性硫安が、ドライ運転をすることにより、熱分解したり溶融したりして伝熱管から遊離したら、必要に応じてスートブローなどのクリーニング方法により伝熱管表面をクリーニングする(S04)。こうして、第1の伝熱管ループ5aの性能が回復できるまで、第1の伝熱管ループ5aのドライ運転を継続し、第1の伝熱管ループ5aの性能が回復できれば(S05)、第1の伝熱管ループ5aを通常運転に戻す(S06)。
クリーニングの終了は、エコノマイザー5の内部を撮影する監視カメラの映像を用いてオペレータあるいはシーケンス制御装置の画像処理装置で判定することもできる。また、より簡単には、たとえば、経験から求めた適度なクリーニング時間をタイマーに設定して、タイムアップ時に終了信号を発生させることにより確定するようにしてもよい。
伝熱管ループについて通常運転に戻すには、図5に例示する手順を用いることができる。図5は、2つの伝熱管ループ5a,5bのうちドライ運転されている伝熱管ループを通常運転に移行させる手順を説明している。図5に関する説明においては、理解を助けるため、第1の伝熱管ループ5aをドライ運転から通常運転に移行する場合を仮定して、参照番号を付している。
図5を参照すると、ドライ運転中の伝熱管ループ5aを通常運転に戻す運転操作は、まず、節炭器入口子弁8'aを開き、節炭器ドレン弁9'aを閉じる(S31)。すると、初めは、伝熱管ループ5aに給水が少しずつ供給されるため、伝熱管ループ5aは徐々に冷却される。こうして伝熱管を少しずつ冷却することにより、短時間の急激な蒸発による圧力上昇や伝熱管への熱衝撃を低減することができる。ここで発生した水蒸気は、ドライ運転中から開いている節炭器圧力逃がし弁9aを介して大気圧タンク13に送られる。
伝熱管ループ5a内が適度に冷却されたところで、節炭器入口弁8a−1を開き節炭器入口子弁8'aを閉じて(S32)、通常運転時の給水供給量を確保し、節炭器バイパス弁7を閉じる(S33)。
給水温度検出器15aにより、エコノマイザー5の給水の出口ヘッダ34aにおける温度を監視していて、出口温度が汽水ドラム6への給水の飽和蒸気温度以下になったら(S34)、節炭器圧力逃がし弁9aを閉じ、伝熱管ループ5aの節炭器出口弁8a−2を開いて(S35)、他の伝熱管ループ5bの給水と合流させて、ボイラ給水調節弁12を介して汽水ドラム6に送り込む。
このようにして、第1の伝熱管ループ5aを正常運転に戻すと、次に、図4に示したサブルーチンに従い、第2の伝熱管ループ5bについてドライ運転にする操作を行う(図3のステップS07)。
図4のサブルーチンにしたがった操作により、第1の伝熱管ループ5aは通常運転を行い、第2の伝熱管ループ5bはドライ運転を行うようになる(S08)。このとき、通常運転を行っている第1の伝熱管ループ5aにおいて高温の排ガスにより加熱されて所定の温度になったボイラ給水のみが、ボイラ給水調節弁12を介して汽水ドラム6に供給される。
第2の伝熱管ループ5bの伝熱管表面に付着した硫安あるいは酸性硫安が、ドライ運転をすることにより熱分解したり溶融したりして伝熱管から遊離するので、必要に応じてスートブローなどのクリーニング方法により伝熱管表面をクリーニングする(S09)。第2の伝熱管ループ5bの熱伝導性能が回復できるまでドライ運転を継続し、性能回復ができれば(S10)、第2の伝熱管ループ5bを通常運転に戻す(S11)。
第2の伝熱管ループ5bを通常運転に戻すときは、第1の伝熱管ループ5aと同様に、図5に例示する手順にしたがって行えばよい。第2の伝熱管ループ5bの給水の出口ヘッダ34bにおける温度が給水ラインの通常運転圧力における飽和蒸気温度以下になったら、第1の伝熱管ループ5aの給水と合流させて汽水ドラム6に送り込むようにする。
こうして、エコノマイザー5全体が通常運転に復帰する。
エコノマイザー5の性能回復は、エコノマイザー5の出口におけるガス温度が正常な値に戻ることで確認することができる。
なお、図2において破線で示した配管およびその配管に配置された止め弁21a,21bおよび逆止弁20a,20b弁は、伝熱管ループ5a,5bをドライ運転から通常運転に復帰させる操作において生じる給水損失を減少させるために設けられたものである。
伝熱管ループ5a,5bをドライ運転から通常運転に復帰させる操作においては、伝熱管ループ5a,5bを冷却する過程で出口ヘッダ34a,34bの給水温度が汽水ドラム6への給水の飽和蒸気温度以下になるまで節炭器出口弁8a−2,8b−2を開かず、給水圧力が所定の値になるように制御される節炭器圧力逃がし弁9a,9bを介して伝熱管ループ5a,5b内の蒸気を大気タンク13へ逃がし続けるので、給水損失が大きい。
そこで、各伝熱管ループ5a,5bの出口ヘッダ34a,34bに脱気器またはフラッシュタンクなどの回収設備と連結する配管を設けて、この配管中に止め弁21a,21bを配置する。この止め弁21a,21bを節炭器圧力逃がし弁9a,9bの作動圧力より低い圧力で開になるように設定して、ドライ運転中の伝熱管ループ5a,5bから排出される給水を回収設備に送水することにより、給水に伴うエネルギー損失を抑制するようにした。これにより省エネルギー効果を高めることができる。なお、逆止弁20a,20bは、伝熱管ループ5a,5bが低圧のときに逆流を防ぐものである。
図6は本発明の第2実施例における熱交換器の性能回復設備のブロック図である。第2実施例の熱交換器の性能回復設備は、第1実施例の熱交換器の性能回復設備に対して、伝熱管ループ内を加熱する媒体を供給する配管を追加したところが相違するだけで、その他は同一である。したがって、第2実施例に関する説明では、第1実施例と共通する点については説明を簡約にして、相違点についてのみ詳しく説明する。なお、同じ機能を有する要素については、同じ参照番号を付して説明を省略している。
第2実施例に係る熱交換器の性能回復設備は、熱交換器における熱ガスの温度が低くて、硫安あるいは酸性硫安が分解しない場合に適用することができる。たとえば、エコノマイザー5の入口ガス温度の設計値が低い場合や、ボイラが部分負荷運転する場合などでは、ボイラ排ガスの温度が不足して硫安あるいは酸性硫安が分解しないことがある。
本実施例の熱交換器の性能回復設備は、図6に1点鎖線で示すように、過熱蒸気をエコノマイザー5の伝熱管ループ5a,5bの配管内に供給する配管を備えている。過熱蒸気供給配管には、過熱蒸気供給弁22a,22bとこれに直列に配置された逆止弁23a,23bが設けられている。
伝熱管ループ5a,5bのドライ運転において、加熱器表面温度が不足するとき、過熱蒸気供給弁22a,22bを開いて、通常、350℃以上の過熱蒸気をエコノマイザー5の加熱器配管内部に供給することにより、加熱器表面の温度を上昇させて、表面に付着した硫安や酸性硫安を熱分解することができる。
図7は本発明の第3実施例における熱交換器の性能回復設備のブロック図である。第3実施例の熱交換器の性能回復設備は、廃熱ボイラに組み込まれたエコノマイザーを対象とする第1実施例の熱交換器の性能回復設備に対して、プロセス排ガス等の高温排ガスを利用して高温給水を製造する独立の節炭器を対象とするところが相違する。第3実施例に関する説明では、第1実施例と共通する点については説明を簡約にして、相違点についてのみ詳しく説明する。なお、同じ機能を有する要素については、同じ参照番号を付して説明を省略する。
第3実施例に係る熱交換器の性能回復設備は、図7に示されるように、高温排ガス流路中に独立した熱交換器31を配置して、高温排ガスの廃熱を回収して高温給水を製造するシステムに適用する性能回復設備である。
図7に示すように、熱交換器31のガス通路が、バッフルプレート16により2つのガス通路セルに分割されており、分割されたガス通路セルに別々に、互いに独立した伝熱管ループ5a,5bが配置されている。
プロセス中にSOxガスとアンモニアガスを供給するものが存在して排ガスにこれらの成分を含むときは、伝熱管ループ5a,5bの伝熱管が硫安あるいは酸性硫安の分解温度より低温であると、伝熱管表面に硫安あるいは酸性硫安が析出して付着し、熱伝導率が低下し、伝熱性能が劣化する。
伝熱管表面に硫安あるいは酸性硫安が付着して伝熱性能が劣化した伝熱管ループ5a,5bは、第1実施例において説明したと同様にして、順次伝熱管ループをドライ運転して伝熱管表面をクリーニングすることにより、熱交換器の伝熱性能を回復させることができる。
すなわち、2つの伝熱管ループ5a,5bを順番に、節炭器入口弁8a−1,8b−1と節炭器出口弁8a−2,8b−2を操作して伝熱管ループ5a,5bへの給水を遮断して、高温排ガスで伝熱管内を乾燥させ、さらに伝熱管を高温にして、伝熱管表面に付着した硫安あるいは酸性硫安を分解した後に、伝熱管表面をクリーニングして熱交換器の伝熱性能を回復させる。
なお、節炭器出口弁8a−2,8b−2には、それぞれ逆止弁11a,11bが直列に接続されている。
第3実施例に係る熱交換器の性能回復設備は、1つの伝熱管ループについて伝熱管表面のクリーニングを行う間、もう一つの伝熱管ループについて高温排ガスの流れを維持し高温給水の製造を継続することができる。したがって、熱交換器の性能回復作業に伴ってプロセスを休止する必要が無く、作業に伴うエネルギー損失を抑止することができる。
図8は本発明の第4実施例における熱交換器の性能回復設備のブロック図である。第4実施例の熱交換器の性能回復設備は、第3実施例の熱交換器の性能回復設備に対して、熱交換器のガス通路が、2つより多い複数、たとえば4つのガス通路セルに分割されているところが相違する。
第4実施例の説明では、先に説明した実施例と共通する点については説明を簡約にして、相違点についてのみ詳しく説明する。なお、同じ機能を有する要素については、同じ参照番号を付して説明を省略する。
本発明の熱交換器の性能回復方法は、高温排ガスの熱を回収して熱水あるいは熱水蒸気を生成する熱交換器であって、排ガス成分と伝熱管の温度の関係から伝熱管表面に硫安あるいは酸性硫安が堆積する熱交換器を対象とし、いわゆるドライ運転により、熱交換器の伝熱管内部の水を干して高温ガスで伝熱管を硫安や酸性硫安の分解温度より高温になるまで加熱し、伝熱管表面に堆積した硫安あるいは酸性硫安を分解して除去することを特徴とする。
したがって、熱交換器のガス通路を分割しないで、ドライ運転することにより、伝熱管表面に堆積した硫安等を除去して熱交換器の伝熱性能を回復させることもできる。ただし、ドライ運転では熱水あるいは熱水蒸気の生産は行わないので、ガス通路を分割しない場合は、熱交換器としての運転は中断されることになる。なお、ドライ運転中は、熱エネルギー消費量が少なく、熱交換器のガス出口におけるガス温度は、たとえば400℃でガス入口に供給されるガス温度と大きく変化することはない。
熱交換器から排出される排ガスは、さらに下流に配置された、たとえば脱硫装置などの処理装置にかけられる場合がある。下流側の処理装置で有効な処理をするためには、排ガスの温度に制約がある場合も多い。熱交換器の排ガスの温度が高い場合は、熱交換器の下流の適当な位置に大気、噴霧水、等の冷却媒体を注入して、下流側の処理装置の運転に支障がないガス温度まで低下させることが好ましい。
また、熱交換器のガス通路を2つ以上のガス通路セルに分割して、1つのガス通路セルについてドライ運転すると共に他のガス通路セルについては通常運転して、排出される排ガスを合流させて下流に流す場合は、排ガスの温度はドライ運転中のガス通路セルと通常運転中のガス通路セルから排出される排ガスの加重平均温度になる。したがって、ガス通路を分割したガス通路セルの数が多いほど、下流側装置に適合する通常運転の排ガス温度に近づくことになり、下流側装置への影響が小さくなる。ただし、分割数が多くなるほど熱交換器全体のドライ運転を完了させるための処理時間が長くなる。
実施例4に係る熱交換器の性能回復設備は、図8に示すように、熱交換器32のガス通路をバッフルプレート16a,16b,16cにより4つのガス通路セルに分割したものである。バッフルプレート16a,16b,16cは、ドライ運転中のガス通路セルと通常運転中のガス通路セルで温度の異なる排ガスがガス通路セル同士で混合しないように区切るものである。
熱交換器32のガス通路には、多数の伝熱管が整然と配置されている。直管が平行にガス通路を貫通するように配置された伝熱管や、平面内を蛇行する配管を平行に配置した伝熱管などを備えた熱交換器では、平板のバッフルプレート16a,16b,16cによっても簡単に分割することができる。
バッフルプレート16a,16b,16cによって分割された4つのガス通路セルには、それぞれ独立の4つの伝熱管ループ5a,5b,5c,5dの1つが配置されている。
このため、入口ヘッダ33a,33b,33c,33dと出口ヘッダ34a,34b,34c,34d、およびこれらに設けられる節炭器入口弁8a−1,8b−1,8c−1,8d−1と節炭器出口弁8a−2,8b−2,8c−2,8d−2および図示しない子弁、逆止弁、検出器などが、4つのガス通路セル5a,5b,5c,5dに対応してそれぞれ独立に設けられている。
第4実施例に係る熱交換器の性能回復設備は、図示しないシーケンス制御装置により、図3,図4,図5に示された手順に準じて、2つではなく4つの伝熱管ループ5a,5b,5c,5dを順番にドライ運転させることにより、伝熱管表面に付着した硫安等を剥離させ除去して、伝熱管の熱交換性能を回復させることができる。この間、排ガスの流れは維持され、通常運転される伝熱管ループは給水の予熱を継続するので、熱エネルギーの損失を防止することができる。
また、第4実施例に係る熱交換器の性能回復設備は、4つの伝熱管ループ5a,5b,5c,5dを順次ドライ運転するため、たとえば、通常運転における排ガス温度が約200℃、ドライ運転における排ガス温度が約400℃とすると、熱交換器32の出口における排ガス温度は約250℃となって、下流側装置、たとえば脱硫装置などへの影響が軽減される。
プロセスからの排ガスあるいは廃熱ボイラの排ガスなど、高温ガスの熱エネルギーを回収して水を加熱する熱交換器あるいはエコノマイザーにおいて、排ガスにSOxガスとアンモニアガスが併存する場合に、伝熱管表面に硫安あるいは酸性硫安が堆積して熱交換性能が劣化することがある。
本発明の熱交換器の性能回復方法および回復設備は、このような熱交換器あるいはエコノマイザーに適用して、熱交換器等の運転を継続しながら伝熱管に堆積した酸性硫安などの低熱伝導物質を除去して熱交換器の性能を回復させることができる。
また、本発明は、熱交換器内に堆積した低熱伝導物質を除去して伝熱性能を回復させることができる簡便な性能回復方法および性能回復設備を提供するものである。
1 廃熱ボイラ
2 スクリーン蒸発器
3 過熱器
4 本体蒸発器
5 エコノマイザー
5a〜d 伝熱管ループ
6 汽水ドラム
7 節炭器バイパス弁
7' オリフィス
8a〜d−1 節炭器入口弁
8a〜d−2 節炭器出口弁
8'a〜b 節炭器入口子弁
9a〜b 節炭器圧力逃がし弁
9'a〜b 節炭器ドレン弁
10a〜b 節炭器安全弁
11a〜b 逆止弁
12 ボイラ給水調節弁
13 大気圧タンク
14a〜b 給水圧力検出器
15a〜b 給水温度検出器
16,16a〜c バッフルプレート
17 押込送風機
18 風量調整ダンパ
19 排ガス温度検出器
20a〜b 逆止弁
21a〜b 止め弁
22a〜b 過熱蒸気供給弁
23a〜b 逆止弁
30 シーケンス制御装置
31 熱交換器
32 熱交換器

Claims (7)

  1. SOxとアンモニアを含む熱ガスで伝熱管内の水を加熱して熱水あるいは熱水蒸気を生成する熱交換器であって、前記熱交換器のガス側通路を複数のガス通路セルに分割して、各ガス通路セル毎にガス通路セル内で完結する伝熱管のループを形成した熱交換器において、
    前記熱交換器の選択したガス通路セルの前記伝熱管に対する水の供給を停止し、該伝熱管内の水を排出する工程と、
    前記工程により水が排出された前記伝熱管に対して前記熱ガスの供給を維持して、該伝熱管の管壁温度を硫安または酸性硫安の分解温度より高温にし、該伝熱管の表面に付着した硫安または酸性硫安を分解する工程と、
    前記分解された硫安または酸性硫安が付着した前記伝熱管の表面をクリーニングする工程と、
    表面がクリーニングされた前記伝熱管に対して水の供給を再開する工程と
    前記水の供給を再開した後、前記伝熱管のループの出口における熱水の温度が通常運転時の圧力における飽和水蒸気温度より低くなってから、通常運転下にある他の伝熱管のループと合流させる工程とを含む、
    熱交換器の性能回復方法。
  2. 前記熱交換器は、ボイラのエコノマイザーまたは供給された水をプロセスガスで加熱する給水加熱器である、請求項1記載の熱交換器の性能回復方法。
  3. 前記熱交換器のガス側通路の下流側ガスダクトにガス温度を冷却する冷却媒体を注入して、前記熱交換器から排出されるガスの温度上昇を抑制する請求項1または2記載の熱交換器の性能回復方法。
  4. 前記水の供給を停止してから水の供給を再開するまでの期間において、前記伝熱管のループの内部を大気圧に開放する請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器の性能回復方法。
  5. SOxとアンモニアを含む熱ガスで伝熱管内の水を加熱する熱交換器において、
    前記伝熱管に対する水の供給を停止し、前記伝熱管内の水を排出する工程と、
    前記伝熱管の管壁温度を硫安または酸性硫安の分解温度より高温にして、これらの塩を分解する工程と、
    前記伝熱管の表面をクリーニングする工程と、
    前記伝熱管への水の供給を再開する工程と
    前記水の供給を再開した後、前記伝熱管のループの出口における熱水の温度が通常運転時の圧力における飽和水蒸気温度より低くなってから、通常運転下にある他の伝熱管のループと合流させる工程とを含む、
    熱交換器の性能回復方法。
  6. SOxとアンモニアを含む熱ガスで水を加熱する熱交換器において、
    前記熱交換器のガス側通路をガス通路セルに分割して各ガス通路セル毎に完結した伝熱管ループを形成した複数のガス通路セルを備え、
    前記ガス通路セル毎に、前記伝熱管ループに対する水の供給を制御する第1の制御弁と水の排出を制御する第2の制御弁を備え、
    前記水が前記伝熱管ループをバイパスするためのバイパス弁を備え、
    シーケンス制御装置を備えて、
    該シーケンス制御装置が、
    前記ガス通路セルの内部に硫安または酸性硫安が析出して付着したときに、前記第1の制御弁と前記第2の制御弁と前記バイパス弁とを操作して、前記ガス通路セルの前記伝熱管に対する水の供給を停止し、前記伝熱管内の水を排出する工程と、
    前記伝熱管の管壁温度を硫安または酸性硫安の分解温度より高温にして、これらの塩を分解する工程と、
    前記伝熱管のクリーニングを行う工程と、
    前記第1の制御弁と前記第2の制御弁と前記バイパス弁とを操作して、前記伝熱管への水の供給を再開する工程と
    前記水の供給を再開した後、前記伝熱管ループの出口における熱水の温度が通常運転時の圧力における飽和水蒸気温度より低くなってから、前記第2の制御弁を操作して通常運転下にある他の伝熱管のループと合流させる工程とを実行させる、
    熱交換器の性能回復設備。
  7. 前記熱交換器は、ボイラのエコノマイザーまたは供給された水をプロセスガスで加熱する給水加熱器である、請求項記載の熱交換器の性能回復設備。
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