以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明に係る熱処理装置の全体構成について概説する。図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。熱処理装置1は基板として略円形の半導体ウェハーWにフラッシュ光(閃光)を照射してその半導体ウェハーWを加熱するランプアニール装置である。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容する略円筒形状のチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するランプハウス5と、を備える。また、熱処理装置1は、チャンバー6およびランプハウス5に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、ランプハウス5の下方に設けられており、略円筒状の内壁を有するチャンバー側部63、および、チャンバー側部63の下部を覆うチャンバー底部62によって構成される。また、チャンバー側部63およびチャンバー底部62によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。熱処理空間65の上方は上部開口60とされており、上部開口60にはチャンバー窓61が装着されて閉塞されている。
チャンバー6の天井部を構成するチャンバー窓61は、石英により形成された円板形状部材であり、ランプハウス5から出射されたフラッシュ光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。チャンバー6の本体を構成するチャンバー底部62およびチャンバー側部63は、例えば、ステンレススチール等の強度と耐熱性に優れた金属材料にて形成されており、チャンバー側部63の内側面の上部のリング631は、光照射による劣化に対してステンレススチールより優れた耐久性を有するアルミニウム(Al)合金等で形成されている。
また、熱処理空間65の気密性を維持するために、チャンバー窓61とチャンバー側部63とはOリングによってシールされている。すなわち、チャンバー窓61の下面周縁部とチャンバー側部63との間にOリングを挟み込むとともに、クランプリング90をチャンバー窓61の上面周縁部に当接させ、そのクランプリング90をチャンバー側部63にネジ止めすることによって、チャンバー窓61をOリングに押し付けている。
チャンバー底部62には、保持部7を貫通して半導体ウェハーWをその下面(ランプハウス5からの光が照射される側とは反対側の面)から支持するための複数(本実施の形態では3本)の支持ピン70が立設されている。支持ピン70は、例えば石英により形成されており、チャンバー6の外部から固定されているため、容易に取り替えることができる。
チャンバー側部63は、半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部66を有し、搬送開口部66は、軸662を中心に回動するゲートバルブ185により開閉可能とされる。ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉塞することによって熱処理空間65は密閉空間となる。ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放すると熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および搬出が可能となる。
また、チャンバー側部63には熱処理空間65に処理ガスを導入するガス導入路81が接続されている。ガス導入路81の先端はチャンバー側部63の内部に形成されるガス導入バッファ83に接続され、基端はガス供給源88に連通接続されている。ガス導入路81の経路途中にはガスバルブ82および流量調整弁85が介挿されている。ガス供給源88は、窒素ガス(N2)、ヘリウムガス(He)、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガス、または、酸素ガス(O2)、アンモニアガス(NH3)、オゾンガス(O3)等の反応性ガスをガス導入路81に送給する。ガス供給源88は、これらのガスを択一的に、または、混合して処理ガスとして供給する。
図2は、チャンバー6の側壁を示す部分拡大断面図である。なお、同図においては、支持ピン70は省略している。上述したように、ステンレススチール製のチャンバー側部63の内側面上部には耐フラッシュ特性に優れたアルミニウム合金製のリング631が嵌め込まれている。リング631をチャンバー側部63に嵌め込むことによって、図2に示すように、リング631の下端とチャンバー側部63との間にガス吐出口89が形成されることとなる。図3は、チャンバー6をガス吐出口89の高さ位置で水平面に沿って切断した概略平面図である。リング631とチャンバー側部63との間に形成されたガス吐出口89は水平方向に沿って円環状に形成されたスリットである。円環スリット状のガス吐出口89はチャンバー側部63の内部に形成されたガス導入バッファ83に連通している。そして、ガス導入バッファ83には3本のガス導入路81が連通接続されている。すなわち、ガス導入路81の先端は3本に分岐されてガス導入バッファ83に接続されているのである。3本に分岐されたガス導入路81の先端はチャンバー側部63の円筒周方向に沿って等間隔で(つまり、120°毎に)ガス導入バッファ83に接続される。
ガスバルブ82を開放することによって処理ガスはガス供給源88からガス導入路81に送給され、3方向からガス導入バッファ83へと導かれる。処理ガスの供給流量は流量調整弁85によって定められる。ガス導入バッファ83に流入した処理ガスは、図3に示すように、ガス吐出口89よりも流路抵抗の小さいガス導入バッファ83内を拡がるように流れつつガス吐出口89から熱処理空間65内へと均一に吐出される。
また、第1実施形態においては、チャンバー6の内壁面の一部が円筒形状の石英部材120によって覆われている。石英部材120は、図示を省略する治具によってチャンバー側部6の側壁内側を覆うように固定されている。石英部材120は、上側石英120aと下側石英120bとを備えて構成される。上側石英120aおよび下側石英120bのそれぞれは円筒形状を有する。上側石英120aはリング631の内壁面を覆う。一方、下側石英120bは、ガス吐出口89の直下におけるチャンバー側部63の内壁面の一部を覆う。ガス吐出口89の開口部は上側石英120aと下側石英120bとの間の隙間に繋がっている。従って、ガス吐出口89から吐出される処理ガスが石英部材120によって遮られるおそれは無い。なお、チャンバー6の内壁面とは、チャンバー6の側壁の内側面を意味し、リング631の内壁面およびチャンバー側部63の内壁面の双方を含む。
図1に戻り、熱処理装置1は、チャンバー6の内部において半導体ウェハーWを水平姿勢にて載置して保持しつつフラッシュ光照射前にその保持する半導体ウェハーWの予備加熱を行う略円板状の保持部7と、保持部7をチャンバー6の底面であるチャンバー底部62に対して昇降させる保持部昇降機構4と、を備える。図1に示す保持部昇降機構4は、略円筒状のシャフト41、移動板42、ガイド部材43(本実施の形態ではシャフト41の周りに3本配置される)、固定板44、ボールネジ45、ナット46およびモータ40を有する。チャンバー6の下部であるチャンバー底部62には保持部7よりも小さい直径を有する略円形の下部開口64が形成されており、ステンレススチール製のシャフト41は、下部開口64を挿通して、保持部7(厳密には保持部7のホットプレート71)の下面に接続されて保持部7を支持する。
移動板42にはボールネジ45と螺合するナット46が固定されている。また、移動板42は、チャンバー底部62に固定されて下方へと伸びるガイド部材43により摺動自在に案内されて上下方向に移動可能とされる。また、移動板42は、シャフト41を介して保持部7に連結される。
モータ40は、ガイド部材43の下端部に取り付けられる固定板44に設置され、タイミングベルト401を介してボールネジ45に接続される。保持部昇降機構4により保持部7が昇降する際には、駆動部であるモータ40が制御部3の制御によりボールネジ45を回転し、ナット46が固定された移動板42がガイド部材43に沿って鉛直方向に移動する。この結果、移動板42に固定されたシャフト41が鉛直方向に沿って移動し、シャフト41に接続された保持部7が図1に示す半導体ウェハーWの受渡位置と図6に示す半導体ウェハーWの処理位置との間で滑らかに昇降する。
移動板42の上面には略半円筒状(円筒を長手方向に沿って半分に切断した形状)のメカストッパ451がボールネジ45に沿うように立設されており、仮に何らかの異常により移動板42が所定の上昇限界を超えて上昇しようとしても、メカストッパ451の上端がボールネジ45の端部に設けられた端板452に突き当たることによって移動板42の異常上昇が防止される。これにより、保持部7がチャンバー窓61の下方の所定位置以上に上昇することはなく、保持部7とチャンバー窓61との衝突が防止される。
また、保持部昇降機構4は、チャンバー6の内部のメンテナンスを行う際に保持部7を手動にて昇降させる手動昇降部49を有する。手動昇降部49はハンドル491および回転軸492を有し、ハンドル491を介して回転軸492を回転することより、タイミングベルト495を介して回転軸492に接続されるボールネジ45を回転して保持部7の昇降を行うことができる。
チャンバー底部62の下側には、シャフト41の周囲を囲み下方へと伸びる伸縮自在のベローズ47が設けられ、その上端はチャンバー底部62の下面に接続される。一方、ベローズ47の下端はベローズ下端板471に取り付けられている。べローズ下端板471は、鍔状部材(図示省略)によってシャフト41にネジ止めされて取り付けられている。保持部昇降機構4により保持部7がチャンバー底部62に対して上昇する際にはベローズ47が収縮され、下降する際にはべローズ47が伸張される。そして、保持部7が昇降する際にも、ベローズ47が伸縮することによって熱処理空間65内の気密状態が維持される。
ベローズ下端板471には熱処理空間65内の気体を排出するためのガス排気口472が形成されている。ガス排気口472は、下部開口64の直下に、すなわちチャンバー6の底部中心近傍に設けられているものである。ガス排気口472はガスバルブ473および流量調整弁475を介して排気ポンプ474と連通接続されている。排気ポンプ474を作動させつつガスバルブ473を開放すると、チャンバー6内の気体は下部開口64からガス排気口472を介してチャンバー外に排出される。また、搬送開口部66にも熱処理空間65内の気体を排出する排出路86が形成され、ガスバルブ87を介して図示省略の排気機構に接続される。この排気機構は上記の排気ポンプ474と共通のものであっても良い。
ガス吐出口89からチャンバー6内の熱処理空間65へ処理ガスを吐出しつつ、ガス排気口472からチャンバー6内の雰囲気を排気すると、チャンバー側部63の内側から吐出された処理ガスがチャンバー底部62の中心部に向かうようなガス流が熱処理空間65に形成される。
図4は、保持部7の構成を示す断面図である。保持部7は、半導体ウェハーWよりも大きな径の略円板状を有する。保持部7は、半導体ウェハーWを予備加熱(いわゆるアシスト加熱)するホットプレート(加熱プレート)71、および、ホットプレート71の上面(保持部7が半導体ウェハーWを保持する側の面)に設置されるサセプタ72を有する。保持部7の下面には、既述のように保持部7を昇降するシャフト41が接続される。サセプタ72は石英(あるいは、窒化アルミニウム(AIN)等であってもよい)により形成され、その上面には半導体ウェハーWの位置ずれを防止するピン75が設けられる。サセプタ72は、その下面をホットプレート71の上面に面接触させてホットプレート71上に設置される。これにより、サセプタ72は、ホットプレート71からの熱エネルギーを拡散してサセプタ72上面に載置された半導体ウェハーWに伝達するとともに、メンテナンス時にはホットプレート71から取り外して洗浄可能とされる。
ホットプレート71は、ステンレススチール製の上部プレート73および下部プレート74にて構成される。上部プレート73と下部プレート74との間には、ホットプレート71を加熱するニクロム線等の抵抗加熱線76が配設され、導電性のニッケル(Ni)ロウが充填されて封止されている。また、上部プレート73および下部プレート74の端部はロウ付けにより接着されている。
図5は、ホットプレート71を示す平面図である。図5に示すように、ホットプレート71は、保持される半導体ウェハーWと対向する領域の中央部に同心円状に配置される円板状のゾーン711および円環状のゾーン712、並びに、ゾーン712の周囲の略円環状の領域を周方向に4等分割した4つのゾーン713〜716を備え、各ゾーン間には若干の間隙が形成されている。また、ホットプレート71には、支持ピン70が挿通される3つの貫通孔77が、ゾーン711とゾーン712との隙間の周上に120°毎に設けられる。
6つのゾーン711〜716のそれぞれには、相互に独立した抵抗加熱線76が周回するように配設されてヒータが個別に形成されており、各ゾーンに内蔵されたヒータにより各ゾーンが個別に加熱される。保持部7に保持された半導体ウェハーWは、6つのゾーン711〜716に内蔵されたヒータにより加熱される。また、ゾーン711〜716のそれぞれには、熱電対を用いて各ゾーンの温度を計測するセンサ710が設けられている。各センサ710は略円筒状のシャフト41の内部を通り制御部3に接続される。
ホットプレート71が加熱される際には、センサ710により計測される6つのゾーン711〜716のそれぞれの温度が予め設定された所定の温度になるように、各ゾーンに配設された抵抗加熱線76への電力供給量が制御部3により制御される。制御部3による各ゾーンの温度制御はPID(Proportional,Integral,Derivative)制御により行われる。ホットプレート71では、半導体ウェハーWの熱処理(複数の半導体ウェハーWを連続的に処理する場合は、全ての半導体ウェハーWの熱処理)が終了するまでゾーン711〜716のそれぞれの温度が継続的に計測され、各ゾーンに配設された抵抗加熱線76への電力供給量が個別に制御されて、すなわち、各ゾーンに内蔵されたヒータの温度が個別に制御されて各ゾーンの温度が設定温度に維持される。なお、各ゾーンの設定温度は、基準となる温度から個別に設定されたオフセット値だけ変更することが可能とされる。
6つのゾーン711〜716にそれぞれ配設される抵抗加熱線76は、シャフト41の内部を通る電力線を介してプレート電源98(図7参照)に接続されている。プレート電源98から各ゾーンに至る経路途中において、プレート電源98からの電力線は、マグネシア(マグネシウム酸化物)等の絶縁体を充填したステンレスチューブの内部に互いに電気的に絶縁状態となるように配置される。なお、シャフト41の内部は大気開放されている。
次に、ランプハウス5は、チャンバー6の上方に設けられている。ランプハウス5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、ランプハウス5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。ランプハウス5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状部材である。ランプハウス5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53がチャンバー窓61と相対向することとなる。ランプハウス5は、チャンバー6内にて保持部7に保持される半導体ウェハーWにランプ光放射窓53およびチャンバー窓61を介してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射することにより半導体ウェハーWを加熱する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。複数のフラッシュランプFLの配列によって形成される平面の平面エリアは少なくとも保持部7に保持される半導体ウェハーWよりも大きい。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源99(図7参照)のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。このような粗面化加工を施しているのは、リフレクタ52の表面が完全な鏡面であると、複数のフラッシュランプFLからの反射光の強度に規則パターンが生じて半導体ウェハーWの表面温度分布の均一性が低下するためである。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。図7は、制御部3の構成を示すブロック図である。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU31、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM32、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM33および制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスク34をバスライン39に接続して構成されている。
また、バスライン39には、チャンバー6内にて保持部7を昇降させる保持部昇降機構4のモータ40、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源99、チャンバー6内への処理ガスの給排を行うガスバルブ82,87,473、流量調整弁85,475、搬送開口部66を開閉するゲートバルブ185、ホットプレート71のゾーン711〜716への電力供給を行うプレート電源98および排気ポンプ474等が電気的に接続されている。制御部3のCPU31は、磁気ディスク34に格納された制御用ソフトウェアを実行することにより、これらの各動作機構を制御して、半導体ウェハーWの加熱処理を進行する。
さらに、バスライン39には、表示部35および入力部36が電気的に接続されている。表示部35は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理結果やレシピ内容等の種々の情報を表示する。入力部36は、例えばキーボードやマウス等を用いて構成されており、コマンドやパラメータ等の入力を受け付ける。装置のオペレータは、表示部35に表示された内容を確認しつつ入力部36からコマンドやパラメータ等の入力を行うことができる。なお、表示部35と入力部36とを一体化してタッチパネルとして構成するようにしても良い。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にフラッシュランプFLおよびホットプレート71から発生する熱エネルギーによるチャンバー6およびランプハウス5の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6のチャンバー側部63およびチャンバー底部62には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ランプハウス5は、内部に気体流を形成して排熱するための気体供給管55および排気管56が設けられて空冷構造とされている(図1,6参照)。また、チャンバー窓61とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、ランプハウス5およびチャンバー窓61を冷却する。
次に、半導体ウェハーWの処理手順について説明する。図8は、半導体ウェハーWに対する処理フローの一部を示すフローチャートである。まず、シリコン基板11(図10参照)の表面にフォトリソグラフィー技術を用いてパターンを形成し、ソース・ドレイン領域にボロン(B)やヒ素(As)等の不純物(イオン)を注入する(ステップS1)。不純物の注入はイオン打ち込み法によって実行される。
次に、不純物が注入されたシリコン基板11の表面に炭素(C)の薄膜12を形成する(ステップS2)。炭素の薄膜12の形成には公知の種々の手法を採用することができ、例えばプラズマ蒸着によって形成するようにすれば良い。図10は、シリコン基板11の表面に炭素の薄膜12を形成してなる半導体ウェハーWの断面図である。本実施形態においては、イオン打ち込み法によって不純物が注入されたシリコン基板11の表面にプラズマ蒸着によってアモルファス炭素の薄膜12を形成している。本実施形態においては、シリコン基板11の表面に形成するアモルファス炭素の薄膜12の膜厚(膜厚の初期値)を70nmとしている。
次に、炭素の薄膜12が形成された半導体ウェハーWに対して熱処理装置1による光照射熱処理が実行される(ステップS3)。熱処理装置1における半導体ウェハーWの光照射熱処理についてはさらに後述する。
熱処理装置1での光照射熱処理が終了した半導体ウェハーWには洗浄処理が行われる(ステップS4)。ここでの洗浄処理は、いわゆるSPM洗浄(硫酸と過酸化水素水との混合液を用いた洗浄)およびAPM洗浄(アンモニア水と過酸化水素水との混合液を用いた洗浄)である。この洗浄処理によってシリコン基板11の表面から炭素の薄膜12を完全に除去する。なお、本明細書において「半導体ウェハーW」は、表面に薄膜形成がなされていないシリコン基板11および表面に薄膜12が形成されたシリコン基板11の双方を含む。
図9は、熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順を示すフローチャートである。図9に示す半導体ウェハーWの処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することによって実行される。
まず、保持部7が図6に示す処理位置から図1に示す受渡位置に下降する(ステップS20)。「処理位置」とは、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWに光照射が行われるときの保持部7の位置であり、図6に示す保持部7のチャンバー6内における位置である。また、「受渡位置」とは、チャンバー6に半導体ウェハーWの搬出入が行われるときの保持部7の位置であり、図1に示す保持部7のチャンバー6内における位置である。熱処理装置1における保持部7の基準位置は処理位置であり、処理前にあっては保持部7は処理位置に位置しており、これが処理開始に際して受渡位置に下降するのである。
図2および図6に示すように、石英部材120は、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面を覆うように設けられている。
保持部7はチャンバー6に固定設置された支持ピン70に対して昇降するものであり、図1に示すように、保持部7が受渡位置にまで下降するとチャンバー底部62に近接し、支持ピン70の先端が保持部7を貫通して保持部7の上方に突出する。
次に、保持部7が受渡位置に下降した後、ガスバルブ82が開かれてガス供給源88からチャンバー6の熱処理空間65内に不活性ガス(本実施形態では、窒素ガス)が供給される。それと同時に、ガスバルブ87,473が開かれて熱処理空間65内の気体が排気される(ステップS21)。ガス吐出口89からチャンバー6内に供給された窒素ガスは、熱処理空間65においてチャンバー底部62の中心に位置する下部開口64に向かって下方へと流れ、ガス排気口472からチャンバー外に排気される。また、チャンバー6に供給された窒素ガスの一部は、排出路86からも排気される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して表面に炭素の薄膜12が形成された半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入され、複数の支持ピン70上に載置される(ステップS22)。半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入されると、ゲートバルブ185により搬送開口部66が閉鎖される。そして、保持部昇降機構4により保持部7が受渡位置からチャンバー窓61に近接した処理位置にまで上昇する(ステップS23)。保持部7が受渡位置から上昇する過程において、半導体ウェハーWは支持ピン70から保持部7のサセプタ72へと渡され、サセプタ72の上面に載置・保持される。保持部7が処理位置にまで上昇するとサセプタ72に保持された半導体ウェハーWも処理位置に保持されることとなる。処理位置に保持された半導体ウェハーWはガス吐出口89よりも若干上方に位置している。
ホットプレート71の6つのゾーン711〜716のそれぞれは、各ゾーンの内部(上部プレート73と下部プレート74との間)に個別に内蔵されたヒータ(抵抗加熱線76)により所定の温度まで加熱されている。保持部7が処理位置まで上昇して半導体ウェハーWが保持部7と接触することにより、その半導体ウェハーWはホットプレート71に内蔵されたヒータによって予備加熱されて温度が次第に上昇する(ステップS24)。
この処理位置にて約60秒間の予備加熱が行われ、半導体ウェハーWの温度が予め設定された予備加熱温度T1まで上昇する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし600℃程度、好ましくは350℃ないし550℃程度とされる。また、保持部7とチャンバー窓61との間の距離は、保持部昇降機構4のモータ40の回転量を制御することにより任意に調整することが可能とされている。
また、処理位置にて半導体ウェハーWの予備加熱が行われるのと並行して、チャンバー6の熱処理空間65に酸素ガスが導入される(ステップS25)。すなわち、ガス供給源88からガス導入路81を経由して熱処理空間65に酸素ガスが供給される。このときに、酸素ガスのみを供給しても良いし、酸素ガスを窒素ガスに混合した混合ガスとして供給するようにしても良い。ガス供給源88から熱処理空間65に供給される酸素ガスの流量は制御部3が流量調整弁85を制御することによって調整される。
約60秒間の予備加熱時間が経過し、チャンバー6内の酸素濃度が所定値(例えば、90%)以上となった後、保持部7が処理位置に位置したまま制御部3の制御によりランプハウス5のフラッシュランプFLから半導体ウェハーWへ向けてフラッシュ光が照射される(ステップS26)。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内の保持部7へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからの閃光照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。
すなわち、ランプハウス5のフラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからの閃光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度(正確には炭素の薄膜12の表面温度)は、瞬間的に処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
また、処理対象となる半導体ウェハーWの表面には炭素の薄膜12が形成されている。このような炭素の薄膜12の膜厚が厚くなるにしたがって半導体ウェハーWの表面反射率が低下し、膜厚70nmでは約60%程度となる。表面反射率の低下は、半導体ウェハーWのフラッシュ光吸収率の上昇、より具体的には炭素の薄膜12のフラッシュ光吸収率が増大していることを意味している。なお、キセノンフラッシュランプFLからのフラッシュ光の放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、シリコン基板11をほとんど透過しない。
炭素の薄膜12の膜厚増加に伴う半導体ウェハーWの表面反射率の低下は、膜厚が厚くなるにしたがって薄膜12自体のフラッシュ光吸収率が高まることによるものである。すなわち、炭素の薄膜12がある程度以上に厚くなると、照射されたフラッシュ光の一部が薄膜12に吸収される。その吸収率は薄膜12の膜厚が厚くなるほど大きくなる。フラッシュ光を吸収した炭素の薄膜12の表面では熱が発生し、その熱がシリコン基板11の表面に伝導する。
このように、ある一定以上の膜厚を有する炭素の薄膜12は光吸収膜として機能し、半導体ウェハーWのフラッシュ光吸収率を高める。そして、半導体ウェハーWのフラッシュ光吸収率が高まった結果、フラッシュ光照射時の半導体ウェハーWの表面到達温度(厳密には不純物が注入されているシリコン基板11の表面到達温度)は薄膜12が形成されていないときよりも上昇し、より良好な不純物の活性化処理が行われることとなる。
また、フラッシュランプFLから照射されたフラッシュ光は均一に形成された炭素の薄膜12に一旦吸収されて薄膜12に熱が発生し、その熱がシリコン基板11の表面に伝導することとなる。このため、シリコン基板11の表面にパターン形成にともなう吸収率のバラツキが存在していたとしても、薄膜12が形成されていない場合と比較して吸収率のバラツキは緩和され、不純物が注入されているシリコン基板11の表面は均一に加熱されることとなる。
また、本実施形態においては、フラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する時点でのチャンバー6内の酸素濃度を90%以上としている。このため、フラッシュ光照射によって加熱された薄膜12の炭素と酸素とが反応して二酸化炭素(CO2)または一酸化炭素(CO)が生成される。これによって薄膜12の炭素が気化されて消費され、薄膜12の膜厚が低下する。すなわち、フラッシュ光照射時に炭素の薄膜12を光吸収膜として機能させると同時に、チャンバー6内に酸素を導入することによって炭素の薄膜12の剥離処理をも行っているのである。なお、生成した炭素の酸化物は気体であるため、チャンバー6内の雰囲気とともにガス排気口472および排出路86から熱処理装置1の外部へと排気される。
ところで、半導体ウェハーWの表面の薄膜12に大きなエネルギーを有するフラッシュ光を瞬間的に照射したときに、炭素を含む物質が薄膜12から飛散してチャンバー6の内壁面に付着することがある。このような炭素を含む物質の付着は処理位置の保持部7よりもやや上方におけるチャンバー6の内壁面において顕著である。炭素を含む物質が付着した部分は黒く変色し、これはそのままチャンバー6内の汚染源となる。また、チャンバー6の内壁面が黒く変色すると、フラッシュ光照射時のチャンバー6内における反射挙動が変化し、その結果半導体ウェハーWの面内におけるフラッシュ光の照度分布にバラツキが生じて熱処理の面内均一性が損なわれるおそれがある。
このため、第1実施形態においては、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面を覆うように石英部材120を設けている。このため、フラッシュ光照射時に飛散した炭素を含む物質がチャンバー6の内壁面に付着するのを防止して汚染を抑制することができる。また、石英部材120の表面には炭素を含む物質がほとんど付着しない。
フラッシュ加熱が終了して所定時間(数秒)が経過した時点で再びガス供給源88から熱処理空間65に窒素ガスを供給するとともに、ガス排気口472および排出路86から熱処理空間65内の酸素ガスを含む気体を排気する。これによって、チャンバー6内の雰囲気が窒素ガスに置換される(ステップS27)。
その後、保持部7が保持部昇降機構4により再び図1に示す受渡位置まで下降し、半導体ウェハーWが保持部7から支持ピン70へと渡される(ステップS28)。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、支持ピン70上に載置された半導体ウェハーWは装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWのフラッシュ加熱処理(アニール処理)が完了する(ステップS29)。
以上のように、第1実施形態においては、半導体ウェハーWの表面に炭素の薄膜12を形成することによってその炭素薄膜12にフラッシュ光を吸収させている。フラッシュ光を吸収することによって炭素の薄膜12が昇温し、薄膜12が形成されていない場合に比較して不純物が注入されているシリコン基板11の表面をより高温に昇温して良好な不純物の活性化処理を実現し、シート抵抗値を低下させることができる。
特に、第1実施形態においては、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面を覆うように石英部材120を設けている。このため、フラッシュ光照射時に飛散した炭素を含む物質がチャンバー6の内壁面に付着するのを防止して汚染を抑制することができる。その結果、チャンバー6内におけるフラッシュ光の反射挙動の変化も防止することができる。
また、チャンバー6内に酸素ガスを供給しつつ、炭素の薄膜12が形成された半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射しているため、加熱された薄膜12の炭素が酸化されて気化することにより消費される。これによって、フラッシュ加熱時に炭素の薄膜12の剥離処理が進行することとなり、続く洗浄処理工程(図8のステップS4)において通常のSPM洗浄およびAPM洗浄のみによって炭素の残膜を除去することができる。チャンバー6内が窒素ガス等の不活性ガス雰囲気のままフラッシュ光を照射した場合には、薄膜12の炭素が消費されないためフラッシュ加熱後も当初の膜厚が概ねそのまま維持される。この場合、通常のSPM洗浄やAPM洗浄のみでは十分に薄膜12を除去することができず、ステップS4の洗浄処理工程の前に別途アッシング処理工程を行う必要がある。本実施形態のように、チャンバー6内に酸素ガスを供給しつつフラッシュ光照射を行えば、フラッシュ加熱時に薄膜12の剥離処理をも同時に行うことができ、アッシング処理工程を省略して通常の洗浄処理のみによって残膜を確実に除去することができる。なお、フラッシュ光照射時に炭素の薄膜12の全てが気化することは無く、残膜はシリコン基板11の表面の酸化防止膜としても機能することとなる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図11は、第2実施形態の熱処理装置のチャンバー要部を示す図である。第2実施形態においては、チャンバー6の内壁面の一部にラバーヒータ220を貼設している。また、第2実施形態においては、チャンバー6の側内壁面を覆う石英部材120は設けていない。残余の構成については、第2実施形態の熱処理装置は第1実施形態と同様である。
ラバーヒータ220は、リング631の内壁面を覆うとともに、ガス吐出口89の直下におけるチャンバー側部63の内壁面の一部を覆うように貼設されている。すなわち、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面にはラバーヒータ220が貼設されている。また、ラバーヒータ220は、ガス吐出口89の開口部は開放している。よって、ガス吐出口89から吐出される処理ガスがラバーヒータ220によって遮られるおそれは無い。
第2実施形態における半導体ウェハーWの処理手順および熱処理装置による半導体ウェハーWの光照射熱処理の手順も第1実施形態と同じである(図8,図9参照)。但し、第2実施形態においては、少なくとも図9のフローが実行されている間は常時ラバーヒータ220がチャンバー6の内壁面を100℃以上に加熱している。
第1実施形態と同様に、不純物が注入された後に炭素の薄膜12が表面に形成された半導体ウェハーWにフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射すると、その薄膜12が光吸収膜として機能し、半導体ウェハーWのフラッシュ光吸収率を高める。そして、フラッシュ光照射時の半導体ウェハーWの表面到達温度は薄膜12が形成されていないときよりも上昇し、より良好な不純物の活性化処理が行われることとなる。
また、第2実施形態においては、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面にはラバーヒータ220が貼設されている。このラバーヒータ220によってチャンバー6の内壁面は100℃以上に加熱されるとともに、ガス供給源88からガス導入路81を経由してチャンバー6の内部に酸素ガスを供給している。酸素ガスが存在する雰囲気下にてチャンバー6の内壁面が100℃以上に加熱されていると、フラッシュ光照射時に飛散した炭素を含む物質がチャンバー6の内壁面に到達したとしても、その炭素を含む物質が直ちに酸化されて気体として排出されるため、チャンバー6の内壁面に付着することが防止される。このため、チャンバー6の内壁面の汚染を抑制することができる。
飛散した炭素を含む物質を確実に酸化するためには、チャンバー6の内壁面を300℃以上に加熱することが好ましい。一方、チャンバー6の内壁面が500℃を超えて加熱されると、半導体ウェハーWに与える熱影響が大きくなるため、チャンバー6の内壁面の加熱温度は500℃未満とする必要がある。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12は、第3実施形態の熱処理装置の構成を示す断面図である。第3実施形態においては、処理ガスをガス供給源88からチャンバー6へと導くガス導入路81にガス加熱部320を介挿している。また、第3実施形態においては、チャンバー6の内壁面を覆う石英部材120およびラバーヒータ220は設けていない。残余の構成については、第3実施形態の熱処理装置は第1実施形態と同様である。
ガス加熱部320は、ヒータを内蔵し、ガス導入路81を通過する処理ガスを少なくとも100℃以上に加熱することができる。ガス加熱部320は、ガスバルブ82および流量調整弁85よりも下流側に設けられている。ガスバルブ82を開放するとともに、ガス導入路81を通過する処理ガスをガス加熱部320によって加熱することにより、ガス吐出口89からチャンバー6内に100℃以上に加熱された高温の処理ガスが供給される。
第3実施形態における半導体ウェハーWの処理手順および熱処理装置による半導体ウェハーWの光照射熱処理の手順は第1実施形態と概ね同じである。図13は、第3実施形態の熱処理装置における半導体ウェハーWの処理手順を示すフローチャートである。図13のステップS20〜ステップS29までの処理は図9のステップS20〜ステップS29の処理と全く同じである。
これにより、第1実施形態と同様に、不純物が注入された後に炭素の薄膜12が表面に形成された半導体ウェハーWにフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射したときに、その薄膜12が光吸収膜として機能し、半導体ウェハーWのフラッシュ光吸収率を高めることができる。そして、フラッシュ光照射時の半導体ウェハーWの表面到達温度は薄膜12が形成されていないときよりも上昇し、より良好な不純物の活性化処理が行われることとなる。
さらに、第3実施形態においては、ステップS29にて半導体ウェハーWを熱処理装置から搬出する際に、100℃以上に加熱した高温の酸化性ガス(第3実施形態では酸素ガス)をチャンバー6に供給している(ステップS30)。具体的には、半導体ウェハーWを熱処理装置から搬出する際に、ガスバルブ82を開放してガス供給源88からガス導入路81に酸素ガスを送給するとともに、ガス加熱部320によってその酸素ガスを加熱し、ガス吐出口89からチャンバー6内に100℃以上に加熱した酸素ガスを供給する。
これにより、フラッシュ光照射時に飛散してチャンバー6の内壁面に付着した炭素を含む物質を高温の酸素ガスによって酸化し、気体として排出することができる。その結果、チャンバー6の内壁面への炭素を含む物質の付着を防止し、チャンバー6の内壁面の汚染を抑制することができる。
炭素を含む物質を酸化するための酸化性ガスは酸素ガスに限定されるものではなく、他の酸化剤として機能するガス、例えばオゾンガスであっても良い。また、飛散した炭素を含む物質を確実に酸化するためには、酸化性ガスを300℃以上に加熱してチャンバー6内に供給することが好ましい。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態においては、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面を覆うように石英部材120を設けていたが、チャンバー6の内壁面の全体を覆うように石英部材120を設けるようにしても良い。
また、石英部材120の設置位置はチャンバー6の内壁面近傍に限定されるものではなく、フラッシュ光照射時に炭素を含む物質が処理位置の半導体ウェハーWからチャンバー6の内壁面に到達する飛散経路上のいずれかであれば良い。例えば、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する石英板を所定間隔を隔てて半導体ウェハーWの上方に設置するようにしても良い。また、処理位置の半導体ウェハーWの側方を覆うような円筒状の石英部材を設置するようにしても良い。
また、第2実施形態においては、少なくとも処理位置の保持部7よりも上方におけるチャンバー6の内壁面にラバーヒータ220を貼設していたが、チャンバー6の内壁面の全体にラバーヒータ220を貼設するようにしても良い。また、チャンバー6の内壁面を100℃以上に加熱できれば良く、当該内壁面にヒータを内蔵するようにしても良い。
また、第1実施形態の石英部材120、第2実施形態のラバーヒータ220、第3実施形態のガス加熱部320のうちの複数を組み合わせて設けるようにしても良い。すなわち、フラッシュ光照射時に半導体ウェハーWから飛散した炭素を含む物質がチャンバー6の内壁面に付着するのを防止する何れかの付着防止手段を設けるようにしておけば良い。
また、上記各実施形態においては、不純物が注入されたシリコン基板11の表面にアモルファス炭素の薄膜12を形成していたが、アモルファス炭素に代えて結晶構造を有する炭素(例えば、グラファイト)にて薄膜12を形成するようにしても良い。結晶構造を有する炭素にて薄膜12を形成するようにしても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。もっとも、アモルファス炭素にて薄膜12を形成するようにした方がフラッシュ加熱時に酸化されやすく薄膜12の剥離処理が進行しやすい。
また、炭素化合物にて薄膜12を形成するようにしても良い。光吸収膜としての薄膜12を形成するのに適した炭素化合物としては、特に有機化合物が挙げられ、炭素と水素、或いはそれらに加えて酸素を含む化合物が好適である。すなわち、不純物が注入されたシリコン基板11の表面に炭素または炭素化合物の薄膜12を形成する形態であれば良い。
また、上記実施形態においては、ランプハウス5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。
また、上記実施形態においては、ホットプレート71を含む保持部7からの伝熱によって半導体ウェハーWの予備加熱を行っていたが、チャンバー6の底部にハロゲンランプを設け、そのハロゲンランプからの光照射によって半導体ウェハーWの予備加熱を行うようにしても良い。
また、本発明に係る技術は、シリコン膜が形成されたガラス基板に対して適用することもできる。