JP5445841B2 - 電極活物質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に用いられる電極活物質(典型的には正極活物質)の製造方法に関する。詳しくは、アモルファス構造を有する電極活物質の製造方法に関する。
近年、リチウム二次電池やニッケル水素電池等の二次電池は、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいはパソコン及び携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。
リチウム二次電池は、電荷担体となるリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備え、さらなる高エネルギー密度化および高出力化を実現するため電極活物質材料の検討が行われている。例えば、リチウム二次電池の正極に用いられる正極活物質としては、リチウム(Li)と少なくとも1種の遷移金属元素を含む、層状構造またはスピネル構造等を有するリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
上記リチウム二次電池用の電極活物質の製造方法に関連する従来技術として、特許文献1には、スピネル型の結晶構造を有するLiMMn2−x(0<x<2)の製造方法について開示されている。その方法は、原料を揮発性溶媒に溶解し、電圧を印加したノズルから基板に噴霧して付着させ析出させるものである。また、特許文献2および3には、リチウム二次電池用の電極活物質として、アモルファス化(非晶質化)されてなる酸化物について開示されている。アモルファス構造を有する酸化物を電極活物質として用いた電池では、リチウムイオンの挿入位置が不規則で結晶構造上の制限がなくなるため、リチウムイオンの吸蔵量を多くできるようになり、さらなる高容量化または高エネルギー密度化を実現し得る電極活物質として期待されている。
特開2002−260656号公報 特開平6−275277号公報 特開2005−135866号公報
ところで、上記アモルファス構造を有するリチウム含有複合酸化物を製造する方法としては、上記特許文献2および3に記載のあるように、原料となる粉末状の化合物を所定の組成となるように混合し、原料混合物が溶融する温度で焼成した後に急冷する方法(溶融急冷法)や、粉砕混合した原料混合物を粉末ターゲットとしてスパッタリングする方法(スパッタリング法)などが挙げられる。しかしながら、従来公知の方法を用いて製造されるアモルファス構造を有する複合酸化物は、粒径がμmオーダー程度であるため、電池容量を向上させることが困難であった。また、非常に高温での焼成を製造工程に含むなど、製造コスト面や作業性という点で課題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、これまでにない低温域での焼成で、粒径のより小さいアモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を製造する方法を提供することである。また、そのような製造方法で製造された電極活物質を使用した正極を備えるリチウム二次電池の提供を他の目的とする。
上記目的を実現するべく本発明により、アモルファス構造を有する複合酸化物であって、リチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素とを含む、複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を製造する方法が提供される。
ここに開示される製造方法は、1)少なくともリチウム源と、上記遷移金属元素源と、上記ガラス形成可能元素源とを包含する、上記複合酸化物を構成するための出発原料を有機溶剤に溶解させて原料混合物を調製する工程、2)上記原料混合物を加熱して上記有機溶剤を揮発させる工程、および3)上記有機溶剤を揮発させた後の原料混合物を焼成する工程、を包含することを特徴とする。
なお、本明細書において「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般に、リチウムイオン電池と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。
また、本明細書において「電極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(すなわちリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な物質をいう。
層状構造またはスピネル構造等を有するリチウム含有の複合酸化物は、結晶性が高く微細粒であるほど該酸化物を電極活物質(典型的には正極活物質)として使用したリチウム二次電池は優れた電池特性(例えばサイクル特性、ハイレート特性)を有することが知られる。他方、本発明に係る製造方法で得られる複合酸化物は、アモルファス構造(非晶質構造)を有しているため、上述のような特定の結晶構造を有していない。しかしながら、アモルファス構造を有する複合酸化物は、リチウムイオンの挿入位置が不規則で結晶構造上の制限がなくなるため、リチウムイオンを多く吸蔵することができるようになり、さらなる高容量化または高エネルギー密度化を実現し得る電極活物質として期待されている。
本発明によって提供される製造方法では、溶融急冷法やスパッタリング法などの従来とは異なる方法を用いることにより、リチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素(例えばB、Al、Si、P、Ge、Te、Ga、Bi等)とを含むアモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を製造するものである。
かかる製造方法とは、まず、少なくともリチウム源と、上記遷移金属元素源と、上記ガラス形成可能元素源とを包含する複合酸化物を構成するための出発原料を有機溶剤に溶解させて原料混合物を調製し、該原料混合物を加熱して有機溶剤を揮発(蒸発)させる(典型的には、該原料混合物を乾燥させる)。そして、さらに有機溶剤を揮発させた後の原料混合物を焼成する工程を含む。上記工程を含む製造方法によると、従来の製造方法で得られるアモルファス構造を有する複合酸化物の粒径(例えば溶融急冷法では平均粒径3μm程度)よりも、粒径が小さい(走査型電子顕微鏡観察に基づく平均粒径が、典型的には1μm以下、例えば100nm〜500nm、好適には概ね200〜300nm程度)アモルファス構造を有する複合酸化物が得られる。従って、本発明によると、リチウム二次電池の高容量化または高エネルギー密度化が実現可能な複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を提供することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記揮発工程の終了後、上記有機溶剤を揮発させた後の原料混合物を100℃以下の温度で保持する工程を包含する。
原料混合物を加熱して有機溶剤を揮発させた後、100℃以下の温度で保持する(典型的には、加熱した原料混合物の温度を一旦100℃以下まで降温させる)ことにより、かかる製造方法で得られる複合酸化物から、充放電に寄与しないLiPOの含有量を減少することができる。その結果、より高い電池容量または高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池を構築し得るリチウム二次電池用の電極活物質を提供することができる。
また、ここに開示される製造方法の好ましい他の一態様では、上記揮発工程では、少なくとも100℃を上回る温度であって、上記焼成工程における最高焼成温度を下回る温度で上記原料混合物を加熱する。
上記揮発工程では、原料混合物に含まれる有機溶剤が揮発する温度(使用する有機溶剤の沸点又はその近傍の温度であって、例えば、沸点±20℃)で加熱する。かかる加熱温度としては、100℃を上回る温度であること、且つ、その後の焼成工程における最高焼成温度を下回る温度であることが好ましい。その結果、より効果的に有機溶媒を揮発させることが可能となる。
また、好ましくは、上記焼成工程では上記最高焼成温度を400℃以下に設定する。
このような低めの最高焼成温度(加熱炉などの装置に設定する焼成温度をいう)で焼成が可能であることから、より効率的に目的とするアモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を製造することができる。
好ましい他の一態様では、上記原料混合物は、一般式:
LiMX (1)
(式(1)中のa,bおよびcは、
0<a≦2.5、
0<b≦3、
c={a+(Mの価数)+b×(Xの価数)}/2
を全て満足する数であり、
Mは、少なくとも1種の遷移金属元素であって、Xは、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素である。)
で示される複合酸化物が生成されるように調製する。
また、好ましい他の一態様では、上記M元素は、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から成る群から選択される1種又は2種以上の元素を含む。特に好ましくは、上記M元素は、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。
かかる遷移金属元素を含む複合酸化物からなる電極活物質は、より多くの電荷担体(リチウム)を吸蔵し得る。その結果、より高容量のリチウム二次電池を提供することができる。
また、他の一態様では、上記X元素は、ホウ素(B)、リン(P)、およびケイ素(Si)から成る群から選択される1種又は2種以上の元素を含む。特に好ましくは、上記X元素は、ホウ素(B)、リン(P)、およびケイ素(Si)から成る群から選択される1種又は2種以上の元素である。
上記ホウ素(B)、リン(P)、およびケイ素(Si)は、酸素と共に酸化物(B、P、およびSiO)の形態でガラス形成可能な元素である。従って、かかる元素の元素源を用いて原料混合物を調製することにより、特定の結晶構造を持たないアモルファス構造の複合酸化物を好適に得ることができる。
さらに、好ましくは、上記リチウム源及び/又は上記遷移金属元素源として当該元素を含む化合物の水和物を使用する。
水和物を使用して原料混合物を調製すると、上述の有機溶剤が揮発されて固化した原料混合物が100℃以下の温度で保持されると、原料混合物はゲル状に変化する。これにより、より高容量または高エネルギー密度を実現し得るリチウム二次電池用の電極活物質を提供することができる。
また、本発明によって提供される製造方法の好ましい他の一態様では、上記焼成工程後に得られた焼成物を粉砕する工程をさらに包含する。
焼成物を粉砕し粒状にすることにより、アモルファス構造を有する複合酸化物の比表面積を大きくすることが可能となる。これにより、リチウム二次電池のさらなる高容量化が実現される。
また、ここに開示されるいずれかの製造方法によると、アモルファス構造を有する複合酸化物は、走査型電子顕微鏡観察に基づく平均粒径が1μm以下であることを特徴とする。
平均粒径が典型的には1μm以下(例えば100nm〜500nm、好適には概ね200〜300nm程度)の微小粒径のアモルファス構造を有する複合酸化物からなる電極活物質を用いることにより、高い電池容量を有するリチウム二次電池を提供することができる。
また、本発明は、上記目的を実現する他の側面として、上記リチウム二次電池用の電極活物質を使用した正極を備える、リチウム二次電池を提供する。
さらに、本発明によると、ここに開示されるリチウム二次電池を備える車両を提供する。本発明によって提供されるリチウム二次電池は、特に車両に搭載される電池の電源として適した性能(例えば高容量または高エネルギー密度)を示すものであり得る。したがって、ここに開示されるリチウム二次電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
一実施形態に係るリチウム二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 電極体を捲回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係るリチウム二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。 実施例1に係る複合酸化物のSEM像である。 比較例に係る複合酸化物のSEM像である。 実施例1に係る複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池の充放電特性を示すグラフである。 比較例に係る複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池の充放電特性を示すグラフである。 温度保持行程を省略して得られた複合酸化物(実施例2)と、温度保持行程を経て得られた複合酸化物(実施例3)のXRD測定による回折パターンを比較するグラフである。 温度保持行程を省略して得られた複合酸化物(実施例2)と、温度保持行程を経て得られた複合酸化物(実施例3)をそれぞれ用いて構築したリチウム二次電池の充放電特性を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明によって提供される電極活物質は、アモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質(典型的には正極活物質)であり、リチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素とを含む複合酸化物により構成される。以下、上記電極活物質および該活物質の製造方法を詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。
まず、本実施形態に係るリチウム二次電池用の電極活物質(典型的には正極活物質)について説明する。ここに開示される電極活物質は、アモルファス構造(非晶質構造)を有する複合酸化物により構成されている。本発明に係るアモルファス構造を有する複合酸化物は、層状構造やスピネル構造などといった特定の結晶構造を有さない、非晶質型のものである。層状構造やスピネル構造等の結晶構造を有する複合酸化物は、結晶性が高く微細粒であるほど該酸化物を電極活物質として使用したリチウム二次電池は優れた電池特性(例えばサイクル特性、ハイレート特性)を有することが知られる。かかる原理からすると、アモルファス構造を有する複合酸化物は、上記特定の結晶構造を有する複合酸化物とは背反する構造を備え、電池特性の向上においてはリチウム二次電池用の電極活物質として不向きなものであるように思われる。しかしながら、アモルファス構造を有する複合酸化物は、非晶質型である故に、リチウムイオンの挿入位置が不規則で結晶構造上の制限がなくなるため、リチウムイオンを多く吸蔵することができる可能性を有している。そのため、高容量化または高エネルギー密度化を実現し得る電極活物質として期待される。
次いで、本実施形態に係るアモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質(典型的には正極活物質)を製造する方法について説明する。
ここに開示される製造方法はリチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素とを含む、アモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を製造する方法を製造する方法である。かかる製造方法は、大まかにいって、上記複合酸化物を構成するための出発原料を有機溶剤に溶解させて原料混合物を調製する工程と、該原料混合物を加熱した有機溶剤を揮発させる工程と、焼成する工程とを含む。以下、詳細に説明する。
<出発原料>
まず、リチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素とを含むアモルファス構造を有する複合酸化物を構成するための出発原料を用意する。かかる出発原料として、少なくともリチウム源と、上記遷移金属元素源と、上記ガラス形成可能元素源とを用意する。各元素の供給源として、1種の化合物を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、2種以上の元素の供給源として機能する原料化合物を使用することができる。例えば、上記遷移金属元素源としてニッケル源が、上記ガラス形成可能元素源としてリン源がそれぞれ必要である場合、リン酸ニッケル水和物等を使用することができる。
上記出発原料の一つであるリチウム源を包含する化合物としては、溶媒(ここでは有機溶剤)に溶解し得る(一部は分散していてもよい)ものであれば特に限定されず、各種のリチウム化合物を用いることができる。例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、過酸化リチウム、リン酸リチウム、シュウ酸リチウム、酢酸リチウムおよびヨウ化リチウム等を用いるとよい。特に好ましい例として、酢酸リチウム・二水和物〔Li(CHCOO)・2HO〕などの水和物が挙げられる。
上記遷移金属元素源としては、特に限定されるものではないが、好適な具体例として、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から成る群から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素を包含する化合物が挙げられる。特に好ましくは、Mnを包含する化合物である。
かかる遷移金属元素を包含する化合物とは、溶媒(ここでは有機溶剤)に溶解し得る(一部は分散していてもよい)、各種遷移金属元素の水酸化物、酸化物、各種の塩(例えば炭酸塩)、ハロゲン化物(例えばフッ化物)等の化合物が選択され得る。
例えば、上記マンガン源を包含する化合物としては、例えば、酢酸マンガン、シュウ酸マンガン、炭酸マンガン、酸化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、水酸化マンガン、オキシ水酸化マンガンなどのおもに2価あるいは4価のマンガン化合物を用いることができる。特に好ましい例として、酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CHCOO)・4HO〕または硫酸マンガンが挙げられる。
また、上記ニッケル源を包含する化合物としては、例えば、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、炭酸ニッケル、酸化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケルなどのおもに2価あるいは3価のニッケル化合物を用いることができる。特に好ましい例として、酢酸ニッケル(II)・四水和物〔Ni(CHCOO)・4HO〕が挙げられる。
さらに、上記コバルト源を包含する化合物としては、例えば、酢酸コバルト、シュウ酸コバルト、炭酸コバルト、酸化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルトなどのおもに2価あるいは3価のコバルト化合物を用いることができる。特に好ましい例として、酢酸コバルト(II)・四水和物〔Co(CHCOO)・4HO〕が挙げられる。
さらに、上記鉄源を包含する化合物としては、例えば、おもに2価あるいは3価の塩化鉄、酸化鉄、シュウ酸鉄、炭酸鉄、酸化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、水酸化鉄などの鉄化合物をいずれも好適に用いることができる。
なお、ここで上記遷移金属元素源としては、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から成る群から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素の他、少なくとも1種の金属元素(すなわち上記主構成金属元素以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を好ましくは上記構成金属元素のモル比よりも少ない割合で含んでいてもよい。かかる金属元素としては、例えば、クロム(Cr),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)などであり得る。
また、上記ガラス形成可能元素源としては、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)等の元素を供給する元素源を用いることが好ましい。上記列挙した元素は、酸素と共に酸化物の形態(ガラス形成酸化物)でB、Al、SiO、P、GeO、TeO、Ga、Biで存在し得る。かかるガラス形成可能元素源は、上記元素を包含する化合物であって、溶媒(ここでは有機溶剤)に溶解し得る(一部は分散していてもよい)化合物であれば特に限定することなく選択され得る。好適な具体例として、ホウ素(B)、リン(P)、およびケイ素(Si)から成る群から選択される1種又は2種以上の元素を包含する化合物が挙げられる。
例えば、リン源を包含する化合物としては、溶媒(ここでは有機溶剤)に溶解し得る(一部は分散していてもよい)化合物であれば特に限定されず、各種のリン化合物を用いることができる。例えば、リン酸、リン酸二水素アンモニウム〔NHPO〕やリン酸水素二アンモニウムなどのリン酸水素アンモニウムを用いることができる。あるいは、リン酸を含む溶液をリン酸源として使用してもよい。好ましくは、リン酸が使用される。
また、ホウ素源を包含する化合物としては、溶媒(ここでは有機溶剤)に溶解し得る(一部は分散していてもよい)化合物であれば特に限定されず、各種のホウ素化合物を用いることができる。例えば、ホウ酸、ホウ素酸化物(B)などが好ましい。
<原料混合物の調製>
次いで、上記用意した各出発原料を秤量し、有機溶剤に溶解させて原料混合物を調製する。かかる原料混合物は、一般式:
LiMX (1)
(式(1)中のa,bおよびcは、
0<a≦2.5、
0<b≦3、
c={a+(Mの価数)+b×(Xの価数)}/2
を全て満足する数であり、
Mは、少なくとも1種の遷移金属元素であって、Xは、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素である。)
で示される複合酸化物が生成されるように各出発原料の混合量を調整(秤量)するのがより好ましい。
ここで、本実施形態に係る製造方法で得られる複合酸化物はアモルファス構造を有し、結晶構造上の制限がないことからリチウムイオンを多く吸蔵し得る。そのため、過剰量のリチウムが含まれるように上記式(1)中のaが0<a≦2.5を満たすように上記リチウム供給源を用意し、各出発原料を混合するとよい。これにより、高容量で高エネルギー密度を実現し得る、アモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を合成することができる。
また、上記式(1)中のM元素は、少なくとも1種の遷移金属元素である限り特に限定されない。例えば、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)および鉄(Fe)から成る群から選択される少なくとも1種又は2種以上の元素であるのがより好ましい。より多くの電荷担体(リチウム)を吸蔵し得る高容量のリチウム二次電池を提供することができる。さらに、リチウムに次いでマンガンの含有モル比が高くなるように遷移元素源の混合比率を調整することにより、コバルトやニッケルなどのようなコスト高の遷移金属材料の使用量を削減することができる。
上記式(1)中のX元素は、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素である限り特に限定されない。例えば、ホウ素(B)、リン(P)、およびケイ素(Si)から成る群から選択される少なくとも1種又は2種以上の元素を含むように原料混合物を調製することにより、特定の結晶構造を持たないアモルファス構造の複合酸化物をより好適に得ることができる。
ここで用いられる上記出発原料を溶解する有機溶剤としては、出発原料を好適に溶解し得る限りにおいて特に限定されない。例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン等が好適例として挙げられる。これらのうち、DMFを特に好ましく使用し得る。なお、このような有機溶剤はこれらのうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、水(あるいは水と均一に混合し得る低級アルコール、低級ケトン等)を含む上記有機溶剤を主体とする混合溶媒を用いてもよい。
各出発原料の混合質量比を調整した後、上記有機溶剤に各出発原料を添加し、十分に混合して溶解させることにより、原料混合物を調製する。混合するに際し、必要に応じて攪拌(混練、粉砕を含む)を行ってもよい。混合に用いる装置としては特に限定するものではないが、例えば、プラネタリーミキサー、遊星式撹拌装置、デスパー、ボールミル、ニーダ、ミキサー等を使用することにより、上記原料混合物が均一に混合され安定した混合状態の原料混合物を調製することができる。
<有機溶剤の揮発>
次いで、有機溶剤を揮発させる工程について説明する。かかる工程では、上記調製した原料混合物を加熱し、原料混合物に含有する有機溶剤を揮発させる(典型的には、原料混合物を乾燥させる)。後述する焼成工程前に原料混合物を加熱することにより、原料混合物から有機溶剤(または一部)を揮発させ、結晶の成長を抑制しながら好適な状態に乾燥することができる。
また、上記加熱温度は、有機溶剤が揮発する温度(使用する有機溶剤の沸点又はその近傍の温度であって、例えば、沸点±20℃)であれば特に限定されないが、少なくとも100℃を上回る温度であって、後述する焼成工程における最高焼成温度を下回る温度で原料混合物を加熱するのが好ましい。例えば、110℃〜400℃、好ましくは120℃〜300℃、より好ましくは130℃〜200℃、特に好ましくは140℃〜170℃、好適には概ね150℃程度の温度で加熱することができる。これにより、効果的に有機溶剤を揮発させることが可能となる。
なお、加熱時間は、原料混合物の乾燥状態を確認しながら、適宜保持時間を調整することができる。例えば、12時間以下、典型的には5時間以下、好適には1〜5時間、概ね2〜3時間が程度)が好ましい。
また、加熱方法としては、熱風、真空、赤外線、遠赤外線等の適当な加熱(乾燥)手段を用いて良好に加熱することができる。加熱時の雰囲気は、使用した溶剤や出発原料の種類により必要に応じて、大気雰囲気中の他、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、あるいは密閉容器内に入れて保持することができる。
<温度保持>
次いで、上記揮発工程の終了後、後述する焼成工程前に、有機溶剤を揮発させた原料混合物を100℃以下の温度で保持する(典型的には、加熱した原料混合物の温度を一旦100℃以下まで降温させる)工程を行うのがより好ましい。原料混合物から有機溶剤を揮発させた後、原料混合物の温度を100℃以下にすると、水分を得てゲル状を呈するようになる。これにより、かかる製造方法で得られる複合酸化物から、充放電に寄与しないLiPOの含有量を減少することができる。その結果、より高い電池容量または高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池を構築し得るリチウム二次電池用の電極活物質(典型的には正極活物質)を提供することができる。
なお、保持温度としては、100℃以下である限り制限されないが、例えば、室温以上100℃以下の温度域(典型的には10℃〜90℃、好ましくは15℃〜50℃、さらに好ましくは20℃〜30℃)で原料混合物を保持することにより、ゲル状態に変化させることができる。また、保持時間は特に限定されるものではないが、例えば終日、好ましくは2日以上、好適には1週間程度、上記温度域で原料混合物を保持すればよい。
<焼成>
次いで、焼成について説明する。有機溶剤を揮発させた後(上記保持工程を行う場合は、該工程の終了後)の原料混合物を焼成する。焼成は、酸化性の雰囲気、例えば大気中または大気よりも酸素がリッチな雰囲気中で行うことが望ましい。また、焼成温度は、上記有機溶剤の揮発工程で加熱した温度を上回り、且つ400℃以下の温度範囲内に設定された最高焼成温度(加熱炉などの装置に設定する焼成温度をいう)まで昇温して焼成する。典型的には200℃〜400℃、好ましくは250℃〜380℃、好適には概ね300℃〜350℃程度の最高焼成温度で焼成することができる。このような低めの最高焼成温度で焼成が可能であることから、より効率的に目的とするアモルファス構造を有する複合酸化物を得ることができる。かかる焼成工程の後に得られる焼成物は、走査型電子顕微鏡観察に基づく平均粒径が、典型的には1μm以下(例えば100nm〜500nm、好適には概ね200〜300nm程度)である一次粒子のアモルファス構造を有する複合酸化物が凝集してなる二次粒子によって構成される。
<粉砕>
また、上記原料混合物を焼成した後、上記焼成物(二次粒子)を粉砕するのが好ましい。適当な手段(例えばボールミル、ミキサー等)で粉砕、造粒および分級することにより、比表面積の大きい一次粒子によって実質的に構成されたアモルファス構造を有する複合酸化物が得られる。溶融急冷法などの従来の製造方法では、焼成物を粉砕しても平均粒径が小さいアモルファス構造を有する複合酸化物は得られなかった。しかしながら、本発明にかかる製造方法によると、低温域での焼成で平均粒径のより小さい(比表面積の大きい)アモルファス構造を有する複合酸化物を製造することができる。これにより、高容量化または高エネルギー密度化が実現可能なリチウム二次電池用の電極活物質を提供することができる。
なお、上記粉砕した焼成物(アモルファス構造を有する複合酸化物)に、さらに導電材となり得る粉末状の炭素材料(アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等の種々のカーボンブラック、あるいはグラファイト等)を添加して共に粉砕(混合)することにより、該複合酸化物の表面に炭素材料を被覆することができる。これにより、該複合酸化物からなる電極活物質の導電性を向上させることができる。
以下、ここに開示される製造方法により得られるアモルファス構造を有する複合酸化物をリチウム二次電池用電極活物質として使用された正極、および該正極を備えるリチウム二次電池の一実施形態につき、捲回電極体を備える角型形状のリチウム二次電池について説明するが、本発明をかかる例に限定することを意図したものではない。
また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、電極体の構成および製造方法、リチウム二次電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、一実施形態に係る角型形状のリチウム二次電池を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1中のII−II線断面図である。また、図3は、電極体を捲回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。
図1および図2に示されるように、本実施形態に係るリチウム二次電池100は、直方体形状の角型の電池ケース10と、該ケース10の開口部12を塞ぐ蓋体14とを備える。この開口部12より電池ケース10内部に扁平形状の電極体(捲回電極体20)及び電解質を収容することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38と負極端子48とが設けられており、それら端子38,48の一部は蓋体14の表面側に突出している。また、外部端子38,48の一部はケース内部で内部正極端子37または内部負極端子47にそれぞれ接続されている。
次に、図2および図3を参照し、本実施形態に係る捲回電極体20について説明する。図2に示されるように、捲回電極体20は、長尺状の正極集電体32の表面に正極活物質層34を有するシート状の正極シート30、長尺シート状のセパレータ50、長尺状の負極集電体42の表面に負極活物質層44を有するシート状の負極シート40とから構成される。そして、図3に示されるように、捲回軸方向Rの方向での断面視において、正極シート30及び負極シート40は、2枚のセパレータ50を介して積層されており、正極シート30、セパレータ50、負極シート40、セパレータ50の順に積層されている。該積層物は、軸芯(図示しない)の周囲に筒状に捲回され、得られた捲回電極体20を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
また、図3に示されるように、本実施形態に係る捲回電極体20は、その捲回軸方向Rの中心部には、正極集電体32の表面上に形成された正極活物質層34と、負極集電体42の表面上に形成された負極活物質層44とが重なり合って密に積層された部分が形成されている。また、捲回軸方向Rに沿う方向での断面視において、該方向Rの一方の端部において、正極活物質層34が形成されずに正極集電体32の露出した部分(正極活物質層非形成部36)がセパレータ50および負極シート40(あるいは、正極活物質層34と負極活物質層44との密な積層部分)からはみ出た状態で積層されて構成されている。即ち、上記電極体20の端部には、正極集電体32における正極活物質層非形成部36が積層されて成る正極集電体積層部35が形成されている。また、電極体20の他方の端部も正極シート30と同様の構成であり、負極集電体42における負極活物質層非形成部46が積層されて、負極集電体積層部45が形成されている。
なお、セパレータ50は、ここでは正極活物質層34および負極活物質層44の積層部分の幅より大きく、該電極体20の幅より小さい幅を備えるセパレータが用いられ、正極集電体32と負極集電体42が互いに接触して内部短絡を生じさせないように正極活物質層34および負極活物質層44の積層部分に挟まれるように配されている。
本実施形態に係るリチウム二次電池の正極(典型的には正極シート30)は、長尺状の正極集電体32の上に正極活物質を含む正極活物質層34が形成された構成を備える。正極集電体32としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウム二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。また、正極活物質として、ここに開示される製造方法を用いて得られたアモルファス構造を有する複合酸化物からなる電極活物質が使用される。
正極活物質層34には、上記正極活物質の他に、一般的なリチウム二次電池に配合され得る1種または2種以上の導電材や結着材等を必要に応じて含有させることができる。かかる導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。また、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独又はこれらの混合物として含ませることができる。なお、これらのうち1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
また、上記結着材としては、一般的なリチウム二次電池の正極に使用される結着材と同様のものを適宜採用することができる。例えば、使用する溶媒に溶解または分散可溶なポリマーを選択することが好ましい。水系溶媒を用いる場合においては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;等の水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水系溶媒を用いる場合においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のポリマーを好ましく採用することができる。このような結着材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材としての機能の他に、上記組成物の増粘材その他の添加材としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
次いで、本実施形態に係るリチウム二次電池の正極の作製方法について説明する。
まず、正極活物質(ここに開示される製造方法を用いて得られたアモルファス構造を有する複合酸化物)と導電材と結着材等とを適当な溶媒(水系溶媒または非水系溶媒)で混合して、ペーストまたはスラリー状の正極活物質層形成用組成物(以下、「正極活物質層形成用ペースト」という)を調製する。各構成材料の配合比率は、例えば、正極活物質層に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、凡そ70〜95質量%(例えば75〜90質量%)であることがより好ましい。また、正極活物質層に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜25質量%とすることができ、通常は凡そ2〜20質量%とすることが好ましい。さらに、結着材を使用する組成では、正極活物質層に占める結着材の割合を例えば凡そ1〜10質量%とすることができ、通常は凡そ2〜5質量%とすることが好ましい。こうして各構成材料を混合して調製したペーストを正極集電体32に塗布し、溶媒を揮発させて乾燥させた後、圧縮(プレス)する。これにより正極活物質層が正極集電体上に形成されたリチウム二次電池の正極が得られる。
上記正極活物質層形成用ペーストを調製するために用いられる溶媒としては、水系溶媒および非水系溶媒のいずれも使用可能である。水系溶媒は、典型には水であるが、全体として水性を示すものであればよく、すなわち、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、水系溶媒の凡そ80質量%以上(より好ましくは凡そ90質量%以上、さらに好ましくは凡そ95質量%以上)が水である溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる溶媒が挙げられる。また、非水系溶媒の好適例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。
なお、正極集電体に上記ペーストを塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体に該ペーストを好適に塗布することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、および電子線を、単独または組合せにて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。かかる厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で該厚みを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。
次に、本実施形態に係るリチウム二次電池の負極について説明する。負極(典型的には負極シート40)は、長尺状の負極集電体42(例えば銅箔)の上に負極活物質層44が形成された構成であり得る。上記負極の基材となる負極集電体としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅、または銅を主成分とする合金を用いることができる。負極集電体の形状は、リチウム二次電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。
上記負極集電体の表面に形成された負極活物質層には、電荷担体となるリチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質が含まれる。負極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、カーボン粒子が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。中でも特に、黒鉛粒子を好ましく使用することができる。黒鉛粒子(例えばグラファイト)は、電荷担体としてのリチウムイオンを好適に吸蔵することができるため導電性に優れる。また、粒径が小さく単位体積当たりの表面積が大きいことからより高出力充放電に適した負極活物質となり得る。
また、上記負極活物質層には、上記負極活物質の他に、結着材等の任意成分を必要に応じて含有し得る。かかる結着材としては、一般的なリチウム二次電池の負極に使用される結着材と同様のものを適宜採用することができ、上述の正極の構成要素で列挙した結着材として機能し得る各種のポリマー材料を好適に使用し得る。
次いで、本実施形態に係るリチウム二次電池の負極の作製方法について説明する。上記負極集電体の表面に負極活物質層を形成するため、まず、負極活物質を、結着材等と共に上記適当な溶媒(水系溶媒または非水系溶媒)で混合して、ペーストまたはスラリー状の負極活物質層形成用組成物(以下、「負極活物質層形成用ペースト」という)を調製する。各構成材料の配合比率は、例えば、負極活物質層に占める負極活物質の割合が、凡そ50質量%以上であることが好ましく、凡そ85〜99質量%(例えば90〜97質量%)であることがより好ましい。また、負極活物質層に占める結着材の割合を例えば凡そ1〜15質量%とすることができ、通常は凡そ3〜10質量%とすることが好ましい。こうして調製したペーストを負極集電体に塗布し、溶媒を揮発させて乾燥させた後、圧縮(プレス)する。これにより該ペーストを用いて形成された負極活物質層を負極集電体上に有するリチウム二次電池の負極が得られる。なお、塗布、乾燥および圧縮方法は、上述の正極の製造方法と同様に従来公知の手段を用いることができる。
こうして作製した正極シートおよび負極シートを用いて、一実施形態に係るリチウム二次電池100の構築について大まかな手順を説明する。上記作製した正極シート30および負極シート40を2枚のセパレータ50と共に積重ね合わせて捲回し、積層方向から押しつぶして拉げさせることによって電極体20を扁平形状に成形し、電池ケース10に収容して電解質を注入後、該ケース開口部12に蓋体14を装着し、封止することによって、本実施形態のリチウム二次電池100を構築することができる。なお、上記電池ケース10の構造、大きさ、材料(例えば金属製またはラミネートフィルム製であり得る)等について特に制限はない。
また、正負極シート30、40間に使用される好適なセパレータシート50としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質若しくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(即ちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
また、電解質は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。なお、非水電解液における支持塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。適当なリチウム化合物(支持塩)を0.1〜5mol/L程度の濃度で含有させた電解質を使用することができる。
このようにして構築されたリチウム二次電池100は、上述したように、高い電池容量または高いエネルギー密度を有するため、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図4に模式的に示すように、かかるリチウム二次電池(典型的には複数直列接続してなる組電池)100を電源として備える車両1(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
以下の試験例において、ここで開示される製造方法により得られるアモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質(ここでは正極活物質)を使用してリチウム二次電池(サンプル電池)を構築し、その性能評価を行った。
<実施例1:正極活物質の合成>
以下の手順で、アモルファス構造を有する複合酸化物(LiMnP0.51.55.5)からなるリチウム二次電池用の正極活物質(実施例1)を製造した。
すなわち、リチウム源としての酢酸リチウム・二水和物〔Li(CHCOO)・2HO〕と、マンガン源としての酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CHCOO)・4HO〕と、リン源としてのリン酸(HPO)と、ホウ素源としてのホウ酸(HBO)とを包含する、上記組成比の複合酸化物を構成するための出発原料を用意した。有機溶剤(DMF)に出発原料を添加して溶解し、3時間攪拌することにより原料混合物を調製した。次いで、原料混合物を150℃で2時間加熱(乾燥)し、DMFを揮発させた。有機溶剤が揮発したところで、温度を下げずに350℃(最高焼成温度)まで昇温させた。そのまま、該温度で5時間焼成することによって、実施例1に係るアモルファス構造を有する複合酸化物を得た。得られた複合酸化物をボールミルを用いて300rpmで3時間粉砕(攪拌)し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図5は、SEMで撮影された実施例1に係る複合酸化物である。
<比較例:正極活物質の合成>
以下の手順で、アモルファス構造を有する複合酸化物(LiMnP0.51.55.5)からなるリチウム二次電池用の正極活物質(試験例)を合成した。すなわち、リチウム源としての水酸化リチウム(LiOH)と、マンガン源としての酸化マンガン(II)(MnO)と、リン源としての五酸化二リン(P)と、ホウ素源としての酸化ホウ素(B)とを包含する、上記組成比の複合酸化物を構成するための出発原料を用意した。該出発原料を混合して原料混合物を調製し、1000〜1200℃の温度域まで昇温し、該混合物が溶融するまで加熱した。その後、溶融した原料混合物を氷水に投入し急冷させることによって、比較例に係るアモルファス構造を有する複合酸化物を得た。得られた複合酸化物をボールミルを用いて300rpmで3時間粉砕(攪拌)し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図6は、SEMで撮影された比較例に係る複合酸化物である。
実施例1に係るアモルファス構造を有する複合酸化物(図5)と、比較例に係るアモルファス構造を有する複合酸化物(図6)との粒子径を比較する。図5で示されるSEM像より、実施例1に係る複合酸化物の平均粒径は凡そ200nm〜300nmであった。他方、図6に示されるSEM像より、比較例に係る複合酸化物の平均粒径は凡そ2μm〜3μmであった。このことから、実施例1にかかる複合酸化物の方が走査型電子顕微鏡観察に基づく平均粒径が小さいことが確認された。
次に、試験用のリチウム二次電池の正極を作製した。
まず、上記合成した正極活物質としてのアモルファス構造を有する複合酸化物と、導電材としてのアセチレンブラックとを、これら材料の質量%比が70:25になるように導電材を添加し、ボールミルを用いて300rpmで混合した。平均粒径の小さかった実施例に係る正極活物質の方は、導電材を加えてから24時間混合した。一方、比較例に係る正極活物質の方は、導電材を加えてから3時間混合した。
次に、正極における正極活物質層を形成するにあたり、正極活物質層形成用ペーストを調製した。正極活物質としてのアモルファス構造を有する複合酸化物と、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを、これら材料の質量%比が70:25:5となるように結着材を秤量し、イオン交換水を加えて混合することにより、0.143gの正極活物質層形成用ペーストを調製した。
そして、上記ペーストを正極集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、該ペースト中の水分を乾燥(蒸発)させた。さらに、ローラプレス機にてシート状に引き伸ばし、正極集電体の表面に活物質層を形成した。そして、直径15mmのポンチで円形状に打ち抜き、正極を調製した。
次に、試験用のリチウム二次電池の負極を調製した。リチウム金属箔を用意し、直径15mmのポンチで打ち抜き、負極を調製した。
上記調製した正極と負極とを用いて2032型(径20mm,厚さ3.2mm)コイン型の試験用リチウム二次電池を構築した。すなわち、正極側の外装を形成する外装缶の内部に円形状の正極と、非水電解液を含浸させたセパレータとを積層させて配置し、ガスケットでセパレータの周縁を押さえた後、円形状の負極と、厚み調整用のスペーサと、板バネとを、セパレータの上に順番に配置した。そして、上記収容された外装缶の内部を外装蓋で塞ぎ、外装缶および外装蓋の周縁部を封缶し試験用のリチウム二次電池を構築した。
なお、非水電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との1:1:3(体積比)混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解させた組成を用いた。また、セパレータとしては、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン製の三層フィルム(PE/PP/PEフィルム)を使用した。
[充放電特性試験]
上記構築した実施例1および比較例に係るアモルファス構造を有する複合酸化物を正極活物質として用いてそれぞれ構築したリチウム二次電池に対して、以下の充放電特性試験を行った。
上記充放電特性の試験条件は、測定温度25℃において、電流密度0.1mA/cmの定電流で5.0Vまで充電し、10分後、次いで同じ電流密度で2.2Vまで放電した。その比容量の測定結果を図7および図8に示す。
図7は、実施例1に係る複合酸化物を正極活物質として用いて構築したリチウム二次電池の充放電特性を示すグラフであり、図8は、比較例に係る複合酸化物を正極活物質として用いて構築したリチウム二次電池の充放電特性を示すグラフである。なお、図7および図8において、横軸は比容量を表し、縦軸はリチウム基準電極電位を表している。
図7および図8から明らかなように、実施例1に係る複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池の方が、充放電時の比容量が大きいことが示された。放電(2.2V)時の比容量で比較すると、比較例に係る複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池の比容量は約30mAh/gを示すのに対し、実施例1に係る複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池の比容量は約80mAh/gであった。
<実施例2:正極活物質の合成>
さらに、アモルファス構造を有する複合酸化物(LiMnP)からなるリチウム二次電池用の正極活物質(実施例2)を合成した。実施例1に係るアモルファス構造を有する複合酸化物(LiMnP0.51.55.5)からなるリチウム二次電池用の正極活物質を合成する手順のうち、焼成温度を300℃に変更した以外は、実施例1と同一の出発原料を用いて同様の手順で合成した。
<実施例3:正極活物質の合成>
また、アモルファス構造を有する複合酸化物(LiMnP)からなるリチウム二次電池用の正極活物質(実施例3)を合成した。実施例1に係るアモルファス構造を有する複合酸化物(LiMnP0.51.55.5)からなるリチウム二次電池用の正極活物質を合成する手順のうち、焼成温度を300℃に変更したこと、および有機溶剤を揮発させた後の原料混合物の温度を一旦100℃以下(ここでは室温)まで降温させる温度保持行程を実施した以外は、実施例1と同一の出発原料を用いて同様の手順で合成した。
すなわち、リチウム源としての酢酸リチウム・二水和物〔Li(CHCOO)・2HO〕と、マンガン源としての酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CHCOO)・4HO〕と、リン源としてのリン酸(HPO)と、ホウ素源としてのホウ酸(HBO)とを包含する、上記組成比の複合酸化物を構成するための出発原料を用意した。有機溶剤(DMF)に出発原料を添加して溶解し、3時間攪拌することにより原料混合物を調製した。次いで、原料混合物を150℃で2時間加熱(乾燥)し、DMFを揮発させた。有機溶剤が揮発した後、原料混合物の温度を一旦降温させるため、室温で1週間保持した。かかる温度保持行程の後、原料混合物を300℃まで昇温させた。そのまま、該温度で5時間焼成することによって、実施例3に係るアモルファス構造を有する複合酸化物を得た。得られた複合酸化物をボールミルを用いて300rpmで3時間粉砕(攪拌)した。
上記合成した実施例2および実施例3に係るアモルファス構造を有する複合酸化物をXRD測定し、それぞれのX線回折パターンを比較した。図9にX線回折パターンの比較グラフを示す。
図9上段の温度保持行程を経て得られた複合酸化物(実施例3)のX線回折パターンには、下段の温度保持行程を省略して得られた複合酸化物(実施例2)のX線回折パターンにおいて2θ値が約22°付近の位置において確認されるピークがみられなかった。かかるピークに相当する化合物であるLiPOは、有機溶剤を揮発させた後に100℃以下(ここでは室温)で温度を保持する行程を行うことにより、該複合酸化物から減少させることができることが確認された。
上記合成した実施例2および実施例3に係る複合酸化物をそれぞれ用いて上述の正極の作製方法と同様の手順で正極を作製した。次いで、作製した正極を用いて、上述の2032型(径20mm,厚さ3.2mm)コイン型の試験用リチウム二次電池の構築方法と同様の手順で、それぞれの試験用リチウム二次電池を構築した。
[充放電特性試験]
上記構築した実施例2および実施例3に係る複合酸化物を正極活物質として用いて構築したリチウム二次電池に対して、上述と同様の条件で充放電特性試験を行った。図10に比容量の測定結果を示す。
図10に示されるように、実施例3に係る温度保持行程を経て得られた複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池は、充放電時の比容量が大きく向上されることが示された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池であってもよい。また、該電池の大きさおよびその他の構成についても、用途(典型的には車載用)によって適切に変更することができる。
本発明の製造方法により得られたアモルファス構造を有する複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を用いて構築したリチウム二次電池は、上述したように充放電特性に優れるため、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図4に模式的に示すように、かかるリチウム二次電池(典型的には複数直列接続してなる組電池)100を電源として備える車両1(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
1 車両
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
35 正極集電体積層部
36 正極活物質層非形成部
37 正極集電端子
38 外部正極集電端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
45 負極集電体積層部
46 負極活物質層非形成部
47 負極集電端子
48 外部負極集電端子
50 セパレータ
100 リチウム二次電池
R 捲回軸方向

Claims (12)

  1. アモルファス構造を有する複合酸化物であって、
    リチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素とを含む、複合酸化物からなるリチウム二次電池用の電極活物質を製造する方法であって、以下の工程:
    少なくともリチウム源と、前記遷移金属元素源と、前記ガラス形成可能元素源とを包含する、前記複合酸化物を構成するための出発原料を有機溶剤に溶解させて原料混合物を調製する工程;
    前記原料混合物を加熱して前記有機溶剤を揮発させる工程;および
    前記有機溶剤を揮発させた後の原料混合物を焼成する工程;
    を包含する、製造方法。
  2. 前記揮発工程の終了後、前記有機溶剤を揮発させた後の原料混合物を100℃以下の温度で保持する工程を包含する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記揮発工程では、少なくとも100℃を上回る温度であって、前記焼成工程における最高焼成温度を下回る温度で前記原料混合物を加熱する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記焼成工程では、前記最高焼成温度を400℃以下に設定する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記原料混合物は、一般式:
    LiMX (1)
    (式(1)中のa,bおよびcは、
    0<a≦2.5、
    0<b≦3、
    c={a+(Mの価数)+b×(Xの価数)}/2
    を全て満足する数であり、
    Mは、少なくとも1種の遷移金属元素であって、Xは、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素である。)
    で示される複合酸化物が生成されるように調製する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記M元素は、Mn、Ni、CoおよびFeから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記X元素は、B、PおよびSiから成る群から選択される1種又は2種以上の元素である、請求項5または6に記載の製造方法
  8. 前記リチウム源及び/又は前記遷移金属元素源として当該元素を含む化合物の水和物を使用する、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記焼成工程後に得られた焼成物を粉砕する工程をさらに包含する、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. チウム二次電池用の電極活物質であって、
    アモルファス構造を有する複合酸化物から構成されており、
    該複合酸化物は、リチウムと、少なくとも1種の遷移金属元素と、酸素と共に酸化物の形態でガラス形成可能な少なくとも1種の元素とを含み、
    走査型電子顕微鏡観察に基づく一次粒子の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする、電極活物質。
  11. 請求項10に記載のリチウム二次電池用の電極活物質を使用した正極を備える、リチウム二次電池。
  12. 請求項11に記載のリチウム二次電池を備える、車両。
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