JP5449262B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に装着される空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのビードフィラーは、高硬度の架橋ゴムからなる。このビードフィラーは、タイヤの剛性の向上に寄与する。高剛性のタイヤは、操縦安定性に優れる。
一方で、この高剛性のタイヤでは、路面から衝撃が伝達されやすい。剛性の高いタイヤは乗り心地に劣る。このため、タイヤのビードフィラーの巾、高さ、架橋ゴムの硬度等が調整されて、タイヤの操縦安定性と乗り心地とが調整されている。
特開2000−289408号公報
剛性の高いタイヤでは、例えば、ビードフィラーの巾が大きい。ビードフィラーの巾が大きくされることは、操縦安定性の向上に寄与する。一方で、ビードフィラーの巾が大きくされることは、乗り心地を悪化させ易い。ビードフィラーの巾が小さくされることで、乗り心地が向上するが、これにより操縦安定性が悪化する。操縦安定性と乗り心地との両方の性能を共に向上させることは困難であった。
本発明の目的は、操縦安定性に優れ、且つ乗り心地に優れるタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、このサイドウォールよりも半径方向内側に位置する一対のビードと、このトレッドとサイドウォールの内側に沿って両ビードの間に架け渡されたカーカスとを備えている。このビードは、コアとこのコアから半径方向外向きに延びるビードフィラーとを備えている。このビードフィラーの軸方向の内面は、半径方向に対して傾斜して延びる曲面である。この内面は、その半径方向内側から半径方向中央に向かって徐々に倒れ角が小さくなっており、この半径方向中央から半径方向外側に向かって徐々に倒れ角が大きくなっている。このビードフィラーの倒れ角の最小値θaは、30°以上44°以下である。このビードフィラーの巾Waとビード部の巾Wbとの比Wa/Wbは、0.30以上0.45以下である。
好ましくは、このビードフィラーの倒れ角の最小値θaは、40°以上42°以下である。
好ましくは、この比Wa/Wbは、0.40以上0.42以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、ビードに十分な剛性が得られる。十分な剛性が得られるにも関わらず、タイヤの縦ばね定数が過大になることが抑制される。このタイヤは、操縦安定性に優れ、且つ乗り心地に優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1タイヤの部分拡大図である。 図3は、図1のタイヤのビードが示された説明図である。 図4は、本発明に係るタイヤと比較例のタイヤとの試験結果が示された説明図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示された空気入りタイヤ2の断面において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面に対して垂直方向が周方向である。図1の一点鎖線CLはこのタイヤ2の赤道面を表す。実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ2が装着されるリムのリム径(JATMA参照)を規定する線である。このタイヤ2は、この一点鎖線CLに対してほぼ左右対称の形状を呈する。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、インナーライナー16及びチェーファー18を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。ここでは、タイヤ2の赤道面の部分は赤道領域22と称される。トレッド4の端の近傍部分はショルダー領域24と称される。
トレッド4は、架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面26を備えている。トレッド面26は路面に接地する。トレッド面26には溝28が刻まれている。この溝28によりトレッドパターンが形成されている。このトレッド面26には、溝28が刻まれなくてもよい。
サイドウォール6は、トレッド端側のショルダー領域24から半径方向内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなっている。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。サイドウォール6はカーカス10の外傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向内側に位置している。ビード8は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるビードフィラー32とを備えている。コア30はリング状の形状を備えている。コア30は、周方向に繰り返し巻かれた非圧縮性ワイヤー、例えばスチール製ワイヤーを含む。ビードフィラー32は、半径方向外向きに先細りである。ビードフィラー32は、高硬度な架橋ゴムからなる。例えば、この架橋ゴムの硬度は、80以上95以下である。
カーカス10は、カーカスプライ34からなる。カーカスプライ34は、両側のビード8に架け渡されている。カーカスプライ34は、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ34は、コア30の周りを軸方向内側から外側に向かって折り返されている。このカーカス10は、2枚以上のカーカスプライ34から構成されてもよい。
図示されないが、カーカスプライ34は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常70°から90°である。換言すれば、このカーカス10を備えるタイヤ2はラジアル構造を有する。このタイヤ2は、操縦性及び乗り心地の観点で、バイアス構造とされたバイアスタイヤより優れている。このタイヤ2のコードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層36及び外側層38からなる。図示されていないが、内側層36及び外側層38のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層36のコードの傾斜方向は、外側層38のコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド14は、トレッド4の内側に位置している。バンド14は、ベルト12を覆っている。このバンド14は、ベルト12を拘束する。このバンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。バンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト12が拘束されるので、ベルト12のリフティングが抑制される。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
図2の両矢印Waは、ビードフィラー32の巾を示している。このビードフィラー32の底部32aがコア30に接している。二点鎖線Lsは、ビードフィラー32の底部32aを通るタイヤ軸方向の直線を示している。この巾Waは、この二点鎖線Ls上で測られる。ビードフィラー32の巾は、コア30に接する底部32aから半径方向外側に向かって徐々に小さくされている。このタイヤ2では、巾Waはこのビードフィラー32の最大巾である。両矢印Wbはタイヤ2のビード部40の巾を示している。この巾Wbは、巾Waと同様に、二点鎖線Ls上で測られる。この巾Wbは、巾Waが測られる位置での軸方向の巾を示している。巾Wa及び巾Wbは、タイヤ2を切り出した断面において、タイヤ軸方向に測られる。
図3には、図1に示された断面における、コア30及びビードフィラー32が示されている。このビードフィラーの軸方向内側の内面32bは、カーカス10に接している。図3の点Aは、内面32b上の点あり、内面32bの半径方向外側と内側との間の中央に位置する。点Bは、内面32b上の点あり、半径方向内側に位置する。点Cは、内面32b上の点あり、半径方向外側に位置する。二点鎖線Laは、ビードフィラー32の軸方向内面32bの接線を示している。この二点鎖線Laは、この内面32b上の点Aを通る接線である。同様に、二点鎖線Lbは、点Bを通る接線であり、二点鎖線Lcは、点Cを通る接線である。
角度θaは、ビードベースラインBBLと二点鎖線Laとがなす角度を示している。同様に、角度θbは、ビードベースラインBBLと二点鎖線Lbとがなす角度を示している。角度θcは、ビードベースラインBBLと二点鎖線Lcとがなす角度を示している。
この内面32bは、半径方向に対して傾斜して延びる曲面である。この内面32bは、半径方向内側から点Aに向かって、徐々にビードベースラインBBLに対して傾きが小さくなっている。内面32bは、この点Aから半径方向外側に向かって、徐々に傾きが大きくなっている。具体的には、角度θbは角度θaより大きく、点Bから点Aに向かって、内面32bの傾きは徐々に小さくなっている。角度θcは角度θaより大きく、点Aから点Cに向かって、赤道面CLに対する内面32bの傾きは徐々に大きくなっている。この点Aでの接線の角度θaは、内面32bの接線とビードベースラインBBLとのなす角度のうち、最小値である。この内面32bは、この点Aでの傾きが最小になっている。この角度θaがビードフィラー32の倒れ角の最小値と称される。
このタイヤ2では、ビードフィラー32の巾Waとビード部40の巾Wbとの比Wa/Wbが0.45以下とされている。この比Wa/Wbが小さいタイヤ2では、路面から受ける衝撃が緩和される。このタイヤ2は、乗り心地に優れている。この観点から、好ましくは、この比Wa/Wbは0.42以下とされる。一方で、このビードフィラーは、タイヤ2の剛性の向上に寄与する。この観点から、この比Wa/Wbは、0.30以上とされている。好ましくは、この比Wa/Wbは、0.40以上とされる
このタイヤ2では、倒れ角が44°以下にされている。倒れ角の小さいビードフィラーを備えたタイヤ2では、縦ばね定数が小さい。縦ばね定数が小さいタイヤ2では、半径方向に加わる外力及び衝撃が緩和される。このタイヤ2は衝撃吸収性に優れている。このタイヤ2は、乗り心地に優れている。この観点から、好ましくは、倒れ角は42°以下とされる。一方で、この倒れ角が大きいタイヤ2は、縦ばね定数が大きい。縦ばね定数が大きいタイヤ2は、剛性が高く、半径方向に加わる外力を受けるのに適している。この観点から、倒れ角は30°以上とされている。好ましくは、この倒れ角は、40°以上とされる
このタイヤ2は、後述するように、6kNから8kNの高荷重において縦ばね定数が小さく抑えられている。縦ばね定数が小さいタイヤ2は、固有振動数が小さい。固有振動数の1.4倍以上の振動数の振動は、その振動伝達が抑制される。この固有振動数が小さいタイヤ2は、振動伝達が抑制される振動数の範囲が広い。このタイヤ2では、特に段差乗り上げや悪路走行等でタイヤ2に高荷重の入力があったときに、振動抑制効果が大きい。
この比Wa/Wbとビードフィラー32の内面32bの傾きとの組合せにより、このタイヤ2の操縦安定性と乗り心地とが共に向上している。このタイヤ2では、ビードフィラー32の硬度や半径方向高さを変えることなく、操縦安定性や乗り心地が改善され得る。ビードフィラー3に用いる架橋ゴムの種類を多数準備する必要がない。ビードフィラー32の半径方向高さを高くする必要がない。ビードフィラーが高くなることによる重量増加が抑制され得る。
本発明では、特に言及がない限り、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。本発明でいうゴム硬度は、「JIS−K 6253」の規定に準拠して、23°Cの条件下でタイプAのデュロメータがタイヤ2に押しつけられて測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構造を備え、表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤサイズは、「225/50R17」である。
[実施例2、比較例1及び比較例2]
比Wa/Wb及び倒れ角の最小値θaを表1に示すようにした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例3から5及び比較例3]
比Wa/Wbを表2に示すようにした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例6から10及び比較例4]
倒れ角の最小値θaを表3に示すようにした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[縦ばね定数の測定]
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のタイヤの縦ばね定数が測定された。表1の縦ばね定数は、8kNの外力が負荷されたときの縦ばね定数が示されている。図4には、実施例1及び比較例1のばね定数のグラフが示されている。実線Iは、実施例1の測定結果を示している。点線IIは、比較例1の測定結果を示している。このグラフに示されるように、実施例1のタイヤは比較例1のタイヤに比べて、6kN以上の高荷重が負荷されたときの縦ばね定数が小さく抑えられている。
[走行テスト]
表1から3に示されたタイヤを排気量が3500ccである市販の乗用車(FR車)の四輪に装着し、その内圧が230kPaとなるように空気を充填した。この乗用車をサーキットコースで走行させて、ドライバーによる官能評価を行った。
この官能評価の評価項目は、操縦安定性及び乗り心地である。ここでの操縦安定性では、ハンドルの効きの良さと、ふらつきの発生し難さとが評価された。
これらの評価結果が、下記表1から表3に指数値で示されている。この指数値は、10段階の数値で示されている。この数値が大きいほど良好である。
Figure 0005449262
Figure 0005449262
Figure 0005449262
表1から表3に示されるように、本発明に係るタイヤは、操縦安定性と乗り心地とに優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る空気入りタイヤは、種々の車両に装着しうる。
2・・・・タイヤ
4・・・・トレッド
6・・・・サイドウォール
8・・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・バンド
16・・・インナーライナー
18・・・チェーファー
22・・・赤道領域
24・・・ショルダー領域
26・・・トレッド面
28・・・溝
30・・・コア
32・・・ビードフィラー
32a・・・底部
32b・・・内面
34・・・カーカスプライ
36・・・内側層
38・・・外側層
40・・・ビード部

Claims (4)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、このサイドウォールよりも半径方向内側に位置する一対のビードと、このトレッドとサイドウォールの内側に沿って両ビードの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
    このビードがコアとこのコアから半径方向外向きに延びるビードフィラーとを備えており、
    このビードフィラーが半径方向外向きに先細りにされており、
    このビードフィラーの軸方向の内面が半径方向に対して傾斜して延びる曲面であり、この内面がその半径方向内側から半径方向中央に向かって徐々に倒れ角が小さくなっており、この半径方向中央から半径方向外側に向かって徐々に倒れ角が大きくなっており、このビードフィラーの倒れ角の最小値θaが30°以上44°以下であり、
    このビードフィラーの巾Waとビード部の巾Wbとの比Wa/Wbが0.30以上0.45以下である空気入りタイヤ。
  2. 上記サイドウォールにおけるカーカスの軸方向内面側に断面三日月状の補強ゴム層を備えていない請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記ビードフィラーの倒れ角の最小値θaが40°以上42°以下である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記比Wa/Wbが0.40以上0.42以下である請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
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