JP5468111B2 - 走行ローラ付きコンベヤチェーン - Google Patents

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Description

本発明は、搬送装置に備えられて搬送物を搬送するコンベヤチェーンに関し、詳細には、ガイドレール上を転動する走行ローラを備える走行ローラ付きコンベヤチェーンに関する。
コンベヤチェーンには、搬送物としてのバラ物(例えば、石炭)を収容して保持する搬送体であるバケットが取り付けられる。搬送装置は、例えばリクレーマである。
従来、走行ローラ付きコンベヤチェーンは、外リンクおよび内リンクを屈曲可能に連結する連結ピンと共にチェーン走行方向に移動するローラ軸部材に軸受を介して回転可能に支持される走行ローラと、走行ローラの周囲の周囲空間から軸受への異物の侵入を防止するシール構造とを備える。このシール構造は、周囲空間寄りの外側シールと、軸受寄りの内側シールと、外側シールおよび内側シールの間に形成されているグリース溜まりに封入されたグリースを有するグリースシール部とを有する。(例えば、特許文献1参照)
特開2009−173410号公報(段落0016〜0018、図1)
走行ローラ付きコンベヤチェーンにおいて、走行ローラの周囲の周囲空間には、例えば搬送物である石炭の粉塵を含め、種々の粉塵、および、雨水などの水が存在する。そして、周囲空間と軸受との間に配置されるシール構造において、粉塵や水が、異物として、外側シールを通過してグリースシール部に侵入したとき、侵入した異物である侵入異物は、グリースシール部のグリース内に滞留する。
しかしながら、グリース内に滞留している侵入異物の量が、コンベヤチェーンの使用時間の経過と共に増加すると、グリースの劣化速度が大きくなって、グリースによるシール性が低下する。このため、侵入異物がグリースシール部を通過して、内側シールに達し、さらに内側シールを通過して軸受に侵入することがあり、グリースシール部を有するシール構造のシール性が低下するという問題があった。
また、グリースシール部が単一のグリースシール層で構成されている場合には、該グリースシール層でのグリースの劣化によるシール性の低下は、グリースシール部全体のシール性の低下に直結していることから、グリースシール部の寿命、ひいてはシール構造の寿命が短くなるという問題があった。
本発明は、前述の課題を解決するものであり、本発明の目的は、シール構造のグリース溜まりに形成されるグリースシール部を、グリースシール層および濾材シール層からなる多層シール部とすることで、シール構造のシール性が向上し、その寿命が長くなる走行ローラ付きコンベヤチェーンを提供することである。
本発明の他の目的は、さらに、濾材シールに起因する走行ローラの回転抵抗の減少により、チェーン駆動装置のエネルギ消費が削減される走行ローラ付きコンベヤチェーンを提供することである。
まず、請求項1に係る発明は、チェーン走行方向で隣り合う外リンクおよび内リンクを屈曲可能に連結する連結ピンと、前記連結ピンと共にチェーン走行方向に移動するローラ軸部材に軸受を介して回転可能に支持されてガイドレール上で転動する走行ローラと、前記走行ローラの周囲の周囲空間と前記軸受との間に配置されて前記周囲空間から前記軸受への異物の侵入を防止するシール構造とを備え、前記シール構造が、前記周囲空間寄りの外側シールと、前記軸受寄りの内側シールと、前記外側シールおよび前記内側シールの間に形成されているグリース溜まりに封入されたグリースを有するグリースシール部とを有する走行ローラ付きコンベヤチェーンにおいて、前記グリースシール部が、前記グリース溜まり内に配置される1以上の濾材シールを有し、前記グリースおよび前記濾材シールが、前記グリース溜まり内で、前記外側シールおよび前記内側シールの配列方向に積層されて配置されるシール層であるグリースシール層および濾材シール層をそれぞれ形成し、前記グリースシール層および前記濾材シール層が、前記配列方向に1層ずつ交互に3以上に積層されていることにより、前述の課題を解決したものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記グリースシール部が、複数の前記濾材シール層を有し、少なくとも1つの前記濾材シール層である特定濾材シール層が、前記配列方向で1対の前記グリースシール層の間に配置されていることにより、前述の課題を解決したものである。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記シール構造が、前記周囲空間に対して前記外側シールの全体を被覆するグリースにより形成される外側グリースシールを有することにより、前述の課題を解決したものである。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記濾材シールが、前記ローラ軸部材と前記走行ローラとの間に締まり嵌めにより嵌合しており、前記濾材シールに、潤滑油が含浸されていることにより、前述の課題を解決したものである。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記濾材シールが、フェルトにより形成されているフェルトシールであり、前記フェルトが、ポリエステルおよびポリウレタンから形成されていることにより、前述の課題を解決したものである。
そこで、本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンは、チェーン走行方向で隣り合う外リンクおよび内リンクを屈曲可能に連結する連結ピンと、連結ピンと共にチェーン走行方向に移動するローラ軸部材に軸受を介して回転可能に支持されてガイドレール上で転動する走行ローラと、走行ローラの周囲の周囲空間と軸受との間に配置されて周囲空間から軸受への異物の侵入を防止するシール構造とを備え、シール構造が、周囲空間寄りの外側シールと、軸受寄りの内側シールと、外側シールおよび内側シールの間に形成されているグリース溜まりに封入されたグリースを有するグリースシール部とを有することにより、周囲空間に存在する異物が、シール構造の外側シールを通過してグリース溜まりに侵入した場合に、グリース溜まりに侵入した異物(以下、「侵入異物」という。)は、グリースシール部のグリースに滞留するので、軸受への侵入異物の侵入を抑制することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンによれば、グリースシール部が、グリース溜まり内に配置される1以上の濾材シールを有し、グリースおよび濾材シールが、グリース溜まり内で、外側シールおよび内側シールの配列方向に積層されて配置されるシール層であるグリースシール層および濾材シール層をそれぞれ形成し、グリースシール層および濾材シール層が、配列方向に1層ずつ交互に3以上に積層されていることにより、グリースシール部は、グリースシール層および濾材シール層が交互に3以上積層された多層シール部であるので、侵入異物のうちの固体侵入異物は濾材シールにより捕捉されることで、配列方向で濾材シール層よりも軸受寄りのグリースシール層(以下、「軸受側グリースシール層」)に達する固体侵入異物が減少し、また該濾材シール層を通過した侵入異物である液体侵入異物は軸受側グリースシール層のグリース内に滞留する。このため、内側シールおよび軸受に達する侵入異物が減少するので、グリースシール部のシール性の向上および長寿命化が可能になり、以て、走行ローラ付きコンベヤチェーンのシール構造のシール性を向上させながら、その寿命を長くすることができる。
また、グリース溜まりに封入されるグリースは、グリースシール層単位で、1対の濾材シール層の間、外側シールおよび濾材シール層の間、または、内側シールおよび濾材シール層の間で保持される。このため、走行ローラの回転に基づく温度上昇による流動化に起因するグリース溜まりからの流出が、濾材シールにより抑制されるので、グリース溜まりでのグリースの保持性を向上させることができる。
請求項2に係る本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、グリースシール部が、複数の濾材シール層を有し、少なくとも1つの濾材シール層である特定濾材シール層が、配列方向で1対のグリースシール層の間に配置されていることにより、特定濾材シール層よりも外側シール寄りで隣り合うグリースシール層(以下、「前段グリースシール層」という。)のグリースが侵入異物により劣化して、そのシール性が低下したとしても、前段グリースシール層を通過した侵入異物のうちの固体侵入異物は特定濾材シール層で捕捉され、侵入異物のうちの液体侵入異物は、特定濾材シール層を通過して、特定濾材シール層よりも軸受寄りで隣り合うグリースシール層(以下、「後段グリースシール層」という。)に滞留するので、グリースシール部のシール性を向上させることができ、その寿命を長くすることができる。
請求項3に係る本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンによれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、シール構造が、周囲空間に対して外側シールの全体を被覆するグリースにより形成される外側グリースシールを有することにより、外側グリースシールが外側シールへの異物の侵入を抑制するので、グリースシール部のシール性を向上させることができ、その寿命を長くすることができる。
請求項4に係る本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンによれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、濾材シールが、ローラ軸部材と走行ローラとの間に締まり嵌めにより嵌合しており、濾材シールに、潤滑油が含浸されていることにより、濾材シールが、簡単な構造で、配列方向に移動することなく、グリース溜まり内に保持されるので、グリースシール層および濾材シール層の積層状態が確実に維持されて、グリースシール部のシール性の向上に寄与することができる。
また、走行ローラに連れ回りする濾材シールと走行ローラおよびローラ軸部材との摺接部での摩擦力が、濾材シールに含浸されている潤滑油により低減するので、締まり嵌めされている濾材シールに起因する走行ローラの回転抵抗が減少する。このため、走行ローラにおける摩擦損失が減少して、走行ローラ付きコンベヤチェーンを駆動するチェーン駆動装置のエネルギ消費を削減することができる。
さらに、濾材シールに含浸されている潤滑油が、液体異物の通過を抑制するので、濾材シール層において、液体侵入異物に対するシール性が向上し、グリースシール部のシール性を向上させることができる。
請求項5に係る本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンによれば、請求項1から請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、濾材シールが、フェルトにより形成されているフェルトシールであり、フェルトが、ポリエステルおよびポリウレタンから形成されていることにより、フェルトポリエステルおよびポリウレタンからなるフェルトは、強度、寸法安定性および固体異物の捕捉性に優れているので、濾材シールによる所要の異物捕捉性を確保しながら、配列方向でのフェルトシールの厚さを小さくすることができる。このため、濾材シール層を有するグリースシール部を配列方向で小型化することができ、または、所定の配列方向長さを有するグリース溜まりにおいて、濾材シール層の数を増加させることで、グリースシール部のシール性を向上させることができ、その寿命を長くすることができる。
本発明の実施例を示し、走行ローラ付きコンベヤチェーンの、チェーン走行方向に直交し、かつ連結ピンの中心軸線を含む平面での断面図。 図1のII部分の拡大図。
本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンは、チェーン走行方向で隣り合う外リンクおよび内リンクを屈曲可能に連結する連結ピンと、連結ピンと共にチェーン走行方向に移動するローラ軸部材に軸受を介して回転可能に支持されてガイドレール上で転動する走行ローラと、走行ローラの周囲の周囲空間と軸受との間に配置されて周囲空間から軸受への異物の侵入を防止するシール構造とを備え、シール構造が、周囲空間寄りの外側シールと、軸受寄りの内側シールと、外側シールおよび内側シールの間に形成されているグリース溜まりに封入されたグリースを有するグリースシール部とを有し、グリースシール部が、グリース溜まり内に配置される1以上の濾材シールを有し、グリースおよび濾材シールが、グリース溜まり内で、外側シールおよび内側シールの配列方向に積層されて配置されるシール層であるグリースシール層および濾材シール層をそれぞれ形成し、グリースシール層および濾材シール層が、配列方向に1層ずつ交互に3以上に積層されていることにより、シール構造のグリース溜まりに形成されるグリースシール部を、グリースシール層および濾材シール層からなる多層シール部とすることで、シール構造のシール性が向上し、その寿命が長くなるものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
例えば、本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンにおいて、走行ローラは、チェーン幅方向で、外リンクの両側に配置されてもよい。
本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンにより搬送される搬送物は、バラ物(例えば、石炭、鉄鉱石、土砂、穀類など)のほかに、数えることができる物品であるカズ物であってもよい。
本発明の走行ローラ付きコンベヤチェーンを備える搬送装置は、リクレーマまたはリクレーマ以外のものである。
以下、本発明の実施例を図1,図2を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例において、複数の走行ローラ140を備える走行ローラ付きコンベヤチェーン100(以下、「チェーン100」という。)は、搬送物としてのバラ物(図示されないが、例えば石炭)を搬送する搬送装置(図示されないが、例えばリクレーマ)に備えられる。
この搬送装置は、並行して配置された1対の無端のチェーン100(図1には、一方のチェーン100が示されている。)のほかに、該1対のチェーン100がそれぞれ掛け渡されると共にチェーン駆動装置(例えば電動モータ)により回転駆動されてチェーン100を走行させる1対のスプロケット群と、1対のチェーン100に取り付けられてパイルからバラ物を運び出す複数のバケットと、各チェーン100の各走行ローラ140が転動する1対のガイドレールR(図1には、一方のガイドレールRが二点鎖線で示されている。)とを備える。前記バケットは、バラ物を収容して保持する搬送体である。
チェーン100は、複数の外リンク110と、複数の内リンク115と、それぞれがチェーン走行方向で隣り合う外リンク110および内リンク115を屈曲可能に連結する複数の連結ピン120と、それぞれが各連結ピン120に外嵌合される複数のブシュ122と、それぞれが各ブシュ122に回転可能に外嵌合される複数のローラ123と、チェーン100の走行時にガイドレールR上で転動する走行ローラ140を備える複数の走行ローラ構造体102とを備える。各外リンク110、各内リンク115、各連結ピン120、各ブシュ122および各ローラ123は、チェーン本体101を構成する。
各外リンク110は、チェーン幅方向に離隔して配置された1対の外リンクプレート111から構成される。各走行ローラ構造体102は、一方の外リンクプレート111aにチェーン幅方向で隣接して、その外側に配置される。また、他方の外リンクプレート111bは、前記バケットがアタッチメント(図示されず)を介して取り付けられる搬送体取付用リンクプレートである。走行ローラ140は、チェーン幅方向で外リンク110の外側に配置されるサイドローラである。
各内リンク115は、チェーン幅方向で1対の外リンクプレート111の間に離隔して配置された1対の内リンクプレート116から構成される。
各連結ピン120は、1対の内リンクプレート116を貫通すると共に1対の外リンクプレート111のピン孔112に挿入されて、抜止め手段(本実施例では、連結ピン120の大径部113および走行ローラ構造体102の結合部材135)により抜け止めされる。各ブシュ122は、1対の内リンクプレート116に、その挿入孔117に圧入されて固着される。ローラ123は、ブシュ122に外嵌合されて回転可能に支持され、前記スプロケット群と噛合可能である。
走行ローラ構造体102は、連結ピン120と共にチェーン走行方向に移動するローラ軸部材130と、ガイドレールRに転がり接触する走行ローラ140と、ローラ軸部材130に対して走行ローラ140を回転可能に支持する軸受145と、シール体147と、シール構造150とを備える。
シール体147およびシール構造150は、チェーン本体101および走行ローラ構造体102を囲む空間である周囲空間Aから軸受145への異物の侵入を防止する。
チェーン本体101および走行ローラ構造体102が曝されている周囲空間Aは、軸受145に侵入し得る異物が存在する空間である。該異物は、バラ物の粉塵および該バラ物以外の粉塵を含む固体異物と、雨水および雨水以外の液体を含む液体異物とを含む。
ローラ軸部材130は、連結ピン120と同軸に配置されるローラ軸131と、ローラ軸131に外嵌合される円筒状のスリーブ132と、ローラ軸131に外嵌合されて外リンクプレート111aと走行ローラ140との間の軸方向間隔を規定する間隔設定リング133と、スリーブ132をローラ軸131に相対回転不能に保持する保持リング134と、スリーブ132および両リング133,134をローラ軸131に対して軸方向移動不能に一体に結合する結合部材135とを有する。
ここで、軸方向は、連結ピン120の中心軸線Lに平行な方向であり、チェーン幅方向である。また、径方向および周方向は、それぞれ、中心軸線Lを中心とする径方向および周方向である。
外リンク110から軸方向に延出しているローラ軸131は、連結ピン120に、結合手段としての一体成形により、結合されている。
走行ローラ140は、ローラ軸131、軸受145、シール体147およびシール構造150が収容される収容空間142を形成している円筒状部材である。
結合部材135は、保持リング134に当接する円板状のストッパ136と、ストッパ136をローラ軸131に結合する結合具としてのボルト137とを有する。ストッパ136は、ボルト137の締付け力により、保持リング134およびスリーブ132を介して、間隔設定リング133を外リンクプレート111aに押し付けて、両リング133,134およびスリーブ132の軸方向移動を阻止する。
軸受145は、後述の内側シール152と共に、スリーブ132の段部132a(図2も参照)および保持リング134により、ローラ軸131およびスリーブ132に軸方向で固定され、走行ローラ140の段部140aおよび止め輪146により、走行ローラ140に軸方向で固定される。
シール体147は、軸方向で軸受145を挟んで、シール構造150とは反対側において走行ローラ140の内周面141により形成される収容空間142を密封状態で閉塞するキャップ148と、キャップ148を走行ローラ140に固定する止め輪149とを有する。シール体147によるシール性を高めるために、キャップ148または止め輪149に、液状ガスケットが塗布されてもよい。
図2を主に参照し、図1を適宜参照すると、シール構造150は、軸方向で周囲空間Aと軸受145との間に配置され、径方向でスリーブ132と走行ローラ140との間に配置される。
軸方向で軸受145に隣接して配置されるシール構造150は、周囲空間A寄りの外側シール151と、軸受145寄りの内側シール152と、外側シール151および内側シール152の間に形成されているグリース溜まり153に封入されているグリースG1を有するグリースシール部160と、外側グリースシール155とを有する。
外側シール151および内側シール152は、非接触シールとしてのラビリンスシールであり、スリーブ132および走行ローラ140に着脱可能に取り付けられる。外側シール151は、間隔設定リング133および走行ローラ140の段部140bにより、スリーブ132および走行ローラ140に軸方向で固定される。
グリース溜まり153は、周方向でローラ軸131を囲んでいる環状空間である。グリースシール部160は、グリース溜まり153内に配置されるグリースG1および1以上のフェルトシールFを有する。グリースシール部160が有するフェルトシールFの数は、本実施例では複数である所定数としての2である。
フェルトシールFは、濾材としてのフェルトから形成されている濾材シールであり、円環状部材である。
グリースG1およびフェルトシールFは、グリース溜まり153内で、外側シール151および内側シール152の配列方向に積層されて配置されるシール層Sであるグリースシール層Sgおよび濾材シール層としてのフェルトシール層Sfをそれぞれ形成する。
本実施例において、配列方向は、軸方向であり、外側シール151および内側シール152の間でグリースシール層Sgおよびフェルトシール層Sfが積層される積層方向である。
グリースシール部160は、グリースシール層Sgおよびフェルトシール層Sfが、軸方向に1層ずつ交互に、合計で3以上のシール層S、本実施例では5つのシール層Sを形成している多層シール部である。そして、グリースシール層Sgの数は、フェルトシール層Sfよりも1つ大きい数である。
グリースシール部160は、軸方向において、外側シール151と隣り合う外端シール層161と、内側シール152と隣り合う内端シール層162と、外端シール層161と内端シール層162との間に配置される複数の、ここでは3つ中間シール層を構成する第1〜第3中間シール層163〜165とを、いずれもシール層Sとして有する。
外端シール層161、内端シール層162および第2中間シール層164は、グリースシール層Sgである。
外端シール層161および第2中間シール層164の間に配置される第1中間シール層163と、内端シール層162および第2中間シール層164の間に配置される第3中間シール層165とは、特定濾材シール層であるフェルトシール層Sfである。
フェルトシールFは、軸方向での厚さTを有する円環状板であり、スリーブ132と走行ローラ140との間に締まり嵌めにより嵌合している。このため、フェルトシールFにおいて、その内周部Fiでの内径は、グリース溜まり153でのスリーブ132の外径よりも小さく、その外周部Foでの外径は、グリース溜まり153での走行ローラ140の内径よりも大きい。
フェルトシールFは、内周部Fiにて、その全周に亘ってスリーブ132に、外周部Foにて、その全周に亘って走行ローラ140に、それぞれ接触状態で保持される。
フェルトシールFは、合成樹脂の繊維、ここではポリエステルの繊維およびポリウレタンの繊維から形成されていて、好ましくは、ポリエステル60%およびポリウレタン40%の組成を有する。フェルトシールFには、潤滑油が含浸されている。
外側グリースシール155は、軸方向で外側シール151よりも周囲空間A寄り配置され、径方向で間隔設定リング133に対して径方向外方に配置される環状のシールである。外側グリースシール155は、周囲空間Aに対して外側シール151の全体を被覆するように、グリースG2が塗布されることで形成されている。グリースG2のちょう度は、グリースシール層SgのグリースG1よりも小さい。
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
チェーン100は、ローラ軸131に軸受145を介して回転可能に支持されてガイドレールR上で転動する走行ローラ140と、周囲空間Aから軸受145への異物の侵入を防止するシール構造150とを備え、該シール構造150は、外側シール151および内側シール152の間に形成されているグリース溜まり153に封入されたグリースG1を有するグリースシール部160とを有する。
この構成により、周囲空間Aに存在する異物が、外側シール151を通過してグリース溜まり153に侵入した場合に、侵入異物(すなわち、グリース溜まり153に侵入した異物)は、グリースシール部160のグリースG1に滞留するので、軸受145への侵入異物の侵入を抑制することができる。
グリースシール部160において、グリースG1およびフェルトシールFは、グリース溜まり153内で、配列方向である軸方向に積層されて配置されるグリースシール層Sgおよびフェルトシール層Sfをそれぞれ形成し、グリースシール層Sgおよびフェルトシール層Sfは、軸方向に1層ずつ交互に5つのシール層Sに積層されている。
この構成により、グリースシール部160は、グリースシール層Sgおよびフェルトシール層Sfが交互に積層された多層シール部であるので、侵入異物のうちの固体侵入異物はフェルトシールFにより捕捉されることで、フェルトシール層Sfである第1,第3中間シール層163,165から軸受側グリースシール層である第2中間シール層164および内端シール層162に達する固体侵入異物が減少し、また該フェルトシール層Sfを通過した侵入異物である液体侵入異物は該軸受側グリースシール層(すなわち、第2中間シール層164および内端シール層162)のグリースG1内に滞留する。このため、内側シール152および軸受145に達する侵入異物が減少するので、グリースシール部160のシール性の向上および長寿命化が可能になり、以て、シール構造150のシール性を向上させながら、その寿命を長くすることができる。
また、グリース溜まり153に封入されるグリースG1は、グリースシール層Sg単位で、1対のフェルトシール層Sfである第1,第3中間シール層163,165の間、外側シール151およびフェルトシール層Sfである第1中間シール層163の間、および、内側シール152およびフェルトシール層Sfである第3中間シール層165の間で保持される。このため、走行ローラ140の回転に基づく温度上昇による流動化に起因するグリース溜まり153からの流出が、フェルトシールFにより抑制されるので、グリース溜まり153でのグリースG1の保持性を向上させることができる。
グリースシール部160のすべてのフェルトシール層Sfのそれぞれは、特定濾材シール層として、軸方向で1対のグリースシール層Sgの間に配置されている。
この構成により、前段グリースシール層である外端シール層161または第3中間シール層165のグリースG1が侵入異物により劣化して、そのシール性が低下したとしても、該前段グリースシール層を通過した侵入異物のうちの固体侵入異物は特定濾材シール層である第1中間シール層163または第3中間シール層165で捕捉され、侵入異物のうちの液体侵入異物は、特定濾材シール層を通過して、後段グリースシール層である第2中間シール層164または内端シール層162に滞留するので、グリースシール部160のシール性を向上させることができ、その寿命を長くすることができる。
シール構造150は、周囲空間Aに対して外側シール151の全体を被覆するグリースG2により形成される外側グリースシール155を有することにより、外側グリースシール155が外側シール151への異物の侵入を抑制するので、グリースシール部160のシール性を向上させることができ、その寿命を長くすることができる。
フェルトシールFは、スリーブ132と走行ローラ140との間に締まり嵌めにより嵌合していることにより、各フェルトシールFが、簡単な構造で、軸方向に移動することなく、グリース溜まり153内に保持されるので、グリースシール層Sgおよびフェルトシール層Sfの積層状態が確実に維持されて、グリースシール部160のシール性の向上に寄与することができる。
また、フェルトシールFに、潤滑油が含浸されていることにより、走行ローラ140に連れ回りするフェルトシールFと走行ローラ140およびスリーブ132との摺接部での摩擦力が、フェルトシールFに含浸されている潤滑油により低減するので、締まり嵌めされているフェルトシールFに起因する走行ローラ140の回転抵抗が減少する。このため、走行ローラ140における摩擦損失が減少して、チェーン100を駆動するチェーン駆動装置のエネルギ消費を削減することができる。
さらに、フェルトシールFに含浸されている潤滑油が、液体異物の通過を抑制するので、フェルトシール層Sfにおいて、液体侵入異物に対するシール性が向上し、グリースシール部160のシール性を向上させることができる。
また、外端シール層161および内端シール層162がグリースシール層Sgであるので、両シール層161,162がフェルトシール層Sfである場合に比べて、外側シール151および内側シール152とフェルトシールFとの間の摩擦による走行ローラ140の回転抵抗が減少するので、走行ローラ140における摩擦損失が減少する。
フェルトシールFは、ポリエステルおよびポリウレタンからなるフェルトにより形成されているフェルトシールFであることにより、フェルトポリエステルおよびポリウレタンからなるフェルトは、強度(すなわち、耐変形性)、寸法安定性および固体異物の捕捉性に優れているので、フェルトシールFによる所要の異物捕捉性を確保しながら、フェルトシールFの厚さTを小さくすることができる。このため、フェルトシール層Sfを有するグリースシール部160を軸方向で小型化することができ、または、所定の軸方向長さを有するグリース溜まり153において、フェルトシール層Sfの数を増加させることで、グリースシール部160のシール性を向上させることができ、その寿命を長くすることができる。
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
ローラ123の代わりに走行ローラ140を有する走行ローラ構造体が設けられてもよく、この場合には、連結ピン120およびブシュ122がローラ軸部材を構成する。
複数のグリースシール層Sgまたは複数のフェルトシール層Sfにおいて、グリースシール層Sg同士の、軸方向での厚さ、または、フェルトシール層Sf同士の、軸方向での厚さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
グリースシール層Sgの数は、フェルトシール層Sfと同数、または、フェルトシール層Sfよりも1つ小さい数であってもよい。
外端シール層161および内端シール層162の少なくとも一方が、フェルトシール層Sfであってもよい。外端シール層161がフェルトシール層Sfであることにより、外側シール151に最も近いグリースシール層Sgへの固体侵入異物の侵入を抑制できるので、グリースシール層Sgの、固体侵入異物による劣化を抑制することができる。また、外端シール層161および内端シール層162がフェルトシール層Sfであることにより、グリースシール部160のグリースG1の、外側シール151および内側シール152への流出を抑制することができる。
グリースシール部160は、特定濾材シール層として、少なくとも1つのフェルトシール層Sfを有していればよい。
濾材は、フェルト以外に、不織布、多孔性部材であってもよい。
搬送体は、搬送物を保持する部材であれば、バケット以外のものであってもよい。
100・・・走行ローラ付きコンベヤチェーン
110・・・外リンク
115・・・内リンク
120・・・連結ピン
130・・・ローラ軸部材
140・・・走行ローラ
150・・・シール構造
151・・・外側シール
152・・・内側シール
153・・・グリース溜まり
155・・・外側グリースシール
160・・・グリースシール部
161・・・外端シール層
162・・・内端シール層
163〜165・・・中間シール層
A ・・・周囲空間
F ・・・フェルトシール
G1,G2・・・グリース
S ・・・シール層
Sg ・・・グリースシール層
Sf ・・・フェルトシール層

Claims (5)

  1. チェーン走行方向で隣り合う外リンクおよび内リンクを屈曲可能に連結する連結ピンと、前記連結ピンと共にチェーン走行方向に移動するローラ軸部材に軸受を介して回転可能に支持されてガイドレール上で転動する走行ローラと、前記走行ローラの周囲の周囲空間と前記軸受との間に配置されて前記周囲空間から前記軸受への異物の侵入を防止するシール構造とを備え、前記シール構造が、前記周囲空間寄りの外側シールと、前記軸受寄りの内側シールと、前記外側シールおよび前記内側シールの間に形成されているグリース溜まりに封入されたグリースを有するグリースシール部とを有する走行ローラ付きコンベヤチェーンにおいて、
    前記グリースシール部が、前記グリース溜まり内に配置される1以上の濾材シールを有し、
    前記グリースおよび前記濾材シールが、前記グリース溜まり内で、前記外側シールおよび前記内側シールの配列方向に積層されて配置されるシール層であるグリースシール層および濾材シール層をそれぞれ形成し、
    前記グリースシール層および前記濾材シール層が、前記配列方向に1層ずつ交互に3以上に積層されていることを特徴とする走行ローラ付きコンベヤチェーン。
  2. 前記グリースシール部が、複数の前記濾材シール層を有し、
    少なくとも1つの前記濾材シール層である特定濾材シール層が、前記配列方向で1対の前記グリースシール層の間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の走行ローラ付きコンベヤチェーン。
  3. 前記シール構造が、前記周囲空間に対して前記外側シールの全体を被覆するグリースにより形成される外側グリースシールを有することを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の走行ローラ付きコンベヤチェーン。
  4. 前記濾材シールが、前記ローラ軸部材と前記走行ローラとの間に締まり嵌めにより嵌合しており、
    前記濾材シールに、潤滑油が含浸されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の走行ローラ付きコンベヤチェーン。
  5. 前記濾材シールが、フェルトにより形成されているフェルトシールであり、
    前記フェルトが、ポリエステルおよびポリウレタンから形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の走行ローラ付きコンベヤチェーン。
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