JP5485585B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶化工程と融解工程とを有する(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
従来、(メタ)アクリル酸を工業的に合成する方法として、(メタ)アクリル酸製造原料を接触気相酸化する方法が知られている。(メタ)アクリル酸製造原料を接触気相酸化させて生成した(メタ)アクリル酸含有ガスは、例えば、液媒体で捕集され、粗(メタ)アクリル酸溶液として回収され、さらに、放散、抽出、蒸留や晶析等の方法により精製される。
特許文献1には、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析により精製する方法が開示されている。粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析により精製する場合、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化するには冷却が必要であり、一方、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解して精製(メタ)アクリル酸を得るには加熱が必要となる。しかし、特許文献1には、結晶化の際の冷却方法や加熱方法についての具体的な記載はない。
特許文献2には、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析により精製する際、吸収式冷凍機で得られる冷水を結晶化工程で使用することが開示されている。しかし、特許文献2には、熱源機として用いられる冷凍機の消費エネルギーを低減するための技術に関する記載はない。
特開2008−74759号公報 特開2007−277182号公報
粗(メタ)アクリル酸溶液を冷熱媒により冷却して(メタ)アクリル酸を結晶化する際、初期は晶析器から排出される冷熱媒の温度が高くなりやすい。そのような高温の冷熱媒を熱源機に返送し冷熱媒源として用いる場合、熱源機に過大な冷却負荷がかかることとなり、熱源機の稼働が不安定になったり、熱源機の消費エネルギーが増大したりする。同様に、結晶化した(メタ)アクリル酸を温熱媒で加熱して融解する際も、初期は晶析器から排出される温熱媒の温度が低くなりやすい。そのような低温の温熱媒を熱源機に返送し温熱媒源として用いる場合、熱源機に過大な加熱負荷がかかることとなり、熱源機の稼働が不安定になったり、熱源機の消費エネルギーが増大したりする。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱源機からの冷熱媒により結晶化を行い、熱源機からの温熱媒により融解を行う際、熱源機の冷却負荷と加熱負荷を減らし、熱源機の消費エネルギーを低減することのできる(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決することができた本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法とは、熱源機から冷熱媒を第1晶析器に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程と;熱源機から温熱媒を第2晶析器に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程とを有し;第1晶析器から排出された冷熱媒の一部または全部を温熱媒源に用い;第2晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を冷熱媒源に用いるところに特徴を有する。本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法によれば、第1晶析器から排出された冷熱媒の一部または全部を第2晶析器に供給する温熱媒源に用い、第2晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を第1晶析器に供給する冷熱媒源に用いることにより、熱源機の冷却負荷と加熱負荷が減少し、熱源機の消費エネルギーを低減することができる。
冷熱媒を供給する熱源機と温熱媒を供給する熱源機としては、冷熱媒と温熱媒とを供給する冷凍機を用いることが好ましい。熱源機として冷凍機を用いることにより、冷凍機からの冷熱と温熱の両方を有効活用することができ、熱源機の消費エネルギーを低減することができる。
冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器から排出された冷熱媒の温度が、第2晶析器から排出された温熱媒の温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された冷熱媒を前記温熱媒源に用い;第2晶析器から排出された温熱媒の温度が、第1晶析器から排出された冷熱媒の温度よりも低い場合に、第2晶析器から排出された温熱媒を前記冷熱媒源に用いることが好ましい。
冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器から排出された冷熱媒の温度が、熱源機から供給する冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の所定温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された冷熱媒を前記温熱媒源に用い;第2晶析器から排出された温熱媒の温度が、熱源機から供給する冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の前記所定温度よりも低い場合に、第2晶析器から排出された温熱媒を前記冷熱媒源に用いることも好ましい。
熱源機から供給する冷熱媒の温度は、−40℃以上、粗(メタ)アクリル酸溶液の融点未満であり、熱源機から供給する温熱媒の温度は、結晶化した(メタ)アクリル酸の融点超、45℃以下であることが好ましい。熱源機から供給する冷熱媒と温熱媒の温度が前記範囲にあれば、熱源機の消費エネルギーが必要以上に増大せず、熱源機や晶析器が過剰な仕様とならない。また、(メタ)アクリル酸を、高収率で得やすくなる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、熱源機から第1冷熱媒を第1晶析器に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液を冷却する工程と;熱源機から、前記第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒を第2晶析器に供給し、冷却した粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程と;熱源機から温熱媒を第3晶析器に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程とを有し;第1晶析器から排出された第1冷熱媒の一部または全部を温熱媒源に用い;第3晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を第1冷熱媒源または/および第2冷熱媒源に用いるものであってもよい。
冷熱媒として温度の異なる2種類の冷熱媒を用いることで、(メタ)アクリル酸結晶の純度を高めやすくなり、熱源機の消費エネルギーをより低減することができるようになる。また、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の一部または全部を、第3晶析器に供給する温熱媒源に用い、第3晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を、第1晶析器に供給する第1冷熱媒源または/および第2晶析器に供給する第2冷熱媒源に用いることにより、熱源機の冷却負荷と加熱負荷が減少し、熱源機の消費エネルギーを低減することができるようになる。
第1冷熱媒を供給する熱源機と第2冷熱媒を供給する熱源機と温熱媒を供給する熱源機としては、第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを供給する冷凍機を用いることが好ましい。熱源機として冷凍機を用いることにより、冷凍機からの冷熱と温熱の両方を有効活用することができ、熱源機の消費エネルギーを低減することができる。
前記(メタ)アクリル酸の製造方法において、第3晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を第2冷熱媒源に用い;第2晶析器から排出された第2冷熱媒の一部または全部を第1冷熱媒源に用いることが好ましい。前記構成により、第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する際、その操作が容易になる。
第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度が、第3晶析器から排出された温熱媒の温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された第1冷熱媒を前記温熱媒源に用い;第3晶析器から排出された温熱媒の温度が、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度または/および第2晶析器から排出された第2冷熱媒の温度よりも低い場合に、第3晶析器から排出された温熱媒を前記第1冷熱媒源または/および前記第2冷熱媒源に用いることが好ましい。
第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度が、熱源機から供給する第1冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の所定温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された第1冷熱媒を前記温熱媒源に用い;第3晶析器から排出された温熱媒の温度が、熱源機から供給する第1冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の前記所定温度よりも低い場合に、第3晶析器から排出された温熱媒を前記第1冷熱媒源または/および前記第2冷熱媒源に用いることも好ましい。
熱源機から供給する第1冷熱媒の温度は、−15℃以上、粗(メタ)アクリル酸溶液の融点未満であり、熱源機から供給する第2冷熱媒の温度は、−40℃以上、−15℃未満であり、熱源機から供給する温熱媒の温度は、結晶化した(メタ)アクリル酸の融点超、45℃以下であることが好ましい。熱源機から供給する第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒の温度が前記範囲にあれば、熱源機の消費エネルギーが必要以上に増大せず、熱源機や晶析器が過剰な仕様とならない。また、(メタ)アクリル酸を、高収率で得やすくなる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法によれば、熱源機の冷却負荷と加熱負荷を減らすことができ、熱源機の消費エネルギーが低減する。
第1熱源機と第2熱源機と第1晶析器と第2晶析器とそれらをつなぐ流路を表す。 第1晶析器から排出される冷熱媒の温度が低く、第2晶析器から排出される温熱媒の温度が高い場合の、冷熱媒と温熱媒の温度変化とそれらの使用方法を表す。 第1晶析器から排出される冷熱媒の温度が高く、第2晶析器から排出される温熱媒の温度が低い場合の、冷熱媒と温熱媒の温度変化とそれらの使用方法を表す。 第1熱源機と第2熱源機と第1晶析器と第2晶析器と冷熱媒源タンクと温熱媒源タンクとそれらをつなぐ流路を表す。 冷凍機と第1晶析器と第2晶析器とそれらをつなぐ流路を表す。 冷凍機と第1晶析器と第2晶析器と第3晶析器とそれらをつなぐ流路を表す。 第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒の温度変化とそれらの使用方法の一例を表す。 第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒の温度変化とそれらの使用方法の他の例を表す。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、熱源機から冷熱媒を第1晶析器に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程(以下、「結晶化工程」と称することがある)と;熱源機から温熱媒を第2晶析器に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程(以下、「融解工程」と称することがある)とを有する。
結晶化工程では、熱源機から第1晶析器に供給された冷熱媒により、粗(メタ)アクリル酸溶液が冷却され、(メタ)アクリル酸結晶が得られる。得られた(メタ)アクリル酸結晶は、任意の固液分離手段により結晶を選別したり、任意の物理的手段により結晶を収集してもよく、また、任意の融解方法により結晶を融解してもよい。好ましくは、後述する融解工程により、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する。
結晶化工程で結晶化される粗(メタ)アクリル酸溶液は、(メタ)アクリル酸とそれ以外の不純物を含む液体であれば特に限定されない。前記不純物としては、未反応の(メタ)アクリル酸製造原料、水、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アセトン、アクロレイン、フルフラール、ホルムアルデヒド等が含まれる。
前記粗(メタ)アクリル酸溶液は、(メタ)アクリル酸濃度が80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。前記(メタ)アクリル酸濃度が80質量%以上であれば、粗(メタ)アクリル酸溶液を晶析することが容易となる。なお、前記(メタ)アクリル酸濃度の上限は特に限定されない。
融解工程では、熱源機から第2晶析器に供給された温熱媒により、結晶化した(メタ)アクリル酸が加熱されて、融解する。融解工程で用いられる結晶化した(メタ)アクリル酸は、事前に熱源機から冷熱媒を第2晶析器に供給することにより粗(メタ)アクリル酸溶液を結晶化して得られたものであってもよく、任意の結晶化方法により得られたものであってもよい。本発明においては、好ましくは、前者の方法により得られた(メタ)アクリル酸結晶を、融解工程において融解する。
結晶化した(メタ)アクリル酸を加熱して融解する際、得られる(メタ)アクリル酸融解液の純度を上げることを目的に、結晶化した(メタ)アクリル酸を部分的に融解し、結晶間や結晶表面に存在する不純物を洗い流す操作(発汗操作)を行う場合があるが、本発明においては、当該操作も融解工程に含まれる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、第1晶析器で結晶化工程を行い、第2晶析器で融解工程を行った後、熱源機から温熱媒を第1晶析器に供給し、熱源機から冷熱媒を第2晶析器に供給することで、第1晶析器で融解工程を行い、第2晶析器で結晶化工程を行うことが好ましい。この場合、効率的な(メタ)アクリル酸の製造が可能となる。また、粗(メタ)アクリル酸溶液の1つのロットに対し、結晶化工程と融解工程とを交互に複数回繰り返し、より純度の高い(メタ)アクリル酸を得てもよい。
本発明の製造方法で用いられる熱源機は、冷熱媒を冷却し、および/または、温熱媒を加熱するものであれば、特に限定されない。熱源機は、冷熱媒と温熱媒のいずれか一方を供給するものであってもよく、冷熱媒と温熱媒の両方を供給するものであってもよい。熱源機が、冷熱媒または温熱媒のいずれか一方を供給するものである場合は、熱源機としては、冷熱媒を供給する冷熱媒用熱源機と、温熱媒を供給する温熱媒用熱源機とを用いる。熱源機としては、例えば、熱源として蒸気や液化ガスが用いられる多管式熱交換器が示される。
熱源機としては、冷熱媒を冷却すると同時に温熱媒を加熱するものであることが好ましく、そのような熱源機として、冷凍機を用いることが好ましい。具体的には、冷熱媒を供給する熱源機と温熱媒を供給する熱源機として、冷熱媒と温熱媒とを同時に供給する冷凍機を用いることが好ましい。冷凍機としては、吸収式冷凍機(アンモニア吸収式、水−臭化リチウム式等)、圧縮式冷凍機、吸着式冷凍機等を使用できる。熱源機として冷凍機を用いることにより、冷凍機からの冷熱と温熱の両方を有効活用することができ、熱源機の消費エネルギーを低減することができる。
熱源機として冷凍機を用いる場合、本発明の製造方法は、冷凍機から冷熱媒を第1晶析器に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程と、前記冷凍機から温熱媒を第2晶析器に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程とを有することが好ましい。この場合、冷凍機から排出される冷熱媒と温熱媒とを効率的に使用することが可能となる。
冷熱媒および温熱媒は、(メタ)アクリル酸を製造するに当たり、熱源機と晶析器で液体状態を維持するものであれば特に限定されない。本発明においては、冷熱媒の一部または全部を温熱媒源に用い、温熱媒の一部または全部を冷熱媒源に用いることから、冷熱媒と温熱媒とが同一のものであることが好ましく、例えば、エチレングリコール水溶液、グリセリン水溶液、メタノール水溶液が示される。
熱源機から排出される冷熱媒の温度は、粗(メタ)アクリル酸溶液の融点未満であれば特に限定されない。粗(メタ)アクリル酸溶液の融点は、(メタ)アクリル酸の純度に応じて変化する。例えば、アクリル酸濃度80質量%〜95質量%でその他の不純物の大半が水である粗アクリル酸溶液であれば、融点は概ね−5℃超、13.5℃以下となる。
熱源機から排出される冷熱媒の温度は、好ましくは−5℃以下であり、より好ましくは−10℃以下であり、また−40℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましい。前記のように、熱源機から排出される冷熱媒の温度の上限は、粗(メタ)アクリル酸溶液の融点未満であればよいが、結晶化に必要な冷熱媒の量が増えすぎたり、晶析器や冷熱媒配管等の大きさが大きくなりすぎないようにするためには、熱源機から排出される冷熱媒の温度は−5℃以下であることが好ましい。一方、熱源機から排出される冷熱媒の温度が−40℃未満の場合は、熱源機での冷却負荷が増え、高仕様の熱源機が必要となったり、熱源機の消費エネルギーが増大するおそれがあるため、熱源機から排出される冷熱媒の温度は−40℃以上であることが好ましい。
冷熱媒は、互いに異なる温度を有する2種類以上を用いてもよい。この場合、1つの熱源機から、異なる温度を有する2種類以上の冷熱媒を排出するものであってもよく、冷熱媒の温度ごとに、熱源機を複数設けてもよい。
熱源機から排出される温熱媒の温度は、結晶化した(メタ)アクリル酸の融点超であれば特に限定されない。熱源機から排出される温熱媒の温度は、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、また45℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。前記のように、熱源機から排出される温熱媒の温度の下限は、結晶化した(メタ)アクリル酸の融点超であればよいが、融解に必要な温熱媒の量が増えすぎたり、晶析器や温熱媒配管等の大きさが大きくなりすぎないようにするためには、熱源機から排出される温熱媒の温度は20℃以上であることが好ましい。一方、熱源機から排出される温熱媒の温度が45℃を超える場合は、晶析器において(メタ)アクリル酸の重合反応が起こり、得られる(メタ)アクリル酸の純度や収率が落ちるおそれがある。また、熱源機での加熱負荷が増え、高仕様の熱源機が必要となったり、熱源機の消費エネルギーが増大するおそれがある。そのため、熱源機から排出される温熱媒の温度は45℃以下であることが好ましい。
温熱媒は、互いに異なる温度を有する2種類以上を用いてもよい。この場合、1つの熱源機から、異なる温度を有する2種類以上の温熱媒を排出するものであってもよく、温熱媒の温度ごとに、熱源機を複数設けてもよい。
熱源機から排出される冷熱媒と温熱媒の温度は、一定範囲に保たれていることが好ましく、前記温度範囲は、3℃以内が好ましく、1℃以内がより好ましい。また、熱源機から排出される冷熱媒と温熱媒の流量は、一定範囲に保たれていることが好ましい。熱源機から排出される冷熱媒と温熱媒の温度と流量が一定範囲に保たれていれば、晶析器での結晶化操作や融解操作が安定して行われやすくなる。熱源機から排出される冷熱媒と温熱媒の流量は、熱源機から排出される冷熱媒と温熱媒の温度、粗(メタ)アクリル酸溶液や結晶化した(メタ)アクリル酸の量や温度等に応じて、適宜設定される。
本発明の製造方法で用いられる晶析器は、粗(メタ)アクリル酸溶液が結晶化し、結晶化した(メタ)アクリル酸が融解するものであれば特に限定されない。第1晶析器には熱源機から冷熱媒が供給され、その結果、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸が結晶化する。第2晶析器には熱源機から温熱媒が供給され、その結果、結晶化した(メタ)アクリル酸が融解する。
本発明の製造方法で用いられる晶析器は、伝熱面を有していることが好ましい。この場合、晶析器は、伝熱面により、冷熱媒と温熱媒が供給される部分(熱媒存在部)と、粗(メタ)アクリル酸溶液および/または(メタ)アクリル酸結晶が存在する部分((メタ)アクリル酸存在部)とに区分されていることが好ましい。晶析器が伝熱面を有するものである場合、結晶化工程では、晶析器に冷熱媒が供給されるとともに、晶析器に粗(メタ)アクリル酸溶液が供給され、伝熱面を介して冷熱媒により粗(メタ)アクリル酸溶液が冷却され、(メタ)アクリル酸が結晶化する。融解工程では、晶析器に温熱媒が供給され、結晶化した(メタ)アクリル酸が伝熱面を介して温熱媒により加熱され、融解する。
伝熱面を有する晶析器としては、一般に熱交換器として用いられる装置を採用することができ、特に液体どうしで熱交換を行う熱交換器として用いられる装置を採用することが好ましい。例えば、一枚のプレートが配置され、または複数枚のプレートが間隔を隔てて積層され、熱媒存在部と(メタ)アクリル酸存在部とがプレートを介して交互に配置されたプレート式熱交換器;複数本の管が容器内に配列され、管の内外で熱交換を行う多管式(シェル・アンド・チューブ式)熱交換器;外管の中に内管が配置され、内管の内外で熱交換を行う二重管式熱交換器;一本の管がコイル状に容器内に配置され、管の内外で熱交換を行うコイル式熱交換器;断面が二分された中心管に2枚の伝熱板を渦巻き状に巻き、2つの渦巻き状の流路が形成されたスパイラル式熱交換器等を採用することができる。なお、多管式熱交換器、二重管式熱交換器、コイル式熱交換器、スパイラル式熱交換器で用いられる管の断面形状は特に限定されない。
結晶化工程では、第1晶析器に供給された冷熱媒は、粗(メタ)アクリル酸溶液と熱交換され、粗(メタ)アクリル酸溶液から受熱することにより、加熱される。この場合、結晶化工程の初期では、第1晶析器から排出される冷熱媒の温度が高くなりやすい。また、結晶化工程の前に第1晶析器で融解工程が行われていたような場合は、融解工程で用いられた高温の温熱媒の影響により、第1晶析器内に高温の余熱が残留する。その結果、結晶化工程の初期は、第1晶析器から排出される冷熱媒の温度が高くなりやすくなる。そのような高温の冷熱媒を冷熱媒源として用いる場合、熱源機に過大な冷却負荷がかかることとなり、熱源機の稼働が不安定になったり、熱源機の消費エネルギーが増大したりする。
融解工程では、第2晶析器に供給された温熱媒は、結晶化した(メタ)アクリル酸と熱交換され、結晶化した(メタ)アクリル酸に放熱することにより、冷却される。この場合、融解工程の初期では、第2晶析器から排出される温熱媒の温度が低くなりやすい。また、融解工程の前に第2晶析器で結晶化工程が行われていたような場合は、結晶化工程で用いられた低温の冷熱媒の影響により、第2晶析器内に低温の余熱が残留する。その結果、融解工程の初期は、第2晶析器から排出される温熱媒の温度が低くなりやすくなる。そのような低温の温熱媒を温熱媒源として用いる場合、熱源機に過大な加熱負荷がかかることとなり、熱源機の稼働が不安定になったり、熱源機の消費エネルギーが増大したりする。
熱源機は一般に、その仕様に応じ、効率的に冷却または加熱できる負荷範囲を有している。しかし、熱源機の冷却負荷や加熱負荷が高くなると、非効率的な負荷範囲で熱源機を稼働しなくてはならない場合が生じ、消費エネルギーが増大する。また、非効率的な負荷範囲で熱源機を稼働させると、熱源機の稼働も不安定になりやすくなる。
そこで、本発明の製造方法では、第1晶析器から排出された冷熱媒の一部または全部を、第2晶析器に供給する温熱媒源に用い、第2晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を、第1晶析器に供給する冷熱媒源に用いている。好ましくは、第1晶析器から排出された高温の冷熱媒を第2晶析器に供給する温熱媒源に用い、第2晶析器から排出された低温の温熱媒を第1晶析器に供給する温熱媒源に用いる。その結果、熱源機の冷却負荷と加熱負荷が減少し、熱源機の消費エネルギーを低減することができる。これについて、図1〜図5を用いて説明する。なお、本発明の製造方法は、下記実施態様に限定されるものではない。
図1は、冷熱媒を供給する第1熱源機と、温熱媒を供給する第2熱源機と、第1晶析器と、第2晶析器と、それらをつなぐ流路の例を示している。第1熱源機1Aは、冷熱媒を排出する冷熱媒出口2Aと、冷熱媒源が返送される冷熱媒源入口3Aとを有している。第2熱源機1Bは、温熱媒を排出する温熱媒出口6Bと、温熱媒源が返送される温熱媒源入口7Bとを有している。第1晶析器11は、熱媒が供給される第1熱媒存在部12と、粗(メタ)アクリル酸溶液および/または(メタ)アクリル酸結晶が存在する第1(メタ)アクリル酸存在部13とを有している。第1熱媒存在部12は入口14と出口15とを有し、第1(メタ)アクリル酸存在部13は入口16と出口17とを有している。同様に、第2晶析器21は、第2熱媒存在部22と第2(メタ)アクリル酸存在部23とを有し、第2熱媒存在部22は入口24と出口25とを有し、第2(メタ)アクリル酸存在部23は入口26と出口27とを有している。
第1熱源機1Aの冷熱媒出口2Aから排出された冷熱媒は、第1晶析器11の第1熱媒存在部12の入口14に供給され、第1晶析器11内で熱交換される。第1熱媒存在部12の出口15から排出された冷熱媒は、第1熱源機1Aの冷熱媒源入口3Aに返送されるか、流路42を通って第2熱源機1Bの温熱媒源入口7Bに返送される。第2熱源機1Bの温熱媒出口6Bから排出された温熱媒は、第2晶析器21の第2熱媒存在部22の入口24に供給され、第2晶析器21内で熱交換される。第2熱媒存在部22の出口25から排出された温熱媒は、第2熱源機1Bの温熱媒源入口7Bに返送されるか、流路42を通って第1熱源機1Aの冷熱媒源入口3Aに返送される。なお、流路42には、冷熱媒用の流路と温熱媒用の流路が設けられている。
図2と図3は、熱源機出口、晶析器入口、晶析器出口、熱源機入口における冷熱媒と温熱媒の温度変化を模式的に示している。熱源機出口、晶析器入口、晶析器出口、熱源機入口の温度は、冷熱媒については、各々、第1熱源機1Aの冷熱媒出口2A、第1熱媒存在部の入口14、第1熱媒存在部の出口15、第1熱源機1Aの冷熱媒源入口3Aにおける温度に相当し、温熱媒については、各々、第2熱源機1Bの温熱媒出口6B、第2熱媒存在部の入口24、第2熱媒存在部の出口25、第2熱源機1Bの温熱媒源入口7Bにおける温度に相当する。
図2と図3では、温熱媒は実線で表され、冷熱媒は一点鎖線で表されている。温熱媒の熱源機出口での温度をT1、温熱媒の晶析器出口での温度をT2、冷熱媒の熱源機出口での温度をT3、冷熱媒の晶析器出口での温度をT4とする。なお、熱源機出口から晶析器入口にかけて、および晶析器出口から熱源機入口にかけての冷熱媒と温熱媒の温度変化はないものと仮定する。
図2は、第1晶析器11から排出される冷熱媒の温度が低く、第2晶析器21から排出される温熱媒の温度が高い場合の、冷熱媒と温熱媒の温度変化とそれらの使用方法を示している。冷熱媒は、温度T3で第1熱源機1Aから第1晶析器11に供給され、第1晶析器11で熱交換されて温度T4に加熱される。温度T4に加熱された冷熱媒は、第1熱源機1Aに返送され、温度T4から温度T3に冷却される。一方、温熱媒は、温度T1で第2熱源機1Bから第2晶析器21に供給され、第2晶析器21で熱交換されて温度T2に冷却される。温度T2に冷却された温熱媒は、第2熱源機1Bに返送され、温度T2から温度T1に加熱される。図2では、温度T2は温度T4より十分高く、第1熱源機1Aから排出された冷熱媒は第1熱源機1Aに返送され、再び冷熱媒源に用いられ、第2熱源機1Bから排出された温熱媒は第2熱源機1Bに返送され、再び温熱媒源に用いられる。
図3は、第1晶析器11から排出される冷熱媒の温度が高く、第2晶析器21から排出される温熱媒の温度が低い場合の、冷熱媒と温熱媒の温度変化とそれらの使用方法を示している。図3では、晶析器出口の冷熱媒の温度T4が、晶析器出口の温熱媒の温度T2よりも高くなっている。この場合、晶析器出口の冷熱媒を冷熱媒源に用い、第1熱源機1Aで温度T4から温度T3まで冷却するよりも、晶析器出口の温熱媒を冷熱媒源として用い、第1熱源機1Aで温度T2からT3まで冷却する方が、第1熱源機1Aの冷却負荷が低減する。同様に、晶析器出口の温熱媒を温熱媒源に用い、第2熱源機1Bで温度T2から温度T1まで加熱するよりも、晶析器出口の冷熱媒を温熱媒源として用い、第2熱源機1Bで温度T4からT1まで加熱する方が、第2熱源機1Bの加熱負荷が低減する。従って、図3では、第1晶析器11から排出された冷熱媒を温熱媒源に用い、第2晶析器21から排出された温熱媒を冷熱媒源に用いている。
冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器11から排出された冷熱媒の温度T4が、第2晶析器21から排出された温熱媒の温度T2よりも高い場合に、第1晶析器11から排出された冷熱媒を温熱媒源に用い;第2晶析器21から排出された温熱媒の温度T2が、第1晶析器11から排出された冷熱媒の温度T4よりも低い場合に、第2晶析器21から排出された温熱媒を冷熱媒源に用いることが好ましい(相互利用基準1)。その結果、第1熱源機1Aにおける温度T4から温度T2にかけての冷却負荷と、第2熱源機1Bにおける温度T2から温度T4にかけての加熱負荷とが削減され、各熱源機の消費エネルギーを低減することができる。
冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器11から排出された冷熱媒の温度T4が、第1熱源機1Aから供給する冷熱媒の温度T3と第2熱源機1Bから供給する温熱媒の温度T1との間の所定温度Taよりも高い場合に、第1晶析器11から排出された冷熱媒を温熱媒源に用い;第2晶析器21から排出された温熱媒の温度T2が、第1熱源機1Aから供給する冷熱媒の温度T3と第2熱源機1Bから供給する温熱媒の温度T1との間の所定温度Taよりも低い場合に、第2晶析器21から排出された温熱媒を冷熱媒源に用いることも好ましい(相互利用基準2)。この場合、第1熱源機1Aにおける冷却負荷は、最大でも温度Taから温度T3まで冷却する場合に抑えられ、第2熱源機1Bにおける加熱負荷は、最大でも温度Taから温度T1まで加熱する場合に抑えられる。従って、熱源機に過度な冷却負荷や加熱負荷がかかることが防止され、各熱源機の消費エネルギーを低減することができるようになる。なお、冷熱媒の温度T4と温熱媒の温度T2が温度Taの場合は、冷熱媒源と温熱媒源のどちらに使用してもよい。
前記所定温度Taは、冷熱媒と温熱媒の各熱媒源への利用量のバランスに応じて、適宜定めればよい。前記所定温度Taとしては、冷熱媒の温度T3と温熱媒の温度T1との平均値(T1+T3)/2を採用することが好ましい。
前記相互利用基準2の場合、第1晶析器11から排出された冷熱媒と第2晶析器21から排出された温熱媒の両方を、冷熱媒源または温熱媒源に用いることが生じる可能性がある。この場合、冷熱媒源を貯留するためのタンク(冷熱媒源タンク)と温熱媒源を貯留するためのタンク(温熱媒源タンク)とを設けることが好ましい。これについて、図4を用いて説明する。なお、冷熱媒源タンクと温熱媒源タンクは、前記目的以外で設けてもよい。
冷熱媒源タンク51は、入口52が第1晶析器11と第2晶析器21の各熱媒存在部の出口15,25に連通し、出口53が第1熱源機1Aの冷熱媒源入口3Aに連通している。温熱媒源タンク54は、入口55が第1晶析器11と第2晶析器21の各熱媒存在部の出口15,25に連通し、出口56が第2熱源機1Bの温熱媒源入口7Bに連通している。冷熱媒源タンク51と温熱媒源タンク54とを設けることにより、例えば、第1晶析器11から排出された冷熱媒と第2晶析器21から排出された温熱媒の両方が冷熱媒源に用いられる場合に、過剰な冷熱媒源を冷熱媒源タンク51に一時的に貯留したり、第2熱源機1Bに返送される温熱媒源の不足分を温熱媒源タンク54から補充したりする。その結果、各熱源機を安定的に稼働させることができるようになる。
上記説明は、熱源機として、冷熱媒を供給する第1熱源機と温熱媒を供給する第2熱源機とを用いる実施態様に関するものであったが、熱源機としては、冷熱媒と温熱媒とを同時に供給する冷凍機であってもよい。これについて、図5を用いて説明する。
図5は、図1の実施態様において、第1熱源機と第2熱源機とを1つの冷凍機で置き換えた実施態様を表している。冷凍機1は、冷熱媒を排出する冷熱媒出口2と、冷熱媒源が返送される冷熱媒源入口3と、温熱媒を排出する温熱媒出口6と、温熱媒源が返送される温熱媒源入口7とを有している。
冷凍機1の冷熱媒出口2から排出された冷熱媒は、第1晶析器11に供給され、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸が結晶化する。第1晶析器11から排出された冷熱媒は、上記図2および図3に示されるように、一部または全部が冷凍機1の温熱媒源入口7に返送され、温熱媒源として使用される。冷凍機1の温熱媒出口6から排出された温熱媒は、第2晶析器21に供給され、結晶化した(メタ)アクリル酸が融解する。第2晶析器21から排出された温熱媒は、上記図2および図3に示されるように、一部または全部が冷凍機1の冷熱媒源入口3に返送され、冷熱媒源として使用される。
図1,4,5に示した実施態様において、第1晶析器11で結晶化工程が終了し、第2晶析器21で融解工程が終了した後は、第1熱源機1Aまたは冷凍機1から排出される冷熱媒を、流路41を通して第2晶析器21に供給し、第2熱源機1Bまたは冷凍機1から排出される温熱媒を、流路41を通して第1晶析器11に供給することが好ましい。なお、流路41には、冷熱媒用の流路と温熱媒用の流路が設けられている。このように、第1晶析器11と第2晶析器12で、結晶化工程と融解工程とを交互に行うことで、効率的な(メタ)アクリル酸の製造が可能となる。
これまでの説明は、熱源機から排出される冷熱媒が1種類の場合についてであったが、熱源機から排出される冷熱媒は、互いに異なる温度を有する2種類以上であってもよい。以下に、熱源機として冷凍機を用い、冷凍機から排出される冷熱媒が互いに異なる温度を有する2種類である実施態様について、図6〜図8を用いて説明する。
図6は、第1冷熱媒と、第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒と、温熱媒とを排出する冷凍機61を用い、これに3つの晶析器11,21,31を組み合わせて、(メタ)アクリル酸を製造する例を示している。
冷凍機61は、第1冷熱媒を排出する第1冷熱媒出口62と、第1冷熱媒源が返送される第1冷熱媒源入口63と、第2冷熱媒を排出する第2冷熱媒出口64と、第2冷熱媒源が返送される第2冷熱媒源入口65と、温熱媒を排出する温熱媒出口66と、温熱媒源が返送される温熱媒源入口67とを有している。図6では、前記説明した第1晶析器11と第2晶析器21とに加え、第3晶析器31が設けられている。第3晶析器31は、第3熱媒存在部32と第3(メタ)アクリル酸存在部33とを有し、第3熱媒存在部32は入口34と出口35とを有し、第3(メタ)アクリル酸存在部33は入口36と出口37とを有している。
当該実施態様では、第1冷熱媒により粗(メタ)アクリル酸溶液を冷却し、結晶化工程の前半を行い、第2冷熱媒により、冷却された粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化し、結晶化工程の後半を行う。このように第1冷熱媒と第2冷熱媒とを設けることにより、(メタ)アクリル酸結晶の純度を高めやすくなり、冷凍機の消費エネルギーをより低減することができるようになる。なお、前記結晶化工程の前半において、第1冷熱媒により粗(メタ)アクリル酸溶液を冷却することで、(メタ)アクリル酸が一部結晶化してもよい。
つまり、当該実施態様における(メタ)アクリル酸の製造方法は、冷凍機61から第1冷熱媒を第1晶析器11に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を冷却する工程と;冷凍機61から、第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒を第2晶析器21に供給し、冷却した粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程と;冷凍機61から温熱媒を第3晶析器31に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程とを有する。
冷凍機から排出される第1冷熱媒の温度は、−15℃以上が好ましく、粗(メタ)アクリル酸の融点未満が好ましく、0℃以下がより好ましい。第2冷熱媒の温度は−40℃以上が好ましく、−15℃未満が好ましい。なお、冷凍機から排出される温熱媒の温度の好ましい範囲は、前記説明と同様である。
当該実施態様では、第1晶析器11から排出される第1冷熱媒の一部または全部を、第3晶析器31に供給する温熱媒源に用い、第3晶析器31から排出される温熱媒の一部または全部を、第1晶析器11に供給する第1冷熱媒源または/および第2晶析器21に供給する第2冷熱媒源に用いる。具体的には、第1晶析器11から排出される第1冷熱媒の温度が高い場合は、第1冷熱媒を流路42を通して冷凍機61の温熱媒源入口67に返送し、第3晶析器31から排出される温熱媒の温度が低い場合は、温熱媒を流路42を通して冷凍機61の第1冷熱媒源入口63または/および第2冷熱媒源入口65に返送する。なお、流路42には、第1冷熱媒用の流路と第2冷熱媒用の流路と温熱媒用の流路とが設けられている。
図7と図8は、冷凍機出口、晶析器入口、晶析器出口、冷凍機入口の第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒の温度変化を模式的に示している。冷凍機出口、晶析器入口、晶析器出口、冷凍機入口における温度は、第1冷熱媒については、各々、冷凍機の第1冷熱媒出口62、第1熱媒存在部の入口14、第1熱媒存在部の出口15、冷凍機の第1冷熱媒源入口63における温度に相当し、第2冷熱媒については、各々、冷凍機の第2冷熱媒出口64、第2熱媒存在部の入口24、第2熱媒存在部の出口25、冷凍機の第2冷熱媒源入口65における温度に相当し、温熱媒については、各々、冷凍機の温熱媒出口66、第3熱媒存在部の入口34、第3熱媒存在部の出口35、冷凍機の温熱媒源入口67における温度に相当する。
図7と図8では、温熱媒は実線で表され、第1冷熱媒は一点鎖線で表され、第2冷熱媒は二点鎖線で表されている。温熱媒の冷凍機出口での温度をT11、温熱媒の晶析器出口での温度をT12、第1冷熱媒の冷凍機出口での温度をT13、第1冷熱媒の晶析器出口での温度をT14、第2冷熱媒の冷凍機出口での温度をT15、第2冷熱媒の晶析器出口での温度をT16としている。なお、冷凍機出口から晶析器入口にかけて、および晶析器出口から冷凍機入口にかけての第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒の温度変化はないものと仮定する。
図7では、晶析器出口の温熱媒の温度T12、第1冷熱媒の温度T14、第2冷熱媒の温度T16が、T14>T16>T12の関係にある。例えば、第1晶析器で結晶化工程の前半が開始された直後は、第1冷熱媒の粗(メタ)アクリル酸溶液からの受熱量が多くなりやすく、その結果、第1晶析器から排出される第1冷熱媒の温度T14が高くなりやすい。また、第3晶析器で融解工程が開始された直後は、温熱媒の(メタ)アクリル酸結晶への放熱量が多くなりやすく、その結果、第3晶析器から排出される温熱媒の温度T12が低くなりやすい。さらに、融解工程開始直後は、その前工程で使用された非常に低温の冷熱媒(第2冷熱媒)の影響により、第3晶析器内に非常に低温の余熱が残留し、その結果、第3晶析器から排出される温熱媒の温度が低くなる場合もある。そのような場合、各工程の開始直後は、T14>T16>T12の関係が成立しうる。
図7の場合、晶析器出口の第1冷熱媒を第1冷熱媒源に用い、冷凍機61で温度T14から温度T13まで冷却し、晶析器出口の第2冷熱媒を第2冷熱媒源に用い、冷凍機61で温度T16から温度T15まで冷却するよりも、晶析器出口の温熱媒を第2冷熱媒源として用い、冷凍機61で温度T12からT15まで冷却し、晶析器出口の第2冷熱媒を第1冷熱媒源として用い、冷凍機61で温度T16からT13まで冷却する方が、冷凍機61の冷却負荷が低減する。同様に、晶析器出口の温熱媒を温熱媒源に用い、冷凍機61で温度T12から温度T11まで加熱するよりも、晶析器出口の第1冷熱媒を温熱媒源として用い、冷凍機61で温度T14からT11まで加熱する方が、冷凍機61の加熱負荷が低減する。従って、図7では、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を第3晶析器31に供給する温熱媒源に用い、第2晶析器21から排出された第2冷熱媒を第1晶析器11に供給する第1冷熱媒源に用い、第3晶析器31から排出された温熱媒を第2晶析器21に供給する第2冷熱媒源に用いている。
各工程の開始直後は、図7のように晶析器出口の各熱媒の温度はT14>T16>T12の関係が成立しうるが、各工程が進行するに従い、晶析器出口の第1冷熱媒の温度T14と第2冷熱媒の温度T16は低くなり、晶析器出口の温熱媒の温度T12は高くなる傾向を示す。そのような場合の第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒の温度の関係を、図8に示す。
図8では、晶析器出口の第1冷熱媒の温度T14が、晶析器出口の温熱媒の温度T12よりも高くなっている。この場合、晶析器出口の第1冷熱媒を第1冷熱媒源に用い、冷凍機61で温度T14から温度T13まで冷却するよりも、晶析器出口の温熱媒を第1冷熱媒源として用い、冷凍機61で温度T12からT13まで冷却する方が、冷凍機61の冷却負荷が低減する。同様に、晶析器出口の温熱媒を温熱媒源に用い、冷凍機61で温度T12から温度T11まで加熱するよりも、晶析器出口の第1冷熱媒を温熱媒源として用い、冷凍機61で温度T14からT11まで加熱する方が、冷凍機61の加熱負荷が低減する。従って、図8では、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を第3晶析器31に供給する温熱媒源に用い、第3晶析器31から排出された温熱媒を第1晶析器11に供給する第1冷熱媒源に用いている。
図8では、晶析器出口の温熱媒を第1冷熱媒源に用いていたが、晶析器出口の温熱媒を第2冷熱媒源に用いてもよい。この場合、晶析器出口の第2冷熱媒は、第1冷熱媒源に用いてもよい。本発明は、冷凍機に返送する冷熱媒の温度が高く、冷凍機に返送する温熱媒の温度が低い場合に、冷熱媒を温熱媒源に用い、温熱媒を冷熱媒源に用いるように、冷熱媒と温熱媒とを相互利用することで、冷凍機の冷却負荷と加熱負荷が低減できるものである。従って、当該実施態様のように冷熱媒を2種類以上用いる場合においては、冷熱媒間の相互利用は必須ではない。
第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒の温度T14が、第3晶析器31から排出された温熱媒の温度T12よりも高い場合に、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を温熱媒源に用い;第3晶析器31から排出された温熱媒の温度T12が、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒の温度T14または/および第2晶析器21から排出された第2冷熱媒の温度T16よりも低い場合に、第3晶析器31から排出された温熱媒を第1冷熱媒源または/および第2冷熱媒源に用いることが好ましい。より好ましくは、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒の温度T14が、第3晶析器31から排出された温熱媒の温度T12よりも高い場合に、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を温熱媒源に用い;第3晶析器31から排出された温熱媒と第2晶析器21から排出された第2冷熱媒のうち、高温の熱媒を第1冷熱媒源に用い、低温の熱媒を第2冷熱媒源に用いる。その結果、冷凍機61における冷却負荷と加熱負荷とが削減され、冷凍機61の消費エネルギーを低減することができる。
第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準としては、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒の温度T14が、冷凍機61から供給する第1冷熱媒の温度T13と温熱媒の温度T11との間の所定温度Tbよりも高い場合に、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を温熱媒源に用い;第3晶析器31から排出された温熱媒の温度T12が、冷凍機61から供給する第1冷熱媒の温度T13と温熱媒の温度T11との間の所定温度Tbよりも低い場合に、第3晶析器31から排出された温熱媒を第1冷熱媒源または/および第2冷熱媒源に用いることも好ましい。この場合、冷凍機61における冷却負荷は、最大でも温度Tbから温度T15まで冷却する場合に抑えられ、冷凍機1における加熱負荷は、最大でも温度Tbから温度T11まで加熱する場合に抑えられる。従って、冷凍機61に過度な冷却負荷や加熱負荷がかかることが防止され、冷凍機61の消費エネルギーを低減することができるようになる。なお、冷凍機61に返送する第1冷熱媒の温度T14と温熱媒の温度T12が温度Tbの場合は、いずれの熱媒源に使用してもよい。
前記所定温度Tbは、第1冷熱媒と温熱媒の各熱媒源への利用量のバランスに応じて、適宜定めればよい。前記所定温度Tbとしては、第1冷熱媒の温度T13と温熱媒の温度T11との平均値(T11+T13)/2を採用することが好ましい。
冷熱媒として互いに異なる温度を有する2種類以上を用いる場合であっても、前記説明したように、冷熱媒源タンクと温熱媒源タンクとを設けてもよい。この場合、冷熱媒源タンクは、冷熱媒源の種類ごと設けるようにする。
図6において、第1晶析器11で結晶化工程の前半が終了し、第2晶析器21で結晶化工程の後半が終了し、第3晶析器31で融解工程が終了した後は、第2冷熱媒を流路41を通して第1晶析器11に供給し、温熱媒を流路41を通して第2晶析器21に供給し、第1冷熱媒を流路41を通して第3晶析器31に供給することが好ましい。その結果、第1晶析器11では結晶化工程の後半が行われ、第2晶析器21では融解工程が行われ、第3晶析器31では結晶化工程の前半が行われることとなる。なお、流路41には、第1冷熱媒用の流路と第2冷熱媒用の流路と温熱媒用の流路が設けられている。
さらに、第1晶析器11で結晶化工程の後半が終了し、第2晶析器21で融解工程が終了し、第3晶析器31で結晶化工程の前半が終了した後は、温熱媒を流路41を通して第1晶析器11に供給し、第1冷熱媒を流路41を通して第2晶析器21に供給し、第2冷熱媒を流路41を通して第3晶析器31に供給することが好ましい。その結果、第1晶析器11では融解工程が行われ、第2晶析器21では結晶化工程の前半が行われ、第3晶析器31では結晶化工程の後半が行われることとなる。
このように、冷凍機と、第1晶析器と第2晶析器と第3晶析器とを組み合わせることで、3つの晶析器が互いに位相をずらしながら、結晶化工程の前半と結晶化工程の後半と融解工程とが順番に行われるようになる。従って、効率的に(メタ)アクリル酸を製造することが可能となり、また冷凍機の消費エネルギーをより低減できるようになる。
この場合、第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準を次のように定めると、操作が容易になる点で好ましい。
第1晶析器11で結晶化工程の前半を行う場合、その前工程は融解工程となるため、結晶化工程の前半の初期では、流路42の各熱媒の流れを前工程から変えることなく、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒をそのまま冷凍機61の温熱媒源入口67に返送する。この場合、結晶化工程の前半の開始直後は、その前工程で使用された非常に高温の温熱媒の影響により、第1晶析器11内に非常に高温の余熱が残留し、その結果、第1晶析器11から排出される第1冷熱媒の温度T14が高くなりやすくなる。この場合、温度T14の上限は、理論上温度T11となる。しかし、結晶化工程の前半が進行するに従い、第1晶析器11から排出される第1冷熱媒の温度T14が低下し、理論上温度T13まで下がりうる。そこで、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒の温度T14がT11とT13との間の所定温度Tc(例えば、(T11+T13)/2)よりも高い場合に、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を、冷凍機61の温熱媒源入口67に返送して温熱媒源に用い、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒の温度T14が前記所定温度Tc(例えば、(T11+T13)/2)よりも低い場合に、第1晶析器11から排出された第1冷熱媒を、冷凍機61の第1冷熱媒源入口63に返送して第1冷熱媒源に用いるようにする。なお、第1冷熱媒の温度T14が温度Tcの場合はどちらに返送してもよい。
前記と同様に、第2晶析器21で結晶化工程の後半を行う場合は、その前工程が結晶化工程の前半となるため、第2晶析器21から排出された第2冷熱媒の温度T16がT13とT15との間の所定温度Td(例えば、(T13+T15)/2)よりも高い場合に、第2晶析器21から排出された第2冷熱媒を、冷凍機61の第1冷熱媒源入口63に返送して第1冷熱媒源に用い、第2晶析器21から排出された第2冷熱媒の温度T16が前記所定温度Td(例えば、(T13+T15)/2)よりも低い場合に、第2晶析器21から排出された第2冷熱媒を、冷凍機61の第2冷熱媒源入口65に返送して第2冷熱媒源に用いるようにする。なお、第2冷熱媒の温度T16が温度Tdの場合はどちらに返送してもよい。
第3晶析器31で融解工程を行う場合は、その前工程が結晶化工程の後半となるため、融解工程の初期では、流路42の各熱媒の流れを前工程から変えることなく、第3晶析器31から排出された温熱媒をそのまま冷凍機61の第2冷媒源入口65に返送する。この場合、融解工程の開始直後は、その前工程で使用された非常に低温の第2冷熱媒の影響により、第3晶析器31内に非常に低温の余熱が残留し、その結果、第3晶析器31から排出される温熱媒の温度T12が低くなりやすくなる。この場合、温度T12の下限は、理論上温度T15となる。一方、融解工程における温度T12の上限は、理論上温度T11となる。そこで、第3晶析器31から排出された温熱媒の温度T12がT11とT15との間の所定温度Te(例えば、(T11+T15)/2)よりも低い場合に、第3晶析器31から排出された温熱媒を、冷凍機61の第2冷熱媒源入口65に返送して第2冷熱媒源に用い、第3晶析器31から排出された温熱媒の温度T12が前記所定温度Te(例えば、(T11+T15)/2)よりも高い場合に、第3晶析器31から排出された温熱媒を、冷凍機61の温熱媒源入口67に返送して温熱媒源に用いるようにする。なお、温熱媒の温度T12が温度Teの場合はどちらに返送してもよい。
すなわち、前記においては、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の一部または全部を温熱媒源に用い、第2晶析器から排出された第2冷熱媒の一部または全部を第1冷熱媒源に用い、第3晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を第2冷熱媒源に用いることとなる。そして、第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを互いの熱媒源として相互利用する基準として、前記のように定めると、流路42の切り替え操作が容易になる。
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、さらに、粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程を有することが好ましい。粗(メタ)アクリル酸溶液を得る工程は、(メタ)アクリル酸製造原料から接触気相酸化反応により(メタ)アクリル酸含有ガスを得る接触気相酸化反応工程と、前記(メタ)アクリル酸含有ガスを液媒体で捕集する捕集工程とを有していることが好ましい。さらに、前記捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸含有率を上げることを目的に、前記捕集工程の後段に精製工程を設けてもよい。
接触気相酸化反応工程では、(メタ)アクリル酸製造原料としてプロパン、プロピレン、(メタ)アクロレイン、またはイソブチレン等を用い、これを分子状酸素により接触気相酸化させ、(メタ)アクリル酸含有ガスを得る。接触気相酸化反応は、従来公知の酸化触媒を用いて行うことが好ましい。
捕集工程では、前記接触気相酸化反応工程で得られた(メタ)アクリル酸含有ガスを、捕集塔において液媒体で捕集し、(メタ)アクリル酸溶液を得る。前記液媒体としては、水、(メタ)アクリル酸含有水、または高沸点溶剤(ジフェニルエーテルやジフェニル等)等を用いることができる。本発明では、捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液を、粗(メタ)アクリル酸溶液として結晶化工程に供してもよい。
捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液の(メタ)アクリル酸含有率が低い場合は、捕集工程の後段に精製工程を設け、捕集工程で得られた(メタ)アクリル酸溶液を蒸留や放散等により精製して、結晶化工程に供する粗(メタ)アクリル酸溶液を得てもよい。
[実施例]
図6に示す晶析システムを用い、粗アクリル酸溶液から精製アクリル酸を製造した。冷熱媒と温熱媒を同時に供給する熱源機として、吸収式冷凍機を用いた。吸収式冷凍機からは、0℃の第1冷熱媒と−30℃の第2冷熱媒と40℃の温熱媒とが、各々流量300m3/時で排出されていた。晶析器としては、伝熱面を有し、前記伝熱面により熱媒存在部とアクリル酸存在部とに区分された晶析器を用いた。
粗アクリル酸溶液は、アクリル酸94.3質量%、水2.3質量%、酢酸2.0質量%、マレイン酸0.4質量%、その他の不純物1.0質量%を含有していた。第1晶析器のアクリル酸存在部に、30℃の粗アクリル酸溶液を20t供給するとともに、第1晶析器の熱媒存在部に0℃の第1冷熱媒を供給し、結晶化工程の前半を行った。なお、第1晶析器では、結晶化工程の前半が行われる前に、融解工程が行われていた。
第1晶析器で結晶化工程の前半を行うのと同時に、第2晶析器で結晶化工程の後半を行い、第3晶析器で融解工程を行った。第2晶析器のアクリル酸存在部には、前記結晶化工程の前半を行うことにより得られた冷却した粗アクリル酸溶液が存在し、第2晶析器の熱媒存在部に−30℃の第2冷熱媒を供給することにより、結晶化工程の後半を行った。第3晶析器のアクリル酸存在部には、前記結晶化工程の後半を行うことにより得られた結晶化したアクリル酸が存在し、第3晶析器の熱媒存在部に温熱媒を供給することにより、融解工程を行った。その結果、アクリル酸融解液(精製アクリル酸)が15t得られた。なお、融解工程では、発汗操作も行った。
第1晶析器には、0℃の第1冷熱媒を供給していたが、結晶化工程の前半開始直後、第1晶析器から排出された第1冷熱媒が20℃以上の温度を有していたため、第1晶析器から排出された第1冷熱媒を温熱媒源として用いた。第1晶析器から排出された第1冷熱媒は、冷凍機から排出される第1冷熱媒と温熱媒との平均温度20℃を下回るまで温熱媒源として用い、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度が20℃を下回った後、当該第1冷熱媒を第1冷熱媒源として用いた。
第2晶析器には、−30℃の第2冷熱媒を供給していたが、結晶化工程の後半開始直後、第2晶析器から排出された第2冷熱媒が−15℃以上の温度を有していたため、第2晶析器から排出された第2冷熱媒を第1冷熱媒源として用いた。第2晶析器から排出された第2冷熱媒は、冷凍機から排出される第2冷熱媒と第1冷熱媒との平均温度−15℃を下回るまで第1冷熱媒源として用い、第2晶析器から排出された第2冷熱媒の温度が−15℃を下回った後、当該第2冷熱媒を第2冷熱媒源として用いた。
第3晶析器には、40℃の温熱媒を供給していたが、融解工程開始直後、第3晶析器から排出された温熱媒が5℃以下の温度を有していたため、第3晶析器から排出された温熱媒を第2冷熱媒源として用いた。第3晶析器から排出された温熱媒は、冷凍機から排出される温熱媒と第2冷熱媒との平均温度5℃を上回るまで第2冷熱媒源として用い、第3晶析器から排出された温熱媒の温度が5℃を上回った後、当該温熱媒を温熱媒源として用いた。
各工程はいずれも40分間行った。各工程における冷凍機の平均電力は次の通りであった。第1冷熱媒源を0℃まで冷却するのに要した冷凍機能力は、1100kWであった。第2冷熱媒源を−30℃まで冷却するのに要した冷凍機能力は、1100kWであった。温熱媒源を40℃まで加熱するのに要した冷凍機能力は、−2250kWであった。なお、冷凍機能力とは「単位時間に物体から奪う熱の量」を表す。従って、冷却側の能力は“+”で表記され、加熱側の能力は“−”で表記される。
[比較例]
第1晶析器から排出された第1冷熱媒を全て第1冷熱媒源として用い、第2晶析器から排出された第2冷熱媒を全て第2冷熱媒源として用い、第3晶析器から排出された温熱媒を全て温熱媒源として用いる以外は、前記と同様に、各晶析器で、結晶化工程の前半、結晶化工程の後半、または融解工程を行った。
各工程における冷凍機の平均電力は次の通りであった。第1冷熱媒源を0℃まで冷却するのに要した冷凍機能力は、1225kWであった。第2冷熱媒源を−30℃まで冷却するのに要した冷凍機能力は、1225kWであった。温熱媒源を40℃まで加熱するのに要した冷凍機能力は、−2500kWであった。
本発明は、結晶化工程と融解工程とを有する(メタ)アクリル酸の製造方法に用いることができる。
1,61: 熱源機(冷凍機)
2,62,64: 冷熱媒出口
3,63,65: 冷熱媒源入口
6,66: 温熱媒出口
7,67: 温熱媒源入口
11: 第1晶析器
21: 第2晶析器
31: 第3晶析器
51: 冷熱媒源タンク
54: 温熱媒源タンク

Claims (11)

  1. 熱源機から冷熱媒を第1晶析器に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程と;
    熱源機から温熱媒を第2晶析器に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程とを有し;
    第1晶析器から排出された冷熱媒の一部または全部を温熱媒源に用い;
    第2晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を冷熱媒源に用いることを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
  2. 冷熱媒を供給する熱源機と温熱媒を供給する熱源機として、冷熱媒と温熱媒とを供給する冷凍機を用いる請求項1に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  3. 第1晶析器から排出された冷熱媒の温度が、第2晶析器から排出された温熱媒の温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された冷熱媒を前記温熱媒源に用い;
    第2晶析器から排出された温熱媒の温度が、第1晶析器から排出された冷熱媒の温度よりも低い場合に、第2晶析器から排出された温熱媒を前記冷熱媒源に用いる請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  4. 第1晶析器から排出された冷熱媒の温度が、熱源機から供給する冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の所定温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された冷熱媒を前記温熱媒源に用い;
    第2晶析器から排出された温熱媒の温度が、熱源機から供給する冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の前記所定温度よりも低い場合に、第2晶析器から排出された温熱媒を前記冷熱媒源に用いる請求項1または2に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  5. 熱源機から第1冷熱媒を第1晶析器に供給し、粗(メタ)アクリル酸溶液を冷却する工程と;
    熱源機から、前記第1冷熱媒より低温の第2冷熱媒を第2晶析器に供給し、冷却した粗(メタ)アクリル酸溶液から(メタ)アクリル酸を結晶化する工程と;
    熱源機から温熱媒を第3晶析器に供給し、結晶化した(メタ)アクリル酸を融解する工程とを有し;
    第1晶析器から排出された第1冷熱媒の一部または全部を温熱媒源に用い;
    第3晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を第1冷熱媒源または/および第2冷熱媒源に用いることを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
  6. 第1冷熱媒を供給する熱源機と第2冷熱媒を供給する熱源機と温熱媒を供給する熱源機として、第1冷熱媒と第2冷熱媒と温熱媒とを供給する冷凍機を用いる請求項5に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  7. 第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度が、第3晶析器から排出された温熱媒の温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された第1冷熱媒を前記温熱媒源に用い;
    第3晶析器から排出された温熱媒の温度が、第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度または/および第2晶析器から排出された第2冷熱媒の温度よりも低い場合に、第3晶析器から排出された温熱媒を前記第1冷熱媒源または/および前記第2冷熱媒源に用いる請求項5または6に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  8. 第1晶析器から排出された第1冷熱媒の温度が、熱源機から供給する第1冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の所定温度よりも高い場合に、第1晶析器から排出された第1冷熱媒を前記温熱媒源に用い;
    第3晶析器から排出された温熱媒の温度が、熱源機から供給する第1冷熱媒の温度と温熱媒の温度との間の前記所定温度よりも低い場合に、第3晶析器から排出された温熱媒を前記第1冷熱媒源または/および前記第2冷熱媒源に用いる請求項5または6に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  9. 第3晶析器から排出された温熱媒の一部または全部を第2冷熱媒源に用い;
    第2晶析器から排出された第2冷熱媒の一部または全部を第1冷熱媒源に用いる請求項5または6に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  10. 熱源機から供給する冷熱媒の温度は、−40℃以上、前記粗(メタ)アクリル酸溶液の融点未満であり、
    熱源機から供給する温熱媒の温度は、前記結晶化した(メタ)アクリル酸の融点超、45℃以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
  11. 熱源機から供給する第1冷熱媒の温度は、−15℃以上、前記粗(メタ)アクリル酸溶液の融点未満であり、
    熱源機から供給する第2冷熱媒の温度は、−40℃以上、−15℃未満であり、
    熱源機から供給する温熱媒の温度は、前記結晶化した(メタ)アクリル酸の融点超、45℃以下である請求項5〜9のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル酸の製造方法。
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