JP5487682B2 - 強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの鋼材は、2相域焼入れなどの手段により、マルテンサイトまたはベイナイト主体の組織中に軟質のフェライト組織を導入し、ミクロ的に不均一な組織とすることによって低降伏比を実現しているため、鋼材の降伏現象を早期に発生させることに繋がり、高い負荷がかかる構造物などで必要とされる降伏強度とのバランスをとることが難しく、また複雑な熱処理工程を必要とすることから、実用的な大量生産品としては必ずしも適当ではなかった。
特許文献1では、オーステナイトの再結晶温度域で圧延終了後、2相域での冷却を制御することによってフェライト+マルテンサイト組織とする方法が示されている。
しかしながら、この方法では、一様伸びは向上するものの、フェライト粒が粗大化するために、低温靭性は良好とは言えない。また、ミクロ組織が不均一であることから、局部伸びが著しく低下するおそれもある。
しかしながら、Cu析出強化を発現させるには、概ね1%以上のCu添加が必要であることから、製造コストおよび特性の安定性の観点から、実用鋼としての実現可能性は低い。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、鋼板の板厚中心部と表層部の組織を個別に制御することにより、生産性の低下や製造コストの増大を招くことなしに、480MPa以上の降伏強度と優れた低温靭性を有し、ひいては強度−伸びバランスに優れた高靱性高張力鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
その結果、全厚引張試験片での全伸びの支配因子としては、板厚中心部および表裏層のミクロ組織、表裏層の硬さおよび試験片内での材質の均一性が挙げられ、これらを適正に制御することにより、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。
(1) フェライト+ベイナイト組織とすることにより伸びが向上する、
(2) 圧延で表裏層に導入された加工フェライトは伸びには不利である、
(3) TMCPプロセスにおいて冷却開始温度および冷却停止温度を制御することにより、板厚中心を単相組織にすることができ、これにより延性低下の原因となるマイクロボイドの発生を抑制できる
ことを明らかにした。
また、
(4) これらのミクロ組織制御により、比較的高い降伏強度が得られる
ことを見出した。
さらに、
(5) 表層のみを優先的に加熱する焼戻し処理を施すことにより、伸びが向上する
(6) また、表層を加熱することで、鋼板内の表面硬さが軽減し伸びが向上する
ことを見出した。
そして、かような鋼材は、
(7) ライン上に配置された加速冷却、加熱設備を駆使して一連の工程で造り込むことにより、高効率で得られる
ことを見出した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
1.質量%で、C:0.03〜0.18%、Si:0.01〜0.55%、Mn:0.5〜2.0%、Al:0.005〜0.1%およびN:0.0005〜0.005%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなり、ミクロ組織がフェライトとベイナイトの混合組織であって、板厚中心の上下1mmを含む領域のミクロ組織は、加工フェライトを含まず、ポリゴナルフェライトが面積率で5%以下のベイナイト主体の組織、一方、表裏面から板厚方向に1.5mmの領域のミクロ組織は、加工フェライトの面積率が5%以下、ポリゴナルフェライトの面積率が10%以上の、フェライトとベイナイトの混合組織になり、また鋼板の表裏面下0.5mmより内部側における板厚方向の硬さ分布の最大値と最小値の差がビッカース硬さで45HV未満であり、さらに板厚が20mm以上で、降伏強度が480MPa以上であることを特徴とする強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板。
ここに、加工フェライトおよびポリゴナルフェライトについては、3%ナイタールで腐食したサンプルの光学顕微鏡観察写真でフェライトのアスペクト比(長軸/短軸)を測定し、このアスペクト比が3.0以上のものを加工フェライト、3.0未満のものをポリゴナルフェライトと定義する。
前記1または2に記載の成分組成になるスラブを、1050〜1250℃の温度に加熱後、累積圧下率:50%以上、鋼板表面温度:Ar3以上、Ar3+15℃以下の条件で熱間圧延を終了し、ついで板厚中心がAr3以上の温度から加速冷却を開始し、鋼板平均温度が350℃以上550℃以下の温度域まで冷却したのち、空冷することを特徴とする強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板の製造方法。
まず、本発明において、鋼の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.03〜0.18%
Cは、高張力鋼板の母材強度の確保に必要な元素であるが、含有量が0.03%に満たないとCu,Ni,Cr,Moなどの焼入性向上元素の多量添加が必要となり、コスト高となるだけでなく、溶接性の劣化を招き、また大入熱溶接が施される場合には、溶接金属へのCの希釈が少なくなり、継手強度の確保が困難となる。一方、C量が0.18%を超えると母材靭性および溶接性の劣化を招き、また溶接継手部靭性の劣化を招くため、C量は0.03〜0.18%の範囲に限定した。
Siは、母材強度および溶接継手強度を確保する上で有用な元素なので、0.01%以上含有させるものとした。しかしながら、Si量が0.55%を超えると、溶接割れ感受性と溶接継手靭性の劣化を招く。そのため、Si量は0.01〜0.55%の範囲に限定した。
Mnは、母材強度および溶接継手強度を確保する上で有用なので、0.5%以上含有させるものとした。しかしながら、Mn量が2.0%を超えると溶接割れ感受性が劣化させるだけでなく、必要以上の焼入性をもたらし母材靭性および継手靭性を劣化させる。そのため、Mn量は0.5〜2.0%の範囲に限定した。
Alは、鋼の脱酸剤として有用であるので、0.005%以上含有させる。また、結晶粒の微細化による母材靭性確保のためには0.01%以上の添加が好適である。しかしながら、Al量が0.1%を超えると母材靭性を損なうので、Alは0.005〜0.1%の範囲で含有させるものとした。
Nは、AlやNbなどと反応し析出物を形成することで結晶粒を微細化し、母材靭性を向上させる効果がある。しかしながら、含有量が0.0005%未満では結晶粒の微細化および強度確保に必要な析出物が形成されず、一方0.005%を超えるとむしろ母材および大入熱溶接継手の靭性を損なうので、Nは0.0005〜0.005%の範囲で含有させるものとした。
本発明鋼において、特に引張強さ600MPa級以上の高張力鋼板を得る場合や、耐候性を必要とする場合には、Cu,Ni,Cr,Mo,NbおよひVのうちから選んだ少なくとも一種を添加することが有利である。この場合、Cu、Ni、Cr、Moについては、いずれも多量の添加は高コストとなり、また、溶接性を低下させるため、それぞれ、Cuについては上限を0.8%、Crについては上限を1%、Niについては上限を2%、Moについては、溶接性の確保と必要以上の焼入性を防止するために、上限を0.8%とした。また、Nbは、母材強度確保に有効であるが、多量の添加は強化に寄与せず、逆に、溶接継手靭性を劣化させることから、添加する場合の上限は0.05%、好ましくは0.03%である。さらに、Vは、母材強度と溶接継手強度を確保する上で有効に作用するが、0.1%を超える添加は溶接割れ感受性を劣化させるので、上限を0.1%とした。
Tiは、ミクロ組織の細粒化およびB添加鋼の場合には焼入性に有効なBを確保するために添加するが、0.025%を超える添加は母材靭性を損ねることから、Ti量は0.025%以下とした。また、Bは、ごく微量の添加で焼入性を高める効果が得られるが、過剰に添加するとBNを形成し逆に焼入性の低下を招き、また溶接熱影響部が著しく硬化するため、Bの上限は0.002%とした。
Caは、靭性を劣化させるMnSの析出形態を変化させて、その悪影響を緩和する作用があるが、過剰の添加は焼入性の低下を招くため、上限は0.005%とした。
ここに、不可避的不純物としては、P,Sなどが考えられるが、健全な母材および溶接継手を得るためには、いずれも0.015%以下に抑制することが望ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記以外の成分の含有、たとえば、靱性改善を目的として、0.0050%以下のMg及び/または0.02%以下のREM(希土類金属)の含有、を拒むものではない。
本発明のミクロ組織は、フェライトとベイナイトの混合組織であるが、本発明では、鋼板の中心部と表層部とで組織を個別に制御する。
板厚中心部のミクロ組織:ベイナイト主体組織
鋼材の全厚引張試験において最高荷重到達後鋼板の中心部からボイドが発生し、それらが成長、連結することにより破断に至る。従って、板厚中心部でのボイドの発生を抑制するためには、ボイドの発生源である異相組織の界面を低減する必要があり、そのためには、板厚中心の上下1mmを含む領域のミクロ組織を、加工フェライトを含まず、かつポリゴナルフェライトが面積率で5%以下のベイナイト主体組織とすることが重要である。なお、面積率とは、鋼板断面のミクロ組織から測定される領域内の平均の面積分率を示す。
また、加工フェライトは伸びに対して不利な組織であるので、この領域には加工フェライトは存在させないことにした。
さらに、この領域におけるポリゴナルフェライトの量が面積率で5%を超えると、ポリゴナルフェライトとベイナイトの強度差のために、界面でボイドが発生しやすく伸びの低下を招くので、ポリゴナルフェライトの量は面積率で5%以下に制限した。
高い一様伸びを確保するためには、加工フェライトを抑制すると共に、延性に優れるポリゴナルフェライトの導入が有効であり、同時に表裏層の硬さを低下させることで延性も向上する。
ただし、ポリゴナルフェライトが面積率で10%未満では、一様伸びや延性の改善効果が小さいので、表裏面から板厚方向に1.5mmの鋼板表層部のミクロ組織は、加工フェライトの面積率が5%以下、ポリゴナルフェライトの面積率が10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上の、フェライトとベイナイトの混合組織とする。
加工フェライトは、フェライト変態後に圧延により歪が加えられるため、偏平な形状となる。一方、ポリゴナルフェライトは、フェライト変態後に圧延により歪が加えられることがないので、比較的等軸な形状である。従って、加工フェライトとポリゴナルフェライトは、内部の転位密度が異なるなどの違いがあるが、その形状の違いから両者を判別することができる。
本発明では、3%ナイタールで腐食したサンプルの光学顕微鏡観察写真でフェライトのアスペクト比(長軸/短軸)を測定し、このアスペクト比が3.0以上のものを加工フェライト、3.0未満のものをポリゴナルフェライトと定義する。
すなわち、本発明のミクロ組織を有する鋼板を本発明の製造方法で実現するためには、以下に述べるとおり、冷却開始時に表層および板厚中心の温度を規定する必要があるが、板厚が20mm未満では現実的に制御が困難であるため、板厚は20mm以上とした。
前記した成分組成になる溶鋼を、転炉や電気炉等の公知の炉を用いて溶製した後、連続鋳造法や造塊−分塊法でスラブとする。
ついで、得られたスラブを、1050〜1250℃の温度に加熱後、累積圧下率:50%以上、鋼板表面温度:Ar3以上、Ar3+15℃以下の条件で熱間圧延を終了し、ついで板厚中心がAr3以上の温度から加速冷却を行い、鋼板平均温度が350℃以上550℃以下の温度域まで冷却したのち、空冷することにより、本発明で所期した強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板を製造する。
以下、製造条件を上記の範囲に限定した理由について説明する。
スラブ加熱は、鋼中の成分を均一化とMo,Nb,Vなどの析出強化元素を固溶させるために少なくとも1050℃を確保する必要があるが、加熱温度があまりに高くなると、結晶粒が粗大化し板厚中心においてはマイクロボイドの発生を助長することに加え、母材の靭性劣化を招くため、1050〜1250℃の範囲に限定した。好ましくは1200℃以下である。
熱間圧延によりオーステナイト粒の微細化を図ると共に、後工程での加速冷却により、ベイナイト変態の促進およびフェライト粒の微細化を図るためには、熱間圧延における累積圧下率を50%以上とする必要がある。また、母材の靭性を向上させ、より安定に確保する観点からは、1050℃以下900℃以上の温度域で20%以上の累積圧下を付与することが望ましい。これにより、オーステナイト(γ)粒の再結晶に伴って組織が細粒化し、母材の靭性を向上かつ安定化させる。これと同じ効果の面からは、各圧延パス毎の圧下量を5%以上、好ましくは10%以上とすることが望ましい。
加工フェライトを抑制する上で、最も重要な制御項目である。圧延をAr3変態点よりもより低い温度で終了すると、初析フェライトを加工することになり、転位を含む加工フェライトが生成するので、圧延終了時における鋼板表面温度はAr3以上とする。一方、圧延終了温度がAr3以上であれば加工フェライトの生成は抑制できるものの、高温すぎると結晶粒が粗大化し、靭性の低下や伸びの低下を招く。よって、圧延終了時における鋼板表面温度はAr3+15℃以下とする。
Ar3(℃)=910−310[%C]−80[%Mn]−20[%Cu]−15[%Cr]−55[%Ni]−80[%Mo] 但し、[%M]は、M元素の含有量(質量%)を表す。
圧延終了温度が上記した温度域の場合、圧延終了後すぐに表層部からフェライト変態が進行する。したがって、表層部においては、直ちに加速冷却を行っても目標とするフェライト分率を確保することが可能であるが、板厚中心部では、ベイナイト主体の組織とする必要があるため、加速冷却開始前のフェライト変態を抑制することを目的として、この加速冷却は板厚中心がAr3以上の温度から行うこととした。好適な加速冷却の開始温度は、Ar3+5〜50℃の範囲である。
ここに、板厚中心温度は、板厚、表面温度および冷却条件等が与えられた場合に、シミュレーション計算等により求められるものを用いることができる。
冷却停止温度が鋼板平均温度で350℃未満になると、加速冷却によりマルテンサイトが生成し、靭性が劣化する。一方、冷却停止温度が鋼板平均温度で550℃超では、ベイナイト変態が十分進行しないため、高張力鋼板としての強度を確保するのが困難となるだけでなく、粗大なパーライト組織が生成し、延性が低下する。従って、板厚中心をベイナイト主体組織とするために、冷却停止温度は鋼板平均温度で350℃以上550℃以下の範囲とする。加速冷却終了後は、後述の誘導加熱を実施する場合を除き、空冷することが望ましい。
なお、平均温度は、板厚、表面温度および冷却条件等が与えられた場合に、シミュレーション計算等により求められるものを用いることができる。例えば、差分法を用い、板厚方向の温度分布を平均化することにより得られた温度を平均温度とすることができる。
上述した冷却方法により、従来に比べて表層硬さは低下し、伸びは向上するが、鋼板表面のスケールの性状による加速冷却時の冷却速度ばらつきなどに起因して、同一鋼板内でも表面の硬さにばらつきは存在する。引張試験片の平行部にこのようなばらつきが存在することは、伸びの低下を招く。そこで、表面を加熱することにより、同一鋼板内での表面の硬さのばらつきを軽減するのである。
また、誘導加熱を用いることにより、従来に比べ短時間で焼戻し処理ができるため、生産性が向上するのと同時に、鋼板表層と板厚中心部との硬度差がさらに小さくすることができる。すなわち、鋼板の表裏面下0.5mmより内部側における板厚方向の硬さ分布の最大値と最小値の差をビッカース硬さで45HV未満とすることができる。
かくして、480MPa以上の降伏強度と優れた低温靱性を有する、強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板の安定した製造が可能となる。
鋼板中心部のポリゴナルフェライトの面積率は、板厚中央の上下1mmの領域において、3%ナイタールで腐食した400倍の光学顕微鏡写真をランダムに5枚撮影し、画像解析によりポリゴナルフェライト分率を算出した。また、表層部の加工フェライトおよびポリゴナルフェライト分率は、表層直下から0.3mm間隔で400倍の光学顕微鏡写真を5枚撮影し、画像解析により加工フェライトとポリゴナルフェライト分率を算出した。
また、母材の機械的性質の評価として、JIS 5号引張試験片を用いた全厚引張試験、ビッカース硬さによる板厚方向の硬さ分布測定、および1/2t位置でのシャルピー衝撃試験を行った。伸びはTSと相関関係があることから、伸びの評価としてTS×El(全伸び)の値を用い、この値が大きいほど、強度−伸びバランス(TS×El)が優れると評価した。TS×Elは、板厚:25mmで30000MPa・%以上、板厚:35mmで35000MPa・%以上を、またvTsは、−70℃以下を目標値とした。
表3中、No.1〜3、9〜11、13、15〜21は発明例であり、No.4〜8、12、14、22は比較例である。なお、No.9〜12に関しては、圧延後、誘導加熱を用いた焼戻し処理を施した。
これに対し、比較例のうち、No.4は冷却開始温度が低く、板厚中心部のフェライト分率が高いために、強度低く、また伸びも低値であった。
No.5は、圧延終了温度が高かったために表層でポリゴナルフェライトが十分に確保されておらず、またNo.6は、圧延終了温度が低く冷却開始温度が守られていなかったために、所望のミクロ組織が得られず、伸びが低値であった。
No.7は、冷却停止温度が低かったために、表層と中心部の硬度差が大きく、伸びが低値であり、また靭性も劣っていた。
No.8は、冷却停止温度が高かったために、中心部でベイナイト主体組織とならず、粗大なパーライト組織となっており、強度および伸びともに低値であった。
No.12は、誘導加熱装置による加熱温度が適正でなかったために、強度と靭性が大幅に低下していた。
No.14およびNo.22は、成分が適正請求範囲外であったために、目標とする降伏強度が得られなかった。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.03〜0.18%、Si:0.01〜0.55%、Mn:0.5〜2.0%、Al:0.005〜0.1%およびN:0.0005〜0.005%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなり、ミクロ組織がフェライトとベイナイトの混合組織であって、板厚中心の上下1mmを含む領域のミクロ組織は、加工フェライトを含まず、ポリゴナルフェライトが面積率で5%以下のベイナイト主体の組織、一方、表裏面から板厚方向に1.5mmの領域のミクロ組織は、加工フェライトの面積率が5%以下、ポリゴナルフェライトの面積率が10%以上の、フェライトとベイナイトの混合組織になり、また鋼板の表裏面下0.5mmより内部側における板厚方向の硬さ分布の最大値と最小値の差がビッカース硬さで45HV未満であり、さらに板厚が20mm以上で、降伏強度が480MPa以上であることを特徴とする強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板。
ここに、加工フェライトおよびポリゴナルフェライトについては、3%ナイタールで腐食したサンプルの光学顕微鏡観察写真でフェライトのアスペクト比(長軸/短軸)を測定し、このアスペクト比が3.0以上のものを加工フェライト、3.0未満のものをポリゴナルフェライトと定義する。 - 前記鋼板が、さらに質量%で、Cu:0.8%以下、Ni:2%以下、Cr:1%以下、Mo:0.8%以下、Nb:0.05%以下、V:0.1%以下、Ti:0.025%以下、B:0.002%以下およびCa:0.005%以下のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする請求項1に記載の強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板。
- 請求項1または2に記載の高靭性高張力鋼板の製造方法であって、
請求項1または2に記載の成分組成になるスラブを、1050〜1250℃の温度に加熱後、累積圧下率:50%以上、鋼板表面温度:Ar3以上、Ar3+15℃以下の条件で熱間圧延を終了し、ついで板厚中心がAr3以上の温度から加速冷却を開始し、鋼板平均温度が350℃以上550℃以下の温度域まで冷却したのち、空冷することを特徴とする強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板の製造方法。 - 前記加速冷却後、さらに誘導加熱により、鋼板の板厚中心温度が650℃以下かつ表面の最高到達温度が580℃以上730℃以下に急速加熱する焼戻し処理を施すことを特徴とする請求項3に記載の強度−伸びバランスに優れた高靭性高張力鋼板の製造方法。
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