以下、本発明の内容を具体的に説明する。
液晶TVが台頭するなか、自発光でない液晶ディスプレイは、白表示時は、如何に照明装置からの光を透過し、黒表示時は如何に光を遮断するかが重要である。本発明は、特に黒表示の斜めから見たときに輝度低減と同時に如何に色付きを無くすかに関するものである。
まず、黒表示時に斜め方向から見た場合、なぜ輝度が上昇し、色付きが生じるかについて説明する前に、図7を用いて定義を示す。照明装置からの光60が入射し、液晶素子で光が変調され、表示面10Dから光が出射するとき、表示面10Dの法線方向80N、水平方向を70H、垂直上下方向を70Vとし、視認方向80Vをとると、視野角82をθ、視認方向80Vの表示面10Dへの射影を80Aとすると、水平方向70Hとの成す角を方位角81として、Φで示す。
次に、直交する一対の偏光板において、視野角θ,方位角Φを、θ≠0°Φ≠0°,180°±90°として、光漏れの理由について考える。図9の左図に示すように2枚の偏光板の吸収軸11CAと12CA(又は透過軸11CT,12CT)を直交させた場合、偏光板の法線方向から入射した光は、入射側の偏光板で直線偏光になり、出射側の偏光板により吸収され、黒表示をすることができる。一方、図9の右図に示すように、斜め方向から見た場合(θ≠0°Φ≠0°,180°±90°)は、反対側の偏光板の透過軸と平行な成分を有し、反対側の偏光板で光が完全には遮断されずに光漏れを生じる。更に、直交する偏光板間に平行配向の液晶層が配置された場合、液晶層の配向軸が入射側偏光板の吸収軸に平行であれば液晶層の影響を受けないが、液晶層の配向軸がずれる若しくは2枚の偏光板が直交からずれると液晶層の影響を受けることが我々の検討で判明した。
これらの偏光状態を理解するためには、ポアンカレ球表示を使用すると非常に分かり易い。ポアンカレ球表示については、〔非特許文献1〕応用物理学会光学懇話会編 「結晶光学」森北出版株式会社出版 1984年第1版第4刷発行、第5章p102〜p163に開示されている。ストークスパラメータS0,S1,S2,S3は、光の進行方向に対し垂直な面でx,y軸をとり、その電界振幅をそれぞれEx,Eyとし、ExとEyの相対的位相差をδ(=δy−δx)とすると、
(数1)
S0=<|Ex|2>+<|Ey|2>
S1=<|Ex|2>−<|Ey|2>
S2=<2ExEycosδ>
S3=<2ExEysinδ>
と表され、完全偏光の場合S02=S12+S22+S32となる。また、これをポアンカレ球上に表示すると、図8に示すようになる。つまり、空間直交座標系の各軸にS1,S2,S3軸を取り、偏光状態を表すS点は、強度S0の半径とする球面上に位置する。ある偏光状態Sの点をとり、緯度La及び経度Loを用いて表示すると、完全偏光の場合、S02=S12+S22+S32であるため、半径1の球を考え、
(数2)
S1=cosLacosLo
S2=cosLasinLo
S3=cosLa
となる。ここで、ポアンカレ球上では、上半球は右回りの偏光、下半球は左回りの偏光、赤道上は直線偏光、上下両極はそれぞれ右円偏光,左円偏光が配置される。
図9の状態をポアンカレ球上で考えると図10に示すようになる。ここで、図10は、方位角Φ=45°,θ=60°で見た場合で、右図はS1−S2面への、左図はS1−S3面への射影を示す。光の入射側の偏光透過軸12CTの偏光状態は200T、吸収軸12CAに偏光成分を持つ直線偏光は200A、出射側の偏光透過軸11CTは201T、吸収軸11CAに偏光成分を有する直線偏光は201Aで示される。つまり、200Tと201Aの距離311が光漏れとなる。従って、200Tの偏光状態を201Aの偏光状態へ、変換300を行うことで光漏れをなくすことができる事がわかる。
図10は、偏光層のみの理想状態を考えたが、通常の偏光板は、偏光層の両側に支持基材が配置されており、その支持基材が通常トリアセチルセルロース(TAC)からなり、面内の位相差が殆ど無いが、厚み方向にリタデーションR・hをもっている。ここで、支持基材の面内の遅相軸をx軸方向に平行とし、x,y軸方向それぞれの屈折率をnx,ny、厚さ方向の屈折率をnz、厚さhとすると、
(数3)
R・h=((nx+ny)/2−nz)・h
として表される。
このリタデーションR・hにより、垂直入射では偏光状態に影響を受けないが斜め入射時に支持基材の影響を受けて偏光状態が変化する。ここで、図3に示す光学的な層構成で偏光状態の変化を考える。液晶層15の両側に偏光板11,12が配置され、入射側偏光板12の内側には支持基材12B、出射側偏光板11は内側に支持基材11Bが配置されている。ここで、液晶の配向軸15Sは、入射側偏光板12の吸収軸12CAに平行、透過軸12CTに垂直で、出射側偏光板11の吸収軸11CAに垂直、透過軸11CTに平行に配置し、これをo−modeと呼び、図5に示すように上下偏光板の軸が90°回転している場合、つまり、液晶の配向軸15Sは、入射側偏光板12の吸収軸12CAに垂直、透過軸12CTに平行で、出射側偏光板11の吸収軸11CAに平行、透過軸11CTに垂直に配置した場合をe−modeと呼ぶ。また、通常は、偏光層11C,12Cの外側に図1,図2に示すように支持基材11A,12Aが配置されるが偏光状態を考える上では必要ないために省略した。この図3の構成について、ポアンカレ球上で偏光状態の変化を図11の左図を用いて考える。ここで、液晶層15の屈折率異方性ΔnLC、そのギャップをdLCとし、その積ΔnLC・dLCをリタデーションと称する。また、以下断りが無い場合には、各物性値は波長550nm光の値として考える。図10と同様に方位角Φ=45°,視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、偏光層12Cの透過軸12CTを透過した光の偏光状態は200Tとなり、支持基材12BのリタデーションR1・h1によりS1軸を−1側から見て時計回りにリタデーションR1・h1分回転し、偏光状態202の左回りの楕円偏光に変換される。更に、液晶層15により、200Tの点を中心に時計回りに液晶層のリタデーションΔnLC・dLC分回転301し、偏光状態203の右回りの楕円偏光に変換される。更に出射側偏光板11の支持基材11BのリタデーションR2・h2により、S1軸を−1側から見て時計回りにリタデーションR2・h2分回転し、偏光状態204の右回りの楕円偏光に変換される。ここで、出射側の偏光層11Cの吸収軸11CAに一致する偏光状態は201Aであり、偏光状態204と201Aの距離310分だけ光が漏れることになる。
更には、図11の左図では、550nmの光について考えたが、図11の右図で図4の構成について、可視光領域は380nm〜780nmであるので、略等価である400nm〜700nmの光について考える。図10と同様に方位角Φ=45°,視野角θ=60°から見た場合の光について考えると、偏光層12Cの透過軸12CTを透過した光の偏光状態は200Tとなり、支持基材12BのリタデーションRh1によりS1軸を−1側から見て時計回りにリタデーションR1・h1分回転し、偏光状態212の左回りの楕円偏光に変換される。ここで、偏光状態212の直線の長さは、波長によりリタデーションが異なるため、光の波長より異なる偏光状態に変換される事を示す。更に、液晶層15により、200Tの点を中心に時計回りに液晶層のリタデーションΔnLC・dLC分回転し、波長により広がりのある偏光状態213の楕円偏光に変換される。図からも分かるように短波長では左回りの楕円偏光で、長波長では右回りの楕円偏光となる。更に出射側偏光板11の支持基材11BのリタデーションR2・h2により、S1軸を−1側から見て時計回りにリタデーションR2・h2分回転し、偏光状態214の楕円偏光に変換される。ここで、出射側の偏光層11Cの吸収軸11CAに一致する偏光状態は201Aであり、偏光状態214と201Aの距離の分だけ光が漏れ、波長により光の漏れ量が異なることが分かった。従って、斜めから見た場合色付きが生じることが理解できる。
以上より、IPSモード液晶表示装置の黒表示時における斜め視角の光漏れ,色付きは、直交配置の偏光板におけるものとは大きく異なることが分かる。
また、この考え方に基づくと、色付きに最も寄与するのは液晶層による偏光状態変化であることが分かる。つまり、光学位相補償部材により、黒表示時の斜め視角における液晶層の影響を低減しながら、斜め方向における光漏れを低減することが課題となる。本発明は、この課題を解決するものである。
本発明を説明する。本発明の液晶表示装置の構成を図1に示す。光入射側の第一の偏光板12を備えた第一基板16ともう一方の第二の偏光板11を備えた第二基板14間のそれぞれの吸収軸が略垂直(小さい方の成す角度が88°〜90°)に配置し、液晶層15の液晶分子が前記基板14、16に平行な方向に配向され、第一の基板16に対して平行な方向に電界を印加することにより液晶分子が前記第一の基板16に対して平行な面内で回転する液晶層15が2枚の基板14,16間に挟持されている。また、偏光板11および12の液晶層側の支持基材11B,12Bは複屈折性を有する。更に、第一の基板16又は第二基板14のいずれか一方の基板の液晶層15に近い側に、各画素に対向して一対の電極を有するマトリクス駆動の電極群が設けられ、背面に照明装置50が配置されている。図1左は、液晶層15の光軸が入射側偏光板12の吸収軸に平行、透過軸に垂直なo−modeの場合を示している。この場合、図1左のように光学位相補償部材13が液晶層15と第二の偏光板11間に挟持される。また、第一の偏光板の液晶層側の支持基材12Bと液晶層15間に光学位相補償部材17が配置される。さらに、偏光板支持基材12Bと光学位相補償部材17を積層すると、屈折率は略等方性となる。
図1は偏光板支持基材11A,12Aおよび基板14,16を含むが、これらは偏光状態を考える場合、無視できる。これらを省略し、各部材の軸方向を明示した光学的構成図を考えると図4のようになる。このような光学的構成において、斜め方向からの光漏れを光学位相補償部材13および17により低減する方法を考える。
図12,図13にポアンカレ球を用いて偏光状態変化を示す。第一の偏光板12に対し斜め入射した光の偏光状態は、前述した通り200Tのように表される。図4の構成では、偏光板支持基材12Bが複屈折性を有するが、この影響は光学位相補償部材17により打ち消されるため、入射光は偏光状態200Tを保ったまま、液晶層15に入射する。ここで、液晶層15に封入される液晶分子の面内における遅相軸をx軸方向に平行とし、x,y軸方向の屈折率をそれぞれnx,ny、厚さ方向の屈折率をnz、面内リタデーションをΔn・drとすると、
(数4)
nx>ny≒nz
Δn・dr=(nx−ny)・dr
であり、このように面内においてのみ屈折率異方性を持ち、厚さ方向の屈折率が面内屈折率の小さいものと略等しい媒体をポジティブa−plate と呼ぶことにし、今後ポジティブa−plate のリタデーションとは面内のリタデーションを指すことにする。ポジティブa−plate に直線偏光が入射した場合の偏光状態変化は、ポアンカレ球上では、屈折率が大きい主軸(今の場合y方向)、つまり遅相軸を軸とした回転変換で表される。今考えている図4の光学的構成では、第一の偏光板12の吸収軸と液晶層15の遅相軸15Sが一致しているため、ポアンカレ球上の回転変換は図12のように考えられる。つまり、第一の偏光板12透過後の偏光状態200Tに対して、液晶層15の遅相軸401を軸として回転変換301がなされる。よって、第一の偏光板吸収軸12CAと液晶層15の遅相軸15Sの方向が高精度で一致していれば、液晶層15透過前後で偏光状態は変化しない。
次に、光学位相補償部材13および第二の偏光板支持基材11B透過前後の偏光状態変化について考える。図13に示すように、液晶層15透過後の偏光状態200Tを第二の偏光板吸収軸方向11CAの直線偏光状態201Aに変換すればよいことが理解できる。
つまり、o−modeの場合、図4のように、第一の偏光板支持基材12Bの複屈折性を第一の偏光板支持基材12Bと液晶層15間に配置した光学位相補償部材17により打ち消し、液晶層15と第二の偏光板の偏光層11C間に光学位相補償部材13を配置することにより、斜め入射光に対し液晶層の影響を排し、光漏れを低減することが可能となる。液晶層の影響がないため前述したように、斜め入射光に対し、色付きと光漏れ双方を低減できることとなる。
次に、図1右のe−modeの場合を考える。この場合、図1右のように光学位相補償部材13が第一の偏光板12と液晶層15間に挟持される。また、液晶層15と第二の偏光板の液晶層側の支持基材11B間に光学位相補償部材17が配置される。さらに、偏光板支持基材11Bと光学位相補償部材17を積層すると、屈折率は略等方性となる。
図6に光学的構成を示す。この場合の偏光状態変化をポアンカレ球により図14,図15に示す。図14は、第一の偏光板支持基材12Bおよび光学位相補償部材13透過前後の偏光状態変化を示している。このようにe−modeの場合、液晶層15に光が入射する前に、第一の偏光板12透過後の偏光状態200Tから第二の偏光板吸収軸方向11CAの直線偏光状態201Aへ変換する。これにより、液晶層の遅相軸15S方向と液晶層15に入射する光の偏光方向を一致させることができる。この場合、前述したように液晶層15透過前後の偏光状態変化は図15に示すようになる。つまり、液晶層15の影響を排したことになる。
つまり、e−modeの場合、図6のように、第二の偏光板支持基材11Bの複屈折性を液晶層15と第二の偏光板支持基材11B間に配置した光学位相補償部材17により打ち消し、第一の偏光板の偏光層12Cと液晶層15間に光学位相補償部材13を配置することにより、斜め入射光に対し液晶層の影響を排し、光漏れを低減することが可能となる。液晶層の影響がないため前述したように、斜め入射光に対し、色付きと光漏れ双方を低減できることとなる。
更に、図13および図14から、光学位相補償部材13による偏光状態変化は、方向を逆とするだけで良い。よって、o−mode,e−modeそれぞれの場合に対して、図1のように適切な層構成をとり、更に光学位相補償部材13それぞれの軸を適切に設定すると、光学位相補償部材13の仕様(光学位相補償部材の種類,構成,リタデーション)が同じならば、o−modeの場合とe−modeの場合で黒表示時の視野角特性は略等しくなる。
図4および図6では、偏光板支持基材および光学位相補償部材の軸配置に関しては、特に規定していないが、正面から液晶表示装置を見た際のコントラスト比を考えると、これらの遅相軸は、偏光板の吸収軸と垂直あるいは平行が望ましい。また、図1では、偏光板支持基材の複屈折性を打ち消す光学位相補償部材17は、液晶層と基板間に配置されているが、図4および図6の光学的構成が満たされれば、偏光板と基板間に配置されてもよい。
図1を用いてここまで述べた考え方は、斜め視角における液晶層の影響を完全に排することができ、視角特性は良好であるが、第一基板16側の光学部材構成と第二基板14側の光学部材(偏光板,光学位相補償部材)構成が異なり、構成が複雑となる欠点を有する。通常、偏光板と光学位相補償部材は貼り合わせた状態で用いる。例えば、図1左の構成では、まず第二の偏光板と光学位相補償部材13を貼り合わせたものを製造し、これを第二基板14に貼り合わせる。よって、図1のように第一の偏光板と第一基板、あるいは、第二基板と第二の偏光板間に光学位相補償部材13が配置される構成では、光学部材の貼り合わせ工程が増加する。また、第一基板16側と第二基板14側で光学部材構成が異なるため、それぞれを独立に製造することとなり、生産性も悪い。これらを解決する構成を図2に示す。
図2において、第一および第二の偏光板の液晶層側の支持基材12Bと11Bは、略同等の光学特性を有する。図1と異なり、第一の偏光板12と第一基板16間、あるいは、第二基板14と第二の偏光板11間に光学位相補償部材が配置されない。図2左のように、第一基板16と液晶層15間、あるいは図2右のように、液晶層15と第二基板14間に配置された光学位相補償部材17と、第一および第二の偏光板の液晶層側の支持基材12Bおよび11Bの光学特性により、前述した偏光状態変化を成すものである。当然、光学位相補償部材17は、第一基板16と液晶層15間、液晶層15と第二基板14間双方に配置されてもよい。特に、偏光板支持基材12Bおよび11Bとして、斜め視角における液晶層の複屈折性を打ち消す光学特性を有する媒体を選択すると、図1を用いて前述した考え方も実現でき、視角特性良好となる。
以上述べた考え方の詳細な例は、以下実施例に示す。
[実施例]
以下に具体的な実施例を示して、本発明の内容をさらに詳細に説明する。以下の実施例は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例においては、〔非特許文献2〕J. Opt. Soc.Am. の論文タイトル“Optical in Stratified and Anisotropic Media:4×4-Matrix Formulation”D. W.Berreman著 1972年、volume 62、NO4、p502〜p510 に開示されている44マトリクス方法を用いた光学シミュレーションを用いて数値計算し検討した結果も含まれる。ここで、シミュレーションにおいては、通常のバックライトに使用されている3波長冷陰極間の分光特性、R,G,Bのカラーフィルタの分光透過特性,偏光板偏光層としては、日東電工製1224DUの分光特性を使用した。さらに、液晶層に含まれる液晶分子としては、異常光屈折率1.573,常光屈折率1.484のネマティック液晶を想定し、液晶層の厚みは3.9μm とした。また、光学位相補償部材の波長分散はポリカーボネート(PC),ポリスチレン,ノルボルネン系材料等、あるいは液晶性高分子材料のものを用いたがこれらに限定されるものではない。また、本発明では、第一基板と第二基板間に光学位相補償部材を配置することも想定しているが、このような技術は例えば、〔特許文献7〕特開平2005−3733号公報等において開示されている。我々の検討によると、このような技術の課題の一つは表面の平坦性にある。第一基板と第二基板間に光学位相補償部材を配置した場合、光学位相補償部材の表面に凹凸があると、これが液晶層厚みのばらつきとなり、面内表示むらやコントラスト低下を招く。しかし、我々の検討によると、〔特許文献3〕特開2001−056476号公報で提案されているようなフリンジフィールド電界を用いたIPSモードでは、液晶層厚みばらつきに対して、面内表示むらやコントラスト低下が生じにくいため、第一基板と第二基板間に光学位相補償部材を配置する技術と容易に組み合わせることが可能である。
また、実施例中で用いる垂直,90°といった表現は、完全な垂直を意味しているわけではなく、略垂直あるいは小さい方のなす角度が88°〜90°と読み替えても話の本質には何ら影響するものではない。平行といった表現についても同様である。
液晶セルや電極構造,基板,偏光板の偏光層、及び照明装置はIPSとして従来から用いられるものがそのまま適用できる。本発明は、光学部材の仕様,構成に関するものである。
更に、液晶層に対して電圧無印加時における液晶層光軸の基板に対する小さい方の角度(プレティルト角)は、実施例において示すシミュレーションでは0°としたが、±3°の範囲では本実施例で示した傾向に大きな差は生じなかった。ただし、プレティルト角0°の場合が最も良好な特性を示した。
本実施例の構造を図1に、o−modeの光学的構成を図16に示す。本実施例では、光学位相補償部材13として、Nz係数が0より大きく1より小さい二軸異方性光学位相補償フィルムを1枚用いる。Nz係数とは屈折率に関して二軸異方性を有する媒体の複屈折性を表現する際、頻繁に用いられる量であり、面内の遅相軸をx軸方向に平行とし、x,y軸方向の屈折率をそれぞれnx,ny、z軸方向つまり厚さ方向の屈折率をnzとすると、次式で表される。
(数5)
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
ここで、面内屈折率が大きい主軸方向を二軸異方性光学位相補償フィルムの遅相軸と呼ぶこととする。図16において、13Sが二軸異方性光学位相補償フィルム13の遅相軸方向を表している。本実施例では、液晶層15の光軸15Sと平行としている。また、今後単に二軸異方性媒体のリタデーションと呼ぶ場合、面内リタデーションを指すこととする。
また、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bは、トリアセチルセルロースで形成されており、面内リタデーションが1nm、厚さ方向のリタデーションが50nmとする。我々の検討によると、この複屈折性は、厚さ方向のリタデーション50nmを有するポジティブc−plate により、打ち消すことが可能である。そこで、第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17として、同特性のポジティブc−plate を選択した。
ここで、面内で屈折率が等方性であり、厚さ方向の屈折率が大きいものをポジティブc−plate と呼ぶこととする。数3に従いリタデーションR・hを式で表すと、次のようになる。
(数6)
nz>nx≒ny
R・h=(nz−(nx+ny)/2)・h
今後、ポジティブc−plate のリタデーションとは、この厚さ方向のリタデーションを指すものとする。
この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図17のようになる。13Pが二軸異方性光学位相補償フィルム13による偏光状態変化、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。
ここで、二軸異方性光学位相補償フィルム13のリタデーションにより黒表示時の視野角特性は大きく変化するため、光学シミュレーションによりリタデーションを決定する必要がある。ここで、評価指標を定める必要がある。本発明は、黒表示時に視野角を変化させたときの輝度変化と色変化低減が目的であるため、それぞれの評価指標を導入する。
輝度変化の指標としては、視野角を変化させたときの透過率最大値を導入する。ここで透過率とは、入射光波長400〜700nmにおいて視感度を考慮して求めたものである。図18によりこれを説明する。同図は、光学位相補償フィルムの仕様が異なる三種類の液晶表示装置において、黒表示時の透過率視野角特性を評価したもので、方位角を固定して、極角のみを変化させた場合である。同図により、仕様3が最も輝度変化の特性が良好となる。ここで、それぞれの仕様における透過率最大値を比較しても同様の結果が得られることが分かる。451T1,451T2,451T3はそれぞれ仕様1,2,3の透過率最大値である。このように、透過率最大値が小さいならば、視野角変化に伴う輝度変化も小さいと言える。
次に、色変化の指標としてはΔxyを導入する。図19に説明図を示す。図19はある光学位相補償フィルム仕様において、黒表示時の色をCIE1931xy色度座標上にプロットしたものであり、全方位角,全極角方向から見た全ての色度座標をプロットしている。結果として、同図に示す楕円領域が得られる。視野角変化に伴う色変化を低減することは、同図における楕円領域を小さくすることに相当する。そこで、この楕円長軸の長さを評価指標とする。これがΔxyである。
まず、図16において、光学位相補償部材17が配置されず、第一の偏光板の液晶層側の支持基材12Bの複屈折性が打ち消されていない場合について、二軸異方性光学位相補償フィルム13のリタデーションを100nmから300nmまで、Nz係数を−0.3から1まで変化させたときの最大透過率変化を図20,Δxyの変化を図21に示す。次に、図16において、光学位相補償部材17が上記の通り、第一の偏光板の液晶層側の支持基材12Bの複屈折性を打ち消すように配置された場合について、同様に最大透過率、Δxyの変化をそれぞれ図22および図23に示す。図20と図22および図21と図23を比較すると、光学位相補償部材17により第一の偏光板の液晶層側の支持基材12Bの複屈折性を打ち消したことによる視野角特性向上効果が理解できる。光学位相補償部材が配置されない場合のIPS液晶表示装置において、黒表示時の最大透過率が2%前後であることを考えると、図22および図23に示した光学位相補償フィルム範囲は、性能良好であると言える。また、本実施例では、図16において、光学位相補償部材17として偏光板支持基材12Bの複屈折性を略完全に打ち消すものを選択したが、両者の面内リタデーションおよび厚さ方向のリタデーション差が30nm以内であれば、光学位相補償部材17を配置しない場合と比較した際の視野角特性向上効果は得られた。
前述したように、図1左に示すo−modeの場合の構成と、図1右に示すe−modeの場合の構成をとることで、ここで求めた光学位相補償フィルム13のリタデーションに対する黒表示時の視野角特性変化の傾向は略同じである。
本実施例の構造を図1、o−modeの光学的構成を図16に示す。本実施例では、光学位相補償部材13として、Nz係数が0より大きく1より小さい二軸異方性光学位相補償フィルムを1枚用いる。図16において、13Sが二軸異方性光学位相補償フィルム13の遅相軸方向を表している。本実施例では、液晶層15の光軸15Sと平行としている。
また、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bは、トリアセチルセルロースで形成されており、面内リタデーションが1nm、厚さ方向のリタデーションが50nmとする。そこで、実施例1と同様に、第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17として、リタデーション50nmを有するポジティブc−plate を選択した。また、本実施例では第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bは、複屈折性が無視できるほど小さいものとする。この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図24のようになる。13Pが二軸異方性光学位相補償フィルム13による偏光状態変化である。光学位相補償フィルムのリタデーションおよびNz係数に対する最大透過率およびΔxyの変化をそれぞれ、図25および図26に示す。図20と図25、図21と図26を比較すると、本実施例で良好な視野角特性が得られることが理解できる。
本実施例では、図1左の構成としたが、図16の光学的構成が満足されれば、略同様の結果が得られる。つまり、光学位相補償フィルム13は、同等の複屈折性を示す塗布膜として液晶層15と第二基板14間に配置されてもよい。また、第二の偏光板の液晶層側の支持基材11Bを略等方性としたため、図16の光学的構成においては、支持基材11Bが存在しないのと略等価に考えることができる。つまり、本実施例の光学位相補償フィルム13が、そのまま偏光板支持基材11Bとなってもよい。
また、図16では、光学位相補償フィルム13の遅相軸13Sが、液晶層15の光軸15Sと平行としたが、本実施例の構成では垂直であっても略同様の結果が得られる。e−modeに関しても、前述の通りである。
本実施例の構造を図1、o−modeの光学的構成を図27に示す。本実施例では、図1における光学位相補償部材13として、Nz係数<0.5 の光学位相補償フィルムを1枚用いる。また、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bとして、Nz係数>0.5 の複屈折性を示す媒体を用いる。図27において、13がNz係数<0.5の光学位相補償フィルムであり、13Sが同光学位相補償フィルムの遅相軸方向である。さらに、11Bが第二の偏光板の液晶層側支持基材であり、Nz係数>0.5 であり、11BSが遅相軸方向である。それぞれの遅相軸方向は、液晶層15の遅相軸方向15Sと平行に配置されている。また、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bは、トリアセチルセルロースで形成されており、面内リタデーションが1nm、厚さ方向のリタデーションが50nmとする。そこで、実施例1と同様に、第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17として、リタデーション50nmを有するポジティブc−plate を選択した。
この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図28のようになる。13Pが光学位相補償フィルム13による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。我々の検討によると、光学位相補償部材13がNz係数<0.5 の複屈折性を有し、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bが、Nz係数>0.5の複屈折性を有する条件が満たされれば、図28のような偏光状態変化が生じる。両者のNz係数の組み合わせにより、最適リタデーションが異なることは、図28から理解できる。我々の検討によると、両者の最適リタデーションは20nm〜200nmの範囲に含まれることが分かった。
一例として、図27において、光学位相補償部材13をNz=−1,第二の偏光板の液晶層側支持基材11BをNz=1とした場合の最大透過率、Δxyのリタデーション依存をそれぞれ図29,図30に示す。上記のリタデーション範囲で良好な視野角特性が得られることが理解できる。
本実施例では、図27のように、光学位相補償フィルム13および偏光板支持基材11Bの遅相軸13S,11BSを液晶層の光軸15Sと平行としたが、我々の検討によると、遅層軸13S,11BSは液晶層の光軸15Sと直交関係にあっても図28と等価な偏光状態変化が可能である。ただしこの場合、光学位相補償フィルム13がNz係数>0.5、偏光板支持基材11BがNz係数<0.5 である必要がある。e−modeの場合は、前述したようにこれらの関係が逆となる。
また本実施例では、図28の偏光状態変換を光学位相補償フィルム13と第二の偏光板支持基材11Bの複屈折性により実現したが、二枚の光学位相補償フィルムにより実現してもよい。第二の偏光板支持基材11Bが光学的に略等方性であれば、光学的には本実施例と全く同様と考えてよい。また、一般に偏光板支持基材が有する複屈折性は小さいため、実施例のように本斜め視角における液晶層の複屈折性の影響を排した場合は、図1における光学位相補償部材13が満たすべき特性は、略同等である。
本実施例の構造を図1、o−modeの光学的構成を図31に示す。本実施例では、図1における光学位相補償部材13として、Nz係数=0.75 の光学位相補償フィルムを1枚用いる。また、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bとして、Nz係数=0.25 の複屈折性を示す媒体を用いる。図31において、13がNz係数=0.75の光学位相補償フィルムであり、13Sが同光学位相補償フィルムの遅相軸方向である。さらに、11Bが第二の偏光板の液晶層側支持基材であり、Nz係数=0.25 であり、11BSが遅相軸方向である。それぞれの遅相軸方向は、液晶層15の遅相軸方向15Sと平行に配置されている。また、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bは、トリアセチルセルロースで形成されており、面内リタデーションが1nm、厚さ方向のリタデーションが50nmとする。そこで、実施例1と同様に、第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17として、リタデーション50nmを有するポジティブc−plate を選択した。
この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図32のようになる。13Pが光学位相補償フィルム13による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。我々の検討によると、光学位相補償部材13が0.6<Nz<0.9の複屈折性を有し、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bが、0.1<Nz<0.4の複屈折性を有する条件が満たされれば、図32のような偏光状態変化が生じる。両者の最適リタデーションは270nm近傍であることは、図32から理解できる。
本実施例における光学位相補償フィルム13および第二の偏光板支持基材11Bのリタデーションと最大透過率、Δxyの関係をそれぞれ、図33および図34に示す。リタデーション270nm近傍で良好な視野角特性が得られることが理解できる。
本実施例では、図31のように、光学位相補償フィルム13および偏光板支持基材11Bの遅相軸13S,11BSを液晶層の光軸15Sと平行としたが、我々の検討によると、遅層軸13S,11BSは液晶層の光軸15Sと直交関係にあっても図32と等価な偏光状態変化が可能である。ただしこの場合、光学位相補償フィルム13がNz係数≒0.25、偏光板支持基材11BがNz係数≒0.75である必要がある。e−modeの場合は、前述したようにこれらの関係が逆となる。
また本実施例では、図32の偏光状態変換を光学位相補償フィルム13と第二の偏光板支持基材11Bの複屈折性により実現したが、二枚の光学位相補償フィルムにより実現してもよい。第二の偏光板支持基材11Bが光学的に略等方性であれば、光学的には本実施例と全く同様と考えてよい。また、一般に偏光板支持基材が有する複屈折性は小さいため、実施例のように本斜め視角における液晶層の複屈折性の影響を排した場合は、図1における光学位相補償部材13が満たすべき特性は、略同等である。
本実施例の構造を図2左、光学的構成を図35に示す。本実施例は、o−modeであり、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bが、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有し、両者のリタデーションは略等しい。また、第一基板16と液晶層15間に、ポジティブa−plate と同等の複屈折性を有する光学位相補償部材17が配置され、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間、および第二基板14と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間には複屈折性を有する光学部材は配置されない。さらに、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bの遅相軸12BSは第一の偏光板吸収軸12CAに平行であり、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bの遅相軸11BSは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直であり、光学位相補償部材17の遅相軸17Sは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直である。
ここで、面内に屈折率異方性を持ち、厚さ方向の屈折率が面内屈折率の大きいものと略等しいものをネガティブa−plate と呼ぶこととする。数4に従い、リタデーションを式で表すと、次のようになる。今後、ネガティブa−plate のリタデーションとは次の面内リタデーションを指すとする。
(数7)
ny≒nz>nx
Δn・dr=(ny−nx)・dr
ネガティブa−plate には、屈折率が大きい主軸が二つあるが、今後ネガティブa−plate の遅相軸と述べる場合、面内屈折率の大きい方向を指すものとする(数7ではnyの方向)。
この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図36のようになる。12BPが第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bによる偏光状態変化であり、17Pが第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17による偏光状態変化であり、15Pが液晶層15による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。これらの偏光状態変化が互いに打ち消し合い、実質、図13と同等の偏光状態変換がなされる。また、我々の検討によると、偏光板支持基材は必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。同様に、光学位相補償部材17についても、必ずしもポジティブa−plate である必要はなく、0.7<Nz<1.3であれば本発明の効果は得られる。
偏光板支持基材12Bおよび11Bのリタデーションを260nm、光学位相補償部材17のリタデーションを170nmとした場合、最大透過率は0.0821% 、Δxyは0.133となった。本構成で良好な視野角特性が得られることが理解できる。
図36から分かるように、偏光板支持基材や光学位相補償部材の最適リタデーションは、液晶層のリタデーションやそれぞれの光学部材の波長分散に依存する。
本実施例では、偏光状態変換を簡略構成により実現するため、図2に示した構成をとったが、偏光板支持基材と基板間に光学位相補償部材を配置した構成においても、本実施例で述べたものと同等の偏光状態変化が可能である。
本実施例の構造を図2左、光学的構成を図35に示す。本実施例は、o−modeであり、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bが、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有し、両者のリタデーションは略等しい。また、第一基板16と液晶層15間に、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有する光学位相補償部材17が配置され、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間、および第二基板14と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間には複屈折性を有する光学部材は配置されない。さらに、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bの遅相軸12BSは第一の偏光板吸収軸12CAに平行であり、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bの遅相軸11BSは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直であり、光学位相補償部材17の遅相軸17Sは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直である。
この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図37のようになる。12BPが第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bによる偏光状態変化であり、17Pが第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17による偏光状態変化であり、15Pが液晶層15による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。これらの偏光状態変化が互いに打ち消し合い、実質、図13と同等の偏光状態変換がなされる。また、我々の検討によると、偏光板支持基材は必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。同様に、光学位相補償部材17についても、必ずしもネガティブa−plateである必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。
図36と図37を比較すると理解できるように、本実施例においてなされる偏光状態変換は、実施例5と本質的に等価である。よって、良好な視野角特性が得られることが理解できる。
図37から分かるように、偏光板支持基材や光学位相補償部材の最適リタデーションは、液晶層のリタデーションやそれぞれの光学部材の波長分散に依存する。
本実施例では、偏光状態変換を簡略構成により実現するため、図2に示した構成をとったが、偏光板支持基材と基板間に光学位相補償部材を配置した構成においても、本実施例で述べたものと同等の偏光状態変化が可能である。
本実施例の構造を図2右、光学的構成を図38に示す。本実施例は、o−modeであり、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bが、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有し、両者のリタデーションは略等しい。また、液晶層15と第二基板14間に、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有する光学位相補償部材17が配置され、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間、および第二基板14と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間には複屈折性を有する光学部材は配置されない。さらに、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bの遅相軸12BSは第一の偏光板吸収軸12CAに平行であり、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bの遅相軸11BSは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直であり、光学位相補償部材17の遅相軸17Sは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直である。
この構成により、図13で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図39のようになる。12BPが第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bによる偏光状態変化であり、17Pが液晶層15と第二基板14間に配置される光学位相補償部材17による偏光状態変化であり、15Pが液晶層15による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。これらの偏光状態変化が互いに打ち消し合い、実質、図13と同等の偏光状態変換がなされる。また、我々の検討によると、偏光板支持基材は必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。同様に、光学位相補償部材17についても、必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3 <Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。
図36と図39を比較すると理解できるように、本実施例においてなされる偏光状態変換は、実施例5と本質的に等価である。よって、良好な視野角特性が得られることが理解できる。
図39から分かるように、偏光板支持基材や光学位相補償部材の最適リタデーションは、液晶層のリタデーションやそれぞれの光学部材の波長分散に依存する。
本実施例では、偏光状態変換を簡略構成により実現するため、図2に示した構成をとったが、偏光板支持基材と基板間に光学位相補償部材を配置した構成においても、本実施例で述べたものと同等の偏光状態変化が可能である。
本実施例の構造を図2左、光学的構成を図40に示す。本実施例は、e−modeであり、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bが、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有し、両者のリタデーションは略等しい。また、第一基板16と液晶層15間に、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有する光学位相補償部材17が配置され、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間、および第二基板14と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間には複屈折性を有する光学部材は配置されない。さらに、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bの遅相軸12BSは第一の偏光板吸収軸12CAに平行であり、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bの遅相軸11BSは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直であり、光学位相補償部材17の遅相軸17Sは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直である。
この構成により、図14で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図41のようになる。12BPが第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bによる偏光状態変化であり、17Pが第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17による偏光状態変化であり、15Pが液晶層15による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。これらの偏光状態変化が互いに打ち消し合い、実質、図14と同等の偏光状態変換がなされる。また、我々の検討によると、偏光板支持基材は必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。同様に、光学位相補償部材17についても、必ずしもネガティブa−plateである必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。
図36と図41を比較すると理解できるように、本実施例においてなされる偏光状態変換は、実施例5と本質的に等価である。よって、良好な視野角特性が得られることが理解できる。
図41から分かるように、偏光板支持基材や光学位相補償部材の最適リタデーションは、液晶層のリタデーションやそれぞれの光学部材の波長分散に依存する。
本実施例では、偏光状態変換を簡略構成により実現するため、図2に示した構成をとったが、偏光板支持基材と基板間に光学位相補償部材を配置した構成においても、本実施例で述べたものと同等の偏光状態変化が可能である。
本実施例の構造を図2右、光学的構成を図42に示す。本実施例は、e−modeであり、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bが、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有し、両者のリタデーションは略等しい。また、液晶層15と第二基板14間に、ポジティブa−plate と同等の複屈折性を有する光学位相補償部材17が配置され、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間、および第二基板14と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間には複屈折性を有する光学部材は配置されない。さらに、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bの遅相軸12BSは第一の偏光板吸収軸12CAに平行であり、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bの遅相軸11BSは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直であり、光学位相補償部材17の遅相軸17Sは第一の偏光板吸収軸12CAに平行である。
この構成により、図14で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図43のようになる。12BPが第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bによる偏光状態変化であり、17Pが液晶層15と第二基板14間に配置される光学位相補償部材17による偏光状態変化であり、15Pが液晶層15による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。これらの偏光状態変化が互いに打ち消し合い、実質、図14と同等の偏光状態変換がなされる。また、我々の検討によると、偏光板支持基材は必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。同様に、光学位相補償部材17についても、必ずしもポジティブa−plateである必要はなく、0.7<Nz<1であれば本発明の効果は得られる。
図36と図43を比較すると理解できるように、本実施例においてなされる偏光状態変換は、実施例5と本質的に等価である。よって、良好な視野角特性が得られることが理解できる。
図43から分かるように、偏光板支持基材や光学位相補償部材の最適リタデーションは、液晶層のリタデーションやそれぞれの光学部材の波長分散に依存する。
本実施例では、偏光状態変換を簡略構成により実現するため、図2に示した構成をとったが、偏光板支持基材と基板間に光学位相補償部材を配置した構成においても、本実施例で述べたものと同等の偏光状態変化が可能である。
本実施例の構造を図2右、光学的構成を図42に示す。本実施例は、e−modeであり、第一および第二の偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bが、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有し、両者のリタデーションは略等しい。また、液晶層15と第二基板14間に、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有する光学位相補償部材17が配置され、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間、および第二基板14と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間には複屈折性を有する光学部材は配置されない。さらに、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bの遅相軸12BSは第一の偏光板吸収軸12CAに平行であり、第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bの遅相軸11BSは第一の偏光板吸収軸12CAに垂直であり、光学位相補償部材17の遅相軸17Sは第一の偏光板吸収軸12CAに平行である。
この構成により、図14で示した偏光状態変換が可能となる。ポアンカレ球上で偏光状態変化を表すと図44のようになる。12BPが第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bによる偏光状態変化であり、17Pが液晶層15と第二基板14間に配置される光学位相補償部材17による偏光状態変化であり、15Pが液晶層15による偏光状態変化であり、11BPが第二の偏光板の液晶層側支持基材11Bによる偏光状態変化である。これらの偏光状態変化が互いに打ち消し合い、実質、図14と同等の偏光状態変換がなされる。また、我々の検討によると、偏光板支持基材は必ずしもネガティブa−plate である必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。同様に、光学位相補償部材17についても、必ずしもネガティブa−plateである必要はなく、−0.3<Nz<0.3であれば本発明の効果は得られる。
図36と図44を比較すると理解できるように、本実施例においてなされる偏光状態変換は、実施例5と本質的に等価である。よって、良好な視野角特性が得られることが理解できる。
図44から分かるように、偏光板支持基材や光学位相補償部材の最適リタデーションは、液晶層のリタデーションやそれぞれの光学部材の波長分散に依存する。
本実施例では、偏光状態変換を簡略構成により実現するため、図2に示した構成をとったが、偏光板支持基材と基板間に光学位相補償部材を配置した構成においても、本実施例で述べたものと同等の偏光状態変化が可能である。
本実施例の構造を図1左、o−modeの光学的構成を図45に示す。本実施例では、第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17が、ポジティブa−plate と同等の複屈折性を有し、液晶層15と光学位相補償部材17のリタデーションをそれぞれ加えると、550nmとなる。また、液晶層15の遅相軸15Sと光学位相補償部材17の遅相軸17Sは互いに平行である。本構成により、面内表示むらが小さく、コントラスト比が高い、さらに視角特性良好なIPSモードの液晶表示装置が実現できる。
以下、本実施例について説明する。IPSモード液晶表示装置は、通常液晶層のリタデーションを270nm〜400nm程度とする。これは、十分明るい白表示を得るためである。第一および第二の偏光板の吸収軸と液晶層の光軸が、平行あるいは垂直の関係を完全に満たす場合、面内表示むらは小さく、十分なコントラスト比が得られる。しかし、生産上、微小な軸ずれが生じることを避けるのは困難である。液晶層のリタデーションが前述の範囲内にあり、液晶層光軸に軸ずれが生じた場合を考える。黒表示を正面から見た場合をポアンカレ球上で考えると、図46のようになる。正面から見る場合、第一の偏光板と第二の偏光板の吸収軸が直交関係にあれば、偏光状態200Tと201Aは一致する。しかし、液晶層光軸に軸ずれが生じた場合、液晶層により偏光状態変化15Pが生じ、光漏れが生じる。これが、面内表示むらやコントラスト比低下要因となる。
本実施例では、図45のように、液晶層15と光学位相補償部材17のリタデーションをそれぞれ加えると、550nmとなる。この場合、黒表示を正面から見た場合をポアンカレ球上で考えると、図47のようになる。同図から、本構成では、液晶層光軸15Sおよび光学位相補償部材17の遅相軸17Sに、偏光板吸収軸12CAおよび11CAに対する軸ずれが生じた場合にも良好な黒表示が得られることが理解できる。白表示時は、複屈折性が変化するのが液晶層15のみであるため、本構成は白表示時には何ら影響を及ぼすものではない。
我々の検討によると、液晶層15と光学位相補償部材17のリタデーションをぞれぞれ加えて、450〜600nm程度であれば、本発明の効果が得られる。また、本実施例では、光学位相補償部材17を第一基板16と液晶層15間に配置したが、図47を考えれば理解できるように、光学位相補償部材17は第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間に配置されてもよい。つまり、図45の光学的構成が満たされればよい。さらに、光学位相補償部材17は、液晶層15と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間に配置されてもよい。
e−modeの場合は、液晶層光軸15Sおよび遅相軸17Sの偏光板吸収軸に対する相対関係が本実施例と逆となる。
また、我々の検討によると光学位相補償部材17が、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有しても本発明と同様の効果が得られる。
本実施例では、図1に示したように光学位相補償部材13を用いたが、面内表示むら低減,コントラスト比向上の効果は、光学位相補償部材13を配置しなくても、前述した条件を満たすことで得られる。これに、光学位相補償部材13を配置する、あるいは、偏光板支持基材12Bおよび11Bの複屈折性を制御し、実施例1〜10の構成を組み合わせることで、さらに、視角特性も良好となる。
本実施例の構造を図1左、o−modeの光学的構成を図45に示す。本実施例では、第一基板16と液晶層15間に配置される光学位相補償部材17が、ポジティブa−plate と同等の複屈折性を有し、液晶層15と光学位相補償部材17のリタデーションをそれぞれ加えると、550nmとなる。また、液晶層15の遅相軸15Sと光学位相補償部材17の遅相軸17Sは互いに平行である。さらに、これら二つの軸は、第一基板16に対して法線方向に傾いており、いわゆるチルト角を有する。本構成により、面内表示むらが小さく、コントラスト比が高く、さらに視角特性良好なIPSモードの液晶表示装置が実現できる。本実施例では、簡単のため、偏光板の液晶層側支持基材12Bおよび11Bは光学的に等方性であるとする。また、光学位相補償部材13として、Nz=0.5 ,リタデーション270nmの二軸異方性光学位相補償フィルムを用いた。
以下、本実施例について説明する。IPSモード液晶表示装置を作成する際、液晶層はホモジニアス配向とする必要があるため、一般にラビング手法が用いられる。この場合、液晶分子は基板に対して僅かに傾き、プレチルト角が生じるのが一般的である。我々の検討によると、この液晶層プレチルト角がIPSモード液晶表示装置の視角特性を悪化させる。これをポアンカレ球により、図48で説明する。o−modeであり、第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bが光学的に等方性であるため、前述したように、斜め視角における液晶層の影響は抑制される。しかし、液晶層がプレチルト角を有する場合、厳密には斜め視角において液晶層の影響が残る。さらに、この影響は液晶分子のチルトアップ方向とチルトダウン方向で非対称である。図48に示す2つの偏光状態変化15−1P,15−2Pは、何れも液晶層15による偏光状態変化であるが、2方向で偏光状態変化が異なることを示している。この非対称性は、液晶層のプレチルト角が大きいほど顕著である。このため、入射光が液晶層15を透過した後、光学位相補償部材13や偏光板支持基材11Bにより図13に示した偏光状態変化がなされたとしても、ここで示した非対称性が残り、IPSモード液晶表示装置の視角特性に影響を及ぼす。特に、黒表示時に斜め視角において光漏れ,色付きが生じてしまう。
本構成によると、この液晶層プレチルトの影響を軽減できる。これを図49を用いて説明する。本構成のIPSモード液晶表示装置について、黒表示時の斜め視角における偏光状態変化を光学位相補償部材17および液晶層15によるもののみ表すと、図49のようになる。本実施例では、光学位相補償部材17が液晶層15と同じプレチルト角を有し、両者のリタデーション和が550nm程度であるため、同図に示すように、入射光が光学位相補償部材17および液晶層15を透過した後の偏光状態は、ほぼ一致する。
本構成において、光学位相補償部材17と液晶層15のリタデーション和を変化させた場合の最大透過率、Δxyの変化を図50に示す。両者のリタデーション和が550nmに近づくにつれ、視角特性が向上することが理解できる。本実施例では、実施例11の条件も満たすため、面内表示むらも低減され、コントラスト比向上効果も得られる。
また、本実施例では光学位相補償部材13としてNz=0.5,リタデーション270nmの二軸異方性光学位相補償フィルムを用いたが、入射光が液晶層15および光学位相補償部材17を透過した後の偏光状態変化が、光学位相補償部材13および偏光板支持基材11Bにより図13のように実現されれば良好な視角特性が得られる(o−modeの場合)。また、我々の検討によると、液晶層15と光学位相補償部材17のリタデーション和が450〜600nm程度であれば、本発明の効果が得られる。また、本実施例では、光学位相補償部材17を第一基板16と液晶層15間に配置したが、図47を考えれば理解できるように、光学位相補償部材17は第一の偏光板の液晶層側支持基材12Bと第一基板16間に配置されてもよい。つまり、図45の光学的構成が満たされればよい。さらに、光学位相補償部材17は、液晶層15と第二の偏光板の液晶層側支持基材11B間に配置されてもよい。
e−modeの場合は、液晶層光軸15Sおよび遅相軸17Sの偏光板吸収軸に対する相対関係が本実施例と逆となる。
また、我々の検討によると光学位相補償部材17が、ネガティブa−plate と同等の複屈折性を有しても本発明と同様の効果が得られる。但しこの場合、液晶層15のリタデーションと光学位相補償部材17のリタデーションは略等しくする必要があり、液晶層15の光軸15Sと光学位相補償部材17の遅相軸17Sは直交関係である必要がある。