以下、図に基づいて本発明を説明する。本発明の緩衝装置Dは、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されシリンダ1内を2つの作動室である上室R1および下室R2に区画する隔壁部材としてのピストン2と、上記した上室R1と下室R2とを連通する第一通路3と第二通路4と、第一通路3に設けた減衰バルブVと、第二通路4の途中に設けた圧力室Cと、上記圧力室C内に移動自在に挿入されて圧力室Cを一方の作動室としての下室R2に連通される一方室7と他方の作動室としての上室R1に連通される他方室8とに区画するフリーピストン9と、フリーピストン9の圧力室Cに対する変位を抑制する附勢力を発生するバネ要素10と、上室R1と下室R2を連通する一方側ポート11と、同じく上室R1と下室R2を連通する他方側ポート12と、下室R2の圧力をパイロット圧として一方側ポート11を開閉する一方側リリーフ弁13と、上室R1の圧力をパイロット圧として他方側ポート12を開閉する他方側リリーフ弁14とを備えて構成され、車両における車体と車軸との間に介装されて減衰力を発生し車体の振動を抑制するものである。
そして、上室R1および下室R2さらには圧力室C内には作動油等の液体が充満され、また、シリンダ1内の図中下方には、シリンダ1の内周に摺接して下室R2と気体室Gとを区画する摺動隔壁Fが設けられている。
なお、上記した作動室たる上室R1、下室R2および圧力室C内に充填される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。
また、ピストン2は、シリンダ1内に移動自在に挿通されたピストンロッド16の一端に連結され、ピストンロッド16は、シリンダ1の図中上端部から外方へ突出されている。なお、ピストンロッド16とシリンダ1との間は図示しないシール部材でシールされており、シリンダ1内が液密状態とされている。図示したところでは、緩衝装置Dがいわゆる片ロッド型に設定されているため、緩衝装置Dの伸縮に伴ってシリンダ1内に出入りするピストンロッド16の体積は、気体室G内の気体の体積が膨張あるいは収縮し摺動隔壁Fが図1中上下方向に移動することによって補償されるようになっている。このように緩衝装置Dは、単筒型に設定されているが、摺動隔壁Fおよび気体室Gの設置に変えて、シリンダ1の外周や外部にリザーバを設けて当該リザーバによって上記ピストンロッド16の体積補償を行ってもよい。なお、この場合、緩衝装置Dは、片ロッド型ではなく、両ロッド型に設定されてもよい。
さらに、この実施の形態にあっては、第一通路3の途中には、オリフィスやリーフバルブ等といった減衰バルブVが設けられており、第一通路3を通過する液体の流れに減衰バルブVによって抵抗を与えることができるようになっている。なお、詳しくは、図示はしないが、第一通路3が並列して二つ以上設けられる場合には、第一通路3の一部を上室R1から下室R2へ向かう一方通行に設定するとともに、残りの通路を下室R2から上室R1へ向かう一方通行に設定して、各通路の出口に周知のオリフィスとリーフバルブとを並列させた構成の減衰バルブVを設けるようにしてもよい。また、減衰バルブVには、オリフィスのみ、リーフバルブのみ、或いはオリフィスとリーフバルブを並列した構成以外にも、たとえば、チョークとリーフバルブを並列させる構成やポペット弁といったその他の構成を採用することもできるのは当然である。
つづいて、第二通路4は、この場合、ピストンロッド16の他方の作動室としての上室R1に臨む側部から開口して、一方の作動室としての下室R2に臨んで圧力室Cを形成するハウジング15の図1中下端へ通じており、その途中に、圧力室Cが設けられている。
圧力室Cは、この実施の形態の場合、ピストン2の下方に連結されて一方の作動室たる下室R2へ臨むハウジング15内に設けた中空部15aによって形成されており、当該中空部15aの側壁に摺接して中空部15a内を図1中上下方向に移動可能とされるフリーピストン9で中空部15aを図1中下方の一方室7と図1中上方の他方室8に仕切っている。すなわち、フリーピストン9は、圧力室Cに摺動自在に挿入されており、圧力室Cに対して図1中上下方向に変位することができるようになっている。
また、フリーピストン9は、圧力室Cを形成する中空部15aの下端部に一端が連結されるバネ要素10における他端に連結され、これにより、フリーピストン9は圧力室Cの所定位置に位置決めされるとともに圧力室Cに対しこの位置決めされた位置(以下、単に「中立位置」という)から変位するとバネ要素10からその変位量に比例した附勢力が作用することになる。なお、上記した中立位置は、フリーピストン9が圧力室Cに対してバネ要素10によって位置決められる位置であって、必ずしも中空部15aの上下方向における中間点に設定されなくともよい。
なお、圧力室Cは、図示したところでは、フリーピストン9によって上下に一方室7と他方室8とに区画され、緩衝装置Dが伸縮して抑制する振動方向とフリーピストン9の移動方向が一致しており、緩衝装置D全体が図1中上下方向に振動することによって、フリーピストン9の圧力室Cに対する上下方向の振動が励起されることを避けたい場合には、フリーピストン9の移動方向を緩衝装置Dの伸縮方向と直交する方向、すなわち、図1中左右方向に設定し、一方室7と他方室8を図1中横方向に配置するようにすることもできる。
戻って、第二流路4は、圧力室Cと一方の作動室としての下室R2とを連通する一方側通路5と、圧力室Cと他方の作動室としての上室R1とを連通する他方側通路6とで構成されている。
一方側通路5は、具体的には、上記ハウジング15に設けられており、下室R2と一方室7とを連通し、その途中には、絞り5aが設けられ、これを通過する液体の流れに抵抗を与えることができるようになっている。
さらに、他方側通路6は、作動室の他方側となる上室R1と他方室8とを連通し、ピストンロッド16の上室R1に臨む側部から開口してピストン2およびハウジング15を通して他方室8へ通じている。
上述のように、一方側通路5には絞り5aが設けられており、緩衝装置Dの伸縮行程時において、シリンダ1に対するピストン2の移動速度が高速となると、上室R1と下室R2の差圧も大きくなり、一方側通路5の絞り5aにおける通過液体の流れに与える抵抗も非常に大きくなって、一方室7から下室R2へ、あるいは下室R2から一方室7へ移動しようとする液体の流れの抵抗が第一通路3の液体の流れの抵抗よりも非常に大きくなり、液体は圧力室Cを介して上室R1と下室R2を行き来しにくくなるため、その際の減衰力は、第一通路3の液体の流れに与えられる抵抗に略支配されることになる。
そこで、シリンダ1に対するピストン2の移動速度が高速になった場合に、減衰力を下げるべく、上室R1と下室R2を連通する一方側ポート11と、同じく上室R1と下室R2を連通する他方側ポート12と、下室R2の圧力をパイロット圧として一方側ポート11を開閉する一方側リリーフ弁13と、上室R1の圧力をパイロット圧として他方側ポート12を開閉する他方側リリーフ弁14とを設けている。
具体的には、一方側ポート11は、第二通路4における他方側通路6から分岐されて一方の作動室としての下室R2に連通されていて、第二通路4と共同して一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1とを連通しており、その途中には一方側リリーフ弁13が設けられている。一方側リリーフ弁13は、弁本体13aと、一方側ポート11を閉じる方向に弁本体13aを附勢するバネ13bと、弁本体13aにバネ13bの附勢力に対向して上流の一方の作動室としての下室R2の圧力を作用させるパイロット通路13cとを備えて構成されている。この一方側リリーフ弁13は、緩衝装置Dが収縮する際のピストン速度が高速となって一方の作動室としての下室R2の圧力と他方の作動室としての上室R1内の圧力との差が開弁圧となるとバネ13bの附勢力に打ち勝ってバネ13bを押し縮める方向へ弁本体13aを移動せしめて一方側ポート11を開放させ、他方側通路6を介して上室R1と下室R2とを連通して下室R2の圧力を上室R1へ逃がすようになっていて、反対に、緩衝装置Dが伸長する場合には、一方側ポート11を閉塞したままこれを維持する。つまり、一方側リリーフ弁13は、一方の作動室としての下室R2の圧力をパイロット圧として開弁する。
また、他方側ポート12は、一方側ポート11と同じく、第二通路4における他方側通路6から分岐されて一方の作動室としての下室R2に連通されていて、第二通路4と共同して一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1とを連通しており、その途中には他方側リリーフ弁14が設けられている。他方側リリーフ弁14は、弁本体14aと、他方側ポート12を閉じる方向に弁本体14aを附勢するバネ14bと、弁本体14aにバネ14bの附勢力に対向して上流の他方の作動室としての上室R1の圧力を作用させるパイロット通路14cとを備えて構成されている。この他方側リリーフ弁14は、緩衝装置Dが伸長する際のピストン速度が高速となって他方の作動室としての上室R1の圧力と一方の作動室としての下室R2の圧力との差が所定の開弁圧となるとバネ14bの附勢力に打ち勝ってバネ14bを押し縮める方向へ弁本体14aを移動せしめて他方側ポート12を開放させ、他方側通路6を介して下室R2と上室R1とを連通して上室R1の圧力を下室R2へ逃がすようになっていて、反対に、緩衝装置Dが収縮する場合には、他方側ポート12を閉塞したままこれを維持する。つまり、他方側リリーフ弁14は、他方の作動室としての上室R1の圧力をパイロット圧として開弁する。
一方側リリーフ弁13と他方側リリーフ弁14の開弁圧は、互いに相手側に依存せずに別個独立に設定することができる。
なお、一方側ポート11および他方側ポート12は、第二通路4に連通されているが、第二通路4とは別個独立に設けられてもよく、シリンダ1の一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1を連通することができればよいので、シリンダ1外でこれらを連通するようにしてもよいし、圧力室Cを経由して連通してもよく、その設置個所は、図示したところに限られない。ただし、上述したように、第二通路4と通路の一部を共通にすることで、緩衝装置Dの構造を簡略することができる利点があり、ハウジング15が一方の作動室R2へ臨んでいる関係上、上室R1と下室R2とを連通する場合、一方側ポート11および他方側ポート12を他方側通路6から分岐されることで、一方側通路5から分岐させる場合に比較して各ポート11,12の全長を短くすることができ、効率よく各ポート11,12を緩衝装置Dに配置させることができる利点もある。
また、一方側リリーフ弁13は、一方側リリーフ弁13から見て一方側ポート11の下流側の圧力(この場合、上室R1の圧力)とは無関係に、一方側ポート11の上流側の圧力(この場合、下室R2の圧力)が所定圧以上となると一方側ポート11を開放するように設定されてもよく、さらに、他方側リリーフ弁14にあっても、他方側リリーフ弁14から見て他方側ポート12の下流側の圧力(この場合、下室R2の圧力)とは無関係に、他方側ポート12の上流側の圧力(この場合、上室R1の圧力)が所定圧以上となると他方側ポート12を開放するように設定されてもよい。
つづいて、緩衝装置Dの作動について説明する。まず、緩衝装置Dの伸縮時のピストン速度が低く、一方側リリーフ弁13および他方側リリーフ弁14が開放動作しない場合の動作について説明する。この場合、緩衝装置Dがシリンダ1に対してピストン2が図1中上下動する伸縮作動を呈すると、ピストン2によって上室R1と下室R2の一方が圧縮され、上室R1と下室R2の他方が膨張されるので、上室R1と下室R2のうち圧縮される方の圧力が高まると同時に、上室R1と下室R2のうち容積拡大される方の圧力が低下して両者に差圧が生じて、上室R1と下室R2のうち圧縮側の液体は第一通路3と第二通路4を介して上室R1と下室R2のうち拡大側に移動する。なお、第二通路4は、途中に設けた圧力室Cがフリーピストン9で仕切られているので、厳密には、上室R1(下室R2)の液体が第二流路4を完全に通過して下室R2(上室R1)へ移動することはないが、フリーピストン9が圧力室C内で変位することにより、見掛け上、第二通路4を介して上室R1から下室R2へ或いは下室R2から上室R1へ液体が移動することになる。
そして、一方側リリーフ弁13および他方側リリーフ弁14が開放動作しない場合を前提として、緩衝装置Dに入力される振動の周波数、すなわち、緩衝装置Dの伸縮方向の振動の周波数が低周波であっても高周波であっても、緩衝装置Dの伸縮行程におけるピストン速度が同じである場合についての動作を説明する。まず、低周波入力時の緩衝装置Dの動作を説明すると、この場合、緩衝装置Dに入力される振動の振幅が大きいため、上室R1と下室R2の圧縮側から拡大側へ移動する1周期の流量は大きくなる。この流量に略比例して、フリーピストン9が動く変位も大きくなるが、フリーピストン9はバネ要素10で附勢されているため、フリーピストン9の変位が大きくなると、フリーピストン9が受けるバネ要素10からの附勢力も大きくなり、その分、圧力室Cの一方室7と他方室8のうち、上室R1と下室R2の拡大側に連通される側の圧力が、上室R1と下室R2の圧縮側に連通される側の圧力より低くなる。つまり、緩衝装置Dが伸長する場合には、一方室7の圧力が他方室8の圧力より低くなり、逆に、緩衝装置Dが収縮する場合には、他方室8の圧力が一方室7の圧力より低くなる。そのため、緩衝装置Dが伸長時にあっても、収縮時にあっても、一方室7と下室R2との差圧が小さくなり、絞り5aを通過する流量が減少し、絞り5aを通過する流量が減少した分は、第一通路3の減衰バルブVを通過する流量が増えることになり、減衰力は大きいまま維持される。
逆に、高周波入力時には、緩衝装置Dに入力される振動の入力振幅が小さいため、上室R1から下室R2に移動する1周期の流量は小さく、フリーピストン9の動く変位も小さくなる。すると、フリーピストン9が受けるバネ要素10から附勢力も小さくなる。その分、圧力室の一方室7の圧力と他方室8の圧力とが略同等となり、一方室7と下室R2との差圧は大きく維持されるため、絞り5aを通過する流量が低周波時よりも大きくなり、その分、第一通路3の減衰バルブVを通過する流量が減少し、減衰力も減少する。
このように、ピストン速度が低い場合には、流量に対する差圧の周波数伝達関数の周波数に対するゲイン特性は、従来例と同じく式(2)で示される図2のような特性となる。また、振動周波数の入力に対する減衰力のゲインを示す緩衝装置Dにおける減衰力の特性は、図3中の実線で示すように、低周波数域の振動に対しては大きな減衰力を発生し、高周波数域の振動に対しては減衰力を小さくすることができ、緩衝装置Dの減衰力の変化を入力振動周波数に依存させることができる。
この緩衝装置Dにおける周波数減衰力特性は、Fa=K/{2・π・A2・(C1+C2+C3)}とFb=K/{2・π・A2・(C2+C3)}の2つの折れ点周波数を持っており、F<Faの領域においては、伝達ゲインは略C1となり、Fa≦F≦Fbの領域においてはC1からC1・(C2+C3)/(C1+C2+C3)まで漸減するように変化して、F>Fbの領域においては一定となる。また、この図2、3から明らかなように、この緩衝装置Dは、入力される振動の周波数が折れ点周波数Faより低いときには、高い減衰力を発生し、当該入力振動周波数が折れ点周波数Fbより高いときには、低い減衰力を発生し、入力振動周波数が折れ点周波数Fa以上折れ点周波数Fb以下のときには、徐々に減衰力が漸減するような減衰特性を持つことが理解できよう。なお、複数の折れ点周波数Fa,Fbのうち折れ点周波数Fb値を車両のバネ下共振周波数の値以下に設定する場合には、緩衝装置Dは、バネ下共振周波数の振動が入力されると、必ず、低い減衰力を発生することになるので、車両における乗り心地を損なうことが無い。そして、入力振動周波数が折れ点周波数Fbを超える領域では、減衰係数ζの位相遅れが無くなる傾向となり、振動入力に対して減衰力の発生が遅れることなく追随するので、この点でも車両における乗り心地を損なうことがない。
また、最小値の折れ点周波数Faの値を車両のバネ上共振周波数の値以上であってバネ下共振周波数の値以下に設定されるようにすることで、緩衝装置Dは、バネ上共振周波数の振動の入力に対して、確実に高い減衰力を発生することができ、車両の姿勢を安定させて、車両旋回時に、搭乗者に不安を感じさせることを防止でき、図3中破線で示すように、折れ点周波数Faより低い周波数領域では減衰係数の位相遅れが無くなる傾向となり、振動入力に対して減衰力の発生が遅れることなく追随するので、この点でも、搭乗者に違和感や不安を与えることがない。
これに対して、緩衝装置Dに車両が走行中に路面の凹凸を通過するような急激な大振幅の振動が入力される場面においては、入力振動周波数の如何によらずシリンダ1に対するピストン2の移動速度が高速域に達すると、上室R1から下室R2への流量が大きくなり、絞り5aの液体の流れに与える抵抗は第一通路3の減衰バルブVが液体の流れに与える抵抗よりも非常に大きくなり、液体は第一通路3のみを介して上室R1から下室R2へ移動しようとする。しかしながら、本実施の形態の緩衝装置Dの場合、ピストン速度が高速で図1中下方に移動して収縮作動を呈すると、高圧となった下室R2内の圧力が一方側リリーフ弁13に作用し、一方側リリーフ弁13が開弁動作して一方側ポート11を通じて上室R1と下室R2とが連通するようになっている。また、ピストン速度が高速で図1中上方に移動して伸長作動を呈すると、高圧となった上室R1内の圧力が他方側リリーフ弁14に作用し、他方側リリーフ弁14が開弁動作して他方側ポート12を通じて上室R1と下室R2とが連通するようになっている。
したがって、緩衝装置Dが高速で伸縮作動を呈する場合には、液体は、第一通路3のみならず、一方側ポート11或いは他方側ポート12を介して、上室R1から下室R2へ、或いは、下室R2から上室R1へ移動するようになり、緩衝装置Dの発生する減衰力を低減して、第一通路3の減衰バルブVの仕様で設定された値にまで高まることがない。
このように、本実施の形態の緩衝装置Dにあっては、車両が走行中に路面の凹凸を通過するようなピストン速度が高速となる場面にあっても、図4および図5の破線で示す従来の緩衝装置の周波数減衰力特性および速度減衰力特性(緩衝装置のピストン速度に対する減衰力の特性)に対して、図4および図5の実線に示すように、ピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができるので、従来の緩衝装置のように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができる。
また、緩衝装置Dの収縮時には、一方側リリーフ弁13のみが開放動作し、緩衝装置Dの伸長時には、他方側リリーフ弁14のみが開放動作するので、緩衝装置Dの収縮時における速度減衰力特性を一方側リリー弁13と一方側ポート11の設定によって調節でき、緩衝装置Dの伸長時における速度減衰力特性を他方側リリーフ弁14と他方側ポート12の設定で調節することができる。つまり、緩衝装置Dの収縮時と伸長時のそれぞれの速度減衰力特性を別個独立に設定することができ、チューニングの自由度が格段に向上する。
つまり、図5に示すように、緩衝装置Dの収縮側の速度減衰力特性の収縮側の折れ点aの位置、折れ点a以後の傾きと、緩衝装置Dの伸長側の速度減衰力特性の伸長側の折れ点bの位置、折れ点b以後の傾きとを別個独立に設定することができ、折れ点aの位置については一方側リリーフ弁13の開弁圧で、折れ点a以後の傾きは一方側ポート11の開口面積や通路抵抗によって、折れ点bの位置については他方側リリーフ弁14の開弁圧で、折れ点b以後の傾きは他方側ポート12の開口面積や通路抵抗によって、それぞれ設計者の意図によって自由に設定することができる。
このように、緩衝装置Dの収縮行程における速度減衰力特性の勾配を小さくできるので、車輪が路面突起に乗り上げた際のインパクトショックの低減効果が高くなり、伸長行程における速度減衰力特性の勾配を小さくできるので沈み込んだ車体の揺返し時に生じる衝撃を緩和することが可能であって、伸縮の両側で速度減衰力特性を自由に設定することができるから、この緩衝装置Dにあっては、旋回時にはしっかりと車体を支えつつもインパクトショックを低減でき、しなやかでありつつもしっかりとした足回りを車両に提供することができる。
なお、図5に示した減衰バルブVの速度減衰力特性は、減衰バルブVがオリフィスとリーフバルブとを並列した構成とした場合のものである。図5で示すように、低周波数域の振動入力でピストン速度が極低速域にある際における減衰力特性は、液体が第一通路3における減衰バルブVにおけるオリフィスを優先的に通過することによって立上る特性となり、ピストン速度が低速域において途中で減衰力特性に変曲点が表れるのは、リーフバルブが開弁してリーフバルブによる特性が支配的になるからである。
また、高周波数域の振動入力でピストン速度が極低速域および低速域にある場合には、図3で示すように、低い周波数に対しては比較的大きな減衰力を、高い周波数に対しては比較的低い減衰力を発揮して、周波数に応じて適切な大きさの減衰力を発生することができる。そして、図3の減衰力特性における小さい値を採る折れ点周波数Faの値を車両のバネ上共振周波数の値以上であって車両のバネ下共振周波数の値以下に設定し、大きい値を採る折れ点周波数Fbを車両のバネ下共振周波数以下に設定することで、緩衝装置Dは、バネ上共振周波数の振動の入力に対しては高い減衰力を発生することができ、車両の姿勢を安定させて、車両旋回時に、搭乗者に不安を感じさせることを防止できるとともに、バネ下共振周波数の振動が入力されると必ず低い減衰力を発生することになるので、車軸側の振動の車体側への伝達を絶縁して、車両における乗り心地を良好なものとすることができる。
なお、第一通路3における減衰バルブVにおける抵抗を小さくすることで、ピストン速度が高速となった際の減衰力を小さくすることも考えられるが、そうすると、ピストン速度が低速である場合であって低周波数域の振動に対して発生する減衰力も小さくなってしまい、減衰力不足を生じて車両旋回時に搭乗者に不安を感じさせる不具合があるが、本実施の形態の緩衝装置Dにあっては、第一通路3の減衰バルブVにおける抵抗を小さくすることなくピストン速度が高速時における減衰力を低くすることができるので、このような不具合を招くことも無い。
また、図1に図示し説明したように、一方側ポート11および他方側ポート12が、減衰力を緩衝装置Dの振動周波数に応じて高低させるための機構である圧力室Cを介さずに一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1を連通する構成を採用する場合、一方側リリーフ弁13および他方側リリーフ弁14の動作が圧力室C内の一方室7と他方室8の圧力に影響しにくくなるので、ピストン速度が低速以下で動作する場合において、緩衝装置Dに図3に示すが如くの狙い通りの周波数減衰力特性を発生させることができる。
また、ハウジング15が一方の作動室としての下室R2へ臨んでいて、一方側ポート11および他方側ポート12が他方側通路6から分岐されることで、圧力室Cを形成するハウジング15以外に一方側ポート11および他方側ポート12を形成することができ、ハウジング15の構造の複雑化や長大化を招くことが無く、緩衝装置Dへの一方側ポート11および他方側ポート12の設置に際して過大なコスト増を防止し、緩衝装置Dの無用な長大化を防止することができる。
なお、本実施の形態においては、一方側リリーフ弁13および他方側リリーフ弁14の動作を説明するために、便宜上、ピストン速度に低速および高速でなる区分を設けており、これらの区分の境の境界速度は一方側リリーフ弁13および他方側リリーフ弁14がそれぞれ開弁する速度であり、伸長側と収縮側で低速と高速の境界速度を同じとせずともよい。
なお、上記した緩衝装置Dにあっては、圧力室がシリンダ内に形成されているが、シリンダ外に設けることも可能である。
以上では、緩衝装置Dを概念的に説明したが、以下、具体的な一例における緩衝装置D1の構成を示して説明する。
具体的な緩衝装置D1は、基本的には、図6に示すように、シリンダ20と、シリンダ20内に摺動自在に挿入されシリンダ20内を2つの作動室である上室R1および下室R2に区画する隔壁部材としてのピストン21と、シリンダ20内に移動自在に挿入されて一端がピストン21に連結されるピストンロッド22と、ピストン21に形成されて上室R1および下室R2を連通する第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bと、上室R1と下室R2とを連通する第二通路としての一方側通路24と他方側通路25と、減衰バルブとしてのリーフバルブV1,V2と、ピストンロッド22の一端に固定されて圧力室C1を形成するハウジング23と、上記ハウジング23内に摺動自在に挿入されて圧力室C1を一方側通路24を介して一方の作動室としての下室R2に連通される一方室26と他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1に連通される他方室27とに区画するフリーピストン28と、一方室26内と他方室27内にそれぞれ収容されてフリーピストン28を両側から弾性支持するバネ要素たる一対のコイルバネ29,30と、上室R1と下室R2を連通する一方側ポート31と、同じく上室R1と下室R2とを連通する他方側ポート32と、一方の作動室としての下室R2の圧力をパイロット圧として一方側ポート31を開閉する一方側リリーフ弁33と、他方の作動室としての上室R1の圧力をパイロット圧として他方側ポート32を開閉する他方側リリーフ弁34とを備えて構成されている。なお、図示はしないが、図1に示した緩衝装置Dと同様に、シリンダ20の下方には、摺動隔壁が設けられており気体室が設けられている。
以下、各部について詳細に説明する。まず、ピストンロッド22は、その図6中下端側に小径部22aが形成されるとともに、小径部22aの先端側には螺子部22bが形成されている。
そして、ピストンロッド22には、ピストンロッド22の他方の作動室としての上室R1に臨む側部から開口して、小径部22aの先端に抜ける他方側通路25とが形成されている。なお、図示したところでは、この他方側通路25の途中には、抵抗となる弁を設けていないが、絞り等の弁を設けるようにしてもよい。
ピストン21は、環状に形成されるとともに、その内周側にピストンロッド22の小径部22aが挿入されている。詳しくは、ピストン21は、上室R1と下室R2とを連通する第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bを備えたディスク部21cと、ディスク部21cの外周からハウジング23側へ向かって立ち上がってシリンダ内面に対向する筒状のスカート21dを備えて構成されている。また、一方側減衰通路21aの図6中上端は減衰バルブとしてのリーフバルブV1にて開閉され、他方の他方側減衰通路21bの図6中下端もディスク部21cの図6中下面に積層された減衰バルブとしてのリーフバルブV2によって開閉されるようになっている。
このリーフバルブV1は、環状とされて内周側にはピストンロッド22の小径部22aが挿入され、リーフバルブV1の撓み量を規制する環状のバルブストッパ35とともにピストン21のディスク部21cの図6中上面に積層されている。また、リーフバルブV2も同様に、環状とされて内周側にはピストンロッド22の小径部22aが挿入され、ピストン21のディスク部21cの図6中下面に積層されている。
そして、リーフバルブV1は、緩衝装置D1の収縮時に下室R2と上室R1の差圧によって撓んで開弁し一方側減衰通路21aを開放して下室R2から上室R1へ移動する液体の流れに抵抗を与えるとともに、緩衝装置D1の伸長時には一方側減衰通路21aを閉塞するようになっており、一方側減衰バルブとして機能する。他方のリーフバルブV2は、リーフバルブV1とは反対に緩衝装置D1の伸長時に他方側減衰通路21bを開放し、収縮時には他方側減衰通路21bを閉塞するようになっており、他方側減衰バルブとして機能する。すなわち、リーフバルブV1は、緩衝装置Dの収縮時における圧側減衰力を発生する減衰バルブであり、他方のリーフバルブV2は、緩衝装置Dの伸長時における伸側減衰力を発生する減衰バルブである。また、リーフバルブV1,V2で一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bを閉じた状態にあっても、図示はしない周知のオリフィスによって上室R1と下室R2とが連通されるようになっており、オリフィスは、たとえば、リーフバルブV1,V2の外周に切欠を設けたり、リーフバルブV1,V2が着座する弁座に凹部を設けたりするなどして形成される。
そして、ピストンロッド22の螺子部22bには、上記リーフバルブV2の下方から、スペーサ36、他方側リリーフ弁34、一方側ポート31と他方側ポート32を備えたバルブディスク37、一方側リリーフ弁33、切欠付スペーサ38および隔壁筒39が積層して組み付けられるとともに、圧力室C1を形成するハウジング23が螺着され、このハウジング23によって、上記したピストン21、リーフバルブV1,V2、バルブストッパ35、スペーサ36、他方側リリーフ弁34、バルブディスク37、一方側リリーフ弁33、切欠付スペーサ38および隔壁筒39がピストンロッド22に固定されている。このように、ハウジング23は、内部に圧力室C1を形成するだけでなく、ピストン21および一方側ポート31と他方側ポート32を備えたバルブディスク37をピストンロッド22に固定する役割をも果たしている。
バルブディスク37は、環状であって、その図6中下端となるハウジング側端に形成された環状窓31aと、その図6中上端となるピストン側端に形成された環状窓32aと、ピストン側端の環状窓32aより外周側から開口して環状窓31aに通じる傾斜通路31bと、ハウジング側端の環状窓31aより外周側から開口して環状窓32aに通じる傾斜通路32bとを備えて構成されていて、上記環状窓31aと傾斜通路31bとで一方側ポート31が構成され、上記環状窓32aと傾斜通路32bとで他方側ポート32が構成されている。バルブディスク37は、一方の作動室としての下室R2内に配置されているので、一方側ポート31と他方側ポート32は下室R2に連通されるとともに、後述するリリーフ通路41および第二通路のうち他方側通路25によって他方の作動室としての上室R1へ連通されている。
そして、バルブディスク37の図6中上端であるピストン側端には、環状板でなる他方側リリーフ弁34が積層されていて、この他方側リリーフ弁34は、環状窓32aを開閉する。詳しくは、他方側リリーフ弁34は、ハウジング23のピストンロッド22への螺着によって、内周側がピストンロッド22の小径部22aに固定されて固定端とされ、外周側が自由端とされている。そして、当該他方側リリーフ弁34は、バルブディスク側面のうち環状窓32aに対向する面積を受圧面積として他方側ポート32、後述するリリーフ通路41、他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1の圧力を受け、反バルブディスク側面で一方の作動室としての下室R2の圧力を受けるようになっていて、緩衝装置D1が伸長する際のピストン速度が高速となって上室R1が下室R2の圧力を上回り、これらの差圧が所定の開弁圧となると撓んで、他方側ポート32を開放する。つまり、他方側リリーフ弁34は、他方の作動室としての上室R1の圧力をパイロット圧として開弁する。
他方側リリーフ弁34の開弁圧の設定は、たとえば、バルブディスク37の環状窓32aの外周側と内周側との図6中軸方向高さに差を設けておき、あらかじめ、他方側リリーフ弁34に初期撓みを与える場合には、当該初期撓み量を調節することにより行うことができ、他方側リリーフ弁34が複数枚の環状板で構成されていて、内径が環状板の内径より大径で外径より小径であるリングを環状板間に介装してリングより反バルブディスク側に積層される環状板に初期撓みを与える構成を採用する場合には、当該初期撓み量を調節することにより行うこともできる。なお、他方側リリーフ弁34における環状板の枚数は、所望する速度減衰力特性に応じて適宜変更することができる。
バルブディスク37の図6中下端であるハウジング側端には、環状板でなる一方側リリーフ弁33が積層されていて、この一方側リリーフ弁33は、環状窓31aを開閉する。詳しくは、一方側リリーフ弁33は、他方側リリーフ弁34と同様に、ハウジング23のピストンロッド22への螺着によって、内周側がピストンロッド22の小径部22aに固定されて固定端とされ、外周側が自由端とされており、バルブディスク側面のうち環状窓31aに対向する面積を受圧面積として一方側ポート31を介して一方の作動室としての下室R2の圧力を受け、反バルブディスク側面で他方の作動室としての上室R1の圧力を受け、緩衝装置D1が収縮する際のピストン速度が高速となって下室R2が上室R1の圧力を上回り、これらの差圧が所定の開弁圧となると撓んで、一方側ポート31を開放する。つまり、一方側リリーフ弁33は、一方の作動室としての下室R2の圧力をパイロット圧として開弁する。一方側リリーフ弁33の開弁圧の設定については、上述した他方側リリーフ弁34と同様の手法によって設定することができる。また、他方側リリーフ弁34と同様に、一方側リリーフ弁33における環状板の枚数についても、所望する速度減衰力特性に応じて適宜変更することができる。
なお、バルブディスク37に一方側リリーフ弁33と他方側リリーフ弁34を積層しても、傾斜通路31b,32bはそれぞれ環状窓32a,31aの外周から開口しているので、一方側リリーフ弁33が他方側ポート32の入り口を閉塞することがなく、同様に、他方側リリーフ弁34が一方側ポート31の入り口を閉塞することがないようになっている。
また、バルブディスク37の両端にそれぞれ一方側リリーフ弁33と他方側リリーフ弁34を積層する場合、一方側リリーフ弁33が他方側ポート32の入り口を閉塞することがなく、他方側リリーフ弁34が一方側ポート31の入り口を閉塞することがないようになっていればよいので、環状窓31a,32aを設けずともよく、さらには、図7に示すように、一方側ポート31と他方側ポート32の出口端を独立に囲繞するいわゆる花弁型の弁座37aを設ける場合には、上記のような傾斜通路を設置せずにバルブディスク37の軸方向に沿う一方側ポート31と他方側ポート32とを同一円周上に設けるようにしてもよいし、図8に示すように、環状溝31aと環状溝32aの径を異ならしめる場合には、傾斜通路を設置せずにバルブディスク37の軸方向に沿う通路31c,32cを用いてそれぞれ環状溝31a,32aに通じせしめ、大径な環状溝32aを開閉する他方側リリーフ弁34で他方側ポート32より内周側に配置される一方側ポート31を閉塞しないように、他方側リリーフ弁34にこれを貫通する透孔51,54を設けるようにしてもよい。図8における他方側リリーフ弁34にあっては、複数の環状板50を積層して構成されているので、この場合、図9に示すように、バルブディスク37から最も遠い環状板50の同一円周上に複数の透孔51を設けておき、それ以外の環状板52には当該透孔51と対向する円弧上の透孔54を設けておくと、これら透孔51,54のラップ面積を確保でき、環状板50,52を周方向に位置決めせずとも、一方側ポート31の入口に不必要な絞り弁を形成しまうことがなく、組み付け性も向上する。なお、一方側ポート31より他方側ポート32が内周側に配置される場合には一方側リリーフ弁33に透孔を設けるようにすればよい。図7や図8に示したバルブディスク37にあっては、一方側ポート31および他方側ポート32がバルブディスク37の軸方向に沿う方向へ開穿されるから、傾斜通路を要する構造のバルブディスクに比較して加工が容易となり、加工コストが軽減され加工時間も短縮される利点がある。
ところで、本実施の形態の場合、上記ピストン21におけるスカート21dの内径がピストン21に直接に対向する環状の他方側リリーフ弁34の外径より大径であり、スカート21dの内方にバルブディスク37の一部を入れ込むことができるようになっている。このようにすることで、ピストン21におけるシリンダ20に対する軸方向長さとなる摺動長さを確保しつつ、ハウジング23からピストン21までの距離を短くすることができるので、緩衝装置D1のストローク長の確保が容易となるとともに隔壁部材としてのピストン21のシリンダ20に対するガタつきを抑制して摺動抵抗を小さくでき円滑なストロークを実現できる。
切欠付スペーサ38は、一方側リリーフ弁33の図6中直下に積層されており、有頂筒状であって、頂部にはピストンロッド22の小径部22aが挿通される孔38aが設けられており、筒部の下端には、複数の切欠38bが設けられている。そして、この切欠付スペーサ38がピストンロッド22の小径部22aに固定されると、切欠付スペーサ38内がピストンロッド22に設けた他方側通路25から分岐して小径部22aの側部へ開口する通孔40に臨んで、切欠付スペーサ38内が他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1へ連通するようになっている。
隔壁筒39は、有底筒状であって、底部にはピストンロッド22の小径部22aが挿通される孔39aが設けられており、筒部は切欠付スペーサ38を覆うことが可能な径に設定されている。そして、隔壁筒39がピストンロッド22の小径部22aに固定されると、バルブディスク37との間に一方側リリーフ弁33と切欠付スペーサ38を挟んだ状態で、筒部がバルブディスク37の外周に嵌合し、バルブディスク37と共同して一方の作動室としての下室R2から空隙が区画される。この空隙は、切欠付スペーサ38の切欠38b、通孔40および他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1へ通じるとともに、バルブディスク37に形成の一方側ポート33と他方側ポート34に通じて、リリーフ通路41を形成している。すなわち、隔壁筒39は、一方の作動室としての下室R2から区画されるリリーフ通路41を形成している。なお、切欠付スペーサ38に設けるべき切欠38bは、リリーフ通路41を第二通路へ接続するためのものであるから筒部の下端から切り欠いて形成されるもの以外にも、たとえば、筒部を貫通するものであってもよく、また、隔壁筒39の形状についても、この場合、リリーフ通路41を区画できるとともに、隔壁筒39内に収容される一方側リリーフ弁33における一方側ポート31の開閉を妨げずピストン21と干渉しない形状であればよいので、図示し、上記に説明した形状に限定されるものではない。そして、隔壁筒39は、バルブディスク37に一体化されてもよいし、ハウジング23に一体化されていてもよく、その場合には、バルブディスク37の外周に隔壁筒39を設けるか、ハウジング23のナット部42或いは収容筒44に隔壁筒39を設ければよく、ピストンロッド22の小径部22aへ直接的に固定する必要がなく、隔壁筒を別部品で用意する必要がなくなって隔壁筒とバルブディスク37或いはハウジング23との間に隙間が生じて液体が当該隙間から逃げてしまう心配も皆無となる。
なお、隔壁筒39とバルブディスク37との間に看過できない隙間が生じる場合には、Oリングや角リング、環状パッキン等のシール部材を介装するようにしてもよい。
つづいて、ハウジング23について説明する。ハウジング23は、ピストンロッド22の螺子部22bに螺合される鍔43付のナット部42と、ナット部42の外周から垂下される有底筒状の収容筒44とを備えて構成され、収容筒44の図6中上端開口部が上記鍔43の外周へ向けて加締められて鍔43の外周に装着され、収容筒44とナット部42とを一体化し、このナット部42および収容筒44で下室R2内に圧力室C1を画成している。なお、ナット部42と収容筒44との一体化に際し、上記加締め加工以外にも溶接等の他の方法を採用することも可能である。
そして、上記のように形成される圧力室C1内には、フリーピストン28が摺動自在に挿入されて、圧力室C1は、図6中上方側の他方室27と下方側の一方室26に区画されている。
また、ナット部42は、上述のように側方に鍔43を備え、その内周には螺子部42aが形成され、この螺子部42aをピストンロッド22の螺子部22bに螺着することによって、ハウジング23をピストンロッド22の小径部22aに固定することが可能なようになっている。ゆえに、収容筒44の外周の断面形状を真円以外の形状、たとえば、一部を切欠いた形状や、六角形等の形状としておけば、ハウジング23をピストンロッド22の先端に螺着する作業が容易となる。
収容筒44は、有底筒状であって、筒部44aの図6中下方内周が小径とされて内部に段部44bが形成されるとともに、また、その底部44cには、一方側通路24の一部を構成する固定オリフィス45が設けられている。
そして、上記したナット部42および収容筒44で形成される圧力室C1内に挿入されるフリーピストン28は、有底筒状に形成されて、収容筒44に摺接する摺接筒28aと、摺接筒28aの一端を閉塞する底28bと、底28bの図6中下端に設けられて収容筒44の底部44cへ向けて突出する凸部28cと、摺接筒28aの外周に形成した環状溝28dと、環状溝28dを一方室26へ連通する孔28eと、摺接筒28aの外周であって環状溝28dより図6中上方側となる端部側に形成した環状の摩擦部材収容溝28fとを備えて構成され、内側をナット部42に向け筒部28aを収容筒44の内周に摺接させて圧力室C1内に挿入されて、圧力室C1を一方室26と他方室27とに区画している。
また、このフリーピストン28に、フリーピストン28のハウジング23に対する変位量に比例してその変位を抑制する附勢力を作用させるため、他方室27内であってナット部42の鍔43とフリーピストン28の底部28b内側との間、および、一方室26内であって収容筒44の底部44cとフリーピストン28の底部28b外側との間に、それぞれ、バネ要素としてコイルバネ30,29を介装してあり、フリーピストン28は、これらコイルバネ29,30のバネ要素によって上下側から挟持されて、圧力室C1内の所定の中立位置に位置決められた上で弾性支持されている。
なお、バネ要素としては、フリーピストン28を弾性支持できればよいので、コイルバネ29,30以外のものを採用してもよく、たとえば、皿バネ等の弾性体を用いてフリーピストン28を弾性支持するようにしてもよい。また、一端がフリーピストン28に連結される単一のバネ要素を用いる場合には、ナット部42あるいは収容筒44に他端を固定するようにしてもよい。
コイルバネ30の図中下端は、フリーピストン28の筒部28aの最深部内周に嵌合されて半径方向に位置決められ、また、コイルバネ29は、コイルバネ29の内周にフリーピストン28の凸部28cが挿通されることによってセンタリングされて、フリーピストン28に対し位置ずれを防止しており、これによって安定的にフリーピストン28に附勢力を作用させることが可能となっている。
なお、フリーピストン28の筒部28aの内周をその最深部に比較して拡径させておき、これにより、コイルバネ30が圧縮されて巻線径が拡大した際にコイルバネ30の線材が筒部28aの内周に擦れることを防止してコンタミネーションの発生を防止することもできる。
また、上述したように、凸部28cはコイルバネ29をセンタリングする機能を担っており、その高さ(図6中上下方向長さ)は、コイルバネ29の乗り上げを充分に防止可能な高さに設定されている。
つづいて、上記したフリーピストン28は、この実施の形態の場合、上記したように、フリーピストン28の肉厚内部を通り環状溝28dと一方室26とを連通する孔28eとを備えている。
また、収容筒44の筒部44aには、下室R2と収容筒44内を連通する二つの可変オリフィス46が設けられており、この可変オリフィス46は、フリーピストン28がコイルバネ29,30によって弾性支持されて中立位置にあるときには必ず上記環状溝28dに対向して一方室26と下室R2とを連通するとともに、フリーピストン28がストロークエンドまで変位する、すなわち、ナット部42の図6中下端あるいは収容筒44の段部44bに当接するまで変位するとフリーピストン28の筒部28aの外周に完全にオーバーラップされて閉塞されるようになっている。すなわち、一方側通路24は、環状溝28d、可変オリフィス46、孔28eおよび固定オリフィス45で構成されている。なお、可変オリフィス46を二つ設けているが、その数は任意であり、固定オリフィス45の設置数についても同様である。
つまり、この具体的な緩衝装置D1の場合、フリーピストン28の中立位置からの変位量が所定の変位量となるときに、可変オリフィス46の開口全てが環状溝28dに対向する状況から筒部28aの外周に対向し始める状況に移行して徐々に可変オリフィス46の流路面積が減少し始め、一方側通路24における流路抵抗が徐々に増加する。したがって、上記所定の変位量は、環状溝28dの図6中上下方向幅の設定および、可変オリフィス46の収容筒44内周側の開口位置によって任意に設定することができる。そして、この実施の形態では、フリーピストン28の変位量の増加に伴って徐々に可変オリフィス46の流路面積が減少し、フリーピストン28がストロークエンドに達すると、可変オリフィス46が完全に筒部28aに対向して閉塞され、一方側通路24における流路抵抗が最大となり一方室26が固定オリフィス45のみによって下室R2に連通されるようになっている。
また、本実施の形態のフリーピストン28の摩擦部材収容溝28f内には、弾性を備えた摩擦部材48が装着されており、この摩擦部材48が収容筒44の筒部44aの内周に摺接して、フリーピストン28の収容筒44に対する変位を抑制するようになっている。詳しくは、緩衝装置D1の振幅が大きい、すなわち、フリーピストン28の変位が大きい低周波数域にある場合には、摩擦部材48がフリーピストン28のハウジング23に対する変位を抑制し、緩衝装置D1の振幅が小さい、すなわち、フリーピストン28の変位が小さい高周波数域の振動に対しては、摩擦部材48が弾性変形して摩擦力が僅かとなり、フリーピストン28のハウジング23に対する変位が抑制されないようになっている。なお、摩擦部材48は、フリーピストン28側に装着されているが、収容筒44に環状の摩擦部材収容溝を設けて、これに摩擦部材を装着するようにしてもよい。
緩衝装置D1は以上のように構成されるが、ピストン速度が極低速域および低速域にある場合には、緩衝装置Dと同様に、緩衝装置D1への入力される振動の周波数が低い場合には、大きな減衰力を発揮し、反対に、緩衝装置D1へ入力される振動の周波数が高い場合には、小さな減衰力を発揮することになり、車両における乗り心地を向上させることができる。
そして、この緩衝装置D1にあっても、緩衝装置Dと同様に、高速で伸縮作動を呈する場合には、一方側リリーフ弁33或いは他方側リリーフ弁34が開放動作するので、液体は、第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bのみならず、一方側ポート31或いは他方側ポート32を介して、上室R1から下室R2へ、或いは、下室R2から上室R1へ移動するようになり、緩衝装置Dの発生する減衰力を低減して、リーフバルブV1,V2の仕様で設定された値にまで高まることがない。
したがって、本実施の形態の緩衝装置D1にあっても、車両が走行中に路面の凹凸を通過するようなピストン速度が高速となる場面では、上述の緩衝装置Dと同じく機能して、ピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができるので、従来の緩衝装置のように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができる。
また、緩衝装置D1の収縮時には、一方側リリーフ弁33のみが開放動作し、緩衝装置D1の伸長時には、他方側リリーフ弁34のみが開放動作するので、緩衝装置D1の収縮時における速度減衰力特性を一方側リリーフ弁33と一方側ポート31の設定によって調節でき、緩衝装置D1の伸長時における速度減衰力特性を他方側リリーフ弁34と他方側ポート32の設定で調節することができる。つまり、緩衝装置D1の収縮時と伸長時のそれぞれの速度減衰力特性を別個独立に設定することができ、チューニングの自由度が格段に向上する。
それゆえ、緩衝装置Dと同様に、この緩衝装置D1にあっても、旋回時にはしっかりと車体を支えつつもインパクトショックを低減でき、しなやかでありつつもしっかりとした足回りを車両に提供することができる。
また、一方側ポート31および他方側ポート32が圧力室C1を介さないで一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1を連通する構成を採用しており、一方側リリーフ弁33および他方側リリーフ弁34の動作が圧力室C1内の一方室26と他方室27の圧力に影響しにくくなるので、ピストン速度が低速以下で動作する場合において、緩衝装置D1に狙い通りの周波数減衰力特性を発生させることができる。
ハウジング23が一方の作動室としての下室R2へ臨んでいて、一方側ポート31および他方側ポート32が他方側通路25から分岐されることで、圧力室C1を形成するハウジング23以外に一方側ポート31および他方側ポート32を形成することができ、ハウジング23の構造の複雑化や長大化を招くことが無く、緩衝装置D1への一方側ポート31および他方側ポート32の設置に際して過大なコスト増を防止し、緩衝装置D1の無用な長大化を防止することができる。
また、この場合、一つのバルブディスク37に一方側リリーフ弁33と他方側リリーフ弁34が積層される構成を採用しているから、二つのリリーフ弁33,34に対して一つのバルブディスク37で足りるので、部品点数を少なくできるとともに緩衝装置D1の無用な重量増加を回避でき、ピストンロッド22へ組み付けても全長を無用に長大化させることがないので、緩衝装置D1のストローク長の確保も容易となる。
さらに、この実施の形態の場合、ハウジング23をピストンロッド22に固定することで、隔壁部材としてのピストン21、減衰バルブとしてのリーフバルブV1,V2、一方側リリーフ弁33、他方側リリーフ弁34、バルブディスク37および圧力室C1を形成しフリーピストン28を収容するハウジング23の全てがピストンロッド22に固定されるので、緩衝装置D1の組み立てが容易となり、加工コストも低減される。
また、この実施の形態の緩衝装置D1の場合、フリーピストン28には弾性を備えた摩擦部材48が装着されており、低周波数域の振動に対しては、摩擦部材48がフリーピストン28のハウジング23に対する変位を抑制することになり、高周波数域の振動に対しては、フリーピストン28をハウジング23に対して変位を抑制しないようにすることができる。そのため、低周波数域の振動に対してフリーピストン28が必要以上に動作してしまって、図10の破線に示すような低周波数域の振動に対しても減衰力が低下する周波数減衰特性となってしまうことを防止でき、同図実線で示すように狙い通りの周波数減衰力特性を得ることができるので、車両が凹凸路面を走行するような入力振動周波数が高い場面においては低い減衰力を確実に発生させ、車両が旋回中等の入力振動周波数が低い場面において高い減衰力を得ることができる。
なお、上記したところでは、摩擦部材48がOリングや角リングといったシールに適する部材で構成される場合には、フリーピストン28と収容筒44との間の摺動隙間を介して一方室26と他方室27の液体の交流を阻止することができ、低周波振動時の減衰力の落ち込みをより確実に防止することができる。
つづいて、上記した具体的な緩衝装置D1の変形例の緩衝装置D2について説明する。この変形例における緩衝装置D2にあっては、図11に示すように、リリーフ通路61を区画する隔壁筒60の構成、および、圧力室C1を介してリリーフ通路61を第二通路に接続する構成が上記した緩衝装置D1と異なる。
なお、説明が重複するので、以下、緩衝装置D2が緩衝装置D1と異なる部分について詳細に説明し、緩衝装置D1と同じ部分について詳細な説明を省略することとする。
まず、隔壁筒60であるが、緩衝装置D1では、ピストンロッド22の小径部22aに固定される構造を採用していたが、緩衝装置D2にあっては、バルブディスク37の外周とハウジング23の外周に嵌合する構造を採用している。
詳しくは、隔壁筒60は、ハウジング23のナット部42の外周に嵌合する嵌合部60aと、嵌合部60aより内径が大径とされて図11中上端がバルブディスク37に嵌合する筒部60bとを備えて構成されている。
なお、ハウジング23のナット部42の肉厚は、上記した緩衝装置D1よりも肉厚とされて、図11中上端外周が小径に設定されて小径部42bが設けられており、当該小径部42bに隔壁筒60の嵌合部60aが嵌合されるようになっている。また、嵌合部60aと小径部42bとの間にはシールリング62が介装されており、隔壁筒60とハウジング23との間がシールされている。
さらに、この実施の形態では、ハウジング23のナット部42の図11中上端には円盤状のプレート63が積層されており、このプレート63は、隔壁筒60の嵌合部60aの上端に当接して、ナット部42と協働して嵌合部60aを挟持している。プレート63は、ハウジング23をピストンロッド22に螺着するとピストンロッド22の小径部22aに固定されるので、隔壁筒60がハウジング23から脱落することが防止される。
また、隔壁筒60とバルブディスク37との間にはシールリング64が介装されており、隔壁筒60とバルブディスク37との間がシールされている。このように、シールリング62,64でシールすることで、隔壁筒60とバルブディスク37との間、隔壁筒60とハウジング23との間のそれぞれに径方向のガタがあってもシールすることが可能であって、隔壁筒60、バルブディスク37およびハウジング23に高度な加工精度が要求されずに済むので加工コストを低減できる。
このように隔壁筒60は、バルブディスク37とハウジング23に装着されることで、その内方に一方の作動室としての下室R2から区画されるリリーフ通路61を形成している。
そして、この緩衝装置D2では、一方側リリーフ弁33の撓みを阻害しないように、環状であって外径が一方側リリーフ弁33より小径なスペーサ65をプレート63と一方側リリーフ弁33との間に介装し、緩衝装置D1では設けていたリリーフ通路41と第二通路へ連通する切欠付スペーサ38とピストンロッド22に設けていた通孔40を廃している。
そこで、緩衝装置D2の場合、リリーフ通路61を第二通路へ接続するべく、ハウジング23のナット部42に圧力室C1とリリーフ通路61とを連通する貫通孔42cを設け、さらに、この貫通孔42cを閉塞しないようにプレート63に透孔63aを設けてあって、貫通孔42cと透孔63aを対向せしめてリリーフ通路61を圧力室C1における他方室27へ連通してある。
したがって、この緩衝装置D2の場合、一方側ポート31および他方側ポート32は、バルブディスク37が一方の作動室としての下室R2内に配置されているので当該下室R2に連通されるともに、リリーフ通路61、透孔63a、貫通孔42c、他方室27および他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1へ連通されている。
このように構成される緩衝装置D2にあっても、緩衝装置D,D1と同様に、ピストン速度が極低速域および低速域にある場合には、緩衝装置D2への入力される振動の周波数が低い場合には、大きな減衰力を発揮し、反対に、緩衝装置D2へ入力される振動の周波数が高い場合には、小さな減衰力を発揮することになり、車両における乗り心地を向上させることができる。
そして、この緩衝装置D2にあっても、緩衝装置D,D1と同様に、高速で伸縮作動を呈する場合には、一方側リリーフ弁33或いは他方側リリーフ弁34が開放動作するので、液体は、第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bのみならず、一方側ポート31或いは他方側ポート32を介して、上室R1から下室R2へ、或いは、下室R2から上室R1へ移動するようになり、緩衝装置D,D1の発生する減衰力を低減して、リーフバルブV1,V2の仕様で設定された値にまで高まることがない。
したがって、本実施の形態の緩衝装置D2にあっても、車両が大きな凹凸を乗り越えるようなピストン速度が高速となる場面では、上述の緩衝装置D,D1と同じく機能して、ピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができるので、従来の緩衝装置のように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができ、緩衝装置D2の収縮時と伸長時のそれぞれの速度減衰力特性を別個独立に設定することができ、チューニングの自由度が格段に向上し、旋回時にはしっかりと車体を支えつつもインパクトショックを低減でき、しなやかでありつつもしっかりとした足回りを車両に提供することができる。
さらに、この実施の形態では、他方側通路25に直接的にリリーフ通路61を連通させるための切欠付スペーサ38を必要とせず、一方側リリーフ弁33の撓み量を確保できる程度の軸方向に長さを備えたスペーサ65を代わりに組み込めばよく、緩衝装置D1に比較してバルブディスク37とハウジング23との間の図11中上下方向となる軸方向の間隔を短くすることができ、より一層、緩衝装置D2のストローク長の確保が容易となる。
なお、緩衝装置D2にあっても、図7や図8にしめしたバルブディスクを適用することが可能であって、隔壁筒60をバルブディスク37或いはハウジング23のいずれかに一体化することもでき、また、圧力室C1を介さずに第二通路に直接リリーフ通路61を連通する構成を採用してもよく、上記した可変オリフィス46や摩擦部材48を設けることによる効果の恩恵を受けることも当然に可能である。さらに、上記ピストン21におけるスカート21dの内径をピストン21に直接に対向する環状の他方側リリーフ弁34の外径より大径にして、スカート21dの内方に他方側リリーフ弁34の一部を入れ込むことで、緩衝装置D2のストローク長の確保が容易となり、円滑なストロークを実現できる。
つづいて、上記した具体的な緩衝装置D1の他の変形例の緩衝装置D3について説明する。この他の変形例における緩衝装置D3にあっては、図12に示すように、ハウジング70の構成が緩衝装置D1と異なっており、また、当該ハウジング70にリリーフ通路81を区画する隔壁筒80が一体化されている。当該緩衝装置D3の説明にあっても、説明が重複する都合上、緩衝装置D3が緩衝装置D1と異なる部分について詳細に説明し、緩衝装置D1と同じ部分について詳細な説明を省略することとする。
ハウジング70は、ピストンロッド22の先端に設けた螺子部22bに螺着される環状のナット部72とナット部72の外周から垂下されてフリーピストン82が収容される収容筒73とを備えた容器71と、容器71の開口端73cに装着されて容器71の開口端73cを閉塞するキャップ74とを備えて構成され、この容器71とキャップ74とで一方の作動室としての下室R2内に圧力室C2を区画している。この圧力室C2は、上記フリーピストン82によって、第二通路の一部である他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1に連通される他方室84と、第二通路の一部である一方側通路24を介して一方の作動室としての下室R2に連通される一方室83とに仕切られている。
そして、この実施の形態の緩衝装置D3にあっても、緩衝装置D1,D2と同様に、ハウジング70を螺着することで、隔壁部材としてのピストン21、減衰バルブとしてのリーフバルブV1,V2、一方側リリーフ弁33、他方側リリーフ弁34、バルブディスク37がピストンロッド22に固定されるようになっている。
ナット部72は、内周側に設けられた雌螺子72aと、ハウジング70の内外を連通する貫通孔72bとを備えて構成されている。なお、ナット部72の他方室84側の端部には、バネ要素としてコイルバネ30の内縁より内側から径方向に伸びて貫通孔72bに通じる切欠72cが周方向に間隔を空けて複数設けられていて、貫通孔72bが他方室84内に収容されるコイルバネ30の図12中上端によって閉塞されないようになっている。
ナット部72のバルブディスク37側端となる図12中上端の外周には、ハウジング70より隔壁部材としてのピストン21側へ積層されるバルブディスク37の外周に嵌合する隔壁筒80が設けられている。この隔壁筒80は、バルブディスク37の外周に嵌合すると、バルブディスク37とハウジング70との間に一方の作動室としての下室R2から区画される空間を形成し、当該空間でリリーフ通路81が形成されている。
また、隔壁筒80とバルブディスク37との間にはシールリング66が介装されており、隔壁筒80とバルブディスク37との間がシールされている。このように、シールリング66でシールすることで、隔壁筒80とバルブディスク37との間に径方向のガタがあってもシールすることが可能であって、隔壁筒80およびバルブディスク37に高度な加工精度が要求されずに済むので加工コストを低減できる。
なお、この緩衝装置D3にあっても、緩衝装置D2と同様に、一方側リリーフ弁33の撓みを阻害しないように、環状であって外径が一方側リリーフ弁33より小径なスペーサ65をハウジング70のナット部72と一方側リリーフ弁33との間に介装してあって、緩衝装置D1では設けていたリリーフ通路41と第二通路へ連通する切欠付スペーサ38とピストンロッド22に設けていた通孔40を廃している。
また、緩衝装置D3の場合、リリーフ通路81は、ナット部72に設けた貫通孔72bを介して第二通路における他方側通路25へ接続されている。したがって、一方側ポート31および他方側ポート32は、これらリリーフ通路81、貫通孔72bおよび他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1と一方の作動室としての下室R2とを連通している。
他方、収容筒73は、ナット部72の図12中下端外周から垂下されており、図12中中間から内径が拡径されて内周に段部73aが設けられている。さらに、収容筒73の外周には、図示しない締付工具で把持するための把持部73bが設けられている。上記した把持部73bの断面形状は、図示しない締付工具で把持可能な形状とされており、たとえば、締付工具の形状に合わせて二面幅形状や六角形状といった真円形以外の形状とされる。把持部73bは、外方から締付工具でアクセス可能であって、当該締付工具で把持可能な軸方向長さを確保されていればよい。また、収容筒73には、下室R2と容器71内を連通する可変オリフィス73dが設けられている。
このように構成された容器71に対して、収容筒73の図12中下端となる開口端73cを外周側からキャップ74の外周へ向けて加締めることで、キャップ74を一体化している。また、キャップ74は、中央に容器71内側へ突出する凸部74aを備えた円盤形状をしており、凸部74aにこれを貫通する一方側通路の一部を構成する固定オリフィス74bが設けられているとともに、反容器側となる下室R2を向く端面の外周に収容筒73の加締めによる塑性変形を促すための面取部74cが設けられている。なお、キャップ74の形状は、凸部74aを廃した円板状とされてもよいが、凸部74aを設けることで注視しなくとも面取部74cの設置されている端面を容易に識別でき、組付不良の発生を未然に防止することができる。また、凸部74aは、一方室83内に収容されるコイルバネ29の内周に嵌合されて、これを位置決めすることができ、コイルバネ29の軸ずれを防止することができる。
そして、上記した容器71およびキャップ74で形成される圧力室C2内には、フリーピストン82が、上述した緩衝装置D1,D2とは天地逆向きにして摺動自在に挿入され、このフリーピストン82によって圧力室C2内は、他方側通路25によって上室R1に連通される他方室84と、固定オリフィス74bおよび可変オリフィス73dによって下室R2に連通される一方室83とに区画されている。このフリーピストン82は、収容筒73の内周に摺接する摺接筒82aと、摺接筒82aの図12中上端となるナット部側の端部を閉塞する底82bと、底82bに設けられてナット部72側に突出する凸部82cと、摺接筒82aの外周に軸方向に並べて設けられた反底側環状溝82dおよび底側環状溝82eと、上記底側環状溝82eを摺接筒82a内へ連通する孔82fとを備えて構成されている。
そして、上記反底側環状溝82d内には、緩衝装置D1と同様に、摩擦部材48が収容されている。そのため、フリーピストン82を容器71内へ組み込む際に、摩擦部材48が収容筒73に形成の可変オリフィス73dを通過することが無いので、摩擦部材48の傷付きを確実に防止することができる。
さらに、フリーピストン82は、底82bの上端が容器71の収容筒73の内周に形成の段部73aに当接するとそれ以上の図12中上方側への移動が規制され、反対に、摺接筒82aの図12中下端がキャップ74の図12中上端に当接するとそれ以上の図12中下方側への移動が規制されるようになっている。
また、収容筒73に設けた可変オリフィス73dは、フリーピストン82がバネ要素としてのコイルバネ29,30によって弾性支持されて中立位置にあるときには必ず上記底側環状溝82eに対向して一方室83と下室R2とを連通するとともに、フリーピストン82がストロークエンドまで変位する、すなわち、段部73aあるいはキャップ74に当接するまで変位するとフリーピストン82の摺接筒82aの外周に完全にオーバーラップされて閉塞されるようになっている。すなわち、この場合、第二通路における一方側通路は、底側環状溝82e、孔82f、可変オリフィス73dおよび固定オリフィス74bで構成されている。なお、図中では、可変オリフィス73dを二つ設けているが、その数は任意であり、固定オリフィス74bの設置数についても同様である。
つまり、この緩衝装置D3の場合にあっても、フリーピストン82の中立位置からの変位量が任意の変位量となるときに、可変オリフィス73dの開口全てが底側環状溝82eに対向する状況から摺接筒82aの外周に対向し始める状況に移行して徐々に可変オリフィス73dの流路面積が減少し始め、一方側通路における流路抵抗が徐々に増加する。したがって、上記任意の変位量は、底側環状溝82eの図中上下方向幅の設定および、可変オリフィス73dの収容筒73の内周側の開口位置によって設定される。そして、この実施の形態では、フリーピストン82の変位量の増加に伴って徐々に可変オリフィス73dの流路面積が減少し、フリーピストン82がストロークエンドに達すると、可変オリフィス73dが完全に摺接筒82aに対向して閉塞され、一方側通路における流路抵抗が最大となり一方室83が固定オリフィス74bのみによって下室R2に連通されるようになっている。
緩衝装置D3は以上のように構成されるが、緩衝装置D〜D2と同様に、高速で伸縮作動を呈する場合には、一方側リリーフ弁33或いは他方側リリーフ弁34が開放動作するので、液体は、第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bのみならず、一方側ポート31或いは他方側ポート32を介して、上室R1から下室R2へ、或いは、下室R2から上室R1へ移動するようになり、緩衝装置D3の発生する減衰力を低減して、リーフバルブV1,V2の仕様で設定された値にまで高まることがない。
したがって、本実施の形態の緩衝装置D3にあっても、車両が大きな凹凸を乗り越えるようなピストン速度が高速となる場面では、上述の緩衝装置D〜D2と同じく機能して、ピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができるので、従来の緩衝装置のように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができ、緩衝装置D3の収縮時と伸長時のそれぞれの速度減衰力特性を別個独立に設定することができ、チューニングの自由度が格段に向上し、旋回時にはしっかりと車体を支えつつもインパクトショックを低減でき、しなやかでありつつもしっかりとした足回りを車両に提供することができる。
さらに、この実施の形態では、他方側通路25に直接的にリリーフ通路81を連通させるための切欠付スペーサ38を必要とせず、一方側リリーフ弁33の撓み量を確保できる程度の軸方向に長さを備えたスペーサ65を代わりに組み込めばよく、緩衝装置D1に比較してバルブディスク37とハウジング70との間の図12中上下方向となる軸方向の間隔を短くすることができ、より一層、緩衝装置D3のストローク長の確保が容易となる。
なお、緩衝装置D3にあっても、図7や図8にしめしたバルブディスクを適用することが可能であって、隔壁筒80をバルブディスク37に一体化したり、バルブディスク37とハウジング70の両方から分離してこれらに嵌合する構成を採用することもでき、また、圧力室C2を介さずに第二通路に直接リリーフ通路81を連通する構成を採用してもよく、さらには、上記した可変オリフィス73dや摩擦部材48を設けることによる効果の恩恵を受けることも当然に可能である。さらに、上記ピストン21におけるスカート21dの内径をピストン21に直接に対向する環状の他方側リリーフ弁34の外径より大径にして、スカート21dの内方に他方側リリーフ弁34の一部を入れ込むことで、緩衝装置D3のストローク長の確保が容易となり、円滑なストロークを実現できる。
さらに、この緩衝装置D3の場合、ピストン21、リーフバルブV1,V2、バルブディスク37、一方側リリーフ弁33および他方側リリーフ弁34をピストンロッド22に固定する際に、ハウジング70を構成する容器71が締付工具で把持可能な把持部73bを備えていて、容器71に装着されるキャップ74を介さずナット部72に直接に締め付けトルクを作用させることができ、キャップ74には締め付けトルクが付加されることがないので、容器71とキャップ74との間にガタが生じることがなく、異音発生を防止することができる。
キャップ74には締め付けトルクが付加されることがないので、キャップ74の外周に溝や凹凸を設けて加締め部分において回り止めを図る必要も無くなり、キャップ74の構造が簡素化され、加工工数を低減できるので経済性も向上することになる。
引き続き、緩衝装置Dを具体化した他の例における緩衝装置D4の構成を示して説明する。
この緩衝装置D4にあっては、図13に示すように、一方側リリーフ弁用のバルブディスク90と、他方側リリーフ弁用のバルブディスク91を備えていて、バルブディスクが二つある点で緩衝装置D1,D2,D3と異なる。当該緩衝装置D4の説明にあっても、説明が重複する都合上、上記した緩衝装置D1と異なる部分について詳細に説明する。
この緩衝装置D4は、緩衝装置D1がバルブディスク37に一方側リリーフ弁33と他方側リリーフ弁34を積層していたところ、一方側バルブディスク90に一方側リリーフ弁33を積層し、他方側バルブディスク91に他方側リリーフ弁34を積層し、これらをピストンロッド22の小径部22aに組み付けて、ハウジング23で隔壁部材としてのピストン21とともにピストンロッド22に固定した構成とされている。
詳しくは、一方側バルブディスク90は、環状であってピストンロッド22の小径部22aの外周であって他方側減衰バルブとしてのリーフバルブV2の図13中下方に積層されて組み付けられており、その図13中下端となる反ピストン側端に形成された環状窓90aと、図13中上端となるピストン側端から開口して上記環状窓90aへ連通される通路90bと、ピストン側端内周から立ち上がる筒状のバルブ抑え部90cとを備えて構成されている。一方側ポート92は、環状窓90aと通路90bによって構成されており、一方側バルブディスク90の反ピストン側端に積層される一方側リリーフ弁33によって、この一方側ポート92が開閉されるようになっている。
また、この一方側バルブディスク90を隔壁部材としてのピストン21の下室R2側端に積層されるリーフバルブV2の図13中下方へ積層させると、一方側バルブディスク90に設けたバルブ抑え部90cがリーフバルブV2の内周に当接してリーフバルブV2の内周を抑えてピストンロッド22に対して不動な固定端としつつリーフバルブV2の外周側の撓みを許容することができるようになっている。このバルブ抑え部90cは、一方側バルブディスク90に一体化せずに、スペーサとして一方側バルブディスク90から分離させて、一方側バルブディスク90とリーフバルブV2との間に介装するようにしてもよい。
そして、他方側バルブディスク91も環状であってピストンロッド22の小径部22aの外周であって一方側リリーフ弁33の図13中下方に環状のスペーサ93を介して積層されて組み付けられており、その図13中下端となる反ピストン側端に形成された環状窓91aと、図13中上端となるピストン側端から開口して上記環状窓91aへ連通される通路91bと、ピストン側端外周から立ち上がる隔壁筒94と、内周に設けられて通路91bに連通される環状溝95とを備えて構成されている。他方側ポート96は、環状窓91aと通路91bによって構成されており、他方側バルブディスク91の反ピストン側端に積層される他方側リリーフ弁34によって、この他方側ポート96が開閉されるようになっている。なお、スペーサ93は、この場合、他方側バルブディスク91に一体化されてもよく、一方側リリーフ弁33の内周を抑えつつ、撓んだ一方側リリーフ弁33が他方側バルブディスク91へ干渉させないようにしている。
さらに、隔壁筒94は、上記したように、一方側バルブディスク90に一方側リリーフ弁33とスペーサ93を介して他方側バルブディスク91を積層すると、一方側バルブディスク90の外周に嵌合して一方側バルブディスク90および他方側バルブディスク91と協働して一方の作動室としての下室R2から区画される空間が作られ、当該空間でリリーフ通路97が形成される。なお、一方側バルブディスク90と隔壁筒94との間にシール性を完全ならしめるためにシールリングを介装してもよい。なお、隔壁筒94は、他方側バルブディスク91ではなく、一方側バルブディスク90に一体化してもよい。
また、他方側バルブディスク91をピストンロッド22の小径部22aに組み付けると、内周に設けた環状溝95がピストンロッド22の小径部22aの側部から開口して他方側通路25へ連通される通孔98に対向して、リリーフ通路97が他方の作動室としての上室R1へ連通される。そして、リリーフ通路97は、一方側バルブディスク90および他方側バルブディスク91に面しており、一方側ポート92と他方側ポート96に連通されている。したがって、一方側ポート92と他方側ポート96は、リリーフ通路97、通孔98および他方側通路25を介して上室R1と下室R2とを連通している。
この緩衝装置D4にあっては、圧力室C1を形成するハウジング23におけるナット部42のバルブディスク側端の内周に、他方側バルブディスク91側へ突出する筒状のバルブ抑え部42dが設けられており、当該バルブ抑え部42dを他方側リリーフ弁34の内周に当接させることで、当該他方側リリーフ弁34の内周を固定端とすることができるようになっている。このバルブ抑え部42dにあっても、ハウジング23から分離してもよい。
緩衝装置D4は以上のように構成されるが、緩衝装置D〜D3と同様に、高速で伸縮作動を呈する場合には、一方側リリーフ弁33或いは他方側リリーフ弁34が開放動作するので、液体は、第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bのみならず、一方側ポート92或いは他方側ポート96を介して、上室R1から下室R2へ、或いは、下室R2から上室R1へ移動するようになり、緩衝装置D4の発生する減衰力を低減して、リーフバルブV1,V2の仕様で設定された値にまで高まることがない。
したがって、本実施の形態の緩衝装置D4にあっても、車両が大きな凹凸を乗り越えるようなピストン速度が高速となる場面では、上述の緩衝装置D〜D3と同じく機能して、ピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができるので、従来の緩衝装置のように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができ、緩衝装置D4の収縮時と伸長時のそれぞれの速度減衰力特性を別個独立に設定することができ、チューニングの自由度が格段に向上し、旋回時にはしっかりと車体を支えつつもインパクトショックを低減でき、しなやかでありつつもしっかりとした足回りを車両に提供することができる。
また、一方側ポート92および他方側ポート96が圧力室C1を介さないで一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1を連通する構成を採用しているので、一方側リリーフ弁33および他方側リリーフ弁34の動作が圧力室C1内の一方室26と他方室27の圧力に影響しにくくなるので、ピストン速度が低速以下で動作する場合において、緩衝装置D4に狙い通りの周波数減衰力特性を発生させることができる。
また、この実施の形態の緩衝装置D4にあっては、他方側リリーフ弁34が他方側バルブディスク91の反隔壁部材側面としての反ピストン側面に積層されており、隔壁部材としてのピストン21の一方の作動室としての下室R2側面に積層された他方側減衰バルブとしてのリーフバルブV2と上記他方側リリーフ弁34と対面しない構造となっているから、緩衝装置D4が伸長して他方の作動室としての上室R1から液体がリーフバルブV2を通過して一方の作動室としての下室R2へ噴流となって流れ込んでも、当該噴流が他方側リリーフ弁34に直接に当たることがなく、上記噴流が、他方側リリーフ弁34の開弁動作に悪影響を与えることがない。また、同様に、一方側リリーフ弁33も一方側減衰バルブとしてのリーフバルブV1に対面していないので、リーフバルブV1を通過した液体の噴流が一方側リリーフ弁33に影響を与えることがない。よって、一方側リリーフ弁33および他方側リリーフ弁34の安定動作が保障され、緩衝装置D4の伸縮状況によって速度減衰力特性がばらついてしまうこともなく安定した速度減衰力特性を得ることができる。さらに、一方側リリーフ弁33を通過した液体の噴流と一方側減衰バルブとしてのリーフバルブV1を通過した液体の噴流の衝突および他方側リリーフ弁34を通過した液体の噴流と他方側減衰バルブとしてのリーフバルブV2を通過した液体の噴流の衝突も回避することができ、噴流の衝突によって生じるスイッシュ音を防止することができる。なお、上記したところでは、一方側バルブディスク90と他方側バルブディスク91とが一方の作動室としての下室R2内に設置されているが、他方の作動室としての上室R1内に設けられてもよく、また、一方側バルブディスク90と他方側バルブディスク91とがそれぞれ別々の作動室内に設置されてもよく、そのような場合にあっても、一方側リリーフ弁33を一方側バルブディスク90の反隔壁部材側端に積層して一方側減衰バルブに対面させず、他方側リリーフ弁34を他方側バルブディスク91の反隔壁部材側端に積層して他方側減衰バルブに対面させないようにすることで速度減衰力特性の安定と上記スイッシュ音の発生防止効果を得ることができる。速度減衰力特性の安定とスイッシュ音の発生防止効果を得ずともよい場合には、図14に示したように、一方側バルブディスク90、一方側
リリーフ弁33、他方側バルブディスク91および他方側リリーフ弁34を積層した状態で天地逆向きにピストンロッド22の小径部22aに組み付けることも可能であり、本願発明の効果を失うことはない。ところで、図13に示した緩衝装置D4では、リリーフ通路97と第二通路との連通を、他方側ポート96の通路91bに他方側バルブディスク91の内周に設けた環状溝95を連通して、当該環状溝95をピストンロッド22に設けた通孔98に対向させることで行なうようにしているが、たとえば、図14に示した緩衝装置D4の一変形例のように、他方側バルブディスク91における反ピストン側端の内径をピストンロッド22の外径より大径に設定して形成されて通孔98に対向する大径部100を設けるとともに、他方側バルブディスク91にスペーサ93を積層しても大径部100と他方側ポート96との連通を保つため大径部100から他方側ポート96に通じる切欠101を設け、当該大径部100と切欠101とでリリーフ通路97を第二通路へ連通させるようにしてもよい。
なお、この実施の形態の緩衝装置D4にあっても、ハウジング23の代わりに緩衝装置D3で説明したハウジング70を適用することができ、その場合には、隔壁筒80を取り払って適用するようにすればよい。また、この実施の形態の緩衝装置D4にあっても、上記した可変オリフィス46や摩擦部材48を設けることによる効果の恩恵を受けることも当然に可能である。
また、緩衝装置D4にあっては、図13および図14に示すように、スカート21dの内径をピストン21に直接に対向するバルブディスク90,91の外径より大径に設定して、スカート21dの内方にバルブディスク90,91の一部を入れ込むようにすることができるので、緩衝装置D4のストローク長の確保と円滑なストロークを実現できる。なお、この場合、スカート21dとバルブディスク90,91との間の環状隙間の断面積は、一方側減衰通路21aの流路面積、他方側減衰通路21bの流路面積より大きくしておくと、スカート21dとバルブディスク90,91との間の環状隙間が液体の流れに与える抵抗が一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bが液体の流れに与える抵抗を上回らないので、隔壁部材としてのピストン21に設けた一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bの設定どおりの周波数減衰特性および速度減衰力特性を得ることができる。
つづいて、上記した具体的な緩衝装置D4の別の変形例の緩衝装置D5について説明する。この緩衝装置D5にあっては、図15に示すように、一方側バルブディスク110、他方側バルブディスク111および隔壁筒112の構造が上記緩衝装置D4と異なっている。当該緩衝装置D4の説明にあっても、説明が重複する都合上、緩衝装置D5が緩衝装置D4と異なる部分について詳細に説明し、緩衝装置D4と同じ部分について詳細な説明を省略することとする。
緩衝装置D4が一方側バルブディスク90或いは他方側バルブディスク91に隔壁筒94が一体化されていたが、この緩衝装置D5では、一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111とを同じ形状として、隔壁筒112をこれら一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111の外周に嵌合するようにし、一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111との間に一方の作動室から区画される空間を設け、当該空間でリリーフ通路116を形成している。
詳しくは、一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111は、ともに、環状であってピストンロッド22の小径部22aの外周に組み付けられるようになっており、その図15中下端となる反ピストン側端に形成された環状窓110a,111aと、図15中上端となるピストン側端から開口して上記環状窓110a,111aへ連通される通路110b,111bと、外周全周に亘って設けた環状突起110c,111cとを備えて構成されている。
一方側ポート113は、環状窓110aと通路110bによって構成されており、一方側バルブディスク110の反ピストン側端に積層される一方側リリーフ弁33によって、この一方側ポート113が開閉されるようになっている。
また、他方側ポート114は、環状窓111aと通路111bによって構成されており、他方側バルブディスク111の反ピストン側端に積層される他方側リリーフ弁34によって、この他方側ポート114が開閉されるようになっている。
そして、隔壁筒112は、筒状であって、一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111の外周に嵌合されるとともに、一方側バルブディスク110の環状突起110cと他方側バルブディスク111の環状突起111cとで一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111からの抜けが防止されている。なお、隔壁筒112と一方側バルブディスク110との間、隔壁筒112と他方側バルブディスク111との間にシールリングを設けるようにしてもよい。このように隔壁筒112を一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111の外周に嵌合することで、一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111との間に一方の作動室から区画されるとともに一方側ポート113および他方側ポート114に連通されるリリーフ通路116が形成される。
そして、一方側リリーフ弁と他方側バルブディスク111との間には、緩衝装置D1の切欠付スペーサ38と同形状の筒状の切欠付スペーサ115が介装されており、この切欠付スペーサ115内がピストンロッド22の小径部22aに形成の通孔98に対向していて、切欠付スペーサ115に設けた切欠115aを介してリリーフ通路116が第二通路、具体的には、他方側通路25に連通される。よって、一方側ポート113と他方側ポート114は、一方の作動室としての下室R2に連通されるとともに、リリーフ通路116、切欠115a、通孔98および第二通路における他方側通路25を介して他方の作動室としての上室R1に連通される。
緩衝装置D5は以上のように構成されるが、緩衝装置D〜D4と同様に、高速で伸縮作動を呈する場合には、一方側リリーフ弁33或いは他方側リリーフ弁34が開放動作するので、液体は、第一通路としての一方側減衰通路21aおよび他方側減衰通路21bのみならず、一方側ポート113或いは他方側ポート114を介して、上室R1から下室R2へ、或いは、下室R2から上室R1へ移動するようになり、緩衝装置D5の発生する減衰力を低減して、リーフバルブV1,V2の仕様で設定された値にまで高まることがない。
したがって、本実施の形態の緩衝装置D5にあっても、車両が大きな凹凸を乗り越えるようなピストン速度が高速となる場面では、上述の緩衝装置D〜D4と同じく機能して、ピストン速度に対する減衰力の勾配を小さくさせて、減衰力を確実に低下させることができるので、従来の緩衝装置のように減衰力が高止まりしてしまって、車軸から車体への振動の伝達を絶縁する効果が消失してしまうといった不具合を解消でき、車両における乗り心地を向上することができ、緩衝装置D5の収縮時と伸長時のそれぞれの速度減衰力特性を別個独立に設定することができ、チューニングの自由度が格段に向上し、旋回時にはしっかりと車体を支えつつもインパクトショックを低減でき、しなやかでありつつもしっかりとした足回りを車両に提供することができる。
また、一方側ポート113および他方側ポート114が圧力室C1を介さないで一方の作動室としての下室R2と他方の作動室としての上室R1を連通する構成を採用しているので、一方側リリーフ弁33および他方側リリーフ弁34の動作が圧力室C1内の一方室26と他方室27の圧力に影響しにくくなるので、ピストン速度が低速以下で動作する場合において、緩衝装置D5に狙い通りの周波数減衰力特性を発生させることができる。
そして、この実施の形態の場合、一方側バルブディスク110と他方側バルブディス行く111とが同一形状とされているので、部品共通化により生産コストを低減することができ、また、切欠付スペーサ115の採用によって、リリーフ通路116を第二通路へ接続することができるので、一方側バルブディスク110と他方側バルブディスク111の構造が簡単となり、一方側ポート113と他方側ポート114も一方側バルブディスク110および他方側バルブディスク111に軸方向に沿って設けることができるので、加工コストが低減される。
また、この実施の形態の緩衝装置D5にあっては、図13に示した緩衝装置D4と同様に、隔壁部材としてのピストン21の一方の作動室としての下室R2側面に積層された他方側減衰バルブとしてのリーフバルブV2と上記他方側リリーフ弁34と対面しない構造となっているから、緩衝装置D5が伸長して他方の作動室としての上室R1から液体がリーフバルブV2を通過して一方の作動室としての下室R2へ噴流となって流れ込んでも、当該噴流が他方側リリーフ弁34に直接に当たることがなく、上記噴流が、他方側リリーフ弁34の開弁動作に悪影響を与えることがない。また、同様に、一方側リリーフ弁33も一方側減衰バルブとしてのリーフバルブV1に対面していないので、リーフバルブV1を通過した液体の噴流が一方側リリーフ弁33に影響を与えることがない。よって、一方側リリーフ弁33および他方側リリーフ弁34の安定動作が保障され、緩衝装置D5の伸縮状況によって速度減衰力特性がばらついてしまうこともなく安定した速度減衰力特性を得ることができる。さらに、一方側リリーフ弁33を通過した液体の噴流と一方側減衰バルブとしてのリーフバルブV1を通過した液体の噴流の衝突および他方側リリーフ弁34を通過した液体の噴流と他方側減衰バルブとしてのリーフバルブV2を通過した液体の噴流の衝突も回避することができ、噴流の衝突によって生じるスイッシュ音を防止することができる。速度減衰力特性の安定とスイッシュ音の発生防止効果を得ずともよい場合には、一方側バルブディスク110、一方側リリーフ弁33、他方側バルブディスク111および他方側リリーフ弁34を積層した状態で天地逆向きにピストンロッド22の小径部22aに組み付けることも可能であり、本願発明の効果を失うことはない。
なお、この実施の形態の緩衝装置D5にあっても、ハウジング23の代わりに緩衝装置D3で説明したハウジング70を適用することができ、その場合には、隔壁筒80を取り払って適用するようにすればよい。また、この実施の形態の緩衝装置D5にあっても、上記した可変オリフィス46や摩擦部材48を設けることによる効果の恩恵を受けることも当然に可能である。さらに、上記ピストン21におけるスカート21dの内径をピストン21に直接に対向する一方側バルブディスク110の外径より大径にして、スカート21dの内方に一方側バルブディスク110の一部を入れ込むことで、緩衝装置D5のストローク長の確保が容易となり、円滑なストロークを実現できる。
なお、上述したところでは、一方の作動室を下室R2とし、他方の作動室を上室R1としているが、一方の作動室を上室R1とし、他方の作動室を下室R2として、上室R1内にバルブディスクやハウジングを設けるようにしてもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。