JP5531470B2 - フラットケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、フラットケーブルに関し、さらに詳しくは、電力ケーブルなどの比較的断面積の大きい導体を有するケーブルに好適に用いられるフラットケーブルに関するものである。
従来より、配線の省スペース化などの要求から、フラットケーブルが広く用いられている。フラットケーブルは、導体と導体の外周を被覆する絶縁体とにより構成されており、全体として扁平状の外観を有する。フラットケーブルの導体としては、以下の構成のものが知られている。
すなわち、例えば特許文献1には、図10(a)に示すように、フラットケーブル30において、平角形状の導体32が開示されている。複数本の平角導体32は間隔をあけて平行に配列され、絶縁体34により被覆されている。
また、例えば特許文献2には、図10(b)に示すように、複数本の丸素線42を同一平面上に並列に隣接して配置した構成の導体44が開示されている。複数本の丸素線42よりなる導体44は絶縁体46により被覆されている。
特開2003−323928号公報 実開平05−6539号公報
しかしながら、特許文献1のように、導体が平角導体よりなる場合、導体の幅を小さくすると、導体断面積を確保するため、導体が厚くならざるを得ない。そうすると、柔軟性および耐屈曲性が低下して、曲げ加工しにくくなる。一方、導体を薄くすると、導体断面積を確保するため、導体の幅が広くならざるを得ない。そうすると、フラットケーブル全体の幅が広くなって配索しにくくなる。
また、特許文献2のように、導体が同一平面上に配列された複数本の丸素線よりなる場合、丸素線の外径を太くすると、丸素線の剛性が高くなり、柔軟性および耐屈曲性が低下する。そうすると、曲げ加工しにくくなる。一方、丸素線の外径を細くすると、導体断面積を確保するため、丸素線が幅方向に長く並んだ構造にならざるを得ない。そうすると、フラットケーブル全体の幅が広くなって配索しにくくなる。また、導体を構成する丸素線の数が多くなるため、素線の供給源を多数準備する必要があり、現実的ではない。
したがって、従来のフラットケーブルでは、柔軟性、耐屈曲性および配索性のすべてを満足させることは困難であった。特に、電力ケーブルにおいては、導体断面積が大きくなりやすいため、これらの性能のすべてを満足させることは困難である。
本発明が解決しようとする課題は、柔軟性、耐屈曲性および配索性に優れたフラットケーブルを提供することにある。
本発明に係るフラットケーブルは、複数本の撚線が同一平面上に集められてなる撚線層が積層されて構成された導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁体とを有することを要旨とするものである。
本発明に係るフラットケーブルにおいては、撚線を構成する素線の外径は0.6mm以下であることが好ましい。撚線層は、隣り合う撚線層の撚線の中心位置が異なるように積層されていることが好ましい。導体の断面積は10mm以上であることが好ましい。撚線層の層数に対する同一平面上の撚線数の割合は3以上であることが好ましい。導体の幅は15mm以下であることが好ましい。導体の厚さに対する導体の幅の割合は4以上であることが好ましい。導体の数は1〜3の範囲内であることが好ましい。撚線の撚りピッチの大きさは、撚線層の積層方向に沿って傾斜していることが好ましい。
本発明に係るフラットケーブルは、複数本の撚線を同一平面上に集めて形成された撚線層をさらに積層することにより形成された導体を備えている。すなわち、導体は、厚み方向および幅方向のいずれの方向にも複数の素線が配置された構成になっているため、個々の素線の断面積を小さくすることができる。
そのため、厚み方向あるいは幅方向において一体である従来の導体と比較して、応力が低減できる。したがって、従来の導体よりも柔軟性および耐屈曲性に優れる。これにより、従来の導体より厚くしても、柔軟性および耐屈曲性を確保できるため、優れた柔軟性および耐屈曲性を維持しつつ、従来よりも導体の幅を小さくして配索性を良好にできる。
本発明に係るフラットケーブルにおいて、撚線を構成する素線の外径が0.6mm以下である場合には、応力低減の効果が特に優れる。したがって、より一層、柔軟性、耐屈曲性および配索性に優れる。
隣り合う撚線層の撚線の中心位置が異なるように撚線層が積層されている場合には、撚線層の積層方向に撚線が密に配置されるため、フラットケーブルの厚みを薄くできる。これにより、フラットケーブルのサイズが小さくなるため、配索性が向上する。
断面積の大きい導体は特に曲げにくくなる傾向があることから、本発明の効果は、特に断面積の大きい導体において顕著であり、導体の断面積が10mm以上の場合には、特に従来よりも柔軟性および耐屈曲性に優れる。
撚線層の層数に対する同一平面上の撚線数の割合が3以上である場合には、特に柔軟性および耐屈曲性に優れる。また、導体の幅が15mm以下である場合には、特に配索性に優れる。
導体の厚さに対する導体の幅の割合が4以上である場合には、比較的導体が扁平状であるため、放熱性に優れる。これにより、通電時における導体の温度上昇が低減できるため、許容電流を増加できる。
導体の数が1〜3である場合には、単相〜三相の電力ケーブルとして用いることができる。
そして、撚線の撚りピッチの大きさが、撚線層の積層方向に沿って傾斜している場合には、曲げやすい方向を意図的につくることができる。
本発明の第一実施形態に係るフラットケーブルを表す横断面図である。 本発明の第二実施形態に係るフラットケーブルを表す横断面図である。 本発明の第三実施形態に係るフラットケーブルを表す横断面図である。 本発明の第四実施形態に係るフラットケーブルを表す横断面図である。 複数本の撚線で構成される導体において、導体厚と導体幅とを説明する模式図である。 屈曲試験の方法を説明する模式図である。 屈曲試験の結果を表わすグラフである。 導体の構成と許容電流との関係を表わす表である。 導体の構成と許容電流との関係を表わすグラフである。 従来のフラットケーブルを表す横断面図である。
次に、本発明の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るフラットケーブルの長手方向と直交する方向における断面を表わした横断面図である。フラットケーブルは長手方向に沿って連続するものであるため、図1にはその断面を示した。図1に示すように、第一実施形態に係るフラットケーブル10は、導体18と、導体18の外周を覆っている絶縁体20とを備えている。
導体18は、複数本の素線12よりなる撚線14が同一平面上に並行に複数本並べられて同一平面上に集められた構造をしている撚線層16を2つ有している。
撚線層16において、複数本の撚線14は、隣り合う撚線14同士が互いに接触する部分を有している。隣り合う撚線14同士の接触する部分は、長手方向において、全長にわたっていても良いし、一部分であっても良い。隣り合う撚線14同士が接触していることにより、撚線層16全体が一つの導体18として機能していれば良いため、隣り合う撚線14同士は、長手方向において接触していない部分が生じていても良い。また、撚線層16において、撚線14の本数は特に限定されるものではない。例えば、撚線14の外径、要求される導体18の断面積、導体厚、導体幅等を考慮して、適宜定めることができる。
2つの撚線層16は、隣り合う撚線層の撚線の中心位置が異なるように積層されている。すなわち、一方の撚線層16の撚線14の中心位置と、これと隣り合う他方の撚線層16の撚線14の中心位置とは、厚み方向で見たときに一致していない。一の撚線層16を構成する撚線14は、それと隣り合う撚線層16を構成する撚線14に対して、中心位置をずらした状態で重ねられている。いいかえれば、一方の撚線層16において互いに隣り合う撚線14と撚線14とにより形成される凹部に、他方の撚線層16の撚線14が配置されており、全体として、撚線14が細密充填された形となっている。これにより、導体厚が薄くなるため、フラットケーブル10全体の厚みを薄くすることができる。これにより、配索性が向上する。
撚線14において、隣り合う素線12同士は互いに接触する部分を有している。隣り合う素線12同士の接触する部分は、長手方向において、全長にわたっていても良いし、一部分であっても良い。撚線14全体が一つの導体として機能していれば良いため、隣り合う素線12同士は、長手方向において接触していない部分が生じていても良い。素線12の本数は特に限定されるものではなく、要求される電気特性や素線12の外径などに応じて適宜定めることができる。図1では、撚線14は、中心素線12の周囲を6本の素線12が取り囲んでいる構造をしている。
素線12の外径は、特に限定されるものではないが、応力低減効果に優れる、屈曲性に優れるなどの観点から、0.6mm以下であることが好ましい。また、取り扱い性に優れるなどの観点から、0.05mm以上であることが好ましい。素線12の外径の上限としては、より好ましくは、0.5mm以下、さらに好ましくは、0.4mm以下である。この際、全ての素線12の外径が同一であっても良いし、異なっていても良い。例えば、中心の素線12の外径がその周囲に配置される素線12の外径より大きい構成であっても良い。
素線12の断面形状は、特に限定されるものではないが、より好ましくは円形状である。この場合、撚線14において各々の素線12は圧縮加工されないで円形状を維持していても良いし、撚り合わされた状態でさらに撚線14全体の断面形状が円形状となるように撚線14が円形圧縮加工されていても良い。撚線14が円形圧縮加工されていれば、一の撚線14を構成する素線12と素線12との間の空隙を小さくできるため、同じ断面積において、導体厚や導体幅をより小さくできる。これにより、フラットケーブル10を小さくできるため、配索性を高めることができる。一方、各々の素線12が圧縮加工されていない場合には、各素線12は互いに独立に動きやすいため、応力の低減効果に優れる。これにより、柔軟性、屈曲性に優れる。
素線12の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを例示することができる。銅、銅合金としては、例えば、無酸素銅、タフピッチ銅、リン青銅などを例示することができる。素線12は、軟質のものでも良いし、硬質のものでも良い。素線12には、スズやニッケルなどの金属めっきが施されていても良い。
導体18は、撚線14を同一平面上に集めた撚線層16を積層したものよりなるため、端末加工時には、絶縁体20を皮剥して露出した複数本の撚線14を丸形状に束ねることができる。したがって、例えば既存の端子を圧着しやすく、端末加工しやすいという利点がある。また、導体18は、複数本の素線12の集合であるため、各々の素線12が円形状の場合には、導体18の外周面に略直角な角部を有しない構造となる。これによれば、フラットケーブル10が折り曲げられた場合にも、導体18が導体18の外周を覆う絶縁体20を傷付けにくくされている。
導体18は、扁平状に形成されている。この際、撚線層16の層数に対する同一平面上の撚線14の数の割合が3以上である場合には、特に柔軟性および耐屈曲性に優れる。また、扁平状に形成されていることにより、表面積が大きくなり、放熱性を良好にすることができる。これにより、許容電流量を向上できる。
導体18が扁平状であり、放熱性に優れるなどの観点から、導体厚に対する導体幅の割合(導体幅/導体厚)は、4以上であることが好ましい。より好ましくは5以上である。これにより、通電時における導体18の温度上昇が低減できるため、許容電流が増加する。
フラットケーブル10の導体18は複数本の撚線14で構成されるため、図5(a)に示すように、導体厚とは、厚み方向の一方の外側に位置する素線12aの外側から他方の外側に位置する素線12bの外側までの距離Hを表わす。また、導体幅とは、一の撚線層16内において、幅方向の一方の外側に位置する素線12cの外側から他方の外側に位置する素線12dの外側までの距離Wを表わす。撚線層16が3層以上積層されている導体においても同様である。
導体厚は、柔軟性および屈曲性に優れるなどの観点から、6mm以下であることが好ましい。より好ましくは、5mm以下である。また、導体幅は、配索性に優れるなどの観点から、15mm以下であることが好ましい。より好ましくは、13mm以下である。
導体18の断面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは10mm以上である。特に断面積の大きい導体は曲げにくくなる傾向があることから、本発明の効果は、特に断面積の大きい導体において顕著であり、導体18の断面積が10mm以上の場合には、特に従来よりも柔軟性および屈曲性に優れるからである。
このように、本発明に係るフラットケーブル10は、導体18の断面積を大きくすることができる。そのため、例えば電力ケーブルに好適である。この際、例えば導体18の数が1〜3である場合には、単相〜三相の電力ケーブルとして用いることができる。導体18が複数である場合には、導体18と導体18とは、互いに離間されて平行に配置される。
導体18は、複数本の撚線14により構成されている。撚線14は、撚りを解消するように伸張することができるため、伸張変形可能である。そうすると、フラットケーブル10が厚み方向に曲げられた場合には、各素線12に作用する応力を緩和することができる。これにより、屈曲性に優れたものとすることができる。
この際、撚りピッチの大きさによって伸張変形できる量が異なる。すなわち、撚りピッチの大きさが小さいほうが、より伸張変形することができる。そうすると、導体18において、一の撚線層16の撚線14の撚りピッチの大きさが他の撚線層16の撚線14の撚りピッチの大きさと異なっている場合、すなわち、撚線層16の積層方向に沿って撚線14の撚りピッチの大きさが傾斜している場合には、撚りピッチの大きさが大きい側に曲げやすくなる。
導体18の外周を覆う絶縁体20の形状は、特に限定されるものではない。絶縁体20の形状は、横断面が角を有する方形状であっても良いし、横断面が角を有しない楕円形状などであっても良い。絶縁体20は、例えばポリオレフィン系樹脂や塩化ビニル樹脂等の絶縁性の材料により形成されている。
以上の構成のフラットケーブル10によれば、複数本の素線12により形成された撚線14を同一平面上に集めて形成された撚線層16をさらに積層することにより形成された導体18を備えており、導体18は、厚み方向および幅方向のいずれの方向にも複数の素線12が配置された構成になっており、個々の素線12の断面積を小さくすることができる。
そのため、厚み方向あるいは幅方向において一体である従来の導体と比較して、応力が低減できる。したがって、従来の導体よりも柔軟性および耐屈曲性に優れる。これにより、従来の導体より厚くしても、柔軟性および耐屈曲性を確保できるため、優れた柔軟性および耐屈曲性を維持しつつ、従来よりも導体の幅を小さくして配索性を良好にできる。
第一実施形態に係るフラットケーブル10において、撚線14の数は、一の撚線層16と他の撚線層16とで異なっていても良い。
図2に示すように、本発明の第二実施形態に係るフラットケーブル110は、導体118と、導体118の外周を覆っている絶縁体20とを備え、導体118は、複数本の素線12よりなる撚線14が同一平面上に並行に複数本並べられて同一平面上に集められた構造をしている撚線層16を2つ有している。2つの撚線層16は、撚線14の数が、一方の撚線層16と他方の撚線層16とで異なっている。具体的には、一方の撚線層16の撚線14の数は6本であり、他方の撚線層16の撚線14の数は5本である。
一方の撚線層16と他方の撚線層16とで撚線14の数が異なっている場合には、図5(b)に示すように、導体幅は、最も撚線本数の多い撚線層16a内において、幅方向の一方の外側に位置する素線12cの外側から他方の外側に位置する素線12dの外側までの距離Wを表わす。撚線層16が3層以上積層されている導体においても同様である。
導体118の数が2以上の場合、一の導体118中における一の撚線層16の撚線14の数と、他の導体118中における一の撚線層16の撚線14の数とは同じであっても良いし、異なっていても良い。
第二実施形態に係るフラットケーブル110は、第一実施形態に係るフラットケーブル10とは、撚線層16の撚線14の数が異なるものであり、それ以外の構成については、第一実施形態に係るフラットケーブル10と同様である。そのため、第二実施形態に係るフラットケーブル110においても、導体118中における個々の素線12の断面積を小さくすることができるため、従来の導体と比較して、応力が低減できる。したがって、従来の導体よりも柔軟性および耐屈曲性に優れる。これにより、従来の導体より厚くしても、柔軟性および耐屈曲性を確保できるため、優れた柔軟性および耐屈曲性を維持しつつ、従来よりも導体の幅を小さくして配索性を良好にできる。
また、第一実施形態に係るフラットケーブル10において、隣り合う撚線層の撚線の中心位置が同じにされていても良い。すなわち、一の撚線層16を構成する撚線14が、それと隣り合う撚線層16を構成する撚線14に対して、中心位置を合わせた状態で重ねられていても良い。
図3に示すように、本発明の第三実施形態に係るフラットケーブル210は、導体218と、導体218の外周を覆っている絶縁体20とを備え、導体218は、複数本の素線12よりなる撚線14が同一平面上に並行に複数本並べられて同一平面上に集められた構造をしている撚線層16を2つ有しており、2つの撚線層16は、隣り合う撚線層の撚線の中心位置が同じになるように積層されている。一の撚線層16を構成する撚線14は、それと隣り合う撚線層16を構成する撚線14に対して、中心位置を合わせた状態で重ねられている。
隣り合う撚線層16の撚線14の中心位置が同じになるように積層されている場合には、図5(c)に示すように、導体厚は、厚み方向の一方の外側に位置する素線12aの外側から他方の外側に位置する素線12bの外側までの距離Hを表わす。撚線層16が3層以上積層されており、隣り合う撚線層16の撚線14の中心位置が同じになるように積層されている導体においても同様である。
第三実施形態に係るフラットケーブル210は、第一実施形態に係るフラットケーブル10とは、2つの撚線層16の配置が異なるものであり、それ以外の構成については、第一実施形態に係るフラットケーブル10と同様である。そのため、第三実施形態に係るフラットケーブル210においても、優れた柔軟性および耐屈曲性を維持しつつ、従来よりも導体の幅を小さくして配索性を良好にできる。
また、第一実施形態に係るフラットケーブル10あるいは第二実施形態に係るフラットケーブル110において、撚線層16の層数は、特に限定されるものではない。撚線層16の層数は、3層以上であっても良い。例えば、要求される導体18の断面積、導体厚、導体幅等を考慮して、適宜定めることができる。撚線層16の層数としては、柔軟性、屈曲性、配索性のバランスに優れるなどの観点から、2〜3層の範囲内であることが好ましい。
図4に示すように、本発明の第四実施形態に係るフラットケーブル310は、導体318と、導体318の外周を覆っている絶縁体20とを備え、導体318は、複数本の素線12よりなる撚線14が同一平面上に並行に複数本並べられて同一平面上に集められた構造をしている撚線層16を3つ有している。3つの撚線層16は、隣り合う撚線層の撚線の中心位置が同じになるように積層されている。すなわち、一の撚線層16を構成する撚線14は、それと隣り合う撚線層16を構成する撚線14に対して、中心位置を合わせた状態で重ねられている。
3つの撚線層16は、第一実施形態に係るフラットケーブル10と同様、隣り合う撚線層16の撚線14の中心位置が異なるように積層されていても良い。
第四実施形態に係るフラットケーブル310は、第二実施形態に係るフラットケーブル110とは、撚線層16の層数が異なるものであり、それ以外の構成については、第二実施形態に係るフラットケーブル110と同様である。そのため、第四実施形態に係るフラットケーブル310においても、優れた柔軟性および耐屈曲性を維持しつつ、従来よりも導体の幅を小さくして配索性を良好にできる。
本発明に係るフラットケーブルは、例えば、複数本の撚線を幅方向および厚み方向に複数本配置して撚線の束よりなる導体を形成し、導体の外周を覆うように絶縁体を形成することにより製造することができる。絶縁体は、導体の外周に樹脂等の絶縁材料を押出成形することにより形成することができるし、導体を一対の絶縁性フィルム間に挟み込むことにより形成することもできる。要するに、導体を所定形状に維持した状態で外部からの絶縁保護を図ることができる構成であれば良い。
本発明においては、導体を形成する際には、予め素線を撚り合わせて形成された撚線を複数本用いるため、応力低減などの目的で素線径を細くして必要な素線の数が増加したとしても、撚線の数が増加しなければ、導体供給源の増加を抑えることができる。また、丸素線を別途、扁平形状に加工して形成されるフラットな平角導体を用いないで、一般的な素線を用いているため、低コスト化を図ることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
平角導体を有するフラットケーブルと、撚線層よりなる導体を有するフラットケーブルについて、柔軟性の評価を行なった。具体的には、厚み0.8mm、幅10mmの平角導体の外周に厚み0.9mmで絶縁体(ポリエチレン)を被覆して、平角導体を有するフラットケーブルを作製した。また、外径0.30mmの素線を7本撚り合わせて撚線を形成し、この撚線を16本並行に並べて撚線層を形成し、この撚線層の外周に厚み0.9mmの絶縁体を被覆して、撚線層よりなる導体を有するフラットケーブルを作製した。作製した各フラットケーブルをそれぞれ300mmに切り取って、サンプル1およびサンプル2とした。各サンプルの導体断面積はそれぞれ約8mmである。各サンプルについて、下記評価方法にしたがって柔軟性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(柔軟性の評価)
フラットケーブルで直径160mmの輪を作製し、その輪を半径方向に半径の大きさだけつぶすのに必要な最大力をプッシュプルゲージで測定した。その最大力を1/2倍したものを柔軟性とした。比較した丸線についても同様に測定した。
Figure 0005531470
撚線層よりなる導体を有するサンプル2は、平角導体を有するサンプル1よりも柔軟性に優れることが確認できた。これは、導体が撚線で構成されており、撚線を構成する個々の素線の断面積が小さいため、応力が低減できたためと推察される。そして、このことは、撚線層を2層以上積層した導体であっても、同様に応力が低減できるため、平角導体を有するサンプル1よりも柔軟性に優れるものと推察される。
(実施例2)
各フラットケーブル(サンプル3〜6)について、柔軟性の評価を行なった。サンプル3は、本発明の実施例であり、外径0.26mmの素線37本よりなる撚線5本を同一平面上に並行に配置してなる撚線層と同撚線6本を同一平面上に並行に配置してなる撚線層とを、図2に示すように撚線が細密充填されるように積層してなる導体の外周に0.8mm厚で絶縁体(ポリエチレン)を被覆したものである。
サンプル4は、比較例であり、厚み1.80mm、幅11.1mmの平角導体の外周に0.8mm厚で絶縁体(ポリエチレン)を被覆したものである。サンプル5は、比較例であり、外径1.8mmの素線8本を同一平面上に並行に配置してなる導体の外周に0.8mm厚で絶縁体を被覆したものである。サンプル6は、参考例であり、外径0.26mmの素線37本よりなる撚線10本を同一平面上に並行に配置してなる導体の外周に0.8mm厚で絶縁体を被覆したものである。
各サンプルをそれぞれ502mmに切り取ったものについて、上記評価方法にしたがって柔軟性の評価を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 0005531470
これによれば、サンプル4では、平角導体を用いており、導体の厚みが厚いため、柔軟性に劣っている。サンプル5では、素線を同一平面上に並行に配置してなる導体を用いており、素線の外径が導体厚になっているため、柔軟性に劣っている。サンプル6では、撚線を同一平面上に配列してなる撚線層よりなる導体を用いているため、柔軟性に優れるものの、幅が広くなりすぎている。そのため、配索性にやや劣っている。
これに対し、サンプル3では、撚線を同一平面上に配列してなる撚線層を2層積層してなる導体であり、柔軟性に優れている。また、撚線層を積層する構成であるため、サンプル6と比較して、導体幅を小さく抑えることができる。したがって、配索性にも優れる。すなわち、サンプル3によれば、柔軟性および配索性に優れることが確認できた。
(実施例3)
素線の外径と屈曲性との関係について検討した。すなわち、表3に示すように、外径φ=1.00mm、0.80mm、0.45mm、0.35mm、0.20mmの5種類の素線について、下記方法に基づいて屈曲試験を行なった。各素線についてそれぞれ屈曲試験を3回ずつ行なった。その結果を表3および図7に示した。なお、参考のため、図7中には、各データ点を結ぶ曲線を一点鎖線で示した。
(屈曲試験の方法)
屈曲試験は、図6に示すように、長さ300mmの素線1の一端を回動アームに固定し、その他端におもり2をつるし、素線1の長手方向中間部を一対の円柱状部材3a、3b(半径r=6mm)で挟みこんだ状態で、素線1が円柱状部材3a、3bの周面に沿うように、一方向に90度、他方向に90度、回動アームを回動させて、曲げ半径rで素線1を繰返し屈曲させることにより行なった。おもり2としては、素線1に対して25.5MPaの応力が作用するように調整したものを用いた。屈曲の繰返し速度は1分間に90往復とした。この際、屈曲試験によって素線1が断線に至るまでの屈曲回数(往復回数)をもって屈曲性を評価した。
Figure 0005531470
これらの結果から、素線の外径が小さくなるのに伴い、断線に至る屈曲回数が増加し、特に素線の外径が0.60mm以下となる範囲で、屈曲回数が急激に増加していることが確認できた。また、通常、断線に至る屈曲回数が70回以上であると、実用上問題ない耐屈曲性が得られるところ、素線の外径が0.60mm以下では屈曲回数が70回を超えていることも確認できた。この結果は、複数本の素線の集合体である撚線および撚線層においても同様の結果が得られるものと推察できる。したがって、素線の外径は0.60mm以下であることが特に好ましいことが確認できた。
(実施例4)
導体厚に対する導体幅の割合(導体幅厚比、幅/厚)と許容電流との関係について検討した。具体的には、図8に示す各導体構成の導体について、許容電流増加率を算出した。許容電流増加率は、導体幅厚比が1の導体の許容電流と比較したときの増加率とした。許容電流増加率は、下記の式1により算出した。許容電流値は、雰囲気温度40℃で各電線に通電し、温度上昇Δtが40℃になる電流値とした。その結果を、図8および図9に示す。
(式1)
許容電流増加率={(A−B)/B}×100
但し、A:導体構成1〜4のいずれかの導体の許容電流値
B:導体構成1〜4のいずれかの導体に対応する導体幅厚比が1の導体の許容電流値
導体配列1の導体は、撚線3本よりなる撚線層と撚線2本よりなる撚線層とからなり、導体配列2の導体は、撚線5本よりなる撚線層と撚線4本よりなる撚線層とからなり、導体配列3の導体は、撚線8本よりなる撚線層と撚線7本よりなる撚線層とからなり、導体配列4の導体は、撚線10本よりなる撚線層と撚線9本よりなる撚線層とからなる。撚線層は、撚線が細密充填されるように積層した。各撚線は1.5φの素線7本で構成され、各導体の外周には0.8mm厚で絶縁体(ポリエチレン)を被覆した。
導体幅厚比が1の各導体は、1.5φの素線7本で構成される撚線を複数本束ねたもので構成されたものであり、対応する導体配列の導体とは、撚線の本数および導体断面積を同じくしたものである。各導体の外周には0.8mm厚で絶縁体(ポリエチレン)を被覆した。
図8および図9より、導体幅厚比が4以上のものは、導体が比較的扁平状であるため、放熱性に優れ、許容電流増加率が大きいことが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10、110、210、310 フラットケーブル
12 素線
14 撚線
16 撚線層
18、118、218、318 導体
20 絶縁体

Claims (9)

  1. 複数本の撚線が同一平面上に集められてなる撚線層が積層されて構成された導体と、
    前記導体の外周を被覆する絶縁体とを有することを特徴とするフラットケーブル。
  2. 前記撚線を構成する素線の外径は、0.6mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブル。
  3. 前記撚線層は、隣り合う撚線層の撚線の中心位置が異なるように積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフラットケーブル。
  4. 前記導体の断面積は、10mm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフラットケーブル。
  5. 前記撚線層の層数に対する同一平面上の撚線数の割合は、3以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフラットケーブル。
  6. 前記導体の幅は、15mm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフラットケーブル。
  7. 前記導体の厚さに対する前記導体の幅の割合は、4以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のフラットケーブル。
  8. 前記導体の数は、1〜3の範囲内であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のフラットケーブル。
  9. 前記撚線の撚りピッチの大きさは、撚線層の積層方向に沿って傾斜していることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のフラットケーブル。
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