JP5532508B2 - 波長変換部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白色LED等の構成部材として用いられる波長変換部材およびその製造方法に関するものである。
近年、白色LEDの開発が盛んになっている。白色LEDは、例えば青色または紫外の励起光を発するLEDと、無機蛍光体粉末が樹脂等のマトリクス中に分散されてなる波長変換部材から構成されている。無機蛍光体粉末はLEDからの励起光を受けて励起光とは異なる波長の光(蛍光)を発する。一方、LEDからの励起光のうち一部は波長変換に寄与せずに波長変換部材を透過する。これらの光が混ざり合って白色光が得られる。
白色LEDは白熱灯や蛍光灯に比べ消費電力が低く寿命が長いことを特徴としており、携帯電話やデジタルカメラ等のバックライトとして使用されつつある。今後は、白熱灯や蛍光灯に替わる次世代の光源として、照明用途への応用が期待されている。
ところで、白色LEDは用途によってはますます高い輝度(ハイパワー化)が要求されている。従来のように樹脂マトリクス中に無機蛍光体粉末を分散させる方法では、LEDからの熱によって樹脂マトリクスが変色し、長期間使用すると輝度が低下するという問題があった。また、無機蛍光体粉末を含有する樹脂をLED上に塗布する際、厚みにばらつきが生じやすく、配光性低下の原因にもなっていた。
これらの問題を解決するために、無機蛍光体粉末をガラス中に分散させ、波長変換部材を完全に無機化する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。当該方法によれば、波長変換部材の耐熱性および耐候性を向上させることが可能となる。例えば、長時間の高温環境下(150℃、600時間)や長時間の高温高湿環境下(2000時間、温度85℃、湿度85%)に晒しても白色LEDの発光特性がほとんど変化せず、また太陽光の紫外線に長時間晒されても着色や劣化がほとんどない。さらには、加工性に優れることから、厚みばらつきによる配光性の低下も抑制することが可能となる。
特開2005−11933号公報 特許第4158012号公報
無機蛍光体粉末をガラスマトリクスに分散させてなる波長変換部材は、従来品と比較して長期安定性に優れるものの、励起光を受ける受光面と、無機蛍光体粉末の発光(あるいは波長変換されなかった励起光の透過光)が発せられる発光面において、反射や散乱による光損失が発生するため発光効率が未だ不十分である。
したがって、本発明は、ガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末が分散された波長変換部材であって、励起光や無機蛍光体粉末の発光を効率よく透過させることができ、高い発光効率を得ることができる波長変換部材を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意検討した結果、ガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末が分散された波長変換部材において、ガラスマトリクスと無機蛍光体粉末の硬度差に着目し、当該硬度差を特定の範囲に制限するとともに、特定の表面性状を有する構造とすることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
すなわち、本発明は、無機蛍光体粉末がガラスマトリクス中に分散してなる板状体からなり、表面に研磨加工面を有する波長変換部材であって、無機蛍光体粉末とガラスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))が300以上であり、かつ表面粗さRaが0.05μm以下であることを特徴とする波長変換部材に関する。
一般に、発光効率の高い白色LEDを得るためには、波長変換部材の励起光を受ける受光面と、無機蛍光体粉末の発光(あるいは波長変換されなかった励起光の透過光)が発せられる発光面をともに鏡面研磨することにより効率良く励起光を入射させ、かつ無機蛍光体粉末からの発光や励起光の一部を透過させることが望ましいとされている。しかしながら、ガラスと無機蛍光体粉末という異種材料を含む複合体を研磨加工する場合、両者の硬度が相当異なる場合には、研磨速度の相違が原因となって平坦な研磨面が得られず、むしろ研磨加工により凹凸がより際立つ(表面粗さRaが大きくなる)傾向があることがわかった。そして、そのようにして波長変換部材の表面に形成された凹凸が発光効率低下の原因となっていることを見出した。
そこで本発明では、波長変換部材における無機蛍光体粉末とガラスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))に着目し、特に当該ビッカース硬度差が300以上と大きい場合に、表面粗さRaを0.05μm以下に制限することにより、受光面と発光面において反射や散乱による光損失を極力抑制でき、発光効率を向上させることが可能となる。
なお、本発明において表面粗さRaはJIS B0601:2001に準じて測定された値をいう。
第二に、本発明の波長変換部材は、無機蛍光体粉末とガラス粉末を含む混合粉末の焼結体からなることを特徴とする。
当該構成によれば、無機蛍光体粉末をガラスマトリクス中に均一に分散させやすくなり、色ばらつきの小さい波長変換部材とすることができる。また、所望の形状(例えば板状体)を有する波長変換部材を、精度良く容易に加工することが可能となる。
に、本発明の波長変換部材は、0.05〜1mmの肉厚を有することを特徴とする。
に、本発明の波長変換部材は、無機蛍光体粉末が、ガーネット系、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、アルミン酸塩化物およびハロリン酸塩化物から選ばれた1種以上であることを特徴とする。
に、本発明の波長変換部材は、ガラスが850℃以下の軟化点を有することを特徴とする。
に、本発明は、前記いずれかに記載の波長変換部材を製造する方法であって、無機蛍光体粉末とガラス粉末を含む混合粉末を予備成型し、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成することにより焼結体を得る工程、および、ダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリーを用いて焼結体の表面を研磨する工程を含む波長変換部材の製造方法に関する。
無機蛍光体粉末とガラスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))が300以上と非常に大きい波長変換部材の表面に対して、従来一般的に用いられてきた酸化セリウム等の研磨砥粒を用いて研磨処理を施すと、無機蛍光体粉末とガラスの研磨速度差が原因となって、表面粗さRaが0.1μmより大きく(特に0.2μm以上)なる傾向がある。このようにして得られた波長変換部材を用いた白色LEDは、LEDチップからの励起光や無機蛍光体粉末からの発光が部材表面で散乱しやすく発光効率に劣る。一方、本発明の製造方法によれば、無機蛍光体粉末とガラスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))が300以上と非常に大きい場合であっても、部材表面の研磨にダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリーを用いるため、当該ビッカース硬度差に起因する研磨速度差を極力小さくすることができる。したがって、無機蛍光体粉末とガラスを均一に研磨することができ、0.05μm以下という非常に小さい表面粗さRaを容易に達成することができる。その結果、発光効率に優れた波長変換部材を得ることが可能となる。
本発明の波長変換部材は、無機蛍光体粉末とガラスマトリクスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))が300以上と非常に大きいにもかかわらず、表面粗さRaが0.1μm以下と小さいため、白色LEDに使用した場合に発光効率に優れる。表面粗さRaが0.1μmよりも大きいと、波長変換部材表面における光の散乱が原因で励起光の透過率が低下するとともに、無機蛍光体粉末に照射される励起光の量も低減して発光量が低下する。また、無機蛍光体粉末からの発光も波長変換部材の発光面にて散乱してロスが発生する。結果として、波長変換部材の発光効率が低下する。表面粗さRaは好ましくは0.05μm以下である。
なお本発明において、無機蛍光体粉末とガラスマトリクスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))が350以上、特に400以上であれば、本発明による効果をより一層享受しやすくなる。
本発明の波長変換部材の形状は特に限定されないが、例えば板状体であれば、表面研磨が容易であることから上記表面粗さRaを達成しやすくなる。波長変換部材が板状体である場合、肉厚は0.05〜1mm、特に0.1〜0.8mmであることが好ましい。波長変換部材の肉厚が0.05mm未満であると、機械的強度に劣るとともに、製造および加工が困難となる。一方、波長変換部材の肉厚が1mmを超えると、LEDからの励起光が透過しにくくなり、光束値が低下する傾向がある。
なお、波長変換部材が板状体の場合、両表面ともに表面粗さRaが0.1μm以下であれば、高い発光効率が得られるために好ましい。
無機蛍光体粉末としては、紫外または可視の励起光を入射すると、該励起光の波長よりも長波長の蛍光を発するものが挙げられる。例えば、可視光線からなる励起光を入射すると該励起光の色相に対して補色の蛍光を発する無機蛍光体粉末を用いると、透過した励起光と蛍光との混色により白色光が得られるため、容易に白色LEDデバイスを製造することができる。特に、可視光線からなる励起光が中心波長430〜490nmを有する光線であり、蛍光が中心波長530〜590nmを有する光線であると、白色光が得られやすいため好ましい。
本発明において使用可能な無機蛍光体粉末としては、一般に市場で入手できるものであれば特に限定されない。例えば、YAG等のガーネット系(Hv(0.05)=1100〜1700)、酸化物(Hv(0.05)=800〜1600)、窒化物(Hv(0.05)=1200〜1800)、酸窒化物(Hv(0.05)=1200〜1800)、硫化物(Hv(0.05)=100〜400)、酸硫化物(Hv(0.05)=100〜400)、希土類硫化物(Hv(0.05)=100〜400)、アルミン酸塩化物(Hv(0.05)=800〜1500)、ハロリン酸塩化物(Hv(0.05)=800〜1500)などからなるものが挙げられる。
上記無機蛍光体粉末の中でも、波長300〜500nmに励起帯を有し波長380〜780nmに発光ピークを有するもの、特に青色(波長440〜480nm)、緑色(波長500〜540nm)、黄色(波長540〜595nm)、赤色(波長600〜700nm)に発光するものを用いることが好ましい。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の発光を発する無機蛍光体粉末としては、Sr(POCl:Eu2+、(Sr,Ba)MgAl1017:Eu2+、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+などが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、CdS:In、CaS:Ce3+、Y(Al,Gd)12:Ce2+、CaScSi12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+、ZnS:Al3+,Cu、CaS:Sn2+、CaS:Sn2+,F、CaSO:Ce3+,Mn2+、LiAlO:Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、ZnS:Cu,Cl、CaWO:U、CaSiOCl:Eu2+、Sr0.2Ba0.7Cl1.1Al3.45:Ce3+,Mn2+、BaMgSi:Eu2+、BaSiO:Eu2+、BaLiSi:Eu2+、ZnO:S、ZnO:Zn、CaBa(POCl:Eu2+、BaAl:Eu2+などが挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl:Eu2+、SrGa:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、CdS:In、CaS:Ce3+、Y(Al,Gd)12:Ce2+、CaScSi12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+などが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、ZnS:Eu2+、Ba(POCl:U、SrWO:U、CaGa:Eu2+、SrSO:Eu2+,Mn2+、ZnS:P、ZnS:P3−,Cl、ZnS:Mn2+などが挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、Y(Al,Gd)12:Ce2+、Ba(POCl:U、CaGa:Eu2+などが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、CaS:Yb2+,Cl、GdGa12:Cr3+、CaGa:Mn2+、Na(Mg,Mn)LiSi10:Mn、ZnS:Sn2+、YAl12:Cr3+、SrB13:Sm2+、MgSrSi:Eu2+,Mn2+、α−SrO・3B:Sm2+、ZnS−CdS、ZnSe:Cu,Cl、ZnGa:Mn2+、ZnO:Bi3+、BaS:Au,K、ZnS:Pb2+、ZnS:Sn2+,Li、ZnS:Pb,Cu、CaTiO:Pr3+、CaTiO:Eu3+、Y:Eu3+、(Y、Gd):Eu3+、CaS:Pb2+,Mn2+、YPO:Eu3+、CaMgSi:Eu2+,Mn2+、Y(P、V)O:Eu3+、YS:Eu3+、SrAl:Eu3+、CaYAlO:Eu3+、LaOS:Eu3+、LiW:Eu3+,Sm3+、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu2+,Mn2+、BaMgSi:Eu2+,Mn2+などが挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、ZnS:Mn2+,Te2+、MgTiO:Mn4+、KSiF:Mn4+、SrS:Eu2+、CaS:Eu2+、Na1.230.42Eu0.12TiSi11、Na1.230.42Eu0.12TiSi13:Eu3+、CdS:In,Te、CaAlSiN:Eu2+、CaSiN:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、Euなどが挙げられる。
なお、励起光や発光の波長域に合わせて、複数の無機蛍光体粉末を混合して用いてもよい。例えば、紫外域の励起光を照射して白色光を得る場合は、青色、緑色、黄色、赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末を混合して使用すればよい。
本発明におけるガラスマトリクスには、無機蛍光体粉末を安定に保持するための媒体としての役割がある。また、ガラスマトリクスのガラス組成によって波長変換部材の色調が異なり、また無機蛍光体粉末との反応性に差が出るため、これらの条件を考慮して使用するガラス組成を選択することが好ましい。さらに、ガラス組成に適した無機蛍光体粉末の添加量や、波長変換部材の厚みを決定することも重要である。ガラスとしては、無機蛍光体粉末と反応しにくいものであれば、組成系に特に制限はないが、850℃以下、さらには800℃以下の軟化点を有するガラスからなるものを用いることが好ましい。ガラスの軟化点が高くなると焼成温度も高くなるため、焼成時に無機蛍光体粉末が劣化して、発光効率の高い波長変換部材が得られにくくなる。
ガラスとしては、例えば、SiO−B−RO系ガラス(RはMg、Ca、Sr、Baを示す)(Hv(0.05)=500〜700)、SiO−B−R’O系ガラス(R’はLi、Na、Kを示す)(Hv(0.05)=500〜700)、SiO−B−Al系ガラス(Hv(0.05)=500〜700)、SiO−B−ZnO系ガラス(Hv(0.05)=500〜700)、ZnO−B系ガラス(Hv(0.05)=400〜600)、SnO−P系ガラス(Hv(0.05)=200〜400)を用いることができる。これらのガラスは目的とする特性に応じて適宜選択すればよい。例えば低温で焼成したい場合は、比較的軟化点が低いZnO−B系ガラス、SnO−P系ガラスを選択すればよく、波長変換部材の耐候性を向上させたい場合は、SiO−B−RO系ガラス、SiO−B−R’O系ガラス、SiO−B−Al系ガラス、SiO−B−ZnO系ガラスを選択すればよい。
SiO−B−RO系ガラスを用いる場合、モル%で、SiO 30〜80%、B 1〜30%、MgO 0〜10%、CaO 0〜30%、SrO 0〜20%、BaO 0〜40%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜45%、Al 0〜10%、ZnO 0〜10%の組成を含有するガラスを使用することが好ましい。
また上記成分以外にも、ガラスの溶融性を向上させたり、ガラスの軟化点を下げて低温で焼成しやすくするためにLiO、NaOおよびKOを合量で5%まで添加することができる。他にも、ガラスの溶融性を向上させるためにPを5%まで、ガラスの化学的耐久性を向上させるためにTa、TiO、Nb、Gd、Laをそれぞれ15%まで添加してもよい。
SiO−B−R’O系ガラスを用いる場合、モル%で、SiO 30〜80%、B 1〜55%、LiO 0〜20%、NaO 0〜25%、KO 0〜25%、LiO+NaO+KO 5〜35%、Al 0〜10%、ZnO 0〜10%の組成を含有するガラスを使用することが好ましい。
また上記成分以外にも、ガラスの溶融性を向上させるためにMgO、CaO、SrOおよびBaOを合量で5%まで添加することができる。他にも、ガラスの溶融性を向上させるためにPを5%まで、ガラスの化学的耐久性を向上させるために、Ta、TiO、Nb、Gd、Laをそれぞれ15%まで添加してもよい。
SiO−B−Al系ガラスを用いる場合、モル%で、SiO 30〜70%、B 15〜55%、Al 15〜55%、LiO 0〜10%、NaO 0〜10%、KO 0〜10%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%の組成を含有するガラスを使用することが好ましい。
また上記成分以外にも、ガラスの溶融性を向上させるためにPを5%まで、ガラスの化学的耐久性を向上させるために、Ta、TiO、Nb、Gd、Laをそれぞれ15%まで添加してもよい。
SiO−B−ZnO系ガラスを用いる場合、モル%で、SiO 5〜50%、B 15〜55%、ZnO 30〜80%、LiO 0〜10%、NaO 0〜10%、KO 0〜10%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%の組成を含有するガラスを使用することが好ましい。
また上記成分以外にも、ガラスの化学的耐久性を向上させるためにAlを5%まで添加してもよく、ガラスの化学的耐久性を向上させるためにTa、TiO、Nb、Gd、Laをそれぞれ15%まで添加してもよい。
ZnO−B系ガラスを用いる場合、モル%で、ZnO 30〜80%、B 20〜70%、SiO 0〜5%、LiO 0〜10%、NaO 0〜10%、KO 0〜10%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%の組成を含有するガラスを使用することが好ましい。
また上記成分以外にも、ガラスの化学的耐久性を向上させるためにAlを5%まで添加してもよく、ガラスの化学的耐久性を向上させるためにTa、TiO、Nb、Gd、Laをそれぞれ15%まで添加してもよい。
SnO−P系ガラスを用いる場合、モル%で、SnO 35〜80%、P 5〜40%、B 0〜30%、Al 0〜10%、SiO 0〜10%、LiO 0〜10%、NaO 0〜10%、KO 0〜10%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%の組成を含有するガラスを使用することが好ましい。
また上記成分以外にも、耐候性を向上させるためにZnO、Ta、TiO、Nb、Gd、Laを合量で10%まで添加してもよい。
なお、軟化点を低下させ、かつガラスを安定化させるには、SnO/P(モル比)を0.9〜16の範囲にすることが好ましい。SnO/Pが0.9より小さくなると、軟化点が上昇して低温焼成が困難となり、無機蛍光体粉末が劣化しやすくなる。また、耐候性が著しく低下する傾向にある。一方、SnO/Pが16より大きくなると、ガラス中にSnに起因する失透ブツが析出し、ガラスの透過率が低下する傾向にあり、結果として、高い発光効率を有する波長変換部材が得にくくなる。SnO/Pの好ましい範囲は1.5〜10、さらには2〜5である。
本発明の波長変換部材は、無機蛍光体粉末がガラスマトリクス中に分散してなるものであれば特に限定されないが、無機蛍光体粉末とガラス粉末を含む混合粉末の焼結体からなるものであると、無機蛍光体粉末をガラスマトリクス中に容易かつ均一に分散させることができるため好ましい。
本発明に使用するガラス粉末の平均粒径D50は、0.1〜100μm、特に1〜50μmであることが好ましい。ガラス粉末の平均粒径D50が小さすぎると、焼成する際に気泡の発生量が多くなる。波長変換部材中に気泡が多く含まれると光散乱の原因となり発光効率が低下する傾向がある。好ましい気孔率は2%以下、特に1%以下である。一方、平均粒径D50が大きすぎると、波長変換部材中に無機蛍光体粉末が均一に分散されにくくなり、結果として、波長変換部材の発光効率が低下する傾向がある。
波長変換部材の発光効率(lm/W)は、ガラスマトリクス中に分散した無機蛍光体粉末の種類や含有量、さらには発光色変換部材の肉厚によって変化する。波長変換部材の発光効率を高めたい場合、肉厚を薄くして励起光や蛍光の透過率を高めたり、無機蛍光体粉末の含有量を多くして、変換させる光量を増加させることで調整すればよい。しかしながら、無機蛍光体粉末の含有量が多くなりすぎると、緻密な構造が得られにくくなり気孔率が大きくなる傾向がある。結果として、励起光が効率良く無機蛍光体粉末に照射されにくくなったり、波長変換部材の機械的強度が低下しやすくなるなどの問題が生じる。一方、無機蛍光体粉末の含有量が少なすぎると、十分な発光が得られにくくなる。したがって、波長変換部材における無機蛍光体粉末の含有量は、質量%で、0.01〜30%、0.05〜20%、特に0.08〜15%であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法は、無機蛍光体粉末とガラス粉末を含む混合粉末を予備成型し、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成することにより焼結体を得る工程、および、ダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリーを用いて焼結体の表面を研磨する工程を含むことを特徴とする。
予備成型方法は特に制限されず、プレス成形法や、射出成形法、シート成形法、押し出し成形法等の方法を採用することができる。
ガラス粉末と無機蛍光体粉末の混合粉末を焼成する温度としては、300〜900℃、特に300〜850℃の範囲であり、かつ、ガラス粉末の軟化点±50℃以内であることが望ましい。焼成温度が900℃またはガラス粉末の軟化点+50℃より高くなると、無機蛍光体粉末が劣化したり、ガラス粉末と無機蛍光体粉末が反応して発光効率が著しく低下する場合がある。また、焼成温度が300℃またはガラス粉末の軟化点−50℃より低くなると、波長変換部材の気孔率が増加し、光の散乱が強くなりやすく、結果として、透過する光量が低下して発光効率が低下する場合がある。
ダイヤモンド砥粒の粒径が小さすぎると、研磨速度が不十分となり生産性に劣る傾向がある。一方、ダイヤモンド砥粒の粒径が大きすぎると、所望の表面粗さRaが得られにくくなる。ダイヤモンド砥粒の平均粒径D50の好ましい範囲は1〜10μm、特に2〜3μmである。
なお、研磨定盤としては、表面に繊維を織り込んだクロス材を表面にもつ定盤、錫と樹脂の複合定盤、ウレタン製パッド等を用いることができる。
研磨方法は特に限定されず、例えば波長変換部材の片面を研磨定盤上に固定させて片面毎に研磨する方法(修正輪型研磨方式)が挙げられる。また、波長変換部材を固定用のキャリアに固定させて定盤に挟み、両面を一度に研磨するバッチ式の研磨方法でもよい。
なお、ダイヤモンド砥粒による研磨を行う前に、アルミナセラミックや炭化珪素等の遊離砥粒による荒削り研磨を行うことが好ましい。遊離砥粒の番手としては、#1200以上、さらには#2000以上、平均粒径D50としては10〜20μmであることが好ましい。荒削り研磨後の波長変換部材の表面粗さRaは0.5μm以下であることが好ましい。また荒削り研磨後の波長変換部材の厚みは、目標とする最終製品の厚みに対して+15〜+20μmであることが好ましい。荒削り研磨後の波長変換部材の表面粗さRaまたは厚みが上記範囲を超えると、ダイヤモンド砥粒による研磨時間が大幅に増加して生産性が悪化する。
本発明の製造方法によると、板状体の波長変換部材の厚みを一定にすることが容易となり、当該波長変換部材を用いた白色LEDデバイスは均一な白色光が得られやすくなる。また、波長変換部材の厚みを変化させるだけで、励起光強度と蛍光強度のバランスを自由に変化させることができるため、所望の色度や色温度の白色光が容易に得ることができる。
本発明の波長変換部材は、LEDチップ上に直接接着してもよいし、LEDチップを取り囲む函体上に接着して用いてもよい。また、本発明の板状体の波長変換部材の下側にLEDチップを複数個設置することによって、発光機能と拡散機能を備えた面発光デバイスとして利用することも可能である。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1〜3は本発明の実施例(No.1、3、5、7、9、11、13、15)および比較例(No.2、4、6、8、10、12、14、16)を示している。
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まず、表に示すガラス組成となるようにガラス原料を秤量して混合し、この混合物を白金坩堝中において900〜1400℃で1時間溶融してガラス化した。溶融ガラスをフィルム状に成形し、得られたフィルム状ガラスをボールミルで粉砕した後、325メッシュの篩に通して分級し、平均粒径D50が45μmのガラス粉末を得た。得られたガラス粉末について軟化点を測定した。軟化点は、マクロ型視差熱分析計を用いて測定し、得られたグラフの第四の変曲点の値を軟化点とした。
次に、ガラス粉末と無機蛍光体粉末を表に示す配合比となるように混合し、金型を用いて加圧成形して直径1cmのボタン状の予備成形体を作製した。この予備成形体を表に示す焼成温度で焼成し、焼結体を得た。焼結体に対して荒削り研磨処理を施して直径8mm、厚さ0.3mmに加工した。続いて、ダイヤモンド砥粒と繊維を織り込んだクロス材を表面にもつ定盤を用いて両面研磨を行い、波長変換部材を得た。なお、比較例の試料は酸化セリウム砥粒とウレタン製パッドを用いて両面研磨を行った。得られた波長変換部材について、ガラスマトリクスと無機蛍光体粉末のビッカース硬度と発光効率を測定した。結果を表1〜3に示す。
ビッカース硬度測定値(HV)は、同一測定サンプル表面の十点につき測定した値の平均とした。測定に用いた荷重は50gとした。
波長変換部材の発光特性は次のようにして評価した。青色LEDによって各サンプルを励起し、サンプル前方から発せられる光を積分球内で測定し、その発光スペクトルを得た。得られたスペクトルから発光効率を算出した。
表から明らかなように、本発明の実施例である試料No.1、3、5、7、9、11、13、15の波長変換部材は、ビッカース硬度が300以上であるにも関わらず、表面粗さRa0.05μm以下となっており、各実施例に対応する比較例(試料No.2、4、6、8、10、11、12、14、16)と比較して発光効率が良好であった。

Claims (6)

  1. 無機蛍光体粉末がガラスマトリクス中に分散してなる板状体からなり、表面に研磨加工面を有する波長変換部材であって、無機蛍光体粉末とガラスのビッカース硬度差(ΔHv(0.05))が300以上であり、かつ表面粗さRaが0.05μm以下であることを特徴とする波長変換部材。
  2. 無機蛍光体粉末とガラス粉末を含む混合粉末の焼結体からなることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 0.05〜1mmの肉厚を有することを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換部材。
  4. 無機蛍光体粉末が、ガーネット系、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、希土類硫化物、アルミン酸塩化物およびハロリン酸塩化物から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の波長変換部材。
  5. ガラスが850℃以下の軟化点を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の波長変換部材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の波長変換部材を製造する方法であって、無機蛍光体粉末とガラス粉末を含む混合粉末を予備成型し、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成することにより焼結体を得る工程、および、ダイヤモンド砥粒を含む研磨スラリーを用いて焼結体の表面を研磨する工程を含む波長変換部材の製造方法。
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