以下、本発明の一実施形態を図1〜図31に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、移動情報検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
転写ベルト2040は、ベルト本体、及び該ベルト本体の表面を覆っている光透過性部材を含んでいる。ベルト本体の表面は、微小な凹凸構造を有している。一方、光透過性部材の表面は、平坦である。なお、光透過性部材は、光学的に完全に透明である必要はなく、少しの光吸収があっても良い。
この転写ベルト2040は、不図示の駆動モータによって移動している。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
移動情報検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置され、転写ベルト2040の移動情報(ここでは、移動量及び移動速度)を検出するために設けられている。検出結果は、プリンタ制御装置2090に通知される。なお、この移動情報検出器2245の詳細については後述する。
プリンタ制御装置2090は、例えば、ジョブ中に、移動情報検出器2245を用いた転写ベルト2040の移動情報検出処理をリアルタイムに行う。そして、その検出結果に基づいて、転写ベルト2040の駆動モータをリアルタイムでフィードバック制御する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4つの光検知用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)、及び走査制御装置30(図7参照)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示省略、図5参照)の所定位置に組み付けられている。
また、カップリングレンズ2201aの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200aにおける主走査対応方向は「m1方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。また、光源2200bにおける主走査対応方向は「m2方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
各光束分割プリズムは、入射光束の半分を透過させ、残りを反射するハーフミラー面と、該ハーフミラー面で反射された光束の光路上にハーフミラー面に平行に配置されたミラー面とを有している。すなわち、各光束分割プリズムは、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。ここでは、光源2200aからの光束が光束分割プリズム2203aに入射し、光源2200bからの光束が光束分割プリズム2203bに入射する。
各液晶素子は、出力画像における色ずれを抑制するのに用いられる。
各液晶素子は、印加電圧に応じて、入射光をZ軸方向に関して偏向することができる。各液晶素子は、2枚の透明なガラス板の間に液晶が封入された構成であり、一例として図6(A)に示されるように、一方のガラス板の表面の上下に電極が形成されている。この電極間に電位差が与えられると、一例として図6(B)に示されるように、Z軸方向に関して電位の傾斜が発生し、それに応じて液晶の配向が変化し、その結果、Z軸方向に関して屈折率の傾斜が発生する。これにより、プリズムと同様に光の射出軸をZ軸方向に関してわずかに傾けることができる。なお、液晶としては誘電異方性を有するネマティック液晶等が用いられる。
図2に戻り、液晶素子2211aは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw1方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
液晶素子2211bは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw1方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
液晶素子2211cは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw2方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
液晶素子2211dは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw2方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
シリンドリカルレンズ2204aは、液晶素子2211aからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、液晶素子2211bからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、液晶素子2211cからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、液晶素子2211dからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸回りに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折り返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。また、各折り返しミラーは、それぞれミラー保持部材(図示省略)に保持されて、光学ハウジング2300に固定されている。
また、シリンドリカルレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
走査制御装置30は、一例として図7に示されるように、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、液晶素子駆動回路213、IF(インターフェース)214、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、書込制御回路219、及び光源駆動回路221などを有している。なお、図7における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)214を介して供給される。
画素クロック生成回路215は、各ステーションの画素クロック信号を生成する。
画像処理回路216は、プリンタ制御装置2090を介して上位装置から受信した各画像情報をラスター展開するとともに、所定の中間調処理などを行った後、各画素の階調を表す画像データを作成する。
書込制御回路219は、各光検知センサの出力信号から走査開始のタイミングを検知すると、画像処理回路216からの画像データ、及び画素クロック生成回路215からの画素クロック信号に基づいて、各ステーションのパルス変調信号を生成する。
光源駆動回路221は、書込制御回路219からの各パルス変調信号に基づいて各光源を駆動する。
液晶素子駆動回路213は、CPU210の指示により、指定された液晶素子に電圧を印加する。
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、プログラムの実行に用いられる各種データなどが格納されている。
RAM212は、作業用のメモリである。
CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
例えば、CPU210は、プリンタ制御装置2090からのスポット位置の補正要求に応じて、液晶素子への印加電圧を決定し、液晶素子駆動回路213に通知する。
次に、前記移動情報検出器2245について説明する。
この移動情報検出器2245は、一例として図8に示されるように、光源11、照明用レンズ12、開口部材13、受光用レンズ14、イメージセンサ15、及び処理回路16などを備えている。
ここでは、便宜上、転写ベルト2040の表面に直交する方向をz軸方向、転写ベルト2040の移動方向をx軸方向、z軸方向及びx軸方向のいずれにも直交する方向をy軸方向として説明する。
図8では、転写ベルト2040の+z側の面が表面である。
光源11は、転写ベルト2040の+z側に配置され、z軸方向に対して−y側に傾斜した方向から、転写ベルト2040の表面(以下では、便宜上、「ベルト面」と略述する。)に向けてレーザ光を射出する。
照明用レンズ12は、光源11から射出された光束の光路上に配置され、該光束が、転写ベルト2040よりも−z側の位置pで集光するような収束性を持った光束に変換する。そこで、ベルト面は、斜めから照明される。
開口部材13は、開口を有し、ベルト面の+z側に配置されている。
受光用レンズ14は、開口部材13の+z側であって、開口部材13の開口を通過した光束の光路上に配置され、正の光学的なパワーを有している。
イメージセンサ15は、受光用レンズ14の+z側に配置され、受光用レンズ14を介した光束を受光する。イメージセンサ15は、受光面がベルト面と平行になるように配置されている。
イメージセンサ15は、1次元のイメージセンサであり、長手方向がx軸方向と一致するように配置されている。そして、イメージセンサ15としては、CCD(charge coupled device)、CMOS(complementary metal−oxide semiconductor)センサ、フォトダイオード(PD)アレイ等を用いることができる。
ここでは、受光用レンズ14及びイメージセンサ15は、ベルト面における照明領域の+z側に位置している。すなわち、イメージセンサ15の受光面は、ベルト面における照明領域と対向している。
ここでは、転写ベルト2040は、微小な凹凸構造を有しているベルト本体の表面が光透過性部材で覆われているため、ベルト面に入射した光は、大部分が光透過性部材を透過し、ベルト本体の表面で散乱される。この散乱光は、互いに干渉し合い、ベルト本体表面の凹凸に応じたスペックルパターンが形成される(図9参照)。イメージセンサ15は、このスペックルパターンを受光し、画像パターンとして出力する。
なお、イメージセンサ15の受光面とベルト面は、ほぼ共役関係にある。また、受光用レンズ14は、スペックルパターンをイメージセンサ15上に縮小して投影する。すなわち、受光用レンズ14は、いわゆる縮小光学系である。
処理回路16は、プリンタ制御装置2090から移動情報検出の指示を受けると、光源11を点灯させるとともに、一定時間間隔でイメージセンサ15から画像データ(スペックルパターン)を取得する。そして、時間的に近接した2つのスペックルパターンの相互相関関数を算出し、該相互相関関数のピーク位置に基づいて、ベルト面の移動量を算出する(例えば、特開平4−50708号公報、特開平5−306908号公報参照)。
さらに、処理回路16は、ベルト面の移動量からベルト面の移動速度を算出する。ここでの算出結果は、プリンタ制御装置2090に通知される。
ここで、2つのスペックルパターンから移動量を算出する演算について簡単に説明する。なお、2つのスペックルパターンをf1、f2、フーリエ変換をF[]、逆フーリエ変換をF−1[]とする。また、記号★は、相互相関関数を求める演算(以下では、「相互相関演算」と略述する)を意味し、*は位相共役を意味する。
f1★f2*=F−1[F[f1]・F[f2]*] ……(1)
上記(1)式におけるf1★f2*は、相互相関演算によって得られる画像データであり、f1、f2が2次元画像であれば2次元のデータであり、f1、f2が1次元画像であれば1次元のデータである。
f1★f2*の画像データにおいて、最も急峻な相関ピーク位置(画像の中心が0)が、2つのスペックルパターンの位置ずれ量を表している。
このような相互相関演算を用いた方法は、高速フーリエ変換が利用できるため、比較的少ない演算量で、かつ高精度に2つのスペックルパターンの位置ずれ量を検出できる。
図10(A)及び図10(B)は、光散乱性を有する物体にレーザ光を当て、それをCMOSカメラで撮影したものである。図10(A)は、物体が移動する前、図10(B)は、物体が100μmだけ右に移動した後である。なお、CMOSカメラの前にレンズを配置し、物体表面とCMOSの表面を略共役にしている。また、撮影倍率を1倍としているため、相関ピークの位置より算出した2つのスペックルパターンの位置ずれ量と、物体の移動量とは一致する。
図10(C)は、相互相関演算後の画像パターンであり、ブロードな強度分布の中に急峻な相関ピークが存在している。この相関ピークが、ブロードな強度分布の中に埋もれてしまうことはないが、ブロードな強度分布のピークの方が高くなることがあるため、最も急峻なピークの位置を探すことが重要である。
この場合に、ブロードな強度分布が悪影響を及ぼす場合は、位相限定相関を用いれば良い。この位相限定相関は、次の(2)式で表される。ここで、P[]とは、複素振幅において、位相のみを取り出す(振幅は全て1にする)ことを意味する。
f1★f2*=F−1[P[F[f1]]・P[F[f2]*]] ……(2)
位相限定相関で計算した例が図10(D)に示されている。この場合には、図10(C)のようなブロードな強度分布はなく、相関ピークが明瞭にみられる。このように位相限定相関を用いると、より高精度に2つのスペックルパターンの位置ずれ量を求めることができる。
ここで、2つのスペックルパターンの位置ずれ量をΔ、2つのスペックルパターンの時間間隔をτとすると、ベルト面の移動速度vは、次の(3)式を用いて算出することができる。なお、kは比例定数であり、光源11や各レンズの位置等の光学的な条件により決まる。ここでは、あらかじめkを求め、処理回路16の不図示のメモリに格納している。
v=kΔ/τ ……(3)
ところで、スペックルの大きさがイメージセンサのピクセルピッチよりも小さすぎると、検出誤差が大きくなるおそれがある。また、スペックルの大きさがイメージセンサのピクセルピッチよりも大きすぎると、イメージセンサ上に存在するスペックルが少なくなり、検出誤差が大きくなるおそれがある。このように、スペックルの大きさは、イメージセンサのピクセルピッチに応じて適切に決める必要がある。
そして、イメージセンサ上でのスペックルの大きさは、像側の開口数(NA)に依存し、開口部材の開口(アパーチャ)の大きさを小さくすれば、スペックルは大きく(粗く)なり、開口の大きさを大きくすれば、スペックルは小さくなる。
ここでは、開口部材13の開口の大きさは、イメージセンサ15上でのスペックルの大きさが、ピクセルピッチと同程度となるように設定されている。
なお、開口部材13を設ける位置は、受光用レンズ14の近傍が最も望ましいが、それ以外の場所でも良い。
また、ここでは、ベルト面上での照明光のx軸方向に関する幅をwsとしたとき、次の(4)式が満足されるように、ws及びτを設定している。なお、wsは、照明光における光強度がピーク強度の1/e2の強度となる幅で定義される。
2vτ<ws<10vτ ……(4)
仮に、wsが2vτ以下になると、光スポットの大きさに対して、取り込み間隔が長くなり、ベルト面の移動量が大きくなりすぎる。その結果、スペックルパターンが変形し、検出誤差が大きくなる。
また、仮に、wsが10vτ以上になると、光スポットの大きさが大きくなりすぎて、光利用効率が低下し、ベルト面が高速で移動している際には、速度検出できなくなってしまう。また、取り込み間隔が短いため、演算処理に高い高速性が求められ、消費電力の増大、コストアップ、演算が追いつかないといった不都合を生じる。
さらに、ここでは、一例として図11に示されるように、ベルト面における、イメージセンサ15の観察領域のx軸方向に関する長さ(幅)をwaとすると、次の(5)式が満足されるように、受光用レンズ14の倍率や、照明光の大きさが設定されている。
wa<ws<5wa ……(5)
仮に、wsがwa以下であると、イメージセンサ15の観察領域内での位置による光強度の違いが大きくなり、検出誤差が発生しやすくなる。また、仮に、wsが5wa以上であると、イメージセンサ15に入る光量が少なくなり、検出誤差が発生しやすくなる。
スペックルパターンを利用して移動体の移動情報を検出する場合には、移動後のスペックルパターンが、移動体の移動方向に、移動体の移動量に応じて、移動前のスペックルパターンをシフトさせたものであることが重要である。ここでは、このようなシフトを「並進」と呼ぶこととする。
そして、並進性が高いとは、移動体の移動量が大きくても、スペックルパターンの並進が担保されていることを意味する。
発明者らは、種々の実験及び検討を行い、ベルト面に照射されるレーザ光の特性によって、並進性が異なることを新たに見出した。このことについて、以下に説明する。
図12には、実験装置の概略構成が示されている。この実験装置は、光源111、照明用レンズ112、受光光学系114、2次元のイメージセンサ115、及び画像処理装置116などを有している。
光源111は、波長が830nmのレーザ光を射出する。
受光光学系114は、複数枚のレンズからなり、焦点距離は12.5mm、横倍率は、0.4である。また、受光光学系114は、内部に絞りを含んでおり、F値が8となるように設定されている。
イメージセンサ115は、x軸方向を長辺の方向とする長方形状の受光面を有するC−MOSイメージセンサである。そして、画素数が40×20の領域を使用した。なお、画素ピッチは9.9μmである。
画像処理装置116は、A/D変換器やDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)などが搭載された画像処理ボード、モニタ、及びキーボードなどを備えたパソコンであり、所定の画像処理プログラムがインストールされている。イメージセンサ115の出力信号は、インターフェースを介して画像処理装置116に取り込まれるようになっている。
この実験では、移動体に照射されるレーザ光の特性として、照明用レンズ112から射出される光の収束度を、収束度A、収束度B、収束度C、収束度D、及び収束度Eに変化させ、それぞれにおける並進性を調べた。ここでは、光源111と照明用レンズ112の間隔を変化させることにより、照明用レンズ112から射出される光の収束度を変化させた。
収束度Aの光は図13に示されるように、平行光である。
収束度Eの光は図14に示されるように、ベルト面近傍で集光する光である。
収束度Aと収束度Eの間に3種類の収束度を設定し、それらを、小さい方から順に、収束度B、収束度C、収束度Dとした(図15〜図17参照)。すなわち、収束度B〜Dの光は、いずれも移動体の−z側で集光する光である。
1.収束度毎に、光源111から射出され、照明用レンズ112を介した光束を移動体に照射し、移動体の移動前(移動量0)と、移動体の移動量が50μm増加する度に、イメージセンサ115を介してスペックルパターンを取得した。
なお、以下では、便宜上、移動前(移動量0)のスペックルパターンをSP1、移動量が50μmのときのスペックルパターンをSP2、移動量が100μmのときのスペックルパターンをSP3、・・・・、移動量が500μmのときのスペックルパターンをSP11とする。一例として図18には、SP1が示されている。
2.収束度毎に、各スペックルパターンについて、SP1を基準パターンとして相互相関関数を算出し、該相互相関関数におけるシャープなピーク値(以下では、「相関ピーク値」と略述する)を求めた。
なお、基準パターンとSP1とから得られた相関ピーク値は、いわゆる自己相関ピーク値である。
図19には、収束度Aの光が移動体に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(相対値)が示されている。なお、相関ピーク値が減少しても、徐々にほぼ直線的に減少している場合には、並進状態が維持されていると考えることができる。
図20には、収束度Bの光が移動体に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(相対値)が示されている。
このときには、移動体が500μm移動させても、相関ピーク値は、徐々にほぼ直線的に減少していた。
図21には、収束度Cの光が移動体に照射されたときの、SP1〜SP10における相関ピーク値(相対値)が示されている。なお、SP11では、スペックルパターンの変形によって相関ピークが立たず、算出された相関ピーク値は異常値となった。
このときには、相関ピーク値は、SP10まで徐々にほぼ直線的に減少している。SP11以降ではスペックルパターンの変形が大きかった。
図22には、収束度Dの光が移動体に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(相対値)が示されている。
このときには、相関ピーク値は、SP3まで徐々にほぼ直線的に減少しており、SP4以降ではスペックルパターンの変形が大きかった。
図23には、収束度Eの光が移動体に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(相対値)が示されている。
このときには、スペックルパターンの変形が大きかった。
3.収束度毎に、自己相関ピーク値を1、ほぼ直線的に減少したときの終点を0として、各相関ピーク値を規格化する。そして、相関ピーク値が1/e(=0.368)になるまでの移動体の移動量Tを求めた。この移動量Tは、並進性を評価する際の指標となる数値であり、並進量ということもできる。
図24には、収束度Aの光がベルト面に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(規格値)が示されている。このときには、移動量Tは約200μmであった。
図25には、収束度Bの光がベルト面に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(規格値)が示されている。このときには、移動量Tは約275μm以上であった。そこで、収束度Bのときは、収束度Aのときよりも並進性が高いと言える。
図26には、収束度Cの光がベルト面に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(規格値)が示されている。このときには、移動量Tは約275μmであった。そこで、収束度Cのときは、収束度Aのときよりも並進性が高いと言える。
図27には、収束度Dの光がベルト面に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(規格値)が示されている。このときには、移動量Tは約70μmであった。
図28には、収束度Eの光がベルト面に照射されたときの、SP1〜SP11における相関ピーク値(規格値)が示されている。このときには、移動量Tは約30μmであった。
すなわち、収束度B及び収束度Cでは、レーザ光を略平行光としたときよりも並進性は高く、収束度Dでは、レーザ光を略平行光としたときよりも並進性は低いが、収束度Eよりも並進性は高い。
このように,光源から射出された光束を、光学的な正のパワーを持つレンズにより若干収束性を持った光束に変換して移動体に照射することにより、略平行となる光束を照射する場合よりも、並進性を向上させることができる。
並進性が向上することにより、移動前後でのスペックルパターンの変形が少ないため検出精度が高まる。
また、従来と同じ時間間隔で画像を取得する場合には、移動体が大きく移動してもスペックルパターンの変化が小さいため、より高速な移動体の測定が可能になる。
また、従来と同じ速度の移動体を検出対象とする場合には、画像を取得する時間間隔を大きくとることが可能となり、演算にかかる負荷を小さくすることができる。
但し、実験結果が示すように、収束させ過ぎて、移動体近くで収束する場合は、略平行となる場合よりも並進性が低いので、必要とされる並進性に応じた収束度とすることが必要である。
ここで、移動体に照射する光の収束度を示す値をαとする。このαとしては、幾何光学的に、移動体と集光位置との距離を取ることもできるし、収束光の波面の曲率半径の絶対値を取ることもできる。なお、移動体上に収束する場合はα=0とする。
そして、収束度αにおいて、相関ピーク値が1/e(=0.368)になるまでの移動体の移動量をT(α)とする。また、移動体に照射するビームが略平行のときに、相関ピーク値が1/e(=0.368)になるまでの移動体の移動量をT(∞)とする。
そこで、収束度αは、T(α)>T(∞)、が満足される収束度であるのが良い。なお、T(0)<T(∞)であるので、α=0は当然含まれない。これにより、照明光の適切な収束度をより明確化することができる。
ところで、スペックルパターンは、並進(translation)運動とボイリング(boiling)運動を行うことが知られている(レーザー研究,第8巻,第2号「動的レーザースペックルの特性と速度測定への応用(I)」参照)。並進運動を観察する像面位置に対して、ボイリング運動が発生する位置(ボイリング面)を遠ざけることによって、像面位置に対するボイリング運動の影響をなくし、並進性を向上させることができる。
光源、照明用レンズ、受光用レンズ、イメージセンサが、1つの光軸上に配置されている場合、像面位置(ガウス像面位置)を基準としたときの、ボイリング運動が発生する位置Db(ρ)は、次の(6)式から得ることができる。
Db(ρ)=−ρf2/{(L0−f)(L0−f+ρ)} ……(6)
ここで、ρは収束する光の波面の曲率半径、L0は移動体と受光用レンズ(厳密には受光用レンズの前側主点位置)との距離、fは受光用レンズの焦点距離である。
移動体に照射する光が略平行の場合、ボイリング運動が発生する位置Db(∞)は、次の(7)式から得ることができる。ここで、mは光学倍率(横倍率)である。
Db(∞)=−f×m ……(7)
光学倍率(横倍率)mは、受光用レンズの後側主点と像面(イメージセンサの受光面)との距離をL1としたとき、次の(8)式が成立する。
m=L1/L0 ……(8)
また、焦点距離fについては、次の(9)式が成立する。
1/f=1/L0+1/L1 ……(9)
移動体に照明する光が略平行の場合よりも並進性を高くするために、収束光の場合のボイリング面を、Db(∞)よりも十分大きくすることができる。
実際の移動情報検出器2245では、ビーム合成プリズム等を使って同軸系としない限り、照明用レンズと受光用レンズを1つの光軸上には配置できないため、厳密にいえば、上記(6)式における等号は成立しない。これも踏まえて、収束光の場合のDb(ρ)を、Db(∞)の絶対値の2倍以上にすることにより、すなわち、次の(10)式が満足されることにより、略平行の場合よりも並進性を高めることが可能である。
Db(ρ)>2|Db(∞)| ……(10)
受光用レンズの焦点距離fが正であること、光学倍率mが正であることから、Db(∞)は負である。そこで、上記(10)式は、次の(11)式及び(12)式と書ける。
Db(ρ)>−2×Db(∞) ……(11)
Db(ρ)<2×Db(∞) ……(12)
上記(6)式及び(7)式を用いて上記(11)式を展開すると、次の(13)式が得られる。
ρ>−2×f/m ……(13)
同様に、上記(6)式及び(7)式を用いて上記(12)式を展開すると、次の(14)式が得られる。
ρ<−(2/3)×f/m ……(14)
上記(13)式と上記(14)式をまとめると、次の(15)が得られる。
−2(f/m)<ρ<−2/3(f/m) ……(15)
そこで、受光用レンズの焦点距離f及び光学倍率mを、上記(15)式が満足されるように設定することにより、照明光が収束光の場合のボイリング面を、照明光が略平行光の場合のボイリング面よりも、像面位置から大きく遠ざけることができ、スペックルパターンの並進性を略平行光の場合よりも向上させることができる。
図29には、上記(6)式から得られるDb(ρ)とρの関係が示されている。また、図29の一部を拡大したものが図30に示されている。ここでは、f=12.5mm、L0=43.75m、m=0.4とした。L0>fであるため、L0−f+ρ=0、すなわち、ρ=f−L0=−31.25mmで発散している。
照明光が略平行光の場合には、Db(∞)=−5.0mmとなるので、Db(ρ)>2|Db(∞)|を満足するρは、図30から、−62.5mm<ρ<−20.8mmとなる。
このように、解析的なアプローチにより、実験をすることなく、移動情報検出器のレイアウトに応じた適切な収束度を求めることができる。この場合、f及びmの値に目星を付けることで、適切な収束度を求める手間を軽減することが可能となる。
なお、上記(10)に代えて、次の(16)式を用い、ρの許容範囲を狭めることにより、ρの同定、さらには並進性に良好な条件を導くこともできる。
Db(ρ)>5|Db(∞)| ……(16)
このときは、−34.7mm<ρ<−28.4mm、となる。
図31には、時間的に隣り合う2つのスペックルパターンに基づいて算出された移動体の移動量の計測結果の一例が示されている。
ところで、転写ベルト2040のように、移動体がベルト状のときは、ベルトにホームポジションを設定しておくと良い。これによって、ベルトの厚みムラや回転ムラに起因する検出誤差を補正することが可能となる。
ここでは、あらかじめホームポジションに対応する位置で取得しておいたスペックルパターンと、移動情報検出時に取得したスペックルパターンとを比較してホームポジションを検出する。
ホームポジションを検出する具体的な方法としては、(A)ホームポジションとの位置ずれ量を求める方法、(B)ホームポジションとの時間差を求める方法、が考えられる。以下、それぞれの方法について、簡単に説明する。なお、ホームポジション位置でのスペックルパターンは、あらかじめ取得され、不図示のメモリに格納されているものとする。また、時間間隔τで取得した2つのスペックルパターンから算出されるベルト面の移動速度vを連続して求めることにより、ホームポジションと予想される位置が決定される。
(A)ホームポジションとの位置ずれ量を求める方法:
(A−1)ホームポジションと予想される位置でスペックルパターンを取得する。この取得位置をx0’とする。
(A−2)メモリからホームポジション位置でのスペックルパターンを読み出す。
(A−3)読み出したスペックルパターンと、取得したスペックルパターンとの相互相関関数を算出し、読み出したスペックルパターンに対する取得したスペックルパターンの位置ずれ量Δx0を求める。
(A−4)ホームポジションの位置x0を、次の(17)式を用いて求める。
x0=x0’+Δx0 ……(17)
(B)ホームポジションとの時間差を求める方法:
(B−1)ホームポジションと予想される位置でスペックルパターンを取得する。このスペックルパターンを取得した時間をt0’とする。
(B−2)メモリからホームポジション位置でのスペックルパターンを読み出す。
(B−3)読み出したスペックルパターンと、取得したスペックルパターンとの相互相関関数を算出し、読み出したスペックルパターンに対する取得したスペックルパターンの位置ずれ量Δx0を求める。
(B−4)t0’と時間的に連続した、もしくは時間的に近い時間t0”でのスペックルパターンを用いて、t0’とt0”間のベルト面の移動速度vを求める。
(B−5)ホームポジションの時間t0を、次の(18)式を用いて求める。
t0=t0’+Δx0/v ……(18)
ところで、転写ベルト2040の1周が長いと、ホームポジション位置とホームポジションと予想される位置とのずれ量Δx0が大きくなる場合があり、移動量の検出精度を低下させるおそれがある。この場合に、1周でのずれ量Δx0を比例換算し、時間間隔τで取得された2つのスペックルパターンから算出されたベルト面の移動量を補正することにより、移動量の検出精度を上げることができる。
なお、ホームポジション位置でのスペックルパターンは、工場出荷時にメモリに格納されているのが最も良いが、電源投入時及びメンテナンス時に行われるキャリブレーションの際に取得され、メモリに格納されても良い。
また、ホームポジション以外に基準となる位置を複数箇所に設定しておくと、移動量の検出精度をさらに上げることができる。
プリンタ制御装置2090は、処理回路16からベルト面の移動速度に関する情報を受け取ると、所望の移動速度との差を求め、該差が許容範囲を超えているときには、該差が許容範囲内となるように転写ベルト2040の駆動モータを制御する。
また、プリンタ制御装置2090は、ベルト面の移動速度と所望の移動速度との差が小さいときに、その差に応じて、光走査装置2010の液晶素子で光源からの光路を偏向させ、感光体ドラム上の光スポット位置を調整しても良い。
このときには、プリンタ制御装置2090は、光スポット位置の調整量を光走査装置2010の走査制御装置30に伝え、走査制御装置30のCPU210が該調整量に応じた印加電圧を決定する。
その結果、画像の伸び縮みや色ずれが小さく抑制された高画質なカラー画像が形成される。
本実施形態では、一例として、光源11と照明用レンズ12との距離を約8mm、照明用レンズ12とベルト面との距離を約50mm、照明光のベルト面での入射角を約45°としている。また、一例として、受光用レンズ14とベルト面との距離を43.75mm、受光用レンズ14の倍率を0.4としている。さらに、照明領域の大きさ(ws)は、約2mm、観察領域の大きさ(wa)は、約1mmとなるように設定している。
また、転写ベルト2040に関しては、一例として、一周の長さが1000〜1200mm程度、幅が340mm程度であり、稼働中は、数100mm/sの速度で移動する。
さらに、処理回路16における画像パターンの取り込み間隔は、一例として、1000fps(frame per sec)である。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る移動情報検出器2245では、照明用レンズ12によって本発明の検出装置における第1光学系が構成され、受光用レンズ14によって第2光学系が構成されている。また、開口部材13によってアパーチャ部材が構成され、処理回路16によって演算装置、基準位置検出装置及び補正装置が構成されている。
さらに、プリンタ制御装置2090によって速度調整装置が構成され、走査制御装置30によって位置調整装置が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る移動情報検出器2245によると、光源11、照明用レンズ12、開口部材13、受光用レンズ14、イメージセンサ15、及び処理回路16などを備えている。
そして、光源11は、転写ベルト2040に対して+z側に配置され、照明用レンズ12は、光源11からの光を、転写ベルト2040に対して−z側に集光点をもつ収束光に変換し、転写ベルト2040の表面に導く。また、受光用レンズ14は、転写ベルト2040の表面で反射された光の光路上に配置され、光学的な正のパワーをもち、イメージセンサ15は、受光用レンズ14を介した光を受光し、画像データを出力する。
これにより、スペックルパターンの並進性を向上させることが可能となる。すなわち、精度良く検出することができる転写ベルト2040の移動条件の範囲を従来よりも広くすることが可能となる。その結果として、転写ベルト2040の移動量、移動速度及び移動速度の変動を精度良く検出することができる。
そこで、高コスト化を招くことなく、汎用性を向上させることができる。
また、従来と同じ時間間隔でスペックルパターンを取得する場合には、転写ベルト2040の移動速度が従来よりも速くても、精度良く移動情報を検出することができる。
また、転写ベルト2040の移動速度が従来と同じである場合には、スペックルパターンを取得する時間間隔を従来よりも長くすることができる。
また、転写ベルト2040の移動速度、及びスペックルパターンを取得する時間間隔がいずれも従来と同じである場合には、イメージセンサの負荷低減が可能となり、安価なイメージセンサを用いることができる。また、大きな画素数のイメージセンサの適用が可能である。
また、受光用レンズ14が、縮小光学系であるため、イメージセンサ15を小型化することができる。また、転写ベルト2040の移動速度が速い場合には、イメージセンサ15上でのスペックルパターンの移動速度を小さくすることができる。さらに、転写ベルト2040の移動速度が遅い場合には、スペックルパターンを取得する時間間隔を長くすることができ、演算処理等の時間が稼げるため、電子回路の負担を軽減でき、電子回路の処理速度を低減することができ、低コスト化や低消費電力化が実現できる。
また、受光用レンズ14が、縮小光学系(0<m<1)であるため、拡大光学系(m>1)である場合に比べて、上記(10)式を満足するρの範囲を拡大することができる。その結果、収束度を規定する条件(光源11と照明用レンズ12の位置精度など)を緩和することができる。
また、イメージセンサ15の受光面が、ベルト面における照明領域の+z側に配置されているため、z軸方向に関してベルト面がシフトしても、受光面上のスペックルパターンが、xy面内でずれることはほとんどない。すなわち、速度検出において誤差が発生しにくい。従って、外乱に強く、安定した検出が可能である。
また、処理回路16は、一定時間間隔でスペックルパターンを取得し、時間的に近接した2つのスペックルパターンに基づいてスペックルパターンの移動量を算出している。仮に、時間的に離れた2つのスペックルパターンに基づいてスペックルパターンの移動量を算出すると、ベルト面の移動量が大きくなり、スペックルパターンが変形して、検出誤差が大きくなるおそれがある。本実施形態では、時間的に近接した2つのスペックルパターンに基づいてスペックルパターンの移動量を算出しているため、検出誤差を小さくすることができる。
また、2vτ<ws<10vτ、が満足されるように、ws及びτが設定されているため、高精度にベルト面の移動量を求めることができる。
また、イメージセンサ15が1次元のイメージセンサであるため、データ量が少なく、演算に要する時間を短くすることができる。そして、消費電力も低く抑えることができる。
また、wa<ws<5wa、が満足されるように、受光用レンズ14の倍率及び照明光の大きさが設定されているため、高精度な検出が可能になる。
また、スペックルパターンを利用してホームポジションを検出しているため、非常に簡便で、しかも低コストで、ホームポジションを検出することができる。
また、転写ベルト2040では、微小な凹凸構造を有しているベルト本体の表面が光透過性部材で被覆されているため、微小な凹凸構造が磨耗するのを防止できる。これにより、検出精度が経時的に低下するのを抑制することができる。また、光透過性部材の表面が平坦であるため、該表面のクリーニングが容易となり、不要なトナーが残留するのを抑制できる。従って、画質品質を低下させることなく、強い散乱光を得ることができる。
また、ベルト面とイメージセンサ15との間に、正の光学的なパワーを有する受光用レンズ14が配置されているため、何らかの外乱により、ベルト面がxy面に対して傾斜しても、イメージセンサ15の受光面上でスペックルパターンの変化を小さくすることができる。その結果、ベルト面の傾斜による検出誤差を小さくすることができる。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、移動情報検出器2245を備えているため、転写ベルト2040の移動速度を所望の速度に保つことができ、結果として、色ずれの少ない高品質の画像を形成することができる。
なお、上記実施形態において、前記受光用レンズ14に代えて、複数のレンズからなる受光用レンズ系を用いても良い。そして、この場合も、縮小系であることが好ましい。
また、上記実施形態では、イメージセンサ15の受光面とベルト面とがほぼ共役関係にある場合について説明したが、ベルト面の傾斜がそれほど大きくなく、検出誤差が許容範囲内であることが担保されれば、必ずしも共役関係にする必要はない。
また、上記実施形態では、イメージセンサ15が、1次元のイメージセンサである場合について説明したが、これに限定されるものではなく、2次元のイメージセンサ、いわゆるエリアセンサであっても良い。
また、移動情報検出器2245は、転写ベルト2040以外の移動体の移動情報を検出するのに用いることができる。例えば、定着ローラ2050移動情報を検出するのに用いても良い。また、ドラム状の回転部材におけるドラム表面の移動情報を検出するのに用いることができる。
また、上記実施形態では、スペックルパターンを利用してホームポジションを検出する場合について説明したが、これに代えて、あるいは、これとともに、ベルト面にマークをつけ、それを検出する方式を用いても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置が、いわゆる中間転写ベルト方式のカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、一例として図32に示されるような、いわゆる直接転写ベルト方式のカラープリンタ3000であっても良い。
このカラープリンタ3000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用のステーション(感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6)、シアン用のステーション(感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6)、マゼンタ用のステーション(感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6)、イエロー用のステーション(感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6)、光走査装置3010、搬送ベルト3080、移動情報検出器2245、定着ユニット3030、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置(図示省略)などを備えている。
各感光体ドラムは、図32中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットがそれぞれ配置されている。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置3010により光走査が行われ、各感光体ドラムに潜像が形成される。
そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、搬送ベルト3080上の記録紙に各色のトナー像が順次転写され、最終的に定着ユニット3030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置3010は、上記光走査装置2010と同様な光走査装置である。
移動情報検出器2245は、搬送ベルト3080の移動速度を検出し、プリンタ制御装置に通知する。
プリンタ制御装置は、上記プリンタ制御装置2090と同様にして、搬送ベルト3080の移動速度を所望の移動速度が維持されるように制御する。また、プリンタ制御装置は、上記プリンタ制御装置2090と同様にして、感光体ドラム上の光スポット位置を調整する。
また、上記実施形態では、移動情報検出器が、1次元の移動情報を検出する場合について説明したが、イメージセンサとして2次元のイメージセンサ(例えば、エリアセンサ)を用いて、2次元の移動情報を検出しても良い。例えば、図33に示されるような位置に相関ピークがあるときには、(Lx2+Ly2)1/2からLを求めることができる。この場合には、転写ベルトの蛇行や斜行を検知することができる。
また、移動情報検出器2245が、一例として図34に概略が示されるように、インクを記録紙に吐出して記録紙の表面に直接画像を形成する画像形成装置4000に設けられても良い。
画像形成装置4000は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するヘッド4010、該ヘッド4010が搭載され、主走査方向に摺動自在に筐体に保持されたキャリッジ4020、記録紙を搬送する搬送ベルト4030などを備えている。
搬送ベルト4030は、無端状ベルトであり、搬送ローラ4031とテンションローラ4032との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成されている。
搬送ベルト4030の近傍には、搬送ベルト4030の表面を帯電させるための帯電ローラ4035が設けられている。この帯電ローラ4035は、副走査方向に関して、所定の幅の帯状のプラス部分とマイナス部分が交互に存在するように帯電する。
給紙コロ4041及び分離パッド4042によって給紙トレイ(図示省略)から取り出された記録紙は、帯電された搬送ベルト4030に向かってガイドで案内される。
帯電された搬送ベルト4030上に記録紙が給送されると、該記録紙は搬送ベルト4030に吸着され、搬送ベルト4030の周回移動によって副走査方向に搬送される。
記録紙が所定の位置に達すると、記録紙を停止させ、キャリッジ4020を移動させながら画像信号に応じてヘッド4010を駆動し、記録紙にインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、記録紙を所定量搬送後、次の行の記録を行う。
記録終了あるいは、記録紙の後端が記録領域に到達すると、記録動作を終了して、記録紙を排紙トレイ(図示省略)に排紙する。
この場合に、移動情報検出器2245を用いて記録紙の移動情報をリアルタイムで検出し、その検出結果に基づいて、不図示の制御装置が、搬送ローラ4031をフィードバック制御することにより、高品質の画像を形成することができる。
なお、この場合に、移動情報検出器2245を用いて搬送ベルト4030の移動情報を検出しても良い。