JP5547223B2 - リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法に関するものである。
従来、リチウム二次電池の正極活物質として、コバルト酸リチウムが用いられてきた。しかし、コバルトは希少金属であるため、コバルトの含有率が低いリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物が開発されている。
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法としては、例えば、特開2003−34538号公報(特許文献1)及び特開2003−183022(特許文献2)の実施例には、リチウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物とを混合してスラリーを調製し、得られたスラリーを湿式粉砕して、スラリー中の固形分の平均粒径が0.30μmのものを得、次いで、得られたスラリーを噴霧乾燥し、次いで、得られた造粒物を焼成することにより、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を製造する方法が開示されている。
特開2003−34538号公報(実施例) 特開2003−183022号公報(実施例)
近年のリチウム二次電池においては、携帯電話、デジタルカメラ、ポータブルゲーム機さらには電気自動車等の需要が高まっており、これらの機器は充電を繰り返し行い、長時間連続で使用する観点から、容量維持率が高いことが要求されている。
ところが、特許文献1の製造方法では、近年の高容量維持率の要求を満足するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は、得られないという問題があった。
従って、本発明の目的は、リチウム二次電池の容量維持率を高くすることができるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、少なくともニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含む噴霧乾燥原料粒子を分散媒中で、噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が0.9〜1.6μmになるまで湿式粉砕し、次いで、噴霧乾燥して、BET比表面積が80〜100m/gのニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物を含む噴霧乾燥物を得、これに、リチウム化合物を混合して焼成することにより、リチウム二次電池の容量維持率を高くすることができるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1):
LiNi1−y−zMnCo(1)
(式中、xは0.98≦x≦1.2、yは0<y≦0.5、zは0<z≦0.5を示す。但し、y+z<1.0である。)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法であって、
噴霧乾燥原料粒子として、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含有し、且つ、該噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が0.9〜1.6μmであるスラリーを、噴霧乾燥して、BET比表面積が80〜100m/gであり、且つ、下記式(2):
粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)=(Y1/X1)×100 (2)
(式(2)中、X1は、粉砕試験前の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。Y1は、粉砕試験後の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。)
により求められる噴霧乾燥物の粉砕試験前と粉砕試験後の平均粒径の維持率が、75〜97%である噴霧乾燥物を得る噴霧乾燥工程と、
該噴霧乾燥物と、リチウム化合物と、を混合して、焼成原料混合物を得る焼成原料混合工程と、
該焼成原料混合物を焼成し、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、更に、Ni、Mn及びCo以外の原子番号11以上の元素から選ばれるMe元素を含む、Me元素を有する化合物の1種又は2種以上を、前記噴霧乾燥工程、又は前記焼成原料混合工程の何れかの工程、あるいは両方の工程に添加することを特徴とするリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、リチウム二次電池の容量維持率を高くすることができるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法を提供することができる。
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法は、下記一般式(1):
LiNi1−y−zMnCo (1)
(式中、xは0.98≦x≦1.2、yは0<y≦0.5、zは0<z≦0.5を示す。但し、y+z<1.0である。)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法であって、
噴霧乾燥原料粒子として、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含有し、且つ、噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が0.9〜1.6μmであるスラリーを、噴霧乾燥して、BET比表面積が80〜100m/gの噴霧乾燥物を得る噴霧乾燥工程と、
該噴霧乾燥物と、リチウム化合物と、を混合して、焼成原料混合物を得る焼成原料混合工程と、
該焼成原料混合物を焼成し、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするものである。
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法により得られるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は、下記一般式(1):
LiNi1−y−zMnCo (1)
(式中、xは0.98≦x≦1.2、yは0<y≦0.5、zは0<z≦0.5を示す。但し、y+z<1.0である。)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物である。
そして、本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法は、噴霧乾燥工程と、焼成原料混合工程と、焼成工程と、を有する。
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法に係る噴霧乾燥工程は、噴霧乾燥原料粒子として、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含有するスラリーを、噴霧乾燥して、噴霧乾燥物を得る工程である。
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーは、噴霧乾燥原料粒子として、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含有する。
噴霧乾燥工程に係るニッケル化合物は、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のニッケル源となる化合物である。ニッケル化合物としては、特に制限されず、例えば、Ni(OH)、NiO、NiOOH等のニッケルの酸化物や水酸化物;NiCO、Ni(NO)、NiSO、NiSO、NiC等のニッケルの無機塩;脂肪酸ニッケル等の有機ニッケル化合物などが挙げられる。これらのうち、ニッケル化合物としては、Ni(OH)が、工業原料として安価に入手できる点、及び反応性が高いという点で、好ましい。ニッケル化合物は、1種単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。また、ニッケル化合物は、分散媒に難溶性の化合物であることが好ましい。
噴霧乾燥工程に係るマンガン化合物は、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のマンガン源となる化合物である。マンガン化合物としては、特に制限されず、例えば、Mn(OH)、Mn、Mn、MnO、MnOOH等のマンガンの酸化物や水酸化物;MnCO、Mn(NO、MnSO等のマンガンの無機塩;ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン等の有機マンガン化合物などが挙げられる。これらのうち、マンガン化合物としては、MnCOが、反応性が高いという点で、好ましい。マンガン化合物は、1種単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。また、マンガン化合物は、分散媒に難溶性の化合物であることが好ましい。
噴霧乾燥工程に係るコバルト化合物は、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のコバルト源となる化合物である。コバルト化合物としては、特に制限されず、例えば、CoOOH、Co(OH)、CoO、Co、Co等のコバルトの酸化物や水酸化物;Co(NO、Co(SO等のコバルトの無機塩;Co(OAc)等の有機コバルト化合物などが挙げられる。これらのうち、コバルト化合物としては、CoOOHが、焼成工程の際にNOx、SOx等の有害ガスを発生させない点で好ましく、さらには工業的に安価に入手できる点及び反応性が高い点で、好ましい。コバルト化合物は、1種単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。また、コバルト化合物は、分散媒に難溶性の化合物であることが好ましい。
噴霧乾燥原料に含まれるニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物は、いずれにおいても製造履歴は問わないが、可及的に不純物含有量が少ないものが好ましい。
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーでは、分散媒に、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含む噴霧乾燥原料粒子が分散されている。分散媒としては、水、水と水溶性有機溶媒との混合分散媒が挙げられる。
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリー中のニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物の含有比は、どのような組成比のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を製造するかにより、適宜選択されるが、原子換算のモル比で、Ni/(Ni+Mn+Co)が0.5以上1未満、好ましくは0.5以上0.95以下、Mn/(Ni+Mn+Co)が0より大きく0.5以下、好ましくは0より大きく0.4以下、Co/(Ni+Mn+Co)が0より大きく0.5以下、好ましくは0より大きく0.4以下である。
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の濃度は、スラリー全体に対する噴霧乾燥原料粒子の質量割合で、好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリーに、他に、ポイズ2100(花王社製)、SN5468(サンノプコ社製)等の分散剤などの添加剤を含有させることができる。
噴霧乾燥工程において、噴霧乾燥されるスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径は、0.9〜1.6μm、好ましくは1.0〜1.5μm、特に好ましくは1.1〜1.4μmである。スラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の容量維持率が高くなる。なお、噴霧乾燥原料粒子の平均粒径とは、スラリーがニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含有する場合は、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子の混合物の平均粒径を指す。
なお、噴霧乾燥工程で、噴霧乾燥されるスラリーに後述するMe元素を有する化合物を添加した場合は、スラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径とは、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子、コバルト化合物粒子及びMe元素を有する化合物粒子の平均粒径を示す。
噴霧乾燥されるスラリーは、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を、分散媒中で、湿式粉砕することにより得られる。このとき、レーザー回折・散乱法により求められるスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が、0.9〜1.6μm、好ましくは1.0〜1.5μm、特に好ましくは1.1〜1.4μmとなるまで、湿式粉砕を行う。湿式粉砕では、湿式粉砕の条件を適宜選択することにより、スラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径を制御することができる。
湿式粉砕を行うための装置としては、メディアミルを用いることがスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径を前記範囲となるように制御することが容易になるから好ましく、メディアミルとしては、ビーズミル、ボールミル、ペイントシェーカー、アトライタ、サンドミル等が挙げられる。
例えば、ビーズミルを用いて湿式粉砕を行う場合、噴霧乾燥原料粒子の濃度、分散剤の使用の有無や濃度、ビーズの粒径、ミル周波数、湿式粉砕の処理回数、投入速度等の湿式粉砕条件を、適宜選択することにより、湿式粉砕により得られるスラリー、すなわち、噴霧乾燥されるスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径を調節する。
そして、噴霧乾燥工程では、噴霧乾燥原料粒子が所定の粒子性状となるように調節された上記スラリーを、噴霧乾燥することにより、噴霧乾燥物を得る。
噴霧乾燥工程において、スラリーを噴霧乾燥する方法としては、スラリーの液滴を高温の気体中に噴霧して、スラリー中の分散媒を蒸発させることができる方法であれば、特に制限されず、通常の噴霧乾燥方法が用いられる。例えば、噴霧乾燥装置内に、乾燥用の気体を供給しつつ、装置内の温度を乾燥温度に保った状態で、回転円盤ノズル、2流体及び4流体ノズル等の噴霧ノズルから、装置内に、スラリーの液滴を噴霧する方法が挙げられる。
噴霧乾燥工程において、スラリーを噴霧乾燥する際の噴霧乾燥温度は、好ましくは100〜400℃、特に好ましくは200〜400℃、更に好ましくは220〜350℃である。スラリーを噴霧乾燥する際の噴霧乾燥温度が上記範囲より低いと、噴霧乾燥物の凝集性が低下し、後述する適度な粒子強度を持った凝集体が得られ難く、より崩れ易いものが得られる傾向があり、一方、噴霧乾燥温度が上記範囲より高いと、気孔率(細孔体積)が小さくなり、リチウム化合物との反応性が低くなる傾向がある。
噴霧乾燥工程において、スラリーを噴霧する際のスラリーの液滴の大きさであるが、好ましくは噴霧乾燥物の径が5〜50μm、特に好ましくは噴霧乾燥物の径が7〜30μmとなるようなスラリーの液滴の径が選択される。
噴霧乾燥工程を行い得られる噴霧乾燥物は、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含む造粒物であり、これらの化合物の凝集体である。
噴霧乾燥工程を行い得られる噴霧乾燥物のBET比表面積は、80〜100m/g、好ましくは82〜95m/gである。噴霧乾燥物のBET比表面積が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の容量維持率が高くなる。一方、噴霧乾燥物のBET比表面積が上記範囲より小さいと、物理吸着力が弱まり、後述する適度な粒子強度を持った凝集体が得られ難く、リチウム化合物との混合の際、より解れやすい噴霧乾燥物になり、また、噴霧乾燥物のBET比表面積が上記範囲より大きくなると、サイクル特性が低いリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物になる。なお、噴霧乾燥原料の粉砕工程での条件を適宜選択することにより、噴霧乾燥物のBET比表面積を上記範囲にすることができる。
噴霧乾燥物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求められる平均粒径で、好ましくは5〜50μm、特に好ましくは7〜30μmである。噴霧乾燥物の平均粒径が上記範囲にあることにより、最終的に得られるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物で電池を作製する際、電極への塗布工程の安定性が増し、微粒の発生が抑えられ、電池の安全性が良好なものとなる。
噴霧乾燥工程を行い得られる噴霧乾燥物は、適度に粉砕したニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含む凝集体であるが、適度な粒子強度を持った凝集体であることが、物性、例えば、凝集体の平均粒径などを制御する点で、好ましい。ここで、噴霧乾燥物が適度な粒子強度を持った凝集体であるとは、下記式(2)により求められる噴霧乾燥物の粉砕試験前と粉砕試験後の平均粒径の維持率が、75〜97%であること、好ましくは80〜95%であることを指す。
粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)=(Y1/X1)×100 (2)
(式(2)中、X1は、粉砕試験前の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。Y1は、粉砕試験後の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。)
式(2)中、X1は、噴霧乾燥物の粉砕試験前の平均粒径であり、Y1は、噴霧乾燥物の粉砕試験後の平均粒径である。なお、式(2)中のX1及びY1の噴霧乾燥物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求められる平均粒径である。また、粉砕試験方法は、機械的混合手段として、家庭用ミキサー(MX−X4、松下電器産業社製)を用い、噴霧乾燥物を、60秒間、粉砕処理する方法である。この粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率が高いほど、焼成原料混合工程で、噴霧乾燥物(凝集体)の形状をより保持した状態で、リチウム化合物との混合が可能になるが、本発明者らは、この粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率を特定の範囲にすることにより、平均粒径を制御するのに好ましいことを見出した。
焼成原料混合工程は、噴霧乾燥物とリチウム化合物とを混合して焼成原料混合物を得る工程である。
焼成原料混合工程に係るリチウム化合物は、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のリチウム源となる化合物である。リチウム化合物としては、特に制限されず、例えば、LiOH・HO、LiO等のリチウムの酸化物又は水酸化物;LiCO、LiNO、LiSO等のリチウムの無機塩;アルキルリチウム、酢酸リチウム等の有機リチウム化合物などが挙げられる。これらのうち、リチウム化合物としては、LiOH・HO、LiCOが好ましい。
リチウム化合物の平均粒径は、好ましくは1〜100μm、特に好ましくは5〜80μmである。リチウム化合物の平均粒径が上記範囲にあることにより、噴霧乾燥物との均一混合が可能になり、反応性が良好となる。
噴霧乾燥物に対するリチウム化合物の混合量は、噴霧乾燥物がニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含む噴霧乾燥物の場合、原子換算のモル比で、Li/(Ni+Mn+Co)が、0.98〜1.20、好ましくは1.00〜1.10、特に好ましくは1.01〜1.05となる量である。
噴霧乾燥工程を行い得られる噴霧乾燥物は、粒子が凝集した凝集体であるが、前述したようにスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が0.9〜1.6μm、好ましくは1.0〜1.5μm、特に好ましくは1.1〜1.4μmだと、適度の粒子強度を持った凝集体を形成させることが容易になる。焼成原料混合工程では、機械的混合手段により混合処理を行うことができる。また、焼成原料混合工程に係る噴霧乾燥物は、リチウム化合物との反応性に優れているため、電池膨れの原因となる残存する炭酸リチウム、又は炭酸リチウム及び水酸化リチウムの残存量が少ないものが得られる。
焼成原料混合工程で、噴霧乾燥物と、リチウム化合物を混合する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、リボンブレンダー、V型混合機等の機械的撹拌手段を用いて、噴霧乾燥物とリチウム化合物とを混合する方法が挙げられる。
また、焼成原料混合工程では、物性、例えば、凝集体の平均粒径を制御する点で、下記式(3)により求められる混合処理前と混合処理後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率を75〜97%とすることが好ましく、80〜95%とすることが特に好ましい。
混合処理前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)=(Y2/X2)×100 (3)
(式(3)中、X2は、噴霧乾燥物と、リチウム化合物との混合処理前の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。Y2は、噴霧乾燥物、リチウム化合物との混合処理後の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。)
式(3)中、X2は、焼成原料混合工程でリチウム化合物と混合される噴霧乾燥物の平均粒径であり、焼成原料混合工程で、リチウム化合物と混合される前の噴霧乾燥物の平均粒径である。また、式(3)中、Y2は、焼成原料混合工程で、リチウム化合物と、噴霧乾燥物との混合処理を行った後の焼成原料混合物中の噴霧乾燥物の平均粒径である。なお、Y2の値は、焼成原料混合工程で噴霧乾燥物と、リチウム化合物とを混合する際の混合条件と同じ条件で、噴霧乾燥物を単独で処理した後の噴霧乾燥物の平均粒径を求めることにより、求められる値である。また、式(3)中のX2及びY2の噴霧乾燥物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求められる平均粒径である。
なお、後述するMe元素を有する化合物を焼成原料混合工程で、リチウム化合物と一緒に添加した場合は、式(3)のX2は、焼成原料混合工程でリチウム化合物及びMe元素を有する化合物と混合される噴霧乾燥物の平均粒径であり、焼成原料混合工程で、リチウム化合物とMe元素を有する化合物と混合される前の噴霧乾燥物の平均粒径である。また、式(3)中、Y2は、焼成原料混合工程で、リチウム化合物及びMe元素を有する化合物と、噴霧乾燥物との混合処理を行った後の焼成原料混合物中の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。
焼成工程は、焼成原料混合物を焼成して、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得る工程である。
焼成工程において、焼成原料混合物を焼成する際の焼成温度は、750〜1000℃、好ましくは870〜950℃である。焼成原料混合物の焼成温度が、上記範囲にあることにより、X線回折分析において単相のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物が得られ、また、リチウム二次電池の容量維持率が高く、更にはリチウム二次電池の放電容量が高くなる。焼成原料混合物を焼成する際の焼成時間は、1〜30時間、好ましくは3〜20時間である。焼成原料混合物を焼成する際の焼成雰囲気は、特に制限されるものではなく、大気雰囲気又は酸素雰囲気が挙げられる。
そして、焼成工程で、焼成原料混合物を焼成した後、適宜冷却し、必要に応じて解砕すると、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物が得られる。
また、本発明は、リチウム二次電池の安全性及びサイクル性能をいっそう向上させることを目的として、更に、Ni、Mn及びCo以外の原子番号11以上の元素から選ばれるMe元素を含む、Me元素を有する化合物の1種又は2種以上を、前記噴霧乾燥工程、又は前記焼成原料混合工程の何れかの工程、あるいは両方の工程に添加することが出来る。
Me元素を有する化合物に係るMe元素としては、Ni、Mn及びCo以外の原子番号11以上の元素であり、好ましくは、B、Mg、Ca、Al、Si、P、Ti、Fe、Ga、Zr、Nb、Mo、Sn、W及びBiから選ばれる1種又は2種以上の元素が挙げられる。
Me元素を有する化合物は、これらのMe元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、有機酸塩等が挙げられ、これは1種又は2種以上で用いられる。
また、Me元素を有する化合物は、製造履歴は問わないが、可及的に不純物含有量が少ないものが好ましい。
噴霧乾燥工程及び/又は焼成原料混合工程におけるMe元素を有する化合物の添加量は、原子換算のモル比で、Me/(Ni+Mn+Co)が0.0005〜0.02、好ましくは0.001〜0.01となる量である。
なお、噴霧乾燥工程で添加するMe元素を有する化合物は、分散媒に難溶性の化合物であり、また、Me元素を有する化合物の添加は、噴霧乾燥されるスラリー中へ他の製造原料と同様に添加することが、得られる噴霧乾燥物のBET比表面積が前述した80〜100m/g、好ましくは82〜95m/gであり、また、前記した式(2)で示される噴霧乾燥物の粉砕試験前と粉砕試験後の平均粒径の維持率が前述した範囲のものが容易に得られる観点で好ましい。
また、焼成原料混合工程で添加するMe元素を有する化合物は、分散媒に難溶性の化合物であっても分散媒に溶解する化合物のいずれであってもよい。また、焼成原料混合工程で添加するMe元素を有する化合物の平均粒径は、好ましくは0.1〜50μm、特に好ましくは0.5〜10μmである。Me元素を有する化合物の平均粒径が上記範囲にあることにより、噴霧乾燥物及びリチウム化合物との均一混合が可能になり、反応性が良好となる。
焼成原料混合工程において、Me元素を有する化合物を添加する場合のリチウム化合物の添加量は、原子換算のモル比で、Li/(Ni+Mn+Co+Me)が0.98〜1.20、好ましくは1.00〜1.10、特に好ましくは1.01〜1.05となる量である。
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法を行い得られるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は、好ましくは下記一般式(1’):
LiNi1−y−z−aMnCoMe (1’)
(式(1’)中、MeはNi、Mn及びCo以外の原子番号11以上の元素を示す。xは0.98≦x≦1.2、yは0<y≦0.5、zは0<z≦0.5、aは0≦a≦0.1を示す。但し、y+z+a<1.0である。)
で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物である。
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求められる平均粒径で、好ましくは5〜30μm、特に好ましくは5〜25μmである。リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の平均粒径が上記範囲にあることにより、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の粒子径が電極上の塗布厚みの範囲内となり、塗布性、例えば、電極の折り曲げ強度等が良好となる。
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のBET比表面積は、好ましくは0.1〜0.7m/g、特に好ましくは0.2〜0.5m/gである。リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のBET比表面積が上記範囲を超えると、反応面積が広くなり、残留アルカリ量が増加し、電池膨れ量が増加し、安全性が低くなり易い。リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物のBET比表面積が、上記範囲にあることにより、電池の安全性が高くなる。
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の加圧密度は、好ましくは3.0〜4.0g/mL、特に好ましくは3.3〜3.8g/mLである。リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の加圧密度が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の体積当たりの容量が高くなる。なお、本発明において、加圧密度とは、測定対象試料を、圧縮用の成形器に入れ、3トン/cmの圧力で圧縮した状態の測定対象試料の密度である。
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の電極密度は、好ましくは2.7〜3.1g/mL、特に好ましくは2.8〜3.1g/mLである。リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の電極密度が上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の体積当たりの容量が高くなる。なお、本発明において、電極密度とは、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を集電体上に塗布し、実際の電極を作製し、厚み及び質量を測定し、厚み及び質量から集電体分を差し引いて算出されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の密度である。
リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物に残存する炭酸リチウムは、好ましくは0.20質量%以下、特に好ましくは0.19質量%以下である。また、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物に残存する水酸化リチウムは、好ましくは0.30質量%以下、特に好ましくは0.20質量%以下である。リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物に残存する炭酸リチウム及び水酸化リチウムが上記範囲にあることにより、リチウム二次電池の膨れを抑えることができ、安全性を向上させることができる。
本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法により得られるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物は、リチウム二次電池の正極活物質として用いられる。
そして、本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法により得られるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を正極活物質として用いることにより、リチウム二次電池の容量維持率を高くすることができる。
なお、噴霧乾燥工程において噴霧乾燥されるスラリー中の噴霧乾燥原料粒子の平均粒径、噴霧乾燥工程を行い得られる噴霧乾燥物の平均粒径、及び焼成原料混合工程で混合されるリチウム化合物の平均粒径、並びに本発明のリチウムマンガンニッケルコバルト複合酸化物の製造方法により得られるリチウムマンガンニッケルコバルト複合酸化物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求められる平均粒径であり、マイクロトラックMT3300EXII粒度分析計(日機装社製、MTEX−SDU)を用いて測定される平均粒径及び粒度分布である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜5及び比較例1〜3)
(イ)噴霧乾燥工程
オキシ水酸化コバルト(平均粒径14.0μm)、炭酸マンガン(平均粒径27.3μm)、水酸化ニッケル(平均粒径20.3μm)、リン酸カルシウム(平均粒径7.9μm)及び二酸化ジルコニウム(平均粒径1.1μm)を用い、表1に示す割合となるように秤量し、純水を入れた攪拌用の容器に投入し、固形分濃度が25質量%のスラリーになるように調製し、分散剤のポイズ2100を固形分に対して5質量%の割合になるように仕込んだ。この混合スラリーを1時間混合し、固形分濃度が25質量%のスラリーを調製した。
湿式粉砕工程ではビーズミルを用い、直径0.5mmのジルコニアボールを19.3kg仕込み、粉砕強度(周速)とパス回数の条件を制御しながら、粉砕処理を行うことで、各種の粉砕処理品を含むスラリーを調製した。
スラリー中の固形分の平均粒径は、レーザー回折・散乱法(社名:日機装製、品名:マイクロトラックMT3300EXII粒度分析計、型式:MTEX−SDU)により求めた。
Figure 0005547223
次いで、入口の温度を表2の温度に設定したスプレードライヤーに、表2に示した供給速度で各種スラリーを供給し、噴霧乾燥物を得た。得られた噴霧乾燥物の諸物性を表2に示す。
更に、噴霧乾燥物のみを家庭用ミキサー(MX−X4、松下電器産業社製)を用いて、毎分20,000回の回転速度で60秒粉砕し、粉砕試験を行う前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率を下記式(2)で評価した。
粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)=(Y1/X1)×100 (2)
X1は、粉砕試験前の噴霧乾燥物の平均粒径であり、Y1は、噴霧乾燥物を単独で粉砕試験した後の噴霧乾燥物の平均粒径である。
Figure 0005547223
(ロ)焼成原料混合工程
この噴霧乾燥物と炭酸リチウム(平均粒径6.1μm)とを、噴霧乾燥物中のNi原子、Mn原子、Co原子及びMe原子の合計の原子モル数に対するLi原子のモル比(Li/(Ni+Mn+Co+Me))が表3の配合割合になるように秤量し、混合装置として家庭用ミキサー(MX−X4、松下電器産業社製)を用いて、毎分20,000回の回転速度で60秒混合処理を行い、焼成原料混合物を得た。なお、焼成原料混合工程での噴霧乾燥物とリチウム化合物との混合処理条件は、上記粉砕試験条件と同じなので、焼成原料混合工程における、混合処理前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)は、表2に示す粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率と同じである。
(ハ)焼成工程
上記で得られた焼成原料混合物を表3に示す温度と時間、大気雰囲気下にKDF炉で焼成し、冷却後、焼成物を粉砕、分級してリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物試料を得た。
Figure 0005547223
(実施例6)
(イ)噴霧乾燥工程
実施例1と同様にして噴霧乾燥物を得た。
(ロ)焼成原料混合工程
この噴霧乾燥物と炭酸リチウム(平均粒径6.1μm)及びMe元素を有する化合物としてリン酸カルシウム(平均粒径7.9μm)とを用いた。炭酸リチウムの配合量は、噴霧乾燥物中のNi原子、Mn原子、Co原子及びMe原子の合計の原子モル数に対するLi原子のモル比(Li/(Ni+Mn+Co+Me))が表4の配合割合になるように秤量した。また、リン酸カルシウムの配合量は、噴霧乾燥物中のNi原子、Mn原子、Co原子の合計の原子モル数に対するMe原子のモル比(Me/(Ni+Mn+Co))が表4の配合割合になるように秤量した。
これらの噴霧乾燥物、炭酸リチウム及びリン酸カルシウムを、混合装置として家庭用ミキサー(MX−X4、松下電器産業社製)を用いて、毎分20,000回の回転速度で60秒混合処理を行い、焼成原料混合物を得た。焼成原料混合工程における、混合処理前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)は、表2の実施例1に示す粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率と同じになった。
(ハ)焼成工程
上記で得られた焼成原料混合物を表4に示す温度と時間により、大気雰囲気下にKDF炉で焼成し、冷却後、焼成物を粉砕、分級してリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物試料を得た。
(実施例7)
(イ)噴霧乾燥工程
実施例1と同様にして噴霧乾燥物を得た。
(ロ)焼成原料混合工程
Me元素を有する化合物として二酸化ジルコニウム(平均粒径1.1μm)を使用すること以外は、実施例6と同じ方法で実施して焼成原料混合物を得た。焼成原料混合工程における、混合処理前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)は、表2の実施例1に示す粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率と同じになった。
(ハ)焼成工程
上記で得られた焼成原料混合物を表4に示す温度と時間により、大気雰囲気下にKDF炉で焼成し、冷却後、焼成物を粉砕、分級してリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物試料を得た。
Figure 0005547223
<リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の物性評価>
実施例及び比較例で得られたリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物について、平均粒径、BET比表面積、加圧密度、電極密度、LiCO含有量、LiOH含有量を求めた。また、その結果を表5に示す。
(平均粒径の測定)
リチウムニッケルマンガン複合酸化物(二次粒子)の平均粒子を、レーザー回折・散乱法により求めた。
(加圧密度の測定)
測定対象試料3gを計り採り、両軸成形器(底面の面積:7.07cm)内に投入し、プレス機を用いて3トン/cmの圧力を1分間加えた状態で、測定対象試料のプレス物の高さを測定し、測定対象試料の質量と体積(両軸成形器の底面の面積及びプレス物の厚さから算出)から、測定対象試料の加圧密度を算出した。
(電極密度の測定)
測定対象試料から作製した電極の直径と厚みを測定する。ここから集電体の厚みと質量を差し引いた値から正極材の密度を算出する。なお正極材とはリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物95質量%、黒鉛粉末2.5質量%、及びポリフッ化ビニリデン2.5質量%の混合物であり、電極作成時のプレス圧は線圧で0.6ton/cmとした。
(LiCO含有量及びLiOH含有量の測定)
測定対象試料5g、純水100gをビーカーに計り採り、マグネチックスターラーを用いて5分間撹拌した。次いで、撹拌後の試料液をろ過し、そのろ液30mlを自動滴定装置(型式COMTITE−2500)にて0.1N−HClで滴定し、LiCO含有量及びLiOH含有量を算出した。
Figure 0005547223
<電池性能試験>
(1)リチウム二次電池の作製
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られたリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物95質量%、黒鉛粉末2.5質量%、ポリフッ化ビニリデン2.5質量%を混合して正極剤とし、これをN−メチル−2−ピロリジノンに分散させて混練ペーストを調製した。該混練ペーストをアルミ箔に塗布したのち乾燥、プレスして直径15mmの円盤に打ち抜いて正極板を得た。
この正極板を用いて、セパレーター、負極、正極、集電板、取り付け金具、外部端子、電解液等の各部材を使用してコイン型リチウム二次電池を製作した。このうち、負極は金属リチウム箔を用い、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの25:60:15混練液1リットルにLiPFを1モルを溶解したものを使用した。
(2)電池性能の評価
作製したリチウム二次電池を室温(25℃)で下記条件で作動させ、下記の電池性能を評価した。
<サイクル特性の評価>
正極に対して定電流0.5C相当の電流で4.3Vまで充電を行い、定電圧充電に切り替え、全体として5時間かけて4.3Vまで定電流定電圧充電した後、放電レート0.2C相当の電流で2.7Vまで放電させる充放電を行い、これらの操作を1サイクルとして1サイクル毎の放電容量を計測した。このサイクルを20サイクル繰り返し、1サイクル目と20サイクル目のそれぞれの放電容量から、下記式(4)より容量維持率を算出した。なお、1サイクル目の放電容量を初期放電容量とした。その結果を表6に示す。
容量維持率(%)=(20サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100 (4)
Figure 0005547223
本発明で得られるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物をリチウム二次電池の正極活物質として用いることにより(実施例1〜3)、リチウム二次電池の容量維持率を高くすることができることが分かる。さらに本発明のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物にMe元素を含有させたものをリチウム二次電池の正極活物質として用いることにより(実施例4〜7)、容量維持率が更に向上することがわかる。
本発明によれば、リチウム二次電池の容量維持率の高いリチウム二次電池を製造することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1):
    LiNi1−y−zMnCo(1)
    (式中、xは0.98≦x≦1.2、yは0<y≦0.5、zは0<z≦0.5を示す。但し、y+z<1.0である。)で表されるリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法であって、
    噴霧乾燥原料粒子として、ニッケル化合物粒子、マンガン化合物粒子及びコバルト化合物粒子を含有し、且つ、該噴霧乾燥原料粒子の平均粒径が0.9〜1.6μmであるスラリーを、噴霧乾燥して、BET比表面積が80〜100m/gであり、且つ、下記式(2):
    粉砕試験前後の噴霧乾燥物の平均粒径の維持率(%)=(Y1/X1)×100 (2)
    (式(2)中、X1は、粉砕試験前の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。Y1は、粉砕試験後の噴霧乾燥物の平均粒径を示す。)
    により求められる噴霧乾燥物の粉砕試験前と粉砕試験後の平均粒径の維持率が、75〜97%である噴霧乾燥物を得る噴霧乾燥工程と、
    該噴霧乾燥物と、リチウム化合物と、を混合して、焼成原料混合物を得る焼成原料混合工程と、
    該焼成原料混合物を焼成し、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得る焼成工程と、
    を有することを特徴とするリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法。
  2. 前記噴霧乾燥工程での噴霧乾燥温度が100〜400℃であることを特徴とする請求項1記載のリチウムニッルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法。
  3. 前記噴霧乾燥工程での噴霧乾燥温度が200〜400℃であることを特徴とする請求項1記載のリチウムニッルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法。
  4. 更に、Ni、Mn及びCo以外の原子番号11以上の元素から選ばれるMe元素を含む、Me元素を有する化合物の1種又は2種以上を、噴霧乾燥工程、又は焼成原料混合工程の何れかの工程、あるいは両方の工程に添加することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法。
  5. 前記Me元素が、B、Mg、Ca、Al、Si、P、Ti、Fe、Ga、Zr、Nb、Mo、Sn、W及びBiである請求項4に記載のリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の製造方法。
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