JP5559609B2 - ピボット軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、軸を保持する精度に優れたピボット軸受装置に関する。
例えば、HDD(ハードディスクドライブ)の磁気ヘッドを走査するスイングアームの軸受部分等に利用されるピボット軸受装置には、高い軸受精度が要求される。この精度は、スイングアームの高速動作および高い位置決め精度が要求されるHDD用磁気ディスクの検査装置において特に要求される。このような要求に答えるピボット軸受装置として、3つの玉軸受を軸方向に並べて配置した構造が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1に記載のピボット軸受装置では、3個の玉軸受を軸方向に並べた構造とすることで、軸を保持する精度を高めている。特許文献1に記載のピボット軸受装置では、軸方向に3つ並んだ玉軸受の端部に位置する玉軸受の予圧を他の玉軸受の2倍となる構造としている。また、この予圧の状態を可能とするために、特許文献1の「0016」段落には、上記2倍の予圧が加わる玉軸受を他の2つの玉軸受とは異なる接触角のものとする旨が記載されている。
特開2008―185190号公報
上記特許文献1に記載の技術では、3個の玉軸受の内の一つを異なる仕様の玉軸受とする必要がある。このため、製造が煩雑となり、また部品コストが高くなる。また、他の倍の予圧が加わる玉軸受は、強い負荷が加わるため消耗し易くピボット軸受装置全体で考えた場合の信頼性や寿命の点で不利となる。また、予圧を高くした玉軸受はトルクが高くなるので、低トルクのピボット軸受装置を得る場合には不利となる。
そこで本発明は、製造が容易であり、部品コストが低く、また高信頼性と高寿命を有し、更に低トルク特性を有するピボット軸受装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、筒形状の外側部材と、前記外側部材の内側に保持された軸部材と、前記軸部材を前記外側部材に対して回転可能な状態で保持し、軸方向に順に並んで配置された第1の玉軸受、第2の玉軸受および第3の玉軸受とを備え、前記第2の玉軸受の外輪のみ、前記外側部材に固着されておらず、前記円筒形状の外側部材の内側と前記第2の玉軸受の外輪との間に隙間が形成されており、前記第1および第3の玉軸受の外輪は、接着層を介して前記筒状の外側部材の内側に固着されており、前記接着層の厚さの分で前記隙間が形成されていることを特徴とするピボット軸受装置である。請求項1に記載の発明によれば、軸方向に3つ並んだ玉軸受の軸中心の位置のずれが吸収され、軸部材を回転させた際に受けるトルクの変動を抑えることができる。なお、固着というのは、接着剤等により固定し、動かないように一体化した状態のことをいう。

請求項1に記載の発明によれば、軸方向に3つ並んだ玉軸受の軸中心の位置のずれが吸収され、軸部材を回転させた際に受けるトルクの変動を抑えることができるので、全ての玉軸受に同じ仕様のものを利用できる。このため、製造が容易であり、部品コストを低くできる。また、各玉軸受の仕様が同じであるので、特定の玉軸受に負荷が集中する状態が避けられ、高信頼性と高寿命が得られる。更に、3つの玉軸受を使用するので、共振周波数を高めて低トルク特性を有するピボット軸受装置が得られる。また、請求項1に記載の発明によれば、第2の玉軸受の軸中心の変動が許容され、軸方向に3つ並んだ玉軸受の軸中心の位置のずれを吸収する構造が得られる。また、請求項1に記載の発明によれば、隙間を形成するための特別な加工を必要としないので、製造コストが上昇しない。
実施形態のピボット軸受装置の断面図である。 実施形態のピボット軸受装置の断面図である。 シャフトを回転させた際に受けるトルクの変動を測定するシステムの概念図である。 シャフトを回転させた際に受けるトルクの変動を測定した結果を示すグラフである。
(構成1)
図1は、実施形態のピボット軸受装置の断面図である。図1には、ピボット軸受装置100を軸方向で切った断面の構造が示されている。ピボット軸受装置100は、回転する軸部材となるシャフト101と外側筐体となる筒形状のスリーブ102とを備えている。シャフト101とスリーブ102とは、第1の玉軸受103、第2の玉軸受108および第3の玉軸受113により結合し、スリーブ102に対してシャフト101が相対的に回転可能な構造とされている。
各玉軸受は、同じ仕様とされている。第1の玉軸受103は、外輪103a、転動体の一例である鋼球として機能するボール103bおよび内輪103cを備えている。ボール103bが回転することで、外輪103aが内輪103cに対して相対的に回転する。第2の玉軸受108も同様に外輪108a、ボール108bおよび内輪108cを備えている。第3の玉軸受113も同様に外輪113a、ボール113bおよび内輪113cを備えている。
シャフト101の中心は、貫通孔101aが形成され、この貫通孔101aの内側に図示省略した雌ネジ構造が形成されている。この雌ネジ構造に図示しない他の軸部材の雄ネジ構造が噛み合わされることで、シャフト101の他の回転軸への接続が行われる。
シャフト101の一方の端部近くには、円環形状のフランジ部(外側鍔部)105が一体に設けられている。フランジ部105には、第1の玉軸受103の内輪103cが接触している。また、第1の玉軸受103の外輪103aは、スリーブ102の内側に一体に設けられた円環形状の突出部(内側鍔部)102aに接触している。第1の玉軸受103の外輪103aの外周は、スリーブ102に接着層107によって接着され、内輪103cは、シャフト101の外周に接着層104により接着されている。
第1の玉軸受103に加わる予圧は、フランジ部105と突出部102aとの間において加えられる。すなわち、フランジ部105→内輪103c→ボール103b→外輪103a→突出部102aの順で力が加わり、第1の玉軸受103に対する予圧が与えられる。
第2の玉軸受108の外輪108aは、スリーブ102と一体となった突出部102aおよび円環形状のスペーサ110とに接触している。ここで、外輪108aは、スリーブ102、突出部102aおよびスペーサ110に接着(固着)されていない。そして、外輪108aとスリーブ102の間には隙間102bが存在している。この例では、スリーブ102の第2の玉軸受108が位置する部分の内周面の内径が、他の部分に比較して、大きくされた拡径構造とされている。つまり、外輪108aとスリーブ102との間に隙間102bが形成されるように外輪108aに対向する部分のスリーブ102の内周面は、内径が拡大された構造とされている。なお、図1では、視認し易いように誇張して隙間102bが示されている。
スペーサ110は、その外周がスリーブ102に接触し、上下の面が第2の玉軸受108の外輪108aと第3の玉軸受113の外輪113aに接触している。なお、スペーサ110も他の部材に接触はしているが接着等により固着はされていない。第2の玉軸受108の内輪108cは、シャフト101に接着層106により接着されている。なお、内輪108cは、軸方向において他の部材に接触していない。
第2の玉軸受108に加わる予圧は、内輪108c→ボール108b→外輪108a→突出部102aと加わっている。
第3の玉軸受113の外輪113aは、スペーサ110に接触し、更にスリーブ102に接着層112により接着されている。したがって、第2の玉軸受108の外輪108aのみが接着されていない構造になる。第3の玉軸受113の内輪113cは、接着層111によりシャフト101に接着されている。第3の玉軸受113に加わる予圧は、内輪113c→ボール113b→外輪113a→スペーサ110→第2の玉軸受の外輪108aと加わっている。
(構成2)
図2は、実施形態のピボット軸受装置の断面図である。図2には、図1のピボット軸受装置100とは異なる構造のピボット軸受装置200を軸方向で切った断面が示されている。ピボット軸受装置200は、シャフト101とスリーブ102とが第1の玉軸受103、第2の玉軸受108および第3の玉軸受113により結合し、スリーブ102に対してシャフト101が相対的に回転可能な構造とされている。
以下、図2に示すピボット軸受装置200が図1に示すピボット軸受装置100と異なる部分について説明する。ピボット軸受装置200は、シャフト101の外周に接触した状態で挿入されたスペーサ120を備えている点が、図1のピボット軸受装置100と異なっている。スペーサ120は、第2の玉軸受108の内輪108cと第3の玉軸受113の内輪113cとに接触し、内輪108cと内輪113cとの間で予圧を伝えている。なお、スペーサ120は、他の部材に接触はしているが接着等により固着はされていない。
また、図2に示すピボット軸受装置200においても外輪108aとスリーブ102の間にはわずかな隙間(図示省略)が存在している。ここで、ピボット軸受装置200では、図1の構造の場合と異なり、スリーブ102の第2の玉軸受108が位置する部分の内周面は、内径が大きくされた構造とされておらず、上記の隙間は、接着層112の厚みに相当する寸法(0.5μm〜50μm程度)とされている。すなわち、後述するように第3の玉軸受113の外輪113aは、接着層112によってスリーブ102に接着されている。これに対して第2の玉軸受108の外輪108aは、スリーブ102に接着されていない。このため、接着層112の厚みの分の隙間が外輪108aとスリーブ102の内周との間に形成された構造とされている。
ピボット軸受装置200における予圧について説明する。まず、第1の玉軸受103および第2の玉軸受108の予圧が与えられている状態は、ピボット軸受装置100と同じである。第3の玉軸受113に与えられる予圧は、図1の場合と異なり、外輪113a→ボール113b→内輪113c→スペーサ120→第2の玉軸受の内輪108cと加わっている。第3の玉軸受113への予圧は、内輪108cをシャフト101に接着した後に加えられる。そのため、ピボット軸受装置200における第3の玉軸受113への予圧は、第2の玉軸受108の内輪108cによって受け止められ、既に第2の玉軸受108に加わっている予圧に影響を与えない。
以上述べたように、図1(または図2)に示すピボット軸受装置100(またはピボット軸受装置200)は、筒形状の外側部材であるスリーブ102と、スリーブ102の内側に保持された軸部材であるシャフト101と、シャフト101をスリーブ102に対して回転可能な状態で保持し、軸方向に順に並んで配置された第1の玉軸受103、第2の玉軸受108および第3の玉軸受113とを備えている。そして、第2の玉軸受108の外輪108aは、スリーブ102に接着されておらず、外輪108aとスリーブ102との間には、僅かな隙間が設けられている。
また、スリーブ102の内側に一体に設けられ、第1の玉軸受103の外輪103aと第2の玉軸受108の外輪108aとに接触された状態で挟まれる接触部材である突出部102aを更に備えている。また、シャフト101に一体に設けられ、第1の玉軸受103の内輪103cにおける第2の玉軸受108の側と反対の側において第1の玉軸受103の内輪103cに接触するフランジ部105を更に備えている。
(特性)
以下、図1に示すピボット軸受装置の軸受精度を測定した結果を説明する。ここでは、(A)と(B)の2種類のサンプルを用意した。(A)のサンプルは、本発明の実施例である図1に示すピボット軸受装置100である。(B)のサンプルは、ピボット軸受装置100において、更に第2の玉軸受108の外輪をスリーブ102に接着した構造である。
(測定システム)
まず測定を行ったシステムについて説明する。図3は、測定を行ったシステムの概要を示す概念図である。図3には、測定システム400が示されている。
測定システム400において、回転ホルダー401に保持スリーブ402を介して、図1のピボット軸受装置100のスリーブ102が取り付けられている。回転ホルダー401は、駆動モータ403により回転させられる。ピボット軸受装置100のシャフト101には、延長軸404が取り付けられ、延長軸404には、回転アーム405が取り付けられている。回転アーム405の端部近くには、接触片406が取り付けられ、接触片406には、ロードセル408の検出部407が接触している。
駆動モータ403が回転すると、回転ホルダー401が回転し、それに伴ってピボット軸受装置100の外側筐体であるスリーブ102が、シャフト101に対して相対的に回転しようとする。この際、接触片406がロードセル408の検出部407に接触しているので、シャフト101は回転できず、シャフト101がピボット軸受装置100から受けるトルクがロードセル408によって測定される。
(測定結果)
図4は、測定結果を示すグラフであり、横軸は、ピボット軸受装置100のスリーブ102に対するシャフト101の相対回転角に対応する測定時間であり、縦軸は、シャフト101がスリーブ102から受けるトルクの値である。そして、図4(A)は、第2の玉軸受108をスリーブ102に接着しないサンプルAの測定データである。図4(B)は、第2の玉軸受108をスリーブ102に接着したサンプルBの測定データである。
図4から明らかなように、3つの玉軸受をスリーブ102に接着したサンプルBは、回転角に対するトルクの周期的な変動が見られる。これに対して、第2の玉軸受(中央の玉軸受)108をスリーブ102に接着しないサンプルAは、回転角に対するトルクの変動がほとんど見られない。この測定結果から、中央の玉軸受を外側筐体であるスリーブ102に接着する構造に比較して、接着しない構造が、回転に対するトルク変動を抑える点で優れていることが結論される。
以下、このような結果となる原因について考察する。まず、3つの玉軸受のシャフト(回転軸)に対するラジアル方向の位置決め精度には、測定精度以下の極僅かな不均一性が存在する。つまり、3つの玉軸受の軸中心は、完全に一致せず、極僅かであるがずれている(勿論、偶然ほぼ一致する場合もある)。
ここで本実施形態では、中央の第2の玉軸受がスリーブ102に接着されておらず、その外輪とスリーブ102との間に僅かな隙間が設けられている。このため、中央の玉軸受の内輪と外輪の相対位置関係が、各玉軸受の軸中心の変動を吸収する程度に変位可能になると考えられる。この極僅かな変位によりシャフト101の相対回転に際する上記のずれが吸収され、図4(A)に示すようにトルクの変動がほとんど現れなくなるものと考えられる。
一方、中央の玉軸受がスリーブ102に接着されていると、中央の玉軸受の内輪と外輪の相対位置関係が固定されるので、3つの玉軸受の軸中心のずれが吸収される余地がなくなり、このずれに起因してシャフト101の相対回転に際するトルクの変動が図4(B)に示すように現れるものと考えられる。
(応用例)
本発明は、ピボット軸受装置一般に利用できるが、軸を高い精度で保持するピボット軸受装置への利用に適している。このようなピボット軸受装置が必要とされる装置としては、HDDに利用される磁気記録媒体の検査装置や高密度記録が可能なHDDにおける磁気ヘッドのスイングアームを支える軸のピボット軸受装置が挙げられる。これらの装置では、決められた位置への素早くそして速い磁気ヘッドの移動制御が重要となる。この際、スイングアームのピボット軸受装置の保持精度が、データの書き込み精度および読み取り精度に影響する。具体的には、データの書き込みおよび読み取りの精度、および動作速度を高める場合、スイングアームの軸受精度もそれに応じて高いものが要求される。この点で、本発明を利用したピボット軸受装置は、これらの装置への利用に適している。勿論、本発明を利用したピボット軸受装置は、その他の高い軸受精度が要求される用途に利用可能なことは言うまでもない。
本発明は、ピボット軸受装置に利用することができる。
100…ピボット軸受装置、200…ピボット軸受装置、101…シャフト(回転軸)、102…スリーブ(外側筐体)、102a…突出部、103…第1の玉軸受、104…接着層、105…フランジ部、106…接着層、107…接着層、108…第2の玉軸受、110…スペーサ、111…接着層、112…接着層、113…第3の玉軸受、120…スペーサ。

Claims (1)

  1. 筒形状の外側部材と、
    前記外側部材の内側に保持された軸部材と、
    前記軸部材を前記外側部材に対して回転可能な状態で保持し、軸方向に順に並んで配置された第1の玉軸受、第2の玉軸受および第3の玉軸受と
    を備え、
    前記第2の玉軸受の外輪のみ、前記外側部材に固着されておらず、
    前記円筒形状の外側部材の内側と前記第2の玉軸受の外輪との間に隙間が形成されており、
    前記第1および第3の玉軸受の外輪は、接着層を介して前記筒状の外側部材の内側に固着されており、前記接着層の厚さの分で前記隙間が形成されていることを特徴とするピボット軸受装置。
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