JP5565630B2 - 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ - Google Patents

耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ Download PDF

Info

Publication number
JP5565630B2
JP5565630B2 JP2010253617A JP2010253617A JP5565630B2 JP 5565630 B2 JP5565630 B2 JP 5565630B2 JP 2010253617 A JP2010253617 A JP 2010253617A JP 2010253617 A JP2010253617 A JP 2010253617A JP 5565630 B2 JP5565630 B2 JP 5565630B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
broach
layer
cutting edge
tip
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010253617A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012101337A (ja
Inventor
耕一 田中
裕介 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2010253617A priority Critical patent/JP5565630B2/ja
Publication of JP2012101337A publication Critical patent/JP2012101337A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5565630B2 publication Critical patent/JP5565630B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Milling, Broaching, Filing, Reaming, And Others (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、金属のブローチ加工において、歯の欠損などを生じやすい高硬度材の高速ブローチ加工において、長期間に亘り高い耐摩耗性と高い切りくず排出性、高い仕上げ面精度を維持する、長い工具寿命を実現する表面被覆ブローチを提供する。
このようなブローチとしては、軸線を中心として該軸線回りにブローチ回転方向に回転される概略円柱状のブローチ本体の先端側が切刃部とされ、この切刃部の外周に一対の切屑排出溝が、軸線に関して互いに対称となるように、該切刃部の先端面、すなわちブローチ本体の先端逃げ面から後端側に向かうに従い軸線回りにブローチ回転方向の後方側に捩れる螺旋状に形成され、これらの切屑排出溝の内周面のうちブローチ回転方向を向く部分の先端側の前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成された、いわゆる2枚刃のソリッドブローチが知られている。従って、このようなソリッドブローチでは、前記切屑排出溝内周面のブローチ回転方向を向く部分の先端側がこの切刃のすくい面となり、切刃によって生成された切屑は、このすくい面から切屑排出溝の内周面を摺接しつつ、該切屑排出溝の捩れによって後端側に送り出されて排出されることとなる。そして、さらにこのようなブローチでは、ブローチ本体の耐摩耗性の向上のために種々の方法が採用されている。
例えば、特許文献1においては、一般式(M,Al)(C,N)(Mは、4,5,6族元素、Siおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示す。)で表される被覆層を2層積層し、前記被覆層のうち、基体表面に被覆された第1被覆層は、層厚が0.1〜1μmで平均結晶径が0.01〜0.1μmの粒状結晶にて構成され、前記被覆層のうち、第1被覆層の表面に被覆された第2被覆層は、層厚が0.5〜5μmで前記基体に対して垂直な方向に成長した柱状結晶からなり、該柱状結晶の前記基体に対して平行な方向の平均結晶幅が0.05〜0.3μmであり、かつ、前記第2被覆層の平均結晶幅が前記第1被覆層の平均結晶径より大きい表面被覆工具が開示されている。
また、特許文献2においては、炭化タングステン基超合金で構成されたブローチ本体の表面に下部層としてTiとAlとSiの複合酸化膜からなると共に、1〜3μmの平均層厚を有する硬質被覆層、上部層としてWとTiと窒素を含有し、残りが炭素と不可避不純物からなる組成を有すると共に、炭素系非晶質体の素地に、結晶質炭窒化チタン系化合物の微粒が分散分布した組織を示し、かつ1〜3μmの平均層厚を有する潤滑性非晶質炭素系被膜を蒸着してなる表面被覆超硬合金製ブローチが開示されている。
また、特許文献3においては、イオンプレーティング法において硬質被覆層を被覆してなる、ハイス、超硬合金、サーメット等の超硬合金を基体とする工具において、周期律表の4a、5a、6a族及びAlの炭化物及び/または窒化物の1種または2種以上からなる第一の層と、周期律表の4a、5a、6a族及びAlの炭化物及び/または窒化物の1種または2種以上と酸素を含有する第二の層を交互に積層させ、かつ、炭化物、窒化物からなる第一の層とその間に介在する酸素を含有する第二の層が結晶の連続性を有することを特徴とする被覆硬質工具が開示されている。
また、特許文献4においては、ブローチの最終仕上げ刃1と隣接する少なくとも1枚以上の仕上げ刃2の刃先1、2にダイヤモンド等のコーテイング被膜3を形成し、コーテイング被膜で形成された刃先に逃げ面5と、すくい面4と逃げ面との間に所定寸法に機械加工されたストレートランド6を設けたブローチが開示されている。
国際公開第2007/111301号パンフレット 特開2006−116643号公報 特開平11−264066公報 特開平11−138330公報
近年のブローチ加工装置のFA化はめざましく、加えてブローチ加工に対する省力化、省エネ化、低コスト化さらに効率化の要求も強く、これに伴い、高速などより高効率のブローチ加工が要求される傾向にあるが、特許文献1、特許文献2、特許文献3に例示されている従来表面被覆工具や従来表面被覆ブローチにおいては、各種の鋼や鋳鉄を通常条件下でブローチ加工した場合に特段の問題は生じないが、耐摩耗性が必要とされるとともに高い仕上げ面精度が必要となる、高速ブローチ加工に用いた場合には、表面皮膜のすべり特性が十分でなく、チッピング剥離や切り屑のつまりが原因で、比較的短時間で使用寿命に至る、あるいは摩耗の進行による早期の仕上げ面精度の低下が避けられないのが現状である。また、特許文献4に例示されている従来表面被覆ブローチでは、高い仕上げ面精度を維持できるものの、その製造方法は、蒸着形成した立方晶窒化ほう素やダイヤモンドからなる著しく硬い表面被覆層を機械研磨により除去してストレートランド部を形成する工程からなり、所望の工具を製造するために多大な苦労を要することから、決して効率的であるとは言えない。
そこで、本発明者らは、前述のような観点から、高速・乾式の深穴用ブローチ加工に用いられた場合にもすぐれた耐摩耗性と切屑排出性を示し表面被覆ブローチの長寿命化を図るべく、ブローチ表面を、例えば、(Cr1−xAlx)N{x=0.2〜0.6}の成分系からなる硬質被覆層で構成するとともに、該硬質被膜層の結晶粒組織に着目し鋭意研究を行った結果、次のような知見を得た。
(a)硬質被覆層として、例えば(Cr1−xAlx)N{x=0.2〜0.6}の成分系からなる層の形成を、例えば、図1の概略説明図に示される物理蒸着装置の1種である圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置にブローチ基体を装着し、例えば、
工具基体温度:380〜420℃、
蒸発源1:金属Cr
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:9〜13kW、
蒸発源2:金属Al
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:6〜11kW、
反応ガス流量:窒素(N2)ガス 75〜100sccm
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 45〜60sccm、
ブローチ基体に印加する直流バイアス電圧:+3〜+10V、
という特定の条件下で、かつ、成膜速度がブローチ基体の先端からの距離に沿って漸次増加するように調整された成膜条件で反応性蒸着形成した場合、この結果形成された硬質被覆層を備えた表面被覆ブローチは、従来の表面被覆ブローチに比して、高速・乾式の深穴加工において、すぐれた耐摩耗性および高い仕上げ面精度を示すことを見出した。
(b)前記硬質被覆層の断面組織を透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2の断面斜視図に示すように、層厚方向の縦断面においては、ブローチ先端部で、ブローチ基体表面に対して直立方向に成長した柱状晶の結晶粒が形成され、また、結晶粒の平均アスペクト比が、ブローチ先端から後方に向けて、1〜100の範囲で先端切れ刃における平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域が切れ刃部全体の2分の1の長さまで存在することを確認した。
(c)そして、表面被覆ブローチの硬質被覆層を、前記結晶粒組織を持つ硬質被覆層(以下、粒径制御層)で構成すると以下のような効果を発揮する。すなわち、工具先端部における切れ刃逃げ面は高熱・高負荷がかかるため、高アスペクト比の柱状晶の皮膜にて構成し高い耐摩耗性を実現するとともに、後端部の切れ刃は長期間に亘り仕上げ面を維持する目的で、低アスペクト比の粒状晶にて構成し、かつ、先端部切れ刃から後方切れ刃にかけて、熱および機械的負荷の漸次減少に対応してアスペクト比が漸次減少する様な構造を実現することで、所望の仕上げ面精度を維持したまま優れた耐摩耗性を長期に亘り発揮する。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるブローチ基体の上に直接または中間層を介して、最表面に粒径制御層として(Cr1−xAlx)N{x=0.2〜0.6}の成分系からなる層厚0.2〜5μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ブローチにおいて、
前記ブローチを構成する切れ刃の膜断面の結晶粒径状を観察したとき、前記粒径制御層を構成する結晶粒が幅15〜120nm、高さ0.2〜5μmの柱状晶からなり、かつ、前記ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチの先端切れ刃から後端に向けて、皮膜断面の結晶粒径状を観察した際の前記粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、1〜100の範囲で先端切れ刃における結晶粒の平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域がブローチの長さ方向に工具切れ刃部の2分の1以上の長さに亘り存在することを特徴とする、すぐれた耐摩耗性と高い仕上げ面精度を長期間に亘り発揮する表面被覆ブローチ。
(2) 前記粒径制御層の層厚が、最もブローチ先端に近い位置から後方にかけて、0.2〜5.0μmの範囲で漸次増加することを特徴とする(1)に記載の表面被覆ブローチ。
(3) 前記中間層が、Tiの窒化物または炭化物、炭窒化物、または、TiとAlからなる複合窒化物、TiとAlとSiからなる複合窒化物、CrとAlからなる複合窒化物のうち、いずれかの単層または前記硬質膜群から選ばれる複数の層構造からなる積層構造を有し、層厚5μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の表面被覆ブローチ。」
に特徴を有するものである。
本発明について、以下に説明する。
本発明表面被覆ブローチの硬質被覆層の最表面を構成する粒径制御層において、ブローチ先端部の逃げ面の被膜断面の結晶粒形状を観察した時、粒径制御層を構成する結晶粒が幅15〜120nm、高さ0.2〜5μmの柱状晶とする。ここで、幅が15nm以下では強度維持が困難であり、120nm以上では粗大になり欠損の原因となるため、幅は15〜120nmと定めた。また、高さが0.2μm以下では耐摩耗性が足りず、5μm以上では残留応力による欠損が生じやすくなり、十分な工具性能を発揮できないため、高さは0.2〜5μmと定めた。また、組成(Cr1−xAlx)NのうちCrとAlの合量に占めるAlの含有割合であるxの値が0.6を超えると、NaCl型結晶から六方晶組織へと変化し所望の特異な構造を具備することが出来ず、十分な耐摩耗性を維持することが難しい。一方、xの値が0.2未満であるとAlの耐熱特性が発揮されないため好ましくない。したがって、xの値をx=0.2〜0.6と定めた。また、前記切れ刃のアスペクト比の漸次減少する領域が2分の1未満では低アスペクト比の結晶粒構造が持つ高い切り屑排出性が維持されず、所望の工具性能を具備することが出来ないため、2分の1以上と定めた。また、前記切れ刃のアスペクト比の漸次減少する割合は、前記漸次減少領域の最も先端に存在する切れ刃で測定したアスペクト比を、最も後端に存在する切れ刃のアスペクト比で除した値が、3、望ましくは5、を超えるものとする。
そして、本発明者らは、粒径制御層を蒸着形成するための数多くの試験を行った結果、圧力勾配型プラズマガンを用いて、Arプラズマを原料が入ったハースに照射して蒸発させ、基板上に皮膜を物理蒸着させる反応性蒸着法を用いて、ブローチ基体上での成膜速度がブローチ基体の先端からの距離に沿って漸次増加するように調整された成膜条件で反応性蒸着を行うと、ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチ基体の先端から後端にかけて、被膜断面の結晶粒形状を観察した際、図2に示す通り、ブローチ先端部では、粒径制御層が、幅15〜120nm、高さが層厚相当となる高アスペクト比の柱状晶によって構成される一方で、例えば、ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチ後端の位置においては、粒径制御層が、幅15〜120nm、高さが層厚以下の縦長の柱状から粒状の結晶粒によって構成されており、かつ、そのアスペクト比がブローチ先端からブローチ後端に向かって、1〜100の範囲で、先端切れ刃における平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域が工具切れ刃全体の長さの2分の1以上に亘り存在することを見出した。
なお、ここでいう「アスペクト比」とは、個々の結晶粒の測定された最大径を示す線分である長辺の値を、長辺に対して垂直方向の最小径を示す短辺の値で除した値であり、「平均アスペクト比」とは、皮膜の断面観察における高さ膜厚相当×幅50μmの領域内に存在する結晶粒のアスペクト比の算術平均値を指す。
また、結晶粒の「幅」とは粒径制御層を断面から観察した際に、ブローチ基材と略平行に、膜厚の2分の1の高さに引いた長さ10μmの線分が結晶粒界によって区分される、線分の両端を除いた区分のそれぞれの長さの平均値を指す。
また、結晶粒の「高さ」とは結晶粒層を断面から観察した際に、ブローチ基材と略平行な線分に対して垂直に、0.1μmの間隔で引いた10本の、長さ膜厚相当の線分が結晶粒界によって区分される、各線分の両端を除いた区分のそれぞれの長さの平均値を指す。
また、「結晶粒のアスペクト比がブローチ先端から後端に向かって、1〜100の範囲で漸次減少する」とは、特定位置を中心として幅1mmの領域の中の任意の点において前記内容により定義された数値と、特定位置からブローチ後端方向へ少なくとも5mmを超えて離れた位置を中心として幅1mmの領域の中の任意の点において同様に定義された数値を比較した場合に、先端側よりも後端側の測定点で定義された数値の方が小さいという相関関係を指す。すなわち、前記条件を満たすならば、例えば、前記幅1mmの領域中で測定した結晶粒のアスペクト比が漸次減少していなくとも、本発明の範囲を外れるものではない。
本発明表面被覆ブローチは、超硬合金焼結体あるいは立方晶窒化硼素焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるブローチ基体の上に直接または中間層を介して、最表面に最表面に粒径制御層として(Cr1−xAlx)N{x=0.2〜0.6}からなる層厚0.2〜5μmの硬質層が存在する表面被覆ブローチであって、前記ブローチ先端部の逃げ面の被膜断面の結晶粒形状を観察した時、粒径制御層を構成する結晶粒が幅15〜120nm、高さ層厚相当の柱状晶からなり、かつ、前記ブローチの切屑排出溝のうち、先端からブローチ基体の長さに沿ってブローチ後端までの領域において、被膜断面の結晶粒形状を観察した際、粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、ブローチ先端から後端に向けて工具切れ刃部全体の2分の1以上の長さ領域に亘って、1〜100の範囲で3分の1以下に漸次減少していることから、すぐれた耐摩耗性と高い仕上げ面精度が実現できる。
本発明表面被覆ブローチの硬質被覆層(粒径制御層)を蒸着形成するための圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置の概略図を示す。 本発明表面被覆ブローチの硬質被覆層(粒径制御層)の断面斜視図を示す。 本発明表面被覆ブローチの先端切れ刃からの距離と硬質被覆層(粒径制御層)の結晶粒アスペクト比との関係を示す。 本発明表面被覆ブローチの先端切れ刃からの距離と硬質被覆層(粒径制御層)の結晶粒アスペクト比の関係を示す。 本発明表面被覆ブローチの先端切れ刃からの距離と硬質被覆層(粒径制御層)のアスペクト比を先端切れ刃のアスペクト比で除した値との関係を示す。 比較表面被覆ブローチの先端切れ刃からの距離と硬質被覆層(粒径制御層)のアスペクト比を先端切れ刃の結晶粒アスペクト比の関係を示す。 比較表面被覆ブローチの先端切れ刃からの距離と硬質被覆層(粒径制御層)のアスペクト比を先端切れ刃のアスペクト比で除した値との関係を示す。
つぎに、本発明表面被覆ブローチを実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、平均粒径0.8μmのWC粉末、同2.3μmのCr3C2粉末、同1.5μmのVC粉末および同1.8μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の各種の圧粉体にプレス成形し、これらの圧粉体を、6Paの真空雰囲気中、7℃/分の昇温速度で1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この温度に1時間保持後、炉冷の条件で焼結して、工具基体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに前記の丸棒焼結体から、研削加工にて、直径:50mmラ長さ:1000mmの超硬ブローチ本体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに前記の丸棒焼結体から、研削加工にて、切刃部最大径:40mmラ切刃部長さ:600mmラ全長:800mmの寸法および図2に示される形状を有し、かつ21歯のスプライン形状を有する荒刃25刃、仕上げ刃25刃、を持つWC基超硬合金製のブローチ基体D−1〜D−4をそれぞれ製造した。
ついで、これらのブローチ基体D−1〜D−4の切刃に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、図1の概略図に示される物理蒸着装置の1種である圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置に装着し、
工具基体温度:380〜420℃、
蒸発源1:金属Cr
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:9〜13kW、
蒸発源2:金属Al
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:6〜11kW、
反応ガス流量:窒素(N2)ガス 75〜100sccm、
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 45〜60sccm、
ブローチ基体に印加する直流バイアス電圧:+3〜+10V、
という特定の条件(表2)下、ブローチ基体上での成膜速度がブローチ基体の先端からの距離に沿って漸次増加するように調整する目的で、ブローチ基体を、例えば、図1に示すように、ブローチ基体の先端部を水平から上方に向け、かつ、ハース載置平面の鉛直方向の軸に対して、表3に示す角度を保ったまま自転させると同時に、該鉛直方向の軸を回転中心軸として公転させながら反応性蒸着をして、表3に示される組成および組織を有する粒径制御層を形成した本発明表面被覆ブローチ1〜12をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、前記ブローチ基体D−1〜D−4の表面に、ホーニングを施し、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、同じく図1に示される圧力勾配型Arプラズマガンを利用したイオンプレーティング装置にブローチ基体の全域に亘って均一な硬質被覆層を形成する目的で、ブローチ基体を、ハース載置平面と平行を保ったまま自転させる(図示せず)と同時に、該鉛直方向の軸を回転中心軸として公転させながら反応性蒸着をして、ブローチ基体D−1〜D−4の表面に、表4に示される均一な組成および組織を有する従来層を形成した比較表面被覆ブローチ1〜12をそれぞれ製造した。
つぎに、前記本発明表面被覆ブローチ1〜12および比較表面被覆ブローチ1〜12について、
被削材:外径80mm 中心穴径40mm、厚さ40mm、JIS S55Cの貫通孔あき材
引き抜き速度: 9m/min.、
寿命判断条件: 切れ刃の欠損または逃げ面摩耗幅が0.15mmを超えるまで
の条件での炭素鋼の乾式高速穴加工試験(通常の引き抜き速度は5m/min.)
を行い、工具寿命に至るまでの加工数を測定した。この測定結果を表3、4にそれぞれ示した。
Figure 0005565630
Figure 0005565630
Figure 0005565630
Figure 0005565630
この結果得られた本発明表面被覆ブローチ1〜12の硬質被覆層を構成する粒径制御層、さらに、比較表面被覆ブローチ1〜12の硬質被覆層を構成する従来層の組成を、透過型電子顕微鏡を用いてのエネルギー分散X線分析法により測定したところ、それぞれ目標組成と実質的に同じ組成を示した。
また、前記の硬質被覆層の平均層厚を、走査型電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均値(5ヶ所の平均値)を示した。
表3、4に示される結果から、本発明表面被覆ブローチは、ブローチ先端部の逃げ面の被膜断面の結晶粒形状を観察した時、粒径制御層を構成する結晶粒が幅15〜120nm、高さ層厚相当の柱状晶からなり、かつ、ブローチを構成する切れ刃の被膜断面の結晶粒形状を観察した際、粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、ブローチ先端から後端に向けて工具切れ刃部全体の2分の1以上の長さ領域に亘って、1〜100の範囲で3分の1以下に漸次減少していることから、すぐれた耐摩耗性と高い仕上げ面精度が実現できる。
これに対して、硬質被覆層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、ブローチ先端から後方に向けて変化しない従来層を有する比較表面被覆ブローチにおいては、耐摩耗性が十分でないために、チッピング、欠損、剥離の発生等により、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
また、本発明表面被覆ブローチ1および2について、先端からの距離(切れ刃が存在する範囲の長さを1とする)と切れ刃の粒径制御層の結晶粒径状と膜厚との関係を表5に示した。
Figure 0005565630
前述のように、本発明の表面被覆ブローチは、硬質被覆層(粒径制御層)を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、ブローチ先端から後方に向けて、工具切れ刃部全体の2分の1以上の長さ領域に亘って、1〜100の範囲で3分の1以下に漸次減少していることから、高い仕上げ面精度を備えており、そして、この高い仕上げ面精度は、高速・乾式の深穴用ブローチ加工条件においても、長期間にわたり高い耐摩耗性を維持するものである。

Claims (3)

  1. 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるブローチ基体の上に、直接または中間層を介して、
    最表面に粒径制御層として(Cr1−xAlx)N{x=0.2〜0.6}の成分系からなる層厚0.2〜5μmの硬質被覆層が存在する表面被覆ブローチにおいて、
    前記ブローチを構成する切れ刃のうち、先端の切れ刃の硬質被覆層断面の結晶粒径状を観察したとき、前記粒径制御層を構成する結晶粒が幅15〜120nm、高さ0.2〜1.8μmの柱状晶からなり、かつ、前記ブローチを構成する切れ刃のうち、ブローチの先端切れ刃から後端に向けて、皮膜断面の結晶粒径状を観察した際の前記粒径制御層を構成する結晶粒の平均アスペクト比が、1〜100の範囲で先端切れ刃における結晶粒の平均アスペクト比の3分の1まで漸次減少する領域がブローチの長さ方向に工具切れ刃部の全長の2分の1以上の長さに亘り存在することを特徴とする、優れた耐摩耗性と高い仕上げ面精度を長期間に亘り発揮する表面被覆ブローチ。
  2. 前記粒径制御層の層厚が、最もブローチ先端に近い位置から後方にかけて、0.2〜5.0μmの範囲で漸次増加することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆ブローチ。
  3. 前記中間層が、Tiの窒化物または炭化物、炭窒化物、または、TiとAlからなる複合窒化物、TiとAlとSiからなる複合窒化物、CrとAlからなる複合窒化物のうち、いずれかの単層または前記硬質膜群から選ばれる複数の層構造からなる積層構造を有し、層厚5μm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表面被覆ブローチ。
JP2010253617A 2010-11-12 2010-11-12 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ Expired - Fee Related JP5565630B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010253617A JP5565630B2 (ja) 2010-11-12 2010-11-12 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010253617A JP5565630B2 (ja) 2010-11-12 2010-11-12 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012101337A JP2012101337A (ja) 2012-05-31
JP5565630B2 true JP5565630B2 (ja) 2014-08-06

Family

ID=46392371

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010253617A Expired - Fee Related JP5565630B2 (ja) 2010-11-12 2010-11-12 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5565630B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115647467B (zh) * 2022-10-30 2025-03-07 杭州电子科技大学 一种仿蟹螯绒毛的复合微结构拉刀及其制备方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3252711B2 (ja) * 1996-07-02 2002-02-04 住友電気工業株式会社 被覆窒化珪素系工具
JP2002160129A (ja) * 2000-11-24 2002-06-04 Toyo Advanced Technologies Co Ltd 工具の表面処理方法
JP2006326688A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Hitachi Tool Engineering Ltd 被覆超硬合金製ブローチ
US8846217B2 (en) * 2008-10-28 2014-09-30 Kyocera Corporation Surface-coated tool
JP5240666B2 (ja) * 2009-03-06 2013-07-17 三菱マテリアル株式会社 すぐれた切屑排出性を示す表面被覆切削工具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012101337A (ja) 2012-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5344204B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP6634647B2 (ja) 耐チッピング性、耐摩耗性にすぐれた表面被覆切削工具
JP5594575B2 (ja) 硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆切削工具
JP5995080B2 (ja) 耐クラック性にすぐれた立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製表面被覆切削工具
JP5835307B2 (ja) 超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具
WO2018051939A1 (ja) 表面被覆切削工具
JP6617917B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP5223743B2 (ja) 表面被覆立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料製切削工具
JP5835308B2 (ja) 超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具
JP5560513B2 (ja) 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具
WO2016084939A1 (ja) 耐チッピング性、耐摩耗性にすぐれた表面被覆切削工具
JP5240666B2 (ja) すぐれた切屑排出性を示す表面被覆切削工具
JP5682217B2 (ja) 耐摩耗性と切屑排出性に優れた表面被覆ドリル
JP2012101337A (ja) 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ
JP5672441B2 (ja) 耐摩耗性と仕上げ面精度に優れた表面被覆ブローチ
JP5892329B2 (ja) 耐摩耗性と切屑排出性にすぐれた表面被覆ドリル
JP6198002B2 (ja) 高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐摩耗性と耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
JP5240665B2 (ja) すぐれた切屑排出性を示す表面被覆切削工具
JP5321360B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP5590332B2 (ja) 耐摩耗性と切屑排出性に優れた表面被覆ドリル
JP5239296B2 (ja) 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具
JP5892331B2 (ja) 潤滑特性と耐摩耗性にすぐれた表面被覆ドリル
JP5835305B2 (ja) 超硬合金およびこれを用いた表面被覆切削工具
JP5672444B2 (ja) 耐摩耗性と切屑排出性に優れた表面被覆ドリル
JP2016064470A (ja) 耐チッピング性、耐摩耗性にすぐれた表面被覆切削工具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130927

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140522

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140604

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5565630

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees