JP5569340B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ループアンテナ素子を用いたアンテナ装置に関するものである。
近年、ユビキタス社会の中で、アクティブ型の小型無線タグを用いたあらゆるシステムの検討が進められている。人が無線タグを身につけることでヘルスケア、機器のセキュリティ、ハンズフリーの入退室管理など安心安全を実現するシステム、家庭内の家電機器に無線タグを適用したホームネットワーク、スマートメータ、センサーネットワークなどがあげられる。また、ひとつの無線タグでこれらのあらゆるシステムに対応できることが望ましい。アクティブ型の無線タグとしては主に400MHz帯と900MHz帯が一般的に使用され、これらの周波数帯に対応したアンテナが必要とされる。
一方で、複数のアンテナを用いて適応的にアンテナの動作モードを制御することで良好な放射特性を実現するアンテナがある。このアンテナを上記の小型無線タグに用いる場合、波長に対して十分小さい無線タグの筐体内に複数のアンテナを近接して配置しなければならないため、アンテナ間の相互結合が増大し、アンテナの利得が劣化するといった課題が生じる。アンテナ間の相互結合低減が必要とされる。
従来、複数の周波数に対応し、相互結合が低減できるアンテナとしては、携帯電話向けに主にモノポールアンテナなどの線状アンテナに対して検討されてきた(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−199588号公報
しかしながら、上記従来の構成では、4分の1波長程度のアンテナ素子の長さを必要とするため、無線タグなど波長に対して十分小さいアンテナ寸法、アンテナ間隔が要求される用途には適さない。
本発明は、上記従来の課題に鑑み、波長に対して十分小さい寸法にて複数の周波数に対応し、かつアンテナ間の相互結合を低減できるアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のアンテナ装置は、接地導体を有する平面状の接地板と、前記接地板から水平方向に離れた位置に設けた第1ループアンテナ及び第2ループアンテナと、前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナのそれぞれ一端に設けた給電点に対して信号の給電を行う信号給電手段とを備え、前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナに形成されるループ面は前記接地板に対して垂直に形成され、前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナの他端は共通の接地線を介して、可変インダクタンスおよび可変容量を経由して前記接地板に接続され、前記第1ループアンテナの給電点から前記接地板へ至る方向に向かう巻き方向と、前記第2ループアンテナの給電点から前記接地板へ至る方向に向かう巻き方向とが互いに反対方向となるアンテナ装置である。
本発明のアンテナ装置は、複数の周波数に対して相互結合を低減できるループアンテナを用いることで、波長に対して小さい寸法にて複数の周波数に対応し、かつアンテナ間の相互結合を低減できるアンテナ装置を実現できる。
本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の構成を示す図 本発明の実施の形態1における位相変化量の範囲が0度から90度の移相器104a、104bの構成例を示す図 本発明の実施の形態1における位相変化量の範囲が0度から−90度の移相器104a、104bの構成例を示す図 本発明の実施の形態1における整合回路105、106の構成例を示す図 本発明の実施の形態1における可変容量ダイオードを用いた整合回路105、106の構成例を示す図 本発明の実施の形態1におけるコンデンサに並列共振回路を挿入した整合回路105、106の構成例を示す図 本発明の実施の形態1におけるループアンテナ107、108、接地線109の構成例を示す図 本発明の実施の形態1におけるループアンテナ107、108、接地線109、グランド容量110の構成例を示す図 (a)本発明の実施の形態1におけるループアンテナ107、108に給電する位相差が0度のときのアンテナ装置の動作を示す図(b)本発明の実施の形態1におけるループアンテナ107、108に給電する位相差が180度のときのアンテナ装置の動作を示す図 本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の等価回路を示す図 本発明の実施の形態1における給電端間の相互結合量の計算結果を示す図 本発明の実施の形態1における接地線109が途中で2つに枝分かれし、一方をグランド容量110に接続し、他方を接地板101に直接接続されている場合のアンテナ装置の等価回路を示す図 本発明の実施の形態1における接地線109が途中で2つに枝分かれし、一方をグランド容量110に接続し、他方を接地板101に直接接続されている場合の給電端間の相互結合量の計算結果を示す図 本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の給電位相差の設定手順を示した図 本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の給電位相差の設定手順を示した図 本発明の実施の形態1におけるアンテナ装置の給電位相差の設定手順を示した図 (a)本発明の実施の形態1における接地線109とグランド容量110の間に、インダクタンス113を挿入したアンテナ装置の構成を示す図(b)本発明の実施の形態1における接地線109が可変容量114と可変インダクタンス115を介してグランドへ接続されるアンテナ装置の構成を示す図 本発明の実施の形態1における定数を可変とする直列LC回路の構成例を示す図 本発明の実施の形態1における共振周波数を近接させた場合の給電端間の相互結合量の計算結果を示す図
第1の発明は、接地導体を有する平面状の接地板と、接地板から水平方向に離れた位置に設けた第1ループアンテナ及び第2ループアンテナと、第1ループアンテナ及び第2ル
ープアンテナのそれぞれ一端に設けた給電点に対して信号の給電を行う信号給電手段とを備えるアンテナ装置に関するもので、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナに形成されるループ面は接地板に対して垂直に形成され、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナの他端は共通の接地線を介して、可変インダクタンスおよび可変容量を経由して接地板に接続されるものである。
これによって、波長に対して小さい寸法にて複数の周波数に対応し、かつアンテナ間の相互結合を低減できるアンテナ装置を実現できる。
第2の発明は、特に、第1の発明の信号給電手段は、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナに給電する信号の位相を制御するものである。これによって、波長に対して小さい寸法にて複数の周波数に対応し、かつアンテナ間の相互結合を低減できるアンテナ装置を実現できる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナから放射されるループ面に平行な偏波と、第1ループアンテナから接地板へ流れ込む電流により放射される偏波とが直交するように、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナを形成するものである。これによって、波長に対して小さい寸法にて複数の周波数に対応し、かつアンテナ間の相互結合を低減できるアンテナ装置を実現できる。
第4の発明は、特に、第3の発明において、地板の近傍にある導体を検知する導体検知手段を設け、信号給電手段は、導体検知手段により検知内容に応じて、第1給電点から給電する信号の位相と、第2給電点から給電する信号の位相とを制御するものである。
これによって、常に高い送信電力、受信電力が得られる位相差に適応的に設定するダイバーシチ通信を行うことで良好な通信状態を得ることができる。
第5の発明は、特に、第3の発明において、基準平面に対する接地板の傾きを検知する姿勢検知手段を設け、信号給電手段は、姿勢検知手段により検知される傾きに応じて、第1給電点から給電する信号の位相と、第2給電点から給電する信号の位相とを制御するものである。これによって、アンテナ装置の姿勢に関わらず良好な放射特性を実現できる。
第6の発明は、特に、第3の発明における信号給電手段は、第1給電点から給電する信号の位相と、第2給電点から給電する信号の位相との位相差を異なる値にして受信動作を行い、そのうちで最も受信電力が大きい時の位相差を使用するものである。これによって、良好な通信状態を得ることができる。
以下、本発明のアンテナ装置を実施するための形態について、図面に沿って説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下に、本発明のアンテナ装置の実施の形態1の詳細について説明する。
図1は、本発明のアンテナ装置の構成を示す図である。X、YおよびZは、各々の座標軸を示す。図1において、接地板101は、接地導体を有する接地板である。接地板101は、長手方向がZ軸方向である。接地板101のZ軸方向の長さLは、X軸方向の長さTよりも長いことが望ましい。
送受信回路102は、接地板101上に設けられ、送信信号を生成し出力し、入力された受信信号を処理する送受信回路である。なお、送受信回路102は、送信回路のみ、ま
たは受信回路のみであってもよい。また、後述する姿勢検知器111から送受信回路102へ本発明のアンテナ装置の傾き情報が入力される。さらに、送受信回路102から後述する移相器104a、104bを制御するための移相量制御信号を出力する。
分配器103は、接地板101に設けられ、入力端子が送受信回路102に接続され、送受信回路102から入力される信号を2つに電力分割して出力する分配器である。分配器103は、具体的にはウィルキンソン分配器などで構成される。
移相器104a、104bは、送受信回路102と分配器103の2つの出力端子にそれぞれ接続され、入力された信号の位相を、送受信回路102から出力される移相量制御信号に基づいて、所定の値に変換して出力する移相器である。これにより後述するループアンテナ107、108に給電する2つの信号の給電位相差を変化させる。2つの信号の位相差を変化させることができればよいので、分配器103の2つの出力端子のうち、一方のみ移相器が接続されていてもよい。また、移相量が固定の値であり、移相量の制御が必要ない場合、移相量制御信号は不要としてもよい。
図2は、位相変化量の範囲が0度から90度の移相器104a、104bの構成例を示す図である。複数の異なる移相量を有する移相器をスイッチにて切り替えることにより構成される。移相器はそれぞれ2つの直列コンデンサCとその間に設けられた1つの並列インダクタLにより構成される。移相量が0度の場合は、入出力を直接接続する。
図3は、位相変化量の範囲が0度から−90度の移相器104a、104bの構成例を示す図である。複数の異なる移相量を有する移相器をスイッチにて切り替えることにより構成される。移相器はそれぞれ2つの並列コンデンサCとその間に設けられた1つの直列インダクタLにより構成される。移相量が0度の場合は、入出力を直接接続する。
移相器104a、104bは、チップ部品が使用できるインダクタやコンデンサにより回路を構成できるため、一般的な遅延線路を切り替える方式の移相器を用いた場合に比べて、回路を小型化できる。
整合回路105は、接地板101上に設けられ、後述するループアンテナ108と移相器104aに接続され、後述するループアンテナ108へ効率よく給電するため、後述するループアンテナ108と移相器104aとの間のインピーダンスの整合を行う整合回路である。
整合回路106は、接地板101上に設けられ、後述するループアンテナ107と移相器104bに接続され、後述するループアンテナ107へ効率よく給電するため、後述するループアンテナ107と移相器104bとの間のインピーダンスの整合を行う整合回路である。
図4(a)、(b)は、整合回路105、106の構成例を示す図である。直列コンデンサと並列コンデンサにて構成される。後述するループアンテナ107、108は放射抵抗が小さいため、損失の非常に小さい整合回路が必要である。インダクタはコンデンサに比べて損失が大きいため、整合回路に使用すると、放射効率が劣化し、利得が大幅に低下する。よって、コンデンサによる整合回路の構成が望ましい。
図5(a)、(b)は、可変容量ダイオードを用いた整合回路105、106の構成例を示す図である。アンテナの整合条件は、周波数により変化するため、整合定数も周波数に応じて変えなければならない。図4のコンデンサに可変容量ダイオードを用い、インダクタを経由して任意の直流電圧を与えることにより、容量値を制御することができる。こ
の構成により、使用周波数に応じて容量値を変化させることにより整合をとることができる。
図6(a)、(b)、(c)は、直列コンデンサに並列共振回路を挿入した整合回路105、106の構成例を示す図である。並列共振回路のインピーダンスは周波数により変化し、共振周波数より低い場合はインダクタンス、共振周波数より高いときはキャパシタンスとなる。
周波数によりインピーダンスの変化する並列共振回路を直列コンデンサに挿入することにより、コンデンサと共振回路の合成インピーダンスが周波数により変化し、異なる2つの周波数において、異なる容量を有することとなる。使用する電波の異なる2つの周波数において、アンテナの入力インピーダンスが20mSの等コンダクタンス線上に変換されるように、直列コンデンサC1と並列共振回路を構成するインダクタLaとコンデンサCaの定数を調整する。さらに使用する電波の周波数に応じて、並列容量にて信号源の内部インピーダンス50Ωに変換する。並列容量の切り替えは図6(a)のようにスイッチで選択的に切り替える方法、図6(b)のように可変容量ダイオードにより並列容量C2を調整する方法、図6(c)のように並列コンデンサに対しても並列共振回路を挿入する方法のいずれであっても良い。これにより異なる2つの周波数に対して整合をとることができる。
ループアンテナ107は、形成するループ面が接地板101の面に対して略垂直になるように設けられ、2つの給電端が、整合回路106と、後述する接地線109、後述するグランド容量110を経由して接地板101とに電気的に接続されたループ状の導体からなるループアンテナである。
ループアンテナ108は、形成するループ面が接地板101の面に対して略垂直になるように設けられ、2つの給電端が、整合回路105と、後述する接地線109、後述するグランド容量110を経由して接地板101とに電気的に接続されたループ状の導体からなるループアンテナである。
ループアンテナ107、108は、ループの軸方向が互いに等しい。
ループアンテナ107、108は、全長が送受信する電波の1波長以下である。よってアンテナの最大寸法は半波長以下となる。ループアンテナ107、108のループの巻き数は、1回巻きとしているが、いくらであってもよい。また、ループアンテナ107、108のループの形状は図1のような矩形でなくてもよい。ループアンテナ107、108は、接地板101から突出して設けられている。
ループアンテナ107、108の給電側(整合回路105、106に接続されている給電端側)からグランド側(後述する接地線109、後述するグランド容量110を経由して接地板101に接続されている給電端側)へ向かうループの巻き方向は、互いに逆方向でなければならない。なお、ループアンテナ107、108のループのサイズは同一が望ましいが、異なっていてもよい。
接地線109は、ループアンテナ107、108のそれぞれの給電端と接地板101とを後述するグランド容量110を経由して電気的に接続し、インダクタンス成分を有する接地線である。図1において、ループアンテナ107、108のそれぞれの接地板101側に接続される方の端子を互いに接続して1つの端子とし、共通の接地線109、後述するグランド容量110を経由して接地板101に接続される。
グランド容量110は接地線109と接地板101間を接続する容量素子である。
図1では、ループアンテナ107、108は互いにループ面が交差するように配置され、上部のループにて接地線109が接続されている。Z軸方向を上下方向とすると、ループアンテナ107、108はそれぞれ左右対称の構造となっており、ループ面が階段状に屈曲したループアンテナとなっている。ループアンテナ107、108はそれぞれの給電端の中点付近にて互いに線が交差している。つまり階段状に屈曲した左右対称のループ面が交差していることとなる。図7(a)、(b)、(c)は、ループアンテナ107、108、接地線109の構成例を示す図である。図7(a)に示すようにループ面は交差していなくても良い。また図7(b)に示すようにループ面が交差している場合、下部のループにて接地線109が接続されていても良い。また図7(c)に示すようにループ面が交差している場合、例えばループの一部の線が斜め方向を向いたループ形状であっても良い。
図8(a)、(b)は、ループアンテナ107、108、接地線109、グランド容量110の構成例を示す図である。図8(a)は接地線109が一部屈曲している例、図8(b)は接地線109が途中で2つに枝分かれし、接地板101に接続されている例である。接地線109のインダクタンス成分とグランド容量110を含めたインピーダンスを、接地線109を一部屈曲させる、または分岐させる、または分岐させて一方をグランド容量110に接続し、他方を接地板101に直接接続するなどにより調整する。接地線109はどのような形状であっても良い。ただし、接地線109を屈曲する場合、ループアンテナ107、108と接地線109間に相互インダクタンスが生じることを防止するため、図8(a)、(b)のように接地線109によって形成されるループの軸方向が、ループアンテナ107、108のループ軸方向と直交した構成が望ましい。
姿勢検知器111は、接地板101上に設けられ、本発明のアンテナ装置の傾きを検知して、送受信回路102に傾き情報を出力する姿勢検知器である。姿勢検知器111は具体的には加速度センサや転倒スイッチなど地面に対する傾きがわかるセンサで構成される。
導体検知器112は、接地板101上に設けられ、本発明のアンテナ装置が人体や金属などの導体に近接しているかどうかを検知して送受信回路102に導体検知情報を出力する導体検知器である。導体検知器112は具体的には赤外線センサや容量センサなどの近接センサを用いる方法、微小ループアンテナを用いて近接する導体との相互インダクタンスの変化量を検出する方法、ループアンテナ107、108の給電端間に生じる相互結合量が近接する導体の影響により変化することを利用して、相互結合の変化量で近接する導体を検出する方法などで構成される。
以上のように構成されたアンテナ装置について、その動作を説明する。
送受信回路102から出力された送信信号は、分配器103により2つに電力分割される。2つの分割された信号のうち一方は、移相器104aにより所定の位相に変換され、整合回路105によりインピーダンス変換され、ループアンテナ108に出力される。2つの分割された信号のうち他方は、移相器104bにより所定の位相に変換され、整合回路106によりインピーダンス変換され、ループアンテナ107に出力される。送受信回路102から出力される移相量制御信号にもとづいて、ループアンテナ107、108に位相差給電をおこなう。
次に上記のように構成されたアンテナ装置の電波の放射について説明する。
本発明のアンテナ装置は、ループアンテナ107、108が磁流源を放射源とする磁流アンテナ、接地板101が電流源を放射源とする電流アンテナとして動作する。また、放射する偏波は、図1において地面がXY平面と平行であり、Z軸方向の偏波を垂直偏波、垂直偏波に直交する偏波を水平偏波とすると、ループアンテナ107、108はXY平面上をループ状に電流が流れ、水平偏波を放射する。接地板101は、Z軸方向にループアンテナ素子があり、さらに長手方向がZ軸方向であるので、Z軸方向に電流が流れ、垂直偏波を放射する。磁流アンテナ成分は水平偏波、電流アンテナ成分は垂直偏波を放射する。
図9(a)は、ループアンテナ107、108に給電する位相差が0度のときのアンテナ装置の動作を示す図である。ループアンテナ107の給電位相をα1、ループアンテナ108の給電位相をα2、給電位相差をα1−α2とする。位相差が0度のとき、ループアンテナ107、108に流れる電流は互いに逆方向となるため、ループアンテナ107、108から形成される磁流は互いに打ち消しあう。また、ループアンテナ107、108から接地線109に流れ込む電流の向きは、ともに同一方向となるため、接地板101に電流が流れる。
図9(b)は、ループアンテナ107、108に給電する位相差が180度のときのアンテナ装置の動作を示す図である。位相差が180度のとき、ループアンテナ107、108に流れる電流はともに同一方向となるため、ループアンテナ107、108に磁流が形成される。また、ループアンテナ107、108から接地線109に流れ込む電流の向きは、互いに逆方向となるため、電流は互いに打ち消しあう。
図9から、給電位相差を変化させることにより、電流アンテナ、磁流アンテナのいずれの動作モードでアンテナを動作させるか、また、垂直偏波、水平偏波もしくは任意の傾きをもつ偏波のいずれの偏波で放射するか制御することが出来る。
また、図1や図7(b)、(c)のようにループ面が交差している場合、位相差が180度としたときに図7(a)の構成に比べて効果的に電流アンテナ成分を抑制できる。図1や図7(b)、(c)では、ループアンテナ107、108が左右対称の構造となっており、上部と下部のループを接続するZ軸方向の線状部分に流れる電流が、同振幅、逆位相となるためである。よって、本発明のアンテナ装置を偏波制御の目的で使用する場合、ループアンテナ107、108は左右対称の構造で、ループ面が交差している構成が望ましい。
次にアンテナ装置の複数周波数帯における相互結合低減について説明する。
図10(a)、(b)は本発明のアンテナ装置の等価回路を示す図である。ループアンテナ107、108の自己インダクタンスをL1、L2、ループアンテナ107、108間に生じる相互インダクタンスをM、ループアンテナ107、108間に生じる容量をC12、接地線109の自己インダクタンスをL3、グランド容量110のキャパシタンスをCgとする。本発明のアンテナ装置は、図10(a)のように等価回路に置き換えられて、図10(b)のように変換される。
容量C12とアンテナの各部位に生じるインダクタンス成分により、給電端間に並列共振回路が発生する。また容量Cgとアンテナの各部位に生じるインダクタンス成分により、給電端とグランド間に直列共振回路が発生する。これら2つの共振回路は帯域阻止フィルタとして動作し、給電端間の相互結合を抑圧する効果がある。それぞれの共振周波数が、使用する2つの電波の周波数と一致するように調整することにより、相互結合によるアンテナ利得の劣化を防ぐことができる。具体的な共振周波数の調整方法は、接地線109
の長さ、形状によるインダクタンスL3の調整、グランド容量110の容量値Cgの調整、ループアンテナ107、108のループ間の距離、ループ面積、線の太さによる自己インダクタンスL1、L2、相互インダクタンスM、容量C12の調整にて行う。図11は給電端間の相互結合量の計算結果を示す図である。2つの周波数において相互結合が大きく低下していることがわかる。
図12(a)、(b)は図8のように接地線109が途中で2つに枝分かれし、一方をグランド容量110に接続し、他方を接地板101に直接接続されている場合の本発明のアンテナ装置の等価回路を示す図である。アンテナ装置は、図12(a)のように等価回路に置き換えられて、図12(b)のように変換される。接地線109の自己インダクタンスのうち接地板101に直接接続されているほうを新たにL3’としている。本発明のアンテナ装置に金属などが近接すると、ループアンテナ107、108と金属との間に容量Cgndが発生する。この容量Cgndは接地線のインダクタンスL3と並列共振回路を構成する。金属との距離が離れている場合は、容量Cgndは0に近いため、容量Cgndと接地線のインダクタンスL3による並列共振周波数は非常に高い。しかし金属との距離が近くなると容量Cgndが大きくなり、並列共振周波数が使用する電波の周波数にちかくなり、上記で述べた相互結合を低減するために調整した2つの共振振周波数に大きく影響する。接地線109を分岐させ、インダクタンスL3’を新たにもうけ、L3に対してL3’が小さい値となるように接地線109が分岐後の長さをそれぞれ調節する。容量Cgndと並列共振回路を構成するインダクタは、L3とL3’が並列に接続された合成インダクタンスとなる。L3とL3’の合成インダクタンスは、実質的に値の低いL3’となる。これにより、容量Cgndと接地線109のインダクタンス成分による並列共振周波数を使用する電波の周波数帯に対して十分高くすることができ、金属の影響による相互結合特性の変動を低減することができる。図13は図8のように接地線109が途中で2つに枝分かれし、一方をグランド容量110に接続し、他方を接地板101に直接接続されている場合の給電端間の相互結合量の計算結果を示す図である。2つの周波数において相互結合が大きく低下していることがわかる。
次にアンテナ装置の位相差制御方法について説明する。
図14は本発明のアンテナ装置の給電位相差の設定手順を示した図である。
ステップ1にて給電位相差の設定を開始する。ステップ2にて導体検知器112にて検知した導体検知情報を送受信回路102へ出力する。送受信回路102は、導体検知器112から出力された導体検知情報を認識すると(ステップ3)、導体検知情報が人体や金属が近接していることを示すとされる場合は給電位相差を180度に設定して磁流アンテナとして動作させ、導体検知情報が人体や金属が近接していないことを示すとされる場合は給電位相差を0度に設定して電流アンテナとして動作させる(ステップ4)。
これにより人体や金属とアンテナ間の距離に関わらず良好な放射特性を実現できる。
また、送受信回路102は姿勢検知器111から得られたアンテナ装置の傾き情報を元に、アンテナ装置から放射する偏波を切り替える。図15は本発明のアンテナ装置の給電位相差の設定手順を示した図である。まず、給電位相差の設定を開始する(ステップ1)。次に、姿勢検知器111にてアンテナ装置の傾きを検知する(ステップ2)。そして、送受信回路102は姿勢検知器111から出力される傾き情報を認識すると(ステップ3)、傾き情報を基にして到来する電波の偏波の傾きと同一偏波となるように給電位相差を設定する(ステップ4)。これにより、アンテナ装置の姿勢に関わらず良好な放射特性を実現できる。
また、導体検知情報あるいは傾き情報によらず、給電位相差を常に複数パターン切り替えて通信し、常に高い送信電力、受信電力が得られる位相差に適応的に設定するダイバーシチ通信を行うことで良好な通信状態を得ることができる。図16は本発明のアンテナ装置の給電位相差の設定手順を示した図である。ステップ1にて給電位相差の設定を開始する。ステップ2にて送受信回路102は給電位相差をAに設定し、電波の受信電力を測定する。ステップ3にて送受信回路102は給電位相差をBに設定し、電波の受信電力を測定する。ステップ4にて送受信回路102は給電位相差をCに設定し、電波の受信電力を測定する。ステップ5にて送受信回路102は給電位相差A、B、Cのうちもっとも電波の受信電力が高かった給電位相差を設定する。
なお、給電位相差A、B、Cは、それぞれ異なる値である。それらの値は、あらかじめ定めておいてもよいし、設定開始時にランダムに決定してもよい。
なお、アンテナ寸法の制約条件が厳しく、ループアンテナ107、108、接地線109の寸法によって相互結合低減のための共振周波数の調整が困難である場合、図17(a)に示すように接地線109とグランド容量110の間に、適切な定数のインダクタンス113を挿入することで共振周波数の調整の自由度を向上させることができる。インダクタンス113の定数を調整することにより図10におけるインダクタンスL3を調整できるためである。
なお、相互結合低減のための共振周波数を適応的に可変としたい場合、例えば2周波以上の多周波に対応したい場合、人体や金属などの導体の影響を図8に示した複雑な接地線の構造ではなく回路的に対応したい場合、図17(b)に示すように接地線109が可変容量114と可変インダクタンス115を介してグランドへ接続されるようにすることで実現できる。図18に定数を可変とする直列LC回路の具体的な回路構成を示す。図18(a)のように直列LC回路の途中にてダイオードをON、OFFすることにより接地する方法、図18(b)のように異なる定数にて構成された直列LC回路をスイッチにて切り替える方法、図18(c)のようにインダクタンスは固定とし、可変容量114を可変容量ダイオードにて構成する方法がある。人体や金属などの導体の影響への対応については、導体が近接しない状態、導体が近接した状態での可変容量114および可変インダクタンス115の最適な定数をあらかじめ抽出しておき、導体検知器112の導体検出の有無により、可変容量114と可変インダクタンス115の定数を切り替える。
なお、広帯域に相互結合を低減させたい場合、共振周波数を近接させることで実現できる。図19は共振周波数を近接させた場合の相互結合量の計算結果である。等価回路モデルを計算結果にフィッティングさせた結果についてもあわせて示す。420〜470MHz付近で相互結合が低減されていることがわかる。
以上によれば、複数の周波数に対して相互結合を低減できるループアンテナを用いることで、波長に対して小さい寸法にて複数の周波数に対応し、かつアンテナ間の相互結合を低減できるアンテナ装置を実現できる。
本発明のアンテナ装置はヘルスケア、機器のセキュリティ、ハンズフリーの入退室管理システム、ホームネットワーク、スマートメータ、センサーネットワークなど無線タグを用いたシステムのアンテナ装置として適用できる。
101 接地板
102 送受信回路
103 分配器
104a、104b 移相器
105、106 整合回路
107、108 ループアンテナ
109 接地線
110 グランド容量
111 姿勢検知器
112 導体検知器
113 インダクタンス
114 可変容量
115 可変インダクタンス

Claims (6)

  1. 接地導体を有する平面状の接地板と、
    前記接地板から水平方向に離れた位置に設けた第1ループアンテナ及び第2ループアンテナと、
    前記第1ループアンテナの一端に設けた第1給電点及び第2ループアンテナの一端に設けた第2給電点に対して信号の給電を行う信号給電手段とを備え、
    前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナに形成されるループ面は前記接地板に対して垂直に形成され、
    前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナの他端は共通の接地線を介して、可変インダクタンスおよび可変容量を経由して前記接地板に接続され、
    前記第1ループアンテナの給電点から前記接地板へ至る方向に向かう巻き方向と、前記第2ループアンテナの給電点から前記接地板へ至る方向に向かう巻き方向とが互いに反対方向となるアンテナ装置。
  2. 前記信号給電手段は、前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナに給電する信号の位相を制御する請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナから放射されるループ面に平行な偏波と、前記第1ループアンテナから前記接地板へ流れ込む電流により放射される偏波とが直交するように、前記第1ループアンテナ及び第2ループアンテナを形成する請求項2記載のアンテナ装置。
  4. 前記接地板の近傍にある導体を検知する導体検知手段を設け、
    前記信号給電手段は、前記導体検知手段により検知内容に応じて、前記第1給電点から給電する信号の位相と、前記第2給電点から給電する信号の位相とを制御する請求項3記載のアンテナ装置。
  5. 基準平面に対する接地板の傾きを検知する姿勢検知手段を設け、前記信号給電手段は、前記姿勢検知手段により検知される傾きに応じて、前記第1給電点から給電する信号の位相と、前記第2給電点から給電する信号の位相とを制御する請求項3記載のアンテナ装置。
  6. 前記信号給電手段は、前記第1給電点から給電する信号の位相と、前記第2給電点から給電する信号の位相との位相差を異なる値にして受信動作を行い、そのうちで最も受信電力が大きい時の位相差を使用する請求項3記載のアンテナ装置。
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