JP5573743B2 - 車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置 - Google Patents

車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置及び車両データ解析方法、並びに同車両データ解析装置を用いた故障診断装置に関する。
一般に、車両に搭載されている各種車両制御装置の動作試験等に際しては、同車両制御装置にて実行されたプログラムを通じて取得される制御量等の時系列的な推移を示す車両データに基づいて、車両状態の診断が行われる。この診断に際しては、例えば特許文献1に見られるように、車両の正常時に取得されたモデルデータを利用して解析を行う車両データ解析装置が知られている。すなわち、この車両データ解析装置には、上記モデルデータとして、車両の走行速度や道路勾配、エアーコンディショナの使用状態等、車両の走行条件毎に予め取得された複数の車両データが登録される。そして、車両状態の診断に際しては、このモデルデータとする正常時のデータと解析対象とする車両制御装置から取得された車両データとの比較を通じて車両状態の異常の発生に伴う異常部分を含んだ車両データが特定される。なお、こうして車両データが特定されることにより、その後は、そして、この特定された車両データが車両状態の異常原因の解明等に供されることとなる。
特開号2009−294004公報
ところで、実際の道路上を走行する車両の状態とは、交通要素やドライバ固有の癖等によって多種多様に変化するものであり、その全ての状態を反映したデータモデルを作成することは難しい。このため、こうした走行条件の相違に起因してデータモデルと診断対象とされる車両制御装置にて取得された車両データとの間に相違する部分が生じたときには、たとえ正常な車両データであっても、異常要素を含んだ車両データであるとして誤判定されかねない。
また、こうした車両データには、逐次変化する車両の状態が直接かつ敏感に反映されるために、そのデータ変動が車両の走行状態の変化に起因するものであるか、あるいは車両制御系の機械的な異常や制御的な異常の発生に起因するものであるかを判別することは難しい。そして、このような判別の困難さが、診断対象とすべき車両データの特定にかかる精度を低下させる要因ともなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、データモデルを用いることなく診断対象とすべき車両データを高精度に特定することのできる車両データ解析装置及び車両データ解析方法、及び同車両データ解析装置を用いた故障診断装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置であって、前記車両で取得された複数の車両データが解析すべきデータとして蓄積される記憶装置と、該記憶装置に蓄積されたそれぞれの車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する演算部と、該演算部による演算結果に基づ前記車両の異常の診断に際し、車両データに含まれるデータ変動からドライバの車両操作に起因するデータ変動を除外することによって診断対象とすべき車両データを認識する認識部とを備えることを要旨とする。
請求項12に記載の発明は、車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置を用いて車両データ解析する方法であって、前記車両データ解析装置が、前記車両で取得された複数の車両データを解析すべきデータとして記憶装置に蓄積するステップと、該蓄積したそれぞれの車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化するステップと、前記車両の異常の診断に際し、車両データに含まれるデータ変動からドライバの車両操作に起因するデータ変動を除外することによって診断対象とすべき車両データを特定するステップと実行することを要旨とする。
上記車両データとは通常、車両の走行状態が反映されるために車両の走行状態の変化に伴うデータ変動を含んだものとなっているが、こうした車両の走行状態の変化に伴うデータ変動とは周波数成分が大きく、車両データに対する支配度も大きい。一方、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動とは、車両の走行状態の変化に伴うデータ変動よりも周波数成分が遙かに小さく、車両データに対する支配度が極めて小さい。このため、こうした車両の走行状態が反映される車両データの中から、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動を含んだ車両データを特定することは難しい。また、こうした車両データとは、車両制御系の複雑化に伴ってその種類も多種多様なものとなっており、こうした車両データの一つ一つを解析して、車両の故障診断に用いる異常要素を含んだ車両データを特定することは難しい。こうしたことから、車両に蓄積された車両データに対して統計的な処理を施すことにより異常なデータ変動を含んだ車両データを特定しようとすると、車両制御系そのものは正常であるにも拘わらず、車両データの中に車両の走行状態の変化に起因する特異なデータ変動を含んだ車両データが異常要素を含んだ車両データであるとして特定される傾向にある。
そこで、上記構成あるいは方法によるように、車両データに含まれている車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する演算を実行する。そして、この顕在化した車両データの中から、診断対象とすべき車両データを認識する。この結果、本来、異常要素とすべき車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動が、車両の走行状態の変化等に起因して発生するデータ変動よりも顕在化されるようになる。したがって、車両に適宜蓄積される多種多様な車両データの中から、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を含んだ車両データを的確に認識することができるようになる。そして、こうした認識を通じて、診断対象とすべき車両データを高精度に特定することができるようになる。
また、上記構成あるいは方法によれば、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動が顕在化されることから、解析対象とする車両データが同顕在化されるデータ変動を含んでいるか否かを基準として、診断対象とすべき車両データを特定することができるようになる。これにより、異常要素を含んだ車両データを特定する上で、データモデルを用いる必要もない。すなわち、多種多様な推移を示す車両データの中から、診断対象とすべき車両データを高精度に特定することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両データ解析装置において、前記車両データには、前記車両のドライバの車両操作態様が反映されるデータとして前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、該センサデータの推移が反映される制御データとが少なくとも含まれ、前記認識部は、前記演算部による演算の結果に基づき、前記診断対象として前記車両のドライバの車両操作とは異なる要素に基づくデータ変動を含んだ車両データを特定することを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の車両データ解析方法において、前記車両データには、少なくとも、前記車両のドライバの車両操作態様が反映されるデータとして前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、該センサデータの推移が反映される制御データとが含まれ、前記特定するステップにて、前記診断対象として前記車両のドライバの車両操作とは異なる要素に基づくデータ変動を含んだ車両データを特定することを要旨とする。
上記車両データとは通常、大きくは、車両の状態を検出するアクセルセンサやブレーキセンサ等の検出値の時系列的な推移を示すセンサデータと、各種センサによる検出結果に基づいて制御量が決定される各種車両制御装置等の制御量の時系列的な推移を示す制御データとによって構成される。そして、車両制御装置においては例えば、同車両制御装置に対して入力データとなるセンサデータと、同センサデータに対応して出力される出力データとなる制御データとに分けることができる。このため、こうした車両制御装置にて入出力されるセンサデータと制御データとの間には一定の相関性が存在する。一方、車両の状態を示すセンサデータとは、車両のドライバの車両操作態様が大きく反映されるものであり、例えばアクセルセンサの検出値の時系列的な推移は、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量に比例して変化する。また、これに伴って、アクセルセンサの検出結果に基づきエンジンを制御するエンジン制御装置の制御量の時系列的な推移も大きく変化する。こうしたことから、センサデータや制御データに含まれるデータ変動とは、ドライバの車両操作に起因して発生するものが大きい。このため、例えばドライバが急な加速操作や急な旋回操作を行ったことに起因して特異なデータ変動が車両データに生じたとしても、同データ変動を含んだ車両データは車両制御系の異常を示すものではなく、車両の故障診断に際して診断対象とすべき車両データではない。
そこで、上記構成あるいは方法によるように、センサデータ及び制御データに対する演算を通じて、車両のドライバの車両操作とは異なる要素に基づくデータ変動、すなわち本来診断対象とすべき車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因して発生したデータ変動を含んだ車両データを特定する。そのため、ドライバによる特異な車両操作に起因するデータ変動がセンサデータや制御データに含まれていたとしても、人的要因に起因するデータ変動を含んだ車両データが診断対象とすべき車両データとして誤って特定されることもない。これにより、ドライバの車両操作の影響が大きく反映される車両データを診断対象としながらも、その診断対象を的確に特定することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両データ解析装置において、前記演算部は、前記演算として、前記車両データの単位時間当たりの変化量を求め、該求めた変化量が前記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動に伴う変化量以上である車両データを特定する演算を実行することを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、請求項1または1に記載の車両データ解析方法において、前記顕在化するステップにて、前記車両データの単位時間当たりの変化量を求め、前記特定するステップはさらに、前記求めた前記車両データの単位時間当たりの変化量が前記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動に伴う変化量以上である車両データを選定するステップを含むことを要旨とする。
通常、人的要因に起因するデータ変動の変動幅とは、車両のドライバの挙動に相関することから、最小でも「数百ms」となることが知られている。これに対し、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動の変動幅とは通常、「数ms」であることが発明者等によって確認されている。また、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動の単位時間当たりの変化量は、人的要因に起因するデータ変動の単位時間当たりの変化量よりも大きくなることが発明者等によって確認されている。
そこで、上記構成あるいは方法によるように、車両データの単位時間当たりの変化量を求めるとともに、この求めた変化量が、「数ms」で変動する車両制御系の機械的な異常
や制御的な異常に起因するデータ変動に伴うものであるか否かを判定する。これにより、データ変動の単位時間当たりの変化量から、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動を含んだ車両データを特定することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両データ解析装置において、前記演算部は、前記演算として前記記憶装置に記憶された車両データの統計分布を求める演算を実行し、前記認識部は、該求めた統計分布のうち中央値付近の車両データを認識するとともに該認識した車両データの中で相対的に偏差の大きい車両データを前記診断対象とすべき車両データとして前記記憶装置の中から抽出する処理を実行することを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、請求項1または1に記載の車両データ解析方法において、前記顕在化するステップにて、前記蓄積した車両データの統計分布を求め、前記特定するステップにて、前記統計分布として示される車両データのうち中央値付近の車両データを選定するとともに該選定した車両データの中で相対的に偏差の大きい車両データを前記診断対象とすべき車両データとして前記蓄積した車両データの中から特定することを要旨とする。
通常、車両データについて求められる統計分布とは、共通する推移、パターンを有した平均的な車両データほど中央に分布する傾向にある一方、特異な推移、パターンを有した車両データほど中央値から外れる傾向にある。そして、こうした分布には、周波数成分が大きいために車両データに対して支配度が大きくなる車両の走行状態の変化に伴うデータ変動が大きく反映される。すなわち、中央値付近に分布された車両データ群とは、ドライバによる通常の車両操作が反映された類似する推移、パターンを示すものであり、ドライバの特異な車両操作に起因するデータ変動を含む車両データが除外された平均的な車両データが集められたものとなる。一方、こうした中央値付近に分布された車両データ群の中で偏差が大きくなる車両データとは、人的要因とは異なる要因に起因して発生したデータ変動を含んでいる蓋然性が高い。
そこで、上記構成あるいは方法によるように、統計分布のうち中央値付近に位置する車両データ群を抽出することとすれば、この抽出した車両データ群の中から車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動を含んだ車両データを容易に特定することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の車両データ解析装置において、前記演算部は、前記演算として前記センサデータと該センサデータとの相関性を有する制御データとの差分を求め、前記認識部は、該求められた差分に基づいて前記診断対象とすべき車両データを認識することを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の車両データ解析方法において、前記顕在化するステップにて、前記センサデータと該センサデータとの相関性を有する制御データとの差分から前記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化することを要旨とする。
例えば、ドライバによる車両のアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサの検出値の時系列的な推移は、検出結果をもとにエンジンを制御するエンジン制御装置の制御量の推移と相関する。このため、このようにセンサデータの時系列的な推移が反映される制御データとは、センサデータの推移に倣って推移するためにその推移、パターンがセンサデータと共通し、同センサデータとの差分が自ずと小さくなる。このため、センサデータと制御データとの差分を求めることで、ドライバの車両操作に起因して発生したデ
ータ変動を相殺することができる。一方、このように相関性を有するセンサデータと制御データとの間で差分が発生するときには、こうした差分が、人的要因とは異なる要素、すなわち車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因して発生した蓋然性が高い。
そこで、上記構成あるいは方法によれば、センサデータと制御データとの差分を求めることによって、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に伴うデータ変動が自ずと顕在化されるようになる。すなわち、制御データに含まれる人的要因に起因するデータ変動を除外するフィルタとして上記センサデータを利用することで、人的要因に起因するデータ変動の影響を受けることなく、本来診断対象とすべき車両データを容易に特定することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両データ解析装置において、前記演算部は、前記センサデータ及び該当する制御データとの差分を、各々周波数解析したセンサデータ及び制御データに基づいて算出することを要旨とする。
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の車両データ解析方法において、前記顕在化するステップにて、センサデータ及び該当する制御データを各々周波数解析し、これら周波数解析したセンサデータ及び該当する制御データに基づいてそれらの差分を算出することを要旨とする。
上記構成あるいは方法によるように、センサデータ及び該当する制御データを周波数解析するとともに、その解析結果からセンサデータと制御データとの差分を求めることとすれば、より容易かつ的確に上記データ変動の顕在化を実現することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両データ解析装置において、前記車両データには、前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと該センサデータに対応するデータとして該当するセンサデータの推移が反映される制御データとが含まれ、それらセンサデータ及び制御データは、時系列的な推移が相関し、かつ、前記センサデータに対する前記制御データの遅延時間が前記センサデータにて示される前記車両のドライバの車両操作に対する車両挙動の応答時間以内であることを条件に相関性が高いとして対応付けられたものであることを要旨とする。
通常、センサデータをもとに制御量が決定される車両制御装置の制御データとは、その時系列的な推移がセンサデータの時系列的な推移と類似する傾向にある。また、こうしたセンサデータと制御データとの間には通常、車両のドライバの車両操作に対する車両挙動の応答時間として「数百ms」の遅延時間が発生する。よって、或るセンサデータと制御データとの時系列的な推移が類似していたとしても、それら各データの時間軸のずれが通常想定される応答時間を超えていたときや、逆に応答時間が存在せず略同一の時間軸で推移しているときには、同制御データは、異なるセンサデータに対応している可能性が高い。一方、或るセンサデータと制御データとの時系列的な推移が類似し、かつそれら各データの応答時間が規定範囲内であるときには、それらセンサデータと制御データとの相関性は極めて高い。したがって、上記構成によれば、センサデータと制御データとの時系列的な推移と応答時間(遅延時間)との2つの要素に基づいて、多種多様に存在する車両データの中から相関性の高いセンサデータと制御データとを的確に対応付けることができるようになる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両データ解析装置において、複数種の車両データの対応関係を示す対応テーブルをさらに備え、該対応テーブルには、前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、該センサデータとの相関性が高い制御データとが各々関連付けられてなることを要旨とする。
上記構成によるように、相関性の高いセンサデータと制御データとが予め対応付けられた対応テーブルを利用することとすれば、この対応テーブルを参照するだけで、相関性が高いセンサデータと制御データとを容易に特定することができるようになる。これにより、相関性の高いセンサデータと制御データとを利用して上記データ変動の顕在化を行う上で、その処理負荷が低減されるようになる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の車両データ解析装置において、前記対応テーブルには、相関性が高いセンサデータ及び制御データとして、少なくとも、前記車両のアクセルペダルの検出値の推移を示すデータ及び前記車両に搭載されるエンジンを制御するエンジン制御装置の制御量の推移を示すデータ、並びに、前記車両のステアリングの操作量の推移を示すデータ及び前記車両のタビリティーコントロールを実行するVSC制御装置の制御装置の制御量の推移を示すデータが各々対応付けられて登録されてなることを要旨とする。
車両データの中でも、上記列挙されるセンサデータと制御データとは、特に相関性が高く、また車両の故障診断のための診断対象としても重要なデータとなる。そこで、上記構成によるように、上記列挙された各種センサデータと各種制御データとが予め対応付けされた対応テーブルを利用することによって、それら重要度の高い車両データに対する解析を円滑に行うことがきできるようになる。
請求項10に記載の発明は、前記車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する演算部と、該演算部による演算結果に基づいて前記車両の異常の診断に際して診断対象とすべき車両データを認識する認識部とを備え、前記車両データには、前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと該センサデータに対応するデータとして該当するセンサデータの推移が反映される制御データとが含まれ、それらセンサデータ及び制御データは、時系列的な推移が相関し、かつ、前記センサデータに対する前記制御データの遅延時間が前記センサデータにて示される前記車両のドライバの車両操作に対する車両挙動の応答時間以内であることを条件に相関性が高いとして対応付けられたものであることを要旨とする。
上記構成によれば、センサデータと制御データとの時系列的な推移と応答時間(遅延時
間)との2つの要素に基づいて、多種多様に存在する車両データの中から相関性の高いセンサデータと制御データとを的確に対応付けることができるようになる。
請求項1に記載の発明は、車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置を備え、該車両データ解析装置によって解析された車両データに基づいて前記車両の異常の有無を診断する故障診断装置であって、前記車両データ解析装置として請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両データ解析装置を備えることを要旨とする。
本発明は、請求項1にかかる発明のように、上記車両データ解析装置によって解析された車両データに基づいて車両の異常の有無を診断する故障診断装置に適用して特に有効である。したがって、上記構成によれば、異常要素を含んでいる蓋然性が高いとして解析された車両データを診断対象として用いることで、車両の異常診断にかかる円滑化、高精度化が図られるようになる。
本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の第1の実施形態について、車両データ解析装置及び故障診断装置の概略構成を示すブロック図。また、同実施の形態の車両データ解析方法が適用される装置の概略構成を示すブロック図。 同実施の形態の車両データの解析手順及び故障診断手順の一例を示すフローチャート。 エンジン制御装置の制御量の推移例を示すタイムチャート。 (a)は、解析対象とされるエンジン制御装置の一の制御データの推移例を示すタイムチャート。(b)は、同制御データの単位時間当たりの変化量の推移例とともに、同実施の形態の車両データの解析態様を示す図。 (a)は、アクセルセンサの検出値の推移例を示すタイムチャート。(b)は、同アクセルセンサの検出結果をもとに決定されるエンジン制御装置の制御量の推移例を示すタイムチャート。 本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の第2の実施形態について、車両データ解析装置及び故障診断装置の概略構成を示すブロック図。また、同実施の形態の車両データ解析方法が適用される装置の概略構成を示すブロック図。 対応テーブルに登録されるセンサデータと制御データとの関係の一例を示す図。 同実施の形態の車両データの解析手順及び故障診断手順の一例を示すフローチャート。 (a)は、アクセルセンサの検出値の推移例を示すタイムチャート。(b)は、同アクセルセンサの検出値をもとに求められた統計分布の一例を示す図。 図9(a)に対応する図として、アクセルセンサの検出結果をもとに決定されるエンジン制御装置の制御量の推移例とともに、同実施の形態の車両データの解析態様の一例を示すタイムチャート。 本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の第3の実施形態について、車両データ解析装置及び故障診断装置の概略構成を示すブロック図。また、同実施の形態の車両データ解析方法が適用される装置の概略構成を示すブロック図。 同実施の形態の車両データの解析手順及び故障診断手順の一例を示すフローチャート。 (a)は、アクセルセンサの検出結果をもとに決定されるエンジン制御装置の制御量の推移例を示すタイムチャート。(b)は、同実施の形態の車両データの解析態様の一例としてセンサデータと制御データとの差分を示す図。 本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の他の実施形態について、同実施の形態の車両データの解析手順及び故障診断手順の一例を示すフローチャート。 本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の他の実施形態について、同実施の形態の車両データの解析手順及び故障診断手順の一例を示すフローチャート。 本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の他の実施形態について、同実施の形態の車両データの解析手順及び故障診断手順の一例を示すタイムチャート。
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置を具体化した第1の実施の形態について図1〜図5を参照して説明する。なお、本実施の形態の車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置は、診断対象とする自動車等の車両から収集した車両データを解析し、その異常の有無を診断するものである。また、本実施の形態の車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置は、車両から取得される車両データに対して統計的な処理を施すことによって、その解析を行うものである。
図1に示すように、診断対象とされる車両Cには、同車両Cの状態を検出するセンサ群100が搭載されている。
センサ群100は、例えば、車両Cのドライバのアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルセンサ、ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキセンサ、車両Cの加速度を検出する加速度センサ、及び車両Cの進行方向を検出するジャイロセンサによって構成されている。また、センサ群100は、例えば、ステアリングの操舵角の変化量を検出する操舵角センサ、車輪の回転速度を検出する車速センサ、及び車両Cの旋回方向への回転角の変化する速度であるヨーレートを検出するヨーレートセンサ等によって構成されている。なお、こうしたセンサ群100の検出値の時系列的な推移を示すデータが、センサ群100のセンサデータとなる。
また、車両Cには、センサ群100による各検出結果に基づき、車両Cに搭載されている各種車載機器や各種車載システムを制御する車両制御装置群110が搭載されている。車両制御装置群110は、例えば、アクセルセンサの検出値に基づき車両Cのエンジンの稼働状態を制御するエンジン制御装置、及びブレーキセンサの検出値に基づき車両Cのブレーキを制御するブレーキ制御装置によって構成されている。また、車両制御装置群110は、操舵角センサの検出値に基づき車両Cのステアリングを制御するステアリング制御装置、及び操舵角センサやヨーレートセンサの検出値に基づきスタビリティーコントロール(VSC)を実行するVSC制御装置等によって構成されている。このように車両制御装置群110には、各車両制御装置にて制御対象を制御するために必要な各種センサの検出結果(センサデータ)が適宜入力されるようになっている。
また、車両制御装置群110は、制御対象を制御するための制御量の時系列的な推移を示す制御データを、車両Cに搭載された車両記憶装置120に逐次出力する。これにより、車両記憶装置120には、センサ群100の検出結果となるセンサデータが反映される車両制御装置群110の制御データが逐次蓄積される。こうして、車両記憶装置120には、車両Cのドライバによる車両操作に伴って逐次変化する車両状態の推移を示す制御データが蓄積されるようになる。
そして、車両Cの故障診断に際しては、車両記憶装置120に蓄積された制御データは、例えば有線通信等を通じて、車両Cの異常の有無を診断する故障診断装置200に取り込まれる。
故障診断装置200は、診断対象とすべき車両Cから制御データを取り込むデータ入力部210を備えている。また、故障診断装置200は、データ入力部210にて取り込まれた制御データを、同故障診断装置200にて解析すべき解析データとして記憶する解析データ記憶装置220を備えている。
さらに、故障診断装置200は、解析データ記憶装置220に記憶された制御データを解析するデータ解析部230を備えている。本実施の形態のデータ解析部230は、解析データ記憶装置220に記憶されている制御データを解析する。なお、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常としては、例えば車両Cを構成する車両制御装置群110間を接続するCAN(コントロール・エリア・ネットワーク)等の通信不良、各車両制御装置群110でのフィードバック異常、アイドル不安定等が該当する。そして、こうした異常が発生したときには、例えば制御データの時系列的な推移が所定の周波数成分のもとに一時的に変動するようになっている。なお、こうした車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動とは、約「数ms」単位で発生することが発明者等によって確認されている。
本実施の形態のデータ解析部230は、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に伴うデータ変動を顕在化する演算部231を備えている。また、データ解析部230は、この演算部231の演算結果に基づいて故障診断装置200にて診断すべきデータを認識する認識部232を備えて構成されている。
このうち、演算部231は、解析データ記憶装置220に記憶されている制御データの単位時間当たりの変化量を算出する変化量算出部231aを備えている。変化量算出部231aは、解析データ記憶装置220に記憶されている各種制御データを適宜読み込み、各々読み込んだ制御データの単位時間当たりの変化量を算出する。そして、変化量算出部231aは、制御データ毎に算出した変化量に関する情報を認識部232に出力する。また、認識部232は、変化量算出部231aから変化量に関する情報が入力されると、この変化量に関する情報に基づいて、異常なデータ変動を含んだ制御データを認識する。
ここで、自動車等からなる車両Cにあっては、センサ群100の検出値であるセンサデータが、車両Cのドライバによる車両操作に起因して変動する。例えば、上記アクセルセンサのセンサデータの推移は、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み量によって変動する。同様に、操舵角センサやヨーレートセンサの検出値であるセンサデータは、ドライバによるステアリングの操作量によって変動する。そして、こうしたセンサデータの推移に基づいて制御量が決定される車両制御装置群110の制御データも、センサデータの変動、すなわちドライバの車両操作に起因して変動する。一方、こうした人的要因に起因するデータ変動とは、センサ群100や車両制御装置群110の異常の有無とは無関係に発生するものである。このため、たとえ急加速や急減速等、異常な車両操作が行われたことに起因してセンサデータや制御データが一時的に特異な推移を示したとしても、この特異な推移はセンサ群100や車両制御装置群110そのものの異常を示すものではない。そして通常、こうした人的要因に伴うデータ変動はその周波数成分が大きく、最小でも約「数百ms」単位で発生する。これに対し、車両制御装置群110の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動とは、「数ms」単位で発生するために周波数成分が微小なものとなる。こうしたことから、車両制御装置群110の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動の単位時間当たりの変化量とは、人的要因に伴うデータ変動の単位時間当たりの変化量よりも相対的に大きくなる。
そこで、本実施の形態の認識部232は、こうしたデータ変動の単位時間当たりの変化量の相違に鑑み、変化量算出部231aから入力された変化量に関する情報を利用して、車両制御装置群110の機械的な異常や制御的な異常の発生に伴うデータ変動を含んでいる制御データを特定する。そして、認識部232は、この特定した制御データを解析データ記憶装置220から抽出する。その後、認識部232は、この抽出した制御データが車両Cの異常の診断に対して診断対象とすべき車両データであるとして、同抽出した制御データを、同制御データをもとに車両Cの異常原因を特定する異常診断部240に出力する。
なお、本実施の形態では、こうした演算部231及び認識部232を備えたデータ解析部230によって、上記車両データ解析装置が構成される。
異常診断部240は、認識部232から入力された制御データに基づいて、データ変動が発生した要因を特定する。すなわち異常診断部240は、データ変動の発生要因がCAN等の通信不良、各車両制御装置群110でのフィードバック異常、アイドル不安定等のいずれに該当するか等を特定する。
以下、本実施の形態の車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の作用について、図2〜図5を参照して説明する。
図2に示すように、データ解析部230は、まずステップS101にて、診断対象とする車両Cの制御データを上記解析データ記憶装置220から読み出す。この結果、図3に示すように、例えばイグニッションキーがオンとされて以降のエンジン制御装置の制御量の時系列的な推移を示す複数のパターンの制御データが読み出される。なお、同図3に示されるように、エンジン制御装置の制御量とは、車両Cのドライバによるアクセルの踏み込み量によってその周波数成分が大きく変動するようになっている。
そして、データ解析部230は、この読み出した各制御データの単位時間当たりの変化量を算出する(図2:ステップS102)。ここでは、図4(a)に例示するように、或る制御データDaの推移は、車両Cのドライバのアクセル操作に伴って発生した周波数成分の大きいデータ変動Da1(期間T1)と、エンジン制御装置の動作不良に伴って発生した周波数成分の小さいデータ変動Da2(期間2)とを含んでいる。そして、人的要因に起因する制御データの変動期間T1は「数百ms」となる一方、エンジン制御装置の動
作不良に起因する制御データの変動期間T2は「数ms」となっている。すなわち、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動Da2は、人的要因に起因するデータ変動Da1よりも約二桁小さい時間幅で発生するものとなっている。
このため、例えば図4(b)に示すように、制御データDaの単位時間当たりの変化量は、同変化量が人的要因によるものであるか、あるいは、車両制御系の機械的要因もしくは制御的要因によるものであるかによって大きく相違するようになる。そこで認識部232は、制御データDaのデータ変動Da1及びDa2の単位時間当たりの変化量が、解析対象とする制御データに含まれているデータ変動が人的要因もしくは機械的・制御的要因のいずれであるかを判別する閾値Ds以上であるかを判定することによって、データ変動の要因を認識する(図2:ステップS103)。
そして、図4(b)からも明かなように、制御データDaは期間T2において閾値Ds以上のデータ変動Da2を含んでいることから、同制御データDaがエンジン制御装置等の動作不良等が反映されたデータであるとして特定される(ステップS103:YES、S104)。すなわち、この特定された制御データDaが、先の図3に示したように解析データ記憶装置220に記憶されている複数種の制御データの中で、異常診断部240にて診断対象とすべきデータであるとして特定される。
また一方、制御データに閾値Ds以上のデータ変動が含まれていないときは、同制御データの出力源となるエンジン制御装置や同エンジン制御装置と協調して動作するシステム等が正常であると判断され、同制御データは車両Cの故障診断には用いられないこととなる(ステップS103:NO)。
こうして、異常診断部240には、同異常診断部240にて本来診断すべき制御データ、すなわち車両制御系の制御的要因や機械的要因に起因するデータ変動を含んだ制御データのみが取り込まれるようになる。これにより、異常診断部240は、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常が反映された制御データに基づく異常診断を行うことができるようになる。そのため、人的要因に起因するデータ変動のみを含んだ制御データが異常診断部240に取り込まれることもなく、ひいては、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常が反映された制御データの特定にかかる精度が高められるようになる。また、こうした制御データの特定に際しては、制御データの単位時間当たりの変化量を求めるだけでよく、車両制御装置群110等の正常時に予め取得したデータモデル等を用いる必要もない。
こうして、解析データ記憶装置220に記憶されている制御データの読み出し、同読み出した制御データの単位時間当たりの変化量の算出、この算出した変化量と異常変化量との対比等が適宜実行される(図2:ステップS101〜S104)。これにより、解析データ記憶装置220に記憶されている制御データが適宜解析され、異常要素を含む制御データが異常診断部240に適宜取り込まれるようになる。
次に、図5を参照して、本実施の形態の車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置による車両データの解析態様を、従来の統計的な手法による車両データの解析態様との対比のもとに説明する。
図5(a)に示すように、例えばアクセルセンサの検出値であるセンサデータLi1〜Li4は、それぞれ異なるパターンの推移を時系列的に示している。また、図5(b)に示すように、こうしたセンサデータが入力されるアクセル制御装置の出力データとなる制御データLo1〜Lo4は、所定の応答時間Ta(遅延時間)だけ遅延して、かつ、センサデータLi1〜Li4の各推移のパターンに類似して推移する。なお、この応答時間Taとは、センサデータLi1〜Li4にて示される車両Cのドライバのアクセルペダルの
踏み込み操作に対して該当する車両制御装置が応答することにより車両Cに挙動が生じるまでの時間を示している。
さらに、図5(a)のタイミングt0〜t1では、車両Cのドライバによるアクセルペダルの通常の踏み込み操作に比例して、センサデータLi1〜Li4のうち3つのセンサデータLi1〜Li3がなだらかに上昇する推移をなしている。一方、センサデータLi4の推移は、車両Cのドライバによるアクセルペダルの不安定な踏み込み操作に伴って、タイミングt2からタイミングt3にかけて急峻に上昇する傾向にある。
このため、図5(b)に示すように、センサデータLi1〜Li3に対応する制御データLo1〜Lo3の推移も、応答時間Taだけ遅れて、センサデータLi1〜Li3と同様になだらかに上昇するようになる。また、センサデータLi4に対応する制御データLo4の推移も、応答時間Taだけ遅れて、センサデータLi4と同様に途中から急峻に上昇するようになる。
したがって、既存の統計的手法により、パターンが類似する平均的な推移をなす制御データLo1〜Lo3と特異な推移をなす一つの制御データLo4とを含んだ制御データを解析すると、制御データLo1〜Lo4の中で特異な推移をなす制御データLo4が異常なデータ変動を含んだデータとして特定されることとなってしまう。このため、例えば、図5(b)に破線で示すように、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動D2を含んだ制御データLo2’が存在したとしても、同制御データLo2’の推移が制御データLo1〜Lo3の推移との同質性が高いために、異常要素を含んだ制御データLo2’が正常なデータであるとして看過されることとなってしまう。
一方、本実施の形態では、たとえアクセルペダルの不安定な踏み込み等に伴って制御データの統計に対して特異な推移を示す制御データLo4が存在したとしても、この人的要因に起因するデータ変動の単位時間当たりの変化量は結局、閾値Dsよりも小さくなる。そのため、同制御データLo4が異常要素を含んだ車両データであると誤判定されることもない。そして、本実施の形態では、異常要素を含んだ制御データLo2’は、そのデータ変動D2の単位時間当たりの変化量が閾値Ds以上となるため、異常要素を含んだ車両データであるとして的確に特定され、車両Cの故障診断に供されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する演算を実行するとともに、この演算結果に基づき車両Cの異常の診断に際して診断対象とすべき車両データを認識することとした。このため、車両Cから取得された多種多様な車両データの中から、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を含んだ車両データを的確に認識することができるようになる。これにより、診断対象とすべき車両データを高精度に特定することができるようになる。また、これにより、異常要素を含んだ車両データを特定する上でデータモデルを用いる必要もなく、車両Cの多種多様な走行状態や走行環境等が反映される車両データが如何なる推移を示す場合であれ、その推移のパターンを事前に把握することなく異常要素を含んだ車両データを特定することができるようにもなる。
(2)車両Cのドライバの車両操作態様が反映されるデータとして車両Cの状態を検出するセンサ群100の検出値の推移を示すセンサデータと、このセンサデータの推移が反映される車両制御装置群110の制御データとを含む車両データを取り扱うこととした。そして、上記演算部231による演算の結果に基づき、車両Cのドライバの車両操作とは異なる要素に基づくデータ変動を含んだ車両データを診断対象として特定することとした
。これにより、ドライバによる異常な車両操作に起因するデータ変動がセンサデータや制御データに含まれていたとしても、人的要因に起因するデータ変動を含んだ車両データが、上記異常診断部240にて診断対象とすべき車両データとして誤って特定されることもない。これにより、ドライバの車両操作の影響が大きく反映される車両データを診断対象としながらも、その診断対象を的確に特定することができるようになる。
(3)上記演算部231による演算として、制御データの単位時間当たりの変化量を求めるとともに、この求めた変化量に基づいて車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を含んだ制御データを特定した。これにより、制御データに含まれるデータ変動の単位時間当たりの変化量から、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動を含んだ車両データを特定することができるようになる。
(4)上記データ解析部230によって解析された車両データに基づいて、車両Cの異常の有無を診断することとした。これにより、診断対象とすべき車両データを、異常要素を含んでいる蓋然性が高いとして解析された車両データに限定することが可能となり、ひいては、車両Cの異常診断にかかる円滑化、高精度化が図られるようになる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置を具体化した第2の実施の形態を図6〜図10を参照して説明する。なお、この第2の実施の形態は、車両データの統計分布を求める演算を通じて、車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化するものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
図6は、先の図1に対応する図として、この第2の実施の形態にかかる車両データ解析装置及び故障診断装置、並びに同実施の形態にかかる車両データ解析方法が適用される装置の構成を示したものである。なお、この図6において、先の図1に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
なお、図6に示すように、本実施の形態の車両制御装置群110は、同車両制御装置群110の制御データとともに、センサ群100から各々入力される同センサ群100の検出値の時系列的な推移を示すセンサデータを、車両記憶装置120に逐次出力する。これにより、本実施の形態の車両記憶装置120には、車両制御装置群110に対して入力データとなるセンサデータと、同車両制御装置群110の出力データとなる制御データとが蓄積される。こうして、車両記憶装置120には、車両Cのドライバによる車両操作に伴って逐次変化する車両状態の推移を示すセンサデータ及び制御データが蓄積されるようになる。そして、車両Cの故障診断に際しては、車両記憶装置120に蓄積されたセンサデータ及び制御データは、例えば有線通信等を通じて、車両Cの異常の有無を診断する故障診断装置200に取り込まれ、同故障診断装置200の解析データ記憶装置220に適宜記憶されることとなる。
また、本実施の形態のデータ解析部300を構成する演算部310は、解析データ記憶装置220に記憶されている各種センサデータの統計分布を求める演算を実行する分布算出部311を備えている。また、本実施の形態の演算部310は、分布算出部311にて算出された統計分布をもとに、その中央値付近に位置するセンサデータ群を解析データ記憶装置220の中から抽出する中央値選定部312を備えている。さらに、本実施の形態の分布算出部311は、相関性の高いセンサデータと該当する制御データとが予め対応付けされた対応テーブル313を備えている。
このうち、分布算出部311は、車両制御装置群110に対する入力データとして、各種センサデータを解析データ記憶装置220から抽出する。そして、分布算出部311は、この抽出した各センサデータの統計分布を求める。なお、本実施の形態の分布算出部311は、各センサデータの統計分布として、例えば各センサデータの正規分布を求める。また、分布算出部311は、例えば、センサデータの検出主体となる各種センサの別にそのセンサデータを抽出するとともに、この抽出したセンサデータの正規分布を各種センサの別に求める。そして、分布算出部311は、センサデータの正規分布を各種センサの別に求めると、この求めた各種センサ毎の正規分布に関する情報を中央値選定部312に出力する。
中央値選定部312は、分布算出部311から入力された各種センサ毎の正規分布に関する情報に基づき、正規分布において中央値付近に位置するセンサデータ群を選定する。これにより、解析データ記憶装置220に記憶されている各センサデータについての正規分布がその検出主体となる各種センサの別に算出される。またこれにより、この算出された分布の中で相対的に確率密度が高い平均的な推移を示すセンサデータ群が選定される。このように本実施の形態では、解析データ記憶装置220に記憶されているセンサデータの中から平均的な推移を示すセンサデータが予め選定されることによって、車両Cのドライバによる急加速や急減速等の異常な車両操作に起因するばらつきの大きいセンサデータが解析対象から除外されるようになっている。
そして、中央値選定部312は、この選定したセンサデータ群に関する情報を取得すると、対応テーブル313の参照を通じて、選定したセンサデータに対応する制御データを特定する。
すなわち、対応テーブル313には、図7に示すように、センサ群100によって検出可能な各種センサデータと、各種センサデータが入力される車両制御装置群110の出力データとなる制御データとがそれぞれ対応付けられている。ここでの例では、対応テーブル313には、例えばアクセルセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、同センサデータが入力されてその推移が反映されるエンジン制御装置の制御量の推移を示す制御データとが予め対応付けられている。また、対応テーブル313には、例えばステアリングセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、同センサデータが入力されてその推移が反映されるVSC制御装置の制御量の推移を示す制御データとが予め対応付けられている。
本実施の形態の中央値選定部312は、こうした対応テーブル313の参照を通じて、上記選定した正規分布の中央値付近に位置するセンサデータとの相関性が高い制御データを特定する。なお、中央値選定部312は、この特定した制御データのうち、該当するセンサデータに対する制御データの遅延時間が例えば「500ms程度」を超えている制御データについては、同センサデータに対して応答した制御データではないとして上記特定した制御データの中から除外する。また、該当するセンサデータ及び制御データが対応テーブル313に登録されていないときには、中央値選定部312は、センサデータと時系列的な推移が類似し、かつ同センサデータに対する遅延時間が例えば「500ms程度」以内の制御データを解析データ記憶装置220から検索する。そして、中央値選定部312は、この検索した制御データを、上記選定した正規分布の中央値付近に位置するセンサデータとの相関性が高い制御データとして特定する。こうして、各センサによって検出されたセンサデータが入力されるとともに同入力されたセンサデータに基づいた各種制御が実行される車両制御装置の制御データが特定される。そして、中央値選定部312は、この特定した制御データに関する情報を認識部320に出力する。
また、本実施の形態の認識部320は、中央値選定部312によって特定された制御データの中で偏差の大きい制御データを特定する。ここで、上記中央値選定部312によっ
て特定された制御データとは、正規分布の中で中央値付近に位置する確率密度の高いセンサデータ、換言すれば、ドライバによる異常な車両操作に起因するばらつきが除外されたものである。したがって、中央値選定部312にて特定された制御データの中で発生する偏差とは、車両Cのドライバの車両操作とは異なる要素によって発生した蓋然性が高い。そこで、本実施の認識部320は、同特定された制御データの中で偏差の大きい制御データを、人的要因以外の異常、すなわち、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因する偏差を含んだ制御データとして特定する。そして、認識部320は、この特定した制御データを解析データ記憶装置220から抽出するとともに、この抽出した制御データを異常診断部240に出力する。こうして、異常診断部240は、認識部320から入力された制御データに基づいて、同制御データに偏差が発生した要因を特定する。
なお、本実施の形態では、こうした演算部310及び認識部320を備えたデータ解析部300によって、上記車両データ解析装置が構成される。
以下、本実施の形態の車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の作用について、図8〜図10を参照して説明する。
図8に示すように、まずステップS201にて、データ解析部300は、診断対象とする車両Cのセンサデータを上記解析データ記憶装置220から読み出す。なお、こうしたセンサデータの読み出しは、例えば同センサデータの検出主体となるセンサ毎に行われる。この結果、図9(a)に例示するように、例えばイグニッションキーがオンとされて以降のアクセルセンサの検出値の時系列的な推移を示す複数のパターンのセンサデータが、解析データ記憶装置220から読み出される。なお、同図9(a)に示されるように、アクセルセンサの検出値とは、車両Cのドライバによるアクセルの踏み込み量によってその周波数成分が大きく変動するものとなっている。
そして、データ解析部300は、この読み出したセンサデータの分布をその検出主体となるセンサの別に算出する(図8:ステップS202)。これにより、図9(b)に例示するように、例えばアクセルセンサにて取得されたセンサデータ群についての正規分布が求められる。
なお、ここでの例では、或る車両Cのドライバによるアクセルペダルの踏み込み量の推移は、図9(a)に例示するように、大きくは2つのグループGi1及びGi2に分かれる傾向にある。すなわち、これらグループGi1及びGi2に含まれるセンサデータが、車両Cのドライバによる平均的なアクセルペダルの踏み込み量の推移であることを示している。一方、これらグループGi1及びGi2に含まれないセンサデータLia及びLibの推移は、アクセルペダルの踏み込み量が過剰であることや、逆にアクセルペダルの踏み込み量が不足していることを示している。そして、図9(b)に示すように、こうした推移を示すセンサデータについての正規分布では、その中央値付近に、グループGi1及びGi2に含まれるセンサデータ群が位置することとなる。すなわち、この正規分布の中央値付近に位置するセンサデータ群は、車両Cにて取得されたセンサデータの中でも、略同じ推移(パターン)を示す平均的なセンサデータであることを示している。
一方、これらグループGi1及びGi2に含まれないセンサデータLia及びLibの推移は、図9(b)に示すように、正規分布の中でも特異なパターン、すなわちドライバの不安定な車両操作に起因して偏差が大きくなったセンサデータとなる。こうして、解析データ記憶装置220に記憶されているセンサデータ中から、大凡の周波数成分が共通するグループGi1及びGi2が特定されることとなる。
そして、図8に示すように、本実施の形態では、正規分布の中央値付近に位置するセンサデータ群が車両Cのドライバの車両操作に起因する異常値を含まないデータとして選定
される(ステップS203)。次いで、この選定されたセンサデータに対応する制御データ、すなわち、同センサデータが入力されて同センサデータをもとに制御量が決定される車両制御装置の制御データが先の対応テーブル313の参照を通じて特定される(ステップS204)。なお、この特定された制御データのうち、該当するセンサデータに対する遅延時間が「数百ms」を超えている制御データについては、同センサデータに対して応答した制御データではないとして同特定された制御データの中から除外される。同様に、上記特定された制御データのうち、該当するセンサデータに対する遅延時間が存在しない制御データについても同特定された制御データの中から除外される。また、該当するセンサデータ及び制御データが対応テーブル313に登録されていないときには、センサデータと時系列的な推移が類似し、かつ同センサデータに対する遅延時間が「数百ms」以内の制御データが特定される。
こうして、図10に示すように、例えばアクセルセンサの検出値をもとに制御量が決定されるエンジン制御装置の制御量の推移を示す制御データが特定される。なお、この制御データの推移は、先の図9(a)に示したアクセルセンサの検出値の推移と相関し、かつ、一定の応答時間Taである例えば「500ms程度」以内で遅延したものとなっている。
そして、アクセルセンサの検出値の推移を示すセンサデータに対応する制御データは、例えば図10に実線で示すように、入力源となるアクセルセンサのグループGi1及びGi2に対応するグループGo1及びGo2を有したものとなっている。そこで、このグループGo1及びGo2に含まれる制御データ群が、先の図9(b)に示した分布の中央値付近のセンサデータに対応するデータとして特定される(図8:ステップS205)。
そして、続くステップS206にて、同特定されたグループGo1及びGo2に含まれる各制御データの偏差が求められる。次いで、この求められた各制御データの偏差が、グループGo1及びGo2に含まれる制御データ群が異常であるか否かを判別する異常偏差以上であるか否かが判定される(ステップS207)。すなわち、大凡の周波数成分が共通するとして特定された制御データ群の中に、人的要因とは異なる要素に基づく周波数成分、すなわち車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動が含まれているために偏差が大きくなっている制御データが存在するか否かが判定される。
この結果、図10に例示するように、グループGo1及びGo2に含まれる制御データ群の中で偏差が大きい制御データとして、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動De1及びDe2をそれぞれ含んだ2つの制御データが特定される。そして、図8に示すように、これらデータ変動De1及びDe2を含んだ2つの制御データが、上記異常診断部240にて診断対象とすべきデータであるとして特定される(ステップS207:YES、S208)。
一方、ステップS207にて異常偏差以上の偏差を有する制御データが存在しないと判定されたときには、別の種類のセンサに基づくセンサデータの読み出し、正規分布の算出、中央値付近に位置するセンサデータ群の特定、対応する制御データの特定、同特定した制御データの偏差の算出等が適宜実行される(ステップS207:NO、S201〜S208)。こうして、解析データ記憶装置220に記憶されている各種センサデータ及び各種センサデータに対応する各種制御データが解析され、この解析結果から診断対象とすべき制御データが特定されるようになる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置によれば、前記(1)、(2)、(4)に準じた効果が得られるとともに、前記(3)に代えて以下の効果が得られるようになる。
(1A)上記演算部310にて、解析データ記憶装置220に記憶された車両データの正規分布を求める演算を実行した。また、認識部320にて、正規分布のうち中央値付近の車両データを認識し、この認識した車両データの中で相対的に偏差の大きい車両データを解析データ記憶装置220から抽出した。このため、車両データの統計的な解析を通じて診断対象とすべき車両データを特定する上で、偏差の算出対象を、ドライバの特異な車両操作に起因する特異な車両データが除外された車両データ群に限定することが可能となる。よって、偏差の算出対象とされる車両データ群に対して車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動の支配度が高められるようになり、ひいては、こうしたデータ変動を車両データの偏差に的確に反映させることができるようになる。これにより、車両データの偏差の算出を通じて、診断対象とすべき車両データを的確に特定することができるようになる。
(2A)上記正規分布の算出対象を、車両データのうちのセンサデータとした。そして、このセンサデータについての正規分布の中央値付近に位置するセンサデータ群に対応する制御データ群を特定し、この特定した制御データ群の中から診断対象とすべき制御データを特定した。これにより、車両Cのドライバの車両操作が直接的に反映されるセンサデータに基づいて、偏差の算出対象とされる制御データを限定することが可能となる。
(3A)センサデータと制御データとの相関性を、センサデータに対する制御データの遅延時間が「数百ms」以内であるか否かを基準に判定した。これにより、時系列的な推移を示すセンサデータと制御データとの間に発生する特有の遅延時間を利用して、それら各データの相関性を確認することが可能になるとともに、同相関性を検証することが可能ともなる。
(4A)上記データ解析部300に、センサデータと同センサデータとの相関性が高い制御データとが関連付けられた対応テーブル313を設けた。そして、この対応テーブル313の参照を通じて、相関性の高いセンサデータと制御データとを特定した。これにより、対応テーブル313を参照するだけで、相関性が高いセンサデータと制御データとを容易に特定することができるようになり、同特定にかかる処理負荷が低減されるようになる。
(5A)上記対応テーブル313の登録内容として、アクセルセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、同センサデータの推移が反映されるエンジン制御装置の制御量の推移を示す制御データとを規定した。また同じく、対応テーブル313の登録内容として、ステアリングセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、同センサデータが反映されるVSC制御装置の制御量の推移を示す制御データとを規定した。これにより、車両データの中でも、特に相関性が高く車両の故障診断のための診断対象としても重要なデータの対応付けを、円滑かつ的確に行うことができるようになる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置を具体化した第3の実施の形態を図11〜図13を参照して説明する。なお、この第3の実施の形態は、センサデータと同センサデータとの相関性を有する制御データとの差分を求める演算を通じて、車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化するものであり、その基本的な構成は先の第1の実施の形態と共通になっている。
図11は、先の図1に対応する図として、この第3の実施の形態にかかる車両データ解析装置及び故障診断装置の構成を示したものである。なお、この図11において、先の図
1に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
なお、図11に示すように、本実施の形態の車両制御装置群110は、同車両制御装置群110の制御データとともに、センサ群100から各々入力される同センサ群100の検出値の時系列的な推移を示すセンサデータを、車両記憶装置120に逐次出力する。これにより、本実施の形態の車両記憶装置120には、車両制御装置群110に対して入力データとなるセンサデータと、同車両制御装置群110の出力データとなる制御データとが蓄積される。こうして、車両記憶装置120には、車両Cのドライバによる車両操作に伴って逐次変化する車両状態の推移を示すセンサデータ及び制御データが蓄積されるようになる。そして、車両Cの故障診断に際しては、車両記憶装置120に蓄積されたセンサデータ及び制御データは、例えば有線通信等を通じて、車両Cの異常の有無を診断する故障診断装置200に取り込まれ、同故障診断装置200の解析データ記憶装置220に適宜記憶されることとなる。
また、図11に示すように、本実施の形態のデータ解析部400を構成する演算部410は、解析データ記憶装置220に記憶されているセンサデータと同センサデータとの相関性を有する制御データとを対応付ける相関データ対応付部411を備えている。また、演算部410は、相関性が高いセンサデータと制御データとが予め対応付けされて登録された対応テーブル412を備えている。さらに演算部410は、相関データ対応付部411によって対応付けられたセンサデータを周波数解析(FFT)するセンサデータ周波数解析部413と、同じく相関データ対応付部411によって対応付けられた制御データを周波数解析する制御データ周波数解析部414とを備えている。また併せて、演算部410は、これらセンサデータ周波数解析部413及び制御データ周波数解析部414によって周波数解析されたセンサデータと該当する制御データとの差分を算出する差分算出部415を備えている。
このうち、相関データ対応付部411は、車両制御装置群110に対する入力データとして、或るセンサにて取得された一のセンサデータを解析データ記憶装置220から抽出する。そして、相関データ対応付部411は、対応テーブル412の参照を通じて上記抽出した一のセンサデータとの相関性が高い一の制御データを特定し、この特定した制御データを解析データ記憶装置220から抽出する。なお、相関データ対応付部411は、該当するセンサデータ及び制御データが対応テーブル412に登録されていないときには、一のセンサデータと時系列的な推移が類似し、かつ同センサデータに対する遅延時間が例えば「500ms程度」以内の制御データを、センサデータとの相関性の高い制御データとして特定する。
また、相関データ対応付部411は、解析データ記憶装置220から抽出した相関性の高い一対のセンサデータと制御データとを、それぞれセンサデータ周波数解析部413と制御データ周波数解析部414とに出力する。なお、こうしたセンサデータ及び制御データの抽出は、解析データ記憶装置220に記憶されているアクセルセンサのセンサデータが例えば50個存在するときには、その一つ一つが、対応する一つの制御データとともに順次抽出される態様で行われる。そして、アクセルセンサの全てのセンサデータが抽出されて以降は、例えばブレーキセンサのセンサデータ群と該当する制御データとの抽出が順次行われる。こうして、解析データ記憶装置220に記憶されているセンサデータ及び制御データの全てが、検出主体となるセンサの種類毎、センサデータ毎に順次抽出され、順次対応付けられてセンサデータ周波数解析部413及び制御データ周波数解析部414に順次出力される。
センサデータ周波数解析部413及び制御データ周波数解析部414は、相関データ対
応付部411から順次入力されるセンサデータ及び制御データを順次周波数解析し、この周波数解析したセンサデータ及び制御データを、差分算出部415に順次出力する。
差分算出部415は、対応付けされて周波数解析されたセンサデータ及び制御データをセンサデータ周波数解析部413及び制御データ周波数解析部414から取得すると、それら取得したセンサデータと制御データとの差分を求める。そして、差分算出部415は、この求めた差分に関する情報を、認識部420に出力する。
本実施の形態の認識部420は、差分算出部415から取得したセンサデータと制御データとの差分に関する情報から、差分が「0」以上となるセンサデータ及び制御データ、あるいは、差分が所定の閾値よりも大きくなるセンサデータ及び制御データを認識する。すなわち、差分算出部415によって求められたセンサデータ及び制御データの差分とは、制御データのうち、センサデータと類似する部分が除去されたデータ、換言すれば、車両Cのドライバの車両操作に基づく変化が除去されたデータとなる。そこで、本実施の形態の認識部420は、センサデータと制御データとの差分が「0」以上であるとき、あるいは所定の閾値を超えているとき、車両Cのドライバの車両操作とは異なる要素に起因するデータ変動が制御データに含まれていると認識する。すなわち、認識部420は、センサデータと制御データとの間に差分が存在するときには、同制御データに車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に伴うデータ変動が含まれており、同制御データが車両Cの故障診断に際して有用なデータであると認識する。一方、認識部420は、センサデータと制御データとの間に差分が存在しないときには、同制御データに車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に伴うデータ変動が含まれていないと認識する。
そして、認識部420は、制御データに車両制御系の機械的な異常や制御的な異常が含まれている認識した制御データを解析データ記憶装置220から抽出するとともに、この抽出した制御データを異常診断部240に出力する。こうして、異常診断部240は、認識部420から入力された制御データに基づいて、センサデータと制御データとの間に差分が発生した要因を特定する。
なお、本実施の形態では、こうした演算部410及び認識部420を備えたデータ解析部400によって、上記車両データ解析装置が構成される。
以下、本実施の形態の車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置の作用について、図12及び図13を参照して説明する。
図12に示すように、まずステップS301にて、データ解析部400は、診断対象とする車両Cのセンサデータを上記解析データ記憶装置220から読み出す。また、データ解析部400は、この読み出したセンサデータに対応する制御データを適宜特定するとともに、この特定した制御データを解析データ記憶装置220から読み出す(ステップS302)。こうして、例えばアクセルセンサのセンサデータに対応する制御データが解析データ記憶装置220から適宜読み出されるようになる。
この結果、例えば図13(a)に示すように、例えばイグニッションキーがオンとされて以降のアクセルセンサのセンサデータに対応する制御データとして、エンジン制御装置の制御量の時系列的な推移を示す複数のパターンを有する制御データ群が読み出される。なお、ここでの例では、期間T1にて示されるように、解析データ記憶装置220から読み出された制御データ群のうち、2つの制御データにはそれぞれ、エンジン制御装置の動作不良に起因するデータ変動De1及びDe2が含まれている。
そして、図12に示すように、データ解析部400は、各々読み出したセンサデータ及び該当する制御データを周波数解析し、それら周波数解析したセンサデータと該当する制
御データとの差分を求める(ステップS303)。こうして、例えば図13(b)に例示するように、周波数解析されたセンサデータと該当する制御データとの差分が適宜求められるようになる。
次いで、続くステップS305では、周波数解析されたセンサデータと制御データとの差分から、センサデータとの差分値が「0」にならない制御データ、あるいはセンサデータとの差分値が所定の閾値よりも大きくなる制御データが特定される。すなわち、先の図13(b)に示した例では、大凡のセンサデータと制御データとの差分値は「0」に近似する値となっているものの、期間T1にて示されるように、上記データ変動De1、De2を含んだ各制御データと該当する各センサデータとの差分値Df1、Df2は、それぞれ「0」を大きく超える値となっている。
そこで、図12に示すように、データ解析部400は、この差分値Df1、Df2の算出元となる2つの制御データ、すなわちエンジン制御装置の動作不良等に起因するデータ変動De1、De2を含んだ2つの制御データを、異常診断部240にて診断対象とすべきデータであるとして特定する(ステップS305)。なお、センサデータと制御データとの間に差分が存在しないときには、異なる種類のセンサデータと制御データとに対して、対応付け、周波数解析、差分の算出等が適宜実行される(ステップS301〜S305)。
こうして、解析データ記憶装置220に記憶されているセンサデータ及び制御データに対する解析が適宜実行され、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動を含んだ制御データが異常診断部240に適宜出力されるようになる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車両データ解析装置、車両データ解析方法、及び故障診断装置によれば、前記(1)、(2)、(4)、(3A)〜(5A)に準じた効果が得られるとともに、前記(3)、(1A)、(2A)に代えて以下の効果が得られるようになる。
(1B)上記車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動を顕在化する演算として、センサデータと制御データとの差分を求めた。これにより、センサデータを利用して制御データに含まれる人的要因に起因するデータ変動を除外することが可能となり、本来診断対象とすべき車両データを容易に特定することができるようになる。
(2B)上記センサデータ及び該当する制御データとの差分を、各々周波数解析したセンサデータ及び制御データに基づいて算出した。これにより、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動の顕在化を、より容易かつ的確に実現することができるようになる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
・上記第2及び第3の実施の形態では、センサデータと制御データとの相関性を、センサデータに対する制御データの遅延時間が約「数百ms」、一例として「500ms程度」以内であるか否かを基準に判定した。これに限らず、センサデータに対する制御データとの相関性を判断する遅延時間とは、センサデータにて示される車両Cのドライバの車両操作に対する車両挙動の応答時間に基づいた時間であればよく、車両制御装置群110を構成する各種車両制御装置の特性を踏まえて適宜変更することが可能である。
・上記第2及び第3の実施の形態では、上記対応テーブル313、412の登録内容として、先の図7に示したように、アクセルセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、
同センサデータが入力されてその推移が反映されるエンジン制御装置の制御量の推移を示す制御データとを規定した。また、対応テーブル313、412の登録内容として、ステアリングセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、同センサデータが入力されてその推移が反映されるVSC制御装置の制御量の推移を示す制御データとを規定した。これに限らず、対応テーブルの登録内容とは、相関性が高いセンサデータ及び制御データの対応関係を示すものであればよく、例えば、共通する車両制御装置に入力されるセンサデータと、同車両制御装置から出力される制御データとの対応関係を示すものであってもよい。
・上記第2及び第3の実施の形態では、上記データ解析部300、400に、センサデータと同センサデータとの相関性が高い制御データとが関連付けられた対応テーブル313、412を設けることとした。これに限らず、対応テーブル313、412を割愛する構成とし、相関性の高いセンサデータと制御データとを、時系列的な推移が類似し、かつ所定の時差を有するセンサデータと制御データとを解析データ記憶装置220の中から検索して対応付けるようにしてもよい。同様に、相関性の高いセンサデータと制御データとを、時系列的な推移が類似するセンサデータと制御データとを解析データ記憶装置220の中から検索して対応付けるようにしてもよい。あるいは、上記データ解析部300、400にて、相関性が高いセンサデータと制御データとを導出する条件式を含んだ演算を実行することとし、この演算からセンサデータと該当する制御データとを対応付けるようにしてもよい。
・上記第3の実施の形態では、センサデータ及び該当する制御データとの差分を、各々周波数解析したセンサデータ及び制御データに基づいて算出した。これに限らず、センサデータと制御データとの差分を算出するものであればよく、同差分の算出方法は適宜選択することができる。
・上記第2の実施の形態では、上記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動を顕在化する演算として、センサデータの正規分布を求めた。そして、この正規分布の中央値付近に位置するセンサデータ群に対応する制御データ群を特定して、この特定した制御データの中から偏差の大きい制御データを診断対象とすべき車両データとして特定した。これに限らず、上記データ変動を顕在化する演算として、制御データの正規分布を求めることとしてもよい。すなわちこの場合には、先の図8に対応する図として例えば図14に示すように、まずステップS401において、診断対象とする車両制御装置から出力された制御データが解析データ記憶装置220から読み出される。そして、この読み出された制御データの正規分布が求められるとともに、この求められた正規分布の中で中央値付近に位置する制御データ群が選定される(ステップS402)。その後、この選定された中央値付近に位置する制御データ群の各々の偏差が算出される(ステップS403)。次いで、この算出された各制御データの偏差が、同制御データに車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に伴うデータ変動が含まれているか否かを判別する異常偏差以上であるか否かが判定される(ステップS404)。この結果、異常偏差以上の偏差を有する制御データが存在するときには、同偏差を有する制御データが診断対象とすべき車両データであるとして特定される(ステップS404:YES、S405)。この場合にも、偏差の算出対象とされる制御データ群が平均的な推移を示す制御データ群に予め限定されることから、この限定された制御データ群の中で車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に伴うデータ変動を含んだ制御データを顕在化することが可能となる。また、この場合には、解析対象として制御データさえ取得できればよく、センサデータと該当する制御データとの対応付けの処理等を割愛することもできる。これにより、より簡略化された処理を通じて、診断対象とすべき制御データを特定することができるようにもなる。
・上記第2の実施の形態では、上記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動を顕在化する演算として、車両データの正規分布を求めた。これに限らず、
車両データの統計分布の代表的な例として、車両データのカイ二乗分布を求めるようにしてもよく、車両データの統計分布を求めるものであれば本発明の適用は可能である。
・上記第1の実施の形態では、上記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動を顕在化する演算として、制御データの単位時間当たりの変化量を求めた。また、上記第2の実施の形態では、同データ変動を顕在化する演算として、センサデータの正規分布を求めた。また一方、上記第3の実施の形態では、同データ変動を顕在化する演算として、センサデータと制御データとの差分を求めた。これに限らず、例えば、解析データ記憶装置220に記憶されている制御データを車両Cの走行条件の別に分類する機能を演算部に設けるようにしてもよい。そして、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動を顕在化する演算として、制御データを車両Cの走行条件毎に分類する演算を実行するようにしてもよい。この場合には、演算部は、図15に示すように、まず解析データ記憶装置220に記憶されている制御データを読み出すと、同制御データを分類するための車両Cの走行条件を決定する(ステップS501、S502)。ここでの例では、例えば制御データがエンジン制御装置の制御量の推移を示すデータであるとき、車両Cのイグニッションキーがオンとされて以降のエンジンのアイドル、いわゆるクリープの有無が走行条件とされる。そして、演算部は、エンジン制御装置の制御量の推移を示す制御データを、車両Cのイグニッションキーがオンとされたのちにクリープが所定期間継続されたか否かを基準に分類する(ステップS503)。こうして、例えば図16に示すように、制御データは、クリープ現象を含まないグループGc1と、クリープ現象を含むグループGc2とに分類される。すなわち、解析データ記憶装置220に記憶されている制御データの推移のパターンが、クリープ現象を含まないために時系列的な推移が類似するグループGc1と、同クリープ現象を含むために時系列的な推移が類似するグループGc2との2つのパターンに分類される。その後、図15に示すように、演算部は、これら分類したグループGc1及びGc2の別に、偏差の大きい制御データを特定する(ステップS504)。すなわち、クリープ現象の有無はドライバによるアクセルペダルの踏み込み状況によって決定されることから、クリープ現象の有無を判断基準として分類された制御データは、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み状況に応じて分類されたものとなっている。このため、各々分類されたグループGc1及びGc2の中では、制御データに対する、ドライバによるアクセルペダルの踏み込み状況の支配度が低減されるようになる。したがって、クリープ現象の有無を判断基準として分類されたグループGc1及びGc2の中で偏差が大きくなる制御データとは、クリープ現象の有無とは異なる要素、すなわち車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動が含まれているために偏差が生じた蓋然性が高い。そこでこの場合には、各々分類されたグループGc1及びGc2の中で偏差が相対的に大きくなる制御データが、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常が反映された制御データ、すなわち診断対象とすべき制御データとして特定される(ステップS505)。そしてこの場合には、制御データの偏差の算出に先立ち、ドライバのアクセルペダルの踏み込み状況に応じて制御データが予め分類されることから、アクセルペダルの踏み込み状況の相違が各制御データの偏差となって導出されることもない。よって、同分類された制御データに対する、車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動の支配度が大きくなり、ひいては、同データ変動の顕在化を図ることができるようになる。またこの他、車両Cの走行条件とはドライバの車両操作が反映されるものであればよく、例えば車両Cの走行環境が都市部及び郊外のいずれであるか、あるいは、車両Cの走行環境が通常の自動車道及び高速自動車道のいずれであるかを基準としてもよい。また同様に、車両Cの走行条件とは、カーナビゲーションによる運転支援の有無、車種、天候等であってもよい。要は、制御データを共通する走行条件の別に分類することで、同分類された制御データに対するドライバの車両操作の影響を低減させ、同制御データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常に起因するデータ変動を顕在化されるものであれば、車両Cの走行条件とすることができる。
・上記各実施の形態では、1つの車両制御装置に対して1つのセンサデータが入力される例について説明したが、車両制御装置に入力されるセンサデータとは2つ以上であってもよい。この場合には、車両制御装置は、各々入力されるセンサデータに基づいて制御量を決定することから、その制御量の推移を示す制御データは、各々入力されるセンサデータの推移が複合されたものとなる。なおこの場合、上記第2の実施の形態において、上記演算部は、一つの車両制御装置に入力される各々のセンサデータの統計分布を求める演算や、各センサデータを複合したデータの統計分布を求める演算を実行する。またこの場合、上記第3の実施の形態において、上記演算部は、一つの車両制御装置に入力される複数のセンサデータから選択したセンサデータと同車両制御装置から出力される制御データとの差分を求める演算を実行する。あるいは、上記第3の実施の形態において、演算部は、一つの車両制御装置に入力される複数のセンサデータを複合したデータと同車両制御装置から出力される制御データとの差分を求める演算を実行する。
・上記各実施の形態では、一台の車両Cから取得された車両データの中から、診断対象とすべき車両データを特定した。これに限らず、複数台の車両Cから車両データを取得するとともに解析データ記憶装置220に記憶し、この解析データ記憶装置220に記憶した車両データの中から、車両制御系の機械的な異常や制御的な異常に起因するデータ変動を含んだ車両データを抽出することもできる。
・上記各実施の形態では、車両Cの車両記憶装置120に蓄積されたセンサデータや制御データを、有線通信を通じて故障診断装置200に転送した。これに限らず。車両C及び故障診断装置200に相互通信可能な無線通信機を設け、各無線通信機間での無線通信を通じて、車両Cの車両記憶装置120に蓄積されたセンサデータや制御データを、車両Cから故障診断装置200に転送することもできる。この場合には、車両Cに故障診断装置200を搭載せずとも、車両Cで取得されるセンサデータや制御データに基づく車両Cの故障診断を動的に行うことができるようになる。これにより、車両Cの故障診断を柔軟に行うことができるようになるとともに、車両Cの故障の早期発見が図られるようにもなる。
・上記各実施の形態では、故障診断装置200の外部に設ける構成としたが、同故障診断装置200を車両Cに搭載し、この車両Cに搭載された故障診断装置200にて車両Cの故障診断を常時行うようにすることもできる。なお、この場合には、車両Cに搭載された車両記憶装置120を割愛する構成とし、センサ群100や車両制御装置群110から出力されるセンサデータや制御データを故障診断装置200に適宜取り込むこともできる。また、上記第1の実施の形態のように、制御データの単位時間当たりの変化量を求めることによって車両制御系の機械的な異常や制御的な異常を含んだデータ変動を顕在化するときには、車両記憶装置120や解析データ記憶装置220を備えない構成とすることもできる。この場合、演算部は、車両制御装置群110から出力される制御データを逐次取り込んで、この取り込んだ制御データの単位時間当たりの変化量を逐次算出する。同様に、上記第3の実施の形態のように、センサデータと該当する制御データとの差分を求めることによって車両制御系の機械的な異常や制御的な異常を含んだデータ変動を顕在化するときにも、車両記憶装置120や解析データ記憶装置220を備えない構成とすることもできる。この場合、演算部は、センサ群100から出力されるセンサデータと車両制御装置群110から出力される制御データとを逐次取り込んで、この取り込んだセンサデータと制御データとの差分を逐次算出する。
・上記各実施の形態では、車両制御装置群110に入力されてかつ車両Cのドライバによる車両操作態様が反映されるデータとして、センサ群100のセンサデータを規定した。そして、上記第2の実施の形態や第3の実施の形態では、このセンサデータと制御データとの相関性を利用して、制御データに含まれる車両制御系の機械的な異常や制御的な異
常に伴うデータ変動を顕在化した。これに限らず、例えば、第1の車両制御装置の制御量が、或るセンサのセンサデータをもとに制御量が決定される第2の車両制御装置の制御量に基づいて決定されるときには、第1の車両制御装置の入力データとなる第2の車両制御装置の制御データと、第1の車両制御装置の出力データとなる同第1の車両制御装置の制御データとに基づいて上記データ変動を顕在化する演算を実行することもできる。またこの場合には、第2の車両制御装置に入力されるセンサデータと、第1の車両制御装置の出力データとなる同第1の車両制御装置の制御データとに基づいて、上記データ変動を顕在化する演算を実行することもできる。これにより、複数のセンサや複数の車両制御装置が連携して各種車載機器やシステムが制御される車両制御系の中で授受される車両データに含まれる異常なデータ変動を、車両制御装置の制御量の決定基準となる入力系データと、同データのもとに決定された制御量の推移を示す出力系データとに基づいて顕在化することが可能となる。なお、この場合には、これら入力系データ及び出力系データが、上記車両データとなる。
100…センサ群、110…車両制御装置群、120…車両記憶装置、200…故障診断装置、210…データ入力部、220…解析データ記憶装置、230…データ解析部、231…演算部、231a…変化量算出部、232…認識部、240…異常診断部、300…データ解析部、310…演算部、311…分布算出部、312…中央値選定部、313…対応テーブル、320…認識部、400…データ解析部、410…演算部、411…相関データ対応付部、412…対応テーブル、413…センサデータ周波数解析部、414…制御データ周波数解析部、415…差分算出部、420…認識部、C…車両。

Claims (17)

  1. 車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置であって、
    前記車両で取得された複数の車両データが解析すべきデータとして蓄積される記憶装置と、該記憶装置に蓄積されたそれぞれの車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する演算部と、該演算部による演算結果に基づ前記車両の異常の診断に際し、車両データに含まれるデータ変動からドライバの車両操作に起因するデータ変動を除外することによって診断対象とすべき車両データを認識する認識部とを備える
    ことを特徴とする車両データ解析装置。
  2. 前記車両データには、前記車両のドライバの車両操作態様が反映されるデータとして前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、該センサデータの推移が反映される制御データとが少なくとも含まれ、
    前記認識部は、前記演算部による演算の結果に基づき、前記診断対象として前記車両のドライバの車両操作とは異なる要素に基づくデータ変動を含んだ車両データを特定する
    請求項1に記載の車両データ解析装置。
  3. 前記演算部は、前記演算として、前記車両データの単位時間当たりの変化量を求め、該求めた変化量が前記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動に伴う変化量以上である車両データを特定する演算を実行する
    請求項1または2に記載の車両データ解析装置。
  4. 請求項1または2に記載の車両データ解析装置において、
    記演算部は、前記演算として前記記憶装置に記憶された車両データの統計分布を求める演算を実行し、前記認識部は、該求めた統計分布のうち中央値付近の車両データを認識するとともに該認識した車両データの中で相対的に偏差の大きい車両データを前記診断対象とすべき車両データとして前記記憶装置の中から抽出する処理を実行する
    ことを特徴とする車両データ解析装置。
  5. 前記演算部は、前記演算として前記センサデータと該センサデータとの相関性を有する
    制御データとの差分を求め、前記認識部は、該求められた差分に基づいて前記診断対象とすべき車両データを認識する
    請求項2に記載の車両データ解析装置。
  6. 前記演算部は、前記センサデータ及び該当する制御データとの差分を、各々周波数解析したセンサデータ及び制御データに基づいて算出する
    請求項5に記載の車両データ解析装置。
  7. 前記車両データには、前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと該センサデータに対応するデータとして該当するセンサデータの推移が反映される制御データとが含まれ、それらセンサデータ及び制御データは、時系列的な推移が相関し、かつ、前記センサデータに対する前記制御データの遅延時間が前記センサデータにて示される前記車両のドライバの車両操作に対する車両挙動の応答時間以内であることを条件に相関性が高いとして対応付けられたものである
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両データ解析装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両データ解析装置において、
    複数種の車両データの対応関係を示す対応テーブルをさらに備え、該対応テーブルには、前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、該センサデータとの相関性が高い制御データとが各々関連付けられてなる
    ことを特徴とする車両データ解析装置。
  9. 前記対応テーブルには、相関性が高いセンサデータ及び制御データとして、少なくとも、前記車両のアクセルペダルの検出値の推移を示すデータ及び前記車両に搭載されるエンジンを制御するエンジン制御装置の制御量の推移を示すデータ、並びに、前記車両のステアリングの操作量の推移を示すデータ及び前記車両のタビリティーコントロールを実行するVSC制御装置の制御装置の制御量の推移を示すデータが各々対応付けられて登録されてなる
    請求項8に記載の車両データ解析装置。
  10. 車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置であって、
    前記車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する演算部と、該演算部による演算結果に基づいて前記車両の異常の診断に際して診断対象とすべき車両データを認識する認識部とを備え、
    前記車両データには、前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと該センサデータに対応するデータとして該当するセンサデータの推移が反映される制御データとが含まれ、それらセンサデータ及び制御データは、時系列的な推移が相関し、かつ、前記センサデータに対する前記制御データの遅延時間が前記センサデータにて示される前記車両のドライバの車両操作に対する車両挙動の応答時間以内であることを条件に相関性が高いとして対応付けられたものである
    ことを特徴とする車両データ解析装置。
  11. 車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置を備え、該車両データ解析装置によって解析された車両データに基づいて前記車両の異常の有無を診断する故障診断装置であって、
    前記車両データ解析装置として請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両データ解析装置を備える
    ことを特徴とする故障診断装置。
  12. 車両の状態の時系列的な推移を示す車両データを解析する車両データ解析装置を用いて車両データ解析する方法であって、
    前記車両データ解析装置が、
    前記車両で取得された複数の車両データを解析すべきデータとして記憶装置に蓄積するステップと、
    該蓄積したそれぞれの車両データに含まれる車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化するステップと、
    記車両の異常の診断に際し、車両データに含まれるデータ変動からドライバの車両操作に起因するデータ変動を除外することによって診断対象とすべき車両データを特定するステップと
    実行する
    ことを特徴とする車両データ解析方法。
  13. 前記車両データには、少なくとも、前記車両のドライバの車両操作態様が反映されるデータとして前記車両の状態を検出するセンサの検出値の推移を示すセンサデータと、該センサデータの推移が反映される制御データとが含まれ、
    前記特定するステップにて、前記診断対象として前記車両のドライバの車両操作とは異なる要素に基づくデータ変動を含んだ車両データを特定する
    請求項1に記載の車両データ解析方法。
  14. 前記顕在化するステップにて、前記車両データの単位時間当たりの変化量を求め、前記特定するステップはさらに、前記求めた前記車両データの単位時間当たりの変化量が前記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動に伴う変化量以上である車両データを選定するステップを含む
    請求項1または1に記載の車両データ解析方法。
  15. 請求項1または1に記載の車両データ解析方法において、
    記顕在化するステップにて、前記蓄積した車両データの統計分布を求め、前記特定するステップにて、前記統計分布として示される車両データのうち中央値付近の車両データを認識するとともに該認識した車両データの中で相対的に偏差の大きい車両データを前記診断対象とすべき車両データとして前記蓄積した車両データの中から特定する
    ことを特徴とする車両データ解析方法。
  16. 前記顕在化するステップにて、前記センサデータと該センサデータとの相関性を有する制御データとの差分から前記車両制御系の機械的もしくは制御的な異常の発生に伴うデータ変動を顕在化する
    請求項1に記載の車両データ解析方法。
  17. 前記顕在化するステップにて、センサデータ及び該当する制御データを周波数解析し、この周波数解析したセンサデータ及び該当する制御データに基づいてそれらの差分を算出する
    請求項1に記載の車両データ解析方法。
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