JP5577110B2 - 光学素子成形用型、並びに光学素子、及び該光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子成形用型、並びに光学素子、及び該光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子成形用型、並びに該光学素子成形用型を用いた光学素子の製造方法、及び該製造方法により得られる光学素子に関する。
光学素子である光学ガラスレンズの製造方法として、直接プレス成形法が知られている。前記直接プレス成形法では、所望の面品質、及び面精度に仕上げた光学素子成形用型上で、光学素子材料であるガラスの塊状物を加熱、又は、予め加熱してあるガラスの塊状物をプレス成形して、光学ガラスレンズを製造する方法である。
前記直接プレス法に用いる光学素子成形用型には、光学素子にカン(クラック)が発生しないようにすることはもちろん、耐久性や、離型性などの観点から、光学素子材料との反応性が低いこと、光学素子成形用型の表面と光学素子材料との離型性が良いこと、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性が優れること、光学素子成形用型のプレス面の摩擦係数が小さいこと、光学素子を短時間で生産できることなどが求められる。
これまでに、光学ガラス素子のプレス成形において、ダイヤモンド膜又はダイヤモンド状炭素膜を母材上に形成して構成された光学ガラス素子のプレス成形用型を用いることにより、酸化鉛系ガラスレンズを良好にプレス成形が可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、プレス成形に際しガラスと接する部分にダイヤモンド膜を介して水素化アモルファス炭素膜が被覆されている成形用型を用いることにより、前記特許文献1と比較して、酸化鉛の反応を、さらに抑制可能な技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、光学素子成形用型母材界面側にグラファイトを多く、表面側(離型面側)にグラファイトを少なくした光学素子成形用型を用いることにより、離型性と耐久性を両立させた技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、母材界面側にグラファイトを少なく、母材との界面から表面(離型面)に向かってグラファイトを多くした光学素子成形用型を用いることにより、離型性と耐久性を両立させた技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、母材にダイヤモンド状炭素離型膜を形成することにより、カン(クラック)の発生を大幅に抑制できる技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、母材の成形面に、アモルファス水素含有Si−C(a−C:H:Si)膜を被覆することにより、長期の連続成形に耐え、成形品の性能も十分確保できる光学素子成形用型が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この提案では、a−C:H:Si膜におけるSiの含有量を10mol%〜23mol%とする必要があり、a−C:H:Si膜の厚みを50nm〜150nmとする必要があると記載されている。これは、Siを前記膜に含有させることにより、柔軟性(緩衝性)、及び潤滑性を付与していると考えられる。
一方、母材とa−C:H:Si膜との密着性を高めるためには、膜の厚みが薄いことが好ましい。しかし、緩衝作用や潤滑作用を期待する膜の場合、膜の厚みを薄くしてしまうと、それらの作用を弱めることとなってしまうため、膜の厚みを薄くすることはできず、十分な密着性が得られないという問題がある。
また、これらの先行技術の光学素子成形用型では、光学素子材料として反応性の高い材料(例えば、TiO、Nb、WO、Biなど)を含むガラスを用いた場合には、成形時に融着が生じるという問題や、薄いレンズを成形する場合には、カン(クラック)が発生してしまう問題などがあり、耐久性や、離型性が不十分である。また、十分な耐久性や、離型性を有しつつ、かつ光学素子成形用型の基材と表面層との密着性にも優れるものは、未だ得られていない。
したがって、耐久性、及び離型性に優れ、かつ、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性にも優れる光学素子成形用型の速やかな開発が求められているのが現状である。
特公平02−047411号公報 特開平02−080330号公報 特開平08−301625号公報 特開平09−12320号公報 特開平09−194216号公報
Proc. of the XX ICG in Kyoto (2004)" GLASS PREFORM DEFORMATION AND CRACK FORMATION MECHANISM IN MOLDING PROCESS "T.Igari et al. HOYA Corporation
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光学素子材料との反応性が低く、光学素子材料と光学素子成形用型の表面層との摩擦係数を下げることができ、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性に優れ、かつ、離型性と耐久性に優れる光学素子成形用型、並びに該光学素子成形用型を用いた光学素子の製造方法、及び該製造方法により得られる光学素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、表面層が、Siを含有するダイヤモンド状炭素を含み、前記表面層におけるSiの含有量が、SiとCとの比(Si/C)として、0.01〜0.05であり、前記表面層の厚みが、2nm以上50nm未満とすることにより、光学素子材料との反応性が低く、光学素子材料と光学素子成形用型の表面層との摩擦係数を下げることができ、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性に優れ、かつ、離型性と耐久性に優れる光学素子成形用型が得られるという新たな知見である。
これは、表面層の厚みを薄くすることにより、基材と表面層との密着性を高めることができ、更に、SiがCの酸化を抑制し、Cが酸化により気化して消失することを防ぐことにより、離型性と耐久性を向上することができるためと考えられる。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、表面層とを有し、
前記表面層が、Siを含有するダイヤモンド状炭素を含み、
前記表面層におけるSiの含有量が、SiとCとの比(Si/C)として、0.01〜0.05であり、
前記表面層の厚みが、2nm以上50nm未満であることを特徴とする光学素子成形用型である。
<2> 表面層の摩擦係数が、0.01〜0.08である前記<1>に記載の光学素子成形用型である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の光学素子成形用型を用いて、光学素子材料を成形することを特徴とする光学素子の製造方法である。
前記光学素子の製造方法では、光学素子材料との反応性が低い光学素子成形用型を用いるので、光学素子材料の光学素子成形用型への融着を抑制することができ、また、得られる光学素子への転写を抑制することができるので、光学素子の不良を抑制することができる。
<4> 光学素子材料が、Ti、W、Nb、及びBiの少なくともいずれかを含有する前記<3>に記載の光学素子の製造方法である。
<5> 前記<3>から<4>のいずれかに記載の光学素子の製造方法により製造されることを特徴とする光学素子である。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、光学素子材料との反応性が低く、光学素子材料と光学素子成形用型の表面層との摩擦係数を下げることができ、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性に優れ、かつ、離型性と耐久性に優れる光学素子成形用型、並びに該光学素子成形用型を用いた光学素子の製造方法、及び該製造方法により得られる光学素子を提供することができる。
図1は、プラズマCVDの模式図である。 図2は、光学素子成形用型1〜10の表面層の摩擦係数を比較したグラフである。 図3は、プレス成形前の説明図である。 図4は、プレス成形時の説明図である。 図5は、実施例2−1の100ショット成形後の光学素子成形用型1の表面の顕微鏡像である。 図6は、実施例2−2の100ショット成形後の光学素子成形用型2の表面の顕微鏡像である。 図7は、実施例2−3の100ショット成形後の光学素子成形用型5の表面の顕微鏡像である。 図8は、実施例2−4の100ショット成形後の光学素子成形用型1の表面の顕微鏡像である。 図9は、実施例2−5の100ショット成形後の光学素子成形用型3の表面の顕微鏡像である。 図10は、実施例2−6の100ショット成形後の光学素子成形用型3の表面の顕微鏡像である。 図11は、実施例2−7の100ショット成形後の光学素子成形用型3の表面の顕微鏡像である。 図12は、実施例2−8の100ショット成形後の光学素子成形用型4の表面の顕微鏡像である。 図13は、実施例2−9の100ショット成形後の光学素子成形用型6の表面の顕微鏡像である。 図14は、実施例2−10の100ショット成形後の光学素子成形用型7の表面の顕微鏡像である。 図15は、実施例2−11の100ショット成形後の光学素子成形用型8の表面の顕微鏡像である。 図16は、比較例2−1の100ショット成形後の光学素子成形用型9の表面の顕微鏡像である。 図17は、比較例2−2の100ショット成形後の光学素子成形用型9の表面の顕微鏡像である。 図18は、比較例2−3の100ショット成形後の光学素子成形用型9の表面の顕微鏡像である。 図19は、比較例2−4の100ショット成形後の光学素子成形用型10の表面の顕微鏡像である。
(光学素子成形用型)
本発明の光学用成形型は、少なくとも基材と表面層とを有し、必要に応じてその他の構成を有してなる。
<基材>
前記基材の材質、形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材の材質としては、例えば、超硬合金(炭化タングステン(WC)、炭化タングステン−コバルト(WC−Co)合金など)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ホウ素含有窒化珪素、サーメット、ジルコニア(ZrO)、シリコンナイトライド(Si)、チタンカーバイド(TiC)、金属の混合材料、13Crマルテンサイト鋼、シリコン(Si)、酸化チタン(TiO)、ステンレス鋼、などが挙げられる。
これらの中でも、超硬合金、シリコンカーバイドが、密着性、及び加工性に優れる点で、有利である。
前記基材の形状、大きさとしては、目的とする光学素子の形状、大きさに応じて適宜選択することができる。
前記基材表面は、後述する表面層を形成する前に鏡面研磨、洗浄などの前処理を行うことが好ましい。
前記鏡面研磨、洗浄などの前処理の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
また、更に、逆スパッタ、イオン照射などにより、前記基材をクリーニングしてもよい。
<表面層>
前記表面層は、Siを含有するダイヤモンド状炭素を含む。
−ダイヤモンド状炭素−
前記ダイヤモンド状炭素(Diamond−Like Carbon;以下「DLC」と称することがある。)とは、ダイヤモンド状構造と、グラファイト状構造とを有するものをいう。
前記ダイヤモンド状炭素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素化アモルファス炭素、i−カーボン、硬質炭素などが挙げられる。
前記ダイヤモンド状炭素であることの分析方法としては、例えば、ラマン分光測定が挙げられる。
−Siの含有量−
前記表面層におけるSiの含有量としては、SiとCの比(Si/C)として、0.01〜0.05であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜0.047が好ましく、0.01〜0.045がより好ましく、0.01〜0.04が特に好ましい。前記表面層におけるSiの含有量が、SiとCの比(Si/C)として、0.01未満であると、Siを添加することによる低反応性・低摩擦化の効果が薄く、0.05を超えると、膜再生のための酸素アッシングによる剥離工程で著しく生産性が悪化する。一方、前記表面層におけるSiの含有量が前記特に好ましい範囲内であると、低反応性・低摩擦化の効果があり、表面酸化も抑制される点で、有利である。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量は、例えば、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)分析、オージェ電子分光分析により求めることができる。
−厚み−
前記表面層の厚みとしては、2nm以上50nm未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2nm〜49nmが好ましく、2nm〜45nmがより好ましく、3nm〜40nmが更に好ましく、5nm〜35nmが特に好ましい。前記表面層の厚みが、2nm未満であると、全面均一に膜形成されないことがあり、50nm以上であると、膜再生のための酸素アッシングによる剥離工程で著しく生産性が悪化する。一方、前記表面層の厚みが前記特に好ましい範囲内であると、全面で膜形成され、密着力が強い点で、有利である。
前記表面層の厚みは、例えば、エリプソメトリ法により、測定することができる。
−硬度−
前記表面層の硬度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5GPa〜25GPaが好ましく、5GPa〜20GPaがより好ましく、10GPa〜20GPaが特に好ましい。前記表面層の強度が、5GPa未満であると、膜が摩耗することがあり、25GPaを超えると、膜の剥離耐久性が不十分になることがある。一方、前記表面層の強度が前記特に好ましい範囲内であると、耐摩耗性・密着耐久性の点で、有利である。
前記表面層の硬度は、例えば、ナノインデンターにより、測定することができる。
−摩擦係数−
前記表面層の摩擦係数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜0.08が好ましく、0.02〜0.07がより好ましく、0.04〜0.06が特に好ましい。前記表面層の摩擦係数が、0.01未満であると、金型の成形面がレンズに均一に転写できないことがあり、0.08を超えると、使用頻度につれてカンが発生することがある。一方、前記表面層の摩擦係数が前記特に好ましい範囲内であると、レンズ形状の安定・カンの抑制の点で、有利である。
前記表面層の摩擦係数は、例えば、ボールオンディスク装置を用いてSUS製ボールを、荷重100gf、1mm/secで10mm直線運動させることにより、測定することができる。
−表面エネルギー−
前記表面層の表面エネルギーは、例えば、水とヨードメタンの接触角から算出することができる。
前記表面層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラズマCVD(chemical vapor deposition)、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビーム蒸着などが挙げられる。
前記プラズマCVDによる表面層の形成において、炭素(C)を供給するガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタン、エタン、プロパン等のアルカン、エチレン、プロピレン等のアルケン、ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン、アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロアルカン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケンなどが挙げられる。前記ガスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記プラズマCVDによる表面層の形成において、珪素(Si)を供給するガスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラン(SiH)、テトラメチルシラン(TMS:Si(CH)、四塩化珪素(SiCl)などが挙げられる。前記ガスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プラズマCVDによる表面層の形成におけるガスの流量、圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記プラズマCVDにおける周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高周波(13.56MHz)が挙げられる。
前記高周波の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0kW〜5.0kWが好ましく、1.5kW〜4.0kWがより好ましく、1.8kW〜3.0kWが特に好ましい。前記高周波の出力が、1.0kW未満であると、使用頻度につれて膜が剥離することがあり、5.0kWを超えると、成膜中に金型が高温になり膜の硬度が低下することがある。一方、前記高周波の出力が前記特に好ましい範囲内であると、表面層の硬度が優れる点で、好ましい。
<その他の構成>
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中間層が挙げられる。
−中間層−
前記中間層は、前記基材と、表面層との間に形成される。
前記中間層を形成することにより、前記基材の変形を防ぐことができる。
前記中間層の材質、厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記材質としては、例えば、TiN、TaN、ZrN、HfN、AlN、TiC、TaC、ZrC、HfC、TiAlN、TiCN、TaCN、ZrCN、HfCN、SiC、SiN、ダイヤモンドなどが挙げられる。
前記中間層の厚みとしては、例えば、2μmなどが挙げられる。
前記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどが挙げられる。
(光学素子、及びその製造方法)
本発明の光学素子は、本発明の光学素子の製造方法により製造される。
本発明の光学素子の製造方法は、本発明の光学素子成形用型を用いて、光学素子材料を成形する。
−光学素子材料−
前記光学素子材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiOを含有するガラス、Nbを含有するガラス、WOを含有するガラス、Biを含有するガラスなどが挙げられる。前記Ti、W、Nb、及びBiの少なくともいずれかを含有するガラスは、反応性が高いが、本発明の光学素子成形用型を用いることにより、不良の少ない光学素子を製造することができる。
−成形−
前記光学素子材料を成形する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレス成形、射出成形などが挙げられる。
前記プレス成形では、前記光学素子成形用型上で前記光学素子材料の塊状物を加熱してプレスしてもよいし、予め加熱した光学素子材料の塊状物をプレスしてもよい。
前記加熱の温度、プレスの荷重、プレスの時間としては、特に制限はなく、光学素子材料に応じて適宜選択することができる。
−光学素子−
前記光学素子の形状、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光学素子としては、例えば、レンズ、プリズムなどが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例1−5、1−8、2−3、2−11は、参考例1−5、1−8、2−3、2−11である。
(実施例1−1)
<光学素子成形用型1の製造>
光学素子成形用型の基材として、超硬合金(WC−Co)を用いた。
前記光学素子成形用型の上型基材は、平らな表面を有するものを用いた。
前記光学素子成形用型の下型基材は、凹形状の表面を有するものを用いた。
−表面層の形成−
前記上型基材、及び下型基材の表面(プレス面)上に、下記の条件のプラズマCVDにより、厚み10nmのSiを含有するダイヤモンド状炭素の表面層を形成した。前記表面層におけるSiの含有量は、SiとCとの比(Si/C)として、Si/C=0.01となるように、メタン(CH)ガス流量(5sccm〜200sccm)と、テトラメチルシラン(TMS)ガス流量(0.1sccm〜5sccm)とで調整した。
プラズマCVDの条件:
高周波電源・・・13.56MHz
高周波出力・・・2kW
ガス圧力・・・4Pa
メタン(CH)ガス流量・・・5sccm〜200sccmで調整した。
テトラメチルシラン(TMS)ガス流量・・・0.1sccm〜5sccmで調整した。
図1に、プラズマCVDの模式図を示す。図1中、符号1はガスを示し、符号2、及び4は高周波電極を示し、符号3は基材を示し、符号5はマッチングボックスを示し、符号6は高周波電源を示す。
ラマン分光測定により分析した結果、前記表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量をXPS分析により確認したところ、Si/C=0.01であった。
前記表面層の摩擦係数を以下のようにして測定したところ、0.06であった。
−摩擦係数の測定方法−
ボールオンディスク装置を用いてSUS製ボールを、荷重100gf、1mm/secで10mm直線運動させ、摩擦係数を測定した。
前記表面層の表面の表面エネルギーを水とジヨードメタンの接触角から算出したところ、42mJ/mであった。
(実施例1−2)
<光学素子成形用型2の製造>
光学素子成形用型の基材は、実施例1−1と同様の基材を用いた。
−表面層の形成−
前記上型基材、及び下型基材の表面(プレス面)上に、下記の条件のプラズマCVDにより、厚み10nmのSiを含有するダイヤモンド状炭素の表面層を形成した。前記表面層におけるSiの含有量は、SiとCとの比(Si/C)として、Si/C=0.05となるように、メタン(CH)ガス流量(5sccm〜200sccm)と、テトラメチルシラン(TMS)ガス流量(0.1sccm〜5sccm)とで調整した。
プラズマCVDの条件:
高周波電源・・・13.56MHz
高周波出力・・・2kW
ガス圧力・・・4Pa
メタン(CH)ガス流量・・・5sccm〜200sccmで調整した。
テトラメチルシラン(TMS)ガス流量・・・0.1sccm〜5sccmで調整した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.05であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.05であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、43mJ/mであった。
(実施例1−3)
<光学素子成形用型3の製造>
実施例1−1において、プラズマCVDにおける高周波出力を2kWとしていた点を、1.5kWに変更した以外は、実施例1−1と同様にして光学素子成形用型3を製造した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記光学素子成形用型3の表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.01であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.08であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、41mJ/mであった。
(実施例1−4)
<光学素子成形用型4の製造>
実施例1−2において、プラズマCVDにおける高周波出力を2kWとしていた点を、1.5kWに変更した以外は、実施例1−2と同様にして光学素子成形用型4を製造した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記光学素子成形用型4の表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.05であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.07であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、42mJ/mであった。
(実施例1−5)
<光学素子成形用型5の製造>
実施例1−1において、表面層の厚みを10nmとしていた点を、成膜時間を調整して、30nmに変更した以外は、実施例1−1と同様にして光学素子成形用型5を製造した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記光学素子成形用型5の表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.01であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.06であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、42mJ/mであった。
(実施例1−6)
<光学素子成形用型6の製造>
光学素子成形用型の基材は、実施例1−1と同様の基材を用いた。
−表面層の形成−
前記上型基材、及び下型基材の表面(プレス面)上に、下記の条件のプラズマCVDにより、厚み10nmのSiを含有するダイヤモンド状炭素の表面層を形成した。前記表面層におけるSiの含有量は、SiとCとの比(Si/C)として、Si/C=0.03となるように、メタン(CH)ガス流量(5sccm〜200sccm)と、テトラメチルシラン(TMS)ガス流量(0.1sccm〜5sccm)とで調整した。
プラズマCVDの条件:
高周波電源・・・13.56MHz
高周波出力・・・2kW
ガス圧力・・・4Pa
メタン(CH)ガス流量・・・5sccm〜200sccmで調整した。
テトラメチルシラン(TMS)ガス流量・・・0.1sccm〜5sccmで調整した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.03であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.06であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、42mJ/mであった。
(実施例1−7)
<光学素子成形用型7の製造>
実施例1−1において、表面層の厚みを10nmとしていた点を、成膜時間を調整して、2nmに変更した以外は、実施例1−1と同様にして光学素子成形用型7を製造した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記光学素子成形用型7の表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.01であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.06であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、42mJ/mであった。
(実施例1−8)
<光学素子成形用型8の製造>
実施例1−1において、表面層の厚みを10nmとしていた点を、成膜時間を調整して、45nmに変更した以外は、実施例1−1と同様にして光学素子成形用型8を製造した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記光学素子成形用型8の表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により求めたところ、Si/C=0.01であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.06であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、42mJ/mであった。
(比較例1−1)
<光学素子成形用型9の製造>
光学素子成形用型の基材は、実施例1−1と同様の基材を用いた。
−表面層の形成−
前記上型基材、及び下型基材の表面(プレス面)上に、下記の条件のプラズマCVDにより、厚み10nmのSiを含有しないダイヤモンド状炭素の表面層を形成した。
プラズマCVDの条件:
高周波電源・・・13.56MHz
高周波出力・・・2kW
ガス圧力・・・4Pa
メタン(CH)ガス流量・・・5sccm〜200sccmで調整した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.12であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、34mJ/mであった。
(比較例1−2)
<光学素子成形用型10の製造>
光学素子成形用型の基材は、実施例1−1と同様の基材を用いた。
−表面層の形成−
前記上型基材、及び下型基材の表面(プレス面)上に、下記の条件のプラズマCVDにより、厚み10nmのSiを含有するダイヤモンド状炭素の表面層を形成した。前記表面層におけるSiの含有量は、SiとCとの比(Si/C)として、Si/C=0.008となるように、メタン(CH)ガス流量(5sccm〜200sccm)と、テトラメチルシラン(TMS)ガス流量(0.1sccm〜5sccm)とで調整した。
プラズマCVDの条件:
高周波電源・・・13.56MHz
高周波出力・・・2kW
ガス圧力・・・4Pa
メタン(CH)ガス流量・・・5sccm〜200sccmで調整した。
テトラメチルシラン(TMS)ガス流量・・・0.1sccm〜5sccmで調整した。
実施例1−1と同様にして、ラマン分光測定により分析した結果、前記表面層には、ダイヤモンド状炭素が形成されていた。
前記表面層におけるSi、及びCの含有量を実施例1−1と同様にしてXPS分析により確認したところ、Si/C=0.008であった。
前記表面層の摩擦係数を実施例1−1と同様にして測定したところ、0.10であった。
前記表面層の表面エネルギーを実施例1−1と同様にして測定したところ、36mJ/mであった。
図2は、光学素子成形用型1〜10の表面層の摩擦係数を比較したグラフである。図2の結果から、表面層がSiを含有するダイヤモンド状炭素である実施例1−1〜実施例1−8の光学素子成形用型1〜8の表面層の摩擦係数は、表面層がSiを含有しないダイヤモンド状炭素である比較例1−1、及び比較例1−2の光学素子成形用型9、及び10の表面層の摩擦係数よりも低く、Siを含有させることにより摩擦係数を下げることができることがわかった。
また、プラズマCVDにおける高周波出力が2kWである実施例1−1、1−2、及び1−5〜1−8の光学素子成形用型の表面層の摩擦係数は、高周波出力を1.5kWとした実施例1−3、及び実施例1−4の光学素子成形用型の表面層の摩擦係数よりも低いことがわかった。
(実施例2−1)
<光学素子成形用型1を用いた光学素子の製造−1>
光学素子材料として、下記表1の組成のガラス1を用い、光学素子成形用型として光学素子成形用型1を用い、前記光学素子材料を580℃まで加熱し、荷重50kgfでプレス成形を行い、直径4mm、厚み1.5mm、凸形状の光学レンズの作製を100ショット行った。
図3、4は、プレス成形の概略説明図である。図3は、プレス成形前の説明図であり、図4は、プレス成形時の説明図である。図3、4中、符号11は基材(上型)を示し、符号12は表面層を示し、符号13は光学素子材料を示し、符号14は基材(下型)を示す。
図5は、実施例2−1の100ショット成形後の光学素子成形用型1の表面の顕微鏡像である。図5の結果から、SiをSi/C=0.01で含有するダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型1では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型1は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型1は、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−2)
<光学素子成形用型2を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型2に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図6は、実施例2−2の100ショット成形後の光学素子成形用型2の表面の顕微鏡像である。図6の結果から、SiをSi/C=0.05で含有するダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型2では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型2は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型2は、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−3)
<光学素子成形用型5を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、ガラス1を用いていた点を、下記表2の組成のガラス2に代え、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型5に代え、加熱温度を580℃としていた点を、570℃に変えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図7は、実施例2−3の100ショット成形後の光学素子成形用型5の表面の顕微鏡像である。図7の結果から、光学素子材料として反応性が高い材料を用いた場合であっても、光学素子成形用型5では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型5は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型5は、光学素子材料として反応性が高い材料を用い、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−4)
<光学素子成形用型1を用いた光学素子の製造−2>
実施例2−1において、ガラス1を用いていた点を、下記表3の組成のガラス3に代え、加熱温度を580℃としていた点を、560℃に変えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図8は、実施例2−4の100ショット成形後の光学素子成形用型1の表面の顕微鏡像である。図8の結果から、光学素子材料として反応性が低い材料を用いた場合であっても、光学素子成形用型1では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型1は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型1は、光学素子材料として反応性が低い材料を用い、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−5)
<光学素子成形用型3を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型3に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図9は、実施例2−5の100ショット成形後の光学素子成形用型3の表面の顕微鏡像である。図9の結果から、成膜出力を1.5kWとした光学素子成形用型3では、100ショット成形後の型の外周部に僅かな表面荒れが生じるものの、カン(クラック)が発生することはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型3は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
そのため、前記光学素子成形用型3は、100ショットを超えても光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−6)
<光学素子成形用型3を用いた光学素子の製造−2>
実施例2−3において、光学素子成形用型5を用いていた点を、光学素子成形用型3に代えた以外は、実施例2−3と同様にして光学素子の製造を行った。
図10は、実施例2−6の100ショット成形後の光学素子成形用型3の表面の顕微鏡像である。図10の結果から、成膜出力を1.5kWとした光学素子成形用型3では、100ショット成形後の型の外周部に僅かな表面荒れが生じるものの、カン(クラック)が発生することはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型3は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
そのため、前記光学素子成形用型3は、100ショットを超えても光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−7)
<光学素子成形用型3を用いた光学素子の製造−3>
実施例2−4において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型3に代えた以外は、実施例2−4と同様にして光学素子の製造を行った。
図11は、実施例2−7の100ショット成形後の光学素子成形用型3の表面の顕微鏡像である。図11の結果から、成膜出力を1.5kWとした光学素子成形用型3では、100ショット成形後の型の外周部に僅かな表面荒れが生じるものの、カン(クラック)が発生することはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型3は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
そのため、前記光学素子成形用型3は、100ショットを超えても光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−8)
<光学素子成形用型4を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型4に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図12は、実施例2−8の100ショット成形後の光学素子成形用型4の表面の顕微鏡像である。図12の結果から、成膜出力を1.5kWとした光学素子成形用型4では、100ショット成形後の型の外周部に僅かな表面荒れが生じるものの、カン(クラック)が発生することはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型4は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
そのため、前記光学素子成形用型4は、100ショットを超えても光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−9)
<光学素子成形用型6を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型6に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図13は、実施例2−9の100ショット成形後の光学素子成形用型6の表面の顕微鏡像である。図13の結果から、SiをSi/C=0.03で含有するダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型6では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型6は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型6は、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−10)
<光学素子成形用型7を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型7に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図14は、実施例2−10の100ショット成形後の光学素子成形用型7の表面の顕微鏡像である。図14の結果から、SiをSi/C=0.01で含有するダイヤモンド状炭素の表面層の厚みが2nmである光学素子成形用型7では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型7は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型7は、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(実施例2−11)
<光学素子成形用型8を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型8に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図15は、実施例2−11の100ショット成形後の光学素子成形用型7の表面の顕微鏡像である。図15の結果から、SiをSi/C=0.01で含有するダイヤモンド状炭素の表面層の厚みが45nmである光学素子成形用型8では、100ショット成形後でも表面層に、荒れや剥離などのダメージはなく、前記表面層は、膜硬度に優れ、また、光学素子材料との反応性が低く、光学素子成形用型の基材との密着性に優れており、前記光学素子成形用型8は、離型性と耐久性に優れることがわかった。
また、光学レンズの成形において、カン(クラック)が発生することもなかった。
そのため、前記光学素子成形用型8は、100ショットを超えてもダメージはなく、光学素子の製造が可能であることがわかった。
(比較例2−1)
<光学素子成形用型9を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型9に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図16は、比較例2−1の100ショット成形後の光学素子成形用型9の表面の顕微鏡像である。図16の結果から、Siを含有しないダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型9では、表面層に荒れや剥離が発生することがわかった。なお、表面層の荒れや剥離は、60ショット成形後に発生していた。
また、光学レンズの成形において、30ショット成形後にカン(クラック)が発生した。
(比較例2−2)
<光学素子成形用型9を用いた光学素子の製造−2>
実施例2−3において、光学素子成形用型5を用いていた点を、光学素子成形用型9に代えた以外は、実施例2−3と同様にして光学素子の製造を行った。
図17は、比較例2−2の100ショット成形後の光学素子成形用型9の表面の顕微鏡像である。図17の結果から、Siを含有しないダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型9では、表面層に荒れや剥離が発生することがわかった。なお、表面層の荒れや剥離は、40ショット成形後に発生していた。
また、光学レンズの成形において、20ショット成形後にカン(クラック)が発生した。
(比較例2−3)
<光学素子成形用型9を用いた光学素子の製造−3>
実施例2−4において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型9に代えた以外は、実施例2−4と同様にして光学素子の製造を行った。
図18は、比較例2−3の100ショット成形後の光学素子成形用型9の表面の顕微鏡像である。図18の結果から、Siを含有しないダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型9では、表面層に荒れや剥離が発生することがわかった。なお、表面層の荒れや剥離は、80ショット成形後に発生していた。
また、光学レンズの成形において、40ショット成形後にカン(クラック)が発生した。
(比較例2−4)
<光学素子成形用型10を用いた光学素子の製造−1>
実施例2−1において、光学素子成形用型1を用いていた点を、光学素子成形用型10に代えた以外は、実施例2−1と同様にして光学素子の製造を行った。
図19は、比較例2−4の100ショット成形後の光学素子成形用型10の表面の顕微鏡像である。図19の結果から、Siの含有量が、Si/C=0.008であるダイヤモンド状炭素の表面層を有する光学素子成形用型10では、表面層に荒れや剥離が発生することがわかった。なお、表面層の荒れや剥離は、85ショット成形後に発生していた。
また、光学レンズの成形において、50ショット成形後にカン(クラック)が発生した。
前記実施例、及び比較例をまとめて表4に示す。
表4の「剥離(型)」の欄中、「◎」は、「100ショット成形時に型にダメージがなく、100ショットを超えて成形可能である。」を示し、「○」は、「100ショット成形時に型の外周部に僅かな表面荒れが発生したが、100ショットを超えて成形可能である。」を示し、「×」は、「100ショットの成形ができない。」を示し、かっこ内の数字は、表面層の荒れや剥離が発生した時のショット数を示す。なお、「100↑」は、「100ショット成形時に、成形ができないような表面層の荒れや剥離は、発生しなかった。」ことを示す。
また、「カン」の欄中、「○」は、「100ショット成形時にクラックが発生しなかった。」ことを示し、「×」は、「100ショット成形時にクラックが発生した。」ことを示し、かっこ内の数字は、クラックが発生した時のショット数を示す。なお、「100↑」は、「100ショット成形時にクラックが発生しなかった」ことを示す。
表4の結果から、表面層のSi含有量が、SiとCとの比(Si/C)として、Si/C=0.01〜0.05である光学素子成形用型1〜8の表面エネルギーは、表面層がSiを含有しない光学素子成形用型9、及びSi/C=0.008である光学素子成形用型10の表面エネルギーよりも大きく、光学素子成形用型1〜8の表面層の表面は、光学素子成形用型9、及び10の表面層の表面よりも親水性が高いことがわかった。また、成膜出力が2kWで成膜した光学素子成形用型1は、1.5kWとした光学素子成形用型3よりも表面エネルギーが高く、同様に光学素子成形用型2は、光学素子成形用型4よりも表面エネルギーが高いことがわかった。
また、表面層が、Siを含有するダイヤモンド状炭素を含み、前記表面層におけるSiの含有量が、SiとCとの比(Si/C)として、0.01〜0.05であり、前記表面層の厚みが、2nm以上50nm未満である光学素子成形用型1〜8は、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性に優れ、かつ、離型性と耐久性に優れることがわかった。
これは、表面層の厚みを薄くすることにより、基材と表面層との密着性を高めることができ、更に、SiがCの酸化を抑制し、Cが酸化により気化して消失することを防ぐことにより、離型性と耐久性を向上することができるためと考えられる。
本発明の光学素子成形用型は、光学素子材料との反応性が低く、光学素子材料と光学素子成形用型の表面層との摩擦係数を下げることができ、光学素子成形用型の基材と表面層との密着性に優れることにより、離型性と耐久性に優れるので、反応性の高いTiO、Nb、WO、Biなどを含む光学素子材料や、薄いレンズの成形に好適に用いることができる。
1 ガス
2 高周波電極
3 基材
4 高周波電極
5 マッチングボックス
6 高周波電源
11 基材(上型)
12 表面層
13 光学素子材料
14 基材(下型)

Claims (5)

  1. 基材と、表面層とを有し、
    前記表面層が、Siを含有するダイヤモンド状炭素を含み、
    前記表面層におけるSiの含有量が、SiとCとの比(Si/C)として、0.01〜0.05であり、
    前記表面層の厚みが、2nm以上10nm以下であることを特徴とする光学素子成形用型。
  2. 表面層の摩擦係数が、0.01〜0.08である請求項1に記載の光学素子成形用型。
  3. 請求項1から2のいずれかに記載の光学素子成形用型を用いて、光学素子材料を成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 光学素子材料が、Ti、W、Nb、及びBiの少なくともいずれかを含有する請求項3に記載の光学素子の製造方法。
  5. 請求項3から4のいずれかに記載の光学素子の製造方法により製造されることを特徴とする光学素子。
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