JP5581236B2 - 分注チップ及び核酸分析装置 - Google Patents

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本発明は、核酸断片の配列情報を決定するときに用いる、分注チップ及び核酸分析装置に関する。
DNAやRNAの塩基配列を決定する新しい技術が開発されてきている。
現在、通常用いられている電気泳動を利用した方法においては、予め配列決定用のDNA断片又はRNA試料から逆転写反応を行い合成したcDNA断片試料を調製し、周知のサンガー法によるジデオキシ反応を実行した後、電気泳動を行い、分子量分離展開パターンを計測して解析する。
これに対し、近年、基板に試料となるDNA断片を数多く固定して、パラレルに数多くの断片の配列情報を決定する方法が提案されている。
非特許文献1では、DNA断片を担持する媒体として微粒子を用い、微粒子上でPCRを行う。その後、微粒子のサイズに穴径を合わせた数多くの穴を設けたプレートに、PCR増幅されたDNA断片を担持した微粒子を入れてパイロシーケンス方式で読み出している。
また、非特許文献2では、DNA断片を担持する媒体として微粒子を用い、微粒子上でPCRを行う。その後、微粒子をガラス基板上にばら撒いて固定し、ガラス基板上で酵素反応(ライゲーション)を行い、蛍光色素付き基質を取り込ませて蛍光検出を行うことにより各断片の配列情報を得ている。
さらに、非特許文献3では、平滑基板上に、同一配列を有する多数のDNAプローブを固定しておく。また、DNA試料を切断後、DNAプローブ配列と相補鎖のアダプター配列を各DNA試料断片の端に付加させる。これらを基板上でハイブリダイゼーションさせることにより、基板上にランダムに一分子ずつ試料DNA断片を固定化させている。この場合、基板上でDNA伸長反応を行い、蛍光色素付き基質を取り込ませた後、未反応基質の洗浄,蛍光検出を行い、試料DNAの配列情報を得ている。
以上のように、平滑基板上に、核酸断片試料を数多く固定することにより、パラレルに数多くの断片の配列情報を決定する方法が開発され、実用化されつつある。
これらのシステムに用いられる核酸分析反応セルとしては、試料DNAまたは試料DNAを担持させた微粒子を固着させる検出領域は、より広い方が望ましい。また、シーケンス反応に必要な試料DNA量と反応試薬量を低減するために、フローセル内の容量は、より少ない方が望ましい。さらに、検出領域外のデッドボリュームを低減するためには、試薬の流入口を狭める必要がある。
また、核酸分析反応セルは温度を伝えるため、また検出のためには薄い方が望ましい。
これらの方法に伴う化学的反応は、一般的に異なる試薬を用いた数多くのステップから成り立っており、ステップ毎に異なる試薬を含む溶液を供給する必要がある。前ステップで用いた試薬は、次ステップでの反応阻害要因や誤検出の原因となることも多く、ステップ間に洗浄工程を行い、前ステップで用いた試薬を完全に除去する必要がある。
また、使用される試薬を含む溶液は、高価な試薬であったり、貴重なDNAサンプルを含む溶液であったりする事が多く、大量に使用することで反応ステップ毎に置換を行うことは望ましくない。すると一般的には液体を液体で置換するよりも気体を液体で置換する方が置換効率が良いため、これらの溶液でフローセル内を満たす際には、吸引するか、気体で押し流すかの工程を経て、前ステップで用いた試薬や洗浄液を完全に除去する必要がある。
さらに、想定した化学反応を正しく行うためには、反応ステップに使われる試薬やサンプルの溶液は気泡を含むことなくすべての検出領域に供給される必要がある。
これらを実現するためには、試薬やサンプルを含む溶液を漏れなくフローセルに供給でき、かつ気泡を含まず、さらには気体を押し流したり液体を吸引したりすることのできる機能を持った、試薬の供給,除去システムが必要となる。
但し、サンプルを含む溶液は使用者の意図によって毎回異なるサンプルであることも多いため、これらの作業は必ずしも自動化される事が効率的であるとは限らない。よって、実現されるべきシステムは自動化にも手作業にも対応したものが望ましく、手作業による微量溶液の注入が定量ピペットを使ったものが一般的であることを踏まえると、実現されるべきシステムもまた定量ピペットの使用を想定したものであることが望ましい。
ここで、特許文献1は、正確な量の液体の分配を可能とするピペットチップの構造を開示している。
特表2010−510488号公報
Nature 2005, Vol. 437, pp. 376-380 Science 2005, Vol. 309, pp. 1728-1732 Science 2008, Vol. 320, pp. 106-109 P.N.A.S. 2006, Vol. 103, pp. 19635-19640
一般的なピペットチップは、反応チューブのような底の深い容器から液体を吸引,注入することを目的としており、スライドガラスのような平面形状に正確な分量を滴下したり、これを全て吸引したりする作業には適応していない。
特許文献1はピペットチップより滴下される極めて微小な液体の量を正確に分配し得る構造であり、この構造を使用した場合には、試薬や溶液を正確な分量だけ平面形状に供給することはできる。
しかしながら、フローセルのような流路抵抗の高い狭流路構造に液体を漏れなく注入し、これを吸引することを実現しない。
例えば、チップの先端がフローセルの穴より小さければ穴から液が溢れる事を止められず、また気体を押し流したり液体を吸引したりすることはできない。
また、チップの先端がフローセルの穴よりも大きければ、チップの底面によってフローセルの穴を封止することはできるものの、穴を正確に封止するようチップの底面を押し当てる作業は極めて困難であり、またその構造の特徴であるピペットチップ底面の溝が充分に効果を発揮しない。結果として、その正確な分配能力は失われ、性能は一般的なピペットチップと何ら変わらない。
本発明は、上記問題点を解決するものであり、フローチップのように高い流路抵抗を持つ狭流路構造に対し、液体を漏れなく気泡なく注入し、またそれを漏らすことなく吸引し得る、手動または自動の定量ピペット類の使用を想定した、流入用チップまたは流入用チップアタッチメントを提供することを目的とする。
本発明の分注チップは、内部に液体または気体を収容する空間を有し、先端から該液体または気体を、流入または流出する分注チップにおいて、液体または気体が流入または吸引される流路の穴の周囲をシールする平面部を備えている。
流路の穴の周囲をシールする平面部を備えることで、分注チップから注入された液体または気体は漏れることなく流路に注入される。また、定量ピペットが吸引を行った際には、流路の液体または気体は定量ピペットによって吸引される。これらの効果を簡便な構造によって提供することができる。
本発明の構成の一例を説明するための図である。 図1とは異なる本発明の構成の一例を説明するための図である。 図1,図2とは異なる本発明の構成の一例を説明するための図である。 図1,図2,図3とは異なる本発明の構成の一例を説明するための図である。 図4の構成を説明する分解斜視図である。 図4の一部の構成を説明する分解斜視図である。
〔第1の実施形態〕
本発明の実施例について、図1を使って説明する。図1の構成例では、本発明の定量ピペット用チップ(分注チップ101)は、内部に流路102を有し先端が平面の封止部103と、上記流路102と連続した穴(流出入口)106を有する先端部105が一体形成されている。封止部103は、図1に示すように、断面が円形で先端部105に近づくにつれて円の径が小さくなっている。また、分注チップ101側に外側に広がったつば部を有している。先端部105は、封止部103から突き出るように配置されている。
先端部105は図4に示すフローセル204の注入口201に吻合し、液体または気体はこの流出入口106を通ってフローセル204の流路202へと流入、または流路より吸引される(図5参照)。
繰り返しになるが、封止部103は流出入口106に近い側が平面となっている。先端部105がフローセル204の注入口201に吻合した際、この平面部分がフローセル204の注入口201の周囲をシールすることで、液体または気体が漏れることなくフローセル204の流路202内に流入、またはフローセル204の流路202より吸引される。
〔第2の実施形態〕
図2は、図1とは異なる本発明の構成の一例を説明するための図である。図2の構成例では、本発明は定量ピペット用のチップ110に吻合して使用するチップアタッチメント111の形態をとっている。
チップアタッチメント111は貫通穴107を備えており、この貫通穴107を分注チップ101が先端部105側から通る構成である。
このチップアタッチメント111は、図1に示す封止部103と同じく、先端が平面であり、断面が円形で先端部105に近づくにつれて円の径が小さくなっている。また、先端部105とは反対側に外側に広がったつば部を有している。
また、図2に示すように、チップアタッチメント111をチップ110に装着した状態で、チップ110の先端部105がチップアタッチメント111から突き出ている。
このような構成を採用することにより、先端部105がフローセル204の注入口201に吻合した際、この平面部分がフローセル204の注入口201の周囲をシールすることで、液体または気体が漏れることなくフローセル204の流路202内に流入、またはフローセル204の流路202より吸引される。
〔第3の実施形態〕
図3は、図1,図2とは異なる本発明の構成の一例を説明するための図である。図3の構成例では図2と同様に本発明はチップアタッチメントの形態をとっているが、図1のように一体成型をしても良い。但し、図2との違いは、先端部105がチップアタッチメント111から突き出ていない。
よって、フローセル204の注入口201に吻合することができないが、チップアタッチメント111の穴である流出入口106をフローセル204の注入口201に合わせることで流路が確保され、チップアタッチメント111の平面部分がシールすることで液体または気体が漏れることなくフローセル流路内に流入、またはフローセル流路内より吸引される。図1,図2の構成例に比べ、フローセル204の注入口201にチップの先端部105が入り込まないため、フローセル204の注入口201付近に損傷を与え難い。
ここで、図2,図3に類する構成例では、チップアタッチメント111を形成する素材は、軟性のエラストマーが適している。具体的には、耐油性,耐磨耗性,耐老化性に優れたニトリルゴム(NBR)、NBRの耐熱性・耐候性を向上させた水素化ニトリルゴム(HNBR)、高い耐熱性と耐薬品性をもつフッ素ゴム(FKM)、高い耐熱性と耐寒性をもつシリコーンゴム(VMQ)、耐老化性,耐オゾン性,耐候性,耐薬品性,耐磨耗性に優れたエチレンプロピレンゴム(EPDM)、耐候性,耐オゾン性,耐熱性,耐薬品性などに優れたクロロプレンゴム(CR)、高温における耐油性に優れたアクリルゴム(ACM)、耐候性,耐オゾン性,対ガス透過性がよく極性溶剤に耐えるブチルゴム(IIR)、力学的強度に優れたウレタンゴム(U)、耐老化性,耐オゾン性,耐薬品性,耐磨耗性に優れたクロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、高温における耐油性がよく、耐ガス透過性,耐老化性がよいエピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、耐磨耗性など機械的強度が大きく弾性の高い天然ゴム(NR)などが挙げられる。
分注チップ101および先端部105は耐熱,耐薬品性などに優れたフッ素樹脂(PTFE)や、機械的強度の観点からアルミなどの金属類、また耐薬品性に優れたガラスなどの部材が挙げられる。
図1に類する構成例では、全てが一体であるため、上記の図2,図3でチップアタッチメント111の構成素材として挙げた軟性のエラストマーで全てを形成することが望ましい。
〔第4の実施形態〕
図4は図1,図2,図3とは異なる本発明の構成の一例を説明するための図である。
第1〜3の実施形態では、チップ側に特徴を持たせて、液体の漏れ,気泡の注入を防止した。本実施の形態では、これに限らず、通常のチップ(例えば、図2(a)(b)でアタッチメント111が装着されていないチップ)でもフローセル側に特徴を持たせて、同じような効果を奏するものである。
図4の構成例は、フローセルへの液体または気体の流入、またはフローセルからの吸引は注入口201,排出口205を通して行われるフローセル204を挟み込む形の核酸分析装置一例である。
図5は図4の構成を説明する分解斜視図である。図4の構成は、図5に記載したようにベース401にフローセル204が乗せられ、さらにカバー206が被せられ、止めネジ207を用いて固定されている。フローセル204を特定の位置にズレなく配置したい場合は、位置決め突起402などの手段を用いて位置決めを行う。
図6は図5におけるカバー206の構成を詳細に説明した分解斜視図である。カバー206はカバー上板208とカバー下板209の間にパッキン(封止部材)210を組み込み、それぞれには図4で注入口201,排出口205となる穴形状が存在する。カバー上板208とカバー下板209はカバー止めネジ211によって固定される。
フローセル204の流路に液体または気体が流れるには、フローセル204の穴の周囲にパッキン210が押し当てられ、パッキン210の平面部により周囲がシールされる。これによりパッキン210の穴とフローセル204の穴が連結され、図4における注入口201または排出口205より定量ピペットのチップを通して液体または気体が流入または吸引される。このような構造を採用することにより、通常のチップを用いた場合でも、液体の漏れ,気泡の注入を防止することができる。
注入口201または排出口205にテーパーをつけると、様々な種類のピペットチップを吻合することができる。
図4,図5,図6の構成において、パッキン210は上記に挙げた軟性エラストマーが望ましい。ベース203,カバー上板208,カバー下板209はPTFE,アクリルなどの樹脂,アルミなどの金属,ガラスなどが部材として使用できる。
図1,図2,図3,図4は注入,吸引の動力として使う手動操作を前提に定量ピペットとピペットチップを使用するよう構成例を記載したが、自動化の際にはピペットチップを使用することのできるあらゆる注入または吸引装置が使用できる。
また、図2,図3の構成例においては、アタッチメントを吻合することができれば、ピペットチップに限らずノズルなどを使用することもできる。
また、図4の構成例においては、注入口201または排出口205に吻合できればピペットチップに限らずノズルなどを使用することもできる。
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
101 分注チップ
102 流路
103 封止部
105 先端部
106 流出入口
107 貫通穴
111 チップアタッチメント
201 注入口
202 流路
204 フローセル
205 排出口
206 カバー
207 止めネジ
208 カバー上板
209 カバー下板
210 パッキン
211 カバー止めネジ
401 ベース
402 位置決め突起

Claims (1)

  1. 内部に液体または気体を収容する空間を有し、先端から該液体または気体を、流入または流出する分注チップにおいて、
    分注チップ本体部と、内部に流路を有し、先端が平面の封止部と、上記流路と連続した穴を有する先端部と、が一体形成されており、
    上記先端部は、上記封止部から突き出るように配置されており、
    上記封止部は、断面が円形で上記先端部に近づくにつれて円の径が小さくなっており、
    上記封止部は、軟性エラストマーで成形されていることを特徴とする、分注チップ。
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