JP5584488B2 - 走査型回折格子分光器 - Google Patents
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Description
回折格子分光器では、入射光に対する回折格子1の姿勢(光軸に対する角度)を漸次変化させ、出射スリット52から各波長の光を漸次出射させる。そして、出射スリット52からの光を光電変換素子より成る受光器3で受光し、被測定光の分光強度を得る。このように回折格子の角度を漸次変化させることは、「波長掃引」と呼ばれることもあるが、本明細書では、以下、「走査」と呼び、この種の分光器を走査型回折格子分光器と呼ぶ。
このような試料の成分量測定においては、回折格子の配置角度に応じて本来入射すべきである波長の光以外の波長の光が受光器に入射すると、その分はノイズであり測定精度の低下に直結する。上述した高次回折光も、このノイズの典型的なものである。特に、試料中の成分量を測定する分光測定の場合、僅かなノイズの混入によって測定値の信頼性が大きく損なわれる場合が多く、極力ノイズを除去することが求められる。
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、高次回折光を取り除いた分光測定を行うに際し、手間がかからず、走査高速化に対応でき、データの不連続性も生じないようにするという意義を有するものである。
被測定光の光路上にはカットフィルターが配置されており、
カットフィルターは、測定結果を得ようとする波長の光よりも短い所定の遮断波長以下の波長の光を遮断するものであり、
このカットフィルターは干渉フィルターであって、被測定光の入射方向に対するカットフィルターの配置角度を変化させるフィルター駆動機構が設けられており、
走査機構は、回折格子を回転させることで回折格子の配置角度を変化させるものであり、
フィルター駆動機構は、カットフィルターを回折格子の回転軸とは異なる回転軸の回りに異なる回転をさせ且つ走査機構に連動して回転させることでカットフィルターの配置角度を連続的に変化させるものであり、走査機構が回折格子の配置角度を特定波長の光が受光器に入射する角度にした際、カットフィルターの配置角度を、その特定波長より短い波長が遮断波長となる角度にするものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記フィルター駆動機構は、前記カットフィルターの回転軸と走査機構が備える前記回折格子の回転軸とを連結して連動させる機構であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前記フィルター駆動機構は、前記カットフィルターの回転軸と走査機構が備える前記回折格子の回転軸とをギヤにより連結して連動させる機構であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかの構成において、前記カットフィルターは、回折格子の出射側の光路上に配置されているという構成を有する。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、回折格子の回転軸にカットフィルターの回転軸を機構的に連結させてカットフィルターを連動回転させることでカットフィルターの配置角度を変更させるので、測定条件がさらに一様になり、また回折格子を途中で停止させる必要もない。このため、測定データの信頼性がさらに高くなり、高速走査による測定時間短縮化により十分に対応が可能なものとなる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、カットフィルターの遮断性能によって高次回折光を十分に除去できなくなる問題が無いという効果が得られる。
図1は、実施形態に係る走査型回折格子分光器の概略図である。図1に示す分光器は、回折格子1と、被測定光の入射方向に対する回折格子1の配置角度を変化させることで被測定光を分光する走査機構2と、回折格子1で分光された測定波長の光を受光する受光器3とを備えている。
装置の各部は、筐体4内に納められている。筐体4内には、被測定光が入射する入射スリット51と、回折格子1で分光された光が出射する出射スリット52と、入射スリット51からの光を回折格子1に投影する第一の光学系61と、回折格子1からの光を出射スリット52に結像させる第二の光学系62等が設けられている。第一第二の光学系61,62としては、チェルニー・ターナー型、エバート型、ファスティー・エバート型等、任意のものを採用し得る。特開2000−55733号公報所載の光学系を採用すると、収差が小さく分解能が高くなるので好適である。
分光器は、受光器3からの信号を処理して測定結果を得る信号処理部31を備えている。信号処理部31は、検出素子3からの出力信号(検出信号)を処理する信号処理部31を備えている。信号処理部31は、受光器3からの信号を増幅し、所定の基準値と比較して光の強度(分光強度)を求めるものであり、基準値の設定や校正を行う回路を含んでいる。検出信号から被測定光による信号強度を求める演算処理等を行うようになっている。
また、図1に示す分光器は、試料Sの反射率を測定するものとなっている。筐体4には、試料Sを収容するための試料室41が設けられている。カットフィルター7の出射側には、試料Sに光を照射し、試料Sからの反射光を受光器3に入射させるための試料用光学系63が設けられている。
そして、試料3を経ない光を参照光として別の不図示の受光器(参照用受光器)に入射させるための光学系(不図示)が設けられている。信号処理部31は、受光器3の出力と参照用受光器の出力とを比較することで試料Sの表面における分光反射率を測定するようになっている。
干渉フィルターは、フィルター内部における光の干渉を利用して光を選択的に遮断したり透過したりするものである。干渉フィルターは、多くの場合、光学膜を積層した多層膜構造を有し、膜の界面で反射した光の干渉を利用する。
干渉フィルターは、求められるフィルターの特性に応じて各種のものが製作されて販売されている。本願の発明者は、分光器のカットフィルター用に干渉フィルターが使用でき、且つ干渉フィルターは入射光に対する配置角度が変化すると分光特性が変化する場合が多いことに着目した。この点について、図2を使用して説明する。図2は、カットフィルター7として用いた干渉フィルターの分光特性について示した概略図である。
この実験では、干渉フィルターとして日本真空光学(株)製のものを用いた。この干渉フィルターは、カタログ値では、1280nmが遮断波長とされている。実験結果を見ても、角度0度では、1310nmあたりから急激に透過率が低下し、1280nm付近で透過率ゼロとなっている。尚、この程度の波長域に遮断波長が設定されている干渉フィルターを用いたのは、近赤外域の分光測定を行うことを念頭に置いたためである。
この実験結果に示されたように、カットフィルター7として用いることができる干渉フィルターの配置角度を変えることにより、遮断波長を変化させることができる。本実施形態では、このような知見に基づき、干渉フィルターをカットフィルター7として用いるとともにカットフィルター7に駆動機構(以下、フィルター駆動機構)71を設けている。
フィルター駆動機構71がどのようにカットフィルター7の配置角度を変化させれば良いかについて、以下に説明する。
A)λ/2以下を遮断すること。
B)λは遮断しないこと。
フィルター駆動機構71については、幾つかの異なる構成が考えられる。例えば、従来のフィルターの切り替えの代替的な手段として考えると、測定波長域を幾つかの群に分け、それぞれの群についてカットフィルター7の配置角度を設定するやり方が考えられる。前述した例で言うと、400nm〜800nmを測定する場合には、遮断波長が400nmよりも少し短い波長(例えば300nm)が遮断波長になるようにし、800nm〜1200nmを測定する場合には遮断波長が800nmよりも少し短い波長(例えば700nm)になるようにする。カットフィルター7の遮断波長が二段階に切り替わるということは、カットフィルター7の配置角度が二段階に切り替わるようフィルター駆動機構71を構成することになる。
本実施形態では、このような点を考慮し、回折格子1の走査と機構的に連結することでカットフィルター7を連動させて回転させ、これによってカットフィルター7の配置角度を連続的に変更する構成を採用している。より具体的に説明すると、図1に模式的に示すように、走査機構1では、回折格子1の回転軸(不図示)に第一のギヤ22が設けられている。回折格子1の回転軸は、光軸に対して垂直な方向に延びており、図1では紙面に垂直な方向である。一方、フィルター駆動機構71では、カットフィルター7の回転軸(不図示)に第二のギヤ721が設けられており、第一のギヤ22と噛み合っている。カットフィルター7の回転軸も光軸に垂直な方向で図1では紙面に垂直な方向である。したがって、回折格子1の回転軸とカットフィルター7の回転軸は互いに平行である。尚、上記説明及び図1から解るように、カットフィルター7の回転軸は、回折格子1の回転軸とは異なるものである。
1200nm〜2500nmの近赤外域の分光測定を行う場合、最も短波長である1200nmの測定の際には回折格子1は例えば15度程度の配置角度とされ、最も長波長である2500nmの測定の測定の際には例えば45度程度とされる。図3では、この場合の設定例が示されている。尚、図3に示す例は、図2に示す特性のカットフィルター7を使用することを想定している。
この他、分光器は、各部を制御する制御部(図1中不図示)、測定結果を表示する表示部、測定条件等を入力する入力部等(いずれも不図示)が設けられている。表示部や入力部は、筐体4に取り付けられている。
入力部において測定波長範囲等の測定条件が入力され、入射スリット51に被測定光が入射する状態とされて測定が開始されると、制御部は、入力された測定波長範囲において走査を行うよう走査機構2に制御信号を送る。走査機構2は、測定波長範囲の下限値から上限値まで(又は上限値から下限値まで)所定の速度で回折格子1を回転させて回折格子1の配置角度を漸次変更する。回折格子1で分光された光は、出射スリット52を経て受光器3に入射し、受光器3の出力が信号処理部31に送られる。受光器3に入射する光の波長は、回折格子1の回転に従って順次変化する。信号処理部31は、受光器3及び参照用受光器(不図示)からの出力を回折格子1の回転に同期したサンプリング周期でサンプリングし、両者を比較して各波長の分光反射率とする。サンプリング周期は、回折格子1の分解能に依存する。得られた分光反射率は、表示部において表示され、必要に応じて接続されたプリンタ(不図示)によって印刷される。
上記測定の際、前述したように、回折格子1の回転に連動してカットフィルター7が回転し、回折格子1の配置角度に応じて予め設定された配置角度になるよう配置角度が変化する。このため、カットフィルター7における遮断波長が漸次変化し、走査中の各測定波長において高次回折光が遮断される。
その上、一枚のカットフィルター7の配置角度を連続的に変えることで遮断波長を変更させるので、測定データの不連続化の恐れもない。従来のように複数種のカットフィルター7を切り替えて使用した場合、測定データの不連続化が生じる恐れがある。例えば、遮断波長より十分に長い波長域であっても、カットフィルター7は100%の透過率という訳ではない。この場合、カットフィルター7が異なると、100%に近い透過率ではあっても微妙に異なる場合があり、この場合、この違いが測定結果に含まれてしまうことになる。上記実施形態の分光器では、このような問題はない。
また、本実施形態の分光器では、カットフィルター7を一枚だけ備えれば良いので、その分だけ従来に比べてコストを安くできる。従来におけるカットフィルター7の切り替え機構のコストと実施形態におけるフィルター駆動機構71のコストがそれほど変わらない場合、全体のコストはカットフィルター7の分だけ節約できることになる。
図4に示す分光器は、フィルター駆動機構71とその制御のための構成が異なるのみであり、他の部分は図1に示す実施形態とほぼ同様である。図4に示す分光器は、カットフィルター7の配置角度の変更を、機構的な連結によって回折格子1の回転(走査)と連動させることで行うのではなく、電気的な連動によって行っている。
制御部8による走査機構1の制御は、図1に示す実施形態と同様であり、入力された測定波長範囲において分光が行われるよう回折格子1を回転させる制御である。一方、フィルター駆動機構71については、入力された測定波長範囲に応じて制御シーケンスが予め決定され、それに基づいてフィルター駆動機構71が制御されるようになっている。
尚、制御部8における角度決定手段は、純粋に回路的に(ハードウェアとして)構成することも可能である。例えばOPアンプ回路を使用し、入力された測定波長範囲の各境界値に応じて配置角度に相当する電圧を出力するよう回路を構成すれば良い。
また、この実施形態では、カットフィルター7の連動を電気的に(ソフトウェア的に又はハードウェア的に)行うので、制御条件の変更に柔軟に対応が可能である。図1に示す実施形態の場合、機械的な連結により連動させるので、例えばカットフィルター7を別の特性のものに変更した場合や回折格子1を別の特性のものに変更したような場合には、ギヤを別のものに変更する等、面倒な作業が必要になる可能性もある。一方、この図4の実施形態では、制御部8における設定値を変更するだけで良いので、制御条件の変更に対して柔軟に且つ容易に対応できる。
尚、この実施形態において、フィルター駆動機構71は、カットフィルター7の回転を位置精度良く開始し、また位置精度良く終了させるとともに、回転速度を走査速度に応じて制御することから、パルスモータやサーボモータ等の高性能モータにより回転を行う構成とすることが望ましい。また、カットフィルター7の回転開始時の角度や終了時の角度をモニタするため、ロータリエンコーダのような回転角度モニタが必要に応じて設けられる。
カットフィルター7は一枚のみで足りると説明したが、二枚以上のカットフィルター7を切り替えて使用する場合もある。これは、測定波長範囲が広いなどの場合に一枚のカットフィルター7では対応しきれない場合があるからである。このような場合であっても、従来に比べると使用するカットフィルター7の枚数は少なくなり、切り替えの回数は少なくなるので、大きな効果がある。
2 走査機構
21 回転角度モニタ
3 分光器
31 信号処理部
4 筐体
51 入射スリット
52 出射スリット
61 第一の光学系
62 第二の光学系
7 カットフィルター
71 フィルター駆動機構
Claims (4)
- 回折格子と、被測定光の入射方向に対する回折格子の配置角度を変化させることで被測定光を分光する走査機構と、回折格子で分光された測定波長の光を受光する受光器とを備えた走査型回折格子分光器であって、
被測定光の光路上にはカットフィルターが配置されており、
カットフィルターは、測定結果を得ようとする波長の光よりも短い所定の遮断波長以下の波長の光を遮断するものであり、
このカットフィルターは干渉フィルターであって、被測定光の入射方向に対するカットフィルターの配置角度を変化させるフィルター駆動機構が設けられており、
走査機構は、回折格子を回転させることで回折格子の配置角度を変化させるものであり、
フィルター駆動機構は、カットフィルターを回折格子の回転軸とは異なる回転軸の回りに異なる回転をさせ且つ走査機構に連動して回転させることでカットフィルターの配置角度を連続的に変化させるものであり、走査機構が回折格子の配置角度を特定波長の光が受光器に入射する角度にした際、カットフィルターの配置角度を、その特定波長より短い波長が遮断波長となる角度にするものであることを特徴とする走査型回折格子分光器。 - 前記フィルター駆動機構は、前記カットフィルターの回転軸と走査機構が備える前記回折格子の回転軸とを連結して連動させる機構であることを特徴とする請求項1記載の走査型回折格子分光器。
- 前記フィルター駆動機構は、前記カットフィルターの回転軸と走査機構が備える前記回折格子の回転軸とをギヤにより連結して連動させる機構であることを特徴とする請求項2記載の走査型回折格子分光器。
- 前記カットフィルターは、回折格子の出射側の光路上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の走査型回折格子分光器。
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