本発明の光学積層体は、図1に断面模式図で示すように、液晶セル基板1と、液晶セル基板の表面に接触して積層された、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤層2と、接着剤層2の表面に接触して積層され、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する膜厚が100μm以下である偏光板5とを備える。このように液晶セル基板1/接着剤層2/偏光板5が積層された状態で、光学積層体10となる。以下、本発明の光学積層体およびその製造方法について詳細に説明する。
〈液晶セル基板〉
液晶セル基板1は、もう1枚の基板(図示せず)との間に液晶を挟持し、液晶セルを構成するものであり、この液晶セルは、液晶表示装置の中核的部材を構成することになる。液晶セル基板1は、ガラスや透明プラスチックシートで構成することができる。ガラスは、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなど、一般に知られている各種のガラス板であることができるが、液晶セルには特に無アルカリガラスが好ましく用いられる。また、透明プラスチックシートも、透明で液晶セル基板となり得るものであれば、各種公知のものを用いることができ、具体例として、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂など、透明な樹脂からなるフレキシブル基板を挙げることができる。
〈接着剤層〉
本発明では、上記の液晶セル基板1と、偏光フィルムを含む偏光板5とを、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤層2を介して貼合し、好ましくは、この貼合物に活性エネルギー線を照射して接着剤層2を硬化させ、光学積層体10とする。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物にエポキシ系化合物を含有させることにより、偏光板5と液晶セル基板1との間の良好な接着性を与えるとともに、透明性、機械的強度、熱安定性などに優れる耐久性能の高い接着剤層を得ることができる。本発明において、「分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物」とは、分子内に1個以上のエポキシ基を有し、活性エネルギー線(たとえば、紫外線、可視光、電子線、X線等)の照射により硬化し得る化合物を意味する。また、エポキシ系化合物と、後述するオキセタン系化合物および(メタ)アクリル系化合物を含め、活性エネルギー線の照射により硬化し得る化合物を総称して、活性エネルギー線硬化性化合物と呼ぶことがある。
上記エポキシ系化合物としては、耐候性や屈折率、カチオン重合性などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ系化合物を主成分として用いることが好ましい。分子内に芳香環を含まないエポキシ系化合物として、脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテル、脂肪族エポキシ系化合物、脂環式エポキシ系化合物などが例示できる。
脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルについて説明すると、脂環式環を有するポリオールは、芳香族ポリオールを触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行なうことにより得られるものであることができる。芳香族ポリオールしては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェールF、ビスフェノールSのようなビスフェノール型化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂のようなノボラック型樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ポリビニルフェノールのような多官能型の化合物などが挙げられる。これら芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行なって得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテルとすることができる。このような脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルの中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂肪族エポキシ系化合物としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。より具体的には、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;プロピレングリコールのジグリシジルエーテル;エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、脂環式エポキシ系化合物とは、脂環式環に結合したエポキシ基を少なくとも1個有するエポキシ系化合物を意味する。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、下記式における「−O−」を意味し、式中、mは2〜5の整数である。
したがって、上記式における(CH2)m中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ系化合物となり得る。(CH2)m中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基などの直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。
以上のようなエポキシ系化合物のなかでも、脂環式エポキシ系化合物、すなわち、エポキシ基の少なくとも1個が脂環式環に結合している化合物が好ましく、とりわけ、オキサビシクロヘキサン環(上記式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(上記式においてm=4のもの)を有するエポキシ系化合物は、硬化物の弾性率が高く、偏光板と液晶セル基板との間の良好な接着性を与えることからより好ましく用いられる。以下に、本発明において好ましく用いられる脂環式エポキシ系化合物の構造を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
(a)下記式(I)で示されるエポキシシクロヘキシルメチル エポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(b)下記式(II)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
(式中、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、nは2〜20の整数を表す。)
(c)下記式(III)で示されるジカルボン酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル類:
(式中、R5およびR6は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、pは2〜20の整数を表す。)
(d)下記式(IV)で示されるポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
(式中、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、qは2〜10の整数を表す。)
(e)下記式(V)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
(式中、R9およびR10は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、rは2〜20の整数を表す。)
(f)下記式(VI)で示されるジエポキシトリスピロ化合物:
(式中、R11及びR12は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(g)下記式(VII)で示されるジエポキシモノスピロ化合物:
(式中、R13およびR14は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(h)下記式(VIII)で示されるビニルシクロヘキセンジエポキシド類:
(式中、R15は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(i)下記式(IX)で示されるエポキシシクロペンチルエーテル類:
(式中、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
(j)下記式(X)で示されるジエポキシトリシクロデカン類:
(式中、R18は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
上記例示した脂環式エポキシ系化合物のなかでも、次の脂環式エポキシ系化合物は、市販されているか、またはその類似物であって、入手が比較的容易であるなどの理由から、好ましく用いられる。
(A)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔上記式(I)において、R1=R2=Hの化合物〕、
(B)4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔上記式(I)において、R1=4−CH3、R2=4−CH3の化合物〕、
(C)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と1,2−エタンジオールとのエステル化物〔上記式(II)において、R3=R4=H、n=2の化合物〕、
(D)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔上記式(III)において、R5=R6=H、p=4の化合物〕、
(E)(4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔上記式(III)において、R5=4−CH3、R6=4−CH3、p=4の化合物〕、
(F)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールと1,2−エタンジオールとのエーテル化物〔上記式(V)において、R9=R10=H、r=2の化合物〕。
本発明において、エポキシ系化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記エポキシ系化合物に加え、オキセタン系化合物を含有してもよい。オキセタン系化合物を添加することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を低くし、硬化速度を速めることができる。
オキセタン系化合物は、分子内に少なくとも1個のオキセタン環(4員環エーテル)を有する化合物であり、たとえば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。これらのオキセタン系化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、いずれも商品名で、「アロンオキセタン OXT−101」、「アロンオキセタン OXT−121」、「アロンオキセタン OXT−211」、「アロンオキセタン OXT−221」、「アロンオキセタン OXT−212」(いずれも東亞合成(株)製)などを挙げることができる。オキセタン系化合物の配合量は特に限定されないが、通常、活性エネルギー線硬化性化合物全体を基準に、50重量%以下、好ましくは10〜40重量%である。
接着剤層の形成に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、エポキシ系化合物やオキセタン系化合物などのカチオン重合性化合物を含む場合、その硬化性樹脂組成物には通常、光カチオン重合開始剤が配合される。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での接着剤層の形成が可能となるため、偏光フィルムの耐熱性や膨張による歪を考慮する必要が減少し、密着性良く偏光板と液晶セル基板を貼合できる。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、これを硬化性樹脂組成物に混合しても、硬化性樹脂組成物は保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ系化合物および/またはオキセタン系化合物の重合反応を開始させるものである。本発明においては、いずれのタイプの光カチオン重合開始剤を用いてもよく、具体例を挙げれば、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体などがある。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレートなどが挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
また、鉄−アレン錯体としては、たとえば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイドなどが挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」、「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」、「アデカオプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製)、「UVACURE 1590」(ダイセル・サイテック(株)製)などを挙げることができる。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度ならびに、液晶セル基板および偏光板に対する良好な密着性を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ系化合物やオキセタン系化合物などのカチオン重合性化合物の合計量100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。光カチオン重合開始剤の配合量が、カチオン重合性化合物の合計量100重量部に対して0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、機械的強度や偏光板と液晶セル基板の接着性が低下する傾向にある。一方、光カチオン重合開始剤の配合量が、カチオン重合性化合物の合計量100重量部に対して20重量部を超えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、得られる光学積層体の耐久性能が低下する可能性がある。
また、接着剤層の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記エポキシ系化合物とともに、あるいはエポキシ系化合物およびオキセタン系化合物とともに、ラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有してもよい。(メタ)アクリル系化合物を併用することにより、接着剤層の硬度や機械的強度を高める効果が期待でき、さらには、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度や硬化速度などの調整をより容易に行なうことができるようになる。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマーや、官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーなどの(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合、(メタ)アクリレートモノマーが2種以上であってもよいし、(メタ)アクリレートオリゴマーが2種以上であってもよいし、もちろん、(メタ)アクリレートモノマーの1種以上と(メタ)アクリレートオリゴマーの1種以上とを併用してもよい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
上記の(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー、および分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、単官能(メタ)アクリレートモノマーとして、カルボキシル基含有の(メタ)アクリレートモノマーが用いられてもよい。カルボキシル基含有の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ−N’,N’−ジカルボキシメチル−p−フェニレンジアミン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸などが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ハロゲン置換アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート類、水添ジシクロペンタジエンまたはトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類、ジオキサングリコールまたはジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAまたはビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート類などが代表的であるが、これらに限定されるものではなく、種々のものが使用できる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーのより具体的な例を挙げれば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔別名:ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート〕、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどがある。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが代表的なものであり、その他に、3官能以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
一方、(メタ)アクリレートオリゴマーには、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーなどがある。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内にウレタン結合(−NHCOO−)および少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基および少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物や、ポリオール類をポリイソシアネートと反応させて得られる末端イソシアナト基含有ウレタン化合物と、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基および少なくとも1個の水酸基をそれぞれ有する(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応生成物などであり得る。
上記ウレタン化反応に用いられる水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
かかる水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応に供されるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのうち芳香族のイソシアネート類を水素添加して得られるジイソシアネート(たとえば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジベンジルベンゼントリイソシアネート等のジ−またはトリ−イソシアネート、および、上記のジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネートとの反応により末端イソシアナト基含有ウレタン化合物とするために用いられるポリオール類としては、芳香族、脂肪族および脂環式のポリオールの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどを使用することができる。脂肪族および脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、上記したポリオール類と多塩基性カルボン酸またはその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸またはその無水物としては、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸などが挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、ポリアルキレングリコールの他、上記したポリオール類またはジヒドロキシベンゼン類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオールなどであり得る。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとは、分子内にエステル結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物である。具体的には、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸またはその無水物、およびポリオールの脱水縮合反応により得ることができる。脱水縮合反応に用いられる多塩基性カルボン酸またはその無水物としては、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、脱水縮合反応に用いられるポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得ることができ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有している。付加反応に用いられるポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
接着剤層2の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に(メタ)アクリル系化合物を配合する場合、その量は、活性エネルギー線硬化性化合物全体の量を基準に、20重量%以下、さらには10重量%以下とすることが好ましい。(メタ)アクリル系化合物の配合量が多くなると、偏光板と液晶セル基板との密着性が低下する傾向がある。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が上記の如き(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤が配合されることが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射により、(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物の重合を開始できるものであればよく、従来公知のものを用いることができる。光ラジカル重合開始剤の具体例を挙げれば、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどがある。
光ラジカル重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜6重量部である。光ラジカル重合開始剤の量がラジカル重合性化合物100重量部に対して0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、機械的強度や偏光板と液晶セル基板との接着性が低下する傾向にある。また、光ラジカル重合開始剤の量がラジカル重合性化合物100重量部に対して20重量部を超えると、硬化性樹脂組成物中の活性エネルギー線硬化性化合物(エポキシ系化合物を含むカチオン重合性の硬化性化合物および(メタ)アクリル系化合物などのラジカル重合性化合物)の量が相対的に少なくなり、得られる光学積層体の耐久性能が低下する可能性がある。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を配合することで、カチオン重合および/またはラジカル重合の反応性が向上し、接着剤層の機械的強度や偏光板と液晶セル基板との間の接着性を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤のより具体的な例としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの光増感剤はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性化合物全体を100重量部として、0.1〜20重量部の範囲で含有されるのが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、光学積層体に帯電防止性能を付与するための帯電防止剤を含有していてもよい。帯電防止剤は特に限定されず、公知の帯電防止剤を使用することができる。たとえば、アシロイルアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムナイトレート、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムサルフェート、セチルモルホリウムメトサルフェート等の陽イオン系界面活性剤;直鎖アルキルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸カリウム塩、アルカンスルフォン酸塩等の陰イオン系界面活性剤;N,N−ビス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミンおよびその脂肪酸エステル誘導体、多価アルコール脂肪酸部分エステル類等の非イオン系界面活性剤などを使用することができる。これら帯電防止剤の配合比は、所望とする特性に合わせて適宜決められるが、活性エネルギー線硬化性化合物全体を100重量部として、通常0.1〜10重量部程度である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、高分子に通常使用されている公知の高分子添加剤を添加することもできる。たとえば、フェノール系やアミン系等の一次酸化防止剤、イオウ系の二次酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系などの紫外線吸収剤などが挙げられる。
さらに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を構成する成分の溶解性を考慮して、適宜選択される。一般に用いられる溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。溶剤の配合割合は、成膜性などの加工上の目的による粘度調整などの観点から、適宜決定される。
接着剤層2が薄ければ、偏光板の外観を損ねるおそれが少ないので、好ましい。その厚さが大きくなると、接着剤の硬化不足により、偏光板と液晶セル基板の接着力が十分でなくなるおそれがある。
〈偏光板〉
本発明の光学積層体は、図1を参照して先に説明したように、液晶セル基板1上に、上で説明した接着剤層2を介して積層された偏光板5を備える。偏光板5は、少なくとも、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する。偏光板5は、光学積層体10、さらに液晶パネルの厚さを小さくする観点から、厚さが100μm以下のものとする。偏光フィルム単独では脆いため、液晶セル基板1に貼合される面とは反対側の面に、透明保護層を設ける。
図2は、本発明に係る光学積層体の層構成の一形態を示す断面模式図である。この形態では、偏光フィルム6の片面に透明保護層7を設けて偏光板5とし、透明保護層7が設けられた面とは反対側の偏光フィルム6の面が直接、接着剤層2を介して液晶セル基板1に貼合され、光学積層体11が構成されている。すなわち、光学積層体11においては、接着剤層2の表面に接触して偏光フィルム6が積層され、偏光フィルム6における接着剤層2とは反対側の面に透明保護層7が積層されている。
図3は、光学積層体の層構成の参考形態を示す断面模式図である。この形態では、偏光フィルム6の片面に透明保護層7を設け、偏光フィルム6の他面には適宜の樹脂層8を設けて偏光板5とし、その樹脂層8側が、接着剤層2を介して液晶セル基板1に貼合され、光学積層体12が構成されている。樹脂層8は、偏光フィルム6の反対側に設けられる透明保護層7と同様の、あるいはそれとは異なる透明保護層であることができるほか、光学機能層であってもよい。光学機能層の例としては、液晶セルによる位相差の補償等を目的として使用される位相差板が挙げられる。位相差板としては、たとえば、各種プラスチックの延伸フィルムからなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶や無機層状化合物などの位相差発現物質を含む塗膜を形成し、配向固定したものなどがある。この場合、位相差発現物質を含む塗膜を支持するフィルム基材として、トリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルムが好ましく用いられる。
このように偏光板5は、偏光フィルム6を含み、厚さが100μm以下であれば、さらにどのような層を有していてもよいが、偏光フィルム6以外の層は、2層以下、特に1層または2層であることが、偏光フィルム6を保護しながら光学積層体ないしは液晶パネルを薄くする観点から好ましい。このような観点からは、図2に示したような、偏光フィルム6の片面に透明保護層7を有し、その透明保護層7とは反対側のポリビニルアルコール系樹脂フィルム面(偏光フィルム表面)で直接、接着剤層2を介して液晶セル基板1に貼合されている形態は、好ましいものの一つである。
(偏光フィルム)
偏光板5を構成する偏光フィルム6は、ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向されたものである。より具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されたものが好適に用いられる。
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと、これに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98〜100モル%である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜10,000程度である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、たとえば、10μm〜150μm程度である。
偏光フィルムは通常、上記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、および、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、染色と同時に行なってもよいし、染色の後に行なってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なうなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行なわれる。二色性色素としては、ヨウ素、二色性の有機染料などが用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色方法としては、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部に対し0.01〜0.5重量部程度であり、また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部に対し0.5〜10重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合、染色方法としては、通常、水溶性の二色性染料を含む染料水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法が採用される。この染料水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部に対し1×10-3〜1×10-2重量部程度である。染料水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、染料水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30〜300秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行なわれる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の含有量は、通常、水100重量部に対し2〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、ホウ酸含有水溶液は、ヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部に対し2〜20重量部程度、好ましくは5〜15重量部程度である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行なわれる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、2〜120秒程度である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行なうことができる。乾燥温度は、通常40〜100℃程度である。乾燥処理の時間は、通常120〜600秒程度である。
以上のようにして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを作製することができる。偏光フィルムの厚さは5〜40μm程度とすることができる。
(透明保護層)
偏光フィルム6の片面に設けられる透明保護層7は、たとえば酢酸セルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂など、当分野において従来から保護層の形成材料として広く用いられている適宜の熱可塑性樹脂フィルムで構成することができる。また透明保護層7は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成することもできる。量産性および接着性の観点からは、これらの中でも、酢酸セルロース系樹脂もしくはシクロオレフィン系樹脂からなるフィルム、または活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を透明保護層7として用いることが好ましい。透明保護層7を熱可塑性樹脂フィルムで構成する場合、その厚さは通常、10〜50μm程度である。一方、透明保護層7を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成する場合、その厚さは10μm以下、たとえば1〜10μm程度とすることができる。
透明保護層7として用いられる酢酸セルロース系樹脂フィルムは、セルロースの部分または完全酢酸エステル化物からなるフィルムであって、たとえばトリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルムなどが挙げられる。
このような酢酸セルロース系樹脂フィルムは、適宜の市販品、たとえば、「フジタックTD80」、「フジタックTD80UF」および「フジタックTD80UZ」(以上、富士フイルム(株)製)、「KC8UX2M」および「KC8UY」(以上、コニカミノルタオプト(株)製)(いずれも商品名)などを好適に用いることができる。
また、透明保護層7に好適に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、たとえば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等の環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する熱可塑性の樹脂である(熱可塑性シクロオレフィン系樹脂とも呼ばれる)。このシクロオレフィン系樹脂は、上記シクロオレフィンの開環重合体の水素添加物、2種以上のシクロオレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物であってもよく、シクロオレフィンと鎖状オレフィンおよび/またはビニル基などを有する芳香族化合物などとの付加重合体であってもよい。また、極性基が導入されているものも有効である。
シクロオレフィンと鎖状オレフィンおよび/またはビニル基を有する芳香族化合物との共重合体を用いて透明保護層を構成する場合、鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられ、またビニル基を有する芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。このような共重合体において、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットが50モル%以下(好ましくは15〜50モル%)であってもよい。特に、シクロオレフィンと鎖状オレフィンとビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体を用いて透明保護層を構成する場合、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットは、上述したように比較的少ない量とすることができる。かかる三元共重合体において、鎖状オレフィンからなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%、ビニル基を有する芳香族化合物からなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%である。
シクロオレフィン系樹脂は、適宜の市販品、たとえば「Topas」(TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH社製、ポリプラスチックス(株)から入手できる)、「アートン」(JSR(株)製)、「ゼオノア(ZEONOR)」(日本ゼオン(株)製)、「ゼオネックス(ZEONEX)」(日本ゼオン(株)製)、「アペル」(三井化学(株)製)(いずれも商品名)などを好適に用いることができる。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、たとえば「エスシーナ」(積水化学工業(株)製)、「SCA40」(積水化学工業(株)製)、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン(株)製)、「アートンフィルム」(JSR(株)製)などの予め製膜されたシクロオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を透明保護層として用いてもよい。
透明保護層として用いるシクロオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものであってもよい。この場合の延伸倍率は、通常1.1〜5倍、好ましくは1.1〜3倍である。
また、透明保護層7に用いられ得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、前述した接着剤層2を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と同様のものが挙げられる。透明保護層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれに含有される活性エネルギー線硬化性化合物等と、接着剤組成物である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれに含有される活性エネルギー線硬化性化合物等は、同じものであってもよいし異なってもよい。
透明保護層7に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、具体的には、前述した接着剤層2の形成に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と同様、エポキシ系化合物を含有するものであり、さらにオキセタン系化合物を配合するのも有効である。このようにエポキシ系化合物を含有し、任意にさらにオキセタン系化合物を含有するので、通常は光カチオン重合開始剤も配合される。これらのエポキシ系化合物、オキセタン系化合物および光カチオン重合開始剤については、先に接着剤層2についてしたのと同様の説明があてはまる。
また、特に透明保護層7に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、エポキシ系化合物および任意成分であるオキセタン系化合物に加えて、ラジカル重合性の化合物、具体的には先述したような(メタ)アクリル系化合物を含有することが有効である。(メタ)アクリル系化合物を併用することにより、硬度が高く、機械的強度に優れ、より耐久性能に優れた透明保護層とすることができる。さらには、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度や硬化速度などの調整がより容易に行なえるようになる。透明保護層7のための活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、(メタ)アクリル系化合物は、活性エネルギー線硬化性化合物全体の量を基準に、70重量%程度まで加えることができる。(メタ)アクリル系化合物の配合量は、35〜70重量%、とりわけ40〜60重量%とすることがより好ましい。(メタ)アクリル系化合物の配合量が70重量%を超えると、偏光フィルムとの密着性が低下する傾向にある。
このような(メタ)アクリル系化合物を配合する場合は、さらに先述したような光ラジカル重合開始剤も配合される。光ラジカル重合開始剤の配合量については、先に接着剤層2についてしたのと同様の説明があてはまる。透明保護層7に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物はまた、先に接着剤層2について説明したものと同様のその他の各種成分を含有することもできる。
偏光板の透明保護層7は、偏光フィルムに貼着する面と反対側の面に、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理などの表面処理が施されたものであってもよい。また、透明保護層の偏光フィルムに貼着する面と反対側の面に、液晶性化合物、その高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。
透明保護層7が樹脂フィルムである場合、偏光フィルム6と透明保護層7との貼着には、接着剤(接着剤組成物)が用いられる。このために用いる接着剤組成物は特に限定されないが、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性樹脂組成物や、接着剤成分を水に溶解または分散させた水系の接着剤が挙げられる。この中で、乾燥工程が不要であることから、活性エネルギー線硬化性化合物を含有する硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いる場合には、通常、偏光フィルム6と透明保護層7とを硬化性樹脂組成物層を介して貼合した後、この貼合物に活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂組成物層を硬化させる。
上記接着剤組成物となり得る硬化性樹脂組成物には、前述した液晶セル基板1と偏光板5との接着に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。液晶セル基板1と偏光板5との接着に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれに含有される活性エネルギー線硬化性化合物等と、透明保護層7と偏光フィルム6との接着に用いる硬化性樹脂組成物およびそれに含有される活性エネルギー線硬化性化合物等は、同じものであってもよいし異なってもよい。
また、接着剤成分を水に溶解または分散させた水系の接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を主成分とする接着剤組成物が挙げられる。
水系の接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、そのポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いた場合、該接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製されることが多い。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部である。
主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザールや水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分または架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を挙げることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」および「スミレーズレジン 675」、日本PMC(株)から販売されている「WS−525」などがあり、これらを好適に用いることができる。これら硬化性成分または架橋剤の添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。その添加量が少ないと、接着性向上効果が小さくなり、一方でその添加量が多いと、接着剤層が脆くなる傾向にある。
水系の接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であり、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知である。たとえば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例としてポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂が記載されており、特開2005−070140号公報および特開2005−181817号公報には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを接合する形態が示されている。
〈光学積層体の製造方法〉
本発明に係る光学積層体の製造方法は、上記した本発明の光学積層体を製造するための方法として好適に用いられるものであり、以下に示される、(1)接着剤層形成工程、(2)貼合工程、および(3)硬化工程を備える。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂に二色性色素が吸着配向された偏光フィルムを有する厚さが100μm以下である偏光板(偏光板5)の該偏光フィルムの表面に、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するエポキシ系化合物および光カチオン重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤層(接着剤層2)を未硬化状態で形成する接着剤層形成工程、
(2)液晶セル基板(液晶セル基板1)に、上記の接着剤層形成工程で偏光板5の偏光フィルム表面に形成された接着剤層2を貼り合わせる貼合工程、
(3)上記貼合工程で得られる液晶セル基板1/接着剤層2/偏光板5からなる貼合物に、可視光線、紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー線を照射して接着剤層2を硬化させ、硬化後の厚さが2μm以下である接着剤層を得る硬化工程。
この製造方法において、偏光板は偏光フィルム単独であってもよいし、上述の如く予め他の層が積層されたものであってもよい。偏光フィルムの片面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明保護層を形成する場合、あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤を介してフィルムを積層する場合、上記硬化工程において、接着剤層2の硬化と同時に、透明保護層の硬化、あるいは偏光フィルムと透明保護層を接着するための接着剤の硬化も可能となる。以下、各工程について具体的に説明する。
まず、接着剤層形成工程(1)において、偏光板5の偏光フィルム表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤層2を形成するには、偏光板5の偏光フィルム面に直接、上記した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥する方法や、別に用意されるポリエチレンテレフタレートなどの透明樹脂からなる基材フィルムに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥した後、その活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗布層を偏光板5の偏光フィルムに転写する方法などが採用できる。後者の方法を採用した場合は、その後基材フィルムを除去し、次の貼合工程に供する。基材フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムなどが挙げられる。基材フィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が塗工される表面は、剥離処理が施されていてもよい。
ここで、図2に示すように、たとえば、偏光フィルム6における液晶セル基板1側とは反対側の面に、透明保護層7を設ける場合であって、その透明保護層7を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成する場合には、偏光フィルム6の表面に、この透明保護層7に相当する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層も設けておく。透明保護層7のための活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を別の基材フィルム上に形成し、これを偏光フィルム6に貼り合わせる場合、その基材フィルムは、後の硬化工程までそのままとし、硬化工程が終わった後、剥離するのが好ましい。
その後、貼合工程(2)において、偏光板5に設けられた接着剤層2を、液晶セル基板1に貼り合わせる。ついで、硬化工程(3)において、液晶セル基板1/接着剤層2/偏光板5の順に積層された貼合物に、可視光線、紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー線を照射することにより、接着剤層2を硬化させて光学積層体を得る。この際、偏光フィルム6における液晶セル基板1側とは反対側の面に透明保護層7を形成するための活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を設けていた場合には、この透明保護層7のための活性エネルギー線硬化性樹脂組成物も同時に硬化させるのが好ましい。透明保護層7上に基材フィルムを設けていた場合には、最後に、この基材フィルムを剥離除去する。
一方、たとえば、偏光フィルム6の片面に樹脂フィルムからなる透明保護層7を有する偏光板5を用いる場合であって、透明保護層7と偏光フィルム6とを活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤で接着させる場合には、透明保護層7および/または偏光フィルム6の接合面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、当該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の層を介して偏光フィルム6と透明保護層7(樹脂フィルム)とを積層し、その他は上と同様にして、液晶セル基板1/接着剤層2/偏光板5の順に積層された貼合物を得た後、この貼合物に上と同様の方法で活性エネルギー線を照射すればよい。
なお、液晶セル基板1と偏光板5とを接着するための接着剤層2を、偏光板5の表面に形成するのではなく、液晶セル基板1における偏光板との貼合面に、接着剤層2となる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をスピンコート法などにより塗布し、そこに偏光板5を重ねて、活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる方法により光学積層体を製造することもできる。ただ、生産の容易さも考慮すれば、偏光板5の片面に、先述した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤層2を形成し、液晶セル基板1にその接着剤層2を貼り合わせた後、接着剤層2を硬化させる方法が有利である。
接着剤層や透明保護層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を偏光板、偏光フィルムに、あるいは基材フィルムに塗工する手段は特に制限されず、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、溶剤を用いて粘度調整を行なうことも有用な技術である。このための溶剤としては、上記したものを挙げることができる。
活性エネルギー線の照射に用いる光源は、特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への光照射強度は、組成物ごとに異なるが、光カチオン重合開始剤および/または光ラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が10〜2500mW/cm2であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への光照射強度が10mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、2500mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の重合時の発熱により、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる可能性がある。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への光照射時間は、やはり組成物ごとに制御されるものであって特に限定されないが、照射強度と照射時間の積として表される積算光量が10〜2500mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる可能性がある。また、積算光量が2500mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。なお、活性エネルギー線の照射は、偏光フィルムの偏光度、透過率などの各種性能が低下しない範囲で行なわれることが好ましい。
<液晶表示装置>
本発明の光学積層体は、その液晶セル基板1の偏光板5が貼合されている面とは反対側に、もう一つの液晶セル基板を配置し、両者の間に液晶を挟持することで、液晶セルまたは液晶パネルとすることができる。この液晶セルまたは液晶パネルを表示素子として、液晶表示装置が構成される。2枚の液晶セル基板間に液晶が封入された状態の液晶セル自体を図1〜2における液晶セル基板1とし、その一方または双方の表面に、本発明に従って偏光板を貼合し、液晶パネルとすることもできる。本発明の光学積層体は、熱衝撃試験などに対する耐久性に優れるものであることから、上記のようにして作製される液晶表示装置も同様に、熱衝撃試験などに対する耐久性に優れているとともに、薄型軽量化が図られたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
(製造例1:偏光フィルムの作製)
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された厚さ約30μmの偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(製造例2:偏光板の作製)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製、東洋紡エステルフィルムE7002)の片面に、塗工機(第一理化(株)製、バーコーター)を用いて、偏光フィルムの透明保護層となる以下の組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工した。
〔透明保護層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物〕
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学(株)製、セロキサイド 2021P)
35部
ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成(株)製、アロンオキセタン OXT−221)
15部
ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物のジアクリレート(新中村化学工業(株)製、A−DOG)
50部
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ社製、DAROCUR 1173、光ラジカル重合開始剤)
2.25部
4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤((株)ADEKA製、アデカオプトマー SP−150)
2.25部
なお、上記のA−DOG(ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物のジアクリレート)は、下式の構造を有する化合物である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工にあたり、膜厚は粘度により変化するため、バーコーターの番線の番号を変えることで膜厚を調節した。次に、製造例1で作製した偏光フィルムの一方の面に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗膜を有するPETフィルムを、塗膜側が偏光フィルムとの貼合面となるように、貼付装置(フジプラ(株)製、LPA3301)を用いて貼合した。
この貼合品に、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブにより、紫外線を積算光量1500mJ/cm2で照射し、偏光フィルムの片面に配置された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、PETフィルムを剥離し、片面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明保護層を有する偏光板を作製した。このときの偏光板の厚さは約35μmであった。
(製造例3:接着剤組成物の調製)
以下の各成分を混合して、紫外線硬化性接着剤組成物を得た。
〔紫外線硬化性接着剤組成物〕
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学(株)製、セロキサイド 2021P)
75部
ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成(株)製、アロンオキセタン OXT−221)
25部
4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤(ダイセル・サイテック(株)製 UVACURE 1590)
5部
シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング(株)製、SH710)
0.2部
<実施例1>
製造例2で作製した偏光板を8cm×8cmのサンプルサイズにカットし、透明保護層が形成されていない面に、塗工機(第一理化(株)製、バーコーター)を用いて、製造例3で得られた接着剤組成物を塗工した。この際、接着剤組成物を塗工したときの膜厚は粘度によって変化するため、バーコーターの番線の番号を変え、硬化後の膜厚が2μmとなるように調節した。次に、透明ガラス基板(液晶セル基板となるもの)の一方の面に、上記接着剤組成物の塗膜を有する偏光板を、その塗膜側が透明ガラス基板との貼合面となるように、貼付装置(フジプラ(株)製、LPA3301)を用いて貼合した。この貼合品に、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブにより、積算光量1500mJ/cm2で紫外線を照射し、接着剤組成物を硬化させ、光学積層体を作製した。
<実施例2>
製造例2で作製した偏光板の代わりに、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの片面にポリビニルアルコール系接着剤を介して厚さ40μmのトリアセチルセルロース(TAC)からなる保護フィルムが貼合されている偏光板(住友化学(株)製、SR0661A−XNSY、厚さ約70μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
<比較例1>
紫外線硬化性接着剤組成物の代わりにアクリル系粘着剤を用い、透明ガラス基板の一方の面にこのアクリル系粘着剤を介して、製造例2で作製した偏光板の透明保護層が設けられていない面(偏光フィルム面)を貼合し、50℃のオートクレーブ中、圧力5kg/cm2(約0.5MPa)にて20分間処理した以外は、実施例1と同様にして光学積層体を作製した。
<比較例2>
紫外線硬化性接着剤組成物の代わりにアクリル系粘着剤を用い、透明ガラス基板の一方の面にこのアクリル系粘着剤を介して、偏光板の保護フィルムが貼合されていない面(偏光フィルム面)を貼合し、50℃のオートクレーブ中、圧力5kg/cm2(約0.5MPa)にて20分間処理した以外は、実施例2と同様にして光学積層体を作製した。
<粘着耐久試験>
上記実施例および比較例で作製した光学積層体の耐久性を以下の方法で評価した。
[耐久試験方法]
光学積層体を、温度90℃の乾燥条件下で500時間保管する耐熱試験を行なった。また、−35℃で1時間保持する過程と70℃で1時間保持する過程を1サイクルとして、これを300回繰り返すヒートショック試験を行なった。両試験において、試験後の偏光板を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
(耐熱試験)
○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない。
△:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ。
×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
(ヒートショック試験)
○:偏光フィルムにクラックやワレが全くみられない。
×:偏光フィルムにクラックやワレが認められる。
実施例1の光学積層体は、比較例1と同じ厚さの偏光板を用いたものであり、また実施例2の光学積層体は、比較例2と同じ厚さの偏光板を用いたものであるが、本発明に従う実施例1および2の光学積層体は、薄型軽量化が達成されているとともに、偏光板とガラス基板との接着にエポキシ系化合物を含有する活性エネルギー線(紫外線)硬化性樹脂組成物の接着剤を用いたことにより、優れた耐久性を示すことがわかる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。