JP5591707B2 - 特にリアルタイムpcrによる、核酸の集団の測定 - Google Patents

特にリアルタイムpcrによる、核酸の集団の測定 Download PDF

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Description

本発明は、目的とする試料に含まれ、増幅にかけられる核酸の初期の量を測定する方法に関する。この発明は、特に、感染症の治療上のモニタリングにおいて有利な用途が見出されるが、遺伝学的分野、並びに癌研究及び癌治療の分野、そしてより一般的には、用途の分野を問わず、例えば獣医学の分野、食品試験の分野、又は植物の分野においても、有利な用途が見出される。
関係する分野は、試料中に存在し、目的とする核酸配列の初期量を決定するために用いられる遺伝子増幅技術の分野であり、特に、例えばリアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術のような、リアルタイムの定量化のための増幅技術の分野である。
本発明は、生物試料(血清、血漿、血液、吐出物等)中に存在する感染性因子(ウイルス、バクテリア、酵母等)の核酸のコピー数を評価するためのリアルタイムPCR反応にかけられる試料中の核酸の初期の量の決定において、有利だが限定されない用途を見出す。この技術は、DNA又はRNAに対して効果を発揮できる。一般的に、そして特に別様に示されない限り、DNAが参照されるが、この核酸に特に限定されるものではない。
PCRは、DNAを2本の鎖に解離させ(「変性」)、次いで、斯くして変性したDNAのそれぞれの鎖にプライマーをハイブリダイズさせることを許容する温度の変動を伴う。それぞれのプライマーは、従って、2本のDNA鎖のうちの1本に特異的及び相補的である。DNAポリメラーゼの作用は、当初鋳型として使用されるそれぞれの鎖に相補的な新しい鎖の合成を導く。これは、一連の「変性/ハイブリダイゼーション/鎖合成」工程を形成し、周期的に繰り返される。
リアルタイムPCRは、標的となる核酸の1以上の異なる配列の同時に行われる増幅と検出を可能とする技術である。検出は、時間の経過に亘って実施することができ、定量的とすることができる。
定量的リアルタイムPCRは、検出される核酸配列(複数であってもよい)の定量化を許容する1以上のDNA標識、例えば蛍光標識を含む。この技術は、一般的には、分析される試料と、標準又は複数の様々な標準(標準の希釈系統)との比較を使用する。標準は、知られた量の核酸を含む試料である。原理的には、それは分析される試料と同一の処理を受ける。標準と同じように、目的とする試料は、反応の前及び反応の最中に、当該試料中に存在する核酸の量に比例して、蛍光が変化する。これは、以下の続く記載の中で、詳細に記載される。
更に、定量的リアルタイムPCRは、後ほど見られるように、異なる反応動力学を有する複数の相を含む。結果として、反応動力学をモニタリングするための測定の複数の点が一般的に使用される。
この全ては、目的とする試料を計量するためのリアルタイムPCR技術が、それらが興味の対象となるいずれの場面においても、実行するのに労力を要し、それらの使用の一般化を制限することを意味する。
本発明は、斯かる状況を改善する。
この趣旨で、本発明は、以下の工程を含む、目的とする試料中の標的配列の核酸の量を測定する方法を導入する。
a.上記標的配列に特異的な少なくとも1個の核酸標識を含む一式の試薬と共に、目的とする試料を増幅処理にかけ、上記増幅処理は連続する増幅サイクルを含む工程(i;1からn);
b.増幅サイクルの少なくとも一部において、標識の漸進的変化を示す物理量(Fi)を測定する工程;
c.工程b.において実施された測定を使用して、如何なる増幅サイクルにも先立つ核酸の物理量を示すパラメータ(F0)を示す工程;及び
d.状況パラメータ(contextual parameter)を含む換算法則を使用し、工程c.で示された前記パラメータ(F0)を適用した、標的配列の核酸の初期集団の大きさ(N0 sam)を概算する工程。
工程d.において、上記状況パラメータは、あらかじめ記録された参照パラメータであり、これらのパラメータは、実験条件の少なくとも一部に実質的に依存しない。
上記の参照パラメータは、核酸の初期集団の大きさ(N0 ref)が知られた目的とする試料と同一の生物学的形式の少なくとも1つの参照試料の挙動に基づいて、あらかじめ決定される。
一つの実施態様によれば、工程d.における変換法則は、少なくとも1つのキャリブレータに対して、工程a.、b.、及びc.を平行して実施することによる補正の必要なく、直接適用することができる。
この実施態様は、従って、特に公衆衛生の分野において、費やされる時間を減少させることにより、最終使用者のために上記方法の実行を単純化し、また、試薬の費用を顕著に減少させることを許容する。更に、あらかじめ記録された参照パラメータのおかげで、通常増幅反応に付随する要素の取り扱いを回避する。特に、標準試料の使用が回避され、それにより分析される試料の試験に使用可能なウェルの数を増加させることを可能にする(場所の獲得)。
もう一つの実施態様は、工程d.核酸の概算された初期集団の大きさ(N0 sam)の補正を含む。この補正は、核酸の初期集団の大きさが知られ、如何なる増幅サイクルにも先立つ核酸標識の物理量を示すパラメータ(F0 EQC)が知られた、少なくとも1つのキャリブレータ(EQC)についてあらかじめ行われる工程a.、b.、及びc.を基礎としている。
概算された初期集団の大きさ(N0 sam)のこの補正は、以下の工程を用いて実施することができる。
−以下の間での補正法則を確立する工程。
・如何なる増幅サイクルにも先立つ、上記核酸標識の物理量を示す知られたパラメータ(F0 EQC
・如何なる増幅サイクルにも先立つ、効率的に示された、上記核酸標識の物理量を示す上記キャリブレータのパラメータ(F0 measured
−目的とする試料に存在する、上記標的配列の核酸の集団の初期の大きさ(N0 sam)を概算するための工程d.の上記状況パラメータを含む上記換算法則に上記補正法則を適用する工程。
上記の補正について、初期集団の大きさが知られた上記キャリブレータ(EQC)は、目的とする試料に対して陽性対照を形成しうる生物学的物質を基礎としている。
この実施態様においては、従って、上記補正は追加の反応チューブを生成せず、これは先行技術の知られた定量技術と比較して有利なことである。
上記方法の工程c.においては、上記パラメータ(F0)の発現が少なくとも以下のものを含む。
−一定の増幅収率の第一の相と、一定ではない増幅収率の第二の相との間の変換に関与する1つのパラメータ
−上記第一の相における上記一定の増幅収率に関与する1つのパラメータ、及び
−上記第二の相における上記一定ではない増幅収率に関与する1つのパラメータ。
上記核酸標識は蛍光標識であってもよい。
上記目的とする試料は、病原性媒体を含んでいてもよい生物学的標本であってもよい。
使用される上記増幅反応はリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であってもよい。
上記参照パラメータは、好ましくは、以下の実験条件からなる群の要素の少なくとも1つから独立しているという利点を有する:使用される装置、使用される装置の種類、操作者、前記一式の試薬の有効期間、標的配列の核酸の抽出方法。
もう一つの態様によれば、及び「多重化PCR」増幅処理の場合には、目的とする試料は、定量化される別々のいくつかの標的配列を含んでいてもよい。
本発明はまた、以下のものを含む、目的とする試料中の、少なくとも1つの標的配列の核酸の量を測定する装置のためのものでもある。
a.一式の試薬と、標的配列に特異的な少なくとも1つの核酸標識を伴った上記標的配列とを含む少なくとも1つの試料を運搬するための運搬要素;
b.上記目的とする試料を、連続した増幅サイクルを含む増幅処理(i;1からn)にかけるための増幅ユニット;
c.増幅サイクルの少なくとも一部において、上記標識の漸進的変化を示す物理量(Fi)を測定するための測定ユニット;
d.メモリを含み、以下のようにするために構成された処理ユニット
i.物理量の測定に基づいて、如何なる増幅サイクルにも先立つ核酸標識の物理量を示すパラメータ(F0)を示すこと:
ii.換算法則を使用し、状況パラメータに基づいて、目的とする試料中に存在する標的配列の核酸の初期集団の大きさ(N0 sam)を概算すること;
e.目的とする試料が運搬要素に受け取られたときに、それが増幅ユニット及び測定ユニットを、受け取った上記試料に適用し、上記測定ユニットにより測定すると共に、処理ユニットを呼び出すように構成された制御部。
この装置においては、処理ユニットで概算される上記状況パラメータが、実験条件の少なくとも一部に実質的に依存していない参照パラメータであり、処理ユニットにあらかじめ記録されている。
本発明はまた、上記の方法を実行する指示を含むコンピュータプログラム製品のためのものでもある。このプログラムは、上記の装置の処理ユニットのメモリに記録されることが意図される。加えて、本発明は、上記の方法を実行するための指示を含むデータ記録担体のためのものである。
本発明の他の利点及び特徴は、以下の、及び添付の図面の詳細な説明を読むことにより、より明らかになる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の漸進的変化の曲線を示す図面である。 PCRサイクルの数に応じて放射される蛍光の測定を示す図面である。 目的とする試料の標的配列の核酸の初期集団の決定についての先行技術に関し、Ct法を使用して確立された回帰曲線を示す図面である。 目的とする試料中に存在する標的配列の初期量を示す物理量(F0)の決定(先行技術)に関する図面である。 分析される試料と同一の生物学的形式の参照試料から確立される標準曲線(直線)を示す図面である。 目的とする試料の初期集団の定量のための装置を、概略的及び機能的に示す図面である。 先行技術の定量法の正確さを示す曲線を示す図面である。 本発明の実施の例の正確さを示す曲線を示す図面である。
以下の図面及び説明は、大部分は、限定的な性質の要素を含む。それゆえ、それらは本発明をより明確に説明するための役割を果たすのみではなく、適切な場合には、その定義にも寄与する役割を果たす。
目的とする試料に存在する核酸の集団を定量するための技術は、ここで詳細に説明される。「目的とする試料」なる用語は、実質的には、分析される試料を定義する。この目的とする試料は、それゆえ、定量される少なくとも1つの標的核酸配列を含む、如何なる生物学的試料(特に体液)であってもよい。「核酸の集団(又は目的とする集団)の大きさ」なる用語は、一般的に、目的とする試料に存在する1以上の標的配列の量を定義する。
一般的な法則として、目的とする試料中に存在する核酸の集団は、非常に小さく、直接的な測定によっては単純にそれらを定量することができない。それゆえ、目的とする試料は、定量すべき標的配列を増幅するという視点から、増幅処理にかけられる。
増幅処理は、第一に、当該技術分野に知られた慣用の抽出方法により、目的とする試料から標的配列を抽出すること;第二に、標的配列を増幅反応の連続した適用にかけることにある。それゆえ、目的とする試料は、増幅処理が進行するに従って漸進的に変化することが理解される。未加工の生物学的試料(例えば、血液又は血清)から始まって、目的とする試料は、様々な化学的試薬及び/又は生物学的試薬を含む複数の反応相(抽出、精製、洗浄等)を経る。目的とする試料の生化学的組成は、それゆえ、増幅処理が進行しても固定されない。当業者は、本記載を考慮して生化学的組成を区別することができ、特に以下の間で差別化できる。
−特に、血液、血清、又は皮膚試料のような、未加工の生物学的試料を定義する、目的とする「未加工の」試料
−定量されるべき1以上の標的配列を含む核酸の抽出及び精製の後の試料を定義する、目的とする「抽出した」試料
−増幅反応の相次ぐ適用を経る目的で調整された試料を定義する、目的とする「反応(reactional)」試料;上記試料は、定量化されるべき1以上の標的配列、又は試料への増幅反応の連続した適用のために必要な一式の試薬をも含む(以下に詳細に記載される)。
増幅反応の連続した適用は、例えば、「リアルタイムPCR」技術であってもよい。しかしながら、本発明は必ずしもこの技術に限定されるものではなく、如何なる増幅処理にも適用することができる(そして、特にLCR、リガーゼ連鎖反応に適用できる)。
リアルタイムPCR技術は、特に、個体の体液(例えば、血清、血漿、又は血液)の試料中の病原性媒体(例えば、B型肝炎ウイルス:HBV、C型肝炎ウイルス:HCV、ヒト免疫不全ウイルス:HIV等)のコピー数を評価するための診断及び治療的モニタリングの場合に適用される。
PCRでは、定量は反応の最後に、一般的にはアガロースゲル上で行われる。それは、標的配列の増幅反応の最後に存在する核酸の数(集団の大きさ)、及びその初期濃度が知られた1つの標準試料又は複数の標準試料(例えば、標準の希釈系列)の中に存在する1以上の核酸配列との比較に基づく。
単独の標準試料が使用される場合、それは一般的に、標的配列と並行して増幅される。一般的に、これらの方法は非常に確度が低く、非常に精度の高いものではなく、それゆえ、不十分な定量である。リアルタイムPCRの発展により、非常な確度と精度がもたらされた。
リアルタイムPCRが実施される場合、定量は増幅反応に亘って実施される。増幅される標的配列に特異的な標識、例えば蛍光標識が使用される。蛍光標識を含む様々な系が現在存在している。これらの系のうちでも、US5,210,015、US5,487,972、US5,723,591、US5,118,801、US5,925,517、及びUS6,150,097の文献に記載されたものが注目されるべきである。反応中に放射される蛍光、より具体的には各増幅サイクルの後に放射される蛍光は、PCR産物の量、即ち、核酸の量、より具体的には標的配列の量に比例して漸進的に変化する。結果として、全体の反応速度はこの方法により理論的に測定できる。実際には、測定は、測定量−蛍光−がバックグラウンドのノイズから識別できるようになるとき以降に初めて可能となる。
非常に簡潔には、「増幅サイクル」又は「PCRサイクル」なる用語は、目的とされる試料が、特定の数の試薬(dNTPs、ポリメラーゼ、プライマー等)の存在下で温度変動を経る相を意味することが意図される。温度変動は、まず、二本鎖が解離するように二次構造を開裂させて二重鎖DNAを変性することを可能にする。次いで、温度変化は反応媒体中に存在する特異的DNAプライマーが、標的配列とハイブリッド形成することを許容し、新しいDNA鎖(斯かる鎖は、「アプリコン」と言及され、標的配列に相補的である)の合成を実施するポリメラーゼの活性化を許容する。リアルタイムPCRにおいては、それは、蛍光標識によりそれぞれの新しいサイクルで検出される標的配列の収集物である。
リアルタイムPCR増幅曲線の概略的外観が図1において示されており、ここで、PCRサイクルの指標がx−軸に、放射される蛍光の量(任意単位[a.u.])がy−軸に示されている。それぞれのPCRサイクルにおいて、蛍光が測定される。
蛍光の量Fnは、既に実施されたPCRサイクルの数nの関数として漸進的に変化する。以下は、この漸進的変化において、引き続いて区別される:
−蛍光の測定量が、実質的に、蛍光を測定するための装置のバックグラウンドのノイズと区別できない第一の部分BDF;
−測定される蛍光の量が、実質的に指数関数的に増加する第二の部分EXP;
−測定される蛍光の量における増加が実質的に減少し、全体的に、実質的に線形の方式で挙動する第三の部分LIN;及び
−蛍光の測定量が停滞相に達する(飽和効果)第四の部分PLA。
上記で定義した第一及び第二の部分の最中には、反応速度は指数関数法則に対応する。これらのサイクルに亘って、目的とする集団(標的配列の量)は、定常的に指数関数方式で増加する。続く増幅反応の定常的指数関数相はこのようにして定義される。
第三及び第四の相の最中に続くサイクルは、もはや指数関数的速度には従わない。これは、目的とする集団の成長が、特にdNTP及び蛍光標識の制限、ポリメラーゼの酵素活性の減衰等の減衰現象と競合し始めているからである。事実、停滞相に到達する。これは増幅反応の非定常相である。
目的とする試料中の標的配列の核酸の、知られていない初期の量を概算するために、様々な技術が記載されている。科学雑誌Nucleic Acids Research, 2003, vol. 31, No. 16中の、R.G. Rutledge及びC. Coteによる文献"Mathematics of quantitative kinetic PCR and the application of standard curve"には、「標準」と呼ばれる核酸の初期の量が知られた複数の試料を使用することが本質である、内挿法により目的とする試料中に存在する核酸の初期の量を決定するための方法が記載されている。図2はこの先行技術に関する。
上述されたように、測定される蛍光の量FnをPCRサイクルの数に関係付けることにより、蛍光測定量が蛍光測定装置からのバックグラウンドのノイズと同化している第一の部分BDFは区別される。PCR反応が進行するに従って、蛍光は、バックグラウンドのノイズからは区別される蛍光の閾値に達する。この閾値は、一般的に、操作者によって任意に提示され、実質的にバックグラウンドのノイズを超えている。
目的とする試料中の標的配列の核酸の初期の量が多くなればなるほど、蛍光はバックグラウンドのノイズからより早期に区別することができることが注目される。これは、標的配列の核酸の初期の量が増加すればするほど、PCR産物の量が、バックグラウンドのノイズから識別できるシグナルを生じるのに十分に多い量に到達するのがより早くなるという事実と直接的に関係している。
図2は、ある配列の初期の核酸の複数の知られている量を有する複数の標準を示す。標準St1における初期の集団が、標準St2におけるそれよりも大きく、標準St2における初期の集団は、標準St3におけるそれよりも大きい等と理解される。上記を見れば、それゆえ、蛍光を区別できるサイクルは、標準St1では、標準St2よりも早く起き、標準St2ではまた、標準St3についての区別できるサイクルの前に起きる(以下、同様)。
結果として、バックグラウンドのノイズBDFから区別され、且つ全ての標準に共通である蛍光の閾値SEUを設定することにより、標準St1がこの閾値に到達するのに必要なPCRサイクルの数Ct1は、結果として、標準St2がこの閾値に到達するのに必要なPCRサイクルの数Ct2よりも小さくなり、PCRサイクルの数Ct2は、標準St3がこの閾値に到達するのに必要なPCRサイクルの数Ct3よりも小さくなる等といったことが注目される。
この観察は、図3に示される、初期集団N0 St1、N0 St2、N0 St3、N0 St4の知られた複数の標準についてのサイクルの数Ct1、Ct2、Ct3、Ct4の間での依存性を確立するために、先行技術において利用される。この依存性は、回帰曲線REGと言及される曲線を用いて可視化される。従って、サイクルCt1、Ct2等をy−軸に沿って、初期集団の大きさN0 St1、N0 St2等の対数をx−軸に沿ってプロットすることにより回帰曲線REGが得られる。この場合において、回帰直線とするほうが具体的である。このREG直線は、その後、目的とする試料中の標的配列の核酸の初期集団の大きさを決定するために使用される。
それゆえ、図2は、初期集団の大きさINTの知られていない目的とする試料を示し、そのサイクルCtINTが区別される。サイクルCtINTのREG回帰曲線/直線への投影により、次いで、目的とする試料の集団の初期の大きさN0 INTを決定することが可能となる(図3参照)。
広く使われてはいるが、この方法は、それでもなお、所定の数の欠点を有し、そのうち3つの主要な欠点が以下のとおりである。
−バックグラウンドのノイズから区別することができる蛍光の閾値SEUの値の決定について操作者の判断に完全に基づいている点。ここで、この領域(典型的には、BDF/EXPの遷移)における蛍光測定量がバックグラウンドのノイズBDFに非常に近接しているという事実により、斯かる閾値を正確に識別するのは難しい。
−1以上の配列の核酸の初期集団の大きさの知られた複数の標準試料を使用する(これがこの方法を、時間を浪費し、費用のかかるものとする)ことが必要とされる点。
−核酸の集団の増幅からの収率が、全ての標準試料について、及び目的とする試料について同一であることを受諾する点;目的とする試料がPCRの阻害剤を含む場合、初期集団の大きさの概算は、それが非常に低くなるので失敗する。
上記の欠点に対処するため、及び他の利点、及び特には単一の標準の使用を提供するため、文献EP1700145は、目的とする試料中の核酸の初期集団の絶対的及び/又は相対的定量のためのコンピュータに基礎を置く手段により実行される方法を紹介する。この方法において、試料には、目的とする集団(1以上の標的配列)の増幅反応が連続して適用される。この増幅に対応する反応からの収率の変動を追跡することが可能である限り、増幅はPCR又は如何なる他の増幅技術であってもよい。実際、試料中の核酸の初期の量の推定は、核酸の量を増幅する反応との関係で、収率がたびたび定常の効率から非定常の効率に変換するという事実を使用している。この変換BASを定義するため、集団の現在の大きさを表現する実験的測定が増幅の経過の中で行われ、目的とする試料中の初期集団の大きさが最終的に推定される。
リアルタイムPCRでは、上記の変換BASは実質的に、共に上で定義された定常の相と非定常の相の間で観察される増幅収率の変換に対応する。この変換は、典型的には対数相(EXP部)と線形相(LIN部)との間にある。本願の発明者が上記の目的とする試料中に存在する核酸の集団の定量方法(EP1700145)を紹介することができたのは、この変換による。上記変換BASを正確に決定できるようにするため、増幅曲線の実質的に全ての測定点を有効に利用することが必要である。この理由により、リアルタイムPCRはこの方法の実施に特に好適である。
図4は文献EP1700145に従った標的配列の核酸の初期の量の決定に関し、如何なる増幅にも先立つ、目的とする検討中の試料の集団の蛍光の値に対応するパラメータF0をも包含する。バックグラウンドのノイズBDF以下でるために測定することができないこのパラメータF0は、理論的であるが実質的に初期集団の大きさを示す。パラメータF0の決定は、本方法に従来技術と比較したより大きな正確さを与えるものである。これは、先行技術における核酸の集団の初期集団の大きさの定量は、対数相EXP、典型的にはBDF部の終端において、蛍光の閾値を設定することにより行われていたからである(Ct法)。上記のように、正確に閾値を決定することは難しい。この理由のため、EP1700145で記載された方法は、増幅曲線のほぼ全ての点を有効に利用し、知られた方法よりもより大きな正確さに帰着する。
この趣旨で、以下の仮定を形成することがまず必要である:
−対数部EXPにおける第一の増幅サイクルにおいて、反応収率は実質的に一定である、及び
−反応収率は、ある増幅サイクル数から減少する;この現象は、第三の部及び第四の部、即ち、それぞれ線形の部LIN及び停滞の部PLAの間に生じる。
理論的には、対数相は第一のサイクルから始まるので、バックグラウンドのノイズは実験的な問題であることに注目されるべきである。上記で記載したように、収率の減少は様々な方法により、特に反応試薬(DNAポリメラーゼ、dNTP、プライマー等)の劣化、又はその代わりに反応中に形成される生成物による阻害により説明することができる。
いずれにしても、パラメータF0の決定は、一般的に、増幅ごとに増加する状況に対応する定常の収率から非定常の収率への転移を必要とする。非定常の収率については、これが収率を減少させるか増加させるかであると理解される。本発明の実施にあたっては、定常の相から非定常の相への収率の変換を検出することで十分である。
サイクルnにおける増幅の反応からの収率En、及びサイクルkまでの定数については、以下のように記載することができる。
k=Ek-1=Ek-2=...=E0、ここでE0は定常相の収率の値である。
ある増幅サイクルでの目的とする集団(1以上の標的配列)の大きさは、Nn+1=Nn+En.Nnなる関係により与えられる。ここで、
−Nnは、連続する増幅において指数nの増幅の後における目的とする集団の大きさである;
−Nn+1は、連続する増幅において指数nの増幅に次ぐ増幅の後の目的とする集団の大きさである;及び
−Enは、指数nの増幅反応からの収率である。
続いて、この方程式はNn+1=(1+E0n+1.N0と記載してもよい。ここで、N0は目的とする集団の初期の大きさである。
一度、定常相を通過すると、即ち、指数n+1が変換の領域を超えると、関係はNn+1=N0×(1+E0Ceep×関数(Ceep,n+1)となる。ここで、
−指数Ceepそれ自体、対数相と線形相との間の変換の指数それ自体を示す;従って、(Ceep−1)は、その間収率が依然として一定である増幅反応の最後の指数である;
−関数(Ceep,n+1)なる語は、収率の非定常相を特徴付け、少なくとも変換の指数Ceep及び増幅の現在の指数n+1に依存する特定の関数である。変換の指数Ceep及び目的とする集団の初期の大きさN0は、この関係により関連付けされていることが注目される。
バックグラウンドのノイズを控除することにより、及びまた所定数のそれに続く補償と統計的関係により、最初の増幅サイクルの前に、理論的な最初の蛍光F0を決定することができる。参照により本明細書に組み込まれ、読者が参照することができる文献EP1700145には、パラメータF0の決定について詳細に記載されている。
本明細書においては、パラメータF0は蛍光シグナルを参照する。しかしながら、本発明は、決してそのような特徴に限定されない。事実、最初の増幅サイクルの前に測定でき、標的配列の核酸の初期集団の大きさを示す如何なる他の物理量も、本発明の実施のために使用することができる。しかしながら単純化と理解のためには、以下の記載は蛍光シグナルを使用した実施形態に限定される。本発明の目的のためには、この蛍光シグナルは、蛍光標識が核酸標的配列にハイブリッド形成した後に放射される(「分子標識」法)。従って、蛍光標識と結合した標的配列と単位複製配列のみが上記蛍光シグナルを放射する。
それゆえ、根拠として、増幅反応の前及び最中において放射された蛍光は、分析される試料中の核酸の量に比例するという原理を使用して、以下の結論に帰着する:
0=k×N0 p、ここでkは実在定数であり、pは1に近い。
図5に示され、目的とする標的配列の初期の濃度と、実質的なパラメータF0との比例関係を示す回帰曲線REGの方程式は、以下の形式のものである:
log(F0)=a+blog(N0
この方程式は、y=a+bxの形式のものであり、定数a及びb、即ち、正確には切片aと傾きbが規定された直線を記載する。しかしながら他の場合においては、REG回帰曲線の方程式は直線の方程式とならず、例えば、多項式の形式又はS字曲線の形式等になることもある。この場合において、定数の数はREG曲線の方程式の複雑さに従って増加又は減少するかもしれない。単純化のために、ここで記載される実施形態は回帰曲線を直線の形態ものに限定し、それゆえ切片aと傾きbの決定に限定する。
REG曲線/直線は、目的とする試料と同一の生物学的形式の一連の標準試料(「参照試料」−以下に詳述される)を使用することにより、そしてより正確には、以下、範囲と言及される標準試料の希釈系列を使用することによりあらかじめ決められるものである。「生物学的形式」なる用語は、本明細書の残る部位で、以下の組み合わせを意味することが意図される:
−試料中に存在する標的配列の生物学的性質、及び
−試料の調整。
生物学的性質は、実質的には、試料(目的とする試料、又は標準試料/参照試料)中の定量されるべき標的配列により規定される。それゆえ、それはDNAであってもRNAであってもよく(ゲノムの、プラスミドの、等)、より具体的には核酸配列の同一性(identity;HBVの完全配列、HBVの断片、HIVの完全配列、HIVの断片等)である。
「試料の調整」は、以下のものを規定する:
−少なくとも増幅反応を行うのに必須で、反応媒体の中でこの試料に付随する一式の試薬、及び
−抽出からパラメータF0の決定に至るまで、試料が受ける処理。
曲線REGの外観、従って、定数a及びbの外観は、実質的には分析されるべき試料の生物学的形式に依存する。
驚くべきことに、出願人は、パラメータF0を使用して確立した回帰曲線が様々な試料の生物学的性質が同一であるとき、a及びbの値の低い相互変動性を示すことを見出した。この安定性はパラメータF0に関係している。
続く記載では、上記標準試料が参照試料として参照される。参照試料はそれゆえ:目的とする試料と同じ生物学的形式を有するどのような試料でもあり、それについて標的配列の核酸の初期の濃度が知られている。本発明の目的のためには、それゆえ、参照試料は定量されるべき標的配列と同じ生物学的性質の1以上の配列を含む。更に、参照試料は目的とする試料のものと同一の一式の試薬を含み、抽出からパラメータF0の決定までの実質的に同一の処理(同じ調整−上記参照)を受けたものである。
参照試料(本発明で使用される)と標準試料(Ct法で使用される)との間で行われる区別の目的は、特に、参照試料を扱う操作者と標準試料を扱う操作者とが異なるという事実を明確化することである。事実、以下の記載では、どのような参照試料の扱いも本発明の最終使用者によってではなく、工場で/工業的に実施されるということが明確に明らかである。
より一般的には、出願人は、所与の生物学的形式の標的配列の計量については集団の初期の大きさを示す物理量と、少なくとも2つの参照試料についての知られた濃度との関係を取り込んだ標準曲線REGを確立すれば十分であることを見出した。記載される実施形態においては、標準曲線は線形法則に対応する。変換法則によれば、この曲線の傾き及び切片(参照パラメータ)は、続く又は共同の工程において標的配列の核酸の初期集団の大きさを決定することを可能にする。
a及びbの値の決定、及び標的配列の初期の濃度の決定もまた、実施例において以下に記載されている。これに先立って、残る記載において用いられる所定数の用語について定義する。
以下で記載される実施形態においては、目的とする試料は、ヒトの血清又は血漿の試料から抽出/精製により抽出及び単離された核酸を含む。定量される核酸(標的配列、或いは目的の標的配列とも参照される)は、例えばウイルスのゲノムDNAである。標的配列はリアルタイムPCRで増幅され、定量される。記載された実施例においては、それは、より具体的にはB型肝炎ウイルス(HBV)のゲノムDNAであり、その大きさは概ね3.2kbである。もちろん、本発明は決してこの実施例に限定されるものではない。
「内部対照」(IC)なる用語は、記載される実施例において濃度が知られた植物組織の増幅されたゲノムDNAの断片であり、その配列が分析されるべき試料中に存在する標的配列のそれとは異種のものであるものを意味することが意図される。内部対照は、抽出の開始からそれ以降で目的とする試料及び陰性対照(以下で定義される)に添加される。それは標的配列と共に増幅される。内部対照は、第一に抽出が十分に行われたことを確認し、第二に目的とする試料での阻害剤の欠如を制御することを可能にする。この趣旨で、GC(グアニン/シトシン)の割合、及び増幅反応の効率が、標的配列のそれらと実質的に同一であるということが注目されるべきである。記載される実施形態では、ICはTE緩衝液(10mMトリスHCl、0.5mMEDTA)pH8.3とProcin(商標)300中で希釈される。ICは標的配列の増幅に影響しないという事実により、本発明の実施はICの存在を考慮する必要はない。
目的とする標的配列の増幅と平行して、定量される上記標的配列の増幅に特異的な試薬が正しく機能しているかを確認するために陽性対照を使用することができる。一般的に、陽性対照を含む反応混合液中の上記試薬は、目的とする試料のものと実質的に同一である。特に、プライマーは標的配列と陽性対照の両者に特異的である。
具体的な実施形態との関係で、目的とする試料の定量に必要であることが示される場合には、陽性対照は唯一のキャリブレータ(詳細は、以下に記載される)としても使用することができる。このキャリブレータはEQC(外部定量的キャリブレータ)と言及される。
ここに記載される実施例では、陽性対照又はEQCは、増幅されたB型肝炎ウイルス(HBV)のウイルスゲノムDNAの断片からなり、その両者の初期の量、及びパラメータF0の信頼区間は知られている。EQCの大きさ及びまた配列は、目的とする標的配列のそれらと同一である。それは、目的とする試料中の標的配列のそれと実質的に同一な効率で増幅される。目的とする試料と共に増幅されないのは、外部キャリブレータである。キャリブレータは平行して増幅される。これは、キャリブレータが目的とする試料との関係では、同時に増幅されるか別々の工程で増幅されるかのいずれかであることを意味する。従って、陽性対照又はEQCは、第一に目的とする試料に特異的なPCR試薬を確認することを可能とし、第二に本発明の第二の実施態様に従えば、核酸の量を測定するための方法のキャリブレータとして機能する(詳細は、下記参照)。記載された実施態様では、陽性対照/EQCがTE緩衝液(10mM トリス塩酸、0.5mMEDTA)で希釈される。本明細書に記載されていない第一の実施態様によれば、陽性対照/EQCは、血漿、血清等により希釈されてもよい。
もちろん、反応混合液は、増幅反応を制限することを可能にする如何なる対照が付随していてもよい。そのような対照は、例えば、陰性対照(NC)であってもよい。記載される実施例においては、陰性対照はHBVゲノムDNAについて陰性であり、Proclin(商標)300を含むヒトの脱繊維素血漿の試料である。要するに、それは実施例の目的とする標的配列について陰性である。この陰性対照は、目的とする試料からの核酸の一連の抽出物のそれぞれに添加され、この試料と同一の増幅処理、即ち、抽出/精製方法及びリアルタイムPCRを受ける。一般に、陰性対照は目的とする試料に如何なる汚染も存在していないことを確認することを可能とする。そのような汚染は、抽出相又はリアルタイムPCRの調製の最中に起こるかもしれない。更に、内部対照と共に、陰性対照はICに特異的なPCR試薬の効力を管理することを可能とする。
上記に示唆されたように、ここに記載された実施形態は、目的とする試料の蛍光、そしてより具体的には、目的とする反応試料の蛍光が、試料中に存在する1以上の標的配列の量に比例するという原理を基礎としており、これは増幅反応の前においても最中においても妥当する。この観察は、以下に記載された限定されない実施例を参照することにより明確になる。
参照試料及び目的とする試料に適用された抽出/精製及びまた増幅反応(リアルタイムPCR)は、本技術分野に慣用の方法により、及び実質的に同一の方法で行われた。使用された実験プロトコルは、以下に記載される。
I.実験プロトコル
I−1.参照試料
B型肝炎ウイルスのAccurum325陽性対照DNA−700系(BBI Diagnostic-Seracare 参照記号A325-5723)。
I−2.核酸抽出及び精製
様々な標的配列の核酸の濃度の様々な範囲の参照試料を構成するため、Accurum試料は、HBVの存在が陰性なヒト血漿で希釈された。
それぞれの希釈ポイントは、IC(その濃度は300コピー/PCR)の存在下で抽出された。
HBVウイルスDNAは、QIAamp DSP Virus Kit(QIAGEN、参照記号60704)を使用して、当該キットのプロトコルに従って抽出された。
I−3.増幅反応:リアルタイムPCR
・使用されたオリゴヌクレオチド配列
Figure 0005591707
・反応混合物
HBV/Fam Dabcyl - IC/Atto647 Dabcyl multicomplex
0.6μMのHBV分子標識プローブ(Eurogentec)、0.6μMの2つのHBVプライマー、0.2μMのIC分子標識プローブ(Eurogentec)、0.3μMの2つのICプライマー、2.5UのHotStarTaqポリメラーゼ(QIAGEN、参照記号203205)、6mM MgCl2、200μM d(ACGU)TP、100μM dTTP、0.25U UDG、0.3% PVP、5% グリセロール
・増幅装置(Chromo4)の熱プロファイル
42℃で30分
95℃で15分

95℃で15秒|
55℃で30秒| 50X
72℃で30秒|

20℃
I−4.結果の解釈
それぞれの試料(参照試料又は目的とする試料)について、文献EP1700145の方法に従ってパラメータF0を決定した。
II.結果
II−1.パラメータF0を用いた様々な参照試料からの標準曲線の確立
図5は、参照試料の標的配列の初期の濃度の関数としての物理パラメータF0(如何なる増幅サイクルにも先立つ蛍光)を示す、対数で確立された標準曲線(直線)を示す。この曲線を確立するために使用された参照点は、IU/PCR(国際単位/反応液の体積)で表現された初期濃度の知られた様々な参照試料の参照点であり、そのパラメータF0は、特許EP1700145の方法(上記実験プロトコル参照)に従って計算された。
正確性のため、濃度の点ごとに、F0は2つのHBV複製物について決定された(表Iの項「複製物1」及び「複製物2」)。
以下の表Iはこれらの値を示す。
Figure 0005591707
従って、これから、第一に、目的とする試料に存在する標的配列の核酸の初期の量を決定するに先立って、上記目的の試料と生物学的形式が同一で、初期の核酸の濃度が知られた、少なくとも2つの参照試料に基づいて、標準曲線を確立することが必要であることが分かる。標準曲線、より具体的には本実施例の標準曲線に基づいて、当業者に知られた慣用の方法によって、切片及び傾き(参照パラメータa及びb)が決定できる。
実験プロトコルに記載されたように、これらの測定には試薬の有効性を立証するため、及び抽出工程及びまた阻害剤が存在しないことを管理するため、内部対照ICが付随する。
II−2.参照パラメータa及びbの決定
a及びb、即ち、それぞれ切片及び傾きの正確な決定のため、参照試料の多数の範囲を分析した。もちろん、本発明は斯かる限定なしに実施することができる。しかしながら、ここに存在する実施例においては、参照試料の22の範囲が使用され、以下のものを確立した。
−aの中央値、及び
−bの中央値
Figure 0005591707
表IIから、特にパラメータF0の信頼性及び頑健性のために、参照試料の様々な範囲の間でのa及びbの値の変動性(相互変動性)は低いことが明らかになっている。
a及びbの値は、上記傾きと切片の両者の中央値からそれぞれ計算された(表III参照)。それぞれの参照試料について、生物学的形式は、目的とする試料のそれと同一であることが想起されるべきである。所与の生物学的形式を有する目的とする試料について、a及びbは所与の一式の試薬について設定されている。a及びbを確立するために、全ての測定を代表する如何なる統計値、例えば平均値(表III参照)をも使用できることが注目されるべきである。
Figure 0005591707
表II及びIIIで与えられる値は、a及びbの低い変動性を示している。目的とする試料における初期集団N0の定量は、式F2を基礎として行うことができ、式F1から推測される。
0=10[log(F0)-a]/b
それゆえ、目的とする試料と類似しているが、初期の濃度が知れているソース試料(以後、試験試料と言及する)から始めて、本発明による定量試験の正確性を実証することができる。
II−3.実施例1−3つの別々の試験試料の定量
本実施例においては、Accurun 325陽性対照 B型肝炎ウイルスDNA−700系試料(BBI Diagnostic、参照記号A325-5723)が、HBVの存在について陰性のヒト血漿中、3種の異なる濃度(試験試料A、B、及びC)に希釈された。これらの3種の試験試料は、標的配列の初期濃度が知れていた(表IV参照)。
試験試料の核酸は、QIAamp DSPウイルスキット(QIAGEN、参照記号60704)を使用して、キットのプロトコルに従って、ICの存在下で抽出及び精製された。試験試料は、先の実施例でパラメータa及びb計算するのに使用したものと同一の一式の試薬を使用して、増幅処理にかけられた。
II−3.a)3種の試験試料のF0値の測定
Figure 0005591707
II.3.b)定量
上記実施例のHBV株についてのパラメータa及びbは、それぞれ−15.172及び1.175の値を有した(中央値、表III参照)。初期の濃度は、式F2の参照パラメータ(a及びb)を使用して決定し/確認した。結果を表Vに示し、これらの値を使用した定量が非常に満足のいくものであったことを示した(定量の誤差は2倍未満)。
Figure 0005591707
II−4.実施例2−HBV国際標準の定量の比較例(国際標準:HBV DNA核酸増幅技術のためのWHO国際標準 97/746)
これは、第一にはCt法に従った、第二には本発明の方法に従った、目的とする試料中に存在する標的配列の初期集団の大きさの決定の間での比較例である。先の実施例で決定されたパラメータa及びbが初期集団の決定に使用された。実施例は、WHO(HBV DNA核酸増幅技術のためのWHO国際標準 97/746)と言及される国際標準の使用に基づいている。
WHO国際標準の2つのハーフログ希釈系(series of half-log dilutions)は、HBVの存在について陰性のヒト血漿中で行われた。それぞれの希釈ポイントは、QIAamp DSP Virus Kit(QIAGEN、参照記号60704)を使用し、当該キットのプロトコルに従って、ICの存在下で抽出/精製された。それぞれの抽出物は、リアルタイムPCRにより、正副2種で増幅された。
実施例1と類似の方法により、目的とするそれぞれの試料について、F0の値が決定された。それぞれの試料に含まれる標的配列は、次いで式F2を使用して定量された。表VIは、対数スケールで表された定量の結果を示す。
Figure 0005591707
Figure 0005591707
図7及び図8は、x−軸を理論値(log IU/ml)、y−軸を実験値(log IU/ml)として、それぞれCt法、及び本発明の方法の正確性を示す。図7及び8の曲線(直線)の方程式は、それぞれ以下のとおりである。
y=−0.2966+1.0682;Ct法について、及び
y=0.1305+0.983x;本発明の方法について
本発明による定量は、正確性の面ではCt法と等価であり、特にパラメータF0による定量の単純化と併せて本明細書に列挙した全ての利点を有する。
II−4.実施例3−臨床試料の定量
市販のB型肝炎ウイルス定量キット(Ct法を使用したキット)を使用してあらかじめ定量された、HBVに感染した患者に由来する25の臨床試料を、本発明の定量方法により試験した。抽出、精製、及び増幅処理は、上記の実験プロトコルのものである。
それぞれの臨床試料中のそれぞれの標的配列は、先の実施例でa及びbの値を決定するために使用したものと同じ一式の試薬を使用して増幅した。
実施例1に類似の方法により、目的とするそれぞれの試料について、F0の値を決定した。試料中の初期集団の大きさを、次いで、式F2を使用して定量した。表VIIは定量の結果を示す。
Figure 0005591707
臨床試料について、本発明の方法により得られた結果は、市販の参照キットにより得られた定量と等価であったが、同時に本発明の方法から帰着する利点を示した。先の実施例は、本発明が、例えば患者の試料中のウイルスの核酸の定量のような医療検査に要求される規制上の要件及び厳しい定量の正確性に合致するという事実の根拠をなす。
上記の実施例は、最終操作者が、本発明の方法の手段により核酸の集団の定量を行うときに伴うことができる単純さを説明する。事実、少なくとも2つの工程、即ち、標準曲線の確立及び上記標準曲線の方程式の定数パラメータの決定が、工場において/工業的に行われ、本発明のPCR装置にあらかじめ記録される。最終操作者は、従って、目的とする試料中に存在する1以上の標的配列の定量を行うための用途の単純性から利益を受ける。大抵、そしてあらかじめ記録されたパラメータのおかげで、操作者は上記の2つの工程を迂回する。これにより、先行技術の方法と比較して時間を節約すること(time being gained)ができる。更に、実施例は本方法の頑健性を明確に示している。この頑健性はF0の使用のおかげである。
実際には、操作者は単に目的とする試料を増幅処理、即ち、目的とする抽出された試料を得るための目的とする粗試料の核酸の抽出/精製をし、及び目的とする反応試料を得るため、後者へ続けて一式の試薬の添加し、最終的に目的とする反応試料を増幅装置の運搬ユニットに装着しなければならないのみである。増幅装置は(EP1700145に記載された方法に従って)F0の値を決定し、あらかじめ記録されたパラメータ(標準曲線の方程式の定数)と共にこのF0の値を用いて独力で目的とする試料中に存在する1以上の標的配列の核酸の初期の量を決定する。この全ては、本発明が多大な経済的利点を有することを意味する。
もちろん、a及びbの値は、標的配列の生物学的性質に応じて変化する。上記に詳述したように、これらの値は増幅反応を行うために目的とする試料に添加される一式の試薬に応じても変化する。しかしながら、所与の一式の試薬について、a及びbの値は、一式の試薬の有効期間の間、即ちその有効期限までずっと安定である。これは、最終操作者に対する高い信頼性と同義である。
より一般的には、a及びbの値は以下のものに依存しない:
−増幅処理に使用される装置(特に、同一の商業モデルのもの)、
−使用される装置の種類(それゆえ、特にBio−Rad社製の「Chromo 4」として知られる装置、又はRoche社製の「LightCycler」として知られる装置等、如何なる種類の商業モデルを使用することも可能である)、
−取り扱う場所(装置の輸送可能性)、
−技術的操作を行う操作者、
−一式の試薬の有効性、
−一式の試薬の中で使用される個別の成分(それゆえ、如何なる種類のポリメラーゼ、dNTP等を使用することも可能である)、
−標的配列の核酸の抽出方法。
0とN0の関係を使用することのおかげで、a及びbの値の低い変動性と安定性が実現していると思われる。
これらの利点と定量の正確性のおかげで、本発明は、患者からの目的とする試料中におけるウイルスの核酸の定量等、医療検査に要求される規制上の要件に対応する。
この、本発明の第一の実施態様によれば、先行技術と対照的に、操作者が、定量されるべき目的とする試料の初期集団を決定するために、様々な標準を使用することがもはや必要ではなくなる。事実、あらかじめ定められ、あらかじめ記録された所与の生物学的形式についての参照パラメータ、特に実施例においてはa及びbのおかげで、試料の初期集団が決定される。
もう1つの実施態様によれば、後者が初期集団の決定の正確性に変動を示すのであれば、陽性対照となりうる単一のキャリブレータ又はEQC(外部キャリブレータ)が、あらかじめ記録された参照パラメータを補正するために使用できる。
上記補正はパラメータF0を使用する。より具体的には、設定されたEQCのF0(以下:F0 EQC)が、目的とする集団の初期の大きさを概算するための工程に先立つ工程において決定される。この決定は、従って、上記変換法則を適用するに先立って実施される。
単純な比較が、次いで、装置中で測定されたEQCのF0の値(以下:F0 EQCmeasured)と、工場で/工業的に決定された、信頼区間中のF0 EQCの知られた値との間で行われる。複数の値の間での差異を補償するために、補正のための比例関係が、次いで確立される。本発明の方法の工程d.の状況パラメータは、それゆえ、補正パラメータを含んでいてもよい。
変形例としての実施形態においては、補正は、非線形の比例関係を有する他の係数を基礎としてもよい。
より一般的には、従って、キャリブレータを使用して参照物理量が決定され、この量に基づいて装置を校正すれば十分である。
上記の方法は、好ましくは、前記方法の工程を実施することが可能な、特に上記の目的とする試料に存在する1以上の標的配列の増幅を実施することが可能な、別個の又は組み合わされたユニットを備えた単一の装置で行われる。
概略的に及び機能的に、目的とする試料の初期集団の定量のための装置APが示された図6が参照される。この装置APは、少なくとも1つの目的とする反応試料PROBEを受け取ることが可能な運搬ユニットU.SUPを有する。このPROBE試料は、増幅ユニットU.AMPによって、増幅反応の連続した適用を含む増幅処理にかけられる。増幅ユニットU.AMPは、それゆえ、反応試料PROBEに、より具体的には、反応試料PROBE中に存在する少なくとも1つの標的配列に、その最中に反応速度がモニタリングされる増幅反応(例えば、リアルタイムPCR)を適用するために加熱手段(図示されない)を備えていてもよい。この目的のために、装置APは、目的とする反応試料中に存在する少なくとも1つの標識の漸進的変化を示す物理量を測定するための測定ユニットU.MESを有する。上記(複数の)標識は、(複数の)標的配列にそれぞれ特異的である。上記物理量は好ましくは蛍光である。更に、上記装置は、(文献EP1700145の方法に従って)パラメータF0を計算できるように構成され、目的とする試料の核酸の初期集団の大きさを概算できるように構成された処理ユニットU−TRTを備える。上記処理ユニットU−TRTはコンピュータであってもよい。上記処理ユニットU−TRTは、コンピュータデータを記録できるメモリ(永続的な、ランダムアクセスメモリ、即ちRAM−型メモリ)を備える。上記コンピュータデータは、特に、本発明の計量方法を実施するための指示を含んでいてもよい。必要に応じて、処理ユニットU−TRTは記録担体(特に:ディスク、CD−ROM、USBキー)を受領することができるデータ転送手段を備えていてもよい。それゆえ、上記処理ユニットU−TRTは更新することができる。運搬要素に受領された、目的とする反応試料PROBEへの増幅ユニットU.AMP、及び測定ユニットU.MESの適用、並びに処理ユニットU−TRTの呼び出しは、制御部CNTRにより行われる。制御部CNTRの機能はコンピュータ−制御であっても、操作者−制御であってもよい。
本発明は、また、処理ユニットU−TRTと協働することが可能で、本発明の定量方法を実施するための指示を含むデータ記録担体をも対象とする。
本発明は、リアルタイムPCRを参照して、以上のとおり記載された。それは、この技術に限定されず、他の核酸増幅手段にも適用されうる。例えば、それはLCRに適用されうる。より具体的には、この増幅に対応する反応の収率の変化をモニタリングすることができるのであれば、如何なる増幅技術も使用することができる。

Claims (12)

  1. 目的とする試料中の標的配列の核酸の量を測定する方法であって:
    a.前記標的配列に特異的な少なくとも1個の核酸標識を含む一式の試薬と共に、目的とする試料を増幅処理にかけ、前記増幅処理は連続する増幅サイクルを含む工程(i;1からn);
    b.増幅サイクルの少なくとも一部において、標識の漸進的変化を示す物理量(Fi)を測定する工程;
    c.工程b.において実施された測定を使用して、如何なる増幅サイクルにも先立つ核酸標識の物理量を示すパラメータ(F0)を示す工程;及び
    d.状況パラメータを含む換算法則:log(F0)=a+blog(N0)を使用し、工程c.で示された前記パラメータ(F0)を適用した、標的配列の核酸の初期集団の大きさ(N0 sam)を概算する工程を含み、
    工程d.において、前記状況パラメータが、あらかじめ記録された参照パラメータであり、これらのパラメータが実験条件の少なくとも一部に実質的に依存せず、
    前記参照パラメータが、核酸の初期集団の大きさ(N 0 ref )の知られた目的の試料と同一の生物学的形式の少なくとも1種の参照試料の挙動に基づき、あらかじめ決定される、
    前記方法。
  2. 工程d.における換算法則が、少なくとも1つのキャリブレータのために、工程a.、b.、及びc.を並列して実施することによる補正の必要なく、直接適用される請求項1の方法。
  3. 工程d.が、概算された初期集団の大きさ(N0 sam)の補正をも含み、この補正が、核酸の初期集団の大きさが知られ、如何なる増幅サイクルにも先立つ核酸標識の物理量を示すパラメータ(F0 EQC)が知られた、少なくとも1つのキャリブレータ(EQC)についてあらかじめ行われる工程a.、b.、及びc.を基礎としている、請求項1の方法。
  4. 前記概算された初期集団の大きさ(N0 sam)の前記補正が、
    −以下の間での補正法則を確立する工程
    ・まず、如何なる増幅サイクルにも先立つ、前記核酸標識の物理量を示す知られたパラメータ(F0 EQC
    ・如何なる増幅サイクルにも先立つ、効率的に示された、前記核酸標識の物理量を示す前記キャリブレータのパラメータ(F0 EQCmeasured
    −目的とする試料に存在する、前記標的配列の核酸の前記初期集団の大きさ(N0 sam)を概算するために、工程d.の前記状況パラメータを含む前記換算法則に前記補正法則を適用する工程
    を含む請求項の方法。
  5. 初期集団の大きさの知られた前記キャリブレータ(EQC)が、目的とする試料に対して陽性対照を形成しうる生物学的物質を基礎とする請求項の方法。
  6. 前記パラメータ(F0)の発現が少なくとも
    −一定の増幅収率の第一の相と、一定ではない増幅収率の第二の相との間の変換に関与する1つのパラメータ
    −前記第一の相における前記一定の増幅収率に関与する1つのパラメータ、及び
    −前記第二の相における前記一定ではない増幅収率に関与する1つのパラメータ
    を含む請求項1の方法。
  7. 前記核酸標識が蛍光標識である請求項1の方法。
  8. 前記目的とする試料が、病原性媒体を含んでいてもよい生物学的標本を含む請求項1の方法。
  9. 増幅反応がリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である請求項1の方法。
  10. 前記参照パラメータが以下の実験条件からなる群の要素の少なくとも1つから独立している請求項1の方法:
    使用される装置、使用される装置の種類、操作者、前記一式の試薬の有効期間、前記標的配列の核酸の抽出方法。
  11. 前記目的とする試料が、別々のいくつかの標的配列を含む請求項1の方法。
  12. 目的とする試料中の、少なくとも1つの標的配列の核酸の量を測定する装置(AP)であって、
    a.一式の試薬と、標的配列に特異的な少なくとも1つの核酸標識を伴った前記標的配列とを含む少なくとも1つの試料(PROBE)を運搬するための運搬要素(U.SUP);
    b.前記目的とする試料を、連続した増幅サイクルを含む増幅処理(i;1からn)にかけるための増幅ユニット(U.AMP);
    c.増幅サイクルの少なくとも一部において、前記標識の漸進的変化を示す物理量(Fi)を測定するための測定ユニット(U.MES);
    d.メモリを含み、以下のようにするために構成された処理ユニット(U.TRT)
    i.物理量の測定に基づいて、如何なる増幅サイクルにも先立つ核酸標識の物理量を示すパラメータ(F0)を示すこと:
    ii.換算法則:log(F0)=a+blog(N0)を使用し、状況パラメータに基づいて、目的とする試料中に存在する標的配列の核酸の初期集団の大きさ(N0 sam)を概算すること;
    e.目的とする試料(PROBE)が運搬要素(U.SUP)に受け取られたときに、それが増幅ユニット(U.AMP)及び測定ユニット(U.MES)を、受け取った前記試料(PROBE)に適用し、前記測定ユニット(U.MES)により測定すると共に、処理ユニット(U.TRT)を呼び出すように構成された制御部(CNTR)を含み、
    前記状況パラメータが、実験条件の少なくとも一部に実質的に依存しない参照パラメータであり、処理ユニット(U.TRT)にあらかじめ記録されており、
    前記参照パラメータが、核酸の初期集団の大きさ(N 0 ref )の知られた目的の試料と同一の生物学的形式の少なくとも1種の参照試料の挙動に基づき、あらかじめ決定される、
    前記装置。
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