JP5592400B2 - シール部材 - Google Patents

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Description

本発明は、シール部材に関する。
本発明者等が先に提案した炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーを用いることで、これまで困難とされていたカーボンナノファイバーの分散性を改善し、エラストマーにカーボンナノファイバーを均一に分散させることができた(例えば、特開2005−97525号公報参照)。このような炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーとカーボンナノファイバーを混練し、剪断力によって凝集性の強いカーボンナノファイバーの分散性を向上させている。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合し、この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの変形に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散していた。このように、マトリックスへのカーボンナノファイバーの分散性を向上させることで、高価なカーボンナノファイバーを効率よく複合材料のフィラーとして用いることができるようになった。
本発明の目的は、耐摩耗性に優れたシール部材を提供することにある。
本発明にかかるシール部材において、
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、
70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上であって
前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、前記カーボンナノファイバー10質量部〜60質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜100質量部と、を含み、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が10nm〜20nmであり、
前記カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(1)及び(2)を満た
すことができる。
Wt=0.1W1+W2 (1)
20≦Wt≦60 (2)
W1:充填剤の配合量(質量部)
W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
本発明にかかるシール部材において、
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、
70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上であって
前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、前記カーボンナノファイバー14質量部〜100質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜60質量部と、を含み、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が60nm〜110nmであり、
前記カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(3)及び(4)を満たすことができる。
Wt=0.1W1+W2 (3)
20≦Wt≦100 (4)
W1:充填剤の配合量(質量部)
W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
本発明にかかるシール部材において、
70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が10,000回以上であることができる。
本発明にかかるシール部材において、
25℃の高圧摩耗試験における摩耗量Waが0.010cm/N・m〜0.035cm/N・mであり、
前記摩耗量Waは、下記式(5)を満たすことができる。
Wa=(g−g)/(P・L・d) (5)
:摩耗前の試験片の質量(g)
:摩耗後の試験片の質量(g)
P:おもりの設定荷重(N)
L:摩耗距離(m)
d:比重(g/cm)。
本発明にかかるシール部材において、
前記カーボンナノファイバーは、酸化処理したカーボンナノファイバーであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記カーボンナノファイバーは、低温熱処理したカーボンナノファイバーであり、
前記カーボンナノファイバーの配合量は、54質量部〜100質量部であることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記シール部材は、油田装置に用いられることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記油田装置は、坑井内において検層を行う検層装置であることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記シール部材は、前記油田装置内に配置された無端状のシール部材であることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのステータであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記流体駆動モータはマッドモータであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのロータであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記流体駆動モータはマッドモータであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)は、アクリロニトリル含有量が30〜50質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が50〜100、水素化率90%以上であることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記カーボンナノファイバーは、前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に配合される前の段階において、剛直度=Lx÷D(Lx:カーボンナノファイバーの隣り合う欠陥と欠陥との間の距離、D:カーボンナノファイバーの直径)で定義される剛直度の平均値が3〜12であることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記充填剤は、平均粒径が10nm〜100nmのカーボンブラックであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記充填剤は、平均粒径が5nm〜50nmであって、かつ、シリカ、タルク及びクレーから選ばれる少なくとも一つであることができる。
本発明にかかるシール部材において、
前記シール部材は、150℃、最大引張応力2N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数Na回に対する、150℃、最大引張応力2.5N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数Nb回の比(Nb/Na)が0.7以上であることができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるシール部材に用いるカーボンナノファイバーの圧縮処理を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法を用いた炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 図3は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法を用いた炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 図4は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法を用いた炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 図5は、本発明の一実施形態にかかるシール部材の引張疲労試験を模式的に示す図である。 図6は、本発明の一実施形態にかかるシール部材の高圧摩耗試験を模式的に示す図である。 図7は、本発明の一実施形態にかかる海底用途の検層装置を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の一実施形態にかかる図7の検層装置を模式的に示す部分断面図である。 図9は、図8の検層装置のマッドモータを模式的に示すX−X’断面図である。 図10は、本発明の一実施形態にかかる地下用途の検層装置を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の一実施形態にかかるシール部材は、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上であって、前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、前記カーボンナノファイバー10質量部〜60質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜100質量部と、を含み、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が10nm〜20nmであり、前記カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(1)及び(2)を満たす。
Wt=0.1W1+W2 (1)
20≦Wt≦60 (2)
W1:充填剤の配合量(質量部)
W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
本発明の他の一実施形態にかかるシール部材は、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上であって、前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、前記カーボンナノファイバー14質量部〜100質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜60質量部と、を含み、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が60nm〜110nmであり、前記カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(3)及び(4)を満たす。
Wt=0.1W1+W2 (3)
20≦Wt≦100 (4)
W1:充填剤の配合量(質量部)
W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
(I)カーボンナノファイバー
カーボンナノファイバーについて説明する。
本実施の形態に用いるカーボンナノファイバーは、平均直径(繊維径)が10nm〜20nmもしくは平均直径が60nm〜110nmであることができる。カーボンナノファイバーは、その平均直径が比較的細いため、比表面積が大きく、マトリックスであるHNBRとの表面反応性が向上し、HNBR中におけるカーボンナノファイバーの分散不良を改善しやすい傾向がある。カーボンナノファイバーは、直径が10nm以上ではカーボンナノファイバーによってマトリックス材料を囲むように形成された微小セル構造が小さすぎず適度な柔軟性を有すると予測され、逆に110nm以下では微小セル構造が大きすぎず耐摩耗性の効果を有すると予測される。カーボンナノファイバーによって形成される微小セル構造は、カーボンナノファイバーが3次元に張り巡らされた網目構造によってマトリックス材料を囲むように形成されることができる。平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーは、さらに70nm〜100nmであることができる。また、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーは、その表面のHNBRとの反応性を向上させるために、酸化処理あるいは低温熱処理することができる。酸化処理及び低温熱処理については、後述する。
カーボンナノファイバーの平均直径は、電子顕微鏡による観察によって計測することができる。なお、本発明の詳細な説明においてカーボンナノファイバーの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノファイバーのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
カーボンナノファイバーは、HNBR100質量部に対し、20質量部〜100質量部を配合することができる。特に、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーを用いた場合には、HNBR100質量部に対し、20質量部〜60質量部を配合することができ、また、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーを用いた場合には、HNBR100質量部に対し、20質量部〜100質量部を配合することができる。カーボンナノファイバーは、20質量部以上をHNBRへ配合されることによって、ナノサイズのセル構造を形成することができると考えられるので、耐摩耗性が向上する傾向があり、また、60質量部以下の配合量であれば、破断伸び(EB)が比較的高いので加工性に優れるともとにシール部材を部品へ装着しやすい傾向がある。また、カーボンナノファイバー以外の充填剤を配合することによってカーボンナノファイバーの配合量を減らすことができる。充填剤を配合した場合には、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーは、HNBR100質量部に対し、10質量部〜60質量部を配合することができ、また、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーは、HNBR100質量部に対し、14質量部〜100質量部を配合することができる。ここで、「質量部」は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of resin or rubberの省略形であって、ゴム等に対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。
カーボンナノファイバーは、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に配合される前の段階において、剛直度の平均値が3〜12の比較的剛直な繊維であることができる。特に、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーは剛直度の平均値が3〜5であることができ、また、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーは、剛直度の平均値が9〜12であることができる。剛直度は、カーボンナノファイバーの剛直性を示すものであって、顕微鏡などで撮影した多数のカーボンナノファイバーの屈曲していないほぼ直線状部分の長さと直径とを測定し、計算することで得られ、屈曲指数と呼ぶこともある。カーボンナノファイバーの屈曲部分は、繊維の欠陥であって、電子顕徴鏡で繊維を幅方向に横切る白い線として写る。カーボンナノファイバーの屈曲していないほぼ直線状部分の長さをLxとし、カーボンナノファイバーの直径をDとしたとき、剛直度はLx÷Dで定義され、その算術平均値を計算する。したがって、剛直度が小さいカーボンナノファイバーは短い間隔で折れ曲がることを示し、剛直度が大きいカーボンナノファイバーは直線状部分が長く、屈曲していないことを示す。カーボンナノファイバーの直線状部分の長さLxの測定は、1万〜5万倍で撮影したカーボンナノファイバーの写真データを例えば2〜10倍に拡大した状態で行なう。拡大表示した写真では、繊維を幅方向に横切る屈曲部分(欠陥)確認することができる。このようにして確認した隣接する屈曲部分(欠陥)の間隔を、カーボンナノファイバーの直線状部分の長さLxとして複数箇所、例えば200か所以上計測して行なう。
カーボンナノファイバーは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有するいわゆる多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)であり、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーとしては、例えば昭和電工社製のVGCF−X(VGCF:昭和電工社の登録商標)、バイエルマテリアルサイエンス社のバイチューブ(Baytubes)、ナノシル(Nanocyl)社のNC−7000などを挙げることができ、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーとしては、例えば昭和電工社のVGCF−Sなどを挙げることができる。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノファイバーは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理の第1のカーボンナノファイバーを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃〜1000℃の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁に第1のカーボンナノファイバーを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノファイバーを基板上に生成させる触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)等を用いることができる。平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーは触媒担持反応法によって得ることができ、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーは浮遊流動反応法によって得ることができる。カーボンナノファイバーの直径は、例えば金属含有粒子の大きさや反応時間などで調節することができる。平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が10m/g〜500m/gであることができ、さらに100m/g〜350m/gであることができ、特に、150m/g〜300m/gであることができる。
平均直径が60nm〜110nmであって低温熱処理したカーボンナノファイバーは、気相成長法によって得られたいわゆる未処理のカーボンナノファイバーを低温熱処理することによって得ることができる。この低温熱処理は、未処理のカーボンナノファイバーを、前記気相成長法における反応温度より高温であって、かつ、1100℃〜1600℃で熱処理することができる。この熱処理の温度は、さらに1200℃〜1500℃であることができ、特に1400℃〜1500℃であることができる。低温熱処理の温度が気相成長法の反応温度より高温であることで、カーボンナノファイバーの表面構造を整え、表面の欠陥を減少させることができる。また、この低温熱処理温度を1100℃〜1600℃とすることで、HNBRとの表面反応性が向上し、マトリックス材料中におけるカーボンナノファイバーの分散不良をより改善することができる。このように低温熱処理したカーボンナノファイバーは、例えば、ラマン散乱分光法によって測定される1600cm−1付近のピーク強度Gに対する1300cm−1付近のピーク強度Dの比(D/G)が0.9を超えかつ1.6未満であることができ、さらに1.0〜1.4であることができ、特に熱処理の温度が1400℃〜1500℃の場合は1.0〜1.2であることができる。低温熱処理したカーボンナノファイバーのラマンスペクトルにおいて、1300cm−1付近の吸収ピーク強度Dはカーボンナノファイバーを形成する結晶内の欠陥に基づく吸収であり、1600cm−1付近の吸収ピーク強度Gはカーボンナノファイバーを形成する結晶に基づく吸収である。このため、ピーク強度Dとピーク強度Gとの比(D/G)が小さい程、カーボンナノファイバーの結晶化程度が高いことを示す。したがって、ピーク強度Gに対するピーク強度Dの比(D/G)が小さいほどグラファイト化(黒鉛化)度が高く、表面に欠陥の少ないカーボンナノファイバーを意味する。したがって、前記範囲のピーク強度Gに対するピーク強度Dの比(D/G)を有する低温熱処理したカーボンナノファイバーは、適度に表面に非結晶部分が存在するため、HNBRとの濡れ性が良好であり、比較的欠陥も少ないので低温熱処理したカーボンナノファイバーの強度も十分であることができる。
通常、気相成長法によって製造されたカーボンナノファイバーを不活性ガス雰囲気中において2000℃〜3200℃で熱処理していわゆる黒鉛化(結晶化)処理して、気相成長の際にカーボンナノファイバーの表面に沈積したアモルファス状の堆積物や残留している触媒金属などの不純物を除去する。黒鉛化処理したカーボンナノファイバーは、その表面におけるHNBRとの反応性が比較的低いため、例えば酸化処理を施すことができる。平均直径が60nm〜110nmであって酸化処理したカーボンナノファイバーは、この黒鉛化処理を行った後で酸化処理することができる。この黒鉛化処理は、さらに2500℃〜3200℃であることができ、特に2800℃〜3200℃であることができる。黒鉛化処理の温度が、2500℃以上であると、カーボンナノファイバーの骨格が黒鉛化(結晶化)し、カーボンナノファイバーの欠陥が減少し強度が向上することができ、3200℃以下であれば、黒鉛が昇華することによる黒鉛骨格の破壊が発生しにくい傾向がある。カーボンナノファイバーは、黒鉛化によって優れた強度、熱伝導性、電気伝導性などを有することができる。また、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバー及び平均直径が60nm〜110nmであって低温熱処理したカーボンナノファイバーは、このような黒鉛化処理を行わずにそのまま用いることができる。このように黒鉛化処理を行わないカーボンナノファイバーの表面は、適度に非結晶部分が存在するため、HNBRとの濡れ性が良好となる傾向がある。
平均直径が60nm〜110nmであって酸化処理したカーボンナノファイバーは、黒鉛化処理したカーボンナノファイバーを、酸素を含有する雰囲気中で600℃〜800℃で熱処理して得ることができる。
酸化処理工程は、例えば、大気雰囲気の炉内に黒鉛化処理したカーボンナノファイバーを配置し、600℃〜800℃の温度範囲の所定温度に設定し、熱処理することによって、表面が所望の酸素濃度に酸化されたカーボンナノファイバーを得ることができる。この熱処理時間は、所定温度の熱処理炉内でカーボンナノファイバーを保持する時間であって、例えば10分〜180分であることができる。酸素を含有する雰囲気は、大気中でもよいし、酸素雰囲気でもよいし、適宜酸素濃度を設定した雰囲気を用いてもよいが、熱処理炉の内容量や処理するカーボンナノファイバーの量によって熱処理炉に導入する酸素の量を適宜調節することができる。カーボンナノファイバーの表面が酸化処理工程で所望の酸素濃度に酸化されるのに十分な酸素濃度が雰囲気中に存在すればよい。熱処理の温度は、600℃〜800℃の範囲で所望の酸化処理を得るために適宜設定することができる。通常、800℃付近でカーボンナノファイバーは燃焼して繊維に大きなダメージを負うため、温度設定と熱処理の時間は実験を繰り返しながら慎重に設定することが望ましい。なお、熱処理の温度や熱処理の時間は、炉内の酸素濃度や炉の内容積、処理するカーボンナノファイバーの量などによって適宜調整することができる。また、本実施の形態における熱処理温度とは、熱処理炉内の雰囲気温度を示す。
酸化処理工程は、X線光電子分光法(XPS)で測定した、酸化処理前のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する酸化処理したカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加量が、0.5atm%〜2.6atm%になるように酸化処理を行うことができる。また、酸化処理工程は、X線光電子分光法(XPS)で測定した、酸化処理前のカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度に対する酸化処理したカーボンナノファイバーの表面の酸素濃度の増加割合が、20%〜120%になるように酸化処理を行うことができる。酸化処理したカーボンナノファイバーのX線光電子分光法(XPS)で測定した表面の酸素濃度は、2.6atm%〜4.6atm%であり、さらに3.0atm%〜4.0atm%であることができ、特に3.1atm%〜3.7atm%であることができる。このように、酸化処理前のカーボンナノファイバーの表面が適度に酸化していることで、酸化処理したカーボンナノファイバーとエラストマーとの表面反応性が向上し、エラストマー中におけるカーボンナノファイバーの分散不良を改善することができる。
このように酸化処理したカーボンナノファイバーの質量は、酸化処理前のカーボンナノファイバーの質量より例えば2%〜20%減量することができ、この減量の範囲であればカーボンナノファイバーが適度に酸化していると推測でき、HNBRに対する濡れ性が向上することができる。カーボンナノファイバーの質量が酸化処理前のカーボンナノファイバーの質量より20%を超えて少なくならなければ繊維長がほとんど短くならないと推測できる。なお、カーボンナノファイバーの表面の酸素濃度は、XPS(X線光電子分光法)によって分析することができる。XPSによる酸素濃度の分析は、カーボンナノファイバーの表面に付着した不純物を除去するために、測定前のカーボンナノファイバーに対し例えば0.5分〜1.0分間のアルゴンガスエッチングを行い、カーボンナノファイバーの清浄な表面を出してから分析を行うことが好ましい。このアルゴンガスエッチングのアルゴンガス濃度は、5×10−2Pa〜20×10−2Paであることができる。また、XPSによる酸素濃度の分析は、XPS装置の金属台の上に導電性接着剤である例えばカーボンテープを貼り、そのカーボンテープ上にカーボンナノファイバーをふりかけてカーボンテープに付着させ、カーボンテープに付着しなかった余分なカーボンナノファイバーを振り落として取り除いた状態で行うことができる。このように、XPSによる酸素濃度の分析においては、カーボンナノファイバーをカーボンテープ上に押しつけてブロック状に固めることなく、なるべく粉体に近い状態で分析することができる。
酸化処理したカーボンナノファイバーは、ラマン散乱分光法によって測定される1600cm−1付近のピーク強度Gに対する1300cm−1付近のピーク強度Dの比(D/G)が0.12〜0.22であることができる。酸化処理したカーボンナノファイバーのラマンピーク比(D/G)は、その表面の結晶に欠陥が多くなるため、酸化処理前のカーボンナノファイバーのラマンピーク比(D/G)よりも大きくなる。酸化処理したカーボンナノファイバーは、そのラマンピーク比(D/G)が酸化処理前のカーボンナノファイバーのラマンピーク比(D/G)より0.02以上増加する程度に酸化することが望ましい。また、酸化処理したカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が34m/g〜58m/gであることができる。酸化処理したカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積は、その表面が荒れるため、酸化処理前のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積よりも大きくなる。酸化処理したカーボンナノファイバーは、その窒素吸着比表面積が酸化処理前のカーボンナノファイバーの窒素吸着比表面積より9m/g以上増加する程度に酸化することが望ましい。酸化処理したカーボンナノファイバーの平均直径は、酸化処理前のカーボンナノファイバーの平均直径とほとんど変わらないことができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるシール部材に用いるカーボンナノファイバーの圧縮処理を模式的に示す斜視図である。カーボンナノファイバーは、さらに圧縮処理することができる。圧縮処理によって、カーボンナノファイバーは造粒されることができる。また、気相成長法によって製造されたカーボンナノファイバーは、そのままでは分岐部を有するカーボンナノファイバーを含み、圧縮処理は、カーボンナノファイバーを少なくとも分岐部から切断するための高い圧力で行うことができる。圧縮処理は、図中の矢印方向に連続回転する複数例えば少なくとも2本のロール72,74間に原料であるカーボンナノファイバー60を投入して、剪断力と圧縮力とをカーボンナノファイバーに加えることによって行う、例えばロールプレス機やローラーコンパクター(ロール式高圧圧縮成形機)のような乾式圧縮造粒機70を採用することができる。気相成長法によって製造された複数のカーボンナノファイバー60を乾式圧縮造粒機70に投入して圧縮処理することで、圧縮処理された複数のカーボンナノファイバー80の集合体を得ることができる。ロールプレス機は、通常ロール外周面にポケットを刻まない平滑ロールまたはポケットを刻んだロール等を使用するが、本実施の形態においてはカーボンナノファイバーに均等に圧縮力を加えるために平滑ロールを用いることができる。また、2本のロールの間隔は0mmすなわちロール同士が接触するように設定され、さらに2本のロール間には所定の圧縮力F例えば980〜2940N/cmを与えることができ、さらに1500〜2500N/cmを与えることが好ましい。圧縮力Fは、得られたカーボンナノファイバー集合体80における分岐部の有無を電子顕微鏡などで確認しながら適当な圧力に設定することができる。980N/cm以上であれば分岐部を有するカーボンナノファイバーを分岐部で切断することができる。このような圧縮処理は、カーボンナノファイバー全体の均質化のため、複数回例えば2回程度行うことができる。造粒機では、一般に粉体を結合するために水などのバインダーを配合することが多いが、本実施の形態における圧縮処理は、カーボンナノファイバー同士を結合するためのバインダーを用いない乾式造粒であることができる。バインダーを用いると、後工程でカーボンナノファイバーを分散させにくくする虞があり、バインダーを除去する工程がさらに必要になることがあるためである。なお、乾式圧縮造粒機70によって2本のロール間で圧縮して板状(フレーク)のカーボンナノファイバー80の集合体に成形した後、さらに粉砕機などで破砕し、所望の大きさに整粒したカーボンナノファイバー80の集合体をつくることができる。このときの粉砕機は、例えば回転刃を高速回転させてその剪断力によりカーボンナノファイバー80の集合体を破砕し、スクリーンを用いて適当なサイズ以下のカーボンナノファイバー80の集合体だけを通して整粒を行うことができる。圧縮処理だけではカーボンナノファイバー80の集合体の大きさにばらつきが大きいが、このようにさらに破砕することでカーボンナノファイバー80の集合体の粒径が適度な大きさに整えられるため、マトリックス材料と混練した時のカーボンナノファイバーの集合体の偏りを防ぐことができる。この圧縮処理によってカーボンナノファイバーが分岐部で切断され、ふわりとしない所望の嵩密度になって加工時の取り扱いが容易になり、例えば板状のカーボンナノファイバー集合体に造粒されることができる。
(II)水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムは、水素化ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴムあるいは水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどと呼ばれることがある。以下の説明では、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムをHNBRと省略する。HNBRは、ニトリルゴム(NBR)に含まれる二重結合を水素添加することによって得ることができる。HNBRは、比較的高温特性に優れ、耐摩耗性に優れることから、例えば検層装置のシール部材に用いることができる。HNBRは、175℃未満の高温の環境においても使用可能であり、特に150℃までの環境において好適に用いることができる。本実施の形態に用いるHNBRは、アクリロニトリル含有量が30〜50質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が50〜100、水素化率90%以上であることができる。アクリロニトリル含有量が30質量%以上であると耐油性に優れ、ガス透過性が大きいことが原因のブリスター(blister)になりにくく、アクリロニトリル含有量が50質量%以下であれば耐水性があるので水系に使用可能である。また、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が50以上であると引張強さ(TB)や引張永久ひずみ(PS)などの基本要求性能を有することができ、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が100以下であれば適度な粘度を有するので加工することができる。水素化率90%以上であれば耐熱性に優れることができる。
(III)充填剤
充填剤は、平均粒径が5nm〜100nmである。充填剤としては、エラストマーの充填剤として用いることのできるカーボンブラック、シリカ、クレー、タルクなどから少なくともひとつを選択することができる。カーボンブラックは、平均粒径が10nm〜100nmであることができる。シリカ、タルク及びクレーは、平均粒径が5nm〜50nmであることができる。本実施形態における充填剤にはカーボンナノファイバーは含まれない。
充填剤をHNBRに配合することによって、HNBRのマトリックス領域を充填剤によって微小サイズに分割することができ、その微小サイズに分割されたマトリックス領域はカーボンナノファイバーによって補強すればよいので、したがって、充填剤を配合することでカーボンナノファイバーの配合量を少なくすることができる。
また、充填剤のアスペクト比は、カーボンナノファイバーのおよそ10倍以上であり、実験結果から充填剤を10質量部配合することでカーボンナノファイバーの配合量を例えば1質量部削減することができる。
シール部材は、カーボンナノファイバーをHNBR100質量部に対して10質量部〜100質量部含むことができるが、カーボンナノファイバーの種類によって、あるいは充填剤の配合の有無によって、カーボンナノファイバーの配合量を適宜変更することができる。
平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーを用いる場合には、HNBR100質量部に対し、カーボンナノファイバー10質量部〜60質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜100質量部と、を含む。このとき、シール部材におけるカーボンナノファイバーと充填剤との配合量は、充填剤の配合量(質量部)をW1とし、カーボンナノファイバーの配合量(質量部)をW2としたとき、式(1):Wt=0.1W1+W2及び式(2):20≦Wt≦60を満たす。したがって、充填剤を含まない場合には平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーを最低でも20質量部含むことができ、カーボンナノファイバーを10質量部とする場合は充填剤を100質量部含むことができる。
また、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーを用いる場合には、HNBR100質量部に対し、カーボンナノファイバー14質量部〜100質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜60質量部と、を含む。このとき、シール部材におけるカーボンナノファイバーと充填剤との配合量は、充填剤の配合量(質量部)をW1とし、カーボンナノファイバーの配合量(質量部)をW2としたとき、式(3):Wt=0.1W1+W2及び式(4):20≦Wt≦100を満たす。したがって、充填剤を含まない場合には平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーを最低でも20質量部含むことができ、カーボンナノファイバーを14質量部とする場合は充填
剤を60質量部含むことができる。
(IV)シール部材の製造方法
本発明の一実施の形態にかかるシール部材の製造方法は、カーボンナノファイバーを、HNBRに混合し、かつ、剪断力で該HNBR中に均一に分散して炭素繊維複合材料を得る工程を含む。シール部材は、炭素繊維複合材料を所望の形状に成形することで得られる。本工程では、カーボンナノファイバーは、圧縮処理して得られたカーボンナノファイバー集合体を用いることができる。本工程について図2〜図4を用いて詳細に説明する。
図2〜図4は、本実施の形態にかかるオープンロール法を用いたシール部材の製造方法を模式的に示す図である。原料となるHNBRは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃、観測核がHで測定した、未架橋体における、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100〜3000μ秒であることができ、以下に説明する薄通しの工程における温度の範囲で100〜3000μ秒であることができる。市販されている液体状でないHNBRは、前記T2nの範囲内である。なお、カーボンナノファイバーに磁場をみだす影響がある物質が含まれている場合には測定できない場合がある。
図2〜図4に示すように、2本ロールのオープンロール2における第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm〜1.5mmの間隔で配置され、図2〜図4において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。まず、図3に示すように、第1のロール10に巻き付けられたHNBR30の素練りを行ない、HNBR分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたHNBRのフリーラジカルがカーボンナノファイバーと結びつきやすい状態となる。
次に、図3に示すように、第1のロール10に巻き付けられたHNBR30のバンク34に、カーボンナノファイバー80及び必要に応じて図示していない充填剤を投入し、混練する。HNBR30とカーボンナノファイバー80とを混合する工程は、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
さらに、図4に示すように、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0〜0.5mmの間隔に設定し、混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを1回〜複数回行なう。薄通しの回数は、例えば1回〜10回程度行なうことができる。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることができ、さらに1.05〜1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。このように狭いロール間から押し出された炭素繊維複合材料50は、HNBR30の弾性による復元力で図4のように大きく変形し、その際にHNBR30と共にカーボンナノファイバー80が大きく移動する。薄通しして得られた炭素繊維複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さのシート状に分出しされる。この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0〜50℃、より好ましくは5〜30℃の比較的低い温度に設定して行われ、HNBR30の実測温度も0〜50℃に調整されることができる。このようにして得られた剪断力により、HNBR30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバー80がHNBR分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、HNBR30中に分散される。特に、HNBR30は、弾性と、粘性と、カーボンナノファイバー80との化学的相互作用と、を有するため、カーボンナノファイバー80を容易に分散することができる。そして、カーボンナノファイバー80の分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでHNBRとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するHNBRがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、HNBRの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。カーボンナノファイバーの表面が例えば酸化処理によって適度に活性が高いと、特にHNBR分子と結合し易く好ましい。次に、HNBRに強い剪断力が作用すると、HNBR分子の移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるHNBRの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、HNBR中に分散されることになる。本実施の形態によれば、炭素繊維複合材料が狭いロール間から押し出された際に、HNBRの弾性による復元力で炭素繊維複合材料はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した炭素繊維複合材料をさらに複雑に流動させ、カーボンナノファイバーをHNBR中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、HNBRとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
HNBRにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる工程は、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をHNBRに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。HNBRとカーボンナノチューブとの混合前、混合中、あるいは薄通し後の分出しされた炭素繊維複合材料に、架橋剤を混合することができ、架橋して架橋体の炭素繊維複合材料とすることができる。
シール部材は、炭素繊維複合材料を一般に採用されるゴムの成形加工例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状例えば無端状に成形することで得ることができる。シール部材は、架橋された炭素繊維複合材料からなることができる。
本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法において、通常、HNBRの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。これらの配合剤は、混合の過程の適切な時期にHNBRに投入することができる。架橋剤としては、パーオキサイドを用いることができ、例えばカーボンナノファイバーをHNBRへ混合する前、カーボンナノファイバーと一緒、あるいはカーボンナノファイバーとHNBRを混合した後に投入することができ、例えばスコーチ防止のために架橋剤は薄通し後の未架橋の炭素繊維複合材料に配合することができる。
(V)シール部材
シール部材は、HNBRをカーボンナノファイバーによって補強することによって、高温における物性に優れ、しかも耐摩耗性に優れることができる。そのため、シール部材は、静的シール部材及び動的シール部材のどちらにも使用することができるが、特に動的シール部材として使用することができる。シール部材は、公知の形態を有することができ、例えば無端状であることができ、いわゆるOリングや、断面形状が矩形の角シール、断面形状がD字状のいわゆるDリング、断面形状がX字状のいわゆるXリング、断面形状がE字状のいわゆるEリング、断面形状がV字状のいわゆるVリング、断面形状がU字状のUリング、断面形状がL字状のLリングなどを採用することができる。また、シール部材は、例えばマッドモータなどの流体駆動用モータのステータもしくはロータとすることができる。
図5は、本発明の一実施形態にかかるシール部材の引張疲労試験を模式的に示す図である。
図5に示すように、本実施の形態におけるシール部材の引張疲労試験は、前記(IV)で製造した架橋体の炭素繊維複合材料を長さ10mm×幅4mm×厚さ1mmの短冊状の試験片100に切り出し、その試験片100の長辺102の中心から幅方向へ深さ1mmの切込み106を入れ、試験片100の両端の短辺104,104付近をチャック110,110にて保持して、大気雰囲気中、周波数1Hzの条件で図5の矢印T方向に繰り返し引っ張り荷重(0N/mm〜4N/mm)をかけ、破断するかあるいは100万回までの繰り返し回数を測定することができる。試験片100の切込み106は、カミソリ刃によって1mmの深さに切込むことで形成することができる。ゴム組成物の耐摩耗性試験は、これまでも幾つかの測定方法が提案されていたが、このような引張疲労試験によって耐摩耗性の評価を行うことができると考えられる。ゴム組成物が摩擦によって摩耗する現象は、被接触面にゴム組成物が引きちぎられるようにして起こると考えられるので、試験片に切込みを入れて引張疲労試験を行い、破断するまでの回数が多ければシール部材としての耐摩耗性が良好であると推測できる。シール部材は、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上である。シール部材は、70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が10,000回以上であることができ、さらに100万回を超えることができる。
また、シール部材は、150℃、最大引張応力2N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数Na回に対する、150℃、最大引張応力2.5N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数Nb回の比(Na/Nb)が0.7以上であることができ、さらに0.9以上であることができ、特に1.0であることができる。この破断回数の比(Na/Nb)は、高温・高圧における耐摩耗性の指標になると推測することができ、1.0に近ければ高圧における耐摩耗性に優れると考えることができる。シール部材は、150℃、最大引張応力2N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が10,000回以上であることができ、さらに20,000回以上であることができ、特に100万回以上であることができる。また、シール部材は、150℃、最大引張応力2.5N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が10,000回以上であることができ、さらに15,000回以上であることができ、特に100万回以上であることができる。150℃の引張疲労試験における破断するまでの回数が多ければ、シール部材としての150℃という高温における耐摩耗性が良好であると推測できる。
また、シール部材の耐摩耗性は、カーボンナノファイバーの太さや表面の濡れ性あるいは充填剤の配合の有無によって影響を受けることが推測できる。一実施形態に係るシール部材は、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバー10質量部〜60質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜100質量部と、を含み、カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(1)及び(2)を満たす。さらに、平均直径が10nm〜20nmのカーボンナノファイバーの配合量は、20質量部〜60質量部であることができ、特に40質量部〜60質量部であることができる。
Wt=0.1W1+W2 (1)
20≦Wt≦60 (2)
W1:充填剤の配合量(質量部)
W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
他の一実施形態に係るシール部材は、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバー14質量部〜100質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜60質量部と、を含み、カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(3)及び(4)を満たす。さらに、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーが酸化処理したカーボンナノファイバーであるとき、カーボンナノファイバーの配合量は、14質量部〜100質量部であることができ、特に54質量部〜100質量部であることができる。また、平均直径が60nm〜110nmのカーボンナノファイバーが低温熱処理したカーボンナノファイバーであるとき、カーボンナノファイバーの配合量は、さらに54質量部〜100質量部であることができ、特に60質量部〜100質量部であることができる。
Wt=0.1W1+W2 (3)
20≦Wt≦100 (4)
W1:充填剤の配合量(質量部)
W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
図6は、本発明の一実施形態におけるシール部材の摩耗試験を模式的に示す図である。
図6に示すように、シール部材の高圧摩耗試験は、DIN摩耗試験機120を用いて行い、前記(IV)で製造した架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを円盤状試験片126に切り出し、おもり129を用いて所定荷重で試験片126を回転する円盤形砥石128の表面に押しつけて摩耗させることができる。試験片126は水槽122の水124の中に配置され、摩擦熱による試験片126の温度上昇を抑えることができる。円盤状試験片126は直径8mm、厚さ6mmであることができ、おもり129は例えば5kgfを用いて49.0Nの荷重で試験片126を円盤形砥石128に押しつけることができ、円盤形砥石128の表面は#100の粗さであることができ、水槽122の水124は室温〜80℃に設定することができ、試験片126と円盤形砥石128とが摩擦する距離を20mとすることができ、その他はDIN−53516摩耗試験と同様にして、摩耗試験前後の試験片の質量(g)を計測することができる。
シール部材は、25℃の高圧摩耗試験における摩耗量Waが0.010cm/N・m〜0.035cm/N・mであり、摩耗量Waは、下記式(5)を満たすことができる。さらに、シール部材は、摩耗量Waが0.015cm/N・m〜0.035cm/N・mであることができ、特に0.015cm/N・m〜0.030cm/N・mであることができる。
Wa=(g−g)/(P・L・d) (5)
:摩耗前の試験片の質量(g)
:摩耗後の試験片の質量(g)
P:おもりの設定荷重(N)
L:摩耗距離(m)
d:比重(g/cm)。
シール部材を成形するための炭素繊維複合材料は、HNBRと、該HNBR中に均一に分散した気相成長法によって製造されたカーボンナノファイバーと、を含む。
炭素繊維複合材料は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって150℃、観測核がHで測定した、無架橋体における、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100〜3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0〜0.2であることができる。
炭素繊維複合材料の150℃で測定したT2n及びfnnは、マトリックスであるHNBRにカーボンナノファイバーが均一に分散されていることを表すことができる。つまり、HNBRにカーボンナノファイバーが均一に分散されているということは、HNBRがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたHNBR分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、炭素繊維複合材料の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないHNBR単体の場合より短くなり、特にカーボンナノファイバーが均一に分散することでより短くなる。
また、HNBR分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってHNBRの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する成分の成分分率(fnn)は、fn+fnn=1であるので、カーボンナノファイバーを含まないHNBR単体の場合より小さくなる。したがって、炭素繊維複合材料は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が上記の範囲にあることによってカーボンナノファイバーが均一に分散されていることがわかる。
また、カーボンナノファイバーの周囲には、HNBRの一部が混練中に分子鎖切断され、それによって生成されたフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面をアタックして吸着したHNBR分子の凝集体と考えられる界面相が形成される。界面相は、例えばエラストマーとカーボンブラックとを混練した際にカーボンブラックの周囲に形成されるバウンドラバーに類似するものと考えられる。このような界面相は、カーボンナノファイバーを被覆して保護し、また、カーボンナノファイバーを所定量以上配合することで界面相同士が連鎖した界面相に囲まれてナノメートルサイズに分割されたHNBRの小さなセルを形成すると推定される。このような小さなセルが炭素繊維複合材料の全体にほぼ均質に形成されることで、単に2つの材料を複合したことによる効果を超えた効果を期待することができる。このようなセル構造の大きさは、例えば隣接するカーボンナノファイバー間の距離を測定した平均値でおおよそのセルの大きさを表すと、カーボンナノファイバーを60質量部配合した時に45nm程度であることができる。
さらに、本発明の一実施形態によれば、シール部材は、過酷な条件な備えた油田用途に使用可能である。上述のように、このシール部材は、150℃以上の高温における高い機械的特性を備えるだけでなく、25℃以下の比較的低温や5000psi以上の高圧でも高い機械的特性を維持したり、又は、高い耐摩耗性、低い摩擦性、HS、CH又はCOに対する高い耐ガス性、高い耐薬品性、若しくは、高い熱伝導性を有していたりするからである。
以下に、油田用途を詳述する。
(VI)油田用途
油田用途のシール部材は、例えば、油田装置(Oilfield Apparatus)に用いることができる。油田装置のシール部材は、静的シール部材及び動的シール部材に用いることができ、例えば、検層装置(logging tool)やモータのような回転機械やピストンのような往復動機械などに用いる場合には動的シール部材において高い効果を得ることができる。油田装置の代表的な実施形態について以下に説明する。
検層装置は、例えば掘削された坑井(borehole)内及び坑井周辺の地層、油層などの物理的特性や坑井あるいはケーシングの幾何学的特性(孔径、方位、傾斜等)、油層の流れの挙動などを深度毎に記録するための装置である。油田用途の検層装置としては、例えば、図7に示す海底(subsea)用途と、図10に示す地下(underground)用途と、を挙げることができる。検層装置には、ワイヤーライン検層(Wireline log/logging)や泥水検層(Mud logging)などがあり、測定機器が掘削アッセンブリーに装備されている掘削中検層(LWD:Logging While Drilling)や掘削中測定(MWD:Measurement While Drilling)などがある。これらの検層装置は、地中の深い位置で作業するため、周囲環境はシール部材にとって苛酷になり、高温特に175℃未満にさらされた状態で摩擦に耐えて液密状態を保たなければならないことがある。
図7〜図10を用いて、検層装置に用いられる本発明の一実施形態のシール部材について説明する。図7は、本発明の一実施形態にかかる海底用途の検層装置を模式的に示す断面図である。図8は、本発明の一実施形態にかかる図7の検層装置を模式的に示す部分断面図である。図9は、図8の検層装置のマッドモータを模式的に示すX−X’断面図である。図10は、本発明の一実施形態にかかる地下用途の検層装置を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、海洋における、掘削アッセンブリーに装備された測定機器による地下資源の探査は、例えば海152に浮くプラットホーム150から海底154に設けられた縦穴や横穴などで構成される坑井156内に検層装置として例えば穴底組立体(BHA:bottom hole assembly)160を進入させ、地中の地質構造などを探査し、目標物質である例えば石油の有無を探査する。穴底組立体160は、例えばプラットホーム150から延びる長いドリル・ストリング(drill string)153の先端に固定され、複数のモジュールを有し、例えば、先端から順に、ドリルビット162、回転操作システム(RSS:rotary steerable system)164、マッドモータ(Mud moter)166、掘削中測定モジュール168、及び掘削中検層モジュール170を連結して有することができる。ドリルビット162は、坑井156の坑底部156aにおいて回転によって掘削を進めることができる。
図8に示す回転操作システム164は、ドリルビット162を回転させたまま一定の方向へビットを偏向させる図示しない偏向機構を有し、傾斜制御掘削を可能とするシステムである。回転操作システム164は、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。回転操作システム164は、例えば最大約210℃において高い耐摩耗性をもったシール部材や、様々な泥水への暴露に対する高い耐薬品性を有するシール部材が必要である。従来のシール部材は、ゴムの摩耗及び断裂によって機能しなくなる傾向があった。特に、厳しい化学的環境においては、問題は深刻となる傾向があった。米国特許出願公開第2006/0157283号に示されているようなロータリー・ステアラブル・システムのためのシール部材は、高い摺動速度(〜100mm/sec)で機能を果たすことが要求されるが、使用温度におけるエラストマーの特性低下及び掘削流体の摩耗特性により、シール部材の前記問題が助長される傾向があった。これに対して、本発明の一実施形態のシール部材を回転操作システム164のシール部材に用いることによって、上述のシール部材の特性に加えて、粒子を含む掘削マッドから密閉するための高い耐摩耗性、広範な掘削流体に対するより優れた耐薬品性、及び断裂を減少させる高温におけるより優れた機械的特性により、上記の諸課題を解決することができる。回転操作システム164は、回転しない円筒形の筐体164aと、筐体164a内を貫通してマッドモータ166の回転力をドリルビット162へ伝える伝達軸164bと、伝達軸164bを筐体164a内で回転可能に支持するシール部材164cとを有する。シール部材164cは、筐体164aに設けられた環状溝にはめ込まれた例えば無端状のOリングであることができ、回転する伝達軸164bの表面との間で密封する機能を有する。このシール部材164cが前記(IV)で得られたシール部材であることで、高温例えば175℃程度までの地下の過酷な環境においても耐摩耗性に優れるため、長時間密封機能を維持することができる。このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許出願公開第2006/0157283号と米国特許第7,188,685号とにおいて見られる。より詳細に述べると、米国特許出願公開第2006/0157283号の図5は、ロータリー可変アセンブリのバイアス装置の穴を密閉するピストン上のシール部材を示している。米国特許第7,188,685号は、バイアス装置を示している。
図9に示すマッドモータ166は、ダウンホール・モーターとも呼ばれ、泥水の流力を動力として、ドリルビット162を回転させるための流体駆動モータである。マッドモータ166は、例えば、偏距坑井掘削用(for deviated wellbore drilling applications)のマッドモータを挙げることができ、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。マッドモータ166は、例えば、最大約150℃〜200℃の高温特性を持ったシール部材、極度の摩耗条件下で機能することができるシール部材、あるいは様々な掘削マッドを取り扱うための耐薬品性を有するシール部材が必要である。従来のマッドモータのシール部材は、例えば、シール部材の膨張、クラック及びシール部材本体の大きな断片の脱落(チャンキング現象)による密閉不足、高温における摩耗による密閉不足、そしてシール部材の摩耗作用によるシール部材の局部加熱及びさらなる劣化が生じる傾向があった。これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をマッドモータ166のシール部材に用いることによって、上述のシール部材の特性に加えて、高温におけるより優れた機械的特性により断裂及び脱落を減少させ、優れた耐薬品性による広範な掘削流体に対する耐性、より優れた熱伝導性による局部加熱部分の減少などにより、上記の諸課題を解決することができる。マッドモータ166は、円筒形の筐体166aと、筐体166aの内周面には管状のステータ166が固定され、ステータ166dの内側にはロータ166cが回転可能に配置されている。ステータ166bの内周面166dは、例えば5本の螺旋状の溝が回転操作システム164側から掘削中測定モジュール168側へと延びている。ステータ166bは、前記(IV)で得られた本発明の一実施形態のシール部材を用いることができる。例えば金属製のロータ166cの外周面166eは、例えば4本の螺旋状に突出したねじ山を有し、ステータ166bの内周面166dの溝に沿って配置されている。ステータ166bの内周面166dとロータ166cの外周面166eとは、図9のように一部で接触し、内周面166dと外周面166eとの隙間166fに泥水を流す流路が形成される。この隙間166fを流れる泥水とロータ166cの外周面166eが接触することによって、ロータ166cがステータ166b内を例えば図8,図9の矢印の方向へ偏心回転することができる。このとき、ステータ166bの内周面166dとロータ166cの外周面166eとは、接触し、かつ、泥水によって偏心回転するため、ステータ166bの内周面166dはいわゆるシール部材と同様に機能する。したがって、前記したような地下の過酷な環境においても耐摩耗性に優れるため、マッドモータ166のロータ166cを長時間回転駆動させることができる。なお、本実施の形態においては、流体駆動モータとしてマッドモータ166を用いて説明したが、同様の構造を有しかつ流体を用いて駆動する他の流体駆動モータに採用することができ、また、ロータを前記(IV)で得られたシール部材で形成し、ステータを例えば金属で形成することもできる。このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許出願公開第2006/0216178号と、米国特許第6,604,922号とにおいて見られる。より詳細に述べると、米国特許出願公開第2006/0216178号の図3は、ロータを密閉してロータ上に掘削トルクを発生するエラストマーステータ(ライニング)としてのシール部材を示している。マッドは、ステータとロータの間を流れる。また、同じく図4は、ステータを密閉する、ロータに取り付けられたエラストマースリーブとしてのシール部材を示している。同じく図5は、ステータを密閉するロータ上のエラストマースリーブとしてのシール部材を示している。米国特許第6,604,922号の図4は、ステータに取り付けられたライナーの弾性層は密閉機能を有することを示し、この弾性層がシール部材として機能する。同じく図13は、エラストマー層からなるロータライニングが密閉機能を有することを示し、このエラストマー層がシール部材として機能する。
掘削中測定モジュール168は、ドリルカラー(drill collar)と呼ばれる厚い壁を有するパイプの壁部に設けられたチャンバー168a内に図示しない掘削中測定器具が配置されている。掘削中測定器具は、各種センサを含み、例えば、方位、傾斜、ビットの向き、荷重、トルク、温度、圧力等の坑底データを計測するとともに、これらの計測データをリアルタイムに地上へ伝送することができる。
掘削中検層モジュール170は、ドリルカラー(drill collar)と呼ばれる厚い壁を有するパイプの壁部に設けられたチャンバー170a内に図示しない掘削中検層器具が配置されている。掘削中検層器具は、各種センサを含み、例えば、比抵抗、孔隙率、音波速度及びガンマ線等を測定し、物理検層データを取得することができ、この物理検層データをリアルタイムに地上へ伝送することができる。
掘削中測定モジュール168及び掘削中検層モジュール170は、各種センサを泥水などから守るため、チャンバー168a,170a内において前記(IV)で得られた本発明の一実施形態のシール部材を用いることができる。
図10に示すように、地表155における、掘削アッセンブリーに装備された測定機器による地下資源の探査は、例えば坑井(borehole)156の上方に配置されたプラットホーム及びデリック組立体151と、デリック組立体151から地下に設けられた縦穴や横穴などで構成される坑井156内に検層装置として例えば穴底組立体(BHA:bottom hole assembly)160と、を有する。デリック組立体151は、例えば、フック151aと、回転スイベル(rotary swivel)151bと、ケリー(kelly)151cと、回転テーブル151dと、を含む。穴底組立体160は、例えばデリック組立体151から延びる長いドリル・ストリング(drill string)153の先端に固定される。ドリル・ストリング153の内部には、図示していないポンプから回転スイベル151bを介して泥水が送り込まれ、穴底組立体160の流体駆動モータを駆動させることができる。穴底組立体160については、基本的に図8〜10において説明した海底用途の検層装置と同様であるので、ここでは説明を省略するが、地下用途の検層装置においても本発明の一実施形態のシール部材を採用することができる。なお、孔底組立体160は、一実施形態として、ドリルビット162と、回転操作システム164と、マッドモータ166と、掘削中測定モジュール168と、掘削中検層モジュール170と、を有する例について説明したが、これに限らず、検層用途に合わせて選択して組み合わせることができる。
油田用途は、前記検層装置に限定されない。例えば、ワイヤーライン検層に用いられるダウンホール・トラクターに、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このようなダウンホール・トラクターの一例としては、シュルンベルジェ社のMaxTRAC又はTuffTRAC(いずれもシュルンベルジェ社の商標)がある。このようなダウンホール・トラクターは、高い耐摩耗性をもった往復動シール部材を、最大約175℃において、長期の運用年数と信頼性のために必要とする。
これまでのシール部材は、ダウンホール・トラクターにあるシーリングピストンの表面に対して高度な研磨を必要としていた。このようにシール部材を研摩することで、製造の際に鏡面加工されたピストンやシリンダの表面の高い歩留まりにつながっていた。通常のエラストマーからなる従来のシール部材は、摩耗、漏洩、機器の寿命の低下、故障が発生していた。また、シール部材は、最大2000ft/hourの高い摺動速度で使用される場合もある。ダウンホール・トラクターに用いられるシール部材は、両側に油圧オイルが存在する状態又は一方の側に油圧オイルが存在し、他方の側に場合によっては粒子を含む泥水又は流体が存在する状態で機能する必要がある。また、トラクター作業においては、牽引距離よりも大きな摺動距離にわたって摺動シール部材が十分に機能することが必要となる。例えば、10,000フィートのトラクター作業では、シール部材は最大20,000フィート以下の累積摺動距離にわたって確実に機能することが求められる。さらに、シール部材は、通常、最大で200psiの差圧を受けることになる。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をダウンホール・トラクターに用いることによって、上述のシール部材の特性により、上記の諸課題を解決することができる。特に、密閉性のピストンや円筒の表面に対する加工が緩和され、製造費用を低減することができる。また、優れた耐摩耗性は、より長寿命かつ信頼できるシール機能に役立つことになる。さらに、長寿命は、低摩擦性によっても可能となる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第6,179,055号において見られる。より詳細に述べると、この米国特許の図9A及び図10Aはピストン上のシール部材を示している。この特許の図9B,10B,12も同様である。この特許の図15,12,16Bは、管材及びハウジングを密封するピストン上のシール部材を示している。また、この米国特許の図16Bは、ロッド上のシール部材を示している。
また、油田用途として、例えば、地層検査及び油層流体サンプリング機器(Formation testing and reservoir fluid sampling tool)にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このような機器は、例えば、シュルンベルジェ社のモジュラー・フォーメーション・ダイナミックス・テスター(MDT:シュルンベルジェ社の商標)を含む。このような地層検査及び油層流体サンプリング機器は、ポンプアウトモジュール及びその他ピストンにおいて、高い耐摩耗性を持ったシール部材を必要とする。また、地層検査及び油層流体サンプリング機器は、坑井を密封するために、高い耐摩耗性と最大約210℃の高温特性を持ったシール部材を必要とする。
これまでのシール部材は、ポンプアウトモジュールの移動装置(displacement unit)のピストンにおいては、多数の往復動が、油層流体を移動し、抽出し、供給して、サンプリングと、機器作動と、分析とをしていた。通常のシール部材を使用した従来のピストンシール部材は摩耗し、限られた寿命後に機能しなくなる傾向があった。この問題は、より高い温度において顕著に発生した。また、流体中の粒子の存在は、シール部材の摩耗及び破損を加速した。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材を地層検査及び油層流体サンプリング機器に用いることによって、上述のシール部材の特性により、上記の諸課題を解決することができる。特に、高温において高い耐摩耗性を有するシール部材は、寿命を向上することができる。低摩擦性を有するシール部材は、摩耗の減少及び寿命を向上することができる。また、高温における高い機械的特性を有するシール部材は、寿命及び信頼性を向上することができる。さらに、高い耐薬品性を有するシール部材は、高温における油井及び流体へ暴露する使用もできる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第6,058,773号及び米国特許第3,653,436号において見られる。より詳細に述べると、米国特許第6,058,773号の図2は、ポンプアウトモジュールに設けられた移動装置(DU)内のシャトルピストン上の往復運シール部材を示している。また、米国特許第3,653,436号の図2、図3、図4は、マッドケーキでライニングされた坑井表面を密閉しているエラストマー部材を示している。
また、油田用途として、例えば、その場流体サンプリングボトル(Insitu fluid sampling bottles)及びその場流体分析・サンプリングボトル(In situ fluid analysis and sampling bottles)にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このような機器は、例えば、地層検査及び油層流体サンプリング機器やワイヤーライン検層に用いることができる。このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルは、低温及び高温において、高圧での使用を可能とするシール部材を必要とする。また、このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルは、産出された様々な流体に暴露された場合に、高い耐薬品性を有するシール部材を必要とする。さらに、このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルは、耐ガス性を有するシール部材を必要とする。
このようなその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルにおいて、油層流体は、高圧高温を有する現場の油層条件で回収されていた。これらのボトルを地表まで回収すると、温度が低下するけれども圧力は高いままであった。回収後、サンプルは他の貯蔵用、輸送用又は分析用の容器に移された。サンプルボトル内の摺動ピストン上のシール部材は、サンプルの回収中はサンプルの輸送中と同様に、以下に説明する重要な機能を担っていた。例えば、地表まで回収する際に高圧低温密封ができない場合の深海域等におけるサンプルのロス、回収時の地表におけるサンプルのロス、サンプルとの化学的な不適合性及びガス吸収による膨張によって生じる密閉不良によるサンプルのロス、ガス吸収したシール部材が膨張してピストンの摩擦と抗力が増加する、シール部材の過度の膨張によりサンプルをボトルから他の貯蔵場所又は分析装置に移す際に固着及び密閉不足又はその他の問題、及び作業時に複数のサンプルボトルが重ねて使用されことによる問題などがあった。回収時の地表におけるサンプルのロスは、特にサンプルがHS、CH,COなどの物質を含む場合に、何らかの問題につながる可能性があった。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をその場流体サンプリングボトル及びその場流体分析・サンプリングボトルに用いることによって、上述のシール部材の特性に加え、高い耐ガス性と、高い耐薬品性と、高圧高温要求特性を満たしながら優れた低温密閉性能を達成することにより、上記の諸課題を解決することができる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第6,058,773号、米国特許第4,860,581号、及び米国特許第6,467,544号(brown他)において見られる。より詳細に述べると、米国特許第6,058,773号の図7は、サンプルボトル内のピストン上のシール部材を示している。米国特許第4,860,581号の図2における2つのボトルからなる構成は、サンプルボトル内のピストン上のシール部材を示している。米国特許第6,467,544号の図1は、シール弁を示している。
また、油田用途として、例えば、その場流体分析機器(IFA:InSitu Fluid Analysis tool)にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このようなその場流体分析機器は、ダウンホールPVT用の高い耐摩耗性及び耐ガス性を有するシール部材を必要とする。PVTは、圧力、体積、及び温度を分析することを意味する。また、その場流体分析機器は、産出した流体を取り扱うための高い耐薬品性有するシール部材を必要とする。さらに、その場流体分析機器は、高圧と最大約210℃の高温特性と高い耐ガス性とを持ったフローライン固定シール部材を必要とする。フローラインは、サンプリングした流体に暴露される領域のことである。
その場流体分析機器は、例えば、ダウンホールPVTでは、油層流体サンプルを回収し、圧力を減少させてガス生成を開始させると共にバブルポイントを決定することが必要となっていた。減圧は非常に急速で例えば3000psi/分超であり、PVTサンプル室に直接接続されたシール部材において急激な減圧が生じることがあった。シール部材は、200以上のPVTサイクルに耐えることができなければならなかった。また、ダウンホールPVT用のシール部材は、急激な減圧によるガスによって機能しなくなることがあった。そのため、従来の市販のシール部材では、210℃でダウンホールPVTを行うことができなかった。従来のシール部材では、フローライン中において、膨張による不良及びガス透過による水泡形成が生じることがあった。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をその場流体分析機器に用いることによって、上記の諸課題を解決することができる。高圧高温における機械的特性が優れているシール部材は、膨張傾向を減少することができる。カーボンナノファイバーによってシール部材中の空隙が減少したシール部材は、耐ガス性を向上することができる。シール部材の材料特性の向上によって、膨張及び急激な減圧に対する耐性を向上することができる。耐薬品性に優れたシール部材は、広範な産出流体に対して耐薬品性を向上することができる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許出願公開第2009/0078412号、米国特許第6,758,090号、米国特許第4,782,695号、及び米国特許第7,461,547号において見られる。より詳細に述べると、米国特許出願公開第2009/0078412号の図7は弁上のシール部材を示し、図5はピストンシール装置上のシール部材を示している。米国特許第6,758,090号の図21aは、弁及びピストン上のシール部材を示している。米国特許第4,782,695号は、ニードルとPVT処理室の間のシール部材を示している。米国特許第7,461,547号は、PVT分析用PVCU(圧力体積制御装置)内のピストンスリーブ装置のシール部材として、PVCUにおいて流体を隔離するための弁上のシール部材を示している。
また、油田用途として、例えば、ワイヤーライン検層、掘削中検層、坑井試験、穿孔(perforation)、サンプリング作業に用いられる全ての機器にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このような機器は、例えば、低温及び高温における高圧密閉を可能にするシール部材を必要とする。
このような機器は、例えば、深海における利用では、低温から高温にかけて広い温度範囲で機能するシール部材が要求され、低温においてシール部材が正常に機能しない場合には、電子部品等の空気室への漏洩や機器の故障が生じる可能性があった。また、深海域や北海等の冷水域でのサンプリングにおいて、シール部材は、低温から高温にかけて広い温度範囲で機能しなければならなかった。このような水域において、地中で回収したときのサンプルは高温であるが、地表へ運んだサンプルの温度は地表温度まで低下するからである。例えば、シール部材による高圧低温における密閉が不十分な場合には、サンプルの漏洩やロス及びその他の問題が生じる可能性があった。このような機器の多くは、油圧オイルで充填され、100〜200psiに加圧されるため、低温において十分に機能するシール部材を使用しない場合には、冷表面条件においてオイルの漏洩が生じたり、低温の深海部からの回収時に不具合が生じたりする可能性があった。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をこのような機器に用いることによって、上述のシール部材の特性に加え、優れた低温密封性、高温におけるより優れた機械的特性による高圧高温における優れた密閉性によって、上記の諸課題を解決することができる。
また、油田用途として、例えば、側壁コアリング機器(Side wall Coring Tool)にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このような側壁コアリング機器は、例えば、低摩擦性・高耐摩耗性を有するシール部材、長い寿命及び高い密閉信頼性を有するシール部材、最大約200℃の高温特性を持ったシール部材、あるいはデルタPが100psi以下(低速摺動)であるシール部材を必要とする。ここで、デルタPはピストンのシール部材両側における圧力差であり、例えばシール部材が低摩擦性を有することで、デルタPは小さくなり、すなわち小さな圧力差でピストンを動かすことができることを示す。
このような側壁コアリング機器は、例えば、シール部材が固着又は摩擦力の増加をもたらす場合には、コアリングを停止する場合があった。また、各コアの掘削では、地層を切断する間、シール部材と係合させることによってドリルビットを回転・摺動させることが要求された。さらに、高いコア掘削効率を維持するためには、シール部材における低いシーリング摩擦性が重要であった。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をこのような機器に用いることによって、上述のシール部材の特性に加え、以下の特性によって、上記の諸課題を解決することができる。低摩擦性のシール部材は、コア掘削作業及び作動/移動のための電力消費量を減少することができる。また、低摩擦性のシール部材は、固着(sticking)及び転がり摩耗(rolling)の傾向が減少し、コア掘削作業の効率を向上することができる。さらに、高い耐摩耗性を有するシール部材は、摩耗性を有する流体中における密閉寿命を向上することができる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許公開第2009/0133932号、米国特許第4,714,119号、及び米国特許第7,191,831号において見られる。より詳細に述べると、米国特許公開第2009/0133932号の図4及び図5は、モータによって駆動されるコアリングアセンブリのコアリングビット上のシール部材を示している。米国特許第4,714,119号の図3B、図7、図8は、最大2000rpmでモータによって試錐孔からコアを採掘するように駆動されたドリルビット上のシール部材を示している。米国特許第7,191,831号の図2A及び図2Bは、モータによって駆動されるコアリングビット及びコアリングアセンブリ間のシール部材を示し、図3及び図4で符号201〜204で示される部品の境界又は図8Bのビットとハウジング間には、本実施形態のシール部材のような低摩擦性シール部材を用いることで高い効率を達成することができる。
また、油田用途として、例えば、掘削用途のためのテレメトリー・発電機器(Telemetry and power generation tool in Drilling applications)にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このようなテレメトリー・発電機器は、例えば、高い耐摩耗性を有する回転シール部材、低摩擦性を有する回転・摺動シール部材、最大約175℃の高温特性を持ったシール部材を必要とする。
このようなテレメトリー・発電機器、例えば、米国特許第7,083,008号に開示されているようなマッドパルステレメトリ装置は、オイルで充填された機器の内部を、回転シール部材によって坑井流体(掘削泥水)から保護することが要求された。しかしながら、坑井流体中に粒子が含まれるため、シール部材の摩耗や断裂が増加する傾向があった。また、シール部材の摩滅及び摩耗による不十分な密閉により、泥水が侵入すると機器の故障が発生する可能性があった。また、米国特許第7,083,008号に開示されているテレメトリー及び発電機器は、外部流体で内部油圧を補償するピストン上の摺動シール部材を使用して動作しており、シール部材の摩耗、摩滅、膨張、固着により、外部流体の侵入による機器の故障が発生する可能性があった。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材をテレメトリー・発電機器に用いることによって、上述のシール部材の特性に加え、シール部材の耐摩耗性及び低摩擦性の向上により、より信頼性の高い作業及びより長いシール寿命が得られることによって、上記の諸課題を解決することができる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第7,083,008号において見られる。より詳細に述べると、米国特許第7,083,008号の図2はロータ間のシール部材/軸受アセンブリにおけるロータリシール部材を示し、図3aは圧力補償室内において油と坑井流体(マッド)を分離する補償形ピストン上の摺動シール部材を示している。
また、油田用途として、例えば、サンプリング及び地層検査のために坑井の一部を隔離するために使用される膨張パッカー(inflate packer)にも、本発明の一実施形態のシール部材を適用することができる。このような膨張パッカーにおけるシール部材は、坑井内の複数の位置における膨張・収縮の繰り返し作業を可能とするために高い摩耗強度と高温特性を有することが必要である。
従来のパッカーにおけるシール部材は、所望の高温特性を有していないために密閉機能に劣化・低下する傾向があった。また、従来のパッカーのシール部材は、所望の寿命を満たさない傾向があった。
これに対して、本発明の一実施形態のシール部材を膨張パッカーに用いることによって、シール部材がより優れた耐摩耗性及びより高い高温特性を有することにより、パッカー部材の寿命と信頼性を向上することができる。
このようなシール部材の使用は、例えば、本明細書において全体として援用される米国特許第7,578,342号、米国特許第4,860,581号、及び米国特許第7,392,851号において見られる。より詳細に述べると、米国特許第7,578,342号の図1A、図1B、図1Cは、シール部材が膨張して発破孔を密閉し、符号16で示される部材を隔離することを示している。また、図4Aのエラストマーシール部材(パッカー部材)又は図7、図8の符号712、812で示される部材がシール部材を示している。米国特許第4,860,581号の図1は、坑井を密閉する膨張パッカー部材を示している。米国特許第7,392,851号は、膨張パッカー部材を示している。
上記のように、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)カーボンナノファイバーの作成
触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)によって平均直径15nm、頻度最大直径18nm、剛直度指数4.8、ラマンピーク比(D/G)1.7、窒素吸着比表面積260m/gの多層カーボンナノファイバー(表1、2において「MWCNT−1」で示す)を製造した。製造条件は以下の通りであった。酸化アルミニウムの粉体10.0gを、クエン酸鉄アンモニウム0.2gと七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.1gを純水300mlに溶解させて得た溶液中に20分間、超音波処理により分散させた。次いでこの溶液を撹拌しながら100℃で乾燥し、触媒粉体を得た。この触媒粉体をアルミナ製ボートに入れ、管状電気炉中に配置した。電気炉の反応管は内径3cm、長さ1.5mの石英管で、中央部600mm長さ方向が加熱領域であり、その加熱領域の中央部に触媒粉体を入れたボートを配置した。電気炉をアルゴン雰囲気下で800℃まで昇温させた後、エチレンとアルゴンの混合ガスを30分間流通し、平均直径15nmのカーボンナノチューブを得た。カーボンナノファイバーの黒鉛化は行っていない。カーボンナノファイバーは、電子顕微鏡(SEM)を用いて1.0kV、1万倍〜10万倍で撮影した写真で繊維の屈曲していないほぼ直線状部分の長さとして隣接する欠陥の間隔Lxと繊維の直径Dを測定し、その結果を用いて、繊維の種類毎に200箇所の剛直度指数をLx/Dで計算し、その剛直度指数を測定箇所の数(200)で割って平均剛直度指数を求めた。
浮遊流動反応法によって、平均直径が87nmの未処理のカーボンナノファイバーを製造した。製造条件は以下の通りであった。縦型加熱炉(内径17.0cm、長さ150cm)の頂部に、スプレーノズルを取り付ける。加熱炉の炉内壁温度(反応温度)を1000℃に昇温・維持し、スプレーノズルから4重量%のフェロセンを含有するベンゼンの液体原料20g/分を100L/分の水素ガスの流量で炉壁に直接噴霧(スプレー)散布するように供給する。この時のスプレーの形状は円錐側面状(ラッパ状ないし傘状)であり、ノズルの頂角が60°である。このような条件の下で、フェロセンは熱分解して鉄徴粒子を作り、これがシード(種)となってベンゼンの熱分解による炭素から、カーボンナノファイバーを生成成長させ、カーボンナノファイバーを5分間隔で掻き落としながら1時間にわたって連続的に製造した。この未処理のカーボンナノファイバーを不活性ガス雰囲気の過熱炉内において2800℃で熱処理して黒鉛化したカーボンナノファイバー(表1、2において「MWCNT−5」と「MWCNT−6」で示す)を得た。黒鉛化したカーボンナノファイバー(MWCNT−5)は、平均直径87nm、頻度最大直径90nm、剛直度指数9.9、平均長さ9.1μm、表面の酸素濃度2.1atm%、ラマンピーク比(D/G)0.11、窒素吸着比表面積25m/gであって、昭和電工社製の多層カーボンナノファイバー(商品名:VGCF−S)であり、黒鉛化したカーボンナノファイバー(MWCNT−6)は、平均直径156nm、頻度最大直径160nm、剛直度指数6.8、平均長さ10μm、ラマンピーク比(D/G)0.18、窒素吸着比表面積15m/gであって、昭和電工社製の多層カーボンナノファイバー(商品名:VGCF)であった。
黒鉛化したカーボンナノファイバー(MWCNT−5)120gを容器(寸法は300mm×300mm×150mm)に入れ、50ml/minで大気雰囲気を連続流入した加熱炉(寸法は700mm×350mm×900mm)に入れ、650℃、2時間加熱炉内で保持して熱処理することで酸化処理を行って酸化処理したカーボンナノファイバー(表1、2において「MWCNT−2」で示す)を得た。酸化処理したカーボンナノファイバー(MWCNT−2)は、平均直径87nm、頻度最大直径90nm、剛直度指数9.9、表面の酸素濃度3.5atm%、ラマンピーク比(D/G)0.19、窒素吸着比表面積43m/gであって、黒鉛化したカーボンナノファイバー(MWCNT−5)の質量を100質量%としたときにおける酸化処理したカーボンナノファイバー(MWCNT−2)の質量の割合である質量残量率は88.9%であった。なお、加熱炉内の実際の温度は、設定温度に対し±30℃の範囲であった。
平均直径が87nmの前記未処理のカーボンナノファイバーを不活性ガス雰囲気中で前記浮遊流動反応法における反応温度より低温である1500℃で熱処理して低温熱処理したカーボンナノファイバー(表1、2において「MWCNT−3」で示す)を得た。低温熱処理したカーボンナノファイバー(MWCNT−3)は、平均直径87nm、頻度最大直径90nm、剛直度指数9.9、表面の酸素濃度2.1atm%、ラマンピーク比(D/G)1.12、窒素吸着比表面積30m/gであった。
なお、酸化処理したカーボンナノファイバー(MWNT−2)及び低温熱処理したカーボンナノファイバー(MWNT−3)は、製造工程におけるハンドリング性を向上させるため、ロール処理によって造粒された。ロール処理は、カーボンナノファイバーを、2本のロールを有する乾式圧縮造粒機であるロールプレス機(ロール径は150mm、ロールは平滑ロール、ロール間隔は0mm、ロール間の設定圧縮力(線圧)は1960N/cm、ギア比1:1.3、ロール回転数3rpm)へ投入して直径が約2〜3cmの板状の塊(カーボンナノファイバー集合体)に造粒し、さらに8枚の回転刃を有する破砕造粒整粒機(回転数15rpm、スクリーン5mm)を通して破砕し、粒径を整えた。
(2)実施例1〜10及び比較例1〜9の炭素繊維複合材料サンプルの作製
実施例1〜10及び比較例2〜9サンプルとして、オープンロール(ロール設定温度20℃)に、HNBR(表1,2では「HNBR−1」と「HNBR−2」で示した)を投入し素練り後、表1、2に示す所定量のカーボンナノファイバー及びカーボンブラック(表1,2では「HAF−CB」で示した)をHNBRに投入し混練りの後、ロールから混合物を取り出した。次に、この混合物をオープンロール(ロール温度10〜20℃、ロール間隔0.3mm)に巻きつけ、薄通しを繰り返し5回行なった。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。さらに、ロール間隙を1.1mmにセットして、薄通しして得られた炭素繊維複合材料を投入し、分出しした。分出ししたシートを120℃、2分間圧縮成形して厚さ1mmの実施例1〜10及び比較例2〜9の未架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを得た。また、薄通しして得られた炭素繊維複合材料に架橋剤としてパーオキサイド(表1,2では「PO」で示した)2質量部を加えて分出ししたシートを185℃、10分間圧縮成形して厚さ1mmの実施例1〜10及び比較例2〜6のシート状の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを得た。なお、比較例1は、カーボンナノファイバーを配合しなかったが、同様の混練工程を行った。
表1,2において、「HNBR−1」は、水素化率96%(ヨウ素価11)、アクリロニトリル含有量が36質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が85の日本ゼオン社製の水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムであり、「HNBR−2」は、水素化率94%(ヨウ素価15)、アクリロニトリル含有量が18質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が80の日本ゼオン社製の水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムであった。
また、表1,2において、「HAF−CB」は、平均直径28nmのHAFグレードのカーボンブラックであった。
(3)パルス法NMRを用いた測定
実施例1〜10及び比較例1〜9の各未架橋体の炭素繊維複合材料サンプルについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90°パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90°x−Pi−180°x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は、150℃であった。この測定によって、各サンプルについて第1のスピン−スピン緩和時間(T2n/150℃)と第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)とを求めた。測定結果を表1,2に示した。
(4)硬度、50%モジュラス、100%モジュラス、引張強さ、破断伸び、動的弾性率、永久伸び、引裂き強さ、引裂きエネルギー、引張疲労寿命及びDIN摩耗の測定
実施例1〜10及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS−A))をJIS K 6253に基づいて測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルをJIS6号形のダンベル形状に切り出した試験片について、東洋精機社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い引張強さ(表1,2において「TB(MPa)」で示した。)、破断伸び(表1,2において「EB(%)」で示した。)、50%応力(表1,2において「M50」で示した。)及び100%応力(表1,2において「M100」で示した。)を測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを短冊形(40×1×5(巾)mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数10HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い測定温度が25℃及び200℃における動的弾性率(表1,2において「E’(25℃)(MPa)」、「E’(200℃)(MPa)」で示した)を測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルをJIS5号試験片に切り出し、永久伸びを測定した。永久伸び(%)は、JIS K 6723を参考にして、1Mpaの定負荷を与え、70℃、24時間後の永久変形を測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルをJIS K 6252切込み無しのアングル形試験片に切り出し、島津製作所社製オートグラフAG−Xを用いて、引張速度500mm/minでJIS K 6252に準拠して引裂き試験を行い、最大引裂き力(N)を測定し、その測定結果を試験片の厚さ1mmで除して、引裂き強さ(N/mm)を測定し、縦軸を測定荷重(N)、横軸を試験機のストローク変位(mm)として引裂試験の荷重−変位曲線で囲まれる面積を引裂きエネルギーとした。
実施例1〜10及び比較例1〜9の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを、図5に示すような10mm×幅4mm×厚さ1mmの短冊状の試験片に切り出し、その試験片の長辺の中心から幅方向へ深さ1mmの切込みを入れ、SII社製TMA/SS6100試験機で引張疲労試験を行い、試験片が破断するかあるいは100万回までの引張回数を測定し、表1,2において「引張疲労寿命(回)」、「(a)引張疲労寿命(回)」及び「(b)引張疲労寿命(回)」と示した。表1,2において「引張疲労寿命(回)」と示した引張疲労試験は、大気雰囲気中、70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの条件で繰り返し引っ張り荷重(0N/mm〜4N/mm)をかけた。また、表1,2において「(a)引張疲労寿命(回)」と示した引張疲労試験は、大気雰囲気中、150℃、最大引張応力2N/mm、周波数1Hzの条件で繰り返し引っ張り荷重(0N/mm〜2N/mm)をかけた。表1,2において「(b)引張疲労寿命(回)」と示した引張疲労試験は、大気雰囲気中、150℃、最大引張応力2.5N/mm、周波数1Hzの条件で繰り返し引っ張り荷重(0N/mm〜2.5N/mm)をかけた。表1,2において「耐圧指数(b)/(a)」は、高圧における耐摩耗性の指標であって、(b)引張疲労寿命で測定した引張回数を(a)引張疲労寿命で測定した引張回数で割った値とした。なお、引張回数が100万回になっても破断しなかった場合には、表1,2に「100万回中断」と記載した。
実施例1,2,4〜6,9,10及び比較例2の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを直径8mm、厚さ6mmの円盤状試験片に切り出し、5kgfのおもりを用いて49.0Nの荷重で試験片を回転する#100の円盤形砥石に25℃の水中で押しつけ、摩耗距離20mとして、その他はDIN−53516摩耗試験と同様にして、摩耗試験前後の試験片の質量(g)を計測した。摩耗量Wa=(g−g)/(P・L・d)で計算して求め、表1,2には「DIN摩耗」として記載した。摩耗量Waの単位は、cm/N・mである。なお、gは摩耗前の試験片の質量(g)、gは摩耗後の試験片の質量(g)、Pはおもりの設定荷重(49N)、Lは摩耗距離(m)、dは比重(g/cm)であった。
実施例1,2,6及び比較例2の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルを直径8mm、厚さ6mmの円盤状試験片に切り出し、NACE(米国のNational Association of Corrosion Engineers) TM097−97に基づいて、圧力容器内に試験片を置き、室温でCO流体を用いて5.5(MPa)で24時間加圧後、減圧速度1.8(MPa/秒)で急速に減圧し、試験前後の試験片の体積変化を測定した。体積変化は、dV(%)=(Va−Vb)・100/Vbで計算した。なお、Vbは試験片の試験前の体積、Vaは試験片の試験後の体積である。体積変化dVは、ここでは試験後の体積膨張となり、耐ガス性を評価する試験であって、表1,2に「体積膨張(%)」として記載した。試験前の試験片の体積は、電子比重計にて測定し、具体的には、Va=(Wa−Ww)/dtで計算し、同様にして試験後の試験片の体積Vbも計算した。なお、Waは空気中の試験前の試験片の重さ、Wwは水中の試験前の試験片の重さ、dtは水温で補正した水の比重である。
各測定結果は、表1,2に示した。
Figure 0005592400
Figure 0005592400
表1,2の結果からも明らかなように、本発明の実施例1〜10の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例1〜9に比べて引張疲労寿命回数が多く、耐摩耗性に優れることが分かった。また、本発明の実施例1、2、4〜6、9、10の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例2に比べてDIN摩耗量が小さく、耐摩耗性に優れることが分かった。また、本発明の実施例1,2,5,6,10の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例2に比べて高温(150℃)においても耐摩耗性に優れていることが分かった。また、実施例1,2,6の架橋体の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例2に比べて体積膨張が小さく、耐ガス性に優れていることが分かった。
2 オープンロール
10 第1のロール
20 第2のロール
30 HNBR
60 カーボンナノファイバー
70 乾式圧縮造粒機
72、74ロール
80 カーボンナノファイバー集合体
100 試験片
106 切込み
110 チャック
120 DIN摩耗試験機
150 プラットホーム
151 デリック組立体
160 孔底組立体
162 ドリルビット
164 回転操作システム
166 マッドモータ

Claims (18)

  1. 水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、
    70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上であって
    前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、前記カーボンナノファイバー10質量部〜60質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜100質量部と、を含み、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が10nm〜20nmであり、
    前記カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(1)及び(2)を満たす、シール部材。
    Wt=0.1W1+W2 (1)
    20≦Wt≦60 (2)
    W1:充填剤の配合量(質量部)
    W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
  2. 水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に対し、カーボンナノファイバーを含み、
    70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が7,000回以上であって
    前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)100質量部に対し、前記カーボンナノファイバー14質量部〜100質量部と、平均粒径5nm〜100nmの充填剤0質量部〜60質量部と、を含み、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が60nm〜110nmであり、
    前記カーボンナノファイバーと前記充填剤の配合量は、下記式(3)及び(4)を満たす、シール部材。
    Wt=0.1W1+W2 (3)
    20≦Wt≦100 (4)
    W1:充填剤の配合量(質量部)
    W2:カーボンナノファイバーの配合量(質量部)。
  3. 請求項1または2において、
    70℃、最大引張応力4N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数が10,000回以上である、シール部材。
  4. 請求項1〜のいずれか1項において、
    25℃の高圧摩耗試験における摩耗量Waが0.010cm/N・m〜0.035cm/N・mであり、
    前記摩耗量Waは、下記式(5)を満たす、シール部材。
    Wa=(g−g)/(P・L・d) (5)
    :摩耗前の試験片の質量(g)
    :摩耗後の試験片の質量(g)
    P:おもりの設定荷重(N)
    L:摩耗距離(m)
    d:比重(g/cm)。
  5. 請求項において、
    前記カーボンナノファイバーは、酸化処理したカーボンナノファイバーである、シール部材。
  6. 請求項において、
    前記カーボンナノファイバーは、低温熱処理したカーボンナノファイバーであり、
    前記カーボンナノファイバーの配合量は、54質量部〜100質量部である、シール部材。
  7. 請求項1〜のいずれか1項において、
    前記シール部材は、油田装置に用いられる、シール部材。
  8. 請求項において、
    前記油田装置は、坑井内において検層を行う検層装置である、シール部材。
  9. 請求項において、
    前記シール部材は、前記油田装置内に配置された無端状のシール部材である、シール部材。
  10. 請求項において、
    前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのステータである、シール部材。
  11. 請求項10において、
    前記流体駆動モータは、マッドモータである、シール部材。
  12. 請求項において、
    前記シール部材は、前記油田装置内に配置された流体駆動モータのロータである、シール部材。
  13. 請求項1において、
    前記流体駆動モータは、マッドモータである、シール部材。
  14. 請求項1〜1のいずれか1項において、
    前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)は、アクリロニトリル含有量が30〜50質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が50〜100、水素化率90%以上である、シール部材。
  15. 請求項1〜1のいずれか1項において、
    前記カーボンナノファイバーは、前記水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(HNBR)に配合される前の段階において、剛直度=Lx÷D(Lx:カーボンナノファイバーの隣り合う欠陥と欠陥との間の距離、D:カーボンナノファイバーの直径)で定義される剛直度の平均値が3〜12である、シール部材。
  16. 請求項またはにおいて、
    前記充填剤は、平均粒径が10nm〜100nmのカーボンブラックである、シール部材。
  17. 請求項またはにおいて、
    前記充填剤は、平均粒径が5nm〜50nmであって、かつ、シリカ、タルク及びクレーから選ばれる少なくとも一つである、シール部材。
  18. 請求項1〜1のいずれか1項において、
    前記シール部材は、150℃、最大引張応力2N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数Na回に対する、150℃、最大引張応力2.5N/mm、周波数1Hzの引張疲労試験における破断回数Nb回の比(Nb/Na)が0.7以上である、シール部材。
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