JP5592677B2 - アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法 - Google Patents

アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、アンモニア含有廃水中に含まれるアンモニア性窒素を効率良く除去する水処理方法に関する。
アンモニア性窒素を含む廃水において、アンモニアを除去する方法として、アンモニアストリッピング法(非特許文献1、p412)が用いられている。
アンモニアストリッピング法とは、消石灰や水酸化ナトリウムを用いて廃水のpHを上昇させるとともに、必要に応じて水温を調整して廃水中の遊離アンモニアの割合を増大させた後、廃水を各種の充填材を充填したストリッピング塔の上部から散水するとともに、下部から大量の空気を吹き込むことにより、廃水の遊離アンモニアを空気中に放散する方法である。処理する廃水量と吹き込む空気量との比(以下、「気液比」という。)が、アンモニアの除去率に影響を及ぼす重要な要素であり、通常、数千倍の値がとられている。
しかし、アンモニアストリッピング法には、ランニングコストが高いという問題がある。アンモニアの除去率をあげるためには、水温およびpHをかなり上昇させる必要がある。従って、アンモニアストリッピング法単独でアンモニアを含む廃水中の窒素を除去するのは、得策ではない。またさらに、アンモニアストリッピング法では、放散するアンモニアガスの処理が必要であるという問題もある。この処理方法としては、アンモニア水とした後に硫安として回収、燃焼、触媒燃焼などの方法がある。しかしながら、いずれの方法も設備費、ランニングコストの更なる上昇を招いてしまう。
一方、微生物を用いる生物学的硝化−脱窒素法(非特許文献1、p413〜416)が、広く下水処理などに用いられている。微生物を用いる生物学的硝化―脱窒素法は、好気性独立栄養細菌(ニトロゾモナス、ニトロバクター等の硝化細菌)による生物学的酸化と、通性嫌気性従属栄養細菌(シュードモナス等)による生物学的還元の組合せから成っている。この原理は以下の通りである。
まず、硝化工程は、好気槽で行なわれ、以下の反応式(1)と(2)で示される2段の反応からなっており、関与する硝化細菌の種類は異なっている。
2NH4 ++3O2 → 2NO2 −+2H2O+4H+ ・・・(1)
2NO2 −+ O2 → 2NO3 − ・・・(2)
(1)式に示す反応は、ニトロゾモナスを代表種とするアンモニア酸化細菌(亜硝酸菌)によってもたらされ、(2)式に示す反応は、ニトロバクターを代表種とする亜硝酸酸化細菌(硝化菌)によってもたらされる。
次に、脱窒素工程は、嫌気槽で行なわれ、無酸素の条件下で以下の(3)式と(4)式に示す反応式に従って処理対象物が還元されて、酸化窒素ガス(N2O)あるいは窒素ガス(N2)となり大気中に放散される。
2NO2 −+ 6(H) → N2+2H2O+2OH− ・・・(3)
2NO3 −+10(H) → N2+4H2O+2OH− ・・・(4)
この脱窒素反応には水素供与体が必要であり、水素供与体として有機物が通常利用されている。都市下水などでは、下水中の有機物(BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)として表示される。)がそのまま用いられ、有機物を含まない廃水では、メタノールなどが外部から添加されることが多い。
ところで、硝化反応を行なう細菌は阻害を受けやすく、硝化反応を抑制する物質は、比較的広く調査されている(例えば、非特許文献2、特許文献1、特許文献2)。
これによると、例えば、フェノールは、わずか5.6mg/l存在するだけで、単位微生物あたりの硝化速度が75%減少することが報告されている。特許文献2では、フェノールをフェノール分解菌により除去した後に、アンモニア酸化菌にて反応を行なうバイオリアクターが用いられている。
またニトロバクターを代表種とする亜硝酸酸化細菌は、廃水中のアンモニア性窒素濃度が上昇し、遊離のアンモニア(NH3)濃度が上昇すると、この阻害を受けやすいと言われている(非特許文献3、p298)。特にpHが高くなりすぎると、遊離のアンモニアの存在割合が高まるため亜硝酸酸化細菌が阻害を受けやすくなり、亜硝酸が蓄積しやすくなる。このような場合、硝化反応は反応式(1)で停止しやすく、水中には亜硝酸性窒素が蓄積しやすい。都市下水(アンモニア性窒素濃度:50mg/l以下)では、このような現象はほとんど生じない。しかし、アンモニア性窒素濃度が高い工場等の廃水では、亜硝酸性窒素が蓄積しやすい。亜硝酸は、CODとして測定されるため、窒素除去が必要でない場合、反応式(1)の反応が生じないような硝化抑制運転がなされている。
廃水中のアンモニア性窒素濃度以外にも、溶存酸素(DO)(例えば、非特許文献4)、pH(例えば、非特許文献5)、水温(例えば、非特許文献6)、チオ硫酸、亜硫酸、チオシアン等の硫黄化合物(例えば、特許文献3)により、亜硝酸酸化細菌が阻害を受け、水中に亜硝酸が蓄積しやすくなることが知られている。
このように、生物学的硝化−脱窒素法においては、微生物の反応を阻害する様々な条件が知られているが、窒素除去が必要な場合、この特性を逆に利用する方法も考えられる。特に硝化工程においては、亜硝酸酸化細菌が、活性阻害を受ける条件で運転し、上記(1)式に示されるように、アンモニア性窒素を亜硝酸までの酸化で止めて、上記(3)式に示されるように、その亜硝酸から脱窒素を行なうことが考えられる。
この亜硝酸生成−亜硝酸脱窒素法((1)式+(3)式)は、硝酸生成―硝酸脱窒素法((1)式+(2)式+(4)式)と比較すると、硝化工程における必要酸素量は75%、必要COD量が60%程度で済むという利点がある(特許文献4、特許文献3)。
さらに、上記(1)式により蓄積した亜硝酸を電子受容体とし、流入廃水中のアンモニアを電子供与体として嫌気条件下で脱窒素反応を行なう嫌気性アンモニア酸化(Anammox)反応が、近年、実用化されつつあり、(5)式のように表される。(例えば、非特許文献7)
NH4 ++1.32NO2 −+0.066HCO3 −+0.13H+
→ 1.02N2+0.26NO3 −+0.066CH2O0.5N0.15+2.03H2O
・・・(5)
この嫌気性アンモニア酸化反応では、CODを必要としないため安価であり、しかも、処理水に亜硝酸が流出しないことから、処理水のCOD上昇を抑制できるという利点がある。
特開平8−141552号公報 特開2007−160236号公報 特開2005−211832号公報 特開2004−230338号公報
水処理管理便覧、丸善、平成10年 生物学的脱窒素法の歴史的考察、用水と廃水、Vol.13、No.11、P1362〜1374、1974 水処理工学(第二版)、技報堂出版、1990 Biodegradation,(2008)19:P303〜312 Rev Environ Sci Biotechnol(2007)6:P285〜313 Process Biochemistry,43(2008):P154〜160 Appl.Microbiol.Biotechnol.,(1998)50,P589〜596
このように、アンモニア性窒素を含む廃水の処理において、亜硝酸生成―亜硝酸脱窒素法や嫌気性アンモニア酸化法を用いることは、処理に必要な酸素量や有機物(COD)量を削減できるため有利である。しかしながら、これらの方法を行なうためには、硝化工程において硝酸の生成を制御して亜硝酸が安定して生成するように調節することが重要となるが、上述のように、アンモニア酸化細菌や亜硝酸酸化細菌の活性を阻害する条件が多数あるため、硝酸の生成を制御することができず、廃水中の窒素を効率良く除去できないという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硝酸の生成を最適に制御することにより、アンモニア性窒素を含む廃水において、廃水中の窒素を効率良く除去することが可能な、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、アンモニア性窒素を含む廃水をより安定して効率的に処理する方法について種々の検討を行なった結果、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与えた場合、活性が回復するまでに要する時間がアンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌で異なることを見出し、活性阻害条件の与え方と汚泥の保持時間を最適に制御することで、亜硝酸酸化菌に比べてアンモニア酸化菌の増殖(活性回復)が促進でき、硝酸の生成を制御することに成功した。
本発明の要旨とするところは、次の(1)〜(5)である。
(1)主反応器を用いてアンモニア含有廃水に対して硝化工程ならびに脱窒素工程を行なった後に、最終沈殿池により処理水と活性汚泥とを分離し、活性汚泥を返送汚泥として主反応器へ返送するアンモニア含有廃水の生物学的な処理方法において、前記主反応器から活性汚泥の一部を別の反応容器Aに取り出して、当該取り出した活性汚泥の一部に対して亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与える物質を所定濃度になるように添加した後に前記主反応器に返送し、かつ、前記別の反応容器Aに取り出す前記活性汚泥の流量Qs1を、SRT(Solid Retention Time)が下記式(1)で計算される値の範囲になるように設定することを特徴とする、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。
1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs1/Q)/T} ・・・(1)
ただし、μ1:アンモニア酸化細菌の比増殖速度(1/day)、μ2:亜硝酸酸化細菌の比増殖速度(1/day)、Qs1:主反応器から別の反応容器Aに取り出す流量(m3/day)、Q:主反応器に流入する廃水量(m3/day)、T:主反応器の反応時間(day)であり、上記式(1)における[1/{μ 2 −(Qs 1 /Q)/T}−1/μ 1 ]>0である。
(2)主反応器を用いてアンモニア含有廃水に対して硝化工程ならびに脱窒素工程を行なった後に、最終沈殿池により処理水と活性汚泥とを分離し、活性汚泥を返送汚泥として主反応器へ返送するアンモニア含有廃水の生物学的な処理方法において、前記返送汚泥の一部を別の反応容器Bに取り出して、当該取り出した返送汚泥の一部に対して亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与える物質を所定濃度になるように添加した後に前記主反応器に返送し、かつ、前記別の反応容器Bに取り出す前記返送汚泥の流量Qs2を、SRT(Solid Retention Time)が下記式(2)で計算される値の範囲になるように設定することを特徴とする、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。
1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs2/Q)・(Mr/M)/T}
・・・(2)
ただし、μ1:アンモニア酸化細菌の比増殖速度(1/day)、μ2:亜硝酸酸化細菌の比増殖速度(1/day)、Qs2:返送汚泥の一部を別の反応器Bに取り出す量(m3/day)、Q:主反応器に流入する廃水量(m3/day)、T:主反応器の反応時間(day)、M:主反応器中の活性汚泥濃度(mg/l)、Mr:返送活性汚泥濃度(mg/l)であり、上記式(2)における[1/{μ 2 −(Qs 2 /Q)・(M r /M)/T}−1/μ 1 ]>0である。
(3)主反応器を用いてアンモニア含有廃水に対して硝化工程ならびに脱窒素工程を行なった後に、最終沈殿池により処理水と活性汚泥とを分離し、活性汚泥を返送汚泥として主反応器へ返送するアンモニア含有廃水の生物学的な処理方法において、前記主反応器の上流側に予備反応器が設けられ、アンモニア含有廃水を予備反応器に供給するとともに、前記返送汚泥の一部を前記予備反応器に返送し、当該廃水と返送汚泥の一部を予備反応器で接触させながら、亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与える物質を所定濃度になるように当該予備反応器に添加した後、前記主反応器に供給し、かつ、前記予備反応器へ返送する前記返送汚泥の量Qs3を、SRT(Solid Retention Time)が下記式(3)になるように設定することを特徴とする、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。
1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs3/Q)・(Mr/M)/T}
・・・(3)
ただし、μ1:アンモニア酸化細菌の比増殖速度(1/day)、μ2:亜硝酸酸化細菌の比増殖速度(1/day)、Qs3:返送汚泥の一部を予備反応器に導入する量(m3/day)、Q:予備反応器に流入する廃水量(m3/day)、T:主反応器の反応時間(day)、M:主反応器中の活性汚泥濃度(mg/l)、Mr:返送活性汚泥濃度(mg/l)であり、上記式(3)における[1/{μ 2 −(Qs 3 /Q)・(M r /M)/T}−1/μ 1 ]>0である。
(4)前記主反応器において、前記硝化工程に亜硝酸生成法を用い、前記脱窒素工程に亜硝酸脱窒素法を用いること、あるいは前記硝化工程に亜硝酸生成法を用い、前記脱窒素工程に嫌気性アンモニア酸化反応法を用いることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のアンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。
(5)前記活性阻害を与える物質が、硫黄化合物、フェノール、廃水に添加後の濃度が60mg/l以上のアンモニア性窒素、の少なくとも1つ以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。
以上説明したように本発明によれば、アンモニア性窒素を含む廃水を安定して効率良く処理することが可能となる。
本発明に基づく実施形態1を示す説明図である。 本発明に基づく実施形態2を示す説明図である。 本発明に基づく実施形態3を示す説明図である。 本発明の実施形態1において、余剰汚泥の引き抜き量と好気槽の三態窒素濃度の関係を示すグラフ図である。 本発明の実施形態2において、別反応器へ導入する返送汚泥の量と好気槽の三態窒素濃度の関係を示すグラフ図である。 本発明の実施形態3において、別反応器へ流入させる返送汚泥の量と好気槽の三態窒素濃度の関係を示すグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に、本発明の実施形態1に係るアンモニア性窒素を含む廃水の生物学的処理方法のフローシートを示す。
まず、アンモニア性窒素を含む廃水1を、生物学的窒素除去能力を有する主反応器2に流入させる。主反応器2は、硝化工程(好気条件)でアンモニア性窒素を硝化細菌により硝酸性窒素に変換した後、脱窒素工程で脱窒細菌を用いて硝酸性窒素を流入廃水中の有機物を用いて窒素ガスとして除去を行なう。ここで、1つの反応器内で硝化工程と脱窒素工程を並立させても良いし、工程毎に反応器を分けて複数の反応器を使用しても構わない。
このとき、本実施形態では、主反応器2内の活性汚泥の一部6を別反応器(A)7へ連続的に抜き出し、亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質8を与えた後、主反応器2へ連続的に返送する。
この方法により、亜硝酸酸化細菌の一部に活性阻害を与えるだけで、主反応器2内ではアンモニア酸化細菌を優先的に保持することができ、主反応器2内の硝化工程を亜硝酸性窒素でとめる制御が可能となることがわかった。
アンモニア性窒素を含む廃水1を主反応器2にて反応させた後、最終沈殿池3にて活性汚泥と処理水4とを固液分離し、分離した活性汚泥は、返送汚泥5として主反応器2へ返送する。増殖した活性汚泥は、最終沈殿池3より余剰汚泥9として系外へ引き抜く。このように、本実施形態では、主反応器2から活性汚泥の一部を別反応器(A)7に抜き出して、活性阻害物質8を添加した後に主反応器2へ返送するプロセスと、主反応器2から最終沈殿池3に流入した活性汚泥及び処理水4を固液分離する処理とが、同時平行で実施される。
本発明者らは、この処理方法について詳細な検討を行なった結果、別反応器(A)7で与える亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質8は、アンモニア酸化細菌に対しても活性阻害を与えるが、亜硝酸酸化細菌とアンモニア酸化細菌では、活性阻害を受けた後の活性回復に要する時間に差異があることを見出した。
活性阻害物質8として、例えば、フェノールや硫黄化合物、添加後の廃水中の濃度が60mg/l以上となる量に相当するアンモニア性窒素を添加すると、亜硝酸酸化細菌とアンモニア酸化細菌の両方が活性阻害を受ける。ここで、この活性阻害物質8は、硝化工程における好気条件により、短時間で分解して除去されるため、活性阻害物質8が取り除かれると、亜硝酸酸化細菌よりもアンモニア酸化細菌の方が、活性が早く回復する。
このように、亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質により、アンモニア酸化細菌も一時的に活性阻害を受けるが、その後の活性回復に要する時間に差異があることから、本発明では、主反応器2内のアンモニア酸化細菌の活性を優先的に保持するために、Solid Retention Time(汚泥滞留時間、以下、SRTと記述する。)をアンモニア酸化細菌の増殖時間と同じかそれより長く、活性阻害を受けた亜硝酸酸化細菌の増殖時間より短く調整することとした。
尚、本発明においては、活性阻害を受けた微生物そのものが活性を取り戻すことで廃水の処理能力が回復する場合と、活性阻害を受けていない微生物が増殖することで廃水の処理能力が回復する場合の両方があるが、それらの詳細は未解明のため、これらを総称して活性が回復したと呼ぶ。
このSRTは、別反応器(A)7へ抜き出す活性汚泥の量6をQs1(m3/day)、主反応器に流入する廃水量をQ(m3/day)、アンモニア酸化細菌の比増殖速度をμ1(1/day)、亜硝酸酸化細菌の比増殖速度をμ2(1/day)、主反応器の反応時間をT(day)と表すとすると、以下の式(1)のように表現できる。
1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs1/Q)/T} ・・・式(1)
ここで、SRTは、微生物が系内に滞留している平均日数を示すもので、以下の式(a)により算出される値である。なお、以下の式(a)で表されるSRTの値は、余剰汚泥の引き抜き量を変化させることで調整可能である。
SRT(day)=反応器内汚泥量(kg)÷(余剰汚泥量(kg/day)+処理水中のSS量(kg/day)) ・・・式(a)
本発明においては、まず、SRTをアンモニア酸化細菌の増殖に必要な時間と同じかそれ以上とする必要があることから、SRTとアンモニア酸化細菌の比増殖速度μ1の逆数を用いて(1)式の最左辺を導出した。尚、比増殖速度とは単位微生物濃度あたりの増殖速度であり、1/μ1はアンモニア酸化細菌の増殖に必要な時間を示す。
アンモニア酸化細菌の一部は、別反応器(A)において、活性阻害物質8の添加により活性阻害を受けた後、主反応器内で活性阻害物質の影響を受けなくなった時点より増殖(活性を回復)しはじめる。この際、本発明で用いる活性阻害物質8は主反応器内で比較的短時間のうちに酸化されるため、活性阻害を受けたアンモニア酸化細菌の比増殖速度に与える影響は小さく無視できることから、本発明におけるアンモニア酸化細菌の増殖に必要な時間は1/μ1として問題ないことを確認している。
次に、本発明では、SRTを亜硝酸酸化細菌の増殖に必要な時間未満に設定する必要がある。反応時間がTの主反応器内の活性汚泥に対し、Qs1/Qの比率で活性阻害を与えるとすると、活性汚泥内に存在する亜硝酸酸化細菌の比増殖速度は[μ2−(Qs1/Q)/T]と表現できる。つまり、その逆数が本実施形態における亜硝酸酸化細菌の増殖に必要な時間を示すことから、本実施形態では、SRTが本実施形態における亜硝酸酸化細菌の比増殖速度の逆数未満になるよう(1)式の最右辺を導出した。
すなわち、本実施形態では、余剰汚泥の引き抜き量や別反応器へ抜き出す活性汚泥の量Qs1、主反応器に流入する廃水量Q、主反応器の反応時間Tを変化させて(1)式を満足するような値に設定することで、主反応器2内にアンモニア酸化細菌が優先的となり、アンモニア性窒素の酸化を亜硝酸性窒素で止めることが可能となる。
尚、微生物毎の比増殖速度は、対数増殖期において、以下のように表されることから、培養容器内に十分な量の基質と必要な無機塩類を添加して対象とする微生物を培養し、その微生物濃度Xを片対数目盛で経過時間tに対してプロットした時の傾きとして求めることができる。
dX/dt = μX

ここで、X:微生物濃度(mg/l)、t:時間(day)、μ:比増殖速度(1/day)である。
本発明の実施形態2に係るアンモニア性窒素を含む廃水の生物学的処理方法を、図2に示す。
図2に示した本実施形態では、亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質8を、最終沈殿池3から主反応器2へ返送される返送汚泥5の一部に与える。返送汚泥5の一部6を別反応器(B)7に抜き出し、この一部抜き出した亜硝酸酸化細菌に活性阻害物質8を与えた後、主反応器2へ返送することにより、亜硝酸酸化細菌の増殖が抑制でき、アンモニア酸化細菌を主反応器2内に優先的に保持することが可能となることがわかった。
このとき、SRTは、別反応器(B)7へ抜き出す活性汚泥の量6をQs2(m3/day)、主反応器に流入する廃水量をQ(m3/day)、アンモニア酸化細菌の比増殖速度μ1(1/day)、亜硝酸酸化細菌の比増殖速度μ2(1/day)、主反応器の反応時間T(day)、M:主反応器中の活性汚泥濃度(mg/l)、Mr:返送活性汚泥濃度(mg/l)と表すとすると、以下の式(2)のように表現できる。
1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs2/Q)・(Mr/M)/T}
・・・式(2)
(2)式の導出の考え方は(1)式と同様であるが、図2に示した実施形態においては、活性阻害物質8を与える別反応器(B)7内の活性汚泥濃度と主反応器2内の活性汚泥濃度が異なることから、Qs2/Qに各々の活性汚泥濃度の値を乗じたものを用いる。本実施形態では、余剰汚泥の引き抜き量や別反応器へ抜き出す活性汚泥の量Qs2、主反応器に流入する廃水量Q、主反応器の反応時間Tを変化させて(2)式を満足するような値に設定することで、主反応器2内にアンモニア酸化細菌が優先的となり、アンモニア性窒素の酸化を亜硝酸性窒素で止めることが可能となる。
本発明の実施形態3に係るアンモニア性窒素を含む廃水の生物学的処理方法を、図3に示す。
図3に示した本実施形態では、廃水1を、まず、予備反応器の一例である別反応器(C)7に流入させる。別反応器(C)7には、返送汚泥の一部6を返送するとともに、亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質8を与える。別反応器(C)7で反応の後、主反応器2にて硝化工程および脱窒素工程を経て、最終沈殿池5にて活性汚泥と処理水とに固液分離し、活性汚泥は返送汚泥5として別反応器(C)7および主反応器2へ返送する。別反応器(C)7は、亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与えれば良く、好気性、嫌気性のいずれでも構わない。
また、図3に示す実施形態においては、廃水1が亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質を含む場合には、廃水1中の活性阻害物質をそのまま使用することができ、別反応器7において亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質8を与えることを中断しても良い。
このとき、SRTは、別反応器7へ抜き出す活性汚泥の量6をQs3(m3/day)、主反応器に流入する廃水量をQ(m3/day)、アンモニア酸化細菌の比増殖速度μ1(1/day)、亜硝酸酸化細菌の比増殖速度μ2(1/day)、主反応器の反応時間T(day)、M:主反応器中の活性汚泥濃度(mg/l)、Mr:返送汚泥濃度(mg/l)と表すとすると、以下の式(3)のように表現できる。
1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs3/Q)・(Mr/M)/T}
・・・式(3)
(3)式の導出の考え方は(2)式と同様であり、本実施形態では、余剰汚泥の引き抜き量や別反応器へ抜き出す活性汚泥の量Qs3、主反応器に流入する廃水量Q、主反応器の反応時間Tを変化させて(3)式を満足するような値に設定することで、主反応器2内にアンモニア酸化細菌が優先的となり、アンモニア性窒素の酸化を亜硝酸性窒素で止めることが可能となる。
ここで、図1、図2、図3の各実施形態に示す方法により硝化工程では亜硝酸性窒素が安定して蓄積することから、主反応器2の脱窒素工程には、亜硝酸脱窒素法あるいは嫌気性アンモニア酸化反応法を用いることができる。
主反応器において、硝化工程に亜硝酸生成法を用い、脱窒素工程に亜硝酸脱窒素法を用いる場合には、主反応器として嫌気槽と好気槽を用い、流入する廃水1中の有機物を電子受容体として活用するために、初めに廃水を嫌気槽へ投入した後に好気槽へ搬入し、好気槽の処理水の一部を嫌気槽へ循環する。本発明の各実施形態に係る方法を用いると、好気槽内でアンモニア酸化細菌が優先的となり、好気槽の硝化工程を亜硝酸生成工程で止めることができ、硝化工程に必要な酸素量を25%程度削減可能となる。その結果、好気槽で生成した亜硝酸を嫌気槽へ循環することから、脱窒素工程は亜硝酸脱窒素反応となり、脱窒素工程に必要な有機物量が、硝酸脱窒素反応の場合に比べて40%程度少なくて済むため、廃水中の有機物量が不十分な場合であっても、添加するメタノール等の有機物が少なくて済み、効率良く廃水中のアンモニア性窒素を除去できる。
一方、硝化工程に亜硝酸生成法を用い、脱窒素工程に嫌気性アンモニア酸化反応法を用いる場合にも、主反応器として好気槽と嫌気槽を用い、初めに廃水を好気槽へ投入した後に嫌気槽へ搬入する。本発明の各実施形態に係る方法を用いると、好気槽内にアンモニア酸化細菌が優先的となり、好気槽のアンモニアは亜硝酸に変換される。その後段の嫌気槽に好気槽で生成した亜硝酸と未反応のアンモニアを流入させて、嫌気性アンモニア酸化反応を行う。このとき、アンモニアと亜硝酸の濃度は1:1.32程度の比が好ましく、この値になるように、亜硝酸生成工程においてpH、DO、ORP(酸化還元電位)、水温等を制御して亜硝酸の生成量を調節する。このように、流入する廃水中のアンモニア性窒素の一部を亜硝酸性窒素に変換して嫌気性アンモニア酸化反応を行なうことから、亜硝酸性窒素の生成量を上記の方法で調節することにより、任意の窒素除去量に調節することも可能となる。この好気槽において、アンモニア性窒素を硝酸性窒素まで酸化せずに亜硝酸性窒素で止めることから、好気槽内の硝化工程における必要酸素量を25%程度削減可能である。
ここで、本発明の各実施形態に用いる亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質としては、例えば、硫黄化合物、フェノール、廃水中の濃度が60mg/l以上になる量に相当するアンモニア性窒素、の少なくとも1つ以上を添加して与える。廃水の性状によっては、複数の阻害条件を同時に与えても構わない。
本発明の各実施形態においては、フェノールを活性阻害物質として与える場合には、例えば20mg/l以上で200mg/l以下の濃度になるように添加・調整することで、本発明の効果を得ることができる。また、硫黄化合物としては、亜硫酸、チオ硫酸、チオシアンが好適であり、40mg−硫黄/l以上で200mg−硫黄/l以下になるように添加・調整することで、本発明の効果を得ることが可能となる。また、アンモニア性窒素は60mg−N/l以上で700mg/l以下になるように添加・調整することで、本発明の効果を得ることが可能となる。
ここで、上記の添加量は一例であり、廃水の成分や微生物の種類によっても異なり、また複数の活性阻害物質が共存する場合にも値が変化する。そのため、以下のような方法を用いることで、活性阻害を生ずる値を確認することができる。
500mlのビーカーを複数個用意して、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌を含む活性汚泥と(NH4)2SO4とNaNO2と無機塩類とを含む培地を加えて500mlとし、曝気条件で回分式実験を行う。各ビーカー毎に、阻害物質の添加濃度を変えて実験を行い、実験開始後のアンモニア性窒素濃度と酸化態窒素の濃度変化を観察する。実験開始から例えば20時間後に、各ビーカーを静置して上澄みを取り除いた後、沈殿した活性汚泥を別の500mlビーカーに移して上記と同じ培地を加え、阻害因子や阻害物質を添加しない条件に保持して、活性の回復有無を観察する。この方法により、阻害物質がアンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌に作用する条件を確認することができる。
亜硝酸酸化細菌の活性阻害条件としては、フェノールや硫黄化合物、高濃度のアンモニア性窒素の添加以外に、pH、溶存酸素濃度、水温などがあり、例えばpHであれば7.5〜8.5、溶存酸素濃度の場合には0.5mg/l未満、水温の場合には25℃以上で活性阻害を生ずるが、pHや溶存酸素濃度、水温による活性阻害の場合、それらの阻害条件が無くなると直ちに亜硝酸酸化細菌の活性が回復するため、本発明の活性阻害条件としては有効ではなく、本発明の活性を阻害する物質の対象としない。
一方、別の反応容器に添加したフェノールや硫黄化合物は、別の反応容器より主反応器へ流入した際に主反応器内の好気槽で比較的短時間に酸化分解され、また、アンモニア性窒素の場合には、主反応器内の好気槽で硝化反応により亜硝酸性窒素に変換されるため、主反応器内のアンモニア酸化細菌の活性には影響を与えずに、連続的にアンモニア性窒素を含む廃水の生物学的処理が可能となる。
本発明で処理する廃水は、廃水の排出基準値を超過する濃度のアンモニア性窒素を含む廃水の全てにおいて適用可能であるが、高濃度のアンモニア性窒素を含む廃水に適用する場合、特に有効である。
よって、本発明は、製鉄所のコークス工場で発生する安水、化学工場や食品工場から発生する高濃度アンモニア性窒素を含む廃水の生物学的な処理に好適である。特に、コークス工場で発生する安水に適用する場合には、廃水中にフェノールや硫黄化合物など、亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質を含んでいるため、それらの活性阻害物質を有効に活用することが可能である。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す実施形態の実施例を示す。
対象廃水には、人工下水を用いた。また亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質として、フェノールを添加した。廃水の性状と活性阻害条件を、以下に示す。
<廃水の性状>
BOD : 120mg/l
NH4−N : 40mg/l
T−P : 5mg/l
フェノールの添加量 : 80mg/l
主反応器では、亜硝酸生成−亜硝酸脱窒素法を用いて連続処理を行った。装置の概要と処理条件を、以下に示す。
<装置の概要と処理条件>
主反応器
嫌気槽 200L
好気槽 300L
MLSS 平均 3,460mg/l
別反応器 50L
別反応器へ抜き出す活性汚泥の量 Qs1 43L/day
主反応器に流入する廃水量 Q 792L/day
アンモニア酸化細菌の比増殖速度 μ1 0.6 1/day
亜硝酸酸化細菌の比増殖速度 μ2 0.312 1/day
汚泥返送率 100%(=792L/day)
混合液循環率 200%
処理水SS 平均 360mg/l
余剰汚泥濃度 平均 8,280mg/l
余剰汚泥の引き抜き量 任意に設定
余剰汚泥の引き抜き量を調節してSRTを変化させた場合の好気槽における三態窒素濃度の測定結果を、図4に示す。尚、上記の運転条件においては、1/μ1は1.67dayとなり、1/{μ2−(Qs1/Q)/T}は4.42dayとなる。
図4より、余剰汚泥の汚泥引抜量が14L/day〜90L/dayの範囲で運転したところ、亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与え、好気槽に亜硝酸性窒素を蓄積することができた。余剰汚泥引抜量14L/dayは、SRT=4.3dayに相当し、90L/dayは、SRT=1.7dayに相当することから、汚泥引抜量を調整して、SRTを1/μ1と1/{μ2−(Qs1/Q)/T}の間に設定することで、好気槽での硝化反応を亜硝酸性窒素までで止めることができた。また、この方法により、好気槽での曝気量を25%程度削減できた。
また、図4に示したように、余剰汚泥引抜量が90L/day超過となる範囲では、亜硝酸性窒素の濃度が減少し、硝酸性窒素の濃度が増加している。また余剰汚泥引抜量が14L/day以下となる範囲では、亜硝酸性窒素の濃度が減少している。この結果から明らかなように、SRTが上記式(1)の範囲外となる場合には、好気槽での硝化反応を亜硝酸性窒素までで止めることができないことがわかった。
(実施例2)
図2に示す実施形態の実施例を示す。
廃水は、実施例1と同じものを用いた。実施例2における装置の概要と処理条件を以下に示す。
<処理条件>
主反応器
嫌気槽 200L
好気槽 300L
MLSS 7,560mg/l
別反応器 50L
別反応器へ抜き出す返送汚泥の量 Qs2 任意に設定
主反応器に流入する廃水量 Q 792L/day
アンモニア酸化細菌の比増殖速度 μ1 0.6 1/day
亜硝酸酸化細菌の比増殖速度 μ2 0.312 1/day
汚泥返送率 100%(=792L/day)
混合液循環率 200%
処理水SS 平均 288mg/l
余剰汚泥濃度(=返送汚泥濃度) 平均 15,640mg/l
余剰汚泥の引き抜き量 10L/day
亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与えるために別反応器に抜き出す返送汚泥量Qs2を調節して1/{μ2−(Qs2/Q)・(Mr/M)/T}の値を変化させた場合の好気槽における三態窒素濃度の測定結果を、図5に示す。尚、上記の運転条件においては、SRTは9.8day、1/μ1は1.67dayとなる。
図5より、別反応器へ導入する返送汚泥量を53L/day以上の範囲で運転したところ、亜硝酸酸化細菌の活性阻害が顕著となり、好気槽に亜硝酸性窒素を蓄積することができた。別反応器へ導入する返送汚泥量の53L/dayは1/{μ2−(Qs2/Q)・(Mr/M)/T}で10.8dayに相当し、活性阻害を与える返送汚泥量を調整して、SRT<1/{μ2−(Qs1/Q)・(Mr/M)/T}に設定することで、好気槽での硝化反応を亜硝酸性窒素までで止めることができた。またこの方法により、好気槽での曝気量を25%程度削減できた。
また、図5に示したように、別反応器へ導入する返送汚泥量が53L/day未満となる範囲では、亜硝酸性窒素の濃度が減少し、硝酸性窒素の濃度が増加している。一方、別反応器へ導入する返送汚泥量Qs2を40L/dayとした状態で、余剰汚泥の引き抜き量を10L/dayから140L/dayへ変更したところ、SRTは1.56dayとなり、排水中のアンモニア性窒素の濃度減少が無くなり、硝化反応が進まなくなった。これらの結果から明らかなように、SRTが上記式(2)の範囲外となる場合には、好気槽での硝化反応を亜硝酸性窒素までで止めることができないことがわかった。
(実施例3)
図3に示す実施形態の実施例を示す。
廃水は、コークス工場の安水を用いた。実施例3における装置の概要と廃水水質ならびに処理条件を以下に示す。
<廃水の性状>
COD : 400〜500mg/l
NH4−N : 400〜700mg/l
NO2−N : <0.1mg/l
NO3−N : <0.1mg/l
T−P : <0.1mg/l
フェノール : 60〜180mg/l
S2O3 2− : 90〜150mg/l
SCN : 60〜80mg/l
<処理条件>
主反応器
嫌気槽 200L
好気槽 300L
MLSS 5,200mg/l
別反応器 50L
別反応器へ流入させる返送汚泥の量 Qs3 任意に設定
主反応器に流入する廃水量 Q 720L/day
アンモニア酸化細菌の比増殖速度 μ1 0.6 1/day
亜硝酸酸化細菌の比増殖速度 μ2 0.312 1/day
汚泥返送率 100%
混合液循環率 200%
処理水SS 平均 170mg/l
余剰汚泥濃度(=返送汚泥濃度) 平均 11,800mg/l
余剰汚泥の引き抜き量 30L/day
亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与えるために別反応器へ流入させる返送汚泥量Qs3を調節して1/{μ2−(Qs3/Q)・(Mr/M)/T}の値を変化させた場合の好気槽における三態窒素濃度の測定結果を、図6に示す。尚、上記の運転条件においては、SRTは5.5day、1/μ1は1.67dayとなる。
図6より、別反応器へ流入させる返送汚泥量を30L/day以上の範囲で運転したところ亜硝酸酸化細菌の活性阻害が顕著となり、好気槽に亜硝酸性窒素を蓄積することができた。別反応器へ流入させる返送汚泥量の30L/dayは1/{μ2−(Qs3/Q)・(Mr/M)/T}で5.7dayに相当し、活性阻害を与える返送汚泥量を調整して、SRT<1/{μ2−(Qs3/Q)・(Mr/M)/T}に設定することで、好気槽での硝化反応を亜硝酸性窒素までで止めることができた。またこの方法により、好気槽での曝気量を25%程度削減できた。
また、図6に示したように、返送汚泥量が30L/day未満となる範囲では、亜硝酸性窒素の濃度が減少し、硝酸性窒素の濃度が増加している。一方、別反応器へ導入する返送汚泥量Qs3を20L/dayとした状態で、余剰汚泥の引き抜き量を30L/dayから130L/dayへ変更したところ、SRTは1.57dayとなり、排水中のアンモニア性窒素の濃度減少が無くなり、硝化反応が止まってしまった。これらの結果から明らかなように、SRTが上記式(3)の範囲外となる場合には、好気槽での硝化反応を亜硝酸性窒素までで止めることができないことがわかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 廃水
2 主反応器
3 最終沈殿池
4 処理水
5 返送汚泥
6 別反応器への抜き出し
7 別反応器
8 亜硝酸酸化細菌の活性阻害物質
9 余剰汚泥の引き抜き

Claims (5)

  1. 主反応器を用いてアンモニア含有廃水に対して硝化工程ならびに脱窒素工程を行なった後に、最終沈殿池により処理水と活性汚泥とを分離し、活性汚泥を返送汚泥として主反応器へ返送するアンモニア含有廃水の生物学的な処理方法において、
    前記主反応器から活性汚泥の一部を別の反応容器Aに取り出して、当該取り出した活性汚泥の一部に対して亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与える物質を所定濃度になるように添加した後に前記主反応器に返送し、かつ、前記別の反応容器Aに取り出す前記活性汚泥の流量Qs1を、SRT(Solid Retention Time)が下記式(1)で計算される値の範囲になるように設定することを特徴とする、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。

    1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs1/Q)/T} ・・・式(1)

    ただし、
    μ1:アンモニア酸化細菌の比増殖速度(1/day)
    μ2:亜硝酸酸化細菌の比増殖速度(1/day)
    Qs1:主反応器から別の反応容器Aに取り出す流量(m3/day)
    Q:主反応器に流入する廃水量(m3/day)
    T:主反応器の反応時間(day)
    であり、上記式(1)における[1/{μ 2 −(Qs 1 /Q)/T}−1/μ 1 ]>0である。
  2. 主反応器を用いてアンモニア含有廃水に対して硝化工程ならびに脱窒素工程を行なった後に、最終沈殿池により処理水と活性汚泥とを分離し、活性汚泥を返送汚泥として主反応器へ返送するアンモニア含有廃水の生物学的な処理方法において、
    前記返送汚泥の一部を別の反応容器Bに取り出して、当該取り出した返送汚泥の一部に対して亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与える物質を所定濃度になるように添加した後に前記主反応器に返送し、かつ、前記別の反応容器Bに取り出す前記返送汚泥の流量Qs2を、SRT(Solid Retention Time)が下記式(2)で計算される値の範囲になるように設定することを特徴とする、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。

    1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs2/Q)・(Mr/M)/T}
    ・・・式(2)

    ただし、
    μ1:アンモニア酸化細菌の比増殖速度(1/day)
    μ2:亜硝酸酸化細菌の比増殖速度(1/day)
    Qs2:返送汚泥の一部を別の反応器Bに取り出す量(m3/day)
    Q:主反応器に流入する廃水量(m3/day)
    T:主反応器の反応時間(day)
    M:主反応器中の活性汚泥濃度(mg/l)
    Mr:返送活性汚泥濃度(mg/l)
    であり、上記式(2)における[1/{μ 2 −(Qs 2 /Q)・(M r /M)/T}−1/μ 1 ]>0である。
  3. 主反応器を用いてアンモニア含有廃水に対して硝化工程ならびに脱窒素工程を行なった後に、最終沈殿池により処理水と活性汚泥とを分離し、活性汚泥を返送汚泥として主反応器へ返送するアンモニア含有廃水の生物学的な処理方法において、
    前記主反応器の上流側に予備反応器が設けられ、アンモニア含有廃水を予備反応器に供給するとともに、前記返送汚泥の一部を前記予備反応器に返送し、当該廃水と返送汚泥の一部を予備反応器で接触させながら、亜硝酸酸化細菌に活性阻害を与える物質を所定濃度になるように当該予備反応器に添加した後、前記主反応器に供給し、かつ、前記予備反応器へ返送する前記返送汚泥の量Qs3を、SRT(Solid Retention Time)が下記式(3)になるように設定することを特徴とする、アンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。

    1/μ1 ≦ SRT < 1/{μ2−(Qs3/Q)・(Mr/M)/T}
    ・・・式(3)

    ただし、
    μ1:アンモニア酸化細菌の比増殖速度(1/day)
    μ2:亜硝酸酸化細菌の比増殖速度(1/day)
    Qs3:返送汚泥の一部を予備反応器に導入する量(m3/day)
    Q:予備反応器に流入する廃水量(m3/day)
    T:主反応器の反応時間(day)
    M:主反応器中の活性汚泥濃度(mg/l)
    Mr:返送活性汚泥濃度(mg/l)
    であり、上記式(3)における[1/{μ 2 −(Qs 3 /Q)・(M r /M)/T}−1/μ 1 ]>0である。
  4. 前記主反応器において、
    前記硝化工程に亜硝酸生成法を用い、前記脱窒素工程に亜硝酸脱窒素法を用いること、あるいは、前記硝化工程に亜硝酸生成法を用い、前記脱窒素工程に嫌気性アンモニア酸化反応法を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。
  5. 前記活性阻害を与える物質が、硫黄化合物、フェノール、廃水に添加後の濃度が60mg/l以上のアンモニア性窒素、の少なくとも1つ以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンモニア含有廃水の生物学的窒素処理方法。

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