JP5604662B2 - 偏光板用粘着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置の液晶セルなどの光学部品に偏光板を貼着するために用いる粘着剤組成物に関する。
液晶表示装置を構成する液晶セルは、所定の方向に配向した液晶成分を2枚のガラス基板で挟み、これらのガラス基板の外側に光学用粘着剤組成物から形成された粘着剤層を介して偏光板または偏光板と位相差板との積層体などの光学機能性フィルムを貼着してなるものである。近年、車両搭載用、屋外計器用およびパソコンなどのディスプレイまたはテレビなどの表示装置の軽量化および薄型化により、液晶表示装置が広く使用されるようになり、その需要はますます増加傾向にある。それに伴い液晶表示装置の使用環境も、屋内外を問わず非常に過酷になってきている。
液晶表示装置に使用される偏光板は、ポリビニルアルコール系偏光子の両面をトリアセチルセルロース系保護フィルムで挟んだ3層構造を有しているが、それらの材料の特性から寸法安定性に乏しい。また、偏光板などの光学機能性フィルムは延伸によって成形されているため、経時による伸縮が起こり易い。このため、液晶表示装置においては、光学機能性フィルムの伸縮により生じる内部応力を、粘着剤層が吸収・緩和することができないと、光学機能性フィルムに作用する残留応力の分布が不均一となり、特にその周縁部に応力が集中する。その結果、液晶表示装置の周縁部が中央より明るくなったり、または暗くなったりし、液晶表示装置に色むら・光むら・白抜け現象が発生する原因になる。
また、液晶表示装置に色むら・光むら・白抜け現象が発生する他の要因として、応力によって光学機能性フィルムや粘着剤層に発生する光学的な歪(複屈折の発生など)が考えられる。
上記の問題点を解決するために多くの手段が検討されてきた。例えば、特許文献1では、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするポリマーと架橋剤とからなる粘着剤組成物であって、硬化後のゲル分率が30〜60%のものが開示されている。しかしながら、この技術では、偏光板が、ディスコティック液晶がコートされている偏光板、延伸トリアセチルセルロース系フィルム、延伸ポリシクロオレフィン系フィルムまたは延伸セルロースアセテートプロピオネートフィルムを基材とする偏光板である場合には、十分に色むら・光むら・白抜け現象を抑えることができない。
特許文献2では、特定の分子量を有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするポリマーと架橋剤とからなる粘着剤組成物であって、硬化後のゲル分率が45〜95%(実施例では55〜72%)のものが開示されている。しかしながら、この技術では、偏光板が、ディスコティック液晶がコートされている偏光板、延伸トリアセチルセルロース系フィルム、延伸ポリシクロオレフィン系フィルムまたは延伸セルロースアセテートプロピオネートフィルムを基材とする偏光板である場合には、十分に色むら・光むら・白抜け現象を抑えることができない。
特開2003−34781号公報 特開2005−325340号公報
従って本発明の目的は、液晶表示装置を構成する偏光板に使用する粘着剤組成物であって、偏光板の伸縮に起因する液晶表示装置のサイズ依存性のない色むら・光むら・白抜け現象の発生を防止できるだけでなく、経時の耐久性にも優れた粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステル単量体aと、カルボキシル基含有単量体bと、ジアルキル置換アクリルアミド単量体cとの共重合体Aと、ポリイソシアネート化合物d、金属キレート化合物eおよびエポキシ化合物fで構成される硬化剤Bとからなり、共重合体Aにおける単量体の使用割合が、単量体a〜cの合計を100質量%としたときに、単量体bが3〜10質量%、単量体cが1〜10質量%、および残りが単量体aであり、硬化剤Bにおける化合物の使用割合が、共重合体A100質量部当たり、化合物dが5〜20質量部、化合物eが0.1〜2質量部、化合物fが0.1〜5質量部であり、硬化後のゲル分率が90〜99%であることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物を提供する。
上記本発明においては、前記エポキシ化合物fが、ビスフェノールF型化合物(化合物X)、脂肪族グリシジルエーテル化合物(化合物Y)またはビフェニル型化合物(化合物Z)であること;さらに、粘着剤層を形成した場合の30℃におけるその貯蔵弾性率が1.0×105〜107Paであること;前記共重合体Aのガラス転移点温度(Tg)が−45℃以上であること;形成される粘着剤層の90℃粘性係数が1.0×108〜5.0×108Pa・sであり、且つ該粘性係数と50℃に250時間放置後の経時の90℃粘性係数との変化率が0〜50%であること;粘着剤層を形成し偏光板に貼り合わせた後の、そのムラ指数が1.5以下であること;およびシランカップリング剤を含むことが好ましい。
本発明によれば、液晶表示装置を構成する偏光板に使用する粘着剤組成物であって、偏光板の伸縮に起因する液晶表示装置のサイズ依存性のない色むら・光むら・白抜け現象の発生を防止できるだけでなく、経時の耐久性にも優れた粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を提供することができる。
ムラ指数を算出するために2次元色彩輝度計で測定する位置を説明する図。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明の特許請求の範囲および明細書における「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味し、また、「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方を意味する。
本発明で使用する共重合体Aは、(メタ)アクリル酸エステル単量体aと、カルボキシル基含有単量体bと、ジアルキル置換アクリルアミド単量体cとの共重合体である。該共重合体Aを構成する単量体の割合は、単量体a〜cの合計を100質量%としたときに、単量体bが3〜10質量%、単量体cが1〜10質量%、および残りが単量体aである。
前記単量体bの使用割合が3質量%未満であると、共重合体Aの架橋剤による架橋度合いが少なく、十分に色むらおよび白抜けを抑えることができない。一方、前記単量体bの使用割合が10質量%を超えると架橋剤添加後のゲル化を促進してしまい、耐久性において剥がれ易くなる。また、前記単量体cの使用割合が1質量%未満であると、弾性率が下がるため、色むらおよび白抜けを十分抑えることができなく、耐久性も劣り、一方、前記単量体cの使用割合が10質量%を超えると重合後の共重合体Aの粘度安定性に劣る。
前記単量体aとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有するモノマーが挙げられる。これらは単独でも或いは組み合わせてもよい。
前記単量体bとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートであり、これらは単独でも或いは組み合わせてもよい。さらに単量体bとしては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマーも使用することができる。また、前記単量体cとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
本発明で使用する共重合体Aは、さらに、アセトアセチル基含有単量体を共重合してもよい。アセトアセチル基含有単量体としては、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルクロトナート、2−シアノアセトアセトキシエチルメタクリレート、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミド、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ビニルなどが挙げられる。このうち特にアセトアセトキシエチルアクリレートおよびアセトアセトキシエチルメタクリレートが好ましい。これらのアセトアセチル基含有単量体を共重合することによって、耐久性向上などの効果が得られる。アセトアセチル基含有単量体を使用する場合の使用量は前記単量体a100質量部あたり、0.1〜5質量部であることが好ましく、5質量部を超えると共重合性を悪化する。
前記共重合体Aの重量平均分子量(GPC測定、標準ポリスチレン換算)は100万〜200万であるのが好ましく、より好ましい重量平均分子量は130万〜180万である。重量平均分子量が100万未満であると、粘着剤組成物とし、かつ粘着剤層を形成した場合、その粘着剤層の耐久性が不十分となる。一方、重量平均分子量が、200万を超えると色むら・光むら・白抜け現象の発生の抑制が不十分であるので好ましくない。
本発明で使用する共重合体Aは、上記分子量を有するとともに、ガラス転移点温度(Tg)(計算値)が、−45℃以上であり、−45℃〜0℃であることが好ましい。共重合体AのTgが−45℃よりも低いと、該共重合体Aを用いて粘着剤組成物とし、かつ粘着剤層を形成した場合、その粘着剤層の耐久性が不十分となる。
一方、共重合体AのTgが0℃を超えると、共重合体Aの分子量を100万以上にしたときに、共重合体Aに粘着性が発現せず、好ましい粘着剤としての性能が得られない。なお、本発明におけるTgとは、共重合体Aの合成に使用したモノマーからの計算値である。
上記条件を満たす共重合体Aは、通常の溶液重合、塊状重合、乳化重合または懸濁重合などにより製造することができるが、上記共重合体Aが溶液として得られる溶液重合により製造することが好ましい。上記共重合体Aが溶液として得られることにより、そのまま本発明の粘着剤組成物の製造に使用することができる。この溶液重合に使用する溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、n−ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトンなどの有機溶剤を挙げることができる。
また、重合に使用する重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾビス化合物または高分子アゾ重合開始剤などを挙げることができ、これらは単独でもまたは組み合わせても使用することができる。また、上記重合においては、共重合体Aの分子量を調整するために従来公知の連鎖移動剤を使用することができる。
本発明で使用する硬化剤Bは、ポリイソシアネート化合物dと、金属キレート化合物eおよびエポキシ化合物fで構成される硬化剤である。
前記ポリイソシアネート化合物dは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどとトリメチロールプロパンなどとのアダクト体、イソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、などが挙げられ、好ましくはトリレンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネートの化合物であり、単独もしくは2種以上併用して使用しても良い。
ポリイソシアネート化合物dの使用量は共重合体A100質量部当たり5〜20質量部である。前記ポリイソシアネート化合物dの使用割合が5質量部未満であると色むらおよび白抜けを抑えることができない。一方、ポリイソシアネート化合物dの使用割合が20質量部を超えると粘着剤組成物が凝集力過多となり、貼着する偏光板の剥れの原因になる。
前記金属キレート化合物eとしては、例えば、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、チタニウムキレートなどの金属キレート化合物で、好ましくは、アルミニウムキレートおよびチタニウムキレートであり、単独もしくは2種以上併用して使用してもよい。
金属キレート化合物eの使用量は共重合体A100質量部当たり0.1〜2質量部である。前記金属キレート化合物eの使用割合が0.1質量部未満であると色むらおよび白抜けを抑えることができない。一方、金属キレート化合物eの使用割合が2質量部を超えると粘着剤組成物が凝集力過多となり、貼着する偏光板の剥れの原因になる。
前記エポキシ化合物fは、ビスフェノールF型化合物(化合物X)、脂肪族グリシジルエーテル化合物(化合物Y)、またはビフェニル型化合物(化合物Z)であり、例えば、前記化合物Xとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン化合物のジグリシジルエーテルおよびこれらの縮重合物が挙げられ、前記化合物Yとしては、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。前記化合物Zとしては、2官能以上のグリシジル基を有するビフェニル型化合物が挙げられる。上記化合物X、化合物Yおよび化合物Zとしては、重量平均分子量2,000未満、エポキシ当量200以下の化合物が好ましく、重量平均分子量が2,000以上となると、粘着剤組成物との相溶性が悪くなり、架橋密度も下がり耐久性が劣るので好ましくない。また、エポキシ当量が200を超える場合も粘着剤組成物との相溶性が悪くなり架橋密度も下がるため好ましくない。
エポキシ化合物fの使用量は共重合体A100質量部当たり0.1〜5質量部である。前記エポキシ化合物fの使用量が0.1質量部未満であると、架橋密度が下がり、色むらも悪くなり、一方、エポキシ化合物fの使用量が5質量部を超えると架橋過剰になるため耐久性に劣る。
前記化合物Xの具体例としては、例えば、商品名JER807(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:エポキシ当量170、Mw350)、商品名JER806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:エポキシ当量165、Mw350)などが挙げられる。また、前記化合物Yとしては、例えば、商品名YH−300(脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物:エポキシ当量145、Mw302)などが挙げられ、前記化合物Zとしては、例えば、JERYX4000(ビフェニル型エポキシ樹脂:エポキシ当量186、Mw354)などが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、さらにシランカップリング剤を含有し得る。これらのシランカップリング剤はいずれも粘着剤の分野において公知であり、公知のシランカップリング剤はいずれも本発明で使用することができる。シランカップリング剤の含有量(使用する場合)は、共重合体A100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、さらに粘着力を調整する目的など、必要な特性に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、種々の添加剤を配合してもよい。例えば、テルペン系、テルペン−フェノール系、クマロンインデン系、スチレン系、ロジン系、キシレン系、フェノール系または石油系などの粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料などを配合することができる。また、本発明の粘着剤組成物の製造方法自体は公知の方法でよく特に限定されないが、有機溶剤を含んだ溶液形態であることが好ましく、この場合、粘着剤層の形成が容易となる。
本発明の粘着剤組成物の硬化後のゲル分率は90〜99%であり、かつ粘着剤層を形成した場合に、30℃におけるその貯蔵弾性率が1.0×105〜107Paであることが好ましい。このような非常に高いゲル分率は、弾性率を高くすることが可能であるが、従来の粘着剤ではゲル分率90〜99%の範囲に設定すると、架橋が過剰になる傾向があるため耐久性において剥がれが生じていた。このような非常に高いゲル分率と非常に高い貯蔵弾性率は、前記単量体aと、前記単量体bと、前記単量体cとの共重合体Aと、ポリイソシアネート化合物dと、金属キレート化合物eと、エポキシ化合物fとから構成される硬化剤Bとを最適な範囲で選択することで可能となる。すなわち、本発明の粘着剤組成物によればゲル分率が90〜99%の範囲内でも耐久性が良好であり、かつ弾性率も高くすることにより偏光板の収縮を抑えて色むらおよび白抜け防止性の優れた粘着剤を提供することが可能となる。
上記ゲル分率が90%未満であると、弾性率も低くなり、偏光板の収縮を抑えることができずに必然的に色むらおよび白抜けの劣る粘着剤になる。また、上記貯蔵弾性率が1.0×105Pa未満であると、偏光板の収縮を抑えきれずに、装置のサイズに依存することなく、色むらおよび白抜けが劣るため好ましくなく、一方、貯蔵弾性率が1.0×107Paを超えると、耐久性が劣り、特に小さいサイズの色むらおよび白抜けが劣るので好ましくない。
さらに、本発明の粘着剤組成物は、形成した粘着剤層をガラス板に貼り付けたときの90℃での保持力測定のズレ量から求められた粘着剤層の粘性係数(以下、90℃粘性係数という)が1.0×108〜5.0×108Pa・sであり、且つ前記粘性係数の経時での変化率が0〜50%、好ましくは0〜10%であることが好ましい。この粘性係数の範囲、かつ変化率の範囲内であれば、色むらや白ヌケ、発泡や剥がれ現象は、発生しにくい偏光板が得られる。
なお、上記の90℃粘性係数は次の方法で求めることができる。JIS Z−0237の保持力測定法に準じて、偏光板試料を吸収軸が偏光板長辺に対して90°になるように25mm×55mmに裁断して、本発明の粘着剤組成物を用いて接着面積が25mm×10mmになるようにガラス板に50℃中で5kg/cm2の圧力をかけ、18分保持して貼り付けたものを試験試料とする。該試験試料を90℃の雰囲気中、9.8Nの荷重をつるし、1時間後のズレ量を測定する。このズレ量より以下の[式1]に従い粘着剤層の粘性係数(Pa・s)を算出する。
[式1]
ズレ応力(N/m2)=荷重/接着面積=9.8N/0.025m×0.01m
ズレ速度(1/s)=ズレ量/時間/厚さ=ズレ量(m)/3600秒/0.000025m
粘性係数(Pa・s)=ズレ応力/ズレ速度
また、前記粘性係数の経時での変化率は、次の方法で求めることができる。偏光板試料を50℃に250時間放置後、上記と同様の方法で粘性係数(Pa・s)を算出する(以下、経時粘性係数という)。この値を用いて、以下の[式2]より、粘性係数の経時での変化率を算出する。
[式2]
Figure 0005604662
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、従来の低分子量成分や、軟らかい成分を併用することで偏光板の応力を緩和させる応力緩和型の粘着剤とは異なり、特定の粘弾性および粘性係数領域の粘着剤で応力を逆に抑制させることによって、光むらを防ぐように設計した粘着剤組成物である。光むらについては、本発明の粘着剤組成物から粘着剤層を形成した後、偏光板に貼り合わせ、80℃で250時間後のムラ指数により、評価することができる。
上記ムラ指数は、粘着剤層によって偏光板をパネルに貼り合わせた後、バックライトを点灯させ図1に示す1〜9の場所の明度を2次元色彩輝度計で測定した値より、以下の[式3]より算出する。本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層のムラ指数は、1.5以下であることが好ましい。該ムラ指数が1.5を超えると偏光板の光むらを十分に防ぐことができないので、好ましくない。
[式3]
Figure 0005604662
本発明の粘着剤組成物は、偏光板用の粘着剤として適しており、本発明の粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成した偏光板は、高温或いは高温高湿下においてもガラス基板などから剥れることなく、粘着剤層に発泡が生じることのない特性(耐久性)と、長期間時間が経過しても容易に剥離でき、また、剥離後において基板などに残留物が生じない特性(リワーク性)とを併せ持つ。
すなわち、上記偏光板が、ディスコティック液晶がコートされている偏光板である場合には、コートされていない偏光板(一般的には、無処理トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、通常接触角は60〜70°)に比べて、85〜95°と接触角が高く、粘着剤との密着性が劣るため、粘着剤層とパネルガラス表面との間の発泡または偏光板の浮き、剥れが発生しやすく、かつ白抜けが発生しやすいなどの課題があるが、本発明の粘着剤組成物の使用により上記課題が解決された。
ディスコティック液晶がコートされている偏光板とは、TACフィルム上に、側鎖の末端に架橋基を有しているトリフェニレン系のディスコティック化合物が架橋し、配向状態に保たれたディスコティック層が有する視野角拡大フィルムと偏光フィルムとが一体化してなる偏光板であり、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子(PVA)の両面に、それぞれTACフィルムを貼り合わせてなる偏光フィルムの片面に、例えば、ディスコティック液晶からなる視野角拡大機能層を塗布により設けたもの、あるいは視野角拡大フィルムを接着剤で貼り合わせたものなどを挙げることができる。特に、ディスコティック液晶がコートされた偏光板は、モニター(通常7〜26インチ)用に使用され、上記で説明したように視野角を拡大するために使用されている。
また、上記偏光板が、延伸フィルム、例えば、延伸トリアセチルセルロース系フィルム、延伸ポリシクロオレフィン系フィルムまたは延伸セルロースアセテートプロピオネートフィルムを基材とした偏光板である場合には、一般的な偏光板(無処理TACフィルムを使用したもの)に比べて、フィルムが延伸されているために収縮率が大きく、特に、対角型に色むら・光むら・白抜け現象が発生し、それを抑制するのに不十分であるなどの課題がある。上記偏光板は、テレビ(通常15〜60インチ)用に使用され、色相、コントラストを向上させ、位相差をなくすためのものであり、このような課題が本発明の粘着剤組成物の使用により解決された。
本発明の粘着剤組成物は、通常使用されている塗布装置、例えば、ロール塗布装置などを用いて、上記偏光板の片面或いは両面に塗工し、塗工層を乾燥することにより粘着剤層を形成するのに使用する。また、必要に応じて、粘着剤層を加熱架橋または紫外線などの光による硬化をすることもできる。また、本発明の粘着剤組成物を、まず、シリコーン樹脂などの剥離剤を表面にコートしたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)などの離型フィルムに粘着剤組成物を塗布して乾燥し粘着剤層を形成した後に、該粘着剤層に上記偏光板を貼り合わせる方法でも使用できる。
本発明の粘着剤組成物の塗布量は、乾燥後の粘着剤層の厚さが、10〜50μmとなる程度であることが好ましい。上記粘着剤層の厚さを上記範囲内とすることにより、より耐久性とリワーク性のバランスがとれた偏光板となる。以上の本発明の粘着剤組成物を用いた偏光板は、通常使用されている手段にて、液晶表示装置のガラス基板上に貼着することができる。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」とあるのは質量基準である。
<共重合体溶液の調製>
[共重合体溶液1〜9]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、この反応装置内の空気を窒素ガスに置換した。その後、この反応装置中に、ブチルアクリレート90部、メチルアクリレート10部、アクリル酸5部、N,N−ジメチルメタクリルアミド2部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部および酢酸エチル120部を加えた。これを攪拌させながら、窒素ガス気流中において、60℃で8時間反応させ、重量平均分子量150万のアクリル共重合体の溶液を得た。さらに酢酸エチルで希釈して固形分15%の共重合体溶液1を得た。同様にして表1に記載のモノマー組成で共重合体溶液2〜9を得た。
Figure 0005604662
BA:ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
EA:エチルアクリレート
PHEA:フェノキシエチルアクリレート
AAc:アクリル酸
MAAc:メタクリル酸
DMMA:N,N−ジメチルメタクリルアミド
AAEM:メタクリル酸アセトアセトキシエチル
上記において、重量平均分子量(Mw)の値は、GPC(GEL Permeation Chromatography)法により測定したポリスチレン換算分子量である。詳しくは、共重合体を常温で乾燥させて得られた塗膜をテトラヒドロフランに溶解し、高速液体クロマトグラフ(島津製作所製、LC−10ADvp、カラムKF−G+KF−806×2本)で測定し、ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)を求めた。
<粘着剤組成物、偏光板の作製および評価>
[実施例1〜4、比較例1〜5]
共重合体溶液1の固形分100部に対して、コロネートL5部、アルミキレートA0.5部、JER807の2部と、KBM−803の0.1部を混合した溶液を実施例1の粘着剤組成物とした。該溶液をシリコーン樹脂コートされたPETフィルム上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶媒を除去し、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を形成した面に、厚さ180μmの偏光板(EWV)を貼り合わせた後、23℃、50%RHの雰囲気で7日間養生することにより、実施例1の粘着剤組成物を用いた偏光板を作製した。該実施例1と同様にして表2に記載の成分を混合して実施例2〜4および比較例1〜5の粘着剤組成物および偏光板を得た。
Figure 0005604662
コロネートL:日本ポリウレタン工業(株)製 ポリイソシアネート
タケネートD−120N:三井化学(株)製 水添キシレンジイソシアネート化合物
アルミキレートA:川研ファインケミカル(株)製 アルミニウムトリスアセチルアセトネート
チタンキレート:松本ファインケミカル(株)製 チタンアセチルアセトネート
アルミキレートD:アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)
JER807:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量170、Mw350)
JERYX4000:ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量186、Mw354)
JER806:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量165、Mw350)
YH−300:脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物(エポキシ当量145、Mw302)
KBM−803:信越化学工業(株)製 γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン
X−41−1810:信越化学工業(株)製 メチルメルカプト系アルコキシオリゴマー
X−41−1805:信越化学工業(株)製 メルカプト系アルコキシオリゴマー
KBM−403:信越化学工業(株)製 3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
この偏光板を後述する試験方法にて耐久性、ムラ指数、貯蔵弾性率(Pa)、ゲル分率(%)、90℃粘性係数(Pa・s)および粘性係数の変化率(%)の評価を行った。実施例の評価結果は全ての項目で良好であった。評価結果を表3および表4に示す。
Figure 0005604662
EWV:ディスコティック液晶がコートされている偏光板
延伸TAC:延伸トリアセチルセルロースフィルムを使用した偏光板
Figure 0005604662
<試験方法および評価基準>
[耐久性試験]
実施例および比較例における偏光板を、それぞれ200mm×300mmに断裁し、PETフィルムを剥離した後、ガラス基板上に貼り付け、オートクレーブ処理を行い、評価用サンプルを作製した。得られた評価用サンプルについて、それぞれ下記項目の試験を行った。
(1)80℃
上記評価用サンプルを、80℃(DRY)の雰囲気下に250時間放置した後、発泡および剥れについて目視により確認した。評価基準は下記の通りである。
(2)60℃・90%RH
上記評価用サンプルを、60℃・90%RHの雰囲気下に250時間または500時間放置した後、発泡および剥れについて目視により確認した。評価基準は下記の通りである。
・評価基準
(1)発泡
○:偏光板に発泡が確認されない。
△:偏光板に発泡が僅かに確認された。
×:偏光板に発泡が確認された。
(2)剥れ
○:偏光板に剥れが確認されない。
△:偏光板に剥れが僅かに確認された。
×:偏光板に剥れが確認された。
[貯蔵弾性率]
架橋後の粘着剤皮膜25μmを固体剪断治具に挟み、(株)ユービーエム製Rheogel−E4000を用いて30℃の時の貯蔵弾性率(G´)を周波数1Hzで測定した。
[ゲル分率]
架橋後の粘着剤皮膜を0.2g正確に秤量(W1)して酢酸エチル50mlに1日間浸漬した後、200メッシュの金網を秤量後(W2)、ろ過をして可溶分を抽出した。その後乾燥させて不溶部分の重量(W3)を求めた。これら測定値から以下の式を使いゲル分率(重量%)を算出した。
ゲル分率(重量%)=((W3−W2)/W1)×100
[粘性係数]
実施例および比較例の偏光板を、JIS Z−0237の保持力測定法に準じてズレ量を測定する。すなわち、吸収軸が偏光板長辺に対して90°になるように25mm×55mmに裁断して、接着面積が25mm×10mmになるようにガラス板に50℃中で5kg/cm2の圧力をかけ、18分間保持して貼り付けた試験試料を作製し、該試料を90℃の雰囲気中で9.8Nの荷重をつるし、1時間後のズレを測定する。次に、保持力測定法に準じて測定されたズレ量より以下の[式1]に従い粘着剤層の粘性係数を算出する。
[式1]
ズレ応力(N/m2)=荷重/接着面積=9.8N/0.025m×0.01m
ズレ速度(1/s)=ズレ量/時間/厚さ=ズレ量(m)/3600秒/0.000025m
粘性係数(Pa・s)=ズレ応力/ズレ速度
[粘性係数の経時での変化率]
実施例および比較例の偏光板を、50℃に250時間放置後、上記と同様の方法で経時粘性係数(Pa・s)を算出する。この値を用いて、以下の[式2]より、粘性係数の経時での変化率を算出する。
[式2]
Figure 0005604662
[ムラ指数]
実施例および比較例における偏光板を用いた80℃耐久試験後の同試料を2枚クロスニコルにして貼り合わせた後、8inch角および26inch角の試料を作成し、それぞれ液晶モニターのバックライト上に置き、図1の1〜9の明度を2次元色彩輝度計で測定し、下記[式3]により算出した。
[式3]
Figure 0005604662
なお、従来は、小さいサイズの表示画面では、色むら・光むら・白抜けの発生が少なくても、表示画面が大きくなると色むら・光むら・白抜けの発生が多くなり、一方、大きいサイズの表示画面では、色むら・光むら・白抜けの発生が少なくても、表示画面が小さくなると色むら・光むら・白抜けの発生が多くなるという課題があり、上記指数を算出した。その結果、本発明の粘着剤組成物を用いたものは、表示画面のサイズに依存することなく、ムラ指数が1.5以下であり、色むら・光むら・白抜けの発生を有効に防止することができた。
本発明によれば、液晶表示装置を構成する偏光板に使用する粘着剤組成物であって、偏光板の伸縮に起因する液晶表示装置のサイズ依存性のない色むら・光むら・白抜け現象の発生を防止できるだけでなく、経時の耐久性にも優れた粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を提供することができる。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリル酸エステル単量体aと、カルボキシル基含有単量体bと、ジアルキル置換アクリルアミド単量体cとの共重合体Aと、ポリイソシアネート化合物d、金属キレート化合物eおよびエポキシ化合物fで構成される硬化剤Bとからなり、共重合体Aにおける単量体の使用割合が、単量体a〜cの合計を100質量%としたときに、単量体bが3〜10質量%、単量体cが1〜10質量%、および残りが単量体aであり、硬化剤Bにおける化合物の使用割合が、共重合体A100質量部当たり、化合物dが5〜20質量部、化合物eが0.1〜2質量部、化合物fが0.1〜5質量部であり、
    硬化後のゲル分率が90〜99%であることを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
  2. 前記エポキシ化合物fが、ビスフェノールF型化合物(化合物X)、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物(化合物Y)またはビフェニル型化合物(化合物Z)である請求項1に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  3. さらに、粘着剤層を形成した場合の30℃におけるその貯蔵弾性率が1.0×105〜107Paである請求項1または2に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  4. 前記共重合体Aのガラス転移点温度(Tg)が−45℃以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  5. 形成される粘着剤層の90℃粘性係数が1.0×108〜5.0×108Pa・sであり、且つ該粘性係数と50℃に250時間放置後の経時の90℃粘性係数との変化率が0〜50%である請求項1〜4の何れか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  6. 粘着剤層を形成し偏光板に貼り合わせた後の、そのムラ指数が1.5以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  7. シランカップリング剤を含む請求項1〜6の何れか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
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