JP5607376B2 - 樹脂成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、一部が樹脂部から露出した状態で樹脂部に埋設されたインサート部材を備える樹脂成形品、および、その製造に係る金型に関する。
従来から、金属製等のインサート部材の表面を露出させた状態で、インサート部材を樹脂部に埋設した樹脂成形品が存在する。そのような樹脂成形品は、金型内のキャビティにインサート部材を配設し、当該キャビティに樹脂を射出成形して形成される。樹脂成形品の表面にインサート部材を露出させるには、樹脂成形品を射出成形する際、キャビティ内のインサート部材は一方の金型の側に押し付けられる。従来の技術では、特許文献1(図27参照)に記載されているように、インサート部材の表面側の部位を、金型に設けた位置決めピン等で所定位置に固定し、この状態で樹脂の射出成形を行っていた。
特開2000−127198号公報
近年、樹脂成形品が多様になり、これまでになかった意匠態様を有する樹脂成形品が望まれるようになった。例えば、表面に露出するインサート部材を備え、さらに、樹脂成形品の表面に各種のデザインを施した加飾層を備える製品等である。
しかし、樹脂成形品の表面に加飾層を設ける場合には、従来技術の如く、インサート部材の表面の側に固定用のピン等を設けることはできない。表面側にそのようなピン等を設けた場合には、加飾層に孔部が形成される等、樹脂成形品の意匠性が大幅に損なわれる。また、インサート部材と加飾層との両者を具備する樹脂成形品を得る場合には、加飾層のデザイン性を十分に発揮させる必要がある。よって、樹脂製に際するインサート部材の位置決めが非常に重要となる。
この点、上記特許文献1に示された技術は、インサート部材の表面に位置決めの係止部を設けるものであり、加飾層の配置については何ら考慮されていない。
また、特許文献1の技術では、樹脂の注入に際してインサート部材を一方の側の型に押し付ける旨の記載はあるが、押し付けに際してインサート部材の移動をどのように制御するかの記載がない。これはつまり、樹脂注入に際しては、単にインサート部材を一方の型に押し付けることができれば、樹脂部とインサート部材との相対位置はある程度決定されるからである。
しかし、さらに表面に加飾層を設ける場合には、インサート部材と加飾層とのデザインの調和を図るために、製品の平面方向に沿った両者の相対位置も非常に重要となる。
このように、上記従来の技術においては、加飾層とインサート部材とを併せ持つ樹脂成形品を得るためには未だ改善すべき点がある。
そこで、本発明は、インサート部材と加飾層とを併せ持つ意匠性に優れた樹脂成形品を得ること、及び、そのために用いる金型を得ることを目的とする。
本発明に係る樹脂成形品の第1の特徴構成は、一部が樹脂部から露出した状態で樹脂部に埋設され、かつ、樹脂部に埋設される部位の少なくとも一部に、樹脂成形品の表裏方向に対して直角な方向に前記樹脂部と係合する係止部を設けたインサート部材を備えると共に、前記樹脂部の表面に加飾層を備え、樹脂成形に際して、前記インサート部材の表面を樹脂成形品の表面を形成する成形金型の所定の位置に配置する厚み方向位置決定部を、前記インサート部材の裏側に設けた点にある。
本構成の樹脂成形品は、樹脂部に対してインサート部材をその一部が露出する状態に埋設すると共に、樹脂部の表面に加飾層を備えたものである。インサート部材の表面を樹脂部に露出させる場合、樹脂成形品の意匠性を高めるために、例えば、樹脂部の表面とインサート部材の表面とを正確に一致させる必要がある。本構成の樹脂成形品では、樹脂部の表面に加飾層を備えているため、表面の意匠外観については特に高い品質が要求される。
そこで、本構成の樹脂成形品では、樹脂注入に際してインサート部材を所定の位置に固定するための厚み方向位置決定部をインサート部材の裏側に備えている。これにより、樹脂注入時に加飾層に干渉する部材を排除して表面外観に優れた樹脂成形品を得ることができる。
本発明に係る樹脂成形品の第2の特徴構成は、前記厚み方向位置決定部を、樹脂成形に際して樹脂による押圧力を前記インサート部材の裏側に作用させる押圧部とした点にある。
インサート部材を樹脂成形品の所定の位置に最適な状態で露出させるためには、樹脂成形品の表面を形成する金型の側に押し付けるとよい。そこで本発明では、前記厚み方向位置決定部として、樹脂注入時の樹脂の押圧力を利用する押圧部をインサート部材の裏側に設けることとした。押圧部は、樹脂の圧力を受ける部位であるから、樹脂成形品が完成した状態では、当該押圧部は樹脂の内部に埋設される。つまり、樹脂成形品に埋設されたインサート部材のうち、樹脂成形品の背面側に向く面部が押圧部である。
本発明に係る樹脂成形品の第3の特徴構成は、前記押圧部を、前記インサート部材の裏面に形成した傾斜面とした点にある。
金型によって形成されたキャビティに樹脂注入を行うためには、金型の何れかの箇所に樹脂注入用のゲートを設ける必要がある。当該ゲートの位置は、樹脂成形品の形態や、金型の構成等種々の要因によって決定される。よって、ゲートの配置位置は必ずしもインサート部材の配置位置に基づいて決定されるものではない。
そこで、ゲートの配置位置に拘わらず、樹脂注入時の圧力を効果的に利用するために、インサート部材の裏面に傾斜面を形成する。キャビティに注入された樹脂は、当該空間の隅々に向けて流動する。この流動方向は、樹脂成形品の平面方向に沿った成分を多分に有する。よって、傾斜面を設けることで、樹脂の流動圧力の一部が、インサート部材を表面側に押圧する方向に分力され、良好な押し付け効果を得ることができる。
本発明に係る樹脂成形品の第4の特徴構成は、前記押圧部を、前記インサート部材の裏面の一部を切除して形成した切欠き部とした点にある。
樹脂の注入に際し、インサート部材を、樹脂成形品の表面を形成する金型に確実に押し付けるには、インサート部材のうち樹脂の圧力が作用する部位と裏面側の金型の内壁面との距離が大きいほど好ましい。樹脂がインサート部材に及ぼす圧力は、原則としてはインサート部材に樹脂が接触している部位の全ての位置で等しくなる。よって、インサート部材の裏面側の部位が少しでも樹脂に接触していればインサート部材は表面側の金型に向けて押圧されるはずである。しかし現実には、樹脂には流動抵抗があり、キャビティの形状も様々であるから、単にインサート部材に樹脂が接触しているだけでは、インサート部材に対して所期の押圧力を作用させることができない。
そこで、本構成のごとく、インサート部材の一部を切除して切欠き部を形成することで、当該切欠き部の表面と裏面側の金型の内壁面との距離を極力大きく確保する。これにより、当該領域に存在する樹脂の量を増大させ、流動抵抗の影響を軽減してインサート部材に適切に圧力を作用させることができる。この結果、樹脂部に対するインサート部材の位置決めが確実なものとなり、意匠性に優れた樹脂成形品を得ることができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第1の特徴構成は、インサート部材の少なくとも一部が樹脂に埋設した樹脂成形品を得るべく、前記インサート部材を保持する保持部を備えた第1金型と、加飾フィルムを保持しつつ前記第1金型と型締めして、前記インサート部材の少なくとも一部および前記第1金型と前記加飾フィルムとの間に樹脂注入用のキャビティを形成する第2金型とを備えた点にある。
上述の如く、本発明の樹脂成形品は、樹脂部に対してインサート部材をその一部が露出する状態に埋設すると共に、樹脂部の表面に加飾層を備えたものである。加飾層を備えるためには当該側にインサート部材を保持する保持部を設けることはできない。
そこで、本構成の如く、インサート部材を第1金型に設けた保持部で保持すると共に、一方の第2金型の側に加飾フィルムを保持しつつ双方の金型を型締めできるように構成してある。これにより、樹脂注入時に保持部が加飾フィルムに干渉することがなく、表面外観に優れた樹脂成形品を得ることができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第2の特徴構成は、前記保持部が、前記インサート部材を、前記第1金型と前記第2金型との型締め方向に対する垂直方向には移動不能に保持し、前記型締め方向に沿ってスライド可能な状態とスライド不可能な状態とに切換え保持できるよう構成した点にある。
上述した如く、本発明の樹脂成形品は表面に加飾層を備え、インサート部材を樹脂部の表面に配置するものであって、特に優れた意匠性が要求される。そのため、本構成の金型では、インサート部材を樹脂の注入に際して第2金型の側に確実に押し付ける必要がある。そのため、第1金型に設けた保持部では、インサート部材が移動可能となるように構成してある。ただし、当該移動はインサート部材が第2金型に対して近接・離間する型締め方向のみであって、当該方向に直角な方向には移動不能に構成してある。
さらに、本構成の金型では、型締め方向の移動については、移動を許容する状態と、禁止する状態とに切り換え可能に構成してある。これにより、例えば、インサート部材を第1金型にセッティングする場合には、型締め方向に沿った移動を禁止して、インサート部材の保持機能を発揮させる。
一方、第1金型と第2金型との型締めが終了して、樹脂を注入する段階では、型締め方向の移動を許容して、インサート部材が第2金型の側に移動できるようにしてある。これにより、樹脂成形品の製造工程が円滑化されるうえ、樹脂成形品の平面方向におけるインサート部材の位置が正確に決定されるなど加飾層に形成した模様等との相対位置関係が最適なものとなり、高品質な意匠外観を有する樹脂成形品を得ることができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第3の特徴構成は、前記保持部が、前記インサート部材の一部に係合可能な係合部材を備えると共に、当該係合部材を介して前記インサート部材を前記第2金型の側に付勢すべく、前記係合部材と前記第1金型とに連結された付勢手段を備えた点にある。
本構成の如く、インサート部材に係合する係合部材を備え、当該係合部材を付勢手段によって第2金型の側に付勢することで、樹脂注入に際して、インサート部材を確実に第2金型の側に押圧することができる。
尚、当該付勢手段は、各種バネ等の弾性部材を用いたものや、液体や気体を介して付勢力を発揮させるもの、あるいは、磁力を用いるものなど各種手段を用いることができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第4の特徴構成は、前記第1金型に樹脂注入用のゲートを備え、当該ゲートを前記インサート部材の裏面に向くよう配置した点にある。
本構成の如く、樹脂注入用のゲートをインサート部材の裏面に向くように構成することで、キャビティの内部に樹脂を注入する際に、まず、インサート部材の裏側に樹脂の圧力を作用させることができる。この結果、樹脂注入工程の開始段階でインサート部材が第2金型の側に押圧される。よって、その後に注入される樹脂がインサート部材と加飾層との間、あるいは、インサート部材と第2金型との間に侵入することがなく、良好な表面状態を有する樹脂製品を得ることができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第5の特徴構成は、前記第1金型に、型締めの際に前記インサート部材の外側部の少なくとも一部を保持するクランプを設けた点にある。
インサート部材が樹脂成形品において深絞りの外周面を構成する場合、加飾フィルムは型締めの際にインサート部材の外側部と密着することになる。さらに、インサート部材および加飾フィルムは第2金型のキャビティ面とも略完全に密着するから、型締めに際して加飾フィルムは、略製品形状となるまで変形する。よって、インサート部材のうち曲率の大きな箇所等において、加飾フィルムが第2金型とインサート部材とによって強く擦られ、加飾層の亀裂や加飾フィルムのベースフィルムの破損等の不都合が生じ易かった。
そこで、本構成の如く、第1金型に、型締めの際にインサート部材の外側部の少なくとも一部を保持するクランプを設けた。インサート部材の外側部が第1金型に設けられたクランプで保持されるので、インサート部材の外側部が深絞りであっても、第2金型のキャビティを絞りが浅い形状にすることができる。その結果、型締めの際に、加飾フィルムを、第2金型の浅めのキャビティ面に沿って配置して、インサート部材の外側部とは接しないように設定できる。したがって、インサート部材の外側部が深絞りであっても型締めの際に加飾フィルムが破れることなく良好な樹脂成形品を製造できる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第6の特徴構成は、前記クランプが、型締め方向に対して垂直な方向に移動可能にしてある点にある。
本構成の如く、クランプが、型締め方向に対して垂直な方向に移動可能にすることで、クランプは、インサート部材の外側部を保持する位置と、当該保持位置の外側方にあって第1金型に型締め方向からインサート部材を配置する際に妨げにならない退避位置とに移動できる。よって、クランプを退避位置に移動させると、第1金型のインサート部材を型締め方向から第1金型のキャビティ面に容易に配置できる。また、型開きの際に、クランプを退避位置に移動させることで、型締め方向への樹脂成形品の取り出しも容易となる。こうして、樹脂製品を効率よく製造することができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第7の特徴構成は、前記クランプが、前記インサート部材より軟質材で構成してある点にある。
本構成の如く、クランプが、インサート部材より軟質材で構成してあると、クランプの接当の際にインサート部材が受ける衝撃力は、インサート部材より軟質材であるクランプに一部吸収されるので、インサート部材とクランプとが同質材の場合に比べて小さくなる。したがって、クランプの接当時の衝撃でインサート部材が変形する可能性は低くなる。
ここで、インサート部材の厚み方向位置決定部の面積が小さい場合には、型締めの際に第1金型及び第2金型が保持する部分の面積も小さくなるため、型締めと型開きを繰り返す金型が当該位置で偏摩耗する可能性がある。しかしながら、クランプの厚みが、型締めの際の第1金型と第2金型との間隔とほぼ同じにすると、型締めの際に第1金型及び第2金型はクランプにも当接し、第1金型及び第2金型が保持する部分の面積が大きくなるので、金型の偏摩耗を防止することができる。
本発明に係る樹脂製品製造用金型の第8の特徴構成は、前記クランプが、前記インサート部材の外側部と接当する面部の周縁を丸め形状にしてある点にある。
本構成の如く、クランプが、インサート部材の外側部と接当する面部の周縁を丸め形状にしてあると、クランプがインサート部材の外側部を保持する際に、クランプの周縁が、インサート部材の表面に対して局所的に当接することがなく、インサート部材の外側部が傷付くのを防止することができる。したがって、クランプが接当してもインサート部材の外側部が傷付けることなく良好な樹脂成形品を製造することができる。
実施形態1に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 実施形態1に係るインサート部材の斜視図 実施形態1に樹脂成形品を示す図 実施形態2に係るインサート部材の斜視図 実施形態2に樹脂成形品を示す図 実施形態2に係るインサート部材の斜視図 実施形態2に樹脂成形品を示す図 実施形態3に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 実施形態3に係るインサート部材の斜視図 実施形態4に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 実施形態4に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 実施形態4に係るインサート部材の斜視図 実施形態5に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 実施形態7に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 実施形態7に係るインサート部材の斜視図 実施形態8に係る樹脂成形品の成形過程を断面図 実施形態8に係る樹脂成形品の成形過程を断面図 他の実施形態に係るインサート部材の斜視図 他の実施形態に係る樹脂成形品の成形過程を示す断面図 他の実施形態に係る樹脂成形品を示す図 他の実施形態に係る樹脂成形品の成形過程を示す横断面図 他の実施形態に係る樹脂成形品の成形過程を示す横断面図 他の実施形態に係る樹脂成形品の成形過程を示す横断面図の部分拡大図 他の実施形態に係る樹脂製品製造用金型のクランプの配置を示す図 他の実施形態に係る樹脂製品製造用金型のクランプの配置を示す図 他の実施形態に係る樹脂成形品を示す図 従来のインサート成形方法を示す断面図
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
以下に示す各実施形態は、インサート部材4の一部が露出した状態で樹脂部に埋設されていると共に、樹脂部の表面に加飾フィルムを備えた樹脂成形品8、及び、その製造に係る第1金型1及び第2金型2を示すものである。
〔実施形態1〕
インサート部材4の一部が表面に露出し、樹脂部7の表面に加飾層を備えた樹脂成形品8を得るため、図1に示すように、樹脂成形金型を構成する第1金型1と第2金型2とを用いる。第1金型1及び第2金型2は左右に配置され、それぞれが左右に移動することで金型全体が開閉するようになっている。第1金型1及び第2金型2には、製造される樹脂成形品の樹脂部を加飾する加飾フィルムが挿入されている。加飾フィルムを用いる場合、製造された樹脂成形品を排出した際に金型内に残存するほこりや樹脂かす等が、次に製造される樹脂成形品に混入するのを防止する必要がある。このため、金型内のほこり・樹脂カス等の除去・清掃を容易にすべく、金型が左右方向に開閉するように配置している。
一部が露出した状態で樹脂部7に埋設されるインサート部材4は、形状は限定されないが、樹脂成形品の表裏方向に対して直角な方向に樹脂部7と係合する係止部4Aが設けられている。前記係止部4Aは、例えば、図1、図2に示すように、インサート部材4の外周に鍔状に形成される。これら係止部4Aの形状や、インサート部材4における位置は特に限定されないが、例えば、図2に示すように、外周縁に向けて徐々に厚みを薄くした形状とすれば、樹脂に対して十分な係止効果が得られると共に、インサート部材のボリュームが低減されてインサート部材を歩留まりよく構成することができる。
加飾フィルム20は模様が印刷されたフィルムである。樹脂成形品8の成形と同時に樹脂表面に加飾フィルム20に印刷された模様が転写され、樹脂成形品8の樹脂部7の表面に加飾層が形成される。
第1金型には、インサート部材の保持部10である位置決めピンが備えられている。この位置決めピンが、インサート部材4の露出側と反対の部位に設けられた凹部4bに係合してインサート部材4の位置決めが行われる。
第1金型1及び第2金型2が開いた状態で、第2金型2に沿って加飾フィルム20を配置する。続けて、前述のようにインサート部材4を位置決めすると共に、吸引機構(第1金型に設けられた通路11)を用いてインサート部材4を吸引して保持し、金型1、2を閉じる。ここで、インサート部材4の加工精度が高く、インサート部材4の厚みと第1金型1及び第2金型2によって形成されるキャビティの厚みが同じであれば、キャビティに加飾フィルム20とインサート部材4とを配置した後、第1金型1及び第2金型2を型締めする。これにより、インサート部材4は第2金型2の側に押圧され所定位置が保持される。
インサート部材4を第2金型2の側に押圧しつつ保持した状態で、第1金型1に設けられたゲート6から樹脂を注入する。これにより、インサート部材4は、一部が樹脂部から露出した状態で樹脂部に埋設され、樹脂部の表面に加飾層を備えた、図3に示すような樹脂成形品8が成形される。この場合、インサート部材4の裏側全面が、樹脂成形に際して、インサート部材の表面を樹脂成形品の表面に形成する第2金型2の所定の位置に配置する厚み方向位置決定部4Cとなる。
成形された樹脂成形品8は、表面の一部にインサート部材が露出しており、意匠性に優れたものとなる。インサート部材4の外周部の係止部4Aが樹脂部7に確実に係合しており、密着性も高く、インサート部材4が金属製である場合等は、樹脂成形品の耐久性も向上する。
〔実施形態2〕
前記実施形態1においては、平板状のインサート部材を埋設する樹脂成形品について例示したが、インサート部材4として、図4に示すように、リング状のインサート部材4を用いることで、図5に示すような樹脂成形品8を成形することもできる。また、図6に示すように、リング状のインサート部材4の内部に鍔状の係止部4Bを設け、リング状のインサート部材4の内部に樹脂を充填することで、図7に示すような樹脂成形品を成形することもできる。
〔実施形態3〕
インサート部材4の加工精度が低く、例えば、インサート部材4の厚みが加工誤差により設定厚み以下である場合には、金型とインサート部材4との間に空間が生じる。このため、樹脂が当該空間に挿入して樹脂バリが発生する可能性がある。この場合は、図8に示すように、充填される樹脂の圧力を利用して、インサート部材4を第2金型2の側に押し付けることで、このような不具合を解消できる。
図8、図9に示すように、インサート部材4に形成した鍔状の係止部4Aにつき、第1金型1の側の面を第2金型2の側の面よりも大きく構成した。つまり、第1金型1の側の面を傘状の傾斜面に形成した。この傾斜面はインサート部材4が樹脂によって押圧される樹脂押圧部5となる。
実施形態1と同様に、第1金型1及び第2金型2によって形成されたキャビティの内部に加飾フィルム20が挿入され、インサート部材4が位置決めされる。第1金型1の側に備えた吸引機構によりインサート部材4を第1金型1に吸引保持する。この状態で第1金型1及び第2金型2を型締めする。型締めが終了した段階で、前記吸引機構の吸引を開放する。これにより、インサート部材4が第2金型2に対する近接・離間方向とは直角な方向には移動不能であり、近接・離間にのみ移動可能な状態となる。
続いて、図8に示すように、第1金型1に設けられた樹脂注入用のゲート6からキャビティ3の内部に樹脂を充填する。このとき、樹脂押圧部5の傾斜面に注入される樹脂の圧力が作用し、インサート部材4が第2金型2の側(矢印方向)に強く押し付けられる。よって、仮にインサート部材4に厚み誤差が存在し、インサート部材4と第2金型2との間に空間が生じる場合であっても、インサート部材4と第2金型2との間に樹脂が侵入せず、樹脂バリが発生しない。この結果、インサート部材4が所定の位置に露出し、樹脂部に加飾層を備えた樹脂成形品が製造できる。
〔実施形態4〕
実施形態3に用いられるインサート部材4に代えて、図10に示すように、リング状のインサート部材4を用いて樹脂成形品を成形することができる。また、図11、図12に示すように、内部に鍔状の係止部4Bを備えるリング状のインサート部材4を用い、リング状のインサート部材4の内部に樹脂を充填した樹脂成形品を成形することもできる。リング状のインサート部材4の内部に樹脂を充填する場合は、リング状のインサート部材4の内部に樹脂押圧部5を設ける必要がある。
〔実施形態5〕
仮に、インサート部材4の厚みが加工誤差により設定厚み以下である場合、インサート部材4の第2金型2の側への押し付け態様を図13に示す。即ち、ここでは付勢手段13を用いてインサート部材4を第2金型の側に直接押し付ける。インサート部材4の保持部10は、インサート部材4の裏側の一部と係合可能な係合部材12と、この係合部材12と第1金型1とに連結された付勢手段13とを備える。付勢手段13は、係合部材12を介してインサート部材4を第2金型側に付勢可能とする。
第1金型1及び第2金型2を型締めする際、係合部材12とインサート部材4の裏側との一部が接し、係合部材12を介して付勢手段13がインサート部材4を第2金型の側に付勢する。これにより、インサート部材4が第2金型2の側に押し付けられる。よって、インサート部材の厚みに誤差がある場合に、インサート部材4の露出部4aを第2金型2の側に安定して押し付けることができ、インサート部材4が所定の位置に露出し、樹脂部に加飾層を備えた樹脂成形品を得ることができる。
〔実施形態6〕
実施形態5ではリング状のインサート部材4を用いたが、インサート部材4は、図2に示すように、インサート部材4の内部に空洞のないものでもよい。また、図6に示すように、内部に鍔状の係止部4Bを備えるリング状のインサート部材4を用い、その内部に樹脂を充填した樹脂成形品を成形する金型にも利用できる。
〔実施形態7〕
インサート部材4を第2金型2の側に押し付けるために、インサート部材4の一部を切除して切欠き部9を形成し、当該切欠き部9に直接樹脂が注入されるようゲート6を配置してもよい。インサート部材4は、例えば、図14、図15に示すように、外周部の一部が切除されて切り欠き部9が形成されている。樹脂注入用のゲート6は第1金型1に備えられ、当該ゲート6はインサート部材4の裏側に向くように配置されている。
切り欠き部9を形成することで、インサート部材4と第1金型1の内壁面との間の空間を広く確保することができる。図14に示すように、金型内にインサート部材4を位置決めし、加飾フィルム20を配置して金型を閉じ、切欠き部9にゲート6から樹脂を注入する。切欠き部9の空間領域に注入される樹脂の圧力は直接切欠き部9に作用し、インサート部材4を第2金型2の側に押し付ける。このようにして、第2金型2とインサート部材4との間への樹脂の侵入が防止され、樹脂バリの発生を回避される。インサート部材4は所定の位置に露出し、樹脂部には加飾層を備えた樹脂成形品が製造できる。
〔実施形態8〕
実施形態7に用いられるインサート部材4に代えて、図16に示すように、リング状のインサート部材4を用いて樹脂成形品を成形することもできる。また、図17に示すように、内部に鍔状の係止部4Bを備えるリング状のインサート部材4を用い、リング状のインサート部材4の内部に樹脂を充填した樹脂成形品を成形することもできる。
〔他の実施形態〕
(1)前記実施形態1〜8では、インサート部材4として全体が円形状のものを用いたが、円形状に限られるものではない。例えば、図18に示すように、全体が矩形状のインサート部材4を用いることもできる。このインサート部材4は、一方の面の左右に露出部4aを有し、左右の露出部4aに挟まれた中間部分は凹状に形成されて樹脂部7に埋設する形状である。このインサート部材4を用い、図19に示すように、金型に型締めして射出成形することで、図20に示した樹脂成形品を得ることができる。インサート部材4の外周の係止部4Aの形状や位置については、前記実施形態と同様、特に限定されない。また、係止部4Aは、図18に示すように、インサート部材4の外周全部に設けてもよいし、外周の一部に設けてもよい。
(2)前記実施形態1〜8では、加飾フィルム20は、印刷された模様のみが樹脂表面に転写され、フィルムそのものは樹脂表面に残存しない。しかし、本発明に係る樹脂成形品に用いられる加飾フィルム20は、これに限られず、樹脂表面に加飾フィルム20を直接接着して加飾層を付与するものであってもよい。
(3)本発明に係る樹脂成形品のインサート部材4として、図21〜図23に示すように、絞りが深い枠状のインサート部材4を用いてもよい。この場合、樹脂はインサート部材4の内側のキャビティ3に注入されて、図26に示すような樹脂成形品8が製造される。
本実施形態では、厚み方向位置決定部4Cは、インサート部材4のうち、第1金型1と第2金型2とで挟まれている部分の裏側であり、第1金型1のインサート部材4の保持部は、厚み方向位置決定部4Cに対向する部分となる。
第1金型1には、さらに、型締めの際、インサート部材4を保持するクランプ15を設けてもよい。クランプ15は、型締め方向と型締め方向に垂直な方向とのいずれか一方に適宜移動して、インサート部材4の外側部に接当して保持する位置と、第1金型1へのインサート部材4の配置を妨げない退避位置とに移動する。クランプ15は、例えば、図24に示すように、インサート部材4の周囲が矩形状の場合に対向する2辺に設けてもよいし、図25に示すように、インサート部材4の全周を保持するように枠状に設けてもよい。また、図示しないが、クランプ15は、インサート部材4の全周に対して分割された状態で設けてもよいし、インサート部材4の周囲に点在させてもよい。要するに、クランプ15は、第1金型1においてインサート部材4を保持して位置決めできるよう設けてあればよい。なお、枠状のクランプ15を用いる場合には、クランプ15は型締め方向にのみ移動させる。
クランプ15を用いて樹脂成形品を製造する際の手順について、以下に説明する。
第1金型1に設けられるクランプ15は、例えば、型締め方向に対して垂直な方向に移動可能に構成されている。図21に示すように、型開きした状態で、第1金型1のインサート部材4を配置する位置の外側方の退避位置にクランプ15を移動させてから、第1金型1にインサート部材4を配置する。次に、退避位置にあるクランプ15をインサート部材4の外側部を保持する位置に移動させて、インサート部材4を第1金型1に位置決めする。その後、図22に示すように、型締めし、形成されたキャビティ3に樹脂を射出する。樹脂が固化した後、型開きし、インサート部材4の外側部を保持する位置にあるクランプ15を退避位置に移動させて、第1金型1から樹脂成形品8を取り出す。
型締めの際に、インサート部材4の外側部が第1金型1に設けられたクランプ15で保持され、加飾フィルム20は、第2金型2の浅めのキャビティ面に沿って配置されている。したがって、加飾フィルム20とインサート部材4の外側部とは接しない。そのため、インサート部材4の外側部が深絞りであっても、型締めの際に、加飾フィルム20がインサート部材4の外側部及び第2金型2に擦れて破れることはない。
クランプ15の材質は特に限定されないが、インサート部材4より軟質材であることが望ましい。こうすると、クランプ15がインサート部材4に接当する際に与える衝撃力は、インサート部材4より軟質材である当該クランプ15に一部吸収され、インサート部材4とクランプ15とが同質材の場合に比べて小さくなる。したがって、クランプ15の接当時の衝撃でインサート部材4が変形する可能性は低くなる。
ここで、インサート部材4の厚み方向位置決定部4Cの面積が小さい場合には、型締めの際に第1金型1及び第2金型2が保持する部分の面積も小さくなるため、型締めと型開きを繰り返す金型が当該位置で偏摩耗する可能性がある。しかしながら、クランプ15の厚みが、型締めの際の第1金型1と第2金型2との間隔とほぼ同じにすると、型締めの際に第1金型1及び第2金型2はクランプ15にも当接し、第1金型1及び第2金型2が保持する部分の面積が大きくなるので、金型の偏摩耗を防止することができる。
図23に示すように、クランプ15は、インサート部材4の外側部と接当する面部の周縁15Aを丸め形状にしてあることが望ましい。こうすると、クランプ15がインサート部材4の外側部を保持する際に、クランプ15の周縁15Aが、インサート部材4の表面に対して局所的に当接することがなく、インサート部材4の外側部が傷付くのを防止することができる。
本発明に係る樹脂成形品は、インサート部材の露出面と加飾された樹脂面の両方を備え、意匠性の優れた各種の外装品等に利用することができる。
1 第1金型
2 第2金型
4 インサート部材
4a 露出部
4A、4B 係止部
4C 厚み方向位置決定部
5 樹脂押圧部
6 ゲート
8 樹脂成形品
9 切欠き部
10 保持部
15 クランプ
15A 周縁
20 加飾フィルム

Claims (4)

  1. 一部が樹脂部から露出した状態で樹脂部に埋設され、かつ、樹脂部に埋設される部位の少なくとも一部に、樹脂成形品の表裏方向に対して直角な方向に前記樹脂部と係合する係止部を設けたインサート部材を備えると共に、
    前記樹脂部の表面に加飾層を備え、
    樹脂成形に際して、前記インサート部材の表面を樹脂成形品の表面を形成する成形金型の所定の位置に配置する厚み方向位置決定部を、前記インサート部材の裏側に設けた樹脂成形品。
  2. 前記厚み方向位置決定部が、樹脂成形に際して樹脂による押圧力を前記インサート部材の裏側に作用させる押圧部である請求項1に記載の樹脂成形品。
  3. 前記押圧部が、前記インサート部材の裏面に形成した傾斜面である請求項2に記載の樹脂成形品。
  4. 前記押圧部が、前記インサート部材の裏面の一部を切除して形成した切欠き部である請求項2に記載の樹脂成形品。
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