JP5635794B2 - 導電部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年では、コネクタのピンの数が増え、これに伴うコネクタ挿入力の増加も問題になっている。自動車等のコネクタの組み立て作業は人手に頼ることが多く、挿入力の増大は作業者の手にかかる負担が大きくなり、コネクタの低挿入力化が望まれているが、Snは端子の嵌合接続時の摩擦が大きく、コネクタの芯数が著しく増大すると強大な挿抜力が必要になる。そこで、高温環境使用時におけるはんだ付け性や接触抵抗の劣化を防ぐため、更には挿抜力を軽減するため、Cu又はCu合金母材にNi下地めっき層、Cuめっき層、及びSnめっき層を順に形成した後に、リフロー処理等を利用した熱拡散反応によってCu−Sn合金層を形成するいわゆる3層めっきが種々行われている。
また、この3層めっきのはんだ付け性、接触抵抗、耐熱性を向上させるため、表層のSnめっき層に極微量のZnを積極的に添加することも行われているが、Znは酸化により耐熱試験後の接触信頼性が低下する危険性も指摘されている。
特許文献2には、Cu又はCu合金からなる母材表面に、Ni層及びCu−Sn合金層からなる表面めっき層がこの順に形成され、かつ前記Ni層の厚さが0.1〜1.0μm、前記Cu−Sn合金層の厚さが0.1〜1.0μm、そのCu濃度が35〜75at%であることを特徴とする接続部品用導電材料が請求項1に記載されている。また、表層にはSn層を形成することができ、嵌合型端子の場合には挿入力の上昇を避けるためにはSn層の厚さを0.5μm以下に規制する必要があることが記載されており、一方、非嵌合型接続部品用の場合にはSn層の厚さを0.5μm以下にするとはんだ濡れ性が低下することが開示されている。
特許文献3には、銅又は銅合金の表面に下地Niめっき層、中間Sn−Cuめっき層及び表面Snめっき層を順に有するSnめっき材であって、下地Niめっき層はNi又はNi合金で構成され、中間Sn−Cuめっき層は少なくとも表面Snめっき層に接する側にSn−Cu−Zn合金層が形成されたSn−Cu系合金で構成され、表面Snめっき層はZnを5〜1000質量ppm含有し、高温環境下に曝されても良好なはんだ付け性及び低接触抵抗を保持し、且つ、低挿抜性であることを特徴とするSnめっき材が開示されている。
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであり、Cu又はCu合金からなるCu系基材の表面にNi系下地めっき層を有する最表面にSnめっきが施された高温での暴露時に特に優れた接触抵抗性を有する導電性部材及びその製造方法を提供する。
Sn系めっき層は、高温で長時間での暴露時には、Snは下層であるCu−Sn金属間化合物層に移動し、一部は酸化錫皮膜となってCu−Sn金属間化合物層上に存在し、この酸化錫が時間と共に肥大化して接触抵抗性を悪化させる要因となる。
この酸化錫皮膜中に適量の酸化亜鉛が存在すると、形成される酸化錫皮膜の肥大化を阻止し、接触抵抗性の悪化を防ぐと考えられる。
そこで、Ni下地めっき層に必要量の亜鉛を添加するとともに、Cu−Sn金属間化合物層を高温での使用時にZnがマイグレーションし易く、かつ合金特性を損なわない最適なCu−Sn金属間化合物層とすることにより、このCu−Sn金属間化合物層を介して、Ni系下地めっき層中のZnの一部を最表面のSn系めっき層に到達させるを考えた。
Sn系めっき層を形成する時点で必要量のZnを添加しておくことも一方法ではあるが、高温使用中に適度な量がマイグレーションにより供給される亜鉛とは異なり、使用開始時からの酸化が激しく、逆に接触信頼性が低下する危険性があり、また、はんだ濡れ性が悪化し実装時に問題となることも多く、実装時にはSn系めっき表面には亜鉛が存在せず、実装後の高温使用時に亜鉛がSn系めっき表面にマイグレーションすることが、実装性と接触抵抗性を両立する観点から好ましい。
大傾角境界では、粒界の構造は転位群で形成されるような半規則的な構造をとらず、多数の空孔が入り乱れた複雑構造をとるようになり、隣接粒での自由エネルギーが高くなり、結晶は液体に近い構造になると考えられる。
このような粒界比率が80%以上あり、更に加熱されることにより、亜鉛の拡散速度は小傾角粒界に比べて高くなり、Ni系下地めっき層中の亜鉛の一部は、速やかにCu−Sn合金層中をマイグレーションしてSn系めっき表面に拡散すると考えられる。
また、この最適なCu−Sn金属間化合物層は、Sn系めっき層の形成時にめっき液中に微量のクロムを添加し、めっき後のリフロー条件を最適化することにより形成されることも本発明者らは見出した。最適なリフロー条件下でのCu−Sn金属間化合物層の形成時に、合金層の粒界にクロムが析出して大傾角粒界を増大させると考えられる。
好ましくは、大傾角粒界比率は80〜95%である。95%を超えると、マイグレーションされる亜鉛量が多くなり、酸化錫皮膜の増大を抑える効果が小さくなる傾向がある。
Cu−Sn金属間化合物層の前記凹部に対する凸部の厚さの比率が1.2未満であると、コネクタとしての使用時の挿抜力が低減して好ましいが、凹凸がほとんどなくなり、金属間化合物層が著しく脆くなり、曲げ加工時にめっき皮膜の剥離が発生し易くなるため好ましくない。凸部の厚さの比率が5.0を超えると、Sn系表面層の下に大きな凹凸が形成され、コネクタとして用いたときの挿抜力が増大して好ましくない。
Ni系下地層中のZnの含有量が0.1重量%未満では、マイグレーションされる亜鉛量が不十分であり、2.0重量%を超えると、Ni系下地層としての特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
Ni系下地層中に含有されるZn量の0.1〜0.3重量%のZnが、Ni系下地層、Cu−Sn金属間化合物層を介してSn系表面層にマイグレーションされる。
Snめっきの電流密度を20〜50A/dm2としたのは、電流密度が20A/dm2未満ではSnの粒界密度が低くなって、合金化する際に平滑なCu−Sn金属間化合物層を形成する効果が乏しく、一方、電流密度が50A/dm2を超えると、電流効率が著しく低下するため望ましくないからである。
めっき液中の硫酸クロム(III)の含有量が0.5mg/l未満では、めっき後のリフローによるCu−Sn合金層形成時に、合金層の粒界にクロムが析出して大傾角粒界を増大させる効果は得られず、5mg/lを超えると、合金層が脆くなる危険性がある。
Ni又はNi合金によるめっき層の電流密度が10〜30A/dm2としたのは、Niめっきの電流密度を10A/dm2以上とすることにより、結晶粒が微細化しリフローや製品化された後の加熱時にNi原子がSnや金属間化合物に拡散し難くなり、一方、電流密度が30A/dm2を超えると、電解時のめっき表面での水素発生が激しくなり、気泡付着により皮膜にピンホールが発生し、これを起点として剥離し易くなるからである。
めっき液中の硫酸亜鉛の含有量が0.05g/l未満では、リフロー後に形成されるNi系下地層中のZn含有量が0.1重量%以下となり、10g/lを超えると、Ni系下地層中のZn含有量が2.0重量%以上となる。
また、加熱工程でのピーク温度が240℃未満であると、Snが均一に溶融せず、ピーク温度が300℃を超えると、金属間化合物が急激に成長しCu−Sn金属間化合物層の凹凸が大きくなるので好ましくない。
さらに、冷却工程においては、冷却速度の小さい一次冷却工程を設けることにより、Cu原子、及び微量のクロムがSn粒内に穏やかに拡散し、所望の金属間化合物構造を成長させる。この一次冷却工程の冷却速度が30℃/秒を超えると、急激に冷却される影響で金属間化合物は滑らかな形状に成長することができず、凹凸が大きくなる。冷却時間が10秒未満であっても同様に金属間化合物は滑らかな形状に成長することができない。冷却時間が15秒を超えると、Cu6Sn5層の成長が過度に進み、Cu3Sn層の被覆率が低下する。この一次冷却工程は空冷が適切である。
そして、この一次冷却工程の後、二次冷却工程によって急冷し、金属間化合物層の成長
を所望の構造で完了させ、粒界に所定量のクロムが析出し、金属間化合物層を後方散乱電子回折像システム付の走査型電子顕微鏡によるEBSD法にて測定した大傾角粒界比率が80%以上となる。この二次冷却工程の冷却速度が200℃/秒未満であっても、300℃/秒を超えても大傾角粒界比率は80%以上とならない。
このようにめっきの電析条件とリフロー条件を緻密に制御することによって、二層構造で凹凸が少なく、亜鉛がマイグレーションし易い安定したCu−Sn金属間化合物層を得ることができる。
この実施形態の導電部材10は、図1に示すように、Cu系基材1の表面に、Ni系下地層3を介して、Cu−Sn金属間化合物層4、Sn系表面層5がこの順に形成されるとともに、Cu−Sn金属間化合物層4はさらに、Cu3Sn層6とCu6Sn5層7とから構成されている。
更に、Ni系下地層3は、Znの含有量が0.1〜2.0重量%である。Znの含有量が0.1重量%未満では、マイグレーションされるZn量が不十分であり、2.0重量%を超えると、Ni系下地層としての特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、高温時には、Ni系下地層3中に含有されるZn量のうち、0.1〜0.3重量%のZnが、Ni系下地層3、Cu−Sn金属間化合物層4を介してSn系表面層5にマイグレーションされる。
大傾角粒界比率が80%未満では、Ni系下地層3に含有される極微量の亜鉛の一部が高温での使用時に、マイグレーションにて最表面のSn系めっき層5に到達し難い。この大傾角粒界比率は80〜95%であることがより好ましい。粒界比率が95%を超えると、マイグレーションされる亜鉛量が多くなり、酸化錫皮膜の増大を抑える効果が小さくなる傾向がある。
Cu−Sn金属間化合物層4の凹部8に対する凸部9の厚さの比率が1.2未満であると、コネクタとしての使用時の挿抜力が低減して好ましいが、凹凸がほとんどなくなり、金属間化合物層が著しく脆くなり、曲げ加工時にめっき皮膜の剥離が発生し易くなるため好ましくない。凸部9の厚さの比率が5.0を超えると、Sn系表面層5の下に大きな凹凸が形成され、コネクタとして用いたときの挿抜力が増大して好ましくない。
また、このCu−Sn金属間化合物層4のうちの下層に配置されるCu3Sn層6は、Ni系下地層3を覆っており、その面積被覆率が60〜100%とされていることが好ましい。面積被覆率が60%未満となって低いと、被覆されていない部分から高温時にNi系下地層3のNi原子のCu6Sn5層7への拡散が促進して、Ni系下地層3に欠損が発生するおそれがある。より望ましくは80%以上が被覆されているとよい。
この面積被覆率は、皮膜を集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)により断面加工し、走査イオン顕微鏡(SIM;Scanning Ion Microscope)で観察した表面の走査イオン像(SIM像)から確認することができる。
このNi系下地層3に対する面積被覆率が60%以上ということは、面積被覆率が100%満たない場合に、Ni系下地層3の表面には局部的にCu3Sn層6が存在しない部分が生じることになるが、その場合でも、Cu−Sn金属間化合物層4のCu6Sn5層7がNi系下地層3を覆っていることになる。
なお、このCu−Sn金属間化合物層4は、Ni系下地層3の上にめっきしたCuと表面のSnとが拡散することにより合金化したものであるから、リフロー処理等の条件によっては下地となったCuめっき層の全部が拡散してCu−Sn金属間化合物層4となる場合もあるが、そのCuめっき層が残る場合もある。このCuめっき層が残る場合は、そのCuめっき層は例えば0.01〜0.1μmの厚さとされる。
また、Ni系下地層3のNiがCu−Sn金属間化合物層4にわずかながら拡散するため、Cu6Sn5層7内にはわずかにNiが混入している。
この酸化皮膜11中に存在するNi系下地層3よりマイグレーションされた適量のZnによる酸化亜鉛が、酸化皮膜11の肥大化を阻止し、接触抵抗性の悪化を防ぐ役割を果たす。
酸化皮膜11中の適切なZnの量は40at%以上であり、Snの量は15at%以下である。
まず、Cu系基材として、Cu又はCu合金の板材を用意し、これを脱脂、酸洗等によって表面を清浄にした後、Niめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で順次行う。
また、各めっき処理の間には、酸洗又は水洗処理を行う。
めっき液中の硫酸亜鉛の含有量が0.05g/l未満では、導電部材として175℃で1000時間の耐熱性試験を行った後に、Cu−Sn金属間化合物層の表面に充分な酸化亜鉛を有する皮膜が形成されず、硫酸亜鉛の含有量が10g/lを超えると、Ni系下地層としての特性に悪影響を及ぼす。
また、めっき温度は45〜55℃、電流密度は10〜30A/dm2とされる。電流密度を10〜30A/dm2としたのは、Niめっきの電流密度を10A/dm2以上とすることにより、結晶粒が微細化しリフローや製品化された後の加熱時にNi原子がSnや金属間化合物に拡散し難くなり、一方、電流密度が30A/dm2を超えると、電解時のめっき表面での水素発生が激しくなり、気泡付着により皮膜にピンホールが発生し、これを起点として剥離し易くなるからである。
高電流密度でのCuめっきは粒界密度を増加させ、均一な合金層形成を助ける。Cuめっきの電流密度を20〜60A/dm2としたのは、電流密度が20A/dm2未満ではCuめっき結晶の反応活性が乏しいため、合金化する際に平滑な金属間化合物を形成する効果が乏しく、一方、電流密度が60A/dm2を超えると、Cuめっき層の平滑性が低くなるため、平滑なCu−Sn金属間化合物層を形成することができないからである。
Snめっきの電流密度を20〜50A/dm2としたのは、電流密度が20A/dm2未満ではSnの粒界密度が低くなって、合金化する際に平滑なCu−Sn金属間化合物層を形成する効果が乏しく、一方、電流密度が50A/dm2を超えると、電流効率が著しく低下するため望ましくないからである。
めっき液中の硫酸クロム(III)の含有量が0.5mg/l未満では、めっき後のリフローによるCu−Sn合金層形成時に、合金層の粒界にクロムが析出して大傾角粒界を増大させる効果は得られず、5mg/lを超えると、合金層が脆くなる危険性がある。
また、この高い電流密度でのめっき処理を可能とするために、陽極には、アノード限界電流密度の高い酸化イリジウム(IrO2)を被覆したTi板等の不溶性陽極を用いることが望ましい。
これらCuめっき層とSnめっき層とが後述のリフロー処理によってCu−Sn金属間化合物層とSn系表面層となるのであり、その場合、Sn系表面層は前述したようにコネクタ端子としての耐熱性、挿抜性の観点から0.5〜1.5μmの厚さに形成され、このSn系表面層の厚さを確保するためには、下地となるSnめっき層としては、1.5〜2.0μm必要になる。そして、このSnめっき層の下で、凹凸の小さいCu−Sn金属間化合物層を得るには、Cuめっき層としては、0.3〜0.5μmと通常のものより若干大きい厚さとするのが好ましい。
これは、Snめっき層は、厚さ方向に成長した柱状結晶からなっており、次のリフロー処理においてCuとSnとが反応して合金層を形成する際に、CuがSn柱状結晶の粒界に侵入するようにして、その粒界から合金を形成していくと考えられるが、Cuめっき層が厚くCuの量が多いと、Snめっき層の厚さ方向に沿う柱状結晶の粒界に沿って形成されたCu−Sn合金が粒界から面方向に広がりながら成長するため、その凸部がなだらかになり、凹凸の少ないCu−Sn金属間化合物層となるものと考えられる。
この場合、Snめっき層形成時の電流密度が高いと、柱状結晶の粒界が増えるため、これら粒界に分散して合金が成長して、Cu−Sn金属間化合物層の凹凸を小さくする効果がある。
すなわち、リフロー処理はCO還元性雰囲気にした加熱炉内で、めっき後の処理材を、20〜75℃/秒の昇温速度で240〜300℃のピーク温度まで加熱し、前記ピーク温度に達した後、30℃/秒以下の冷却速度で10〜15秒間冷却する一次冷却工程と、一次冷却後に200〜300℃/秒の冷却速度で冷却する二次冷却工程とでなされる。
このリフロー処理により、Snめっき表面に溶融温度の高い錫酸化物皮膜が生成されるのを防ぎ、より低い温度かつより短い時間でリフロー処理を行うことが可能となる。そして、Ni系下地層3の上にめっきしたCuと表面のSnとがリフロー処理によって拡散して形成された合金層であり、Sn系表面層と接する面に凹凸を有しており、凹部に対する凸部の厚さの比率が1.2〜5であり、後方散乱電子回折像システム付の走査型電子顕微鏡によるEBSD法にて測定した大傾角粒界比率が80%以上であるCu−Sn金属間化合物層が形成される。
更に、その後の急冷により、金属間化合物層の成長を止め、所望の構造で固定化することができ、大傾角粒界比率が80%以上で、凹部に対する凸部の厚さの比率が1.2〜5であるCu−Sn金属間化合物層を得ることができる。この二次冷却工程の冷却速度が200℃/秒未満であっても、300℃を超えても大傾角粒界比率は80%以上とならない。
このようにめっきの電析条件とリフロー条件を緻密に制御することによって、二層構造で適度な凹凸を有する、Ni系下地層3に含有される亜鉛がSn系表面層5にマイグレーションし易い安定したCu−Sn金属間化合物層4を得ることができる。
ところで、高電流密度で電析したCuとSnは安定性が低く室温においても合金化や結晶粒肥大化が発生し、リフロー処理で所望の金属間化合物構造を作ることが困難になる。
このため、めっき処理後速やかにリフロー処理を行うことが望ましい。具体的には15分以内、望ましくは5分以内にリフローを行う必要がある。めっき後の放置時間が短いことは問題とならないが、通常の処理ラインでは構成上1分後程度となる。
この酸化皮膜11中に存在するNi系下地層3よりマイグレーションされた微量のZnが、酸化皮膜11の肥大化を阻止し、接触抵抗性の悪化を防ぐ役割を果たす。酸化皮膜11に含有される適切なZnの量は40at%以上であり、Snの量は15at%以下である。
Cu合金板(Cu系基材)として、厚さ0.25mmの三菱伸銅株式会社製MAX251C材を用い、これにNi、Cu、Snの各めっき処理を順次行った。この場合、表1に示すように、各めっき処理の条件を変えて複数の試料を作成した。
また、これら三種類の各めっき工程間には、処理材表面からめっき液を洗い流すための水洗工程を入れた。
本実施例におけるめっき処理では、Cu合金板にめっき液を高速で噴きつけ、なおかつ酸化イリジウムを被覆したTi板の不溶性陽極を用いた。
上記の三種類のめっき処理を行った後、その処理材に対してリフロー処理を行った。このリフロー処理は、最後のSnめっき処理をしてから1分後に行い、加熱工程、一次冷却工程、二次冷却工程について、表1に示すように種々の条件で行った。
本実施例の処理材断面は、透過電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光分析(TEM−EDS分析)の結果、Cu系基材、Ni系下地層、Cu3Sn層、Cu6Sn5層、Sn系表面層の5層構造となっており、なおかつCu−Sn金属間化合物層の最小厚さが0.05μm以上であった。Cu6Sn5層とNi系下地層の界面には不連続なCu3Sn層があり、集束イオンビームによる断面の走査イオン顕微鏡(FIB−SIM像)から観察されるCu3Sn層のNi系下地層に対する表面被覆率は60%以上であった。
大傾角粒界については、前処理として試料をレイボルド社製はんだストリッパーL80で純Sn層を除去した後に、日立ハイテクノロジー社製フラットミリング装置を用いて、加速電圧6kV,照射時間3分,入射角10°の条件で表面をクリーニングした後に、EBSD測定装置(HITACHI社製 S4300−SE,EDAX/TSL社製 OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社製 OIM Data Analysis ver.5.2)によって、結晶粒界を測定し、その長さを算出することにより、全結晶粒界中の大傾角粒界長さ比率の解析を行った。
即ち、試料表面の測定範囲内の個々の測定点(ピクセル)に電子線を照射し、後方散乱電子線回折による方位解析により、隣接する測定点間の方位差が2°以上となる測定点を結晶粒界とし、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点を大傾角粒界とし、測定範囲における結晶粒界の全粒界長さLを測定し、隣接する結晶粒の界面が大傾角粒界を構成する結晶粒界の位置を決定するとともに、大傾角粒界の全粒界長さLσと、上記測定した結晶粒界の全粒界長さLとの粒界長さ比率Lσ/Lを求め、大傾角粒界長さ比率とした。
動摩擦係数については、嵌合型のコネクタのオス端子とメス端子の接点部を模擬するように、各試料によって板状のオス試験片と内径1.5mmの半球状としたメス試験片とを作成し、アイコーエンジニアリング株式会社製の横型荷重測定器(Model−2152NRE)を用い、両試験片間の摩擦力を測定して動摩擦係数を求めた。図4により説明すると、水平な台21上にオス試験片22を固定し、その上にメス試験片23の半球凸面を置いてめっき面どうしを接触させ、メス試験片23に錘24によって4.9N(500gf)の荷重Pをかけてオス試験片22を押さえた状態とする。この荷重Pをかけた状態で、オス試験片22を摺動速度80mm/分で矢印で示す水平方向に10mm引っ張ったときの摩擦力Fをロードセル25によって測定した。その摩擦力Fの平均値Favと荷重Pより動摩擦係数(=Fav/P)を求めた。
接触抵抗は、試料を175℃×1000時間放置した後、山崎精機株式会社製電気接点シミュレーターを用い荷重0.49N(50gf)摺動有りの条件で測定した。
酸化皮膜中の亜鉛の含有量(atwt%)はオージェ電子分光分析装置(アルバック社製PHI−700)より求めた。
3 Ni系下地層
4 Cu−Sn金属間化合物層
5 Sn系表面層
6 Cu3Sn層
7 Cu6Sn5層
8 凹部
9 凸部
10 導電部材
10’ 導電部材
11 酸化皮膜
Claims (3)
- Cu又はCu合金からなるCu系基材の表面に、Ni系下地層を介して、Cu−Sn金属間化合物層、Sn系表面層がこの順に形成されるとともに、Cu−Sn金属間化合物層はさらに、前記Ni系下地層の上に配置されるCu3Sn層と、該Cu3Sn層の上に配置されるCu6Sn5層とからなり、これらCu3Sn層及びCu6Sn5層を合わせた前記Cu−Sn金属間化合物層の前記Sn系表面層と接する面に凹凸を有しており、前記Cu−Sn金属間化合物層の前記凹部に対する凸部の厚さの比率が1.2〜5であり、前記Cu−Sn金属間化合物層の後方散乱電子回折像システム付の走査型電子顕微鏡によるEBSD法にて測定した大傾角粒界比率が80%以上であり、前記Ni系下地層中に0.1〜2.0重量%のZnを含有することを特徴とする導電部材。
- Cu又はCu合金からなるCu系基材の表面に、Ni又はNi合金、Cu又はCu合金、Sn又はSn合金をこの順にめっきしてそれぞれのめっき層を形成した後、加熱してリフロー処理することにより、前記Cu系基材の上に、Ni系下地層、Cu−Sn金属間化合物層、Sn系表面層を順に形成した導電部材を製造する方法であって、前記Cu又はCu合金によるめっき層を電流密度が20〜60A/dm2の電解めっきにより形成し、前記Sn又はSn合金によるめっき層を0.5〜5mg/lの硫酸クロム(III)を含有するめっき液中にて電流密度が20〜50A/dm2の電解めっきにより形成し、前記Ni又はNi合金によるめっき層を0.05〜10g/lの硫酸亜鉛を含有するめっき液中にて電流密度が10〜30A/dm2の電解めっきにより形成し、
前記リフロー処理は、めっき層を20〜75℃/秒の昇温速度で240〜300℃のピーク温度まで加熱する加熱工程と、前記ピーク温度に達した後、30℃/秒以下の冷却速度で10〜15秒間冷却する一次冷却工程と、一次冷却後に200〜300℃/秒の冷却速度で冷却する二次冷却工程とを有することを特徴とする導電部材の製造方法。 - 請求項2に記載の製造方法により製造された導電部材。
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