JP5656185B2 - 耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法 - Google Patents

耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種の複合材料における補強繊維材料として好適な炭素繊維の前駆体としても利用可能な耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法に関する。
例えばアクリロニトリル重合体からなるアクリル繊維は、炭素繊維の前駆体として用いられている。アクリル繊維を前駆体として得られる、いわゆるポリアクリロニトリル炭素繊維(PAN系炭素繊維)は、機械的物性に優れ、また生産性もよいため、広く工業的に生産されている。
アクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、まず、アクリル繊維を酸化性雰囲気中、200〜300℃で加熱処理して耐炎化繊維とし(耐炎化工程)、ついで、炭素化処理して炭素繊維を得る。炭素化処理では、通常、公知の技術により、1000〜2000℃の不活性気体中で熱処理する(炭素化工程)。また、炭素化工程の前に、400〜700℃の上昇温度勾配の不活性雰囲気炉で熱処理する(前炭素化工程)ことが好ましいとされている。
こうして得られた炭素繊維をさらに高温の不活性ガス中で処理し、黒鉛繊維とする場合もある。
耐炎化工程では、アクリル繊維などのアクリロニトリル重合体を構成する高分子鎖に結合したニトリル基の環化反応と、さらに環化した構造が酸化または脱水素化されナフチリジン環とアクリドン環が複合した構造に変わる脱水素反応(これら環化反応と脱水素反応を合わせて「耐炎化反応」という。)が起こる。
しかし、200〜300℃の酸化性雰囲気中での耐炎化反応では、アクリロニトリル重合体表面からの酸素の拡散具合により構造が変化しやすく、酸素の拡散が不充分であると脱水素反応まで反応が進行しにくかった。従って、得られる耐炎化繊維などの耐炎化アクリロニトリル重合体は、アクリロニトリル重合体が繊維状の場合は直径、粉体状の場合は粒径、フィルム状の場合は厚さにもよるが、外部はナフチリジン環とアクリドン環が複合した炭素の二重結合をもつ構造が主となり、内部はニトリル基が環化反応したのみの炭素の二重結合を持たない構造が主となり、内部まで均一な構造になりにくかった。このような構造となる傾向は、アクリロニトリル重合体の直径、粒径、厚みが大きくなるほど顕著であった。
また、アクリロニトリル重合体としてアクリロニトリルを単独重合させた単独重合体を用いると、耐炎化工程での加熱処理に時間がかかりやすかった。そのため、通常、耐炎化反応を促進するモノマー(反応促進モノマー)をアクリロニトリルと共重合させた共重合体を用いる。
しかし、反応促進モノマーの割合が多くなるほど、耐炎化工程での加熱処理時間(耐炎化時間)を短縮できるが、その一方で、得られる炭素繊維などの品位ならびに性能が低下する傾向にあった。
耐炎化反応を促進させる方法として、例えば特許文献1には、アクリルプレカーサーを加圧下で耐炎化する方法が開示されている。
特開平3−76822号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、耐炎化反応を促進できるものの、例えば直径が大きいアクリル繊維(例えば直径が15μm以上のアクリル繊維)を用いた場合は、内部まで均一な構造の耐炎化繊維を得ることは必ずしも容易ではなかった。
また、特許文献1に記載の方法では、0.05〜100kg/cm−Gに加圧された200〜300℃の雰囲気中で、繊維束を加熱して耐炎化処理を行うが、実施例で示されている温度と圧力の範囲は超臨界雰囲気下ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、耐炎化時間を短縮でき、かつ直径が大きい繊維状、粒径が大きい粉体状、または厚みのあるフィルム状のアクリロニトリル重合体を用いても、内部まで均一な構造の耐炎化アクリロニトリル重合体を製造できる方法の提供を課題とする。
本発明の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法は、二酸化炭素を主成分とする超臨界流体中で、アクリロニトリル重合体を200〜300℃で加熱処理し、環化、脱水素反応を行うことを特徴とする
らに、前記超臨界流体が酸化性物質を含有することが好ましい。
また、前記アクリロニトリル重合体は繊維状、特に直径が15μm以上の繊維状でもよいし、粉体状でもよいし、フィルム状でもよい。
さらに、アクリロニトリル重合体がアクリロニトリル単位を90〜98質量%含有する共重合体であり、超臨界流体中で加熱処理する時間が60分以下であることが好ましい。
本発明の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法によれば、耐炎化時間を短縮でき、かつ直径が大きい繊維状、粒径が大きい粉体状、または厚みのあるフィルム状のアクリロニトリル重合体を用いても、内部まで均一な構造の耐炎化アクリロニトリル重合体を製造できる。
また、本発明により得られる耐炎化アクリロニトリル重合体は、内部まで均一な構造である。
実施例で用いた加熱処理装置1を示す概略構成図である。 実施例で用いた加熱処理装置2を示す概略構成図である。 実施例1、4、12、および比較例1、3で得られた耐炎化繊維の固体13C−NMRスペクトルを示した図である。 実施例7、および比較例2で得られた耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルを示した図である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法は、超臨界流体中でアクリロニトリル重合体を加熱処理し、環化、脱水素反応を行うことを特徴とする。
本発明に用いられるアクリロニトリル重合体の形状は、繊維状であってもよく、粉体状であってもよく、フィルム状であってもよい。
ここで、特にアクリロニトリル重合体が繊維状の場合を「アクリル繊維」と称し、該アクリル繊維を加熱処理して得られる繊維を「耐炎化繊維」と称する。
アクリロニトリル重合体としては、アクリロニトリルを単独重合させた重合体(ホモポリマー)および/またはアクリロニトリルと共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることができる。
アクリロニトリル重合体が共重合体の場合、炭素化を良好に行う目的で、アクリロニトリル重合体中のアクリロニトリル単位の含有量は90質量%以上であることが好ましい。特に、炭素繊維にしたときのアクリロニトリル重合体に起因する欠陥点を軽減し、炭素繊維の品位ならびに性能を向上させる目的で、アクリロニトリル単位の含有量は95質量%以上であることがより好ましい。一方、アクリロニトリル単位の含有量の上限値は98質量%以下が好ましい。
アクリロニトリルと共重合可能なモノマーは、耐炎化反応を促進するために用いられる。このようなモノマーとしては特に制限はないが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ウラリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類;p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩が挙げられる。これらは、1種でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
アクリロニトリルと共重合可能な他のモノマーとして、後述する耐炎化工程での環化反応を特に促進する目的で、カルボン酸基を有するモノマーやアクリルアミドを用いることが好ましい。特に、溶剤に対する溶解性の向上の観点から、アクリルアミド単位がアクリロニトリル重合体に1質量%以上含まれていることが好ましい。
カルボン酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸やイタコン酸が好ましい。
アクリロニトリル重合体は、溶液重合、懸濁重合など公知の重合方法により得ることができる。重合により得られたアクリロニトリル重合体からは、未反応モノマーなどの不純物を除く処理をすることが望ましい。
アクリロニトリル重合体が繊維状の場合、このようにして得られたアクリロニトリル重合体、好ましくは不純物を除去したアクリロニトリル重合体を溶剤に溶解して紡糸原液とし、該紡糸原液を紡糸してアクリル繊維を得る。
溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤や、塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウムなどの無機化合物の水溶液が使用できる。作製される繊維中に金属が混入されにくく、また、工程が簡略化される点で、有機溶剤が好ましい。
紡糸原液中のアクリロニトリル重合体の濃度は、紡糸工程上、その重合度にもよるが、17質量%以上が好ましく、より好ましくは19質量%以上である。また、25質量%以下が好ましい。
紡糸方法としては、公知の紡糸方法を用いることができる。具体的には、紡糸原液をノズル孔より直接凝固浴中に紡出する湿式紡糸法、一旦空気中へ紡出した後に浴中凝固させる乾湿式紡糸方法を用いることができる。
凝固浴には紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液が使用される。水溶液中の溶剤の濃度は、使用する溶剤の種類にもよるが、例えば、ジメチルアセトアミドあるいはジメチルホルムアミドを使用する場合、50〜80質量%が好ましい。
凝固浴の温度は、20〜50℃が生産性上、好ましい。
紡糸原液を紡出して得られた凝固糸は、水洗後、延伸処理、乾燥処理され、炭素繊維の前駆体であるアクリル繊維として用いられる。
延伸処理、乾燥処理は公知の方法により行うことができる。
延伸処理としては、限定されるものではなく、例えば、2本のロールに凝固糸を巻きつけ2本のロール間の回転速度を変える方法により行うことができる。延伸処理時の雰囲気も限定されるものではなく、例えば、凝固浴と同種の溶剤を含む水溶液中、熱水中、高圧水蒸気中等から適宜選択し、また組み合わせて行うことができる。
乾燥方法としても限定される訳ではないが、例えば、凝固糸を加熱されたロールに巻きつけ通過させる方法が例示できる。
なお、アクリロニトリル重合体が粉体状の場合は、重合後のアクリロニトリル重合体を造粒機などでペレット状に成形し、乾燥させることで得られる。
また、アクリロニトリル重合体がフィルム状の場合は、アクリロニトリル重合体の粉体を溶剤に溶解してキャスト溶液を調製し、該キャスト溶液を基材上に塗布し、乾燥させて溶剤を除去することや、前記キャスト溶液をTダイなどで押し出して凝固液中で凝固させた後、引き続き溶剤を水洗等にて除去し、乾燥することで得られる。溶剤としては、アクリル繊維の製法で例示した溶剤を用いることができる。
このようにして得られたアクリル繊維などのアクリロニトリル重合体を用い、超臨界流体中で前記アクリロニトリル重合体を加熱処理し、耐炎化アクリロニトリル重合体を得る(耐炎化工程)。
加熱処理の際の温度は、200〜300℃が好ましく、より好ましくは230〜270℃である。温度が200℃以上であれば、環化反応が進行しやすくなり、処理時間を短縮できる。温度が高くなるに連れて反応が速く進行するので、230℃以上がより好ましい。一方、温度が300℃以下であれば、分解反応を抑制できる。特に温度が270℃以下であれば、急速な反応の進行を抑制できるので、反応の制御が容易となる。
また、加熱処理の際の時間は、アクリロニトリル重合体の組成により異なり、アクリロニトリル単体からなる重合体の場合は15〜120分が好ましく、アクリロニトリルと共重合可能なモノマーとの共重合体の場合は15〜60分が好ましい。
本発明における「超臨界流体」とは、臨界点以上の温度および圧力にすると、それ以上温度および圧力をかけても凝縮しない高密度な流体のことをいう。この状態は、液体と同程度の密度ながら、気体と同程度の拡散性を併せ持つ。このため、超臨界流体は高分子材料の細部まで浸透し、大きな可塑化効果を有する流体である。
超臨界流体の流体としては、臨界点以上の温度および圧力の状態にある二酸化炭素(臨界温度31.0℃、臨界圧力7.38MPa)、亜酸化窒素(臨界温度36.5℃、臨界圧力7.27MPa)、エタン(臨界温度32.2℃、臨界圧力4.88MPa)、エチレン(臨界温度9.34℃、臨界圧力5.04MPa)が挙げられる。
本発明に用いる超臨界流体は、二酸化炭素を主成分とする。二酸化炭素は、臨界温度が31.0℃、臨界圧力が7.38MPaであることから、比較的取り扱いやすく、不燃性、不活性、無毒、安価であり、超臨界条件が適当であるためである。
本発明における「主成分」とは、超臨界流体(100体積%)中の二酸化炭素の割合が80〜100体積%であることを意味する。
超臨界流体は、二酸化炭素のみから構成されていてもよいし、複数の成分で構成されていてもよい。特に、酸化性物質を含有することが好ましい。
酸化性物質としては、二酸化窒素、二酸化硫黄、酸素が挙げられる。経済性の観点からは、酸化性物質である酸素を含有する空気を利用することが好ましい。
本発明における「超臨界流体が酸化性物質を含有する」とは、超臨界流体が酸化性の物質を溶解している状態のこと、もしくは超臨界状態の混合流体のことをいう。
上述したように、従来、耐炎化工程での加熱処理には時間がかかりやすかった。そのため、アクリロニトリルと促進モノマー(すなわち、アクリロニトリルと共重合可能なモノマー)とを共重合させた共重合体を例えばアクリル繊維として用い、耐炎化時間の短縮を図っていたが、得られる炭素繊維の品位ならびに性能が低下する傾向にあった。
また、耐炎化工程で得られる耐炎化繊維などの耐炎化アクリロニトリル重合体は、外部はナフチリジン環とアクリドン環が複合した炭素の二重結合をもつ構造が主となり、内部はニトリル基が環化反応したのみの炭素の二重結合を持たない構造が主となり、内部まで均一な構造になりにくかった。このような構造となる傾向は、アクリロニトリル重合体が繊維状の場合は直径、粉体状の場合は粒径、フィルム状の場合は厚さが大きくなるほど顕著であった。
しかし、本発明の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法によれば、超臨界流体中でアクリロニトリル重合体を加熱処理するので、超臨界流体からアクリロニトリル重合体への熱の伝達がよい。従って、耐炎化工程での熱化学反応(耐炎化反応)を大気中で行うよりも早く反応させることができ、耐炎化時間を短縮できる。
なお、アクリロニトリル重合体の耐炎化反応の進行度は、固体13C−NMR測定を行い、ニトリル基のピーク(約120ppm)と、環化脱水素化により生じるカーボンの二重結合のピーク(約137ppm)とを比較し、これらのピーク強度で進行度合いを確認することができる。
また、顕微赤外分光装置を用いたKBr錠剤法によっても、アクリロニトリル重合体の耐炎化反応の進行度を確認することができる。具体的には、透過測定を行い、C−H振動の吸収ピーク(2940cm−1)に対するニトリル基の吸収ピーク(2240cm−1)、環化により生じるナフチリジン環の炭素の二重結合の吸収ピーク(1610cm−1)、および脱水素化により生じる炭素の二重結合の吸収ピーク(1580cm−1)のピーク強度を求め、これらのピーク強度で進行度合いを確認する。ニトリル基のピーク強度が小さくなるほど、また炭素の二重結合のピーク強度が大きくなるほど、耐炎化反応が進行していることを意味する。
また、本発明によれば、超臨界流体がアクリロニトリル重合体の分子を可塑化し、重合体内部まで超臨界流体中の成分(特に酸化性物質)が行き渡るので、均一に脱水素反応が進行する。従って、従来に比べて大きな直径のアクリル繊維や、粒径の大きい粉体、厚みのあるフィルムなどを用いても、内部まで均一な構造の耐炎化アクリロニトリル重合体を製造できる。すなわち、本発明は、直径の大きいアクリル繊維、特に直径(平均値)が15μm以上のアクリル繊維や、粒径の大きい粉体、厚みのあるフィルムを用いる場合にも適している。
なお、耐炎化アクリロニトリル重合体の構造は、顕微赤外分光装置を用いた透過測定によって確認できる。例えばアクリロニトリル重合体としてアクリル繊維を用いた場合、得られる耐炎化繊維の表面から繊維軸に垂直方向に位置を変えて測定し、炭素の二重結合の吸収ピーク(1580cm−1)の強度を繊維の直径(繊維径)の位置に対してプロットすることで確認できる。脱水素反応が繊維内部まで均一に起こっている場合、ピーク強度は繊維径に比例する傾向にある。
以上説明したように、本発明によれば、超臨界流体中でアクリロニトリル重合体を加熱処理するので、耐炎化時間を短縮できる。従って、アクリロニトリル重合体として、アクリロニトリルと促進モノマーとを共重合させた共重合体を用いなくても、充分に耐炎化時間が短縮されるので、促進モノマーの共重合の割合を軽減でき、得られる炭素繊維などの品位ならびに性能を良好に維持できる。
また、直径の大きいアクリル繊維、特に直径(平均値)が15μm以上のアクリル繊維や、粒径の大きい粉体、厚みのあるフィルムを用いても、重合体内部まで均一に脱水素反応が進行し、均一な構造の耐炎化アクリロニトリル重合体が得られる。従って、アクリロニトリル重合体として例えばアクリル繊維を用いれば、通常よりも直径の大きい炭素繊維を製造することが可能である。
本発明により得られた耐炎化アクリロニトリル重合体は、内部まで均一な構造である。また、原料として、アクリロニトリルと促進モノマーとを共重合させた共重合体を用いなくても、耐炎化時間を短縮できるので、促進モノマーの共重合の割合を軽減できる。従って、この耐炎化アクリロニトリル重合体より得られる炭素繊維などの品位ならびに性能を良好に維持できる。
本発明により得られた耐炎化アクリロニトリル重合体は、公知の前炭素化工程、炭素化工程を経ることにより、例えば炭素繊維として用いられる。
前炭素化工程では、400〜700℃の上昇温度勾配で熱処理を行う。上昇温度勾配は、炉を複数設置し、それぞれに並んだ炉の温度を上昇するように設定することにより実現できる。また、前炭素化工程は不活性雰囲気炉で行うことができる。不活性雰囲気は限定されるものではないが、経済的に窒素を用いるのが好ましい。
炭素化工程では、1000〜2000℃で、好ましくは1000〜1500℃で熱処理を行う。また、炭素化工程は不活性気体中で行うことができる。不活性気体としては限定されるものではないが、経済的に窒素を用いるのが好ましい。
得られた炭素繊維は、公知の技術により、さらに2000〜3000℃の不活性雰囲気炉で黒鉛化処理をしてもよい。
なお、粉体状のアクリロニトリル重合体を加熱処理して得られる耐炎化アクリロニトリル重合体は、例えば他のポリマーに混合することで、耐炎化アクリロニトリル重合体を含有する繊維、フィルム、中空体、成型体などを、溶液あるいは溶融体より成型することができる。また、粉体状の耐炎化アクリロニトリル重合体は、さらに炭素化して粉末状炭素とすることで、例えばリチウムイオン電池の電極活物質などとして用いられる。
また、フィルム状のアクリロニトリル重合体を加熱処理して得られる耐炎化アクリロニトリル重合体は、例えばフィルム状の炭素材料などとして用いられる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例に用いたアクリル繊維、加熱処理装置、および本実施例における測定方法は以下の通りである。
[単繊維の直径の測定]
任意に10本サンプリングした単繊維の断面を、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、システム偏光顕微鏡、製品名:BX50−33P)を用いて直径を測定し、平均値を求め、これを単繊維の直径とした。
[粉体の平均粒径の測定]
レーザー回折散乱法を原理としたSKレーザーマイクロンサイザー(株式会社セイシン企業製、製品名:LMS−350)を用いて、粉体の粒度分布を屈折率1.330−0.01i、形状係数1.000にて測定し、体積平均から算出された50%正規分布の値を平均粒径とした。
[アクリル繊維Aの作製]
アクリロニトリル重合体A(アクリロニトリル単位の含有量:100質量%、数平均分子量20万)を濃度24質量%となるようにジメチルホルムアミドに溶解して紡糸原液とし、温度を60℃に調整した。前記紡糸原液を用いて乾湿式紡糸法により、アクリル繊維を得た。具体的には、直径150μmの丸断面の吐出孔を100個有するノズルを用いて紡糸原液を空気中へ紡出した後に、第一凝固浴(濃度79.5質量%、温度15℃のジメチルホルムアミド水溶液)中で凝固させて凝固糸を得た。ついで、凝固糸を第二凝固浴(95℃の温水)中にて2.7倍に延伸し、さらに90〜100℃の水中で1倍に延伸した後、温度180℃、圧力220kPaのスチーム中で3倍に延伸し、トータルの延伸倍率を8倍とし、アクリル繊維A(繊維A)の束を得た。
アクリル繊維Aの束を構成する単繊維の直径は、光学顕微鏡で測定した結果、16.3μmであった。
[アクリル繊維Bの作製]
アクリル繊維Aの束を得るのと同様の条件で、90〜100℃の水中で延伸まで行い、これをアクリル繊維B(繊維B)の束とした。
アクリル繊維Bの束を構成する単繊維の直径は、光学顕微鏡で測定した結果、25.4μmであった。
[粉体の作製]
アクリロニトリル、アクリルアミドおよびメタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド単位/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル重合体Bを得た。アクリロニトリル重合体Bの含水率は45質量%であった。
得られたアクリロニトリル重合体Bを、ペレタイザーでペレット状に成形し、乾燥機により乾燥して含水率1質量%の粉体を得た。粉体の平均粒径は、38.0μmであった。
[アクリル繊維Cの作製]
粉体の作製と同様にしてアクリロニトリル重合体Bを得た。
得られたアクリロニトリル重合体Bをジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を孔数3000、孔径75μmの紡糸口金を通して、濃度55質量%、温度30℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸を得た。得られた凝固糸を第1凝固浴中から紡糸原液吐出線速度の0.8倍の引き取り速度で引き取った。引き続き、凝固糸を濃度60質量%、温度30℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴に導き、浴中にて2.8倍に延伸し、繊維束を得た。
ついで、得られた繊維束に対して水洗と同時に3倍の延伸を行い、これに1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤を添油した。添油後の繊維束を熱ロールにて乾燥し、スチーム延伸機にて1.9倍に延伸した。その後、タッチロールにて繊維束の水分率を調整し、繊維束に繊維当たり5質量%の水分を含有させた。ついで、繊維束をエアー圧405kPaのエアーによって交絡処理し、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.2dtexのアクリル繊維Cの束を得た。
アクリル繊維Cの束を構成する単繊維の直径は、光学顕微鏡で測定した結果、11.0μmであった。
[フィルムの作製]
先に得られた粉体を溶剤としてジメチルアセトアミドに溶解し、濃度21.2質量%のキャスト溶液を調製した。
次に、キャスト溶液を平滑なガラス板の上に流延し、適切なクリアランスを設けたガラス棒にてキャスト溶液を展開し、均一な流延体を得た。この流延体をガラス板に展開したまま110℃の乾燥機中で24時間保持し、溶剤を除去した。引き続きガラス板から溶剤を除去した流延体を回収し、更に80℃の真空乾燥機中で減圧乾燥を行った。この操作にて厚さ約150μmのフィルムを得た。
[加熱処理装置1]
加熱処理に使用した加熱処理装置1の概略構成図を図1に示す。
図1に示す加熱処理装置1は、内容積240mL、最高使用圧力20MPaの高圧リアクター(耐圧硝子工業株式会社製)11に接続された一方のフローバルブ(二酸化炭素供給バルブ)12に、ガスポンプ(日本精密科学株式会社製、製品名: NP−KX−500J)13が接続され、さらに、前記ガスポンプ13と液化二酸化炭素ボンベ14とがシリンダー( 株式会社巴商会製)を介して接続されている。また、高圧リアクター11に接続された他方のフローバルブ(二酸化炭素リリースバルブ)15に、圧力調整弁(日本分光株式会社製、製品名:SCF−Bpg)16を接続し、常に圧力を一定に保てるようにした。なお、高圧リアクター11とフローバルブ15の間には、圧力計17と安全弁18が備わっている。
[加熱処理装置2]
加熱処理に使用した加熱処理装置2の概略構成図を図2に示す。
図2に示す加熱処理装置2は、内容積100mLの高圧リアクター(オーエムラボテック株式会社製、製品名:MMJ−100)21に接続されたフローバルブ(二酸化炭素供給バルブ)22に、ガスポンプ(日本精密科学株式会社製、製品名: NP−KX−500J)23が接続され、さらに、前記ガスポンプ23と液化二酸化炭素ボンベ24とがシリンダー( 株式会社巴商会製)を介して接続されている。さらに手動式のリークバルブ25と圧力計26、安全弁27が備わっている。また高圧リアクター21には熱電対28の挿入口があり、ここに熱電対28を据え付けて高圧リアクター21内の温度を測定した。また高圧リアクター21には攪拌軸29と攪拌翼が備わっているが、今回は攪拌を行わなかった為、攪拌翼を攪拌軸29から取り外して実験に供した。
[固体13C−NMR測定]
アクリル繊維Aの束を用い、加熱処理して得られた耐炎化繊維について、固体13C−NMR測定を行った。
測定には、固体NMR測定装置(ブルカー・バイオスピン社、製品名:AVANCEII)、サンプル管が2.5mmのMASプローブを用いた。また、測定方法は、CP/MAS法を用い、H90゜パルス幅を3.0μs、コンタクトタイムを3ms、繰り返し時間を10s、積算回数を4096回とした。基準はTMSピークが0ppmになるようにグリシンで調整した。
[IR測定1]
アクリル繊維A〜Cの束、粉体、またはフィルムを用い、加熱処理して得られた耐炎化繊維束、耐炎化粉体、または耐塩化フィルムについて、定法に従いKBr錠剤法にてIR測定を行った。IR用錠剤はKBr200mgに対して、サンプルを1mg加えて調製した。
IR測定には、FT−IR装置(Nicolet社製、製品名:AVATAR330)を用い、Transmissionモード測定、積算回数64回の条件にて、以下のようにして測定した。
まず、KBr単独の錠剤にてIRのバックグラウンドスペクトルを測定した。ついで、サンプルのIRスペクトルを測定した。各吸収スペクトル(1580,1610,2940cm−1)のピーク高さを読み取り、2940cm−1のピーク高さに対する残りのピーク高さの比率(ピーク強度比)をそれぞれ求め、「1610cm−1のピーク高さ/2940cm−1のピーク高さ」で示されるピーク強度比1を環化の指標、「1580cm−1のピーク高さ/2940cm−1のピーク高さ」で示されるピーク強度比2を脱水素化の指標とした。
なお、ピーク高さは赤外分光分析方法通則(JIS K−0117)に従い、ピーク前後に基準線を引き、ピークと基準線からの距離を求め、これをピーク高さと定義した。
<環化・脱水素化の定性評価>
(ピーク強度比1:1610cm−1のピーク高さ/2940cm−1のピーク高さ)
ピーク強度比1を求め、以下の評価基準にて環化の定性評価を行った。なお、ピーク強度比1の値が大きくなるほど環化が進行していることを意味する。
◎:ピーク強度比1が1.5より大きい。
○:ピーク強度比1が1.0より大きく、1.5以下。
△:ピーク強度比1が0.5より大きく、1.0以下。
×:ピーク強度比1が0.5以下。
(ピーク強度比2:1580cm−1のピーク高さ/2940cm−1のピーク高さ)
ピーク強度比2を求め、以下の評価基準にて脱水素化の定性評価を行った。なお、ピーク強度比2の値が大きくなるほど脱水素化が進行していることを意味する。
◎:ピーク強度比2が1.5より大きい。
○:ピーク強度比2が1.0より大きく、1.5以下。
△:ピーク強度比2が0.5より大きく、1.0以下。
×:ピーク強度比2が0.5以下。
[IR測定2]
アクリル繊維Bの束を用い、加熱処理して得られた耐炎化繊維について、IR測定を行った。
測定装置としては、FT-IR(日本分光株式会社製、製品名:FT/IR−4100)と二次元赤外顕微鏡(日本分光株式会社製、製品名:IRT−5000)を連結し、FT−IRから二次元赤外顕微鏡に赤外線レーザーを取り込んだものを使用した。
測定の際には、予め耐炎化繊維を一本取り出し、二次元赤外顕微鏡のステージ上にセロハンテープで貼り付け、顕微鏡のピントを合わせた後、繊維軸の垂直方向に4μmずつ位置を変えながら、6点測定した。測定方法は、透過法を用い、積算回数を10回、分解能を4cm−1とした。
[実施例1]
アクリル繊維Aの束を80cm切り出し、図1に示す加熱処理装置1を用い、高圧リアクター11内に無張力の状態で入れて密封した。入れる際に繊維Aの束は約10cmで折り返し、アルミホイルで支持し、耐圧容器の長手方向に伸びた状態になるようにした。圧力調整弁16を10MPaに設定して、二酸化炭素で置換せずに高圧リアクター11内に空気が残っている状態から、液化二酸化炭素ボンベ14よりガスポンプ13を用いて増圧して、高圧リアクター11内に液化二酸化炭素を導入した、圧力が10MPaになったところで、フローバルブ12を閉じて温度を上昇させた。なお、図1において、符号19はサンプル(アクリル繊維の束)である。
温度は45分かけて240℃まで昇温させた後、120分保持し、超臨界流体中でアクリル繊維Aの束を加熱処理した。保持時間が経過した後、ただちに圧力調整弁16の設定を大気圧にして圧力を開放し、耐炎化繊維の束を取り出した。
得られた耐炎化繊維について、0.5mm以下の長さに切断してから、前述のIR測定1の方法で、各吸収スペクトル(1580,1610,2940cm−1)のピーク高さを読み取り、ピーク強度比1、2を求め、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた耐炎化繊維について、固体13C−NMR測定を行った。固体13C−NMRスペクトルを図3に示す。
図3より、ニトリル基を示す122ppmのピークに対して、水素と結合した二重結合をもつカーボンを示す137ppmのピークが大きく、耐炎化反応が最も進行しているのがわかる。なお、137ppmのピークと122ppmのピークの強度比(137ppmのピーク強度/122ppmのピーク強度)は、0.36であった。
[実施例2、3]
加熱処理で保持する時間(加熱処理時間)を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
アクリル繊維Aの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内を二酸化炭素で置換した以外は実施例1と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた耐炎化繊維について、固体13C−NMR測定を行った。固体13C−NMRスペクトルを図3に示す。
図3より、122ppmのピークに対して137ppmのピークが実施例1の次に大きく、耐炎化反応が進行しているのがわかる。なお、137ppmのピークと122ppmのピークの強度比(137ppmのピーク強度/122ppmのピーク強度)は、0.33であった。
[実施例5、6]
アクリル繊維Aの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内を二酸化炭素で置換し、加熱処理時間を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
アクリル繊維Aの束の代わりに、アクリル繊維Bの束を用いた以外は、実施例1と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維について、IR測定2を行った。赤外吸収スペクトルを図4に示す。なお、図4において、横軸は繊維の測定位置、縦軸は炭素間の二重結合を示す1580cm−1のピーク強度である。
図4より、繊維の中央部にピークをもつことがわかった。脱水素反応が繊維内部まで均一に起こっている場合、ピーク強度は繊維径に比例する傾向にある。従って、実施例7で得られた耐炎化繊維は、内部まで二重結合を有し、均一な構造であることがわかる。
[実施例8、9]
アクリル繊維Aの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内を二酸化炭素で置換し、高圧リアクター11内の温度(加熱処理温度)および加熱処理時間を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例10]
図2に示す加熱処理装置2を用い、高圧リアクター21内にアクリロニトリル重合体Bの粉体2.8gを入れて密封した。ついで、高圧リアクター21内の空気を液化二酸化炭素ボンベ24から導入した二酸化炭素で置換してから、さらに液化二酸化炭素を導入した。なお、開始時の高圧リアクター21内温度は14℃、圧力は5.0MPaであった。
ヒーター(図示略)により高圧リアクター21を加熱したところ、加熱開始から15分で高圧リアクター21内の温度計が202℃を示し、圧力が9.0MPaを示した。高圧リアクター21内の温度が210℃を超えない様にヒーターを制御し、圧力は9.0MPaを維持するようにリークバルブ25を手動で制御した。
加熱処理温度約202℃、加熱処理圧力9.0MPaの超臨界流体中で加熱処理を15分実施し、その後ヒーターの電源を落とした。
自然冷却にて高圧リアクター21内の温度が50℃を下回るまでおよそ2時間放置した後、高圧リアクター21内の圧力を開放し、耐炎化粉体を取り出した。
得られた耐炎化粉体について、IR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例11、12]
図2に示す加熱処理装置2を用い、アクリル繊維Cの束(長さ2.5m、重さ3.6g)を高圧リアクター21内の攪拌軸29に巻きつけて密封した。加熱処理温度、加熱処理圧力、および加熱処理時間を表1に示す値に変更した以外は実施例10と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。なお、図2において、符号30はサンプル(アクリル繊維の束)である。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
また、実施例12により得られた耐炎化繊維について、固体13C−NMR測定を行った。固体13C−NMRスペクトルを図3に示す。
図3より、137ppmのピークと122ppmのピークの強度比(137ppmのピーク強度/122ppmのピーク強度)は、0.34であった。実施例12の場合は実施例4と同程度に反応していることがわかる。
このことから、原料にアクリルアミドおよびメタクリル酸を共重合したアクリロニトリル共重合体を用いると、アクリロニトリル単体の重合体を用いるよりも、より低温でかつ短時間で耐炎化反応が進行することがわかる。
[実施例13]
アクリロニトリル重合体Bのフィルムを幅2cm、長さ5cm、重さ0.35g切り出し、図2に示す加熱処理装置2を用い、高圧リアクター21内に切り出したフィルムを入れて密封した。加熱処理温度、加熱処理圧力、および加熱処理時間を表1に示す値に変更した以外は実施例10と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化フィルムを得た。
得られた耐炎化フィルムについて、乳鉢で粉砕してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
アクリル繊維Aの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内に二酸化炭素を入れずに大気圧下で加熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維について、固体13C−NMR測定を行った。固体13C−NMRスペクトルを図3に示す。137ppmのピークと122ppmのピークの強度比(137ppmのピーク強度/122ppmのピーク強度)は、0.12であった。
比較例1の場合、実施例1、4、12に比べて137ppmのピークと122ppmのピークの強度比が小さく、耐炎化反応が充分に進行していないことがわかる。
[比較例2]
アクリル繊維Aの束の代わりに、アクリル繊維Bの束を用い、前記アクリル繊維Bの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内に二酸化炭素を入れずに大気圧下で加熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維について、IR測定2を行った。赤外吸収スペクトルを図4に示す。
図4より、繊維の中央部が平坦であり、繊維の内部まで脱水素反応が充分に進行していないことがわかる。すなわち、比較例2で得られた耐炎化繊維は、内部まで均一な構造ではなかった。
[比較例3、4]
アクリル繊維Aの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内を二酸化炭素で置換し、加熱処理圧力および加熱処理時間を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様に圧力をかけて加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。なお、加熱処理中の二酸化炭素は超臨界流体の状態ではなく、気体の状態であった。
比較例4により得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
また、比較例3により得られた耐炎化繊維について、固体13C−NMR測定を行った。固体13C−NMRスペクトルを図3に示す。
図3より、137ppmのピークと122ppmのピークの強度比(137ppmのピーク強度/122ppmのピーク強度)は、0.12であった。比較例3の場合、実施例1、4、12に比べて137ppmのピークと122ppmのピークの強度比が小さく、耐炎化反応が充分に進行していないことがわかる。
[比較例5]
アクリル繊維Aの束を高圧リアクター11内に入れて密封した後、高圧リアクター11内を窒素で置換した以外は、実施例1と同様に圧力をかけ、超臨界流体中で加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
図2に示す加熱処理装置2を用い、アクリル繊維Cの束(長さ2.5m、重さ3.6g)を高圧リアクター21内の攪拌軸29に巻きつけて密封した。加熱処理温度、加熱処理圧力、および加熱処理時間を表1に示す値に変更した以外は実施例10と同様に圧力をかけて加熱処理を行い、耐炎化繊維の束を得た。なお、加熱処理中の二酸化炭素は超臨界流体の状態ではなく、気体の状態であった。
得られた耐炎化繊維束について、0.5mm以下の長さに切断してからIR測定1を行い、環化・脱水素化の定性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005656185
表1から明らかなように、各実施例で得られた耐炎化繊維、耐炎化粉体、および耐炎化フィルムは、ピーク強度比1の値が大きかった。この結果より、ニトリル基の環化が進行しているのがわかる。また、ピーク強度比2の値も大きく、脱水素化が進行しているのがわかる。
一方、各比較例で得られた耐炎化繊維は、ピーク強度比1の値が小さかった。この結果よりニトリル基の環化が充分に進行していないのがわかる。また、ピーク強度比2の値も小さく、脱水素化が充分に進行していないことがわかる。
1、2:加熱処理装置、
11、21:高圧リアクター、
12、22:フローバルブ、
13、23:ガスポンプ、
14、24:液化二酸化炭素ボンベ、
15:フローバルブ、
16:圧力調整弁、
17、26:圧力計、
18、27:安全弁、
19、30:サンプル、
25:リークバルブ、
28:熱電対、
29:攪拌軸。

Claims (7)

  1. 二酸化炭素を主成分とする超臨界流体中で、アクリロニトリル重合体を200〜300℃で加熱処理し、環化、脱水素反応を行う、耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
  2. 前記超臨界流体が酸化性物質を含有する、請求項1に記載の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
  3. 前記アクリロニトリル重合体が繊維状である、請求項1または2に記載の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
  4. 繊維の直径が15μm以上である、請求項に記載の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
  5. 前記アクリロニトリル重合体が粉体状である、請求項1または2に記載の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
  6. 前記アクリロニトリル重合体がフィルム状である、請求項1または2に記載の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
  7. アクリロニトリル重合体がアクリロニトリル単位を90〜98質量%含有する共重合体であり、超臨界流体中で加熱処理する時間が60分以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の耐炎化アクリロニトリル重合体の製造方法。
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